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久々にコートニー・パインを聴いてみた。

もう全然新譜ではなくなってしまったけれど、それでも新譜紹介ということで。ミュージックバードで聴いて気に入ったので買いました。

P169 コートニー・パイン『ヨーロッパ』(2010年rec. Destin-E Records)です。メンバーは、コートニー・パイン(b-cl,syn,harmonium)、ゾー・ラーマン(p)、アレック・ダンクワース(b)、マーク・モンデシー(ds)。ここまでが主要メンバー。曲によって、アマンダ・ドラモンド(viola)、ロバート・フォージャー(ds,dub,per)、シャバカ・ハッチンス(cl)、オマー・プエンテ(el-vl)、キャメロン・ピエール(mondolin,g)、ドミニク・グラント(g)が参加します。

昔はアシッド・ジャズでかなり人気があったコートニー・パイン。最近私の眼中からはすっかり外れ、忘れ去りかけていた過去の人なのですが、突然こんな形で浮かび上がってきたのでビックリ。まあ、このアルバムが日本でそんなに売れるとは思えないですね。面白いんですけれど、要はマニアックなアルバムということになるのでしょう。

タイトルからだいたい想像がつきますが、「自分史の中におけるヨーロッパを紐解く」というコンセプトに則って制作されたアルバムだそうです。面白いのはパインが全編バスクラリネットを通して吹いていることですね。この人、バスクラもなかなか上手です。アルバムのエスニック色にバスクラの音色がマッチし、独特のエスニックムードを盛り上げています。

HMVの宣伝文を読んだら、「この20年で訪れたハンガリーの首都ブダペスト、ロシア連邦モスクワ「赤の広場」、トルコ~バルカン半島周辺国といった土地でコートニーが直接肌で感じとったメロディ、楽器の音色、言葉、さらには文化、風土・・・そうした様々な要素とそのイメージを投影した、つまりはケルティック、スカンジナヴィアン、地中海周辺のマルチ要素が結び付いた1枚に仕上がっている。」と書かれていました。ザックリ言ってしまうと私には東欧エスニック・サウンドに聴こえました。

パインが全曲を作曲してアレンジしています。パインは単にバスクラ奏者ということでなく、ここではコンポーザーとしてアルバムをしっかり作っていることが分かります。だからといってバスクラ演奏を疎かにするようなこともなく、しっかりバスクラという楽器を操って自分の言いたいことを言っていると思います。しっとりした語り口のバラードも聴きどころではないかと思います。

基本ビートが躍動的な8ビートというのはこの人らしいところ。多くの曲で躍動的なビートが音楽を楽しく推進させていくのでクラシック的な匂いはあまりしません。躍動的なビートに東欧系哀愁メロディーが乗るという組み合わせは、意外と王道フュージョンのビート&メロディーを踏襲していたりするんですよ。だから楽しく聴けます。ところで、10曲目の出だしを聴くと、”窓に西日が~”のテレサ・テンを思い出すのは私だけでしょうか(笑)?

このアルバムの良さは全体から漂う大人の落ち着いた香。パインも歳を重ね、こういう大人のジャズをやるようになっていたんですね。いい感じだと思います。

アルバム名:『EUROPA』
メンバー:
Courtney Pine(b-cl. syn, harmonium)
Zoe Rahman(p)
Alec Dankworth(b)
Mrak Mondesir(ds)
Amanda Drummond(viola)
Robert Forjour(ds)
Shabaka Hutchins(cl)
Omar Puente(el-vl)
Cameron Pierre(mandlin, g)
Dominic Grant(g)

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