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2011年8月

「ヒップホップ・プロデューサーを聴く」④

ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた連続講演「ヒップホップ・プロデューサーを聴く」の詳細レポートの続きです。講演者は原雅明さんとDJアズーロさんです。

今回のレポート、私はヒップホップ初心者なので、誤解している可能性があることはご了承下さい。また、名前や用語の聞き間違えなどもあるかもしれませんのでご容赦願います。

今回はかけた曲と解説、私が聴いた感想や意見を分けて併記していきます。
そしてやっぱり音がないとジャズ・ファンには分からないので、YouTubeにあった音源を貼り付けます。なおここに貼った音源と当日かけたものとはバージョンが違う可能性がありますのでご了承下さい。

3.~現代
  デイヴ・クーリー(STONES THROW)/ダディ・ケヴ/Beat Dimensions

⑯J-Tredsの《Praise Due(indopepsychics Remix)》(2000)

この頃以降、音響とアンダーグラウンドなクリエイトがリンクしてきます。これを聴いた後、「レコードはやばいですね。」とアズーロさんと原さん。JトレッズはNYのラッパー。3人組のチームでリミックスしています。イケイケ感、グルーヴが出ます。こういうインドープなものはエレクトロニカに行きます。それを見据えてヒップホップは前に進んでいきます。この辺で行くところまで行っちゃったそうです。元ネタありきでクリエイティブなことをやる一つの到達点です。この後2000年代前半はビート的なものが停滞します。こういうビートに疲れて反動で出てきたのがジャジー・ヒップホップ。

これは凄いSEサウンド。低音がうねりまくってました。インドープってこういうことなんですね。確かにこればかりでは疲れます。フリー・ジャズの反動でフュージョンが出てきたように、ジャジー・ヒップホップがフュージョン的な理由が分かりました。(ピンク字は私の感想や意見などです。)

⑰J Dillaの《Stop》(2006)

Jディラが新しくやり始めたもの。これが遺作になってしまったそうです。アルバム『ドーナッツ』に収録。ディオンヌ・ワーウィックの歌を使っています。ゆり戻しでネタをそのまま使っています。音像が変。大ネタというのはクラブの雰囲気をキャッチしたい時に使うものという悪い意味があるが、ここではキャッチーに聴かせる意味で使っていません。曲を切り刻んで構成。サンプリング観が違ってきます。クリアランス(著作権)の問題で切り刻んで使います。過去を参照することがこれまでとは違ってきています。

これは多層の音楽。ポップな曲(ディオンヌ・ワーウィックでした)をまといつつ、過激な内面を持っています。なるほどこれがマッドリブにつながるのかと思いました。現代的複雑な内面を持つ若者的感情を音にしていると思いました。突然終わったんでビックリ。

⑱Ras G & The Afrikan Space ProgramGhettoの《Staring Riddim》(2006)

埋め込みできないのでリンクを貼ります。
http://www.youtube.com/watch?v=iM36x6WFytE

Jディラ以降、影響を受けた人が出てきます。そんな中の一人ラスG。音が悪いです。この人はMP3で平気で音源を渡してくる人とのことでした。アナログ盤にすると音が変わってくるそうです。

これは明らかにリズムが変ですね。Jディラに影響されたのは分かります。YouTubeで聴くと明らかに帯域不足の鼻づまり音。オーディオ趣味の私が最も嫌う音の類です。でも「いーぐる」オーディオでアナログで聴いた時はそんなに悪いとは思いませんでした。

⑲Young Jazz Rebels(Madlib)の《For Brother Sun Ra》(2010)

バンド名のクレジットがありますがマッドリブ。普通のフリー・ジャズと変わりません。ビートはジャズと混じっています。マッドリブのイエスタディーズ・ニュー・クインテットが出た時、アズーロさんはインストで自由だと感じたそうです。ヒップホップ・ビートはち密に切り刻んで組み立て、そこにラップがのるものだったが、そういうフォーマット的に固まっていたところから抜け出しました。これは、イエスタディーズ~より更に自由になっています。サンプリングを極め、Jディラとは別の方向性で抜けたものです。ラスGにもサン・ラーに捧げたアルバムがあります。ラスGとマッドリブがついにやっちゃった。マッドリブはサンプリングでサン・ラーみたいなことをやりたいと言っているそうです。

これはもう変態的。アバンギャルド。よくここまでいじると思います。SEそのものという感じ。マッドリブはこれまでにいくつか聴きましたし、アルバムも買いましたが、表面的に少し違っていてもも作風と発想は同じです。こういう電脳オタク・サウンド(私が勝手にそう言っている)をジャズの未来に据えることには違和感があります。ただアバンギャルド(前衛)という意味では、ジャズが持っていた前衛性の先にあるものがこういうものなのかもしれないというのは否定しません。

⑳Matthewdavidの《We Helped Pioneer This》(2010)

YouTubeにこの曲はありませんでしたが、Matthewdavidの曲はUPされているので、雰囲気を知るためにフライング・ロータスをフィーチャした《Group Tea》を貼り付けておきます。

マシューデイヴィドは白人。ロウ・エンド・セオリー(クラブ・パーティ)、ダブラブ(LAのウェブラジオ)の周りにいたりする人。フライング・ロータスの作風に影響を与えています。西海岸ビート・シーンのキー・パーソン。凄く才能がある人です。ドローンみたいな音が特徴で、これは彼の作品の中ではビート感がある方(貼った音源はビート感希薄)。アンビエント、テクスチャー・ミュージックみたいな側面があります。「ジャズのレコードからサンプリングしなければならない。」「ビートがファットでなければならない。」という、ヒップホップと聞いて思い浮かぶティピカル(典型的な)ものと違うものです。アズーロさんは、「現行ビート・ミュージックのサンプリングとして大きくなる可能性があるものとして見ていきたい。」とおっしゃっていました。フライング・ロータスが有名になったので、その名前を周りの人が上手く使っていて、フライング・ロータスの周りに、70年代マイルス的人のつながりが出てきています。「これがヒップホップなのか?というのは、マイルスはジャズなのか?と同じであまり意味はない。」とアスーロさん。サンプリングにしろ楽器を使うにしろ、この人の周りのシーンが面白いそうです。

なるほど、ディスコあたりから始まったヒップホップもここまで来ると隔世の感がありますね。

以上で講演は終了。

質問コーナーの質疑をちょっと書いておきます。

私がした質問「この20曲はヒップホップ史として捉えていいのか、またその位置づけはどういうものなのか。」に対する回答は次のようなものでした。
「ヒップホップ史ということでは、ビート主体の変遷。位置づけという意味では、アスーロさんと原さんが考えるヒップホップの芯。今回の選曲は1994年を境にビルボードのヒットチャートに乗るような物は入っていない。アート的な視点で追った。1小節や2小節が繰り返されているだけなのに、何度も聴けて首が振れるヒップホップの特殊性。サンプラーをメインにミニマリズムという手法がヒップホップのコア。ヒップホップはDJ、スクラッチ、ダンス、クラブカルチャーなどがあるが、それぞれ別なくくりで話すこと。」

「リアルタイムで聴いたのか?後追いで聴いたのか?」という質問に対する回答は、「ヒップホップ雑誌『ブラスト』(1995年創刊、シンコーミュージックの雑誌『クロスビート』の別冊、10年くらい続いた)を読んで聴き進めた。」とのことでした。

今回の講演はかなり濃くて深い内容でした。ヒップホップへの理解は深まったように思います。「いーぐる」のオーディオでアナログ(レコード)で聴くヒップホップはとても気持ち良かったです。

原雅明さん、DJアズーロさん、後藤雅洋さん、皆さん、楽しい講演でした。
大変ありがとうございました。

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「ヒップホップ・プロデューサーを聴く」③

ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた連続講演「ヒップホップ・プロデューサーを聴く」の詳細レポートの続きです。講演者は原雅明さんとDJアズーロさんです。

今回のレポート、私はヒップホップ初心者なので、誤解している可能性があることはご了承下さい。また、名前や用語の聞き間違えなどもあるかもしれませんのでご容赦願います。

今回はかけた曲と解説、私が聴いた感想や意見を分けて併記していきます。
そしてやっぱり音がないとジャズ・ファンには分からないので、YouTubeにあった音源を貼り付けます。なおここに貼った音源と当日かけたものとはバージョンが違う可能性がありますのでご了承下さい。

2.ニュー・スクール~90年代
  ボブ・パワー(ATCQ)/エディ・サンチョ(プレミア)/DITC回り/RAWKUS/
  西海岸ニュー・スクール

⑧Organized Konfusionの《Releasing Hypnotical Gases》(1991)

時に外からの目というか白人が登場してきます。ラッパー2人組。デモを作るのをポール・Cが担当していて、亡くなってしまうそうです。自分達でトラックも作りラップもしています。途中で展開して全然違うビートになっていくところはアート性が高いです。リリック自体も発射される銃弾になった気持ちで作るなど、文学性の高いリリック。よく練られたビートにのっています。頭の音響が面白いエフェクトでコラージュ的。同じ速さのビートが変わるところなど、クリエイティブで面白いとのことでした。

水のあぶくの音が面白いです。ビートが速くてバスドラが突っ込み気味。けいれん系ビート。フルートが効果的。サビがかなりエレクトリック。これもハービーの『ディス・イズ・ダ・ドラム』の中にある曲のビートに似ていました。もちろんハービーは後追いでここまで尖ってはいません。3年後のアルバムです。これはかなり気に入りました。こういう凝ったサウンドはジャズ(フュージョン)好きには受けると思います。(ピンク字は私の感想や意見などです。)

⑨Gang Starrの《Take It Personal》(1992)

DJプレミアのプロデュース。元のビートは超有名なもの。音の粒立ちがはっきりしたファットな音ではなく、あえて遠い音でレベルを小さめにしています。ドラムをパーツごとに切り分けて打ち込み直すチョップという手法を使っています。これもミニマル感があり、元のビートを匂わせつつ別な世界を立ち上げています。フレーズだけでなく音響的に凄く変えています。ドラムが何で小さいのかと思うが、クラブで聴くとビートになるそうです。バラバラだけれど聴くとワンループ。元のブレイクを知っていて「こう変えてきたか?」と楽しむもの。

これはバスドラのビートが強力。これも『ディス・イス・ダ・ドラム』あたりのビートに近いです。発想が貧困な私(涙)。だってこれくらいしか知らないんです。

⑩INIの《Fakin' Jax》(1996)

プレミアと双頭をなすピート・ロックのプロデュース。これも③⑥と同様に《Impeach The President》のブレイクビーツ。「3回も登場するなんてどれくらい好きなんだ。」とおっしゃっていました(笑)。音にピート・ロックならではの特色があります。この頃のサンプラーはMPCになっていたがSPを使っています。レコードをサンプリングする時、レベルをオーバーさせて取り込むことで音にパンチが出ています。サンプリングでバラして組み変えるというピート・ロックの個性が出ています。頭にドロシー・アシュビーのハープの音が入っています。「ここでレコードで聴くと良い。」とお2人。

マイルスの『ドゥー・バップ』に似たサウンドでした。う~む、またしても貧困な感想(笑)。ハイハットが効いています。「このブログを書きながらではなく、「いーぐる」で聴いた時の感想ですよ。

⑪Ghostface Killahの《Daytona 500》(1996)

ボブ・ジェームスの《ノーチラス》をサンプリングしています。ヒップホップでよく使われるそうです。ミニマルな作りではなく、色々なネタを取ってくるそうで、映画やTVからもサンプルを取っているとのことでした。クラシック・ブレイクをアートフォームが複雑化していく中でモロにそのまま使っています。プロダクション的に洗練されてきて音が良くなってくる中で音の悪さがフレッシュに受けとられ、難しく考えなくて良いということになったそうです。考えていない身体感覚に忠実な作り方です。ここで聴いてボーカルがでかいことが分かったそうです。

ゴスペル調の歌で始まります。歌の後半の方でマイケル・ジャクソの何かの歌に似ている瞬間があるのですが・・・?拍手や歓声はデイトナ500レースの観客の音?途中のリズムの切れ目が凄いです。スクラッチも強いですね。ギターの音をつぶした感じでロックっぽい?(上記のとおり、ボブ・ジェームスでした。)ちょっとチープな感じが面白いです。ボブ・ジェームスの元ネタをYouTubeで聴きましたが、かなりイメージ・チェンジしてワイルドになっていますね。

⑫Artifactsの《Art of Facts》(1997)

ショーン・J・ピリオドがプロデュース。この時期、QティップやJDからの影響があり、ショーン・J・ピリオドもその影響を受けています。凄くビートが立ってタイトになっています。ある時期からサンプリングしないで、自分で弾いて自分で録るようになります。この時期、JD的なものが一気に出てきました。トライブ・コールド・クエストの4枚目などの音作りの方向性。これまでビートが太いファットなものがヒップホップの音像のスタンダードだったが、そこからずれてきています。スネアが”スカーン”と鳴りリバーブの余韻がファットさになっていたのが、ここではスネアが”カッカッ”とリムショットみたいになり耳に痛いものになっています。低域フィルターで音が切りきれず”モワモワ”しているのがヒップホップのファットさだったが、この頃はもっと低い所でベースが動いています。これは変な感じで最初は受け入れられなかったそうです。クラブで聴くと気持ち悪いそうです。ここから1、2年で新しい傾向になり、エリカ・バドゥがこういう音でやったりして当たり前になっていきます。

これはディープな重いビートでどこかで聴いたことがあると思いました。解説を聞いて分かりました。エリカ・バドゥの『バドゥイズム』でした。私のお気に入りアルバム。このアルバムはオーディオ・チェックCDとしてオーディオ方面で一時期使われました。低音のチェックです。スピーカーの低域が伸びていないと低音が音になりません。途中の音切れが大胆。スクラッチがアクセント。

⑬Company Flowの《Bad Touch Example》(1997)

この時期、NYのアンダーグラウンドにヒップホップがたくさん出てきてメインに対抗します。このカンパニー・フロウは白人。めっちゃ暗くて病的。突然変異的にシーンにあらわれました。カンパニー・フロウによってアンダーグラウンドが暗黒化。ボビー・ハッチャーソンのヴァイブラフォンをサンプリングしています。サンプラーの良い意味でのロー・ファイです。メンバーの人(名前を聴きもらしました)がサースティ・イヤー(ジャズのフリー系レーベル)からソロ・アルバムを出しています。サンプリングからジャズとかの文脈が見えてきた頃です。

タイトな低音、締まったアコースティック・ベースが凄い。ジャズの匂いが強いです。ヴァイブのような音(ボビー・ハッチャーソン)が幻想的。トランペットの音も入っています。これがめっちゃ暗いと言われ、それほど暗く感じなかった私の”耳の暗さ偏差値”が分かって面白かったです。これは私が好きなNYアングラの雰囲気で、その病的なところとかが私好のみ。ヒップホップとジャズのオーバーラップとしてこれなんかはカッコいいです。そういえばサースティ・イヤーから出たマシュー・シップの『ヌー・バップ』(2002年)とかヒップホップ系のビートも使っていますね。

⑭Aceyaloneの《Human Language》(1998)

オーネット・コールマンの《ロンリー・ウーマン》をそのまま使っています。マンブルズという西海岸の白人トラックメイカーが作っています。マンブルズはシャメク・ファラー(だったと思う)の息子。ヒップホップにはジャズマンを親に持つ人が結構いるそうです。東海岸ではマリオン・ブラウンの息子がヒップホプのプロデュースをしてきたそうです。マンブルズはスクラッチの考え方にコルトレーンの即興性を引き合いに出したりしています。西海岸ではフリー・ジャズとかに対して東海岸よりもっと自由。西海岸では過度に商業化されずアート性が残っています。大きなビジネスになると(著作権の問題で)サンプラーが使えないなどがあり、アートとしてダメになっていきます。ヒップホップがNYから西海岸に移ることになっていきます。

ロック的ドラムの8ビートでスネアがメインとなるビート。このあたりのヒップホップは中山さんが考えているストーリーに乗るものなんでしょう。中山さんが注目する西海岸ヒップホップ。商業性はあまりなくアート性が高いとか、フリー・ジャズへの接近とか、なるほどと思いました。マイルスが見た未来はここら辺にあるのでしょうか?⑬⑭は中山さんのジャズ・ヒップホップがらみの選曲ですよね?

⑮Gravityの《Back To The Essence》(1998)

これまでとは別な文脈。スウェーデンのレーベルから出たもの。クラッシュのミックス・アルバムに入っていて日本で小ヒットしました。どこでかけても良い音がするので、アズーロさんが聴きたかっただけだとか(笑)。インストゥルメンタルなビートで当時ヨーロッパのロンドン以外の場所で出てきたものの一つです。

かなりサイケな雰囲気の入り。重いビートでかなり下の下まで出ています。上ものは浮遊系。インストでアブストラクトな感じはDJクラッシャらしい選曲だと思いました。

今日はここまでにします。次回は最終レポート「~現代」です。

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「ヒップホップ・プロデューサーを聴く」②

昨日は ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた連続講演「ヒップホップ・プロデューサーを聴く」に行ってきました。概要と私の感想については前回のブログをご覧下さい。今回は内容の詳細レポートです。講演者は原雅明さんとDJアズーロさんです。

原さんは下記の本の著者、興味深い音楽評論をされています。
DJアズーロさんはDJだけでなく色々多岐にわたる活動されている方で、本の編集とかもされているそうです。

今回のレポート、私はヒップホップ初心者なので、誤解している可能性があることはご了承下さい。また、名前や用語の聞き間違えなどもあるかもしれませんのでご容赦願います。

今回はかけた曲と解説、私が聴いた感想や意見を分けて併記していきます。
そしてやっぱり音がないとジャズ・ファンには分からないので、YouTubeにあった音源を貼り付けます。なおここに貼った音源と当日かけたものとはバージョンが違う可能性がありますのでご了承下さい。

最初に原さんから、今回の講演は後藤さんからの依頼であるとともに、ここでアナログ盤を聴いて良かったことと、サウンド面からヒップホップを聴くと発見があるということでやることになったという説明がありました。

前回中山さんの「ジャズ・ヒップホップ学習会第4回」にゲストとして講演した時には《ロック・イット》やオールド・スクールやエレクトロっぽいものをたくさんかけたので、今回はそれ以降のサンプラーが出てきてからの音をかけるとのことでした。

1.オールド・スクール~ミドル・スクール
  マントロニクス/マーリー・マール/セッド・ジー/ポール・C/トニー・Cほか

①Just-Iceの《Cold Gettin' Dumb》(1986)

まずはマントロニクスがプロデュースしたものということでかけました。ローランド(TR-)909というドラムマシーンや、ミュー(E-MU)SP12のサンプラー(シーケンサー、ドラムマシーン一体型)を使っているとのことでした。これらの機械は80年代に出てきて使われたのは80年代後半。サンプラー主体のヒップホップは80年代半ばのこと。ドラムマシーンやエレクトロはその後テクノへ行ってしまったそうです。デトロイト・テクノとかブラックミュージックです。サンプリングのメモリー容量が少ないからできないということもあるが、ミニマル・ミュージックの流れもくんでいるとのことでした。サンプラーの限定的な使い方です。

鐘の音が特徴。かなり尖って聴こえました。リズムは比較的シンプル(上記解説のとおり)。かなりカッコイイと思いました。(ピンク字は私の感想や意見などです。)

②Ultramagnetic MC'sの《Ego Tripping》(1985)

サンプリングできる時間が増え、数小節単位をサンプリングしてループするようになります。セッド・ジーのプロダクション。この人はサンプリングを極めた人です。曲名は聞きもらしましたが、その曲の1小節(ブレイク)。この頃珍しいブレイクビーツを探し、サンプリングしてレコードを作るというのが主流になります。レコードを2枚使ってDJがやっていたことを、サンプリングでできるようになります。このアルバムの音作りの全体を影で支えたいるのがポール・C。1曲のみこの人がプロデュースしたことになっているが、アルバム全体の監修をしているそうです。ポール・CはNYにいたアイルランド系白人で、NYブルックリンでは伝説的な人。リスペクトされているとのことでした。

リズムは複雑になってドラム(バスドラ)のビート主体。何とも簡単な感想(涙)。こうしてYouTubeで改めて聴いてもかなりカッコイイですね。

③Super Lover Cee & Casanovaの《Do the James》(1987)

アズーロさん的最高傑作。この曲は講演の質問コーナーでアンコールになりました(笑)。曲を聴き終わった後、「(「いーぐる」のオーディオで)これが聴けただけでもいい。最高!」とアズーロさん(笑)。プロデューサーのポール・Cは24才くらいで亡くなったそうです。スタジオに勤めてエンジニアとして働いていた人。サンプラーを使ってスタジオに入ってやるパターン。マニピュレーター的やり方。サンプラーの使い方を教えたり教えられたりしながらやっていたとのことです。音の出し方とか後のヒップホッププロダクションの基本。キック(ドラム)の出方とかはここで完成してしまったそう。フェードアウトしていく時のダブ的処理など、音響的センスに溢れていた人だそうです。

叫びとか少しエフェクト系の音が面白いです。バスドラの刻みは確かにカッコイイ。YouTubeの音がしょぼいのが残念。「いーぐる」で聴くと別次元でしたよ。

④Eric.B & Rakimの《Paid In Full (Seven Minutes of Madness - The Coldcut Remix)》(1987)

毛色が少し変わって、UKのアーティストがアメリカのものをリミックス。リミックスするものがかなりとんでもないもので、アメリカのヒップホップに影響を与えました。イスラエルの歌手を勝手にのせています。ビートも加えて1曲で聴かせる構造になっています。アメリカのネタ堀とイギリスのブレイクビーツがリンクしていた頃で、世界中の人がブレイクビーツを探していた時期です。当時ビートにフォーカスする空気があったそう。ネットでつながっていないのに同じ事をやっていたのが面白いとのことでした。サンプラーが高かったのでカセットの4トラックとかで作っていたそうです。

ハイハットがアクセント。コンガが入っています。インド系女性ボーカル?(イスラエルでした)がUKらしいかも?ベース・ラインがカッコイイ。

⑤Jungle Brothersの《Stright Out The Jungle》(1988)

ビートがありつつネタ使いに関して更に深いところへ入って行きます。90年代ニュー・スクール。ここまでJBだったりファンクビートを使っていたところから、ネタの幅を広げた「そうなるか。」という過渡期のものです。こんなベースが入っているのはここで聴いて分かったとのことでした。ジャングル・ブラザーズ、デ・ラ・ソウル、ア・トライブ・コールド・クエストなどが80年代後半に出てきたそうで、これまでとちょっと毛色が違います。大学生がやっていて、ちょっとインテリジェントなものです。ラップがアッパーな感じではなくもっと自然体。ビートだけじゃなく、ギターやホーンなども元ネタから音を抽出。フィルターという音を抽出する手法を使っています。ビートだけでなく上物も探すようになり、ここからヒップホップが成熟していくそうです。この曲は、空間があり、ちょっとダブに通じる隙間感があります。ダブが必ず入っているのは、サウンドシステムあっての表現で、後の音響派に通じます。ミニマルで空間があってディレイというのは基本となると思って選曲したそうです。

いくつかのパーツの組み合わせ。ビートが単調でなくベースが効いています。コンガも入っています。途中で色々変化。

⑥EPMDの《So Whatcha Sayin'》(1989)

曲を聴いた後、「気持ち良すぎ。本当にいい曲。」とアスーロさん。3曲前位に聴いた《Do The James》同様、《Impeach The President》のブレイクビーツと同じものを使っているそうです。コンプレッサーでスレッショルド(しきい値)を下げて音をつぶしています。クラブで聴くとモコモコしているが、ここで聴くといいとのことでした。ある種のミニマル。そぎ落としたビートにラップがのります。サビはDJのスクラッチのみ。

これはファットな低音が凄かったです。トリップ感がありました。ベース音を加工?途中でスクラッチ系の音が多用されていました。なかなかカッコイイです。

⑦Poor Righteous Teachersの《Shakiyla》(1991)

トニー・Dが聴きたいということで選曲。サンプルの下にキックの”ブーン”というサブ・ベースが入っていてセンスがいいそうです。トニー・Dはイタリア系白人で数年前に亡くなりました。ヒップホップのプロデューサーは意外と白人がいるそうで、最初に出たマントロニクスはジャマイカ系。

どこかで聴いたことがあると思ったのです。ハービーの《ロック・イット》かと思ったら、ハービーの『ディス・イズ・ダ・ドラム』(1994年)の1曲目《コール・イット95》(タイトルが笑える)に似ていたのでした。家で聴いたらピアノのフレーズとかはこれのパクリにみたいです(笑)。かなり似ていますよ。しかもその上で、マイルスみたいなウォレス・ルーニーがトランペットを吹いています(笑)。『ドゥ・バップ』の先をハービーがやったのかも?

ということで、今日はこれにておしまい。次回は「ニュー・スクール~90年代」。

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ジャズ喫茶「いーぐる」連続講演「ヒップホップ・プロデューサーを聴く」①

昨日は ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた連続講演「ヒップホップ・プロデューサーを聴く」に行ってきました。

P32 ここに至る経緯を簡単に整理します。まず中山康樹さんの「ジャズ・ヒップホップ学習会」が5回ありました。「マイルスがやっていたようなジャズのカッコ良さがある時からヒップホップに行ってしまった。」という問題提起の基”、ジャズ・ヒップホップ”を学習しようという講演です。

私は中山さんの問題提起にとても興味を持ったので、5回行われた講演に全て出席。講演では毎回異なるテーマ、ゲストも迎えたりして色々なものが展開されました。5回ではありますが、中山さんのご意見の他、ゲストの大谷能生さん、村井康司さん、今回の講演者原雅明さん、そしてジャズ喫茶オヤジ後藤さんという4人の異なるポジションにいらっしゃる方々のご意見が提示され、私の中では整理されないまま、それこそ頭の中におもちゃ箱をひっくり返されたような状態になりました(笑)。

多分後藤さんも同じような感じを受けたのだろうと思います。頭の中に散らかったおもちゃ。「このままじゃね~。」というわけで、今度はおもちゃをお片付けするモードになったのかならないのか?。まずは”ヒップホップ”という整理棚を購入して色々なおもちゃ(ご意見)を収めてみようという感じかも?

前回は鷲巣功さんが「ヒップ・ホップ前夜」ということで講演。1979年から1984年までのヒップホップの生い立ちから進化する過程や世の中に認知される過程を解説して下さいました。

そして今回の講演、「ジャズ・ヒップホップ学習会」の第4回のゲストだった原雅明さんとお仲間のDJアズーロさんが1987年から現代に到るヒップホップをプロデューサーという切り口で解説するものでした。原さんの意図としては「いーぐる」の高音質オーディオでアナログ(レコード)でヒップホップを聴いて気持ち良くなりたいというのもありました。ただ気持ち良くなるだけではなく、クラブの音響空間ではマスクされてしまうものを、ジャズ喫茶という音響空間で再発見しようという意図もありました。その意図は達成されたようでした。

ヒップホップ初心者の私にはかなり高度な内容でした。解説には専門用語や未知の人名が”ビシバシ”出てきたのです。実は私もそうなるだろうことは想定済み。今回初めてB5の白紙3枚を用意してこの講演に臨んだのです。あ~あっ、何と3枚裏表がメモで埋め尽くされてしまいましたよ(汗)。ここまでして講演を聴く私は相当なアホですね。何が私をそこまで駆り立てるのか(笑)?

高度な内容ではありましたが決して難解なものではありませんでした。それはお2人が解説できちんと曲の聴きどころとなぜ良いのかを丁寧に説明して下さっていたからです。最初は”ボーッ”と捉えていた私も耳のフォーカスの仕方が徐々に分かってきました。言葉による説明というのは、特に耳が出来上がっていない段階ではとても有効に作用します。

「今回は人物より曲の解説を主体にした。」というのを打ち上げの席でお2人から聞きました。それが良かったと思いました。ヒップホップという音楽がどういうものか知るにはやっぱり曲をきちんと把握しなければならないからです。

そして今回の選曲、トピック的な視点があるとはいえ、ヒップホップが分かるお2人がカッコイイ、キモチイイと思う選曲がなされていたわけで、なるほど聴いて確かにカッコイイし、キモチイイのでした。講演にはヒップホップを聴く方も多数いらしていて、曲をかけた後、原さん、アズーロさんが「いいですね~。」と言うと、あちこちから同意のオーラが沸き起こっていたのを肌で感じました。こういういい音楽を皆で聴いて「いいよね~。」となる空間、私は大好きです。

今回は20曲かけました。これら20曲でヒップホップを判断するのはどういうものかと思い、最後の質問コーナーで私は「この20曲はヒップホップ史として捉えていいのか、またその位置づけはどういうものなのか。」という質問をしました。回答は「ビート主体の変遷で、アズーロさんと原さんが考えるヒップホップ(音楽)の芯。」とのことでした。回答を聞いて思いました。今回の20曲でヒップホップがどういう音楽なのか理解しても大きな問題はないだろうということです。

さてここからが問題発言です。前回鷲巣さんの講演でヒップホップの生い立ちを学習し、今回はヒップホップの芯を学習したことになります。そこで思ったことは、「ジャズのカッコ良さがヒップホップに行ってしまった。」というのはちょっと違うかもしれないということです。”ジャズのカッコ良さ”と”ヒップホップのカッコ良さ”、それぞれなのだろうということです。オーバーラップさせたところにカッコイイ音源がみつかるかというと、なかなか難しいという感じが”ムクムク”と湧き上がってきています。

そうは言っても中山康樹さんのジャズの先にヒップホップをつなぐ試み自体は凄く興味深いですし、私のようなジャズサイド側から言えば、ヒップホップを知ることで、現代ジャズを楽しむ上での新たな視点が増えるというか懐が広がるという旨みはあるのではないかと思います。だから近々発売される中山さんの「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」はとても楽しみにしています。

今回はレポートが長くなりそうなので、とりあえずここまでで一旦切ります。かけた各曲の紹介は次にしますので、どんな曲がかかり、どういう解説がなされ、ヒップホップ初心者の私がどう聴いたのか興味がある方は次回以降もぜひお読み下さい。

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多分クラブ・ジャズ方面には受けが良いのだろう。

今日は新譜紹介です。私があまり得意としないクラブ・ジャズ方面からは受けるだろう人のアルバムです。

P31 アダム・ルドルフズ・ムーヴィング・ピクチャーズ・ウィズ・オーガニック・オーケストラ・ストリングスの『ボーズ/アンド』(2010年rec. META records)です。メンバーは、ムーヴィング・ピクチャーズ:アダム・ルドルフ(handrumst,thumb piano,bata,mouth bow,per)、ラルフ・M.ジョーンズ(hulust,bass-cl,a-fl,c germanic-fl,ss,ts,bamboo-tp,bamboo-fl)、ジョセフ・ボウイー(tb,organic/electronics,vo,ham,congas,bamboo-tp,per)、グレアム・ヘインズ(col,flh,bamboo-tp,per)、ブラヒム・フリブガン(oud,cajon,bendir,tarija,per)、ケニー・ウェッセル(el-g,ac-g,banjo)、ジェロム・ハリス(ac-bg,g,slide-g,vo)、マット・キルマー(frame-ds,kanjira,bata,per)、オーガニック・オーケストラ・ストリングス:vl7名、vla2名、clo2名です。一人がいくつもの楽器をかけもちしているので書くのが大変でした。

これはディスクユニオンの新譜情報を見て買いました。買ったのは安く買えるAmazonの通販ですけどね(笑)。ディスクユニオンのサイトからアダム・ルドルフのプロフィールをコピーしてきました。

シカゴ出身の作曲家兼ハンド・ドラマー/パーカッショニスト。1970年代から独特の混合主義的アプローチでハンド・ドラムに取り組み、サム・リヴァース、ファラオ・サンダース、L・シャンカール、フレッド・アンダーソンなど異なるカルチャーの即興音楽の達人たちとクリエイティブなコラボレーションを重ね、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ及び日本の数々のフェスティバルやコンサートに出演。
特にドン・チェリー、ジョン・ハッセル、ワダダ・レオ・スミス、オマール・ソーサとの革新的な少人数グループ及びデュオのコラボレーションで知られる

とのことでした。クラブ・ジャズからは評価が高いスピリチュアル・ジャズ集団ビルド・アン・アークのリーダーであるカルロス・ニーニョの師匠がこのアダム・ルドルフらしいのです。う~む、ややこしい(笑)。なぜ人物説明を書いたかというと、私のブログを訪問する方はこちら方面に弱いのではと思われることと、私自身が再確認するためです。

サウンドを聴くアルバムです。ルドルフのアフロ系リズムの上に色々な楽器が塗り重ねられていて、その色彩感を聴きとるのがポイントでしょう。それだけではなく、リズムがない現代音楽的なものも数曲あります。ライナーノーツには1曲ずつイメージやリズムの構成などが記載されているくらいなので、ルドルフという人はかなり知的なコンポジションをするのだと思います。グループ名がムーヴィング・ピクチャーズっていうくらいなので、映画の場面が展開するようにサウンドが展開する構成です。

サウンドはアフロな黒いもの、インドとカントリーが融合したフォーキーなもの、弦が加わった現代音楽的なもの、南米チリあたりの民族音楽的な匂いがするものなど、色々あります。グレアム・ヘインズなどがソロをとる曲もあれば、ソロがないものもあります。

確かにルドルフという人は才能がある人なんだと思いますが、サウンドそのものは強度がそれほどありません。だからソロがないものなどは、うっかりするとB.G.M.として右の耳から入って左の耳へ抜けていってしまいます。私にからすればちょっと物足りないのです。でもそれだけで終わりではないのが面白いところ。

それはどういうところかというと、例えばヘインズがコルネットでソロを取るような曲で起こります。強度がそれほどないサウンドとヘインズが反応して、急に黒いモノがそこに立ち上り強度が増すのです。つまりルドルフのサウンドが触媒と化して、ヘインズから黒さという強度を引き出しているように聴こえるのです。1曲目はトロンボーンのソロでも黒さが引き出されています。他にもウィッセルが現代NY的ギターを弾くと都会的な怪しさが立ち上ったりします。なかなか面白いです。

ヘインズですが、結構マイルスの影響化にあるように聴こえます。そういえば去年”ビッチェズ・ブリュー・リビジテット”とかいうのをやっていました。そんなヘインズがソロをとるラストの牧歌的な曲はマイルスの《イン・ア・サイレント・ウェイ》みたいに聴こえてきます。

私はルドルフの音楽には個性的なソリストが必要だと思いました。このアルバムはソリストがいない曲や瞬間が結構あるのでちょっと物足りない感じがするのです。ソリストがいないとしっくりこないのがジャズ・ファンの悲しい性なのかもしれませんが、ルドルフの音楽の強度の足りなさは決してそればかりではない気がします。ソリストと一緒になって強度を持つのがルドルフの音楽なのではないかという気がします。

私が買ったのは輸入盤ですが、日本盤も出ていますので、ルドルフについて知りたい方は日本盤をどうぞ。

アルバム名:『Both/And』
メンバー:ADAM RUDOLPH他。

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今日もサックス・トリオ

前回に続き今日もサックス・トリオ・イン・フランス。

P29 『ダニエル・ユメール/フランソワ・ジャノー/アンリ・テキシェ』(1979年rec OWL)です。メンバーは、ダニエル・ユメール(ds)、フランソワ・ジャノー(ts,as,ss,fl)、アンリ・テキシェ(b)です。ユメールとテキシェと言えば、フィルウッズのヨーロピアン・リズム・マシーンですよね。そこにフランスの重鎮サックス奏者が加わる豪華トリオです。

これは渋谷のレコード店 「discland JARO」 で買いました。その時はたまたまヨーロッパ盤ばかりチェックした時で、下の方の棚にあるレコードをかき分けながら必死で探していると、店主の柴崎さんから、「それほどヨーロッパ盤を探す人を久しぶりに見た。」なんて言われてしまいました(笑)。5年くらい前の話です。

特に聴き辛いことをやっているわけではありませんが内容は濃いです。単に4ビートでオーソドックスにやるだけではなく、8ビートを取り入れたり、フリー・インプロをやったり、エスニックな風味を加えたりと、1979年当時としては新しいことを取り入れた内容になっていると思います。

A面1曲目《フラクチュエイション》はいきなり8ビートです。メロディーもちょっとキャッチー。小躍りしそうなロックンロールな始まりです。サックスの多重録音アンサンブルを加えているところがちょっとフュージョンぽいかも。途中でリズムや曲調が変わる展開は一筋縄ではいかないところです。ユメールとテキシェの繰り出す躍動的なリズムに乗って、ジャノーがブリブリ吹きまくるのは痛快。テキシェのベースはガッツ入りまくりです。

上記の曲を含め3曲(組曲1曲)をジャノーが作曲、ユメールとジャノーの共作が1曲、テキシェの曲が1曲、モンクの曲が1曲という構成です。

ジャノー作の組曲は3部から成り、オーソドックスな4ビート演奏、バラード演奏、フリー・インプロになっています。4ビート演奏は王道ジャズですし、バラードは甘さほどほどで力強く語りかけ、フリーでは緊張感高くやっています。フリーの場面ではテキシェがベースをかきむしるかきむしる。凄い迫力で煽ってます。ユメールも小技を駆使しつつ大きなグルーヴで鼓舞。濃いです。

B面1曲目の高速4ビートの疾走感、テキシェとじっくり語らい聴かせる続く2曲目のバラード、アフリカン・パーカッションのようなユメールのドラムの上でプリミティブなフルートを聴かせる3曲目など、曲ごとに聴かせどころ満載です。

B面ラスト、モンクの《ジャッキーング》が面白いです。チャルメラのようなソプラノ・サックスで始まります。バックのユメールとテキシェは4ビートなんですがロック的。アドリブをしてラストにテーマがあらわれます。フリーではないけれどアバンギャルド!2分少々の短い演奏。ラストにこういう癖のある演奏をしているところが面白くて好きです。

オーソドックスなジャズなんですけれど、フレンチ・ジャズマンの粋や遊び心が入っているのが良いと思います。この3人にしか出せない独特な風味。こういうヨーロッパのジャズもなかなか良いものですよ。CD化されているんでしょうかね?

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とても音楽的なフリー・サックス・トリオ

今日紹介するのは「ジャズ批評」誌のジャズオーディオ・ディスク大賞2010、インストゥルメンタル部門9位のアルバムです。音はもちろん良いのですが内容も良いアルバムです。

P28 ダニエル・ユメール、トニー・マラビー、ブルーノ・シュビヨン『パ・ド・ダンス』(2010年、ZIGZAG)です。メンバーは、ダニエル・ユメール(ds)、トニー・マラビー(ts)、ブルーノ・シェビヨン(b)です。フリー・ジャズのサックス・トリオ。全曲3人による即興演奏です。

こういうのがジャズオーディオ・ディスク大賞に入っているのはちょっと異色ですよね。これは選考委員の田中伊佐資さんが推薦しています。田中さんの考えは、「この賞はピアノ・トリオばかりで内容がいまいち。」みたいなことを言われることへの反発だったようです。このアルバムは、田中さんが吉祥寺のサウンド・カフェ・ズミを訪問した際に、マスターの泉さんから薦められたものとのこと。岩浪さんは3位に入れていますね。当の田中さんは8位。

私はミュージックバードの田中さんの番組でこのアルバムを聴いたのですが買いそびれていました。それがこの頃の円高でかなり安くなっていたので購入。只今なら¥948也!私はやっぱりマラビー買いです。マラビーがフランス・フリー界のベテランと組んでどんな演奏を繰り広げるかに興味がありました。

これ、音が良いですね。フランス録音ならではのクリア度とパワー感。マラビーの音響的ソロが非常にはっきり伝わってきます。細かいニュアンスがよくとらえられています。マラビーのサックス・トリオは何枚も持っていますが、マラビーのサックスはこれが一番良い音に録れている気がします。マラビーのサックスのみならず、ユメールのシンバルやスネア、シュビヨンのベースも表情豊かです。こういう音響重視の演奏には録音の良さが生きてきまね。

音楽の傾向としてはマラビー色が強いように感じます。マラビーにユメールとシュビヨンが余裕で合わせている感じです。マラビー好きの私には嬉しい内容。マラビーの触覚的なソロがたっぷり楽しめます。マラビーのソロが爆発する瞬間もありゾクゾク。ニューヨークのアングラ的下世話感が少なく、フランスのエスプリが香るのは共演する2人のフランズ勢のおかげでしょう。

ニューヨークとパリが旨い具合に混合。ニューヨークのダウンタウンとパリのシャンゼリゼが溶け合って、色香漂う芳醇な空間が現出しています。どこか余裕があるおおらかな雰囲気も良いと思います。ユメールとシュビヨンのヨーロッパ的懐の深さのなせる技なんでしょう。

とても音楽的なフリー・ジャズ・サックス・トリオ。カッコイイと思います。

アルバム名:『pas de dense』
メンバー:
Daniel Humair(ds)
Tony Malaby(ts)
Bruno Chevillon(b)

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今日は懐かしい思い出話を書きます。

最近真空管アンプ製作のことについてブログに書きました。今日はそのルーツとなる思い出話を書きます。自分大好き記事ですよね(笑)。同じような体験をされた方もいらっしゃると思います。そんな方は当時を懐かしんで下さい。

私が電子工作を始めたのは小学校6年生くらいだと思います。きっかけは何だったのか?今ではよく覚えていません。まあ、昔からメカとか電気とか好きでしたからその流れだと思います。電子工作の前はご多聞に漏れずプラモデル作りです。軍艦のプラモデル「ウォーター・ライン・シリーズ」にはかなり入れ込みました。鉄道模型にも嵌りましたね。ジオラマを作りたかったのですが、当時住んでいた家が狭かったので、中途半端に作って終了。その後はオーディオ一本槍です。

電子工作の話に戻ります。当時NHK教育TVで「みんなの科学」という番組をやっていました。たぶん夕方5時半くらいからだったと思います。この番組は電子部品を使った工作を解説指導する番組で、私は夢中で見ていました。ビデオなんかない時代(あるにはあったが一般家庭には普及していない時代)なので番組を見て必死で回路図を写しました。”番組を見てメモをとる”、これって、”ラジオ番組や講演を聴いてメモをとる”のルーツですね。そういえば昔から授業のノートをとるのとか得意だったのを思い出しました(笑)。

当時のメモを書きなおしたノートがあったので、ここに公開します。
これは私が一番最初に作ったこの番組の電子工作、タッチ警報ミニブザー
P23_2

そしてこれが夏休みの課題”自由工作”?で作ったミニ電子オルガン。
P24_2

他にもいくつか作りました。電子ビックリ箱、ICインターホンなど。

番組に手紙を送って資料も送ってもらいました。それがこれ。懐かしい!
P25

実家に置いてあったのが幸いして、捨てられずに残っていました。私が持っていたら整理好きの私のことだから処分していた可能性があります。余談ですが、当時NHK教育TVでは「オーディオ入門」という番組をやっていて、これも夢中で見ていた記憶があります。トリオ(ケンウッド)や山水(サンスイ)のDCアンプ、デンオン(デノン)やテクニクスのDDプレーヤー全盛期です。この頃BOSE(ボーズ)が日本に輸入され始めました。この番組のガイドブックも買いました。番組のテーマ曲は今でも耳に残っています。

またまた横道にそれててしまったので、電子工作の話に戻ります。当時こういう電子部品をどこで買っていたかというと、「甲府ラジオパーツ」です。塩部町にありました。家からはそれほど遠くなかったので自転車で買いに行っていました。狭いお店に所狭しと電子部品が並んでいるのを見てワクワクしたものです。私の中ではそれが秋葉原につながっていきます。

こんなものも出てきました。私が最初に作ったスピーカーの図面です。コーラルのFLAT5-Ⅱの推奨箱を作ったのでした。スピーカーユニットは家にあったモジュラーステレオ(死語ですね。)のプラスチックケース入りのものを外して使いました。貧乏オーディオ(涙)。バスレフのチューニングとか無視です。とにかく木の箱に入ったスピーカーがほしかったのです(笑)。この頃から故長岡鉄男さんのスピーカー自作本を読んでいました。そうでした。”私のオーディオ史”というのをブログに書きたいと思いつつ未だに実現していません。
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ここで話は一挙に飛んで大学生時代へ。もうつながりまくっているのですが、電子工学科に入った私。この道一筋ですね(笑)。進学当時は理工系は就職がないからやめた方がいいと高校の先生に言われたにもかかわらずの選択です。でも4年後、バブル景気前夜ということもあってか?理工系は引く手数多。就職難なんて無縁のことでした。

「電子回路第二」(だったと思う)の授業で差動アンプを作って特性を測るという課題が出されました。テスターを買わなくてはならなくなり、買ったのがこれ。SOAR(ソアー)のデジタルテスター。当時としては最先端型のテスターです。私なりに奮発しましたね。¥9,500也。れっきとしたメイド・イン・ジャパン。韓国製ではありません。

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年期入っているでしょ。未だにこれを愛用しているんですよ。そうそう、これも「甲府ラジオパーツ」で買ったんです。この頃は下石田町に移転していました。グランパークの裏のあたり。お店も広くなっていました。そしてこのテスターを買いに行ったのが「甲府ラジオパーツ」へ行った最後なのです。大学卒業後は他県に就職したので、ここへ来ることはなくなったわけです。

この「甲府ラジオパーツ」は現在「甲府ラジオサービス」と名を変えて古上条にあるらしいです。「甲府ラジオサービス」はネット検索すると出てきます。一度お店を探しに行こうかな?

昔を思い出してみると、結局興味を示したことは未だに変わっていないというか、こういうことってず~っと変わらないんでしょうね(笑)。

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久しぶりに寺島本を読んでみる。

数年ぶりに寺島靖国さんのオーディオ本を買いました。
「JAZZオーディオ 魔境の旅」です。

前回上京した際に秋葉原のラジオデパートの中にある「電波堂書店」で買いました。
昔は秋葉原に行く度にここで「無線と実験」「ラジオ技術」などを買っていました。
この本屋さん、オーディオなどの自作をする人は誰でも知っている「海神無線」の
向い側にあります。
この本屋さんで立ち読みをしている人と海神無線で会計を待つ人で、
狭い通りが混雑し、通行の妨げになっている光景なんかも時々みかけました。
ここは私の秋葉原徘徊コースです。
本屋をチラッと見るとこの本が目に飛び込んできました。
「そういえば最近寺島さんの本を買っていないな~。」と思いしばし思案。
結局ラジオデパートを一回りしてから購入。

やっと本の内容の話です。
雑誌に連載、掲載されたものに加筆・訂正してまとめた本です。
なので最初のほうは数年前の内容だったりします。
読み進めるうちに寺島さんの心境の変化が見えて面白いですよ。

まだ半分ほどしか読んでいませんが相変わらずですね。
寺島さんの持論をエキセントリックに展開しています。
もう他人がどうこう言う世界ではないと思います。
トコトンこの路線で行って下さいませ(笑)。
こういう方がいらっしゃれば、それはそれで面白いのです。
こんなんだから、好き嫌いははっきり分かれるでしょう。
好きな人は強烈に支持するし、嫌いな人は強烈に拒否する世界です。
私はどうかって?
ちょっと冷めた目でニヤニヤしながら眺めています(笑)。
寺島さんの心境の悲喜こもごもがとにかく面白いです。
これってある意味寺島さんのブログだと思います。

そして私のオーディオ話。
製作した6V6プッシュプルアンプの話です。

最初は冴えない音でした。
使い回しの部品を使ったとしても、ハンダ付けは新しいわけで、
新品の部品もいくつかあるし、やっぱりエージングが大事です。
やっと音が落ち着きつつあります。
なかなか具合は良さそうです。
真空管も最初使っていたシルバニアの6V6GTと
フィリップスECGの6SL7WGTから
フランス・ヴィソーの6V6GとNECの6SL7GTに変えました。
こちらが本命の球です。
整流管は変わらず日立の5AR4。
6V6Gの方が大きい球なので存在感があっていいですね~。
ヴィソーの6V6Gはヴィンテージ球と言って良いと思います。
球の佇まいが麗しい。

P22

ラックに納まってなかなか良い見栄えです。
ほとんど自己満足(笑)。
オーディオなんて結局は自己満足の世界です。
このアンプを見ながらニヤニヤしている私。
自分で作ったものだから余計愛おしく感じます(笑)。
で、次なる構想がもう頭の中に芽生えているのでした。

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クールに燃え上がる?

適当にCD棚から選んだ1枚。

P21 ヤコブ・ダイネセンカート・ローゼンウィンケル『エブリシング・ウィル・ビー・オール・ライト』(2002年rec. STUNT RECORDS)です。メンバーは、ヤコブ・ダイネセン(ts)、カート・ローゼンウィンケル(g)、アンデルス・クリステンセン(b)、クレステン・オスグッド(ds)です。ジャケット写真からはライブ盤のように見えますがスタジオ録音。録音から早9年。

スタント・レコードはデンマークのレーベルですが、自国のミュージシャンとアメリカのミュージシャンの混合メンバーで出すCDが多いです。これもそんなメンバー構成。デンマーク勢にギターのカートが客演した感じです。ベースのクリステンセンは一昨年出したアーロン・パークスとポール・モチアンとのピアノ・トリオが話題になりましたね。クリステンセンもカートもモチアンのバンドに在籍したことがあります。

ポール・モチアンつながりで解釈すれば音楽性はだいたい想像がつくと思います。現代的浮遊感を持ったクールなサウンドです。でもここでは曲によっては速い4ビートで結構熱く燃え上がる演奏をきかせてくれたりします。レニー・トリスターノ系フレージングのソロではありますが、抑制感はあまりなく、おおらかな自由さも漂っているのが良いところです。

ショーターの《リンボ》で始まるあたりが現代新主流派的でもあります。その後ダイネセンの曲が5曲続いた後に、エバンスの《タイム・リメンバード》、コルトレーンの《26.2》、ジャンゴの《ニュアージュ》と続いて終了。間に挟まるダイネセンの曲と前後のジャズマン・オリジナルは上手くマッチングしていて流れに違和感はありません。ダイネセンの曲もなかなか良い曲です。《ワルツ・フォー・マイ・ワイフ》の落ち着いたクールな甘さなんかは私好み。ラストの《ヌアージュ》をほのぼの演奏して終わるのがユニーク。

速い曲では”ガシガシ”とキレと力強さで迫り、遅い曲ではモチアン的な空間を活かしたリズムを刻むベースとドラムのコンビネーションは良好です。そんな気持の良いリズムの上で、ダイネセンのテナー・ソロとカートのギター・ソロがたっぷり楽しめます。比較的オーソドックスでソロを生かしたコンテンポラリー・バップ。意外と80年代くらいの感覚を残しているのも良いと思います。職人技を聴かせる感じの演奏です。

これを最初に聴いた時は灰色でモノトーンなイメージだったのですが、今日こうして久々に聴いてみるとそうでもないのです。彩もあるのです。色にするなら薄紫色かな?まっ、私のいい加減な感覚ですからあんまりあてにしないで下さいませ。派手さはないけれど良いアルバムだと思います。

アルバム名:『EVERYTHING WILL BE ALL RIGHT』
メンバー:
JAKOB DINESEN(ts)
KURT ROSENWINKEL(g)
ANDERS CHRISTENSEN(b)
KRESTEN OSGOOD(ds)

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彼らならではの世界観を聴く音楽

ディスクユニオンのアウトレットで買った1枚。評価が賛否両論あったので買いそびれていたアルバムです。

P20 ザ・クローディア・クインテット『ロイヤル・トースト』(2009年rec. CUNEIFORM RECORDS)です。メンバーは、クローディア・クインテット:ジョン・ホレンベック(ds,per)、テッド・ライクマン(acc)、クリス・スピード(cl,ts)、マット・モラン(vib)、ドリュー・グレス(b)、+ゲイリー・ヴァセーシ(p,acc1曲)です。今回はクローディア・クインテットにヴァセーシが加わっています。

このアルバムは com-post のクロスレビューで賛否が分かれていたので、買おうと思ったけれど結局買うのを見合わせていました。それがディスクユニオンで安く売っていたので買うことにしたわけです。アウトレットは安く買えて良いのですが、自分が推薦していたアルバムを多々みつけたりするとガッカリします。まっ、私が聴いているのは結構マニアックなものが多いので、一般受けしないのはやむを得ないところです。

さて、このアルバムですが、基本的にはホレンベックが作曲しています。面白いのはところどころにメンバー全員の短いイントロが各々1曲ずつ計5曲入っているところですね。ここにあるのはクローディア・クインテット(ホレンベック)の世界観。作曲部分が多いとか、黒くないとか、ジャズっぽくないとか、そんなことを言ってもしかたないと思います。このグループの世界観に共感できるかできないかが評価の分かれ目でしょう。

世界観に共感できれば、そこに提示されているもののクオリティーが高いことは自ずと見えてくるはずです。その世界を言葉で言い表すと郷愁感と近未来感だと思います。郷愁感を音であらわしているのはアコーディオンで、近未来感を音であらわしているのはヴァイブラフォンです。この2つの楽器の持つ音を上手に生かしています。全体的には儚さとミステリアスな雰囲気も漂っています。

ドラマーがリーダーということもあってか、リズミックな曲が多いところは好きです。曲は複雑ですね。次々と表情を変え物語が進むように場面が展開していきます。ソロとかもありますが、それよりはサウンド重視です。音響的な展開も随所にあります。こういう現代的なジャズはサウンドのテクスチャー(肌ざわり)とそこに醸し出される微妙な雰囲気を感じとらないと面白さは半減します。デリケートな音楽なのです。

忘れていました。今回加わっているヴァセーシ効果は如何に?違和感なくこのグループに溶け込んでいました。ヴァセーシの表現がグループのサウンドに彩を与えています。ピアノが入ることによってジャズ風味もちょっぴり増しているように思います。

これは買って良かったと思います。こういうものも面白いです。

アルバム名:『ROYAL TOAST』
メンバー:
John Hollenbeck(ds,per)
Ted Reichman(acc)
Chris Speed(cl,ts)
Matt Moran(vib)
Drew Gress(b)
Gary Versace(p,acc)

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メセニーの新譜も書いておかないとね。

最近ブログに何を書こうかと悩むことが多くなってます。どうしてもこれが書きたいというのがありません。いやっ、あるにはあるのですが、書こうと思うとめんどうになってしまったりする自分がいます。とういことで、今日は今更のメセニー新譜。

P19 パット・メセニー『ホワッツ・イット・オール・アバウト』(2011年rec. NONSUCH)です。メンバーは、パット・メセニー(BARITON GUITAR,.42-STEING GUITAR,6-STRING GUITAR,NYRON-STRING GUITAR)です。メセニーのソロですね。メインはバリトン・ギターで、3曲のみはそれぞれ別のギターを弾いています。

まず選曲に触れないとまずいんでしょうね。メセニーが若いころ聴いてきた曲をやっているらしいのですが、いきなりサイモン&ガーファンクルの《サウンド・オブ・サイレンス》なんで、かなりベタな選曲なのだろうと分かります。ジャズ喫茶「いーぐる」の打ち上げでこのアルバムの話が出た時に、Y.N.さんがヴィーナス・レコードみたいな選曲だと笑っていました。そう言われてみれば確かにそんな感じです(笑)。

でも、メセニー、選曲はベタでも演奏は一筋縄ではいきません。1曲目の《ザ・サウンド・オブ・サイレンス》は42弦ギターを弾いています。私にはその高音が琴のように聴こえ、イメージとしては東洋風なのです。ベース弦はまさにベースの音、ジャランとコードを弾くとギターの音になり、まるで3つの楽器を3人が弾いているように聴こえます。でもソロなんですよ。さすがはギター小僧メセニー。選曲はベタでもそこにテクニックを生かした独自の世界を持ち込んでいるのです。こういう曲を1曲目に持ってくるあたりにメセニーらしさを感じます。

それは4曲目の《パイライン》にしてもしかり。ベンチャーズの”テケテケテケテケ”を、6弦ギター(普通のクラシック・ギター?)を使って、スパニッシュに弾くんです。ベンチャーズの曲をスパニッシュに弾くのなんてメセニーくらいしかいないでしょうね。最初の”ジャラン”を聴いた瞬間、山口百恵の《秋桜(コスモス)》かと思いました(分かる人には分かると思います。笑)。これを聴くとよく分かりますが、メセニーってやっぱりギターが上手いのでした。

続く5曲目《イパネマの娘》をここまで間を生かして弾くのも珍しいと思います。2分くらい行ったところの長めの無音。メセニーがどこかへ行ってしまったのかと思いました(笑)。この美メロ曲の音数を絞りに絞って解体して別な美世界として聴かせるメセニー。面白いと思います。

その他の曲はメロディーを生かして聴かせてくれます。私はメセニーの普通の曲解釈での演奏は好きです。温かみがありますからね。ほどほどの哀愁感も好印象です。どっぷり甘くならないところがいいんですよ。そういう演奏の中では《アルフィー》がお気に入り。それは私がバカラックのこの曲を大好きだからに他なりません。メロディーを素直に聴かせるものの好き嫌いは、結局曲の好き嫌いになってしまうだろうと思います。現曲はよくしらないんですが《ベッチャ・バイ・ゴリー・ワウ》も好きになりました。

ラストはレノン・マッカートニーの《アンド・アイ・ラブ・ハー》。ベタな曲に始まりベタな曲で終わります。でもこちらはナイロン弦ギターで、普通のメロディー解釈でした。私の思い込みなのでしょうが、ハープっぽく聴こえる瞬間があります。琴で始まりハープで終わる。メセニーさん、やっぱり一筋縄ではいきません。

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6V6プッシュプルアンプ製作(配線~完成編)

少し前に 「6V6プッシュプルアンプ製作(シャーシ加工編)」 をアップしました。
今日はその続きです。少しずつ進めて完成しました。

まず、シャーシに部品を取り付けます。
今回は上部パネルと枠に分離できたので、上部パネル、枠それぞれに部品を取り付けた後で、上部パネルと枠を合体させました。部品取り付けの順序は軽い部品からというのが鉄則です。重い部品を最初に取り付けちゃうとシャーシのハンドリングが大変になってしまいますからね。ボリュームとシャーシが接する所は塗装を落として、ボリュームケースがシャーシアースになるようにします。これを忘れるとボリュームに触れる度に盛大な雑音を発するようになって困ります。
P11 すべてノグチトランスです。チョークコイルは黒色のものを私がハンマートーン色に塗りました。出力トランスPMF-18P-8kは少々小ぶりですがまあ良しとしましょう。スペース的にはタンゴのFE-25-8が取り付けられるので将来変更するかも?電源スイッチや入出力コネクタなどは昔から統一したものを使っています。今回は前にバラしたアンプの部品を流用。シャーシ内部はこんな感じです。
P12 真空管アンプを作る場合、電源トランスを右側に配置する人と左側に配置する人とに分かれますが、私は左側に配置します。それはオーディオ機器の電源スイッチがほとんど左側にあることに倣ったからです。

配線作業に移ります。
私は配線前に主要部分のラフスケッチを書いてから配線します。穴あけ図面を裏返してそこに配線と部品配置を書き込みます。

P13 配線のやり方も人それぞれです。私の場合はアース母線をはることにしています。太めの錫メッキ銅線をはります。熱容量が大きめなのでしっかり熱を加えてハンダ付けすることが肝心。基本ですがアース線はループを作らないようにして下さい。縦ラグを使って部品を取り付けます。
P14_2 アース母線と1点アースで雑音が問題になったことはほとんどありません。次はアース以外の配線。私はベルデンの#16線、#18線を使います。配線材はバラしたアンプから外したものを流用。配線の色分けもします。配線はAC電源、ヒーター、B電源、出力トランス回り、入力同軸の順で行います。順序はどうでも良いのですが、アンプ製作本を色々読んだ末の私なりのやり易さです。直線最短距離での配線ではなく、一応見た目も気にして配線。結束帯も使って仕上げます。ハンダ不良がないように気をつけながら配線します。
P15_2 

回路部品を取り付けます。
増幅部の抵抗は理研電具のカーボン被膜抵抗(リケノーム)RM、RMG、RMA混在です。以前作ったアンプをバラして外したものを流用。今回不足していた数値のものは秋葉原の若松通商のネット通販で入手。私はリケノームが好きです。最初にアンプキットを購入した秋葉原の三栄無線の高級キットでこの抵抗を使っていたのと、私のアンプ製作のバイブル「魅惑の真空管アンプ」の著者である故浅野勇さんがこの抵抗を愛用していたからです。この抵抗の良さは値のばらつきが少ないことです。音的には癖の無さか。本当はRMで良いのですが製造中止になってしまったため、高級なRMGや高精度のRMAも使っています。でもRMGとRMAも既に製造終了。今は秋葉原などの在庫品のみという状況です。代わりの抵抗として東京光音電波のやつがあるのですが、リケノームに比べると抵抗値のバラつきが大きいのが気に入りません。電源部のワット数の大きい物は酸化金属皮膜抵抗とセメント抵抗を使います。酸金抵抗を増幅部に使うとギラギラした音になるようなので注意。出力管のカソード抵抗だけはデールの巻き線抵抗です。
抵抗の話はこれくらいにして次はコンデンサー。電源部の立型電解コンデンサーはセラファイン。チューブラー型はスプラグを使っています。これらもバラしたアンプからの流用。電解コンデンサーは経年劣化が気になるので新品にしたいところですが、これが意外と劣化は進まないようで(アンプの使用頻度が少ないことにもよる)、流用しても今のところ問題は発生していません。カソードのバイパスコンデンサーは今回新調。前段がニチコンのMUSE-ES(無極性)、出力段がニチコンのMUSE-FGです。これらは秋葉原の海神無線のネット通販で入手。カップリングコンデンサーは色々迷ったあげく値段も考慮してスプラグのオレンジドロップにしました。若松通商から入手。
これらの部品を実装するわけですが、私の場合はかなり立体的に配置しますので、初心者には難しいだろうと思います。今回は部品を流用したため脚の長さが足りないものがあり、一部窮屈な実装を余儀なくされました。電解コンデンサーには極性がありますので要注意!ここでもハンダ不良がないように気をつけながら進めます。
P16_2部品の色がさまざまなので かなりカラフルな仕上がりです(笑)。私なりに満足できる仕上がりとなりました。この後配線チェックということになるのですが、私の場合はハンダ付けしながら逐一確認しているので、軽く見直す程度です。今回も問題はなかったです。

そして真空管実装。
6V6GTが小ぶりの球なのでこじんまりした仕上がりになりました。

P17_2 P18この後、シャーシをひっくりかえして電源投入。各部の電圧を測って設計値とだいたい合っていればO.K.ということになります。今回はB電源の抵抗値を調整することもなく目的の電圧配分になっていました。私はここで特性をチャックします。オーディオ計測器とオシロスコープを使います。正弦波と矩形波を入力して最大出力、残留雑音、応答波形などを調べます。最大出力(出力波形クリップ開始)は8.5Wくらい。B電源の電圧がちょっと低く目なので10Wには届きませんでした。まあ、このくらいあれば問題なしです。残留雑音はかなり低くそのまま読んでも電源トランスに近い左チャンネルで1mV程度でした。
ここでNFBの調整をします。NFBは約-9.5dBにしました。波形にリンギングが多めに発生したので微分補正をしました。取りきれないので積分補正も必要なのでしょうが、私は積分補正が嫌いなのでしません。これで完成です。

音には満足したのか?
う~む、もう少しエージングしてから結論を出すことに致しましょう。

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今日はデヴィッド・マレイ

今日は数年前に出たアルバムを紹介。
毎日何の脈絡もなくアルバムを繰り出していますよね。私!

P10 デヴィッド・マレイ・ブラック・セイント・カルテット『ライブ・イン・ベルリン』(2007年rec. jazzwerkstatt)です。メンバーは、デヴィッド・マレイ(ts,b-cl)、ラファイエット・ギルクリスト(p)、ジャリブ・シャヒド(b)、ハミッド・ドレイク(ds)です。ベルリンでのライブ録音。この硬いジャケットがドイツ盤らしい気がします。なかなかクリアでダイナミックな音に録れています。

マレイというとフリーの人というイメージがあるかもしれませんが、その後は歌も大事にする熱血スピリチュアルなサックス奏者になりました。今回もその路線で熱くブローしながら”コテコテ”にやってます。ブラック・セイント・カルテットっていうくらいですから黒いです。そういえば昔ジェームス・”ブラッド”・ウルマーとやった『チルドレン』が熱くて黒かったですね。聴きたくなってきました(笑)。

最初の曲《ダーティ・ランドリー》”汚い洗濯物”は、ラテン風味が入った爽やかな曲で笑ってしまいます。これ、れっきとしたマレイのオリジナル曲。ラテン風味が入っていて、どことなくチック・コリアの《スペイン》風でもあります。そんな曲の上で”ブリブリ”気持ち良さそうに吹くマレイが素敵。マレイの後のピアノ・ソロ部は、ベタな美メロのチック・コリア・トリオという感じで聴きやすいです。

それではまずいと思ったのか?次の曲《バニッシュド》はベースのアルコ(弓弾き)ソロでスピリチュアルに始まります。でも尖り度は控えめ。かなり進んでからマレイのバスクラリネットが登場。これもマーカス・ミラーのバスクラみたいで聴きやすいですね。すっかり馴染みやすい人と化したマレイがいます。

3曲目《セイクリド・グラウンド》”神聖な地”は、タイトルとはちょっと違う感じのベタ甘バラード。神聖な地でこんな”愛”の告白をしてしまっていいんでしょうか(笑)?”愛”を語りまくるマレイ。ピアノもメロドラマの主題歌みたいな甘いコードを被せていきます。ソロが進むにつれてメロメロになっていくマレイ。その後にドラマチックな無伴奏ピアノ・ソロとピアノ・トリオが畳み掛けてくるから凄い。最後に”ヒェ~、ェ~ェッ”とマレイが登場。コテコテでんがなっ(笑)。「これもまた良し。」なのでした。17分20秒!

《マレイズ・ステップス》は軽快な4ビート。ちょっと練習曲みたいなコンテンポラリー・バップ曲。とはいえキャッチーな曲です。フュージョン系バンドがアコースティック・ジャズをやっているみたいな感じがします。こぶしが効きまくったマイケル・ブレッカー?途中”グデングデン“フレーズを挟みながら、ほろ酔い加減の西荻窪のマイケル・ブレッカー?は快調に飛ばします(笑)。ディープやな~。ピアノは明るく楽しく。結構”ガンガン”弾きます。”C調”チック・コリア(笑)ですね。ガッツ溢れるベース・ソロとドラム・ソロもあります。

ラストの《ワルツ・アゲイン》はタイトルどおりで3拍子。曲は都会的でクールな部類だと思うのですが。”コテコテ”マレイがこういう曲をやるミス・マッチが面白いですね。ちなみに全5曲マレイのオリジナル曲です。演奏の展開はこれまで書いたものと同じです。「このワン・パターンが良い。」と言ってしまいましょう。

小難しいことを考えずにマレイ他の音に浸れば楽し!
暑い日にこんな熱いアルバムを紹介してしまいすみません。

アルバム名『LIVE IN BERLIN」
メンバー:
DAVID MURRAY(ts, b-cl)
LAFAYETTE GILCHRIST(p)
JARIBU SHAHID(b)
HAMID DRAKE(ds)

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ムタン兄弟のバンドが好きです。

ジャズは色々聴いているのですが、好きなタイプというのがあります。私は80年代のフュージョンもやった人達がメインストリーム回帰路線としてやったようなジャズが好きです。当時でいえばチック・コリアの『スリー・カルテッツ』、デイブ・リーブマンとリッチー・バイラークの『クエスト』、マイク・マイニエリの『ステップス』の初期とかがそれです。今ならこの人達がお気に入り。

P8 ムタン・リユニオン・カルテット『シャープ・ターンズ』(2007年rec. bluejazz/BMP PARIS)です。メンバーは、フランソワ・ムタン(b)、ルイ・ムタン(ds)、リック・マーギッツァ(ts)ピエール・ド・ベスマン(p,rhodes,vo)です。去年出た『ソウル・ダンサーズ』の前のアルバムです。買っていなかったので今頃買いました。ジャケットに写るムタン兄弟がカッコイイですね。最近「美男子ジャズ」(女子を取り込もうとしているらしい節操がない企画、笑)なる本が出ましたが、このムタン兄弟こそ”美男子ジャズ”向きだと思います。

このグループはアルバム『レッド・ムーン』を聴いて気に入り、その次に出た『サムシング・ライク・ナウ』も買いました。その後フォローしていなかったら、昨年の『ソウル・ダンサーズ』が私の周辺のジャズ・ブロガー間で話題になっていたので買うことに。ウェザー・リポートのようなサウンドを志向していたのも気になったのです。聴いたらやっぱりこういうジャズは好きということになりました。私はウェザー・リポートも好きですしね。

最近新譜の面白いのがなかったので、聴きそびれていたものをフォローしようということでこれを買いました。これ、”デュアルディスク”であることに今日気付きました。最初見た時に両面CDみたいでおかしいなと思ったのです。そのままCDプレーヤーへ入れたら認識しないので裏返してやっと再生できました。紛らわしいCDだと思っていたのです。今日、ジャケット裏を読んでいたら”デュアルディスク”って書いてあるじゃないですか、で、良く読んだら片面がDVDだったのです。

P9 内ジャケットの写真はそのライブの模様でした。シカゴのスモーキー・シアターでのライブ映像が入っています。輸入盤をAmzonの海外業者から買ったので安いです。かなり得した気分。ライブ映像を観たら、男気溢れるごついムタン兄弟、ちょっと優男のベスマン、伊達男のマーギッツァ、う~む、やっぱりこいつらは”美男子ジャズ”なのでした(笑)。

さて、内容。ムタン兄弟は双子です。名前から分かるとおりフランス人。ベースとドラムで抜群のコンビネーションを見せます。シャープであるけれどパワーも失わないのが良さです。ベースのきしみ具合が特に良いですね。オーディオ的にも聴きごたえがあります。変拍子も難なくこなす今時リズム隊。全8曲のうち7曲を2人で半分ずつ作曲しているのですが、コンテンポラリーな佳曲揃いです。このアルバムでも既にウェザー・リポートっぽい曲がありますね。

ピアノのベスマンはフランスの現代ピアノ・トリオ”プリズム”のピアニストでもあります。基本は現代テクニカル・ピアニストですが、無機的にならず哀愁も含んだなじみやすいピアノを弾くのが良いです。時々エレピでやんちゃなサウンドを付加しているところも好きです。マーギッツァはポスト・マイケル・ブレッカーの一人。クールに落ち着いていながら時には熱く燃え上がり、現代テナーの良さをストレートに聴かせてくれます。

いつもアルバムに入れているムタン兄弟2人だけの演奏もいい出来です。今回は《トレーンズ・メドレー》。トレーンというのはもちろんジョン・コルトレーン。コルトレーンは今時コンテンポラリーな人達にも広く支持されていると思います。時代と一緒に考察するとどうも重苦しいイメージのコルトレーンですが、《ジャイアント・ステップ》で見せたようなメカニカルでクールな美というのはマイケル・ブレッカーがそうであったように、現代人にも愛される要素だと私は思っています。っていうか、私が単にコルトレーンのそういうところが好きなだけかも(笑)?

現代的なクールでカッコ良いジャズが聴きたい人にお薦めです。
ライブも観られるのでかなりお得!

アルバム名:『Sharp Turns』
メンバー:
Francois Moutin(b, composition)
Louis Moutin(ds, composition)
Rick Margitza(ts)
Pierre de Bethmann(p, fender rhodes, vo)

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これを見つけて狂喜乱舞?

先週土曜日上京した際に寄ったディスクユニオンの「新宿中古CD・レコード大特価市」。そこで見つけたお宝盤を昨日紹介しました。でももっとお宝は実はこちらなのです。長年探していた1枚です。

P6 『サド・ジョーンス/メル・ルイス&マニュエル・デ・シーカ・アンド・ザ・ジャズ・オーケストラ』(1973,74年rec. PAUSA)です。メンバーは、サド・ジョーンズ(tp)、ジョン・ファディス(tp)、ジム・ボッシ(tp)、スティーヴ・フラド(tp)、セシル・ブリッジウォーター(tp)、ジミー・ネッパー(tb)、クリフ・ヒーザー(tb)、ビリー・キャンベル(tb)、クエンティン・ジャクソン(tb)、ジェリー・ダジオン(as,ss,fl)、エド・キケス(as,ss,cl)、ビリー・ハーパー(ts,fl)、ロン・ブリッジウォーター(ts,cl)、ペッパー・アダムス(bs)、ローランド・ハナを(p)、ジョージ・ムラーツ(b)、メル・ルイス(ds)、ディーディー・ブリッジウォーター(vo)、マニュエル・デ・シーカ(vo)です。サド・メル・オーケストラって凄いメンバーだったんですね。それにしてもタイトルが長過ぎ(笑)。

P7_2 このアルバムを何で探していたかというと、後藤雅洋さん著「ジャズ・オブ・パラダイス」(初版本)に掲載されているからです。この本に掲載されているアルバムのコンプリート蒐集を目指しています。インストものは残り10枚。ボーカルものは残り7枚となりました。このアルバムはもう6、7年探していたのですが一度も見たことがありませんでした。とうとう出会えましたよ!それもコンディション「A」。私の場合コンディション「A」でないと買わないことにしていますので、なかなか出合えなかたりします。もう嬉しくて嬉しくてしょうがない!

ジャズ喫茶「いーぐる」の連続講演「ヒップ・ホップ前夜」の打ち上げで、思わず後藤さんにこれを見せてしまいました。後藤さんは「これは良いアルバムですよ。」とおっしゃっていました。同席していた村井康司さんも「ピットリオ・デ・シーカの息子のマニュエル・デ・シーカのやつだよね。いいよね。」とおっしゃっていました。

その話の時にお店でかかっていたのがモンティ・アレキサンダーの『ジャメント』。これもCD化されていない1枚です。私は川崎のディープなレコード屋さん「TOPS」で見つけて、輸入盤と日本盤のうち、安い方の日本盤を買いました。アレキサンダーと同郷のアーネスト・ラングリンがギターを弾いているなんて話でも盛り上がりました。そしてパブロ・レーベルにはこれの他にも良いアルバムがあるけれどCD化されていないという話になり、アル・ガファの『レブロン・ビーチ』のことが話題にのぼりました。これ、これですよ。これも探している1枚。聴きて~っ。

さて、アルバムの内容はいかに?後藤さんの紹介文を書いちゃいましょう。手抜きしている感じですが(笑)、やっぱり後藤さんのご意見が一番説得力があるのです。

「僕がサド・メル・オーケストラの作品の中で一番感心したのがこのアルバムだ。イタリアの作編曲家マニュエル・デ・シーカの作品をとりあげているが、いかにもヨーロッパ人的な曲想がサド・メル・バンドのダイナミックなスイング感とぴったりと合って、実に雄大なオーケストラ・サウンドを生み出している。このバンドのいいところであるアレンジとソロの配分もうまく、ペッパー・アダムスの力強いバリトン・サックス・ソロが非常に効果的に使われている。新しい感覚のジャズ・オーケストラに関心のある人は、ぜひ一度聴いてみるとよい作品だ。余談ながら。マニュエル・デ・シーカは、あのイタリアの映画監督 ピットリオ・デ・シーカの息子である。」

と、このとおりの内容でした。アルバムA面冒頭はベースが”ブンブン”うなりをあげる中、バリトン・サックスの勢い溢れるソロで始まり、雰囲気的には『サヒブズ・ジャズ・パーティ』のような感じかも?A面はデ・シーカの組曲、B面は組曲の結びとサドの曲が収録されています。後藤さんいわく「サド・メル・オーケストラの作品の中で一番感心した」。どうです聴きたくなったでしょ。

もしも見つけるようなことがあったなら、即ゲットです!

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こんなの見つけました。

先週土曜日、ジャズ喫茶「いーぐる」の連続講演に行く前に、ディスクユニオンの「新宿中古CD・レコード大特価市」に寄ってきました。そこでゲットしたのが今日の1枚。

P4_2 スティーブ・マーカスの『カウンツ・ロック・バンド』(1968年rec. VORTEX)です。メンバーは、スティーヴ・マーカス(acoustic & electric sax)、ラリー・コリエル(g)、クリス・ヒル(b,rhythm g)、マイク・ノック(p,harpsichord)、ドミニコ・コルテス(accordion)、ボブ・モーゼス(ds)、クリス・スワンセン(arrange,per)です。

今回はあまり期待せず、特に意気込むこともなく、軽い気持ちでバーゲン会場へ行きました。JAZZレコードのエサ箱(レコードを入れてある箱)は無造作に床に直に10箱置いてありました。4、5人の人が漁っていた中に私もイン。最初は特にめぼしいものがなく、今日は収穫がないかも?なんて思っていると、出てくるんですよね。5枚以上で40%OFFということで、普段なら買うことを躊躇するようなものまで買いたくなってしまいました。10枚くらい抜いて、その中から7枚買うことに。〆て¥3,600。笑っちゃいました。

実は最大の収穫は別なものですが、今日はこれもお宝であることが分かったので先に紹介します。この『カウンツ・ロック・バンド』は誰かが推薦していたはずなのですが思い出せませんでした。でも安く買えるからいいやという気持ちで買ってきました。家に帰ってひととおり聴いてジャケットを眺めてしばし、思い出しましたよ!中山康樹さん他著の「ジャズ・ロックのおかげです」で推薦されていたはずです。

P5 この本残念ながら今は廃版みたいですね。早速本を読み返してみると中山さん大推薦の1枚でした。推薦文を読んでいくうちに記憶が蘇ってきました。これを買いたいと思って探していたのです。この頃の中山さんって文章がブッ飛んでますね(笑)。一番過激だった頃なのではないでしょうか?こんなことが書いてあります。

「そうなのだ、この『カウンツ・ロック・バンド』こそ、誰がなんといおうと、CDになっていようがいまいが、間違いなくジャズ・ロックの最高傑作なのである。文句あっか!ウダウダいってるとふんづけちまうぞスペシャルこそ、『カウンツ・ロック・バンド』なのだ。そうなのだったらそうなのだ。」

いや~っ、この勢い、凄いですね。私も時々酔った勢いでブログにこんな風な文章を書くことがありますが、ここまではじけていないのが悔しいです。私が「最近私のブログってはじけていませんよね。・・・」とか書いている時は実はこの中山さんのノリが頭の中にあったのだろうと、今日改めて気付いたのです。

う~む、1994年、ブログなんかない時代に、天下の中山康樹さんが、今のブログにふさわしい(私の考えですが)、こんな文章を書いていたという事実だけでも、私は中山さんを尊敬してやまないものがあります。一体どこのジャズ評論家にこんな文章を書く人がいたでしょうか?素晴らし過ぎます!そんな中山さんはこんなことも書いてます。

「とにもかくにもである。必殺の[A]①、《テレサのブルース》を聴け。・・・・・ 極論すれば、《テレサのブルース》1曲だけで、この『カウンツ・ロック・バンド』という作品は、ジャズ・ロックの最高峰に君臨できているのである。それくらいこれはすごいジャズ・ロックなのだ。」と。その後も曲の展開について詳しく書かれています。

私が聴いた感想ですか?そりゃあもう中山さんのおっしゃるとおりだと思います(笑)。中山さんがこんなに力強く推薦するアルバムをゲットできたなんて、私は何て幸せ者なんでしょ!それも私が買ったのはオリジナル盤ですから。でも安かったな~。

というわけで、これだからレコード・ハントってやめられないんですよね。
『カウンツ・ロック・バンド』、見つけたら即ゲットすべし。
ウダウダいってたらふんづけちまうぞ(笑)!

今はもうCDが出ています。

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「いーぐる」連続講演「ヒップ・ホップ前夜」(後編)

先週土曜日に ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた連続講演:鷲巣功さんによる「ヒップ・ホップ前夜」の後編です。

YouTubeに上がっている動画を貼っておきますが、当日かけたものとは違うバージョンがあるかもしれないのでご了承ください。

12.Fab Five Freddyの《Change The Beat》 ’82

機械が導入されると楽曲がいらなくなり、高度な音質が作れるようになります。DJはターンテーブルからサンプリングマシーンを使うようになりサンプリングループを作るようになっていきます。日本の楽器メーカー:ローランドやコルグやヤマハなどの機械が人気で、サンプリングマシーンなど違う使われ方がされていきます。私はここにY.M.O.のテクノとメイド・イン・ジャパンの安くて高性能という時代背景があると感じます(ピンク字は私の意見/感想/注釈など)。これは新しいサウンドを聴いてほしいとのことでした。ハービー・ハンコックの《ロック・イット》のビートとサウンドにかなり近いです。セルロイド・レコードから出たもので、初のフランス語ラップ(フランス人女性ラッパーBesideによる)とのことでした。セルロイドと言えばビル・ラズウェルの自主レーベルです。ネットでこれについて調べたら、プロデュースは”マテリアル”で、その”マテリアル”のバインホーンがシンセとドラムマシーン、ラズウェルがベースで参加していました。どうりで《ロック・イット》に近いわけです。

講演後の質問コーナーで、「これはここまでにかかったものとだいぶビートが違って聴こえたのですが、こういうものは当時他にも多く出てきたのですか?」と鷲巣さんに質問しました。鷲巣さんの答えは、機械が広まり、その中で人間がやらないようなビートが自然に出てきたのではないかというようなものでした。

今思ったことは、こういうビートに”マテリアル”が深く関わっていたとなると、翌83年に出たアルバム『フューチャー・ショック』(《ロック・イット》収録、ハービー・ハンコックとマテリアルが組んで出したもの)はラップ抜きのインストなわけで、こういうビートとサウンドがヒップホップ界に与えた影響は少なくないのではないかと想像しました。

13.West Street Mobの《Break Dance》 ’83

サブ・タイトルの”エレクトリック・ブギー”は、ロボット・ダンスのための音楽とのことでした。そういえばその後ブレイクダンスが日本でも大ブレイクしましたね。懐かしいです。ファンキーなサウンドをひきずりつつ、スクラッチの感じは《ロック・イット》と同じです。私にとってはこんな感じがヒップホップのビートのイメージに直結しています。ボコーダーはテクノの懐かしイメージ。コンガも活躍。

14.Grand Mixer DSTの《Home Of Hip Hop》 84’

《ロック・イット》で有名になったDJ。割りとポップな感じです。ロックなギターが出てきたので、Run-DMC(私にとってはエアロ・スミスとの《ウォーク・ディス・ウェイ》ですが)と似た感じに聴こえました。音のネタはロックからとっているとのこと。なるほどだからなんですね。

ここで鷲巣さんの講演のプログラムになかったものを挿入します。
鷲巣さんの講演にたいして失礼になるとは思いますがお許し下さい。
これを入れるとしっくりくるのです。

ハービー・ハンコックの《ロック・イット》 ’83

見ていて当時の記憶がよみがえってきました。これを見た20歳の私はここに映っているカルチャーにショックを受けたのでした。私にとっての”フューチャー・ショック”は”カルチャー・ショック”でもあったのでした(笑)。それにしても後追いでありながらヒップホップの最先端に合流し、これを世界的にヒットさせたハービーってなかなか凄いですよね。そしてジャズ界で無視されているようなこれが、ヒップホップ界だけでなくアメリカ音楽界に一定の影響を与えたであろうことは想像に難くないのです。

15.Duke Booteeの《Bust Me Out》 ’84

80年中等は録音技術や電子技術の実験的な場がヒップホップだったそうです。超高域/超低域サウンドが広がり、ハリウッド映画にも影響を与えているなんて話がありました。この時期の最高傑作の一つ。当時ヒップホップの人がフルアルバムを作るのは難しかったそうです。それはアルバム1枚分聴かせるだけの曲を作れなかったからで、この曲が収録されているアルバムは、この時代の唯一通して聴けるものとのことでした。いや~っ、これは最初のほうを少し聴いただけでヤバイと思いました。凝ったサウンドですし、音に刺激があり尖っているのです。ですよね?ジャズ耳でもGoog!昨日書いた9番目の《The Massage》に参加していた人がこちらにも参加しているとかで(この音のカッコ良さに浸っていて、肝心なところを聴き逃しました)、鷲巣さんは今日聴いてサウンドが《The Massage》に似ていることに改めて気づいたそうです。なるほど、私がカッコイイと感じる匂いみたいなものの共通性が裏付けられてちょっとビックリ。

16.Malcolm Xの《No Sell Out》 ’83

メッセージ性を含むということでの選曲。マルコムXの演説を使っています。普通にカッコいいでしょ。私はこのビートがカッコいいと思うのです。これって《ロック・イット》とつながっていますよね。’83のリズム・トレンドということなのかしら?

17.Gil Scott Heronの《Re-Ron》 ’84

Gilは音楽詩人とでもいう人でかなりのインテリだそうです。ジャズの世界でも詩の朗読をする人はいましたがもう少し音楽的。ソウルだけれどちょっとジャズっぽいものです。詩の内容はアメリカに住んでいないと分からないもので、ロナルド・レイガンの再選を歌っているのではないかとのことでした。政治的なものにラップ・ミュージックが利用されたりしたそうです。ひとつ前のマルコムXに似ています。途中のサビみたいなのが俗っぽく、いい声で朗読しているのもちょっと、朗読ってそういうものでしょうけどね。カッコ悪いとは思いませんが私には微妙なところ。

この曲だと思うのですが、最初CDのトラッキング不良があって、音が飛び飛びで進みませんでした。でもそれを聴いた私(皆さんも)、とても尖ったヒップホップだと思って聴いていたようで、これがトラッキング不良だと分かった時はどよめきが起きるというハプニングがありました(笑)。その後CDを掃除して無事これを聴くことができました。私は「グリッチ」と呼ばれるこういう効果の音のカッコ良さを認識(笑)。

18.Afrika Bambaataa & James Brownの《Unity》 ’84

アフリカ・バンバータはビル・ラズウェルと組んでアルバム(セルロイド・レコード)を作ったりしています。この頃絶頂期だったバンバータ。黒人の地位向上を訴えたそうです。「一緒になろう(Unity)」と明るく楽しく歌っています。これはJBなんでソウル入ってます。ベースがマーカス・ミラーみたいですね。ヒップホップとかどうこうではなく楽しい!

19.Chaka Kahnの《I Feel For You》 ’84

84年以降ヒップホップが普通の音楽になります。ラップが普通の世界へ顔を出すようになります。その上手くいった例。高度な内容です。《The massage》のG.M.F.& F5のメンバーのメリー・メルが頭とラストでラップしています。これは当時ヒットしましたね。冒頭の部分は強く記憶に残っています。ポップな音です。私にとってはバブリーな音としても記憶に残っています(笑)。「ゴージャスな音。」と鷲巣さん。こういう豪華な作りの最後の頃のものだろうとのことでした。

20.Run-DMCの《Rock Box》 ’84

ヒップホップが一般的になってから登場。鷲巣さんは「ちょっと違う。違うな~、これは何だろう?」と思ったそうで、この頃からヒップホップから離れたそうです。ファンキーなヒップホップの人がいなくなったんだとか。鷲巣さんは、「ヒップホップは頂点を極めるのも速いがいなくなるのも速い。練習とかではなく才能であり、そのため時代に対応していけなくなる人も多い。それはヒップホップらしい。」とおっしゃっていました。サウンドがなじめないし、短いフレーズのラップが好きではないとういうようなお話でした。サウンドがロックなんで意外でした。まっタイトルが《Rock Box》ですからね。エアロ・スミスと共演するのもうなずけました。鷲巣さんがヒップホップと決別した気持は、私には今のところ残念ながら実感が湧きません。

ヒップホップの4要素は、ラップ、スクラッチ、ブレイクダンス、グラフィティとのことでした。「最近の日本ではルーズな服と生意気な態度だけれど。」と鷲巣さんは苦笑していました。

ということで講演終了。

質問コーナーでは質問するとCDをプレゼントしてくれるということで、私は上記の質問をしてCDをいただいてしまいました。鷲巣さん、粋な計らいありがとうございました。

鷲巣さんは「いーぐる」のオーディオの音がいいとしきりにおっしゃていました。アナログは音が悪いと思っていたのに凄くいい音だったと感動されていました。それで講演後にマイケル・ジャクソンの《ビート・イット》の12インチ盤をかけるということに(笑)。これも気持ち良い音で鳴っていましたよ。私はもう「いーぐる」の良い音には慣れちゃっているので、いつもどおりだと思っていたのですが、鷲巣さんはかなり参ってしまったようです。「ジャズ・ヒップホップ学習会」にゲストで来た原雅明さんも同様なことをおっしゃっていましたね。クラブで聴いた時にはマスクされていた細かい音が見えてきて発見もあったというようなことを雑誌に書いていました。

今回の講演は79年から84年までというわずか6年間のものです。この時期にヒップホップが急速に進化していく様子が分かりました。私にとってのヒップホップ=『フューチャー・ショック』の位置づけがほぼはっきりしました。とても楽しい講演でした。

鷲巣さん、後藤さん、皆さん、ありがとうございました。

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「いーぐる」連続講演「ヒップ・ホップ前夜」(前編)

昨日は ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた連続講演:鷲巣功さんによる「ヒップ・ホップ前夜」に参加してきました。

P3 これまで私は中山康樹さんによる「ジャズ・ヒップホップ学習会」5回全てに参加して、ジャズとヒップホップのつながりについて色々学んできました。それはヒップホップを学ぶという意味でもありました。大谷能生さん、村井康司さん、原雅明さんという3人のゲストが招かれ、少しづつ違った角度からヒップホップというものを見ることもできました。でもヒップホップは5回くらいでは到底学べるようなものではなく、当然のことながら広い世界なのです。ということで、今回はまた違った角度からヒップホップについて講演があると聞き、よりヒップホップに迫れるのではないかと楽しみにして参加しました。

今回はジャズはなく、全てヒップホップです。最初に書いてしまいますが、鷲頭さんの選曲はメジャーというか王道というかベタなというか、そういうものだと思いました。中山さんの講演はジャズとのつながりという目線があったので、ヒップホップを斜めから見るようなところがあり、それはゲストを招いた時にも同じだったので、今回はよりストレートにヒップホップに向かい合えたような気がしました。まっ、まだまだヒップホップ初心者の私が感じたことなので、やや的外れな感想なのかもしれませんが、とんでもなく外れているわけでもないと思います。

まず鷲巣さん自身について。鷲巣さんは80年代にヒップホップに関わっていたそうで、音楽業界内部からヒップホップを見ていたそうです。

最初にプログラムにはない曲から始めました。
ジャズ・ヒップホップを象徴する曲ということで、ギャング・スター《ジャズ・シング》(この曲は中山さんの講演の第5回目でもかかりました)、1990年のものです。ターンテーブルのループ、スクラッチ、ジャズから音源をひっぱってくるなど、ヒップホップの要素が全て入っているとのことでした。触りにくいところから音源をひっぱってきてめちゃくちゃやるというのがあるそうで、この頃からジャズ側から歩み寄ってくる大物ミュージシャンがいたり、ジャズの最先端の人がヒップホップを持ち上げたりしたそうです。この頃のジャズ・ヒップホップに確かな産物はないとのことでした。唯一、コートニー・パインがヒップホップ系のトラックにパインの演奏を乗せるものがかなりカッコ良かったとのこと。この曲《ジャズ・シング》はジャズで、Us3の《カンタループ》はポップスだと言って、中山さんが比較してかけていました。私もその意見には納得しました。(ピンク字は私の意見/感想/注釈など)

ということで、本日のプログラムの始まり。

この手の音源はほとんどYouTubeに上がっていますので貼っておきます。なお、当日かけたものとは違うバージョンがあるかもしれないことはご了承ください。ちょっとさしでがましい気もしますが、参考にしていただければ幸いです。

1.Sugar Hill Gangの《Rapper's Delight》 ’79(年号は発表時期)

世界初のラップです。ディスコビートにのってラップで場を盛り上げる感じのもの。

2.Fat Backの《King Tim Ⅲ》 ’79

前の曲と同じ時期の史上初のラップレコード。インスト&ボーカル。Fat Backはダンスクラブの仕事をメインにしていたそうです。King Tim Ⅲはラッパー。バックの演奏はFat Back。ディスコ的掛声が入っています。これもディスコですね。中盤はコーラスで前後にラップが入っています。以上2曲は今ヒップホップを聴いている人には違和感があるはずとのことでした。確かにそう感じました。この2曲は大谷さんもかけましたね。

3.Spoonie Geeの《Spoonin'》 ’79

Geeのファースト・レコーディング。ベースとドラム(パーカッション)にラップだけ。当時流行したイントロとのことでした。ホイッスルで始まります。ディスコではない感じで、ベースが前面に出たファンクビート。”ヒップホップ”という歌詞が出てくるそうです。私は気付きませんでした(涙)。当時、鷲巣さんもここれがヒップホップだという認識はなかったそうです。

4.Double Troubleの《Stoop Rap》 ’83

79’以前から黒人ゲットーで遊びとしてラップはあったのではないかとのことでした。それがどういうものか感じをつかんでもらうための曲。年代はもっと後のものです。バックトラックなしで路上でしゃべっています。カッコ良さと日常路上の雰囲気を聴いてほしいとのことでした。何かのサウンドトラックに入っているとかおっしゃっていたような?私はちょっと聞き取れず。ごめんなさい。確かにカッコ良く、ストリート(路上)性を感じました。

5.Chicの《Good Times》 79’

なぜ音楽的にラップが取り入れられたのかという話。ディスコが流行していた時、単調な繰り返しの演奏で、踊っている時は良いけれど家で聴くと飽きるというのがあったそうです。そういうブレイクビーツでたいくつしないようにしゃべり始めたのがラップが取り入れられた始まりとのことでした。気持ちの良いブレイクビーツが入っている曲ということでこれをかけました。これは当然ディスコの曲。鷲巣さんは”たまんない。”とおっしゃっていました。私はそこまではいきませんが(笑)、確かに気持ち良かったです。ピアノのソロがいいなんてことも。サンプリングのオケヒット、弦が”ヒュー”と入るやつの元祖だとか。長いけれど我慢して全部聴いて下さいなんておっしゃていました。我慢する感じではなかったです。

6.Kurtis Blowの《The Breaks》 ’80

それまでラップにスーパースターはいなかったが、そこに出たのがこの人。わりとインストルメンタルにこだわる人だそうです。聴くと確かにこだわっています。これがヒットしてヒップホップが認知されたそうです。ラップのメジャーヒット。レーベルが大手のマーキュリー。日本盤は《おしゃべりカーティス》というダサいタイトルだったとか。ドラムのビートがカッコいいです、ティンバレスが効果的に使われています。

7.Grand Master Flash & Furious 5の《Super Rappin' No.2》 ’80

真打登場。DJと5人のラッパー。ディスコのレコードB面のインストの上で歌わせるもの。この辺からテクニクスのレコードプレーヤーSL-1200を使うことになります。ここまでトラックはオリジナル。ラップの掛け合いがカッコイイ。掛声の”ホー、ホー”とか特徴的でした。コンガが入っているのですが、そういえば中山さんがコンガでジャズからヒップホップまでつなげられるなんておっしゃっていましたね。ここでコンガが登場するところが面白いです。これは気に入りました。

8.G.M.F.の《The Adventure Of G.M.F. On The Wheel Of Steel》 ’81

グランド・マスター・フラッシュの電光石火の指さばきを聴いてほしいとのことでした。いや~っ、カッコイイ!こういうことをしたいと思った人が当時増えたのもうなずけます。これは全部リアルタイムでやっているか疑わしいが、これくらいのことはしていたはずとのことでした。これには一部オーバーダビングも入っています。ブロンディが自分のこと(スラッシュ)をカッコイイと歌っているのをちゃんと聴いていてそれを最初のほうに入れているとのことでした。ブロンディの《ラプチュアー》からの引用ですね。翌年くらいに藤原ヒロシさんが影響されてDJになり、ネタが奥村チヨとかで面白かったそうです。この《ラプチュアー》について以前私がブログに書いているので御覧下さい。「元祖白人ラップ曲《ラプチュアー》」 私はこの80年に《ラプチュアー》をリアルタイムで聴いていたのでした。ラップと知らずに。
*雲さんからコメントをいただいて気付いたのですが、これには5番目にかかったChicの《Good Times》が引用されていたんですね。私、何を聴いていたんだろう。ふがいない。そういえば鷲巣さんもそのことに触れていたようないないような・・・記憶が~(涙)。

9.G.M.F. & F5の《The Message》 ’82

ここまではラップで語られている内容に触れないできたが、意味のない言葉の羅列がほとんどだそうです。英語が分かる人が聴くとバカバカしくなるとか。まじめなことを歌おうという動きがでたそうで、この曲は”ローンが残っている車がレッカーでひっぱられていっちゃた。”とか、大きくて重たいハーレムの状況、貧困を歌っているそうです。動画がまさにそんなPVになっていますね。聴いたあと鷲巣さんはハーレムの状況が目に浮かんでくる。いびつな緊張感があるとおっしゃっていました。私は妙にファンタジックなシンセと客観的にサバサバうたっているところに退廃を感じ、それがカッコ良く聴こえました。これはジャズ耳で聴けるヒップホップだと思いました。

10.Zappの《More Bounce To The Ounce》 ’80

サウンドが変わっていきます。電子楽器による自動演奏です。電子楽器が怒涛のように広がっていくそうです。それはZappの影響が大きいとのこと。衝撃的な自動演奏。ボコーダーを使った感じとか基本ファンクグルーヴなので、私はハービー・ハンコックのサウンドの単なる自動化みたいに聞こえました。ギターのカッティングの感じとかも古い感じにも聴こえたのです。初歩的な打込み。「正確なビートは気持ちがいい。中毒性があり、イッテしまう。機械ビートの気もちさ。」と鷲巣さんは説明されていました。それは私も分かります。当時ドナ・サマーも自動演奏で歌うアルバムがあったとか。Y.M.O.も無縁ではないとのことでした。私は当時のY.M.O.テクノ世代です。

11.Tom Tom Clubの《Genius Of love》 ’82

トーキング・ヘッズのベースとドラムが組んだグループ。自動演奏のツボを押さえているとのことでした。「おしゃべり魔女」というこれもダサい邦題でレコードが出たとか。ポップでカワイイ感じです。これを聴いて私の頭に浮かんできたのがMの《ポップ・ミュージック》。’79のテクノポップ大ヒット。

私が高校生の頃よく聴いていました。今改めて聴くと、これってラップかも?”キュイキュイ”電子音がスクラッチのニュアンスに近かったリして興味深いです。まっ、ヒップホップとはリズムが違いますけどね。ブロンディの《ラプチュアー》が元祖白人ラップのはずだったのですが、こっちが元祖?それも’79と言えば、世界最初のラップレコードが出た年。このPVを見るとディスコで歌っているし、テクノもヒップホップも接近していたんですね。電子楽器という意味ではヒップホップはテクノからの影響を受けたのです。

ヒップホップの話に戻しますが、ヒップホップのオールド・スクールはラップがないと成立しませんので、ラップを単に手法と割り切ってしまうことはできないと感じました。
今回の選曲、当時の音楽事情の一部が見えて楽しいですね。

長くなりそうなので、今日はここまで、ほぼ半分です。
続きもお楽しみに。

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今日はドナルド・バード

今日はドナルド・バードでもいってみましょう。

P2 ドナルド・バード『フェエゴ』(1959年rec. BLUE NOTE)です。メンバーは、ドナルド・バード(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、デューク・ピアソン(p)、ダグ・ワトキンス(b)、レックス・ハンフリース(ds)です。これは最初、OJC盤CDを買ったのですが、その後オリジナル盤に買い換えました。

disclandJAROの通販で入手。ステレオ、NEW YORK、溝なし、RVG STEREO刻印。コンディションN-。ステレオ盤なのでそれほど高くなかったです。モノラル盤は凄く高いんでしょうから、私にはこれで十分。

これはA面1曲目、タイトル曲《フェエゴ》で決まりでしょう。何か大げさな感じの曲で、聴いていると妙に高揚します。熱いんですよね。ハンフリースの”ゴロンゴロン”と鳴るドラミングが気分を煽り立てます。バードのトランペットって意外と特徴が掴みにくいと思います。何度も聴いているのに耳が悪い私には特徴が抽出できません。ストレートで癖がないのが良さだと思っています。

相棒は癖ありまくりのマクリーン。この人は誰とやっても、いつでもどこでもマクリーン。一音吹けばジャジーな気分が嫌がうえにも高まろうというものです。ピアノはちょっとおしゃれなピアソンなのですが、ここでは比較的ブルージーに手堅く弾いていると思います。ワトキンスのベースは強靭ですね。しっかり土台を支えていて気持ち良いです。ハンフリーズは《フェエゴ》のテーマ部同様、隙あらば”ゴロンゴロン”煽っているのが痛快です。

A面2曲目《バップ・ア・ループ》はアップテンポでバピッシュに飛ばし、A面3曲目《ファンキー・ママ》はブルースをじっくり聴かせます。何の細工もないですが、こういうブルースの味わいが「ジャズっていいな~。」と思わせます。ワトキンスの重いベースが心地よいです。

B面1曲目《ロー・ライフ》は《ブルース・マーチ》に似た感じの曲。この曲の哀愁感は《クール・ストラッティン》にも通じます。マイナーブルース?マクリーンにこういうのをやらせると特に嵌ります。バードも良いソロをとっています。こういうのを聴くと「ジャズはテーマ(メロディー)だ!」という意見も分かるのです。ミドルテンポで快調に。

B面2曲目《ラメント》は、出だしのハンフリースの”ゴロンゴロン“ドラムからスピリチュアルな感じですが、そのあとはスタイリッシュな感じになります。新主流派的。私はこういうサウンドが好きです。ピアソンのハーモニー感覚が生きる曲です。気分を良くしているとB面3曲目《エイメン》。ゴスペル調の能天気でちょっと野暮ったい曲です(笑)。ラストがこれではちょっと力が抜けますがこれもありでしょう。

全曲バードが作曲。色々なテイストを持った曲を書くあたりなかなか作曲の才がある人だと思います。私的には好き/嫌いが分かれますが。

新譜も良いのですが、ブルーノートの定番もまた良し。

本日はジャズ喫茶「いーぐる」のヒップホップの特集に行きます。
「新宿中古CD、レコード大特価市」も覗いてみることにしましょう。

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女の情念ピアノ?

今日は新譜紹介です。珍しくピアノ・トリオです。

P1 ジェシカ・ウィリアムス・トリオ『フリーダム・トレーン』(2007年rec. ORIGIN RECORDS)です。メンバーは、ジェシカ・ウィリアムス(p)、デイヴ・カプテイン(b)、メル・ブラウン(ds)です。タイトルからわかると思うのですが、ジョン・コルトレーンの曲を取り上げています。ミュージックバードで聴いて気になったので買いました。

コルトレーンの曲を4曲、ウィリアムス作のオリジナルを4曲、計8曲演奏しています。ウィリアムスさん、かなりコルトレーンに思い入れがあるみたいで、内ジャケットにコルトレーに対する思いが書かれています。コルトレーンのスピリチュアルな部分を聴かせるアルバムです。こういうのは重いので嫌な人もいるでしょう。

このアルバム、じっくりコルトレーン・サウンドを聴かせてくれます。最初の曲《ザ・シーカー》はウィリアムスの曲ですが、まるでコルトレーンの曲みたいです。これはコルトレーンの霊が乗り移っていますね。イタコの世界(笑)?フレージングはコルトレーン・カルテットのピアニストを長年務めていたマッコイ・タイナーみたいな部分も時々ありますが、真似をしているようには聴こえません。自然とそういうフレーズが出てくるのだと思います。

2曲目が《ロニーズ・ラメント》。このバラード曲をじっくり聴かせます。コルトレーンの世界なんですが、女の情念みたいなものを強く感じます。アリス・コルトレーンの『トランスリニアー・ライト』を聴いた時に感じたものと似たものを感じました。アリスは深い母性愛でしたが、こちらはちょっと男女間の愛が入っているかも?私はどちらかと言えばさっぱりした女性が好きですが、たまにはこういう深情けの女性もいいものです(笑)。

ジャケット写真のとおりでウィリアムスさんは結構お年をめされているみたいです。このアルバムの世界、若くて元気の良い女性ピアニストには出せないものです。年上の女性から「あなたね~、コルトレーンの世界は深いのよ。私の言ったこと、ちゃんと分かった?」と言い聞かされているみたいな感じがしなくもありません(笑)。

女の情念とコルトレーンのスピリチュアルな世界。結構良いマッチングだと思います。コルトレーンって意外と女々しいのかもしれませんね。それからこれはピアノを聴くトリオです。ベースとドラムは完全にサポートに徹しています。今どき流行りのインター・プレイなんかありません。ベースとドラムのソロもほぼありません。こりゃ参りました。ひたすらジェシカのコルトレーンへの愛を聴かされるのです。でもそれが気持ちいいのです(笑)。

ウィリアムスのピアノのテクニックはしっかりしています。低音もガシンと鳴らします。このアルバムの中では明るく演奏される『ポウルズ・パル』では右手、左手でバラバラなメロディーを弾く場面もあります。ピアノは重く鳴っています。スタインウェイのピアノを弾いているのにベーゼンドルファーに聴こえますよ。

ラストはピアノ・ソロ。これがまた深いです。曲は《ウェルカム》ですが、この人に「ウェルカム」って言われても、「はい、そうですか。」と入っていくにはちょっとためらっちゃうかも(笑)?

色々言ってますが、このアルバム。かなり気に入った私です。
ジャズ界は広いですね。こんな方がいるとは知りませんでした。

アルバム名:『FREEDOM TRANE』
メンバー:
Jessica Williams(p)
Dave Captein(b)
Mel Brown(ds)

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6V6プッシュプルアンプ製作(シャーシ加工編)

今日はオーディオ・ネタです。
6V6プッシュプルアンプを製作することにしました。これで3回目です。

1回目はかなりいい感じの音だったのですが、シャーシが大き過ぎるのが気に入らず解体。2回目はオークションでナショナルの昔の出力トランスを落札して、これを生かすために製作。これはハム雑音が取りきれず、濃い音でしたけれどいまひとつ抜けの悪い音で不満でした。デザインとかシャーシとか色々細かいところに不満があったため先々月とうとう解体。今回はそれを作り直そうというわけです。

使う部品は異なりますが、回路は1回目のものを採用することにしました。この回路が私の気に入った音を出していたと思えるからです。那須好男さんが16年前にラジオ技術誌に掲載したもので、増幅回路はそのままにして電源回路を少し変更しました。ポイントは出力管のカソードフィードバック。

ということで製作に着手。まずは難題のシャーシの穴あけ加工から始めなければなりません。それには穴あけの図面を作成しなければなりません。

シャーシ加工からアンプを作るのは6年ぶりくらいです。要領を思い出しながら、部品寸法を実測して図面を作りました。見た目のデザイン、電気的な部品の配列、部品間の干渉、配線やシャーシ内の部品の取り付けやすさなどを頭の中でイメージしながら作ります。これは初めてする人には難しいことです。私の場合は何台もシャーシを作ったので、押さえるべきポイントはだいたい分かっています。その経験を基に作った図面がこれらです。

上面図
P195

前後の側面図
P196

穴あけはドリルで行いますので、その中心点が分かればO.K.
なので丸穴は適当に書いてあります。

図面をシャーシに貼り付けます。
今回使うシャーシは上部パネルと枠が分離するので、分離してから加工を行います。

上部パネルへ加工図を貼り付けます。(分かりにくですが貼った写真です。)
P197

枠の前後へ加工図を貼り付けます。
P198

この図の上からセンタポンチで印を付けていきます。

上部パネルはこうなります。大きい丸穴を開ける部分には×印を書きました。
P199

枠の前後はこうなります。上下左右を間違えないように印をつけました。
前後で逆さまに加工してしまったりするとどうにもなりませんからね。
P200

ここからが大変です。電源スイッチやヒューズやコネクタなどの穴は、少し小さめの穴をあけて現物合わせでリーマーを使って広げます。大きい丸穴はホールソーを使うので比較的簡単。一番苦労するのは電源トランスの四角穴。私の場合は端に沿って8mmくらいのドリルで穴をたくさん並べてあけ、ニッパで切りつないで抜きます。その後はヤスリでひたすら削ります。根性と力がいる作業です。

上部パネルはこんな感じに出来上がりました。まあままきれいでしょ。1ヶ所穴の位置を間違えました。5mmくらいずれていました。でもあまり影響はなく見た目がちょっと悪くなるだけなのでO.K.。いつもやってしまうのですが、今回もバリを取るときにヤスリで線傷を付けてしまいました(涙)。ネジ穴の修正もあります。P201

枠の前後はこんな感に仕上がりました。こちらは特に問題なし。
P202

ここまでくるとひと安心。使い終わったドリルなどには日曜大工油を塗ってから保管します。工具類をメンテナンスすることも大事です。

今回はここでおしまい。次はシャーシへ部品を取り付けます。のんびりやりますので製作の進捗に合わせて順次ブログにUPしていきます。

モノを作るのって楽しいですよね。

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ミュージックバードのPCM放送終了。

本日0時、ミュージックバードのPCM放送が終了しました。
リスナーになって3年弱、色々楽しい思いをさせてもらいました。
ありがとうございました。

放送自体はミュージックバードのもう一つのサービス。
スペースディーヴァで継続されます。
チャンネルは最大156チャンネルあります。
有線放送の衛星放送バージョンという感じです。

私はこの機会にミュージックバードのリスナーはやめます。
ラジオを聴く時間なんて実はそれほどないんですよね。
もう充分楽しみました。
ラジオを聴いていた時間は別なことに充てます。

ミュージックバード加入のきっかけは、
高野雲 さんの番組「快楽ジャズ通信」を聴きたかったからです。
ジャズ友になってしばらくしたら、番組を持つことになったというのでビックリ。
で、これは聴かねばなるまいということになったわけです。
寺島靖国さんの「PCMジャズ喫茶」も聴きたかったですしね。

「快楽ジャズ通信」は全回(2年間)聴き、このブログに全回分レポート。
レポートは詳しいものから簡潔なものまで色々あります。
最初の頃は録音して聴き直して、詳しくレポートした回もありました。
でも途中からはだいたい要領が掴めたので、
必ず聴きながらレポートを書くようになりました。
ライブ感重視ですね(笑)。
聴き漏らしとかあってもそれで良しとしました。
緊張感もあたけれど、番組中1時間、集中して聴くことができました。
途中から再放送もあったのでほとんど録音せずに済みました。

1年でレポートをやめようと思ったのに、100回目でやめようと思ったのに、
結局最後まで全う。
コンプリート・レポートとあいなりました。
面白い体験でした。
私のブログの「カテゴリー」の「ラジオ快楽ジャズ通信、2、3」
クリックしていただければ、アーカイブが読めます。

私は番組に2度ゲスト出演させていただきました。
「パット・メセニー特集」と「上原ひろみ特集」です。
まさか公共電波に私の声がのることになろうとは!
面白い体験でした。
相手が雲さん(2度目はtommyさんも)だったので楽しい収録でした。
その他色々ありました。イベントなどなど。
ミュージックバードの受信料。
これだけでも充分元はとらせていただきました(笑)。

番組レポートということでは「PCMジャズ喫茶」も何回かやりました。
山中千尋さんがゲスト出演した回なんかは超詳細レポート。
この番組は録音してポーズ&巻き戻ししつつ聴き直し。
おかげでリモコンのポーズボタンの接触不良まで発生する始末(笑)。
一旦スイッチオンするとトコトンやってしまう私の性分が炸裂してしまいました。

「PCMジャズ喫茶」をレポートするのも面白かったです。
ミュージシャンや業界関係者が来た時が特に面白かったです。
ただこちらは2時間番組ですから大変。
番組を聴きながらメモ紙にメモをとり、後で思い出しながらレポートを書きました。
私のブログの「カテゴリー」の「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
クリックしていただければ、アーカイブが読めます。
最近はさすがに聴き飽き気味であまり聴きませんでした。

他には新譜をかける「ブランニューCD」が有効でした。
番組で聴いて買うことにしたCDが何枚もあります。
逆にこれは買わないということで散財も防げました(笑)。
故油井正一さんの番組「アスペクト・イン・ジャズ」も楽しみでしたが、
ジャズマン何人かの特集をひたすらリピート放送(涙)。

「MOONKSTYLE」、「Special Works」、「プロファウンドリー・ブルー」
「オール・アバウト・リバーサイド」、「美加のNice'N'Easyタイム」
などなど、楽しませてもらいました。

クロス・カルチャー・チャンネルでは「谷村有美のそれなりに+」をよく聴きました。
「クロスオーバー・ナイト」ではアキコグレーズさんや松本茜さんがゲスト出演。
こちらはたまに聴きました。

あとはB.G.M.でロック・チャンネルやクラシック・チャンネルも少々。
さすがに歌謡&演歌チャンネルは聴かなかったですね~。
10チャンネルもあったのに聴くのはもっぱらジャズ・チャンネル。
もったいないと言えばもったいないけれど、結局時間がないのです。

ということで、さようなら!
お世話になりました。m(_ _)m
受信チューナーと専用アンテナがゴミになりました(笑)。

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