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寺久保エレナさんのライブを観ました!

一昨日7月12日、甲府の「コットンクラブ」で 寺久保エレナ さんのライブを観てきました。9月にはバークリー音楽院に留学するので、今回は留学前国内ラストツアー。ならば「観ておかねばなるまい!」ということになりました。

P178_2 「コットンクラブ」で単独ライブを観るのは今回が初めてです。「甲府JAZZストリート」の時は何度か観にきています。ここは銀行だったところを改装してお店になっていて、天井が高く広々とした空間でライブを楽しめるのが良いです。適度な広さの空間なのでPAなしの生音が聴けます。ただしベースのみはアンプを通しています。

今回のツアーはアルバム『ニューヨーク・アティチュード』発売記念ライブです。メンバーは、寺久保エレナさん(as,ss)、大林武史さん(p)、井上陽介さん(b)、マーク・ホイットフィールドJr.さん(ds)です。さすがに寺久保エレナさんは注目度が高いですね。かなりお客さんが入っていました。

ライブ開始前、控室に入るエレナさんを見ましたが、高校を卒業したばかりのどこにでもいそうな普通の女の子という感じでした。結構背が低いです。さて、ライブが始まり演奏を開始したわけですが、エレナさんは飄々としていますね。最初の2曲はちょっと抑えめに入った感じに聴こえました。アルバム・タイトル曲(シダー・ウォルトン作)の《ニューヨーク・アティチュード》《ワン・フォー・ユー》(渡辺貞夫作)を2曲続けて演奏した後にMCが入りました。渡辺貞夫さんを尊敬しているそうです。

続いてエレナさんのオリジナルで《フェリス・ホイール(観覧車)》。都会的でモーダルな感じの曲です。そういえば岩浪洋三さんが「寺久保さんは新世代モード派といえるかもしれないが、・・・」と、ジャズ批評のデビュー・アルバムのレビューに書いていたのを思い出し、「なるほどこういう感じなのか。」と納得しました。エレナさんはソロ(アドリブ)に入った後しばらくは、平気で1小節前後吹かなかったりするので面白かったです。勢い任せにアドリブせず、フレーズが降りてくるのを待つ感じです。

いや~っ、意外と一筋縄でいかないんです、この人(笑)。アドリブをよく聴くと、ゆっくり入って徐々に自分なりの遊びを取り入れて展開し盛り上げていくという構成をしっかり考えている感じです。そういう意味で熱くブローしてもどこか醒めた感じは伴います。私はこの醒めた感じが今時のジャズ・ウーマンらしくて良いと思いました。ありきたりのバップフレーズを安易に並べるようなこともしません。私はアドリブと真摯に向かい合うエレナさんを感じました。結構ストイックな人だとも思いました。そこに初々しさも見ました。

次もエレナさんのオリジナル。バラードで《ザッツ・ザ・トゥルース》。なんとなく《イン・ア・センチメンタル・ムード》のような雰囲気を持つ都会的で洗練されたサウンドを聴かせてくれました。なかなか良い曲だと思います。新世代モード派的というのはここでも感じました。

ファースト・セットのラストはサム・ジョーンズの曲《デル・サッサー》。ここまでちょっと抑え気味に演奏していたように聴こえたんですが、これは楽しい曲に合わせてアドリブも遊び心を感じる勢いに溢れたもので一挙に場が盛り上がりました。う~む、ちゃんとラストに見せ場を持ってくるあたり、なかなかやりますな~。ここまで聴いてすっかりエレナさんに惹かれてしまいました。《フェリス・ホイール》以外は『ニューヨーク・アティチュード』収録曲でした。

寺久保さんのアルトの音は迫力があるというより、丁寧に楽器をフルトーンで鳴らす感じのものでした。金ピカのセルマーからは温かくてブライトな音が出ていましたよ。

ピアノの大林さんはバークリー卒業後アメリカで活動しているようです。周りの音を注意深く聴きながら演奏しているのが印象的でした。ソロもなかなか冴えていたと思います。ベースの井上さんはエレナさんとは親子関係ほどの年齢差。後ろから優しい眼差しで見守って演奏を支えつつ、ソロになると多彩な技でお客さんを魅了していました。ドラムのホイットフィールドさんは笑顔を絶やさず抜群のグルーヴで演奏を推進させていました。とても楽しそうなのが微笑ましかったです。メンバーが自分の個性を発揮しつつエレナさんを盛り上げる素敵なカルテット。

P179_2 笑ってしまったのがこれです。今回のライブツアー用に作ったという”エレナTシャツ”。背中には『ニューヨーク・アティチュード』に収録されている曲名が印刷されています。エレナさんはこれの黄色を着て演奏していました。ライブに来ていたオジサン団体がこのTシャツを買ってその場で来るという笑える光景もありました。

30分弱の休憩をはさんでセカンド・セット開始。最初の曲はウェイン・ショーターの《オリエンタル・フォークソング》。この曲を選ぶあたりがやっぱり新世代モード派的なのでした。おっ、これはソプラニーノ・サックスで演奏。ソプラニーノを吹く姿も含めかなりのカッコ良さなのでした。「PCMジャズ喫茶」にゲスト出演した時、ジョー・ヘンダーソンがカッコいいと言っていたエレナさんらしく、ウネウネ系のフレーズもいい感じなのです。これははっきり言って武器になりまっせ。ここぞという時にソプラニーノ一発!アルバム収録バージョンはドミニク・ファリナッチ(tp)とのクインテットなのですが、私はこのソプラニーノ・サックス・バージョンが気に入りました。ソプラニーノを吹いたのはこの曲だけです。

MCではアフリカに行った時にこの曲を演奏したなんて言ってました。アフリカへ行って良い体験ができたそうです。日本の何不自由ない便利な生活を再認識したとか。極軽くお笑いもいれつつ、MCは及第点(笑)。次はエレナさんのオリジナルで《ファッシネーション》。モーダルな美メロ曲。途中リズム・チェンジが入ったりするカッコいい曲です。なかなかクールなのです。ベースのロング・ソロをフィーチャ。井上さんのトリッキーな弾き方も含め見せ場になっていました。

次はピアノとアルトのデュオで《ボディ・アンド・ソウル》。最初はこの曲のメロディーをそのままやらずに入り、徐々にメロディーが現れるところがいい感じでした。甘さに流されずメロディーを大事に歌わせていく丁寧な演奏。ピアノの大林さんとはサウンド・センスがマッチしているように感じました。エレナさんのバラード演奏は情緒に流されず丁寧に歌わせるのが信条と見ました。

セカンド・セットのラストはアルバム『ノース・バード』に入っている《イッツ・ユー・オア・ノー・ワン》。高速4ビートで快調に飛ばし、大いに盛り上がって終了。こういう曲をやるとバップ的になりますね。私もエレナさんのアドリブの方向性が徐々に読めるようになってきて、なるほどね~っ、なんて思いながら聴いていました。

アンコールは《スター・アイズ》。ラテン・リスムの軽快な曲で楽しく演奏が進みます。これがアルト・ソロ、ピアノ・ソロともにかなり長く、ベース・ソロあり4バース交換ありと、アンコールにしてはガッツリ楽しめました。セカンド・セットからここまで《イッツ・ユー・オア・ノー・ワン》以外は『ニューヨーク・アティチュード』収録曲でした。アルバム発売記念ライブですから当然ですね。

P180_3 というわけで、サインももらってきました。寺久保エレナさん、自分をしっかり持っている方でした。安易にお客さんに媚びるようなことはせず、自分にできること、自分が考えていることをしっかりやることに徹しているように見えました。ミュージシャンはそれで良いと思います。ライブを観ないと分からないことってありますね。とても楽しかったです。バークリーへ留学したら色々吸収してほしいです。まっ、そんなことは私が言うまでもないことでしょうが(笑)。バークリー後の成長したエレナさんが今から楽しみです。

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コメント

こんにちは。
ライブ楽しそうですね。
わたしは 同じ日 外山安樹子トリオライブに行ってきました♪
こちらも楽しかったです。

甲府でもジャズストあるのですね。
金沢も秋にありますよ。
やっぱりライブはいいですよね。
以前 TVで坂本竜馬さんが 「昔は レコ-ドとかなかったから JAZZだって生で聴くのがあたりまえ…」みたいなことを語っていましたが 昔の人は ほんと生の演奏を それも その時限りのアレンジというか 次はない演奏を耳にしていたんですよね。
ライブは 行かれる時に行ったほうが良いですよね。

投稿: マ-リン | 2011年7月15日 (金) 16時18分

すみません。
間違えてました。

坂本竜馬でなく
坂本龍一さんです(恥)
龍馬がJAZZについて語るわけないですね(笑)
「いや じゃずは好きぜよ」とか言ってたりして(爆)

スミマセン…
自分で間違って自分でウケてます
(^_^;)

いっきさん、寺久保エレナさんに申し訳ないです…

投稿: マ-リン | 2011年7月15日 (金) 16時27分

マーリンさん

こんばんは。

ライブを観るのは楽しいですよね。
外山安樹子は気になる存在ではあるのですが、今はフォローしきれていません。
今度の新譜聴いてみようかな~。

>甲府でもジャズストあるのですね。

はい。
でも一晩だけなのでちょっと寂しいものがあります。

金沢はもっと盛大にやるんでしょうね。
20年くらい前の話ですが、香林坊とか片町とかにぎやかでビックリしました。

>やっぱりライブはいいですよね。

はい。いいです。

録音再生技術の進歩は、自宅に居ながらにして時空を超えて音楽を自由に楽しめるという恩恵をもたらしてくれたわけですが、それによって失われたものもあると思います。
失われたものを補う意味でもライブを観たほうが良いと思います。
音楽が生まれる場に身を置き、場を共有する喜びは他では得られないです。
な~んて、カッコいいこと言ってますね?(笑)

>ライブは 行かれる時に行ったほうが良いですよね。

はい。そうだと思います。

坂本龍馬、坂本龍一の間違い、面白いです。

>「いや じゃずは好きぜよ」とか言ってたりして(爆)

マジで言いってそうですね(笑)。

>自分で間違って自分でウケてます

私もウケました。

>いっきさん、寺久保エレナさんに申し訳ないです…

全然”オッケー牧場です。”m(_ _)m

投稿: いっき | 2011年7月15日 (金) 20時42分

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