« ECM的な現代NYサウンド | トップページ | 時々こういう普通のジャズが聴きたくなる。 »

アコースティック派は受け入れないでしょうが。

今年出たアルバムの紹介です。少し前に紹介したフランシスコ・メラの『シリオ』をAmazonで買う時に、”輸入盤2枚買ったら10%OFF”を適用するために買った1枚です。決してついでに買ったわけではなく、内容が気になったので買いました。メラと同じくドラマーのアルバムです。

P65 マグヌス・オストロム『スレッド・オブ・ライフ』(2010年rec. ACT)です。メンバーは、アンドレアス・ホアダキス(el-g,ac-g)、グスタフ・カーロフ(p,key,vocoder)、トビアス・ガブリルソン(el-b,bass synthesizer,key,tp)、マグヌス・オストロム(ds,per,electoronics,additional key,vo)、1曲のみパット・メセニー(ac-g,arr)、ダン・ベルグルンド(b)です。このジャケット写真、なかなかインパクトがあるじゃありませんか。ロックなジャケットです。女性はこのジャケットを見たら買わないでしょね(笑)。

このアルバムのリーダーであるオストロムはe.s.t.のドラマーです。e.s.t.のリーダーでありピアニストであるエスビョルン・スヴェンソンは惜しくも亡くなってしまっわけですが、e.s.t.解散後にそのドラマーがどんな音楽を展開しているかが興味の対象です。

結論から言ってしまえば、e.s.t.のエレクトリックな部分を推し進めたものになっています。なのでブログのタイトルどおり、アコースティック派には受け入れてもらいにくい内容になっています。こういうエレクトリックものは面白いんですけどね。年寄り世代のジャズ・ファンにはなかなか・・・。私達くらいのポップス、ロック、フォーク、テクノ、ヒップホップなどを違和感なく享受しているジャズ世代にはグッドで、ACTレーベルらしいクリエイティブなサウンドになっています。美意識はe.s.t.から引き継いでいると思います。

リズムはロック・ビート、ミニマルな要素が多々あるのはテクノからの影響でしょう。ソロより楽曲重視。構成がしっかりした楽曲は正に現代ジャズそのものです。ドラム・ソロを派手にやるようなこともせず、全曲オストロムが作曲しているのは、コンポーザー型ドラマーの典型。フランシスコ・メラと一緒に買ったのですが、こちらも同じタイプのドラマーでした。片やアメリカで片やヨーロッパということです。

ちょっとパット・メセニー・グループみたいなサウンドもあったりするのが面白いところです。そのパット・メセニーは1曲だけに参加しています。《バラッド・フォー・E》という曲です。”E”というのはEsbjorn Svenssonであることは明らかで、スヴェンソンへの追悼曲でしょう。この曲のみ、メセニー、ダン・ベルグルンド(e.s.t.のベーシスト)、オストロムのトリオでおごそかに演奏しています。

ロック的でなくフォーク的で牧歌的なものもあります。ラストの曲も静かでおごそか、これもスベンソン追悼なイメージかも。後半へのクレッシェンドがインパクト大。どことなく東洋的エスニックのニュアンスがあり、ギターの音が琴のようにも聴こえます。意外とパット・メセニーのサウンドに共通するものが見えてきて、このアルバムにメセニーが参加しているのが頷けますね。

エレクトリックなサウンド・エフェクトを効果的に用いつつ、クリエイティブなジャズを構築していくオストロム。なかなかアーティスティックなドラマーであることが分かりました。こういうドラマーだったからe.s.t.というグループが成り立っていて、多くの人に支持されていたんでしょうね。注目していきたいドラマーです。

アルバム名:『Thread Of life』
メンバー:
Magnus Öström: Drums, percussion, electronics, keyboards, vocals
Andreas Hourdakis: electric and acoustic guitar
Gustaf Karlöf: grand piano, keyboards, vocoder
Thobias Gabrielson: electric bass, bass synthesizer, keyboards, trumpet
Pat Metheny: acoustic guitar (on Ballad For E)
Dan Berglund: double bass (on Ballad For E)

|
|

« ECM的な現代NYサウンド | トップページ | 時々こういう普通のジャズが聴きたくなる。 »

ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/511944/42304272

この記事へのトラックバック一覧です: アコースティック派は受け入れないでしょうが。:

« ECM的な現代NYサウンド | トップページ | 時々こういう普通のジャズが聴きたくなる。 »