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マハンサッパの新譜はなかなかカッコイイ!

今日は新譜紹介です。
ヒップホップもいいんですけれどやっぱりジャズですね。
現代最先端ジャズ。
私はまだまだジャズを見捨てたりしませんよ(笑)。

P99 ルドレシュ・マハンサッパ『Samdhi』(2008年rec. ACT)です。メンバーは、ルドレシュ・マハンサッパ(as,laptop)、デヴィッド・ギルモア(el-g)、リッチ・ブラウン(el-b)、デミオン・リード(ds)、”アナンド”・アナンサ・クリシュナ(mridangam,kanjira)です。ニューヨーク最先端ジャズ。

マハンサッパはインド系アメリカ人です。何と数学者なんだそうです。インドらしいですよね。私がこの人を知ったのはヴィジェイ・アイヤ(ヴィゼ・イヤー)のアルバム『リ・イマジニング』(2005年)で聴いた時。このアルバムはかなりインパクトが強かったので強く印象に残りました。正直に言うと、私はこの人のアルトの音や幾何学的でアブストラクトなソロがあまり好きではないのでフォローするには至りませんでした。

それでも昨年出た2枚のアルバム、まずはスティーヴ・リーマンと共演した『デュアル・アイデンティティ』、そしてアルト・サックスの大先輩バンキー・グリーンと共演した『アペックス』は買いました。これら2枚はかなり良い内容です。アルバム評は以下のとおりブログにUPしていますのでご覧下さい。
「今日は新譜紹介しまっせー。」
「バンキー・グリーン頑張る!」

これまではアコースティック系だったのに、今回は本人がラップトップを使い、エレクトリック・ベースを入れて、ほどほどにエレクトリックな作風に仕上がっています。今回私が買う気になったのは正にそこがポイント。さて、どんな仕上がりになったでしょう?

今回ACTレーベルからアルバムを出したのは、かつて行動を共にしていたヴィジェイ・アイヤがACTにいるからなんでしょうか?ここでやっているジャズはACTレーベルにマッチしているし、ここなら日本盤が出るので、日本にマハンサッパの存在を意識させるのには好都合だと思います。まっ、注目されるとは思いませんが(涙)。

ちなみにこの人はダウンビート誌のアルト・サックス部門で1位になっていることを最近知りました。あちらでは注目の人なんですよ。日本のジャズジャーナリズム&ジャズCD業界は今や機能不全なので、あちらで何が起こっているのかはあまり伝わってきません。ビージー・アデールとかノラ・ジョーンズとか、それはそれでいいんですが、そんことばかり言ってる場合じゃないでしょ(笑)。

やっとこのアルバムの内容の話。メロディーは相変わらずインド系ですね。マハンサッパは全12曲中9曲作曲。後はベースのブラウンの1曲、ギターのギルモアの1曲、ドラムとインド・パーカッションの即興曲1曲です。《Parakram#1》と《Parakram#2》はラップトップのシンセ音&打ち込みだけをバックにスペイシーな空間でアルトを吹いています。特に《Parakram#2》の方はテクノ/ヒップホップ系のリズムで、中盤に出てくる複雑怪奇なリズムが素敵!インベーダーゲーム的なところもありますがご愛敬。

冒頭の《Parakram#1》は上記のとおりの作りで、静かに深淵な雰囲気で幕を開けます。続く2曲目《キラー》は一転いきなりのハイテンション。ドラムとインド・パーカッションとエレベが怒涛の変拍子リズムを繰り出す中にアルトが切り込んできます。アルトとギターの掛け合いを含むテーマは幾何学的インドメロディー。アルトソロは”グリグリ”と迫ってきます。ロックなギルモアのギターも切れてます。とにかく怒涛のリズムがカッコイイ。

3曲目《リチャーズ・ゲイム》はたぶんブラウンのべースによる即興ソロ。次の曲《プレイング・ウィズ・ストーン》のイントロ。《プレイング・ウィズ・ストーン》は何となく日本の民謡調で懐かしさが漂っているところが面白いです。幾何学的な中に独特の哀愁感漂うアルトがなかなか。これも変拍子。曲が色々表情を変えていくのは楽曲重視の現代らしさ。インド・パーカッションが躍動感を与えていて良い感じです。

5曲目《ルネ》はギルモアのギターによる多重演奏も含めた即興だと思います。次は面白い名前の曲《Breakfastlunchanddinner》。Bureakfast Lunch and Dinnerをくっ付けたものですね。演奏は特に趣向があるわけではく、インドメロディーと変拍子にのって、アルト・ソロ、ギター・ソロ、ベース・ソロ、ドラム・ソロが続きます。ソロ終盤4ビートに変わるのですがスムーズで違和感なし。インド・パーカッションは控え目なのでファンク基調M-BASE系。ドラム・ソロの機械的速打ちビートが凄まじいです。

8曲目《Ahhh》は曲調が様々に表情を変える中、ギターの落ち着いたソロとアルトにエフェクトをかけた尖ったソロがあります。アルトのソロのバックではリードの高速パルスドラミングがこれまた強力。9曲目《ミーティング・オブ・ザ・スキンズ》はドラムとパーカッションだけのデュオ。超強力なドラム・ソロから。この人の速射砲ドラミングには脱帽です。途中からはインド・パーカッション主体になり、後半は2人の共演。高速でシンクロする2人のリズムは超カッコイイ!

10曲目《スティル-ガス》はリズム・チェンジによる場面チェンジが特徴の曲。途中に出てくるシンセ音のソロはアルトにエフェクターをかけたものなんでしょうか?11曲目《フォー・マイ・レディ》はスローなエスニック・アルト・ソロで次曲のイントロ。ラスト《フォー・オール・ザ・レディース》はバラードでしっとり。全ての女性に捧げるバラードです。結構ベタな美メロかも?こんなポップな1面も見せるマハンサッパがかわいい(笑)。

このアルバム、レーベルカラーはあるにせよ、NYダウンタウンにしては内省的ではありません。最近色々聴いてみて、9・11から10年過ぎて、NYのムードもだいぶ変わってきたのではないかと思います。(注)録音は2008年でした。m(_ _)m

なかなか聴き応えがあるアルバムになっていると思います。是非!

アルバム名:『Samdhi』
メンバー:
Rudresh Mahanthappa(as, laptop)
David Gillmore(el-g)
Rich Brown(el-b)
Damion Reid(ds)
"Anand"Anantha Krishnan(mridangam, kanjira)

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コメント

こんにちは。
いつも充実した音楽ライフを楽しんでいて すごいなぁ〜と感心しています。

オ-ディオの記事のスピ-カ-の上に置かれた かわいらしい小物がまたいいですね(笑)

いろんな アルバムが出て紹介されていて 聴いてみようかなぁと思うのですが なかなか チャレンジできないでいます…
ビ-ジ-お婆ちゃんのようなオ-ソドックスなスタイルが好みなもので ついつい ピアノ・トリオばかり選んでしまいます。
もっと冒険せねばと思いつつも…
(^_^;)

投稿: マ-リン | 2011年10月31日 (月) 11時44分

マーリンさん

こんばんは。

>いつも充実した音楽ライフを楽しんでいて すごいなぁ〜と感心しています。

ジャズが生活の一部になってしまったジャズ・マニアですからね(笑)。

>オ-ディオの記事のスピ-カ-の上に置かれた かわいらしい小物がまたいいですね(笑)

重石の鉛インゴットの上にかわいらしい小物が置かれているというミスマッチがミソなんですよ(笑)。

>いろんな アルバムが出て紹介されていて 聴いてみようかなぁと思うのですが なかなか チャレンジできないでいます…

チャレンジするのってタイミングが大事でしょうから、あせらずに時を待って、”ピンッ!”とひらめいた時にチャレンジすれば良いのではないかと思います。

>ビ-ジ-お婆ちゃんのようなオ-ソドックスなスタイルが好みなもので ついつい ピアノ・トリオばかり選んでしまいます。

私も一時期は美メロのピアノ・トリオに傾倒していました。そこを過ぎての今です。基本的にはいろいろあっていいと思います。それを承知した上でたまには挑発してみたくなるんです(笑)。

>もっと冒険せねばと思いつつも…

マイペースが肝心だと思います。
そして時がきたら冒険もしてみたら良いのではないでしょうか。

投稿: いっき | 2011年10月31日 (月) 19時43分

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