ショーターとモーガンの2管のこれも好き!
昨日の紹介したジャズ・メッセンジャーズは、フロントがショーターとモーガンの2菅でした。今日もショーター&モーガンで行きましょう。
ウェイン・ショーターの『ナイト・ドリーマー』(1964年rec. BLUE NOTE)です。メンバーは、ウェイン・ショーター(ts)、リー・モーガン(tp)、マッコイ・タイナー(p)、レジー・ワークマン(b)、エルビン・ジョーンズ(ds)です。ピントをぶらした街を歩く人と車のヘッドライト?のジャケット写真は夜の雰囲気。ブルーノートにしては洒落たジャケット写真だと思いませんか?中身の音楽に合っていると思います。
私が持っているのはこれもオリジナル盤。でもステレオ盤なのでそれ程高価ではありません。ステレオ、NYC、溝ナシ、VAN GELDER刻印、盤質良。これはどこで買ったか覚えていません。ブルーノートのステレオ盤も結構持っています。ステレオ盤は厚い音にキレも加わります。
このアルバム、ショーターのブルーノートにおける第1作。ジャズ・メッセンジャーズからの独立直前らしいです。ジョン・コルトレーンのリズム隊を務めた人達がバックを固めているのがポイントです。まあ、バックが誰であれ、ここにあるのはまぎれもなくショーターの音楽です。このアルバムのサウンドはエキゾチックでオリエンタルなもので新鮮に響きます。《オリエンタル・フォーク・ソング》というタイトルの曲も入っているくらいですから想像はつきますよね。
最初の奥さんが日本人なので、その影響でオリエンタルなのかもしれません。2番目の奥さんはブラジル人のアナマリア。そうなると今度はブラジリアンな音楽をやってしまうあたりにショーターのカワイイ人柄が表れていると私は思っています。そして自分のアルバム(『スピーク・ノー・イーヴィル』『スーパー・ノヴァ』)のジャケットに奥さんの顔をのせちゃうんだから、それもちょっと不気味に、もうショーターったら(笑)。
全曲ショーターが作曲。この人の曲ってメロディーがちょっと変だったりするのですが、とても美しかったりして、なぜか心の琴線に触れるものがあります。A面1曲目《ナイト・ドリーマー》のピアノの導入部なんてかなり印象的です。ワルツのリズムで都会の夜を感じさせる曲。このフレッシュな響きは新主流派とも言われます。ショーターは高音をひきつるように吹いたり、低音を”ブォー”なんてやったり、もうショーターでなきゃカッコつかないソロです。2曲目《オリエンタル・フォーク・ソング》は優しい感じですよね。私の好きな曲です。でもソロに入ると結構気合入ってます。3曲目《ヴァーゴ》はちょっと沈み気味の美しいバラード。哀愁とかではないんですよね。野に咲く一輪の花?日本人奥さんの影響で”ワビサビ”の世界も感じさせるかも?
マッコイはこの人独自のマッコイ節。フレッシュで耳になじむ心地良さです。間に挟む畳み掛けるようなフレーズも気持ち良いですね。エルビンの粘りのあるリズムが黒さを演出。好きなんですよね~私、エルビンのリズムが。体の芯から揺さぶられるリズム。ワークマンはちょっと地味ですが手堅くサポート。モーガンは気持ち良さそうに吹いています。曲が良いからか?モーガンのソロのカッコ良さはいつもの3割増?ちょっと古さを引きずっているところがショーターと好バランスです。
B面1曲目《ブラック・ナイル》。この推進力に溢れかつ広々として伸びやかな曲が大好きです。大空を力強く羽ばたくショーター、伸びやかに歌うモーガン、大地を失踪するマッコイ、エルビンの怒涛のドラム・ソロもあります。く~ぅ、最高!2曲目《チャコール・ブルース》はちょっとユーモラスな曲。こういうちょっととぼけた味わいもショーターの良さですよね。マーチのリズムで闊歩します。3曲目は《アルマゲドン》ときました。タイトルみたいなおどろおどろしさみたいなものはなく、ダークでブルージーでちょっとエキゾチック。こういうトーンの曲が一番ショーターらしいと言えるかもしれません。
曲良し、演奏良し、メンバー良し、3拍子揃った大好きなアルバムです。
私はサックス奏者の中ではショーターが一番好きです。
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コメント
いっきさん、はじめまして。
ショーター大好き人間です。
うわ~、ここにもショーターファンが。もう、うれしいです。すいません、つい熱くなってしまいました。
もちろん、このアルバムはオリジナルで持っていますが、僕のほうはMonoです。見つけるのに苦労しました。7,8年ぐらい前かなり良心的な価格で買いましたが、今買うとおそらく倍でしょう。全然見なくなりました。お店に出してもすぐ売れてしまうそうです。
どの曲も名曲で素晴しいと思います。ショーターにしてはもしかしたら普通のほうかもしれませんが、「Charcoal Blues」はさすがに僕でも変わった曲だなと思いますね。僕はこのようなアルバム聴きたくてジャズ聴いているようなものですよ。
>私はサックス奏者の中ではショーターが一番好きです。
僕もです、はい。それと作曲家としてもそうかも。
投稿: wanderlust | 2011年7月27日 (水) 19時51分
wanderlustさん
はじめまして。
こんばんは。
コメントしていただきありがとうございます。
>うわ~、ここにもショーターファンが。もう、うれしいです。すいません、つい熱くなってしまいました。
私もwanderlustさんと同じでとてもうれしいです。
ショーターはその魅力が分かるとのめりこんでしまう麻薬性みたいなものがありますよね。
>もちろん、このアルバムはオリジナルで持っていますが、僕のほうはMonoです。見つけるのに苦労しました。
いいですね~。Mono。私もできればMono盤がほしいです。
>7,8年ぐらい前かなり良心的な価格で買いましたが、今買うとおそらく倍でしょう。全然見なくなりました。
ブルーノートのオリジナル盤は値上がりすることはあっても値下がりすることはないですね。
年々希少性が増し値上がりする一方です。
>どの曲も名曲で素晴しいと思います。
名曲ですよね。
>ショーターにしてはもしかしたら普通のほうかもしれませんが、
そうだと思います。
>、「Charcoal Blues」はさすがに僕でも変わった曲だなと思いますね。
はいっ、この曲は変わってます。
>僕はこのようなアルバム聴きたくてジャズ聴いているようなものですよ。
そういうのいいですね~。
やっぱりアルバムとして聴きたいですね。
いいアルバムを探す。これに尽きますね。
>僕もです、はい。それと作曲家としてもそうかも。
はい、作曲家としても素晴らしいと思います。
wanderlustさんのブログ、ちょっと見させていただきました。
アル・フォスターの『Brandyn』いいですよね。
《ブラック・ナイル》やってましたね。
アルの18番《ザ・チーフ(ジキル博士とハイド氏)》も面白い曲だと思います。
クリポタ最高ですよね。
投稿: いっき | 2011年7月27日 (水) 21時18分
こんばんは。
ショ-タ- 人気ですね。
いっきさんの紹介の仕方が面白いです(笑)
こちらも 良さそうですね。
オリエンタルな雰囲気の理由も分かりました。
『JUJU』では マ-ジャンなんてタイトルの曲もあり 発想が楽しい方ですよね。
少しづつ 色々聴いてみます。
投稿: マ-リン | 2011年7月27日 (水) 23時50分
マーリン様
こんばんは。
>ショ-タ- 人気ですね。
はい、嬉しいです。
嵌ると抜け出しにくい人です。
多分、ダメな人もいると思います。
>いっきさんの紹介の仕方が面白いです(笑)
私、どこかに笑いの要素を入れた人です。
お堅いだけではイカンと思うのです。
>こちらも 良さそうですね。
こちらの方がショーターらしいです。
自分のアルバムですから。
>『JUJU』では マ-ジャンなんてタイトルの曲もあり 発想が楽しい方ですよね。
ありますね。
おちゃめなところがあります。
その人柄も好きです。
>少しづつ 色々聴いてみます。
はい、焦らずごゆっくり聴き進めてみてください。
投稿: いっき | 2011年7月28日 (木) 01時00分
はじめまして。
思い入れすごいブログですね。
感心しました。
小学校6年生の時、FENから流れるデキシーランドジャズをきいて、それ以来の虜に。
かつて東京に住んでいたころは、貧乏生活の光が、週末のジャズ喫茶でした。
DIG,サムタイム、ジニアス、アウトバック、少しお金があれば銀座のジャンクやピットイン。
なつかしく思い出します。
ただ、最近はもっぱらゴンチチです。
たまにハードバップも聞きたくなるけれど・・・
投稿: donnkii | 2011年7月28日 (木) 07時36分
donnkiiさん
はじめまして。
こんばんは。
コメントありがとうございます。
>思い入れすごいブログですね。
読むと暑苦しいんでしょうね。
その私のすごい思い入れを受け止めてくれるのがジャズといえるのかもしれません。
>感心しました。
お恥ずかしい限りです。
>かつて東京に住んでいたころは、貧乏生活の光が、週末のジャズ喫茶でした。
>DIG,サムタイム、ジニアス、アウトバック、少しお金があれば銀座のジャンクやピットイン。
私はそういう体験ができなかったので羨ましく思います。
それを今取り返そうとしているのかもしれません。
>ただ、最近はもっぱらゴンチチです。
ゴンチチ、いいですね。何か安らぐ気がします。
>たまにハードバップも聞きたくなるけれど・・・
本当はそのくらいのほうが体には良いのかもしれません?
毎日ジャズ漬けは結構しんどいものがあります(笑)。
donnkiiさんのブログも後ほど見させていただきます。
投稿: いっき | 2011年7月28日 (木) 21時50分
いっきさんのブログに触発されたのか、久しぶりに、レコードを聞きました。
三年前に、レコードプレイヤーを買いました。
数百枚のジャズレコードが、聞かないまま眠っていたため。
デュークエリントンATニューポート。
1956年のニューポートジャズ祭りのライブ盤です。
すさまじく長いソロや迫力。
録音はモノラルで音はそんなに良くないけれど、その臨場感はすごい。
もういちまいもライブ盤。
シカゴ・ロンドンハウスのオスカーピーターソントリオ。
レイブラウン・エドシグペンをバックに唄うピアノ。
今ではCD化されていないものも多く持っていて、リモコンぴっという手軽さの無いレコードを楽しんでいます。
もちろんCDもたくさん持っていますが、レコードには遠い昔の思い出が、心地好く、浮かび上がってきます。
今この時も、私の後ろでは、ブラウン~ローチクインテットのジャムセッションがBGMに。
投稿: donnkii | 2011年7月29日 (金) 12時59分
donnkiさん
こんばんは。
>久しぶりに、レコードを聞きました。
レコードならでは味わいってありますよね。
>数百枚のジャズレコードが、聞かないまま眠っていたため。
聴かないともったいないです。
エリントン、ピーターソン、ブラウン~ローチ・クインテット、それぞれいいですよね。
>もちろんCDもたくさん持っていますが、レコードには遠い昔の思い出が、心地好く、浮かび上がってきます。
CD、レコード、それぞれの良さがあると思います。
私はおおまかに70年代を境にそれ以前をレコード、それ以降をCDという感じで持っています。
それが録音時の空気を再現するのに良いと考えているからです。
投稿: いっき | 2011年7月29日 (金) 20時37分