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真空管6V6G(T)との長い付き合い。

私が最初に作った真空管アンプは、当時秋葉原のラジオ会館4階に店があった三栄無線の6V6GTシングルアンプのキット。当時流行った「モノマガジン」系雑誌に三栄無線の真空管アンプキットの記事がのっていて、それを見たらアンプを作りたいという欲望がモリモリ湧いたので作りました。仕事に追われてオーディオ熱もすっかり冷めていた時にこの記事に出会いました。18年くらい前のことです。

雑誌にのっていたのは真空管6L6GCのキットだったのですが、それが入荷待ちか何かになっていて、どうしてもキットを買って帰りたかった私は、店員さんの薦めで6V6GTシングルアンプキットを買いました。サンキュウパでした。作って音が出た時は嬉しかったです。作ったのはこのキット。

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そこからが大変、嵌ると徹底してやる私の性格ですから、忙しい仕事のかたわら真空管アンプ作りに没入することになってしまうのです。次に買ったキットは、やはり三栄無線の物でKT88プッシュプルアンプのキット。これは6V6GTアンプとは比較にならないくらい高度で物量も投入したものです。でもきちんと出来上がりました。

面白かったのは、私が真空管アンプ作りに嵌まって間もなく、真空管アンプブームが来たことです。そういう意味では時代を先取りしていたんですね。昔の話はそれくらいにしておきましょう。

今日は真空管6V6G(T)の話です。上記キットに付いていたのはソブテック製でした。米ソ冷戦が終焉を迎えソ連が崩壊して、当時まだ作っていたソビエト(ロシア)製の真空管が日本に輸入されるようになった頃のものです。安いし性能も良いとのことでした。

まっ、それで満足しなくなるのが真空管好き。すぐにヴィンテージ管を買いました。秋葉原のラジオデパート3階にあるサンエイ電機で買ったマルコーニ製6V6Gがそれです。コカコーラのボトルのような形はST管(G管)と言われます。この形がいかにも真空管ということで良いんですよね。その後6V6Gのプッシュプルアンプを完全自作して、もう一組必要になって買ったのですが、見た目は似ていたのに、これがウエスティングハウス製でした(涙)。

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写真の左側2本がマルコーニ製で右側2本がウエスティングハウス製です。メーカーは違いますが元は同じ真空管だと思います。ということでこれらをアンプの左右チャンネルに挿して問題なく使用していました。この真空管は後にオークションで処分。

更に別な6V6GTも買うことになりました。これを買ったのもサンエイ電機。もっと新しい時代のものでシルバニアの6V6GT。こちらは小さいGT管です。現在も所有。予備品的に使用しています。

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この6V6G(T)アンプで数年遊んだ後、引っ越しとかもあり、自作アンプを整理するということでアンプは解体してしまいました。

でももう一度作りたくなったのです。困ったものです(笑)。どうしてかというとオークションでナショナル(松下電器)製の6V6G(T)に適した出力トランスを落札したからです。古いトランスで6V6G(T)の音がどうしても聴きたくなったのです。でもこのアンプは音がいまいち気に入らなくて、その後何度か改良することになります。

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そしてまたまた別な6V6GTが買いたくなってしまいました(笑)。フランス・マツダ製の6V6GT。秋葉原のクラシックコンポーネンツで見て衝動買いしました。フランス製というのがいいですよね。ヨーロッパの真空管は情緒がある音を奏でてくれそうな気がします。真空管壁面がカーボンスート処理されているので中はほとんど見えません。しかしこれはハズレの真空管でした。最初2組買ったら、1組はしばらく使っているとノイズを発生。しょうがないから追加でもう1組買ったのに、しばらく使うと1本が時々”ボソッ”ノイズを発生。

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クビにしました。たぶんこのロットが良くなかったのだろうと思います。ノイズを発生することを注記したうえオークションで安く売り払いました。

そしてまた・・・買ってしまいましたよ。私ってどれだけ6V6G(T)が好きなんでしょ(笑)。値段が手頃なのでついつい買いたくなってしまうのです。秋葉原のヒノオーディオで見つけてこれもほとんどほとんど衝動買いでした。フランス・ヴィソー製6V6Gです。ハカマ(下の黒い部分)にメーカー名が刻印されているので古い真空管だと思います。見た目が渋カッコイイじゃないですか。これは現在も所有。1組は出力がクリップした後で変な波形になるのがちょっぴり気がかりです。

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それから数年、上記アンプへの不満がつのり、最近作り直したというのは先々月ブログで報告済みです。
「6V6プッシュプルアンプ製作(シャーシ加工編)」
「6V6プッシュプルアンプ製作(配線~完成編)」
このアンプの音は気に入り、最近がぜん調子が良いものだから、また6V6GTを買いたくなってしまいました。もう病気ですね(笑)。で、エイフルのネット通販で買ったのがこれ。

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POPE社というのはオランダ・フィリップス社傘下の老舗電球メーカーです。これは真空管そのものより箱のポップなデザインに惚れました。真空管はご覧のとおりで管壁はカーボンスート処理されていて中が見えません。そしてこの管壁の印字が曲者。この手のやつは触ったりすると印字がとれてしまうのです。今回も注意してアンプに挿したつもりだったのに、1本こすってほとんど消えてしまいました(涙)。アンプに挿すとこんな感じです。

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真空管そのものは魅力薄ですよね。特性値が書いてあるシールは貼ったままにしてあります。この真空管はオーディオというより最近ではギターアンプ用ヴィンテージ管としての需要があるみたいです。これを挿して測ったら最大出力が10W出たので嬉しかったです。他のやつでは10W出なかったからです。まっ、商用電圧の変動があるので、たまたまその時電圧が高かっただけかもしれませんが?

聴いて更に喜んだのは、音に元気があることです。音楽が活き活き鳴っているように感じます。こうなると聴くのが楽しくてしょうがない。今回この記事を書いたのもこのアンプと6V6GTが良い感じで鳴っているからに他なりません。自慢したくてしょうがないのです(笑)。

ここでちょっとオマケ。
真空管アンプに興味がない人はつまらないと思いますが。

私はこの人に凄く興味があるのです。アンプ作りの方向性は全く異なりますから、この人が作るようなアンプを作ろうとは思いませんが、この人の極めている道は素晴らしいと思います。

この人とは佐久間駿(さくますすむ)さんです。この人の作るアンプは「佐久間アンプ」と呼ばれ、熱烈な支持者がいます。佐久間さんの魅力が伝わる映像がYouTubeにUPされていましたので貼り付けます。途中に登場する秋葉原の真空管店は「クラシックコンポーネンツ」ですね。

ディープな人ですよね。
千葉舘山のレストラン「コンコルド」へ行ってハンバーグが食べたい!

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コメント

SA-6302でググってたどり着きました。
全く同じ三栄無線のキットを購入し眠らせていましたが最近火入れしてみて動作しませんでした。
もしかして当時の回路図など分かりますでしょうか?トランスの仕様とか知りたかったもので・・・

投稿: すけ | 2023年10月 8日 (日) 13時28分

すけさん

コメントありがとうございます。
当時の回路図と実態図があります。
似たような趣味を持つ人のためにグ記事にしました。
そこに貼り付けますのでご覧ください。
残念ながらトランスの仕様は不明です。
私はその後タンゴのU708に交換してしばらく使用しました。

投稿: いっき | 2023年10月 8日 (日) 19時28分

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