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2011年11月

NY現代バップ好演

今日も新譜紹介です。今回出たライブ・アット・スモールズの中の1枚。このシリーズはニューヨークはグリニッジ・ヴィレッジにあるライブハウスでライブ録音され、定期的にリリースされるものです。ニューヨークの現在を知ることができる貴重なシリーズだと思います。

P129『 ティム・リース・クインテット ライブ・アット・スモールズ』(2010年録音、SMALLS LIVE)です。メンバーは、ティム・リース(ts,ss)、クリス・ポッター(ts)、ジョン・パティトゥッチ(b)、カルマン・オラー(p)、ビリー・ドラモンド(ds)です。このメンバーを見れば、私のブログの読者ならお分かりでしょう。そうです。クリポタ買いです(笑)。

このアルバムを買った時、リースってトランペッターだとばかり思っていました。だってジャケットがトランペットのベルに見えたんだもん。CDプレーヤーに入れてしばらく聴いてトランペットが出て来ないのでおかしいなと思ってジャケット裏を再確認。リースってサックス奏者じゃないですか。で、ジャケット表を見直したら、ソプラノ・サックスのベルでした(笑)。

そういえば今回からジャケットの紙質が落ちて単に二つ折になりましたね。コスト削減?でも今度は紙のCD袋が付いたので、ローコスト化したのかしないのか?

最近、とは言ってもほぼ1年前ですが、クリポタの近況をライブで聴けるのが楽しみでした。相変わらずいい演奏をしていますね。今回はリースの曲が主体なためか、自身作の曲で見せるクリポタ節は控えめになっているように思いました。そのせいなのでしょう。リースとの相性は非常に良く、昔風に言うと”アル&ズート”コンビのような感じの演奏を聴かせてくれます。リースもクリポタに負けずいい演奏をしていますよ。

全5曲、リースの3曲にシューマンの弦楽四重奏曲No.14《死と乙女》とエンディングにオラーのソロ曲。最後の曲は短いので4曲+オマケといった感じです。リースの曲は8ビートの哀愁系、4ビートのバップ曲、アメリカン・フォーク系バラード曲の3曲。リースは2曲でソプラノ・サックスを吹いています。

アルバム冒頭はパティトゥッチの逞しいベースから始まります。この人、最近本当にしっかりしたベースを弾いていますね。地にしっかり足の着いた堅実なベースを弾きステージの中央で演奏をしっかり支えています。この人がチック・コリアのエレクトリック・バンドのベーシストだったとは想像できません。

リースとクリポタは左右に定位。リースは向かって左寄り、クリポタは向かって右寄り、リースのテナーはブライトな音、クリポタのテナーはスモーキーな音です。心なしかクリポタのテナーの音を小さめに録っているような感じがするんですが・・・。リースのアルバムだからかも?クリポタはいつものオリジナリティ溢れるラインとともに、時折”チラッ”と挟む引用メロディーのセンスがいいですね。リースはアドリブがちょっとまじめ過ぎるような気がしないでもありません。

曲はテーマの合奏と各人のアドリブというオーソドックスな構成。上記のとおりリースとクリポタの相性が良いので、《ア・サマー・トゥ・リメンバー》での合奏はとても気持ち良く聴けます。2人の合奏はアメリカン・フォーク系バラード曲《ニュー・ビュー》で最好調になります。順番に数小節づつソロを取り合いながら最後には合奏になるのですが、お互い表になり裏になり、深みのあるハーモニーには心を打たれます。

4曲目のシューマンの弦楽四重奏曲No.14《死と乙女》が面白いです。私はこの曲の原曲を聴いたことがないのですが、リースのアレンジがあるにせよ、ジャズ曲にしか聴こえません。テンポは遅くないですがマイナー・メロディーのレクイエムのように聴こえます。曲調としてはイスラエル人ベーシストのオマー・アヴィタルが書くような曲。つまりクレズマー的哀愁曲に聴こえます。この曲はこのアルバムのハイライトでもあり、メンバー全員の熱いソロが聴けます。

ラスト《バッハチェロ組曲への序曲》は約2分半の短い曲。ピアノ・ソロで演奏されます。4曲目が盛り上がるので、それを冷ます静かなエンディング曲なのかもしれません。

クリポタの好調な近況とリースの好演が聴ける良いライブでした。

アルバム名:『TIM RIES QUINTET LIVE AT SMALLS』
メンバー:
TIM RIES(ts, ss)
CHRIS POTTER(ts)
JOHN  PATITUCCI(b)
KALMAN OLAH(p)
BILLY DRUMMOND(ds)

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らしい上質なジャズをやっています。

最近のジャズを取り巻く状況を考えながら、YouTubeから動画をひっぱってきてあれこれ書いたわけですが、まあ戯言なので適当に流していただけたか?いただけないか?このへんで終了します。

今日は新譜紹介。とは言っても、このアルバムが出てからだいぶ経ってしまいました。いつものことですね。これは安い輸入盤が買えるようになるまで待ったので余計遅くなってしまいました。

P128 ヴィンス・メンドーサ『ナイト・オン・アース』(2011年、art of gloove)です。メンバーは、ヴィンス・メンドーサ(com,arr,con)、ロレイン・ペリー(vo),ルチアナ・スーザ(vo)、ジム・ウォーカー(fl)、ジョー・ロバーノ(ts)、ボブ・ミンツァ(ts,b-cl)、ステファン・ギラウム(ts,ss)、アンブローズ・アキンムシーレ(tp)、ジョン・アバークロンビー(g)、ジョン・スコフィールド(g)、グエン・レ(g)、アラン・パスカ(p)、ケニー・ワーナー(p)、ラリー・ゴールディングス(org)、ミシェル・アリボ(el-b)、クリスチャン・マクブライド(b)、ピーター・アースキン(ds)、アレックス・アカーニャ(per)、ヘクトル・デル・カルト(bandoneon)、アンディ・ナレル(steel drums)、メトロポール・オーケストラ、etc.です。

最近共演が多いメトロポール・オーケストラをはじめとして、上記のとおりメンドーサとなじみ深いミュージシャンが多数参加しています。サックス、ギター、キーボード、パーカッションなどは、曲に合わせて使い分ける念の入れよう。最近では、これだけの豪華メンバーを集めて上質なジャズを作れる人はメンドーサくらいしか思い当たりません。

全12曲、全てメンドーサの曲。アレンジはもちろんメンドーサで指揮もしています。いつもながらのことですが、品があり優しく美しい曲が並んでいます。だいたい似たような感じの曲なのですが、この人の場合はしつこさがないので決して満腹感にならず、出てくる料理の繊細で上品な味を次々と味わい消化しながら食べ続けられる感じです。

タイトルからは夜にちなんだ曲というのが分かりますが、サウンドの傾向としてはブラジルやアルゼンチンやカリブといった中南米音楽を取り入れたエスニック色が強めです。パーカッションにそういう人達を起用していることからもそれは分かります。とはいっても、ここにある音楽はメンドーサ・サウンドというべきもので、メンドーサ好きには安心感がありますね。大人の上質哀愁サウンドです。

アレンジはもちろん非常に凝っていて、それだけで聴かせてしまうところはあるのですが、、その中に登場してソロをとるロバーノ、ミンツァ、アキンムシーレ、ジョンスコ、グエン・レなどを上手く引き立てるのもこの人のアレンジの技です。メンドーサ・サウンドの中にソリストが登場すると、”スッ”とその人の音にサウンドがマッチしてしまうのは非常に巧みな技だと思います。

私は基本的に少数コンボで個人技と心意気を聴かせるイケイケ・ジャズが好きなのですが、こういうグループでひとつのテーマにそって楽曲を聴かせるハイクオリティーなジャズも好きです。

ジャケットはオーロラで寒い夜を感じさせるもの。このアルバムは寒い冬にはよくマッチするんじゃないかと思います。部屋を暖かくしてミルクティーでも飲みながら聴くと気持ちが落ち着くと思います。今の私にピッタリかも(笑)。

アルバム名:『NIGHTS ON EARTH』
メンバー:
John Abercrombie, John Scofield, Peter Erskine, Louis Conte,
Larry Goldings, Kenny Werner, Alan Pasqua, Fred Sherry,
Bob Mintzer, Joe Lovano, Ambrose Akinmusire, Luciana Souza,
Hector Del Curto, Tom Diakite, Nguyen Le, etc.

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怖~い演奏?を見つけました(笑)。

これはある意味怖~い映像です。
1983年のV.S.O.P.Ⅱ。
この時のマルサリス兄弟の心境たるやいかに。
当時私はこれをTVで見ました。
ジャズを聴くようになってから2年目のこと。私は20歳。
こういうのを聴いたり見たりしたんでジャズの深みに嵌ったんです。

V.S.O.P.のリズム隊に新進気鋭のマルサリス兄弟のフロント。
リズム隊はハービー、ロン、トニー。
トランペットがウイントンで、テナーがブランフォード。

ハービーのキレ、ロンの高速ベースランニング、トニーの気迫。
凄いものがあります。
こんな3人の大御所をバックに演奏したマルサリス兄弟。
さぞかし緊張したでしょう。

ブランフォードなんか完全にビビッてますよね。
ブランフォードに合わせてテンポを落とした構成になったりしています。
トニーの煽りがとにかく強烈なんですよ。
でもトニーはちゃんとブランフォードに合わせてテンポなどをコントロール。

ウイントン、こいつは違いますね。当時弱冠22歳。
バックの3人に対して一歩も引きません。
そんなウイントンに応えてバックの3人も思いっきり飛ばしています。
この気迫、見ていて背筋に冷たいものが走ります。
怖いですよね(笑)。
今見るとこの凄さがよく理解できます。
ジャズってこういうのがあるから堪らないのです。

当時私はこんなトニー・ウィリアムスのドラムにノックアウトされました。
それまでこんな凄いドラムは聴いたことがなかったのです。
トニーのドラム・ソロの映像があります。
1983年のモントルー・ジャズ・フェスティバルから。
特に2分少々前から始まる二つ目のソロは凄まじいです。

もの凄いパワーを発散しています。
今、こういうのってあまりないような気がするんですよね。
80年代、今よりはるかにパワーがありました。

天才ドラマーのトニー、天才トランペッターのウイントン。
こういうジャズに私は惚れたのです。
当時の私にとってジャズこそが最高にカッコイイ音楽でした。

当時マイナー・ピアノ・トリオが流行ってなくて良かった(笑)。
そんなんだったらジャズを聴いていなかったと思います。
まっ、フュージョンは流行っていましたけどね。

ウイントンはその後変に”批評性”に走ったんで面白くなくなりました。
でもライブの熱い演奏はいくつかCDになっていますよ。

当時の様子を知るにはこれを聴いてみて下さい。
ハービー、ロン、トニー、ウイントンのカルテットです。
スタジオ録音なのでもう少し整った演奏ですがウイントンの凄さは分かります。

私が持っているのは発売当時のCD(何と¥4,500)なのですが、
音がしょぼいのでこのマスター・サウンド盤のほうが良いと思います。

カッコいい映像をあと二つUPします。
マウントフジJAZZフェスティバルから。
山梨で開催されていたのに行ったことはありませんでした。
当時私は茨城在住。

ますは日野皓正。
このフェスティバルの2回目、1987年。
やっぱりこの人のトランペット(コルネット)は凄いと思います。
これだけの説得力を持って吹ける人はそんなにいません。

バックはO.T.B. O.T.B.と言えば”新伝承派”。
”新伝承派”とうのは中山康樹さんの命名。
アメリカのマスコミでウイントン一派が
”ニュー・トラディショナリスツ”と称されたのを中山さんが意訳。
ディーヴォのアルバムタイトル『ニュー・トラディショナリスツ』に由来するとか。
中山さん著「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」にわざわざ書いてあります(笑)。
今私に言わせればそのまま”新伝統派”とした方がしっくりくると思います。

次は大西順子。
1993年、デビューアルバム『WOW』が出た年の映像。
この放送を録画したビデオは持っています。
ビデオで見ると肌荒れぎみですね。
今見ても凄いカッコ良さ。反抗心剥き出し(笑)?
前半の右手だけのシングルトーン、後半の迫力両手弾き。

当時話題騒然となったのも分かります。
ソバージュヘアにボディコン系ワンピにハイヒールで男勝りにピアノを弾き倒す。
この人がいなければ今の女性ジャズ・ピアニスト・ブームはあり得ません。
ドラムのビリー・ヒギンズは頬が緩みっぱなし(笑)。

実はこの演奏の後に大西順子、日野皓正、渡辺香津美の短い鼎談があり、
その後で大西順子トリオにトランペッター原朋直が加わってカルテットで1曲。
更に短いトークもあり、番組冒頭にはチックと大西順子の会話もあります。
大西順子にかなりスポットをあてた番組になっていますよ。

当時の雰囲気を知るにはこれを聴いてみて下さい。

これは上記の映像の翌年の演奏。
私はリアルタイムで買いましたが、なぜかそれほど嵌らなかったんですよね。

バブル前夜からバブルがはじけた後の11年間の演奏でした。
今振り返って考察してみると面白いです。

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「はは~ん、なるほど。」と思いました。

何気なくYouTubeの映像を見て気づいたんです。なるほどっ!と。

最初に見たのは松岡直也の昔の映像。

バブル期の風俗がよく分かる1984年の野外フェスティバル。

この頃って日本フュージョンの全盛期でもあるのです。

リズムが走り過ぎていますね。ブレイクまでどんどん速くなっていってます。

これを見ていたら、あることが思い浮かんできたのです。

この前見た「東京JAZZ」でのクオシモードです。

こんな感じの演奏をしていたからです。

なのでYouTubeのクオシモードをチョロッと探しました。

それがこれ、「東京JAZZ」でもこの曲をやっていたはずです。

こちらはクラブでの演奏。

対比が面白いので敢えてこれを選択しました。

そつのない演奏です。

曲とかはかなり似た雰囲気ですよね。

あちら(松岡直也)がラテン、こちら(クオシモード)がジャズ。

あちらがギターあり、こちらがなし。

あちらがエレクトリック・ベース、こちらがアコースティック・ベース。

あちらが野外、こちらがクラブ。

あちらがカジュアル、こちらがフォーマル。

という違いはありますが、演奏の質や聴衆の聴き方は同じですよね。

ノリノリなラテンリズムと盛り上げるためのソロ。

これらを見て、「クオシモードってフュージョン。」と思っていた自分に納得。

時代とともに風俗は変わるにしても、

こういうのを聴いて若者がノルという構図は約25年経っても変わらないのです。

私は約25年前の若者世代なので、当時のパワーが懐かしいです。今は・・・。

昔は松岡直也なんか全く無視していたジャズ評論家の”先生”が、

今はクオシモードをもてはやす。

笑ってしまいます。

ちなみに私はこういうのがカッコイイと思っています。

マイケル、カッコイイ!

怒涛のマシンガンフレーズアドリブ!

グレイト!

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こんな本買っちゃいました。

一昨日、いつもの本屋さんへ行ってジャズコーナーを見ていたら、
この本が買いたくなってしまいました。

P127

「タワレコ女子ジャズ部」のお料理レシピみたいな音楽案内

どうも私は“女子”という言葉に弱いらしい(笑)。
女子の感性にとても興味があります。
それは多分、マニアックな野郎が紹介するジャズにうんざりしているから。
あなた達の感性はお見通しなのですよ(笑)。

私が知りたいのは未知の感性によって選ばれたジャズ。
私達ジャズファンと発想が違っているのが新鮮なのです。
パラパラめくりましたがジャズじゃないのがたくさんあります。
そこがいいんです。
読んでいて気分がリフレッシュできます。

Jさん(単にE番目の人という意味。後ろに写真入りで本名がのっています。)が
一番普通のジャズファンぽい感じ。
私が「この人なかなかセンスあるじゃん。」と思うのがEさん。
ホレス・シルバーの『ザ・ケープ・バーディン・ブルース』を選んでます。
ランチ(昼食)にこれを選んで午後も頑張ろうというのが好き(笑)。
Kさんは古くて渋いのを選んでますね。

なんて具合で、どの娘が何を選んでいるのか比較する面白さもあります。
「タワレコ女子ジャズ部」カワイイ娘ばっかりですよ。

クラブジャズが”雰囲気”を聴いているなんで先日書きましたが、
この本なんかは正に”雰囲気”聴きによるセレクト。
これはこれで良いと思います。
そこから奥座敷に入るか入らないかはもうその人次第。
奥座敷に入るには後藤雅洋さん著「ジャズ耳の鍛え方」を読みましょう。

で、次はこれ。
って、ぶっ飛んでますよね。
もし読む人がいたら、「あんたはエライッ!」って、
小松政夫風に言ってやって下さい。知らないか?

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ポール・モチアンが亡くなりました。

落語家の立川談志さんが昨日亡くなりましたね。
ご冥福をお祈り致します。
立川談志さんって、私にとってはジャズな人の代表格。
やんちゃでまっすぐなところが好きでした。
こういう個性的な人がだんだんいなくなっちゃうのは寂しい限りです。

本題のポール・モチアン。
一昨日亡くなりました。
ご冥福をお祈り致します。
この人も個性的なジャズマンでした。
独特の空間と間を生かしたドラミングは唯一無二。
残念です。

モチアンを最初に聴いたのはご多分に漏れずエバンスの『ワルツ・フォー・デビィ』
「音が少ないドラマーだなあ。」と思っていました。

エバンス・トリオ以外はほとんど注目していませんでした。
ところが、ジャズ喫茶「いーぐる」へ行くようになると、
現代ニューヨークを語る時、この人は外せないと知りました。

で、最初に聴いたのが後藤雅洋さん著「ジャズ選曲指南」にのっていた
『ポール・モチアン・アンド・ザ・エレクトリック・ビバップ・バンド』

このアルバムにはジョシュア・レッドマンとカート・ローゼンウィンケルが
参加しています。
このバンドは今ニューヨークで注目される人を続々と排出。
現代のジャズ・メッセンジャーズなのです。
ビバップを現代風にリメイクするセンスには驚きました。
そしてこのサウンドが気に入ってしまいました。
そこから注目するようになり現代に至ります。

YouTubeにUPされている映像も貼っておきます。
たくさんある中からひとつ。
2003年のChivas Jazz Festival 。

ドラムはもちろんモチアン。
スキンヘッドにグラサンが怖い(笑)。
ギターはスティーブ・カーディナスとヤコブ・ブロ。
テナーはトニー・マラビーとクリス・チーク。
ベースはアンデルス・クリステンセン。
現代ニューヨークを追いかけている人にはおなじみの面々がずらり。
凄いバンドですよね。

最近のモチアンのバンドなら『ガーデン・オブ・エデン』を聴いておくべきでしょう。

私はモチアンが参加したアルバムをたくさん持っています。
現代ジャズファンならポール・モチアンを聴くべし!
もう新録音は出ないんですよね~(涙)。
合掌。

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クラブジャズ方面に受けそうなピアノトリオ

ディスクユニオン・スタッフ推薦盤(10月)の中の1枚。試聴してみてなかなか良さそうだったので購入。先日紹介した「秋に聴くギター」と一緒に買ったものです。一緒に買ったのは送料を枚数割して安くするためです(笑)。新譜のはずなのに中古(通販)があったのでそれを購入(笑)。

P125 ロバート・ミッチェル・3IO『ザ・エムブレイス』(2010年rec. 3IORECORDS)です。メンバーは、ロバート・ミッチェル(p)、トム・メイソン(b)、リチャード・スペーヴン(ds)です。ミッチェルはUKの新世代ジャズピアニストなのだそうです。ミッチェル率いるトリオの2作目。このジャケットは70年代のロックバンドって感じですよね。

クラブジャズ方面にも支持されているんだそうで、デビューアルバム『ザ・グレイト・グッド』がジャイルス・ピーターソンのWorldwide Awardsのベストジャズアルバムに選出されたりもしたとか。聴けば「なるほど。」と思います。私も最近クラブジャズの傾向が分かってきました。

「クラブジャズってジャズで踊るってことでしょ。」というのは分かっていたのですが、最近分かったのはそういう人達が支持するものが何なのかということです。極論してしまうと、そこにあるのはある種の ”雰囲気” ということに尽きると思います。アドリブが凄いとか、テクニックが凄いとか、発想が斬新とか、オリジナリティを持っているとか、個性的な雰囲気とか、極めて美的センスがあるとか、ジャズ的なトピックスよりは、好まれる ”雰囲気” があればいいのです。

その ”雰囲気” の元になるものは多分にジャイルス・ピータソンの好みだったりするのではないかと私は思い始めています。だからこういう ”雰囲気” が好きな人には堪らないものがあるのは認めるとして、じゃあその ”雰囲気” を取ったら何が残るのか?という疑問が湧いてきます。私にとってはかなり重要なジャズマンのオリジナリティとかが残るかというと、どうもそうではないのです。そこですよね。クラブジャズは認めますが、空虚な気がするんです。

まあ今の世の中、大切なのは ”空気” であり、その ”空気” を読めるか読めないかで人の優劣が決まるような状況ではありますから、正に ”今時” であるクラブジャズがそれを象徴するようなものであるというのも分かるような気がします。あっ、そうそう、DJが重視するのって、基本的にフロアーの ”空気” ですもんね。でもそれって昭和な私が思う ”ジャズ” ではないんですよね。

と、ダラダラ戯言を書いてしまいました。m(_ _)m  このアルバムのサウンドはジャケットが物語っています。少しダークで憂いがありウェットな感じとでもいいましょうか。行ったことはないのですが、何となくイギリスの風土っぽかったりするのではないかと思います。そしてB級感も。クラブジャズが求めるある種の ”雰囲気” は十分に持っています。このサウンドは私も嫌いではありません。でもそれだけ。

リズムは8ビート主体で、特にドラマーは今時のテクノ・ヒップホップを消化したドラミングをしています。このドラマーはフライング・ロータスと共演していたりして、アメリカのヒップホップシーンからも注目されるドラマーなんだとか。なるほどね。アルバム最初の《アルバート・バルサム》はエイフェックス・ツインの有名曲をカバーしているそうです。私はエイフェックス・ツインは聴いたことがないので初聴き。他にもカバー曲やメンバー・オリジナルが並んで雰囲気は統一されています。最後の曲はシューマンの《トロイメライ》。う~む、これじゃあイージー・リスニングの域を出ていないような・・・トホホ。

”雰囲気”を聴くアルバムです。悪くはないです。

アルバム名:『the embrance』
メンバー:
Robert Mitchell(p)
Tom Mason(b)
Richard Spaven(ds)

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この記事へのアクセスが多い。

ここのところずーっと

”モリーナ・バッカリン” 検索で、私のブログに来る人が多いです。

モリーナ・バッカリンは、

最近ではアメリカTVドラマ「V(ビジター)」のアナ役として知られていますよね。

その「V」はセカンドシーズンで打ち切りになったらしいですが、

私は「V」を見ていないなのでどうでもよいことでしょう(笑)。

”モリーナ・バッカリン” 検索で来るの人が多い理由はというと、

Google画像検索で2番目に私のブログの写真があるからです。

検索エンジンの上位にランクされるとやっぱり凄いですよね。

私のブログ、ココログの”音楽”ジャンルではそこそこ上にいるのですが、

実は ”モリーナ・バッカリン” のおかげだったりして(笑)。

まっ、理由はどうあれたくさんの方に来ていただけるのは嬉しいです。

モリーナ・バッカリン、美人ですよ~。凛々しい。そこがイイ。

写真を見たい方はコチラ⇒「モリーナ・バッカリンがお気に入り。」

この記事の中にはキーラ・コルピも好きって書いてあります。

で、今回はサービスしてキーラ・コルピの写真をのせちゃいましょう。

次は ”キーラ・コルピ” 検索でアクセス数UPを狙う(笑)!

P123

美人でしょ!フィンランドのフィギュア・スケーターです。

今年のNHK杯にも出ていました。

フィンランド語では、

Kiira Linda Katriina Korpi (キーラ・リンダ・カトリーナ・コルピ)

”リンダ”に”カトリーナ”、山本リンダにハリケーン・カトリーナ?

まっ、それはどうでもよいとして(笑)。

キーラ・コルピに期待!

<追加>

最近一番のお気に入りは何と言っても、

「ニュースウォッチ9」のキャスター井上あさひさんです。

P124

クール・ビューティー!

美人ですが、それより好きなところは、意外と天然なところです。

大越キャスターに話をふられてボケをかますところが最高なのです(笑)。

いいな~。井上あさひさん(笑)。

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スガダイローさんのパワーみなぎる1枚!

今日は新譜紹介です。これにはすっかりやられてしまった私。

P122 『スガダイローの肖像 弐』(2011年rec. ポニーキャニオン)です。メンバーは、スガダイロー(ピアノ)、東俣光(ベース)、服部マサツグ(ドラム)、tony chanty(ヴォーカル)、石井千鶴(鼓)です。スガさんってポニーキャニオンに移籍してたんですね。メジャー移籍おめでとうございます。嬉しい。

これは最初に聴いた時ビックリしました。勢いとパワーに溢れているからです。「今勢いがある人って、こういうことなんだろうな。」と思いました。ピアノが発する音に自信とパワーがみなぎっています。痛快としか言いようがありません。落ち込んだ時にこれを聴いてパワーをもらって下さいませ。フリージャズ・ピアニストと言われると世間では難解というイメージになるのでしょうが、ところがどっこい!これは分かりやすいです。楽しいです!

で、まずはCDケース/ジャケットの話です。これ、最初に手に取った時、「なんだこれ、上下逆さまにスリーブが入ってるじゃん。」と思いました。でも裏返すと裏も上下逆。はは~ん、なるほどね。右開き! めちゃくちゃ違和感あり(笑)。蓋が開けづらいのです。人間の慣れって恐ろしいですね。左開きに慣れているから右開きは上手く開けられません(涙)。縦書き和書と同じ右開き。”和”に拘るスガさんならではの配慮(笑)?

CD裏面がEPレコードを模している遊び心にも感心してしまいます。2,500円という値段も、我々世代には懐かし過ぎる30年くらい前のLPレコードの値段ですよね。今時3,000円が当り前のご時世に ”2,500円” を持ってくるその心意気と拘り。嬉しいじゃありませんか!どこまで ”違いがわかる男” なんでしょ。スガさん恐るべし。

1曲目《乱 Ral Rides Again》。ピアノ・ソロだと思ったら、途中から背後の影が徐々にずれてもう一人影武者が出てくるような感じの多重録音による演奏でした。不穏度を増すシンセもいい具合。面白い。ピアノが凄く鳴っているのがわかります。力強いけれどしなやかなで潤いある感じは甲府「桜座」で観たそのまんまという感じですね。良い録音だと思います。スガさんからはダラー・ブランド的アフリカの大地の匂いを感じるから不思議です。

2曲目《蒸気機関の発明 Voyage》の最初の部分もアフリカの匂いがあり、途中からは日本的な感じになります。”アフリカ”と”和”とが融合をみせているのが何とも不思議なのです。モンク的なものも入っていますね。今回はスガさんの”和”的美意識に支えられたメロディーもさることながら、特にリズムへのアプローチに面白さを感じます。テーマのリズム処理はポリリズミックです。ベースの弓弾きの際の三者のポリリズミックな展開もいいし、途中からフリー状態へ突入するピアノ・ソロも痛快。ラストは弾けるドラム・ソロで終了。

ほとんど曲間なく《山下洋輔》へ。スガさんが尊敬するピアニスト山下さんの名前をタイトルにしちゃうのがユニーク。これ、テーマ部は複雑なリズムを持っています。サビ?がキャッチーなメロディーというのが面白いです。ピアノ・ソロは低音を徘徊する出だしから、フリーな展開も匂わせつつ、複雑なリズムを三位一体となってモザイクのように構築していく様は、このトリオの成熟ぶりを示しているように思います。だんだん盛り上がって混沌状態に突入するにも関わらず一体感は失われません。この塊感は最高。

4曲目スタンダードの《BLUE SKIES》はゆっくり演奏されるのですが、それゆえリズムへのポリリズミックなアプローチがはっきり分かります。特にドラムのブラシとの絡み具合は最高に面白いと思います。リズムだけでもかなり面白いのですが、そこに”和”的ブルースとでもいうような素敵なメロディーがからみ、その美しさはかなりのものだと思います。似ているとかではなく、パウエルやモンクを感じるんですよね~、この演奏。ジャズがここにあります。

5曲目岡田規絵(tony chanty)さんの《さやか雨 Pure Rain》は本人のヴォーカルが入ります。フォーク/ニュー・ミュージック曲。けだるい感じのヴォーカルと、とにかく美しいとしか言いようがないスガさんのピアノが絶妙に絡み、日本人の心にある郷愁感がじわじわと込み上げてきます。

6曲目《春風 Spring Rain》は美しいのですがちょっとメカニカルな感じを受けます。タイトル”春風”とのギャップを感じますね。春風の新しいイメージ。これもリズムへのアプローチが面白いです。メカニカルな感じを強調するたどたどしいリズム。メロディーとリズムの両面から攻め、スガダイローの世界としか言いようがないものを構築しています。

7曲目《無宿鉄蔵毒団子で死なず Poison No Effect》。なんちゅうタイトルじゃ(笑)。これもテーマはメカニカルですよね。で、やっぱりリズムが面白いです。テーマが終わると変拍子ファンク・リズムに突入。ピアノ・ソロが盛り上がってくるに従いリズムも複雑化していきます。こういうリズム・アプローチは私の好きなニューヨーク・ダウンタウンに繋がっています。カッコイイです。

8曲目《寿限無》は山下洋輔さんの十八番曲ですが、それのスガダイロー・バージョン。1フレーズだけ山下洋輔版から借りてきているそうです。この演奏の良さは《寿限無》をchantyさんが歌ってくれているところです。なるほどこういうふうにメロディーとリズムがつけられているのかというのが良く分かります。鼓(つづみ)が加わって”和”の情緒を盛り上げてくれているのも素敵。山下版《寿限無》は、私にはいまいちよく分らなかったのですが、こういう風にプレゼンされてその良さを実感しました。

9曲目《戦国 The Emperor》は《フリーダム・ジャズ・ダンス》に似たテーマです。4ビートを基調にした揺らぐリズムの中でガッツとスリル溢れる演奏が繰り広げられます。正に”戦国”!

10曲目《時計遊戯 Game Watch》。これは「桜座」でも聴いたし、スガさんのホームグラウンド「荻窪ベルベットサン」のUstream中継で何度か観ました。複雑なリズムですよね。この複雑なリズムが”時計遊戯”なのでしょう。変拍子の上で低音を徘徊するピアノ・ソロは迫力満点。スガさんの場合はフリーになって”ガシガシ”弾いても、その”ガシガシ”が目的ではなく、全体の美学の中でのコントラストとして作用しているところが良いです。

11曲目《最後のニュース》。故筑紫哲也さんがキャスターだった頃の「ニュース23」のエンディング曲にもなりました。井上陽水さんの曲。歌はchantyさん。東日本大震災と原発事故を経た今この時期にこの歌を持ってくるメッセージ性に共感できます。この歌の醸し出す雰囲気をストレートに訴える演奏。

ラストは《オール・ザ・シングス・ユー・アー》。ピアノ・ソロです。スロー・テンポでメロディーを慈しみながら弾いていきます。派手に”ガンガン”弾くだけではなく、メロディー・メイカーとしてのスガさんの真骨頂がここにあらわれていると思います。美しくも力強い。スガさんはその言動に反し、実は意外と女性的しなやかさを持っているんですよね。

全12曲、とにかく楽しく聴けます。
私が聴いたアルバムの中ではこれが一番イイ。
諸君、スガダイローを聴け!

12月18日(日)、甲府「桜座」酒井俊さんとスガダイローさんのデュオが来ます。
観に行かなきゃね。

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渋~い味わいを放つギター・トリオ

ディスクユニオンの「秋に聴くギター」とか何とかいう特集で買った1枚。ギターリストのアルバムが何枚か紹介されていた中で、最後に取り上げられていたアルバムです。

P121 パブロ・ボブロウィッキ『サザン・ブルー』(2009年rec. RED)です。メンバーは、パブロ・ボブロウィッキ(g)、ベン・ストリート(b)、ペピ・タヴェイラ(ds)です。ポブロウィッキはアルゼンチンのギタリストらしいです。ドラマーもアルゼンチンの方なのでしょうか?ベン・ストリートはNYで活躍するベーシストなので皆さんご存じでしょう。ポブロウィッキの要望で共演がかなったとか。

ディスクユニオンの紹介文では、ギターの音が間接音とピックアップの音を混ぜたもので、1mくらい前で弾いている感じがすると書かれていました。ジョン・スコフィールドのような癖のあるフレーズで、どこまでも単音で勝負するようなギタリストだというようなことも書かれていました。聴くほどに味わいが増す1枚なんだとか。試聴してみると確かにそんな感じだったので気に入って購入。

聴いてみれば上記の紹介文どおりでした。独特のフレージングでじわじわと染み込んで来るギターを弾いています。適度に残響音を混ぜた録音はギターだけでなく、ドラムもいい感じに響かせてくれていますね。スタンダードと南米の曲を集めて収録。

2曲の自作曲の他、スタンダードはパーカーの《バルバドス》、エリントンの《コットン・テイル》《Cジャム・ブルース》、モンクの《リズマニング》、ピアソンの《アイドル・モーメンツ》などを演奏。冒頭の自作曲《SOS BOS ?》を聴いて、これは《オール・ザ・シングス・ユー・アー》のコード進行を元にしているだろうと思ったらやっぱりそうでした。

独特のフレージングですけれどジョンスコほど癖はなく、アルゼンチン人故なのか?哀愁漂うところが正に ”秋に聴くギター” といった風情です。ストリートのベースもギターを邪魔することなく寄り添って味わいを増しています。ドラムは適度に元気が良いので、暗めのギターを程よく盛り立てて、絶妙な湯加減にしてくれています。

アップテンポで演奏される《リズマニング》はモンクの独特な世界とグッド・マッチ。それに続く《アイドル・モーメンツ》はかなりのスロー・テンポ。一音一音を噛みしめるように弾いていくと何とも言えない哀愁が立ち込めます。テクニックもあるのですがそれに流されず、メロディーを大切にして自分の世界をプレゼンする素敵なギタリストです。

ストリートのベース・ソロ、タヴェイラのドラム・ソロも何曲かに入っていて、曲が単調にならないようにしているとともに、アルバムの味わいに深みを加えることに貢献しています。

秋だけでなく何度も聴きたくなるような味わいを持つアルバム。

アルバム名:『SOUTHERN BLUE』
メンバー:
Pablo Bobrowicky(g)
Ben Street(b)
Pepi Taveira(ds)

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アメリカ音楽が好きな人に。

今日は新譜紹介です。これはそれほど売れるとは思えませんね。私は気に入っています。読んで興味が湧いた方は聴いて下さいまっせ。

P120 スティーヴン・バーンスタインズ・ミレニアル・テリトリー・オーケストラ『MTO・プレイズ・スライ』(2011年、Royal Potato Family)です。メンバーは、MTO:スティーヴン・バーンスタイン(tp,slide-tp)、カーティス・フォークス(tb)、チャーリー・バーマン(vl)、ダグ・ワイスルマン(cl,ts)、ピーター・アフェルバウム(ts,ss)、エリック・ローレンス(bs,ss)、マット・ムイステリ(g,banjo)、ベン・アリソン(ac-b)、ベン・ペロウスキー(ds)、スペシャル・ゲスト:ベニー・ウォレル(org)、ヴァーノン・リード(g)、ビル・ラズウェル(el-b)、サンドラ・セントヴィクター(vo)、アンソニー・ヘガティ(vo)、マーサ・ワインライト(vo)、ディーン・ボウマン(vo)、シルパ・レイ(vo)です。

MTOにゲストが加わりスライ&ザ・ファミリー・ストーンの曲を演奏するという企画。MTOはトランペッターのスティーヴン・バーンスタインがリーダーの、9人編成ブラス重視のバンドといった感じのもの。今回はスライを取り上げていますが、コンセプトはアメリカの良き音楽を今時の自分達の解釈で再演していこうというものではないかと思います。バーンスタインがジャズマンなのでディスクユニオンではジャズ扱いですが、ジャズというよりはアメリカン・ポップスといったほうが良いかもしれません。

少し前にブログで紹介した「ジャズ批評」誌の特集 ”トランペット最前線2005” で私はバーンスタインを知り、気に入ったのでフォローしています。スライもマイルスに影響を与えた人として私には気になる存在。バーンスタイン&スライの組み合わせならということで、今回は購入することにしました。

スライの《スタンド》で幕を開け、スライの9曲、バーンスタインの2曲、ウォレルのイントロ1曲、それらに、なぜか《ケ・セラ・セラ》の全13曲、違和感なく並んでいます。

スライについては聴きこんでいないので詳しくはないのですが、スライの持っている醒めた感触が ”ケ・セラ・セラ”(なるようになる) という意味に通じているのかな?ここに入っている意味は察することができます。この曲の演奏自体は、ゴスペル風でもありゆったりしたテンポで ”なるようになる” と力強く前向きに歌っているので、”前向きに生きようよ。” と励まされる感じです。テナー・ソロはジャジーでブルージーなグッド・テイスト。

バーンスタイン作曲の《スライ・ノーションズ》(スライの概念?)はインスト曲。タイトルらしいスライの雰囲気を持つ曲なのですが、クラリネットとバンジョウが主役を務めているので、ファンクというよりスイングや南部の雰囲気が濃厚です。オルガンがファンキーさを出していたりもしますが、これはもうアメリカ音楽としか言いようがないですね。

ほとんどの曲でボーカルをフィーチャ。歌もきちんと聴かせています。バーンスタイン作の《スライ・ノーションズ2》はスライの詩にバーンスタインが曲を付けているところが面白いです。バーンスタインはスライがかなり好きなのでしょう。2曲でフィーチャされるバーノン・リードのジミ・ヘンドリクスばりギターも聴きどころ。

ここにもいましたビル・ラズウェル!この人、色んなところに顔を出していてほんとに正体不明(笑)。《サンク・ユー・フォア・トーキン・トゥ・ミー・アフリカ》でラズウェルがフィーチャされています。他にも1曲リズム・マシーンを使っているのですが、ここでもリズム・マシーンを使って、ヘヴィー・ファンクと化した演奏を披露。ラズウェルもエレベを弾いてます。”ビル・ラズウェル・ミックス・トランスレーション” と書かれていますが、正にその雰囲気。このテイストも悪くはないです。

それに続くラスト曲《ライフ》はディキシーランド・ジャズになっています。面白いですね。今回のテーマーはスライなんですけれども、やっているのはファンクであり、カントリーであり、ジャズであり、東部であり、西部であり、南部であり、これはもう豊かなアメリカ音楽の上に成り立っているのです。

アメリカ音楽が好きな方は是非!

アルバム名:『MTO PLAYS SLY』
メンバー:
Steven Bernstein's Millennial Territory Orchestra
With Special Guests
Antony Hegarty, Bernie Worrell, Bill Laswell, Dean Bowman,
Martha Wainwright, Sandra St. Victor, Shilpa Ray and Vernon Reid

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ブログデザインを変更しました。

いつものことですが、

突然ブログデザインを変更しました。

同じデザインだと飽きてきちゃうんで、

もう思いつきだけで、

何の予兆も脈絡もなく、

変更!

今度のはシックな感じにしました。

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私の胸キュンメロディー!(笑)

難しいことを書くのが面倒なので、”私の胸キュンメロディー!”(笑)

飯島真理の《1グラムの幸福》。

これを聴いているとヘビー・ローテしたくなる(笑)。
このせつないメロディーは飯島真理が作曲。
こういう女心がどうして分かるんでしょ? 作詞は松本隆。
それを上手くプレゼンする清水信之のアレンジ。ワンダフル!
80年代のベタなシンセ使いが好き。
”キラキラ”してる少女マンガの目の輝きみたい(笑)。

セルフカバーしたこのバージョン。
悪くないけど何かこないんだよな~。

少し落としたテンポ&大人の飯島真理では雰囲気が出ないな~。

私が好きなアレンジャー清水信之。
彼のアレンジは結婚した(今は離婚)平松愛理との仕事が最高。
《虹がきらい》。

この人の詩は重いんだよな~。女の情が過多。
アルバムをたくさん持っていますが、怖い歌詞がある(笑)。

そして私の好きな曲がUPされていたので、いってみよう!
野田幹子の《駆けてみよう》。

ドライブのB.G.M.にも最適。
海辺を走りたくなるでしょ。
この曲が入っている『CUTE』については以前ブログにUP済み。

このアルバムからもう1曲。
こちらも好き。歌詞もお気に入り。
《オートバイと風とあなたと》。

歌詞のオチがせつなかったりして。
同じ人がUPしてた。
世の中いるんだね。同じ好みの人(笑)。

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「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」出版記念イヴェントへ行ってきました。

昨日は ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた中山康樹さん著「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」の出版記念イヴェントへ行ってきました。天気が良くて”ポカポカ”でした。私は例によってディスクユニオンでいらないCDを15枚ほど処分。最近は買取金額がしょぼいです。昨今の情勢からいったらしかたないでしょう。

その後、時間調整のため本屋で「JaZZ JAPAN」を立ち読み。真ん中へんのコラムが最終回になっていました。次回からこの穴はどうやって埋めるんでしょうね?まっ、どうでもいんですが(笑)。ジャズ喫茶で聴くジャズみたいな記事で、「いーぐる」&後藤さんが紹介されていました。テテ・モントリューの『ピアノ・フォー・ヌリア』のレコードが紹介されていました。う~ん、聴きたくなりました。持っていないのでAmazonで注文しちゃおっかな。

P118 いつものことですが、中山さんの時って人気があるのでたくさんのお客さんが来ていました。内容からヒップホップ側の人も多かったです。原雅明さんがゲストですしね。イヴェントの内容は題記のとおり。マイルスの『サークル・イン・ザ・ランウド』がかかっていました。やっぱりマイルスはイイ。

最初に後藤さんからこれまでの経緯説明がありました。こういうところで手抜きしないのが後藤さんの配慮だと思います。初めて来た人のことをちゃんと考えているんです。今回は中山康樹さん、ゲストの原雅明さんに加え、柳樂光隆(なぎらみつたか)さんが司会進行します。

最初は原さんにこの本を読んでの感想を聞きました。原さんは「JaZZ JAPAN」のジャズ・ヒップホップ対談から本ができるまで速かったので驚いたとのことでした。いきなり振られた原さんは「最初はこんなところにしておいて、進行しながら話します。」なんて言っていました(笑)。

原さんから、「ジャズとヒップホップの関係は前から言われていたけれど、今なぜこの時期にこういう本が出てきたのか気になる。最近雑誌「レコードコレクターズ」でマイルス晩年の『デコイ』や『ツツ』のアルバム評を書いたけれど、昔はすげーダサいと思ったものが今聴くと良いものもあって、ライブで見たサンダー・キャット(ワープというテクノのレーベルからアルバムを出しているスラッシュメタルバンド出身のベーシスト)がフォリー(晩年のマイルス・グループのリード・ベーシスト)のリード・ベースに近いことをやっていて、ダサカッコ良さがいい。」なんて話もありました。中山さんはそういう80年代の音の再評価が最近あることは知らなかったけれど、こういう偶然だけれど必然的なこともあるのではないかとのことでした。

中山さんは初っ端、今回の本は”ド、ジャズ本”であると。最初は「ビバップ、ドゥーバップ、ヒップホップ」というタイトルにしようと思ったけれど、書き終わって違う感触になったので、ビバップをジャズに、ドゥーバップをマイルスに置き換えたそうです。で、ネットでの書評を見ると原田正典さん以外は誤読されているとのことでした。こういう本なので誤読されるのは仕方がないが、マイルスの本ではないし、ヒップホップの本でもない、それはこの本を読んだだけでは、マイルスもヒップホップも分からない、ジャズのことしか分からないからだと。なるほど。

マイルスがヒップホップを利用して新しいことをやろうとしていた。それでヒップホップを持ってきたら、ヒップホップという言葉に食いつきが良すぎたけれど、本当はガレスピー、ミンガス、ローチへの賛歌であるとのことでした。違うところからジャズの全景を見て、そういう人たちに光を当てるということが主旨のようです。

私は誤読していましたね。だって帯に”黒人音楽の再検証!”って書いてあるんだもん。主眼点はジャズ~ヒップホップの歴史を「黒人性」と「批評性」で見渡すことにあるのだろうと思っていました。私にはそれがとても窮屈に思え、居心地が悪かったのです。私はジャズにおいてもヒップホップにおいても、もっと風通しの良い見晴らしの良い全景をみたいからです。まっ、そこが目的ではないなら、中山さんの目的は達成できていると思いますし、他に私が言うことはないということを自覚しました。

読者の質問は、「ミンガスの『ジャズ&ポエトリー』が入手できず、《シーンズ・イン・ザ・シティ》が聴けない。」ということが多かったそうなので、まずそれをかけることに。1957年の録音です。ジャズサイドから見たヒップホップへの早すぎた回答。回転数を変えればそのままラップになるそう。前半のほうにストリートでのやりとりがあって、確かにそういうものでした。ヒップホップの視線でジャズを見直したという点で、ギャング・スターの《ジャズ・シング》とこれをストリートミュージックに結びつけています。ラップかどうとかということより、ミンガスの太くて逞しいベースは文句なくカッコイイ。「いーぐる」のオーディオで大音量で聴くとこれが堪らんのですよ!ジャズ最高(笑)!

原さんは、中山さんがヒップホップとラップを分けているところが重要で、バッサリ切っているところが潔いと思ったそう。中山さんはヒップホップとラップを一緒にするのは、ジャズとジャズ・ボーカルを一緒にするようなものなので分けたほうが良いとのことでした。私は分けるべきでない派(笑)。中山さんによれば、シュガーヒル・ギャングは単なるポップスだそうです。原さんによれば、ヒップホップがラップとダンスとグラフィティと一緒に語られる教条主義的なところがあると思うとのことでした。

ラスト・ポエッツの1969年くらいの曲をかけます。確かに上記の《シーンズ・イン・ザ・シティ》に一部似ています。パーカッション+ポエトリー・リーディングというもの。これはパーカッションもさることながら、ボーカルの魅力でしょう。ミンガスの曲のボーカルは雰囲気づくりですが、こちらのボーカルは主役。ボーカルが発するパワーにこそ意味があるのです。

P119

デヴィッド・アクセルロッドの話へ。「ジャズ・ヒップホップ学習会」の第5回に取り上げたけれど中途半端になってしまい、50ページくらいになりそうだったから本にも書けなかったということでの補足です。アクセルロッドはプロデューサー。LAのサウス・セントラルで生まれ、黒人感覚で育った白人だそうです。この人がプロデュースしたアルバムがハロルド・ランドの『フォックス』(コンテンポラリー・レーベル)。ということで1曲かけました。ジャズファンはもうこういうのは数多聴いてますからね。アップテンポの単なるハードバップです。

中山さんがこれをかけた意図は、ウエストコーストでありながら、ウエストコースト・ジャズのアンサンブル重視の白人的ジャズ観を壊す黒人的テイストを持った人がいるということです。で、その黒人テイストが評価されてサンプリング・ネタとしてロンドンで再評価され、2008年にコンサートを開いた時のライブ演奏は。「ジャズ・ヒップホップ学習会」の第5回でかけました。デヴィッド・アクセルロッドを持ってくることで、ジャズの敷居を乗り越えるという狙いです。

キャピトル・レーベル移籍時に指名権を得たキャノンボール・アダレイが指名したのがこのアクセルロッド。キャノンボールのアルバムにはこの人と組んだ変なものがあるそうです。そんな中から『イクスペリエンスE』という野心作の《テンシティ》をかけます。マイルスの『イン・ア・サイレント・ウェイ』の1年後。当時、ジョー・ザビヌルは東海岸でマイルスとやって、西海岸ではキャノンボールとやっていたんだそうです。ロサンゼルスの栄華も含め、ロサンゼルスのトップが集まった演奏だとか。

マイルス的ロックリズムとバックにオーケストラが入ります。中盤のトランペットソロとかを聴くとマイルス崩れのかな?とも思いました。ザビヌルの気の抜けた演奏ぶりは、やっぱりマイルスから離れるとこうなっちゃうのねっていう感じ。良いのはキャノンボールのアルト・ソロです。これは素晴らしい。ヒップホップ・ファンにキャノンボールの叫びを聴きとってもらえるのか?ちょっと不安。アクセルロッドではなくキャノンボールを聴け!ってことで、よろしく哀愁(笑)!

ここで柳樂選曲。その前にトーク。柳樂さんが働いているお店(クラブなんでしょうかね?)でストラタイースト・レーベルやブラック・ジャズ・レーベルをかけると、こっちばかりかかって飽きてしまうなんて話がありました。このあたりはスピリチュアル・ジャズというくくり。最近スピリチュアル・ジャズ関係の話でコルトレーンも一緒に入れてというのがあったけれど、コルトレーンじゃなくてファラオ・サンダースの人気。ヒップホップ的掘る楽しみがファラオとかだそうです。

で、中山さんによればヒップホップ・サイドではミンガスが忘れられていて、ローチ、オーネット、ガレスピーなどもサンプリングされていない。こういう人達を若者にアピールするためにヒップホップを使うとのことでした。同様な考え方で、原さんはオーネットをクラブ系、ヒップホップ系のファンへ知らせたいというのがあるそうです。

柳樂さんは色々悩んだみたいですが、ガレスピーが晩年やっているディスコもの。私に言わせれば80年代フュージョンですな。こういうB/C級感はクラブジャズ的好みのテイストだと私は思います。原さんはガレスピーはパーカッションから入っていったそうです。ポリリズムですよね。アフロキューバンリズム。中山さんもその視点で本に書いています。

プロデューサーの話へ。ジャズにはなぜプロデューサーがいないのかという話。原さんからはサンプリングとかならいいけれど、ジャズマンを使うと難しくなるという話もありました。私は単純にジャズがセルフプロデュースの音楽だからだと思います。セルフプロデュースの上にプロデューサーがくるわけなんで、色々やっかいになるのは当然のことと思います。それに対してヒップホップはプロデューサーが重要。

原さんからは最近カナダのジャズ・グループ(オルガン、ベース、ドラム)がJディラの曲をずっとやっていたりして、ジャズマンの考え方も変わってきているのかもしれないという話、中山さんからはマイルスの『ドゥー・バップ』は、形式はヒップホップだけれど内容はド・ジャズなんていう話がありました。ここでトランペッター日野皓正さんのエピソードがあって、あまりにステレオタイプのジャズマンなんで笑ってしまいましたよ。

原さんの選曲でカニエ・ウェスト。原さんは『ジャズ・ヒップホップ・マイルス』がマッドリブで終わっているのは「何で?」と思ったそうです。原さんならカニエ・ウェストで終わると収まりが良いとのことでした。(マイルスがヒップホップをやったらこういうゴージャスなものになっただろうとの意図のようです。)かけた曲はギル・スコット・ヘロンのファーストをそのままほぼ使っているとのことでした。しょっちゅう聴かないけれどカニエが今やっていること。最後はヘロンが歌っているが、その前は別のボーカリストが歌っているそうです。プログレからサンプリングしています。ラップも重要と考えている原さんらしい選曲だと思いました。声/歌の魅力に強力なリズムがサポート。カッコイイ!スピーカーから音塊炸裂!

カニエやジェイZはヒップホップの最先端で、白人の音楽を平気でサンプリングしています。ブラックカルチャーと距離をおいて、メインストリームになっているそう。派手なアルバム・ジャケットはマイルスへ繋がる高級感を出しています。一般のユースカルチャーやサブカルチャーにうったえているそうです。柳樂さんからは今回ジャズ繋がりでヒップホップを選曲しようとしたら、黒人がほとんど出てこなかったという話もありました。

中山さんからこの本は「ジャズの歴史の再読本」という発言があり、最後の曲へ。意味はないけれどということで、「ジャズ・ヒップホップ学習会」の最初にかけたアルバムから2曲。2曲をつなぐと面白いという曲で、中山さんが割と好きなもの。トラックメイカーとしてのマッドリブの仕事を評価したいとのことでした。相変わらずのマッドリブらしい感じの曲だと思いました。私はこの2曲にそれ程惹かれるものは感じられませんでした。いつも出るのですが、「マッドリブは色々あるのでこれだけで評価しないでほしい。」という意見。これって、中山さんの選曲が良くないってことなの(笑)?

柳樂さんはジャズ・ファンにマッドリブを薦めたい中山さんの気持ちは分かるとのことでした。中山さんからは「ヒップホップではないジャズ観によってジャズから離れる。そういう問題提起をするところが聴きどころ。」と説明がありました。

抜けているところや誤読はあるかもしれませんが、出た話はだいたい書いたつもりです。私のまとめの感想は書きませんが、ところどころに織り交ぜられている私の意見から察していただければと思います。

質問コーナーでは、ヒップホップ・ファンの方から「ロバート・グラスパー(最近来日してライブがあったようです?)のサウンドのどこにヒップホップの要素があるのか?」との質問があり、原さんからはドラマーのリズム感などにそれがあると回答がありました。また、別のヒップホップ・ファンからは「コモン、Q・ティップ、ジャズとのつながりではトライブ・コールド・クエストなど、インテリ系でストリート性を見いだせるのか?」との質問があり、原さんは「ゲットーのことを言ったりすると、ゲットーを批評する点でメタ視線が入るので、メジャーとアングラの乖離がある。」というようなことを回答していました。

「音楽夜噺」主宰の関口義人さんからは、「この本は、読者をはぐらかすフックのようなものが仕組まれ、モザイクのように構成されつつ、それでいて通して読むと納得させられてしまうが、それは意図的なのか中山さんの性格に由来するものなのか、いづれにせよ中山さんのストーリーテラーぶりが素晴らしい。」というようなご意見がありました。私もそのご意見には全く同感です。

最後に後藤さんからは「マッドリブよりカニエ・ウェストがいい。」なんてストレートなご意見も(笑)。

色々な意味で面白いイヴェントでした。その後の打ち上げも、ヒップホップ/ワールドミュージック/ジャズ混在で、色々な意見が出てとても面白いものでした。

ということで一気に書きました。長文にお付き合いいただき感謝。m(_ _)m

<追記>
・ソングリストは ジャズ喫茶「いーぐる」 のblogをご覧下さい。
・中山さんはこの本は2度以上読んでほしいと強調していました。

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今日もヒップホップです。m(_ _)m

今日もヒップホップのネタです。
ジャズファンの皆様ごめんなさい。m(_ _)m

「文化系のためのヒップホップ入門」の第5部「ヒップホップ、南へ」の中で紹介されている人を取り上げてみたいと思います。

ますはこれを聴いてみて下さい。ティンバランド
この人のサウウドはなかなかセンスがイイと思うのです。

何がどうとか解説はできないのですが、新しさを感じます。
この人は「ラップにはもう飽きた。ロックに興味がある」と公言しているそうです。
で、このアルバム後半はロック・バンドとの共演が続くそうです。
これはフォール・アウト・ボーイと共演したもの。

これも面白いサウンドだと思います。
こういう人たちがヒットを飛ばしているという事実も知っておく必要があるでしょう。

次に、ティンバランドとライターのミッシー・エリオットが組んだこれが面白いと、
本文中で解説されています。《Get Ur Freak On》。

面白いリズムですよね。このリズムが「セカンド・ライン」に近いとのことです。
セカンド・ラインはカリブ海とつながったリズム。
クラーベのパターンで手拍子を打ったほうが絶対合うと書かれています。
”ターン ターン タン ン タンタン ン”というパターン。
確かにそうです。
これがプロフェッサー・ロングヘアのリズムに近いとも書かれています。
この曲が引き合いに出されています。

ジェームズ・ブラウンよりこっちに近いだろうということです。
リズムが先祖返りしているのが最近の傾向だとか。
面白いですよね。

私、これを聴いていて”ポンッ”と膝を打ちました。
このリズム聴いたことがありますよね。皆さん。
そうなんですよ。マイルスの《Rated X》です。
クラーベのリズムで手拍子してみて下さい。合いますよね。これ。

参りました。こんなところでマイルスにつながっちゃっいました。
それもよりによって《Rated X》ですよ!
やっぱり、マイルスってヒップホップに縁があるんですね。

本の中にこんな文があります。
”ヒップホップってニューヨークが生んだ数少ない黒人音楽だったのに、結局南部へ戻っちゃったのかもしれませんね。”
上記の例だけでなくいくつかの例をもとに話がされています。
ヒップホップの動向ってなかなか面白いのです。

さて、もう一度ミッシー・エリオットに戻ります。
この人メジャーレーベルのアトランティックから出しています。
上記の《Get Ur Freak On》の他にもたくさんUPされています。

アトランティックにはこんなものもあります。
この人は全然知らないのですが。

何を言いたいかっていうと、
アメリカで売れているブラックミュージック≒ヒップホップなのかも?
っていう感触です。上記3曲で言うのは乱暴とは思いますが。
こうなると”批評性”では、ヒップホップの全体像は見えないでしょうね。
なんて言っちゃったりして(笑)。

来年1月28日(土) 15:30~
ジャズ喫茶「いーぐる」にて
「ヒップホップ講座」があります。
ゲストは『文科系のためのヒップホップ入門』の著者
長谷川町蔵さんと大和田俊之さん
ヒップホップについて音源を聴きながら熱く語るそうです。

面白そうなので参加したいと思っています。

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ギャングスタ・ラップってどんな音?

さて、昨日せっかく「文化系のためのヒップホップ入門」について感想を書いたので、その中にあった”ギャングスタ・ラップという「踏み絵」”をYouTubeから貼り付けてみましょうか。さて、どんなサウンドなのでしょう?

まずは”DJ Quick”
私はこのあたりには素人なので、全く適当な選択で貼り付けます。

歌詞の意味がわからないので、この聴きやすさは快適です。
確かにアート性はないですね。
何の知識もなくこれを聴かされたら心地よいポップミュージックと受け取ります。
”爽やかなドライブ・ミュージック”だそうです。

次は”2Pac”
映像がジャケットになっているというだけで選択。

ボコーダーがなかなかイケてるんじゃないでしょうか。
こればかり聴く気にはなれませんが、これはこれで楽しいです。
”サグ・ライフを高らかにラップ”だそうです。

次は”Dr.Dre”
これも映像がジャケットなので選択。

これは怪しい危なさが”プンプン”。
これぞLAギャングの雰囲気。
結構カッコイイと思う私。好きかも?
最後に銃で撃たれて死んじゃう(笑)?
究極の音響系=ドクター・ドレー
”黒人音楽と呼ばれるジャンルのひとつの究極”だそうです。

ラストは”Eminem”
エミネムの名前は知っています。
これも適当に選択。

これは一聴してわかる売れ線の匂い。
こういうのがヒットするんですよね。
まあ、ジャズファンとかはこういうシャリコマ路線は嫌いますよね(笑)。
”ヒップホップ界のエルヴィス”だそうです。

以上は全て「文化系のためのヒップホップ入門」に紹介されているアルバム。
特に理由もなく4枚抜いてみました。

体育会系ヒップホップ!
前記事でこういうのは聴かない気がすると書いたけれど、
これはこれで面白いような気がします。
3枚目のドクター・ドレー、かなりカッコイイ!ブラックミュージックだぜ(笑)。

皆さんはいかがでしたか?

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これはとても面白い本です!

「分化系のためのヒップホップ入門」、読み終わりました。
非常に面白い本でした。
単にヒップホップ入門に止まらない濃い内容でした。

「文化系」ってあるので、てっきり「理科系」に対するものかと思っていました。私が「理科系」なので、「文化系」と書かれるとその反対側には「理科系」が無意識のうちに浮かんでしまうのです。

ヒップホップって「理科系」なの? なんて不思議に思って読んでいたら、「ヒップホップとロック」の章あたりでなるほどと理解。「文化系」とは「体育会系」に対する意味で使っているようです。本文の中に「体育会系」とは書いてありませんが、私はそういう意味で捉えれば良いと思いました。ヒップホップは「体育会系」。”ビーフ(対立・抗争)”があるんで「格闘技系」かな(笑)。なるほど!

それだけではなく、「文化系」というのは「文化」や「文学」が好きな文化系の人という意味も含んでいるように私は受け取りました。著者の一人である大和田さんが正にその人でしょう。

さて、文化系というのはロックリスナーという意味も含むようです。で、それはジャズリスナーでもあるのです。文化系が聴くロックの特徴というのが、ジャズの特徴にも当てはまる部分があるからです。なるほど、ジャズってブルースからヒップホップに連なる黒人「体育会系」でもあり、ロックと似たような特徴も持つ白人「文化系」でもあるんですね。これは”目から鱗が落ちる”状態です。

この本は、そんな「文化系」=「ロックリスナー(ジャズリスナー)」に、「体育会系」=「ヒップホップ」はどういう音楽でどこがどう面白いのかを懇切丁寧に教えてくれているのです。

ここでちょっと。
本文中に ”ファンクのジャンルではよくスライ&ザ・ファミリー・ストーンの『暴動』というアルバムで「ファンクが内省を獲得した」といわれるんですけれど、ヒップホップもどんどんその路線に拡大していくのかもしれませんね。” という一文があるのですが、スライって当時マイルスがかなり影響されているんですよね。”内省”って単語も凄く気になります。ニューヨークダウンタウンって内省的な響きがありますからね。まっ、ジャズには歌がないので、サウンドの印象ということになりますが。

ヒップホップの歴史が黒人文化の視点で丁寧に語られています。これがなるほどと思うことばかりでした。分かりやすい文章ですが、内容は滅茶苦茶濃密。私はジャズ喫茶「いーぐる」で何度か講演を聞いているので、成り立ちから80年代くらいまでは何とか分かり、これまでの知識を更に補完することができました。その後はまだ頭の中に入ってきません。知らない名前が続出ですからね。西海岸のギャングスタ・ラップあたりからは??

このギャングスタ・ラップというのが、「いーぐる」講演でも話題になっていた「最近のヒップホップにはあまり興味がなくなった。」につながっているらしいというのが何となく分かりました。その心は?文化系(ロックリスナー)がその価値観で体育会系(ヒップホップ)を受け入れられないところにあるように思います。

そんな文化系リスナーでも聴けるヒップホップもあるように思います。私の理解では、それは西海岸のアンダーグラウンドではないかと。中山康樹さんが取り上げているマッドリブなんかはそれですよね。この本では軽くしか触れられていません。ヒップホップにも色々あるのです。30年以上の歴史があるから当然なんでしょうけど。

ラップについても切り離して考えようなんてことは全然なくて、ラップはもう何の疑いもなくヒップホップと一体で話が進んでいます。大和田さんがアメリカ文学者なので、ラップの聞き方として”押韻”について解説しているくらいです。なるほどヒップホップも捉え方次第ではずいぶん違うものだと思いました。

話はヒップホップから未来の音楽にまで展開していくのですが、これがまた斬新にして最先端な視点から語られていて、頭が”クラクラ”しそうです(笑)。こんな音楽が近未来だとすると、私は最先端音楽についていけないだろうと思います。

こういう話がジャズ評論界から出てこないのは残念ですが、それはしょうがないような気がします。ヒップホップから比べると、ジャズはもう古い価値観によって成り立っている音楽なので、そこに留まっている限りは新しい発想も出て来ないだろうと思います。うん?そういえば「JaZZ JAPAN」誌が”初音ミク”について書いていましたね。「JaZZ JAPAN」侮りがたし(笑)。

さて、私が「ヒップホップ(体育会系)を聴くか?」と問われれば、聴かない気がします。私はロック(ジャズ)的価値観で今後も音楽を聴いていくだろうと思うからです。

この本はもちろん入門書としてもきちんとしていて、短い解説文付きでたくさんのアルバムを紹介しています。〆にこんなことが書かれています。”紹介している曲も、たいていのものがYouTubeでPVが見られますから。もちろん気にいったらCDなりダウンロードなりで音を購入してほしいですけど。 ゲットーの雇用が促進されるのでお願いします(笑)”

というわけで、
書きたいことはたくさんありますが、キリがないのでこのくらいにしておきます。
興味が湧いた方は是非この本を読むことをおススメします!

この本と中山さんの「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」を読み、私はあらためてジャズの何を聴いているのかを見つめ直す機会を得られた気がします。

今週末11月12日(土)には、ジャズ喫茶「いーぐる」で中山康樹さんの「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」出版記念イベントがあります。私も参加する予定。楽しみです!

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今日も思い出の曲

昨日はラジオの深夜放送から思い出の曲を紹介しましたが、今日も同様の曲を紹介します。今回もやっぱりニッポン放送の番組から。番組名は「ザ・パンチ・パンチ・パンチ」。この番組のスポンサーは平凡出版でした。番組前後に雑誌「平凡パンチ」のCMが入るのですが、そのCMのB.G.M.曲です。

「ザ・パンチ・パンチ・パンチ」にはパンチガールという女性パーソナリティがいて、私が聴いていた頃にデビュー前の松田聖子がいました。翌年、NHKの歌番組「レッツゴーヤング」にその松田聖子が登場し、歌手デビューしたので当時驚いたのを鮮明に覚えています。

P117 その曲はリー・リトナー&ジェントル・ソウツ『ジェントル・ソウツ』(1977年rec JVC)に入っています。メンバーは、リー・リトナー(g)、アーニー・ワッツ(reeds)、デイヴ・グルーシン(key)A面、パトリース・ラッシェン(key)B面、アンソニー・ジャクソン(b)、ハーヴィー・メイソン(ds)、スティーヴ・フォアマン(per)です。上記のB.G.M.曲は《キャプテン・カリブ》です。

ラジオを聴いていた当時はもちろん誰の曲かなんて知りませんでした。それから10年以上経ち、このレコードを買って気づいたのです。これも最初に聴いた時、”アレッ”と思い、徐々に記憶が蘇ってきました。当時はこの手のフュージョンがたくさんテレビやラジオのB.G.M.に使われていたので、特に珍しいことでもないでしょう。

ちなみに「ザ・パンチ・パンチ・パンチ」と「キャプテン・カリブ」で検索すると、キャッシュに ”アール・クルー「キャプテン・カリブ」” と書かれていて、当時のB..G.M.にたくさん使われていたアール・クルーとこの曲が誤ってリンクされているのかと思ったら・・・。これっ、アール・クルーの方が先に録音しているんですね!ラジオのB.G.M.はアール・クルーの曲のほうなのでしょう。

YouTubeにアール・クルーのバージョンがありましたので貼っておきます。

もともとデイヴ・グルーシンの曲なので、『ジェントル・ソウツ』でもそれをやったのでしょう。それはそれとして。

この『ジェントル・ソウツ』はダイレクト・カット・レコード(ディスク)だという話もしたかったのです。ダイレクト・カットというのは、演奏しているのをミキシングして直接ラッカー盤(レコードの大元)にカッティングしてしまうことです。普通の録音では一旦マルチトラックのテープに録音して、そのテープをミキシングしてマスターテープを作ってからラッカー盤にカッティングします。この一旦テープに録ってからミキシングという行程を省くことで、鮮度が高い音がレコードに刻まれることになります。

テープに録音する場合のようにベースだけ録り直すとかできないので、演奏者は失敗が許されず緊張を強いられことになります。緊張を強いられるのは演奏者だけでなく、ラッカー盤にカッティングするカッティングエンジニアにも言えるわけです。カッティングエンジニアは実は音溝と音溝の間隔とかを調整しながらやっているからです。演奏の音の大きさを予測しながら音溝と音溝が干渉しないように最適化してカットしていきます。この失敗を許されないというところが生産性を欠くので、ダイレクト・カット・レコードは多くありません。だから希少性があります。

パソコンを使ったデジタルお気軽編集作業とは対極に位置するのがダイレクト・カット。ダイレクト・カットの音は、アナログならではの芯があるもので、クリアでありながら非常に耳触りがいいです。このニュアンスはデジタルでは出ません。一度聴けばその良さは実感してもらえると思います。まっ、それにはレコードプレーヤー&カートリッジとファノイコライザーにそれなりのお金を投入しないといけないので、簡単なことではないのですが・・・。

このアルバムの演奏、なかなか濃いです。80年代の洗練された”サラサラ”フュージョンとは違う粘りとコクがあります。アンソニー&ハービーの腰の据わったリズムの上に、尖ったジャジーなソロがのっていてカッコイイですよ。アニー・ワッツの演歌的コブシが聴いたサックスもちょっと野暮ったいのがいい(笑)。リトナーのギターも浮ついていないです。このコクは70年代ならではですよね。私が一番好きな曲はハービー・ハンコックの《ジェントル・ソウツ》です。

音質という点ではレコードと別物ですがCDも出ています。

レコードに収められているテイクはこちらのようです。
たぶんレコードからマスターテープを起こしてCD化したんでしょう。
音質的には”鮮度”という点で語る意味はないと思いますが、
演奏にスポットを当てれば意味はあります。

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このトランペットが耳に残っていました。

今日は私のような年代の人には懐かしい話です。

中学生に入った頃、私はラジオの深夜放送を聴くようになりました。テスト勉強の息抜きとかその他諸々ですね。記憶に強く残っている番組は何と言っても「鶴光のオールナイトニッポン」。この番組は土曜日の深夜なので気兼ねなく聴くことができました。思春期の子供にとってはエロネタが楽しい番組でした(笑)。高校に入ってからは「たけしのオールナイトニッポン」や「南こうせつのオールナイトニッポン」もよく聴きましたね。さて、そんな深夜番組で聴いたテーマ曲が耳に残っていたりします。今日紹介するアルバムにその曲が入っていたのです。

P116 ナット・アダレイ『リトル・ビッグ・ホーン』(1963年rec. RIVERSIDE)です。メンバーは、ナット・アダレイ(tp)、ケニー・バレル(g)、ジム・ホール(g)、ジュニア・マンス(p)、ボブ・クランショウ(b)、ミッキー・ロッカー(ds)です。説明不良だとは思いますが、ナットはキャノンボール・アダレイの弟さんですね。このアルバムは最初日本盤を買ったのですが、内容が気に入ってオリジナル盤に買い替えてしまいました。ステレオ盤なので大して高くありませんでした。

このアルバムのA面冒頭のトランペット”パッパ、ラッパラー”を聴いた時、一挙に気持ちが学生時代にタイムトラベル。記憶が蘇ってきたのです。「これ、昔ラジオでよくきいたよな~。」と。だんだん頭の中の霧が晴れてゆき、思い出しましたよ。ニッポン放送でやっていた「夜のドラマハウス」のテーマ曲だったのです。このアルバムを買った時は、まだネット検索が容易にできる頃ではなかったので確信は持てなかったのですが、今日このブログを書くにあたって検索したら正解でした。

そしてYouTubeにはこの番組の音声がUPされていました。
いやはや、凄い時代になったものです。

そしてエンディング・テーマはこのアルバムA面2曲目の《フー・フー》です。
非常に懐かしいです。番組担当者はジャズが好きだったんでしょうかね~。

このアルバムは懐かしいだけでなく、何とも言えない独特な雰囲気を湛えているのがいいんです。ナットのブルージーでストレイトなトランペットがまずいいんですよね。確かに夜の雰囲気をたたえています。ちょっと野暮ったいところがあるのも私的には◎。ジャズのマイナー感満載ですから。ナットの書く曲もかなりいいです。

そしてバックが良いのですよ。ギターはジム・ホールとケニー・バレルが曲によって入れ替わって弾いています。両者ホーンライクで良く歌うブルージーなギター。何の細工もないけれど、こういうブルージーなギターがナットのトランペットと曲にとてもマッチしています。ピアノのジュニア・マンスがこれまた良くマッチしています。マンスの良さもブルージーなところですから、共演者がブルージーで括れてしまうところが良いのでしょう。

ベースとドラムはどうなのよ? はいっ、ジュニア・マンス・トリオ(マンスpiano; ボブ・クランショウbass; ミッキー・ロッカーdrums)と表記されているくらいですから、3人のコンビネーションは抜群。気持の良い4ビートと8ビートを生み出しています。

冒頭のトランペット、2曲目のどことなくとぼけた雰囲気のジャズロック。私は好きです。そしてA面3曲目《ロンリネス》が最高なのですよ。タイトルどおりの淡々とした寂しさぶりが心に染み込んできます。ナット、バレルのソロ、共にいい味を出してますよね。最高じゃありませんか。4曲目のタイトル曲はミュートでマイルスように軽快に歌っているので、前曲とのコントラストが絶妙です。

B面1曲目《ハーフ・タイム》はマーチで始まります。途中から4ビートになって快調に展開。2曲目《ブロードウェイ・レディー》はタイトルどおり華やかで楽しげです。曲の良さをそのままに、マンス、アダレイ、ホールのソロも溌剌としてドライビング感抜群。気分は上々。3曲目《ローズ・フォー・ユア・ピロー》、”バラを君の枕元に”と訳せば良いんでしょうか?優しく甘いバラード演奏は素敵です。ラスト《ハッスル・ウィズ・ラッセル》、アレッ、これ《フー・フー》と同じ曲じゃないですか。ソロの順番が違うだけですね。

ナット・アダレイというと『ワーク・ソング』が有名なので、その陰に隠れてこのアルバムはあまり話題になりませんが、良いアルバムだと思います。

アルバム名:『Little Big Horn』
メンバー:
Nat Adderley(tp)
Kenny Burrell(g)
Jim Hall(g)
Junior Mance(p)
Bob Cranshaw(b)
Micky Roker(ds)

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甲府のCD屋さん「サンリン」が閉店してしまうそうです(涙)。

悲しいお知らせがあります。
「ミュージックショップ サンリン」来年1月29日で閉店するそうです!
とても残念であり、悲しいです。

最近「サンリン」に買いに行っていなかったのになぜ知ったかというと、
私のブログに「さんりんしゃ」さんからコメントをいただいたからです。
ブログを書き始めて間もなく書いた「サンリン」の記事にです。

甲府のCDショップ「サンリン」

この記事は多くの方から反響があり、たくさんのコメントをいただいています。
「サンリン」が皆さんに愛されている証拠ですよね。

早速今日「サンリン」へ行ってきました。

P113

御覧のとおりのきれいなお店です。
CDが整然と並べられている店内は至ってクリーンなイメージ。

閉店のお知らせがありました。
これもセンスがいいですよね。

P114

40年余り営業していたんですね。
健康上の理由ならやむをえません。
お店の方と少し昔の思い出話をしてきました。
残念無念ですがしょうがありません。

元祖的ポイント・サービスは相変わらず健在。
CDを買うとビニール袋をくれるというのも貴重です。
P115
見えづらいと思いますがこれがそのビニール袋。

健康上の理由で閉店ということですが、
やっぱり昨今の状況とリンクして考えてしまいますよね。
CD屋さんを続けていくのは大変なのでしょう。

私も最近はもっぱらAmazonでネット通販。
好みの問題もあり、買いたいものは輸入盤ばかりです。
値段もかなり安いですしね。
たくさんCDを買っているので少しでも安く買いたいのです。

13歳くらいに初めて買いに行ったと思うのであれから35年。
途中20年間甲府を離れたので、実質15年ほどの付き合いになります。
閉店までにはもう1度くらい買いに行く予定です。
最終営業日には行ってお礼を言ってこようかなぁ~。

ちなみに今日はこれを買ってきました。
『スガダイローの肖像 弐』

これはかなりカッコイイです。
スケールのデカイ演奏になっています。
只今これを聴きながらブログを書いています。

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Miyaさんのデビューアルバム

先月フルーティストの Miya さんとお会いしてお話しする機会を得たのですが、現在は色々なプロジェクトを行っていることを知りました。一度ライブを観に行きたいのですがなかなか実現できないでいます。それでも先月は 「荻窪ベルベットサン」 で行われたTrancesitE(ピアニストのスガダイローさんとのユニット)のライブをUstreamで観ることができました。そのMiyaさんのデビューアルバムが急に聴きたくなって購入。

P112 『グローブ・イン・モーション』(2004年rec. スタジオ・ウィー)です。メンバーは、Miya(fl)、松本治(tb)、ボブ・サング(as)、坂本剛(p)、今堀恒雄(g)、沖祥子(vln)、田島朗子(vln)、渡辺一雄(vla)、四家卯大(cel)、斉藤草平(b)、水谷浩章(b)、外山明(ds)です。プロデュースは水谷浩章。Miyaさんが活動していたグループ「シネマ」(ピアノ:坂本剛、ベース:斉藤草平)の楽曲を中心に収録しています。

曲は全てオリジナルで、Miyaさんの4曲、水谷さんの1曲、坂本さんの2曲、斉藤さんの1曲、Miyaさんと坂本さんの共作1曲の全9曲。デビューアルバムということもあり、ジャズを中心にして色々な曲が入っています。フュージョン風な曲、クラシック色が強い曲、即興性が強い曲などがあります。

ハツラツとしたMiyaさんのフルートが楽しめるアルバムです。曲によって色々な表情を見せるフルートなのですが、自由でおおらかに歌うフルートが素敵です。曲も良い曲揃いなので楽しく聴けます。バックは上記のとおりシネマのメンバーを中心にドラムの外山さんが加わっています。この外山さんのドラムが通常のジャズドラミングではなく、とても自由にパーカッション的に振る舞って、音楽に軽やかさと自由を与えています。それがMiyaさんのフルートの醸し出す雰囲気にマッチ。

アルバム最初は穏やかで優しいMiyaさんの曲《tri》から。シネマ+外谷さんのドラムによる演奏。

続くMiyaさん作曲&アレンジの《Globe》が白眉。最初はストリングスをバックにクラシカルに始まるのに、途中で一変してドラムとベースの躍動的なビートになります。自由なドラムと太いベースと今堀さんカッティングをバックに、ピチカートがアクセントを加えたりする中、ベタな美メロが流れたります。で、フルート・ソロになると一挙にジャジーに骨太に。ソロのあとはストリングスを生かしてジプシー調。テーマに戻った後は、今堀さんの一癖あるギター・ソロへ。ソロのバックでは外山さんの自由なドラムが跳ね回っています。そしてストリングスのテーマからドラム・ソロ。外山ドラミングとしか言いようがない個性的なものです。テーマに戻って終了。メンバーの個性やストリングスを生かし刻々と変化するこの曲が面白いですね。こういう曲とアレンジができるMiyaさんの才能が”キラリッ”と光ります。

Miyaさん作曲、水谷さん編曲《Mirage》は、パステルカラーのフュージョンサウンド。この曲では松本さんのおおらかなトロンボーン・ソロも素敵。

次の《脳、見捨ていく》(笑)は、坂本さん作曲の明るく楽しい曲。カルテットでジャジーな演奏です。4ビートにのって自由に舞い踊るMiyaさんのフルートが痛快。きっとMiyaさんはいつものように体を捻って楽しそうにフルートを吹いていることでしょう(笑)。途中に《ストレイト・ノー・チェイサー》のフレーズがチラッと。エバンスとジェレミ・スタイグ(Miyaさんが尊敬するフルーティスト)のアレかなっと思ったりしてニンマリ。続く坂本さんのピアノ・ソロも快調です。

Miyaさん作《Iron Acton》はイギリス滞在時に住んでいた田舎の村の名。ストリングスとベースだけをバックにした素朴な響きの穏やかな曲です。そんな曲なのにベースだけをバックにしたフルート・ソロは結構闊達。この辺の感覚が面白いですね。

Miyaさん作《Miyashin》はアルトも加わった2管ピアノ・レス・カルテットで演奏するストレート・アヘッドなジャズ。先発するサングのアルト、続くMiyaさんのフルート共に勢いに溢れています。見た目とは裏腹で男前なMiyaさんらいいソロです(笑)。外山さんのドラム・ソロ、バッキング、共に自由な振舞が素敵。

《Mind Reed》はMiyaさんとベースの斉藤さんのデュオ。フリー・インプロビゼーションです。《Globe》を作れる作編曲の才能を持っているのに、現在のMiyaさんはこういうフリー・インプロビゼーションをメインに活動しています。不穏な雰囲気を湛えつつ、重苦しくならない自由度が良い感じです。人を拒絶するようなところがなくオープンなところが◎。

坂本さん作《千夜一夜》はシネマ+外山さんのドラムで演奏。Miyaさんの解説「夜!という感じの曲です。」の通りです。私には穏やかなおぼろ月夜という風に聴こえます。

ラストはMiyaさん作《日が暮れてさよなら》。Miyaさんの小さい頃の思い出を曲にしているとか。最初はストリングスでドボルザークの《家路》風。フルートでのテーマは郷愁感がありつつ結構明るい雰囲気。優しさに溢れた美メロに参ってしまいます。ピアノ・ソロは美メロを生かしてストレートに。フルート・ソロはリズムを変えて楽しげに。ストリングスで”さよなら”、日が沈んでいき、家に帰ったら楽しい夕食の時間です。いい思い出なんだろうな~ぁ。

Miyaさんのハツラツとしたフルートが聴きたければ即ゲットです。

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空や雲の写真

気まぐれ企画。
久しぶりに空や雲の写真をUPします。

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千変万化する空、自然は凄いです。
ジャズにもナチュラルに接していきたいと思うのです。

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この「ジャズ批評」がとても役に立ちました。

「ジャズ批評2005年3月号No.124」は非常に役に立ちました。

P101 それまでどちらかというと、ジャズ喫茶「メグ」マスターの寺島靖国さんが薦めるヨーロッパ・マイナー・ピアノ・トリオなどを聴いていた私。この本が出た頃にジャズ喫茶「いーぐる」へ行くようになり(当時は府中在住)、聴くジャズの趣向が変わりはじめていました。

ピアノ・トリオなんかを聴いていたわけですから、最近のトランペッターなんてほとんど知らず、この「ジャズ批評」を買って、「一丁、最近のトランペッターとやらを聴いてみっか。」という気持ちになりました。掲載されている全トランペッターの評を読み。片っぱしから聴いていこうと思ったのです。結局未だに聴いていないトランペッターは1/5くらいいますが、非常に参考になりました。

ここで「ジャズ批評」の話をちょっとすると、当時の編集長は原田和典さんで、紙面には寺島靖国さん VS 「ジャズ批評」に係りがあった四谷派のちょっとした、いや重大(笑)?な論争が勃発していたりして、80年代末の寺島 VS 後藤論争に非常に興味を持った私からすれば、当事者を近くから見られる機会(その時私はまだ後藤雅洋さんとお話できていない)を得られたわけで、とてもハラハラドキドキしたものです。その時、四谷派、吉祥寺派なるものが存在することも初めて知りました。

まっ、内情はよく分りませんが色々あったようで、「ジャズ批評」はその後模様変え。こういう企画がなくなってしまったのは残念ではあるのですが、結局はその模様変えのおかげで「ブログ・ウォーキング」のコーナーができ、後に私が「ブログ・ウォーキング」へ投稿できたわけですから、この変化は歓迎するべきものだったのかもしれません。そして紙面で後藤さんとの対談まで実現してしまいます。こうやって振り返ると世の中何が起きるか分かりませんね。だから面白いんですよね。

今日はここに掲載されていたトランペッターの話を少々。

先月アルバム『イン・ビトウィン』「ポスト・エレクトリック・マイルスが気になる。」を紹介したエリック・トラファズですが、杉田宏樹さん著「ヨーロッパのJAZZレーベル」を読んで知ったと書きました。でも実際にトラファズのアルバムを最初に買う気になったのは、この「ジャズ批評」を読んだからだったような気がします。その後ブランクを経て、トラファズは最近また気になるトランペッターとなっています。

もう一人はマグナス・ブルー。9月に上京した際に、上記「ジャズ批評」に掲載されているブルーが参加したアルバムを、ディスクユニオンのアウトレットの中にみつけたので買ってきました。¥800也。

P100 フレドリク・ノレン・バンド『ザ・ペリカン』(1997年rec. MIRRORS)です。メンバーは、マグナス・ブルー(tp)、オリャン・ハルテン(ts)、ダニエル・カールソン(p)、マルクス・ヴィクストロム(b)、フレドリク・ノレン(ds)です。スウェーデンのジャズ・メッセンジャーズといった感じのバンドです。現代的というよりは60~70年代の空気も含んだストレート・バップ。

ノルウェーのジャズ・バンド「アトミック」に参加する前のブルーを聴くことができます。ブルーは3曲提供して、非常にストレートで切れ味鋭いフレーズを聴かせてくれています。他にはノレンの1曲、ヴィクストロムの1曲、メンバー以外の2曲の計7曲が収録されて全45分少々。リーダーのノレンに煽られ、メンバーが一丸となって聴かせる痛快バップ・アルバム。

ノレン作曲のアルバムタイトル曲《ザ・ペリカン》が面白いです。コルトレーンのスピリチュアル・バラードそのものになっています。まんま60年代の空気。テナーのハルテンが熱いこと熱いこと。コルトレーンが降臨してますよ(笑)。そこにフレディ・ハバード的なブルーが加わるというのがなかなか乙です。ドラムはエルビン的、ピアノはもちろんマッコイ的重さ。まっ、新しくはないわけですが、こんなリスペクトに溢れた演奏ならO.K.でしょう。

上記の曲のように全曲が熱いわけではなく、間にモーダルでスタイリッシュな曲や都会的なバラードも入っていて、なかなかバランス良く現代バップを聴かせるアルバムになっています。メンバーの技量もしっかりしいるので安心して現代バップに浸れます。

このバンドのスウェーデンにしても、アトミックのノルウェーにしても、60年代の熱いジャズへの強いリスペクトがあるのが北欧ジャズの面白さです。若手がしっかりジャズの基本に軸足を置いた上で今のジャズをやっているのが良いですよね。

「マグナス・ブルーの新譜」も気に入っています。是非聴いてみて下さい。

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