6V6プッシュプルアンプ製作(配線~完成編)
少し前に 「6V6プッシュプルアンプ製作(シャーシ加工編)」 をアップしました。
今日はその続きです。少しずつ進めて完成しました。
まず、シャーシに部品を取り付けます。
今回は上部パネルと枠に分離できたので、上部パネル、枠それぞれに部品を取り付けた後で、上部パネルと枠を合体させました。部品取り付けの順序は軽い部品からというのが鉄則です。重い部品を最初に取り付けちゃうとシャーシのハンドリングが大変になってしまいますからね。ボリュームとシャーシが接する所は塗装を落として、ボリュームケースがシャーシアースになるようにします。これを忘れるとボリュームに触れる度に盛大な雑音を発するようになって困ります。
すべてノグチトランスです。チョークコイルは黒色のものを私がハンマートーン色に塗りました。出力トランスPMF-18P-8kは少々小ぶりですがまあ良しとしましょう。スペース的にはタンゴのFE-25-8が取り付けられるので将来変更するかも?電源スイッチや入出力コネクタなどは昔から統一したものを使っています。今回は前にバラしたアンプの部品を流用。シャーシ内部はこんな感じです。
真空管アンプを作る場合、電源トランスを右側に配置する人と左側に配置する人とに分かれますが、私は左側に配置します。それはオーディオ機器の電源スイッチがほとんど左側にあることに倣ったからです。
配線作業に移ります。
私は配線前に主要部分のラフスケッチを書いてから配線します。穴あけ図面を裏返してそこに配線と部品配置を書き込みます。
配線のやり方も人それぞれです。私の場合はアース母線をはることにしています。太めの錫メッキ銅線をはります。熱容量が大きめなのでしっかり熱を加えてハンダ付けすることが肝心。基本ですがアース線はループを作らないようにして下さい。縦ラグを使って部品を取り付けます。
アース母線と1点アースで雑音が問題になったことはほとんどありません。次はアース以外の配線。私はベルデンの#16線、#18線を使います。配線材はバラしたアンプから外したものを流用。配線の色分けもします。配線はAC電源、ヒーター、B電源、出力トランス回り、入力同軸の順で行います。順序はどうでも良いのですが、アンプ製作本を色々読んだ末の私なりのやり易さです。直線最短距離での配線ではなく、一応見た目も気にして配線。結束帯も使って仕上げます。ハンダ不良がないように気をつけながら配線します。
回路部品を取り付けます。
増幅部の抵抗は理研電具のカーボン被膜抵抗(リケノーム)RM、RMG、RMA混在です。以前作ったアンプをバラして外したものを流用。今回不足していた数値のものは秋葉原の若松通商のネット通販で入手。私はリケノームが好きです。最初にアンプキットを購入した秋葉原の三栄無線の高級キットでこの抵抗を使っていたのと、私のアンプ製作のバイブル「魅惑の真空管アンプ」の著者である故浅野勇さんがこの抵抗を愛用していたからです。この抵抗の良さは値のばらつきが少ないことです。音的には癖の無さか。本当はRMで良いのですが製造中止になってしまったため、高級なRMGや高精度のRMAも使っています。でもRMGとRMAも既に製造終了。今は秋葉原などの在庫品のみという状況です。代わりの抵抗として東京光音電波のやつがあるのですが、リケノームに比べると抵抗値のバラつきが大きいのが気に入りません。電源部のワット数の大きい物は酸化金属皮膜抵抗とセメント抵抗を使います。酸金抵抗を増幅部に使うとギラギラした音になるようなので注意。出力管のカソード抵抗だけはデールの巻き線抵抗です。
抵抗の話はこれくらいにして次はコンデンサー。電源部の立型電解コンデンサーはセラファイン。チューブラー型はスプラグを使っています。これらもバラしたアンプからの流用。電解コンデンサーは経年劣化が気になるので新品にしたいところですが、これが意外と劣化は進まないようで(アンプの使用頻度が少ないことにもよる)、流用しても今のところ問題は発生していません。カソードのバイパスコンデンサーは今回新調。前段がニチコンのMUSE-ES(無極性)、出力段がニチコンのMUSE-FGです。これらは秋葉原の海神無線のネット通販で入手。カップリングコンデンサーは色々迷ったあげく値段も考慮してスプラグのオレンジドロップにしました。若松通商から入手。
これらの部品を実装するわけですが、私の場合はかなり立体的に配置しますので、初心者には難しいだろうと思います。今回は部品を流用したため脚の長さが足りないものがあり、一部窮屈な実装を余儀なくされました。電解コンデンサーには極性がありますので要注意!ここでもハンダ不良がないように気をつけながら進めます。
部品の色がさまざまなので かなりカラフルな仕上がりです(笑)。私なりに満足できる仕上がりとなりました。この後配線チェックということになるのですが、私の場合はハンダ付けしながら逐一確認しているので、軽く見直す程度です。今回も問題はなかったです。
そして真空管実装。
6V6GTが小ぶりの球なのでこじんまりした仕上がりになりました。
この後、シャーシをひっくりかえして電源投入。各部の電圧を測って設計値とだいたい合っていればO.K.ということになります。今回はB電源の抵抗値を調整することもなく目的の電圧配分になっていました。私はここで特性をチャックします。オーディオ計測器とオシロスコープを使います。正弦波と矩形波を入力して最大出力、残留雑音、応答波形などを調べます。最大出力(出力波形クリップ開始)は8.5Wくらい。B電源の電圧がちょっと低く目なので10Wには届きませんでした。まあ、このくらいあれば問題なしです。残留雑音はかなり低くそのまま読んでも電源トランスに近い左チャンネルで1mV程度でした。
ここでNFBの調整をします。NFBは約-9.5dBにしました。波形にリンギングが多めに発生したので微分補正をしました。取りきれないので積分補正も必要なのでしょうが、私は積分補正が嫌いなのでしません。これで完成です。
音には満足したのか?
う~む、もう少しエージングしてから結論を出すことに致しましょう。
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