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多分クラブ・ジャズ方面には受けが良いのだろう。

今日は新譜紹介です。私があまり得意としないクラブ・ジャズ方面からは受けるだろう人のアルバムです。

P31 アダム・ルドルフズ・ムーヴィング・ピクチャーズ・ウィズ・オーガニック・オーケストラ・ストリングスの『ボーズ/アンド』(2010年rec. META records)です。メンバーは、ムーヴィング・ピクチャーズ:アダム・ルドルフ(handrumst,thumb piano,bata,mouth bow,per)、ラルフ・M.ジョーンズ(hulust,bass-cl,a-fl,c germanic-fl,ss,ts,bamboo-tp,bamboo-fl)、ジョセフ・ボウイー(tb,organic/electronics,vo,ham,congas,bamboo-tp,per)、グレアム・ヘインズ(col,flh,bamboo-tp,per)、ブラヒム・フリブガン(oud,cajon,bendir,tarija,per)、ケニー・ウェッセル(el-g,ac-g,banjo)、ジェロム・ハリス(ac-bg,g,slide-g,vo)、マット・キルマー(frame-ds,kanjira,bata,per)、オーガニック・オーケストラ・ストリングス:vl7名、vla2名、clo2名です。一人がいくつもの楽器をかけもちしているので書くのが大変でした。

これはディスクユニオンの新譜情報を見て買いました。買ったのは安く買えるAmazonの通販ですけどね(笑)。ディスクユニオンのサイトからアダム・ルドルフのプロフィールをコピーしてきました。

シカゴ出身の作曲家兼ハンド・ドラマー/パーカッショニスト。1970年代から独特の混合主義的アプローチでハンド・ドラムに取り組み、サム・リヴァース、ファラオ・サンダース、L・シャンカール、フレッド・アンダーソンなど異なるカルチャーの即興音楽の達人たちとクリエイティブなコラボレーションを重ね、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ及び日本の数々のフェスティバルやコンサートに出演。
特にドン・チェリー、ジョン・ハッセル、ワダダ・レオ・スミス、オマール・ソーサとの革新的な少人数グループ及びデュオのコラボレーションで知られる

とのことでした。クラブ・ジャズからは評価が高いスピリチュアル・ジャズ集団ビルド・アン・アークのリーダーであるカルロス・ニーニョの師匠がこのアダム・ルドルフらしいのです。う~む、ややこしい(笑)。なぜ人物説明を書いたかというと、私のブログを訪問する方はこちら方面に弱いのではと思われることと、私自身が再確認するためです。

サウンドを聴くアルバムです。ルドルフのアフロ系リズムの上に色々な楽器が塗り重ねられていて、その色彩感を聴きとるのがポイントでしょう。それだけではなく、リズムがない現代音楽的なものも数曲あります。ライナーノーツには1曲ずつイメージやリズムの構成などが記載されているくらいなので、ルドルフという人はかなり知的なコンポジションをするのだと思います。グループ名がムーヴィング・ピクチャーズっていうくらいなので、映画の場面が展開するようにサウンドが展開する構成です。

サウンドはアフロな黒いもの、インドとカントリーが融合したフォーキーなもの、弦が加わった現代音楽的なもの、南米チリあたりの民族音楽的な匂いがするものなど、色々あります。グレアム・ヘインズなどがソロをとる曲もあれば、ソロがないものもあります。

確かにルドルフという人は才能がある人なんだと思いますが、サウンドそのものは強度がそれほどありません。だからソロがないものなどは、うっかりするとB.G.M.として右の耳から入って左の耳へ抜けていってしまいます。私にからすればちょっと物足りないのです。でもそれだけで終わりではないのが面白いところ。

それはどういうところかというと、例えばヘインズがコルネットでソロを取るような曲で起こります。強度がそれほどないサウンドとヘインズが反応して、急に黒いモノがそこに立ち上り強度が増すのです。つまりルドルフのサウンドが触媒と化して、ヘインズから黒さという強度を引き出しているように聴こえるのです。1曲目はトロンボーンのソロでも黒さが引き出されています。他にもウィッセルが現代NY的ギターを弾くと都会的な怪しさが立ち上ったりします。なかなか面白いです。

ヘインズですが、結構マイルスの影響化にあるように聴こえます。そういえば去年”ビッチェズ・ブリュー・リビジテット”とかいうのをやっていました。そんなヘインズがソロをとるラストの牧歌的な曲はマイルスの《イン・ア・サイレント・ウェイ》みたいに聴こえてきます。

私はルドルフの音楽には個性的なソリストが必要だと思いました。このアルバムはソリストがいない曲や瞬間が結構あるのでちょっと物足りない感じがするのです。ソリストがいないとしっくりこないのがジャズ・ファンの悲しい性なのかもしれませんが、ルドルフの音楽の強度の足りなさは決してそればかりではない気がします。ソリストと一緒になって強度を持つのがルドルフの音楽なのではないかという気がします。

私が買ったのは輸入盤ですが、日本盤も出ていますので、ルドルフについて知りたい方は日本盤をどうぞ。

アルバム名:『Both/And』
メンバー:ADAM RUDOLPH他。

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