ムタン兄弟のバンドが好きです。
ジャズは色々聴いているのですが、好きなタイプというのがあります。私は80年代のフュージョンもやった人達がメインストリーム回帰路線としてやったようなジャズが好きです。当時でいえばチック・コリアの『スリー・カルテッツ』、デイブ・リーブマンとリッチー・バイラークの『クエスト』、マイク・マイニエリの『ステップス』の初期とかがそれです。今ならこの人達がお気に入り。
ムタン・リユニオン・カルテットの『シャープ・ターンズ』(2007年rec. bluejazz/BMP PARIS)です。メンバーは、フランソワ・ムタン(b)、ルイ・ムタン(ds)、リック・マーギッツァ(ts)ピエール・ド・ベスマン(p,rhodes,vo)です。去年出た『ソウル・ダンサーズ』の前のアルバムです。買っていなかったので今頃買いました。ジャケットに写るムタン兄弟がカッコイイですね。最近「美男子ジャズ」(女子を取り込もうとしているらしい節操がない企画、笑)なる本が出ましたが、このムタン兄弟こそ”美男子ジャズ”向きだと思います。
このグループはアルバム『レッド・ムーン』を聴いて気に入り、その次に出た『サムシング・ライク・ナウ』も買いました。その後フォローしていなかったら、昨年の『ソウル・ダンサーズ』が私の周辺のジャズ・ブロガー間で話題になっていたので買うことに。ウェザー・リポートのようなサウンドを志向していたのも気になったのです。聴いたらやっぱりこういうジャズは好きということになりました。私はウェザー・リポートも好きですしね。
最近新譜の面白いのがなかったので、聴きそびれていたものをフォローしようということでこれを買いました。これ、”デュアルディスク”であることに今日気付きました。最初見た時に両面CDみたいでおかしいなと思ったのです。そのままCDプレーヤーへ入れたら認識しないので裏返してやっと再生できました。紛らわしいCDだと思っていたのです。今日、ジャケット裏を読んでいたら”デュアルディスク”って書いてあるじゃないですか、で、良く読んだら片面がDVDだったのです。
内ジャケットの写真はそのライブの模様でした。シカゴのスモーキー・シアターでのライブ映像が入っています。輸入盤をAmzonの海外業者から買ったので安いです。かなり得した気分。ライブ映像を観たら、男気溢れるごついムタン兄弟、ちょっと優男のベスマン、伊達男のマーギッツァ、う~む、やっぱりこいつらは”美男子ジャズ”なのでした(笑)。
さて、内容。ムタン兄弟は双子です。名前から分かるとおりフランス人。ベースとドラムで抜群のコンビネーションを見せます。シャープであるけれどパワーも失わないのが良さです。ベースのきしみ具合が特に良いですね。オーディオ的にも聴きごたえがあります。変拍子も難なくこなす今時リズム隊。全8曲のうち7曲を2人で半分ずつ作曲しているのですが、コンテンポラリーな佳曲揃いです。このアルバムでも既にウェザー・リポートっぽい曲がありますね。
ピアノのベスマンはフランスの現代ピアノ・トリオ”プリズム”のピアニストでもあります。基本は現代テクニカル・ピアニストですが、無機的にならず哀愁も含んだなじみやすいピアノを弾くのが良いです。時々エレピでやんちゃなサウンドを付加しているところも好きです。マーギッツァはポスト・マイケル・ブレッカーの一人。クールに落ち着いていながら時には熱く燃え上がり、現代テナーの良さをストレートに聴かせてくれます。
いつもアルバムに入れているムタン兄弟2人だけの演奏もいい出来です。今回は《トレーンズ・メドレー》。トレーンというのはもちろんジョン・コルトレーン。コルトレーンは今時コンテンポラリーな人達にも広く支持されていると思います。時代と一緒に考察するとどうも重苦しいイメージのコルトレーンですが、《ジャイアント・ステップ》で見せたようなメカニカルでクールな美というのはマイケル・ブレッカーがそうであったように、現代人にも愛される要素だと私は思っています。っていうか、私が単にコルトレーンのそういうところが好きなだけかも(笑)?
現代的なクールでカッコ良いジャズが聴きたい人にお薦めです。
ライブも観られるのでかなりお得!
アルバム名:『Sharp Turns』
メンバー:
Francois Moutin(b, composition)
Louis Moutin(ds, composition)
Rick Margitza(ts)
Pierre de Bethmann(p, fender rhodes, vo)
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