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フリー・ジャズを時々聴いて耳をリフレッシュ。

昨日に引き続きアウトレットで買った1枚。

P34 クリス・デイヴィス、イングリッド・ラウブロック、タイション・ソーリー『パラドキシカル・フロッグ』(2009年rec. clean feed)です。メンバーは、クリス・デイヴィス(p)、イングリッド・ラウブロック(ts)、タイション・ソーリー(ds)です。ベースレス・サックス・トリオのフリー・ジャズ。ピアノのデイヴィスとテナーのラウブロックは女性。

昨年ジャズ喫茶「いーぐる」で行われた益子博之さんの「NYダウンタウンと中心とした新譜特集」で紹介された1枚です。当時HMVのマルチバイ特価で買おうと思ったら、入荷にかなり時間がかかる状態になってしまい買いそびれました。その後気になりつつも積極的な購買意欲が湧かないまま放置。アウトレットで発見したので安いし買ってみようということになりました。

アウトレットでは気になっているフリー・ジャズやNY先端ジャズを見かけることが多々あるため、そういう際には買うことにしています。今回はヤコブ・アンダーシュコフやロレン・スティルマンなど、内省的なのもあったけれどパス。買ったのはこれとシカゴのフリー・サックス野郎ケン・ヴァンダーマークのグループ”ザ・ヴァンダーマーク・5”のアルバムです。普通のジャズに面白いのがなかったりすると、「ではフリー・ジャズを買ってみよう。」という気分になる自分がいるから不思議です。何なんでしょうね?

このアルバム、白人女性2人に黒人巨漢発熱ドラム野郎のトリオというのが面白いです。ドラマーのソーリーはパワーのあるドラムを叩きますが、『公案』なんていう日本の侘び寂びを表現したような繊細なリーダー・アルバムを作ったりする面白い人です。今回も女性ならではの機微を感じさせる2人とソーリーは繊細に会話を交わし、決してパワーで強引に聴かせるドラマーではないところを見せています。

1曲目のような比較的元気なフリー演奏もありますが、ほとんどはメンバー間のニュアンスを大事にした繊細なやりとりを聴かせるものになっています。ジャズですが現代音楽的なトーンでもあります。曲は3人が提供。誰が作曲したか区別がつかない統一感を感じます。作曲とはいっても多分きっちり作曲されているわけではなく、簡単なモチーフを基にフリー・インプロビゼーションをしているものと思われます。

女性2人は”ナヨナヨ”したところはなく、しっかりした技術で楽器を鳴らし、炸裂すべき時には炸裂もします。でもやっぱりどこかに女性的柔らかさみたいなものが漂っています。私はピアノのデイヴィスがお気に入りです。大地にしっかり足を付け懐の深さを持ってピアノを鳴らしているのが良いのです。テナーのラウブロックは初聴きですが悪くはないと思いました。ソーリーがこんな2人にしっかり寄り添っています。

1曲だけ非常に音を少なく小さくした音響的な曲もあります。うっかり小音量でB.G.M.的に聴き流していると無音かと思うくらいです。こういう極端に繊細なニュアンスを聴く曲も含め、無心で音に身を寄せていると何か耳がリフレッシュされる気がする私です。俗なものは俗なもので気持ちは良いのですが、たまには俗なものから離れてみるバランス感覚も必要ではないかと思います。

”ドヒャドヒャ”やらないこのアルバムのようなフリー・ジャズで、たまには耳をリフレッシュするのも悪くないのではないでしょうか?カエルのイラストのジャケットも結構気に入っています。

アルバム名:『PARADOXICAL FROG』
メンバー:
KRIS DAVIS(p)
INGRID LAUBROCK(ts)
TYSHAWN SOREY(ds)

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