ゲイリー・バートンの新譜を紹介する前に。
どうも私は一人のミュージシャンや一つのレーベルなどを追いかけたりするのが性に合わないのです。マイルス、ウェザー・リポート、ジャコなどはかなり追いかけたけれどいい加減です(笑)。もともと浮気性な性格なので、あれもこれも手を出したくなります。なので何か一つを極めている人に出会うと尊敬してしまいます。と、いきなりの戯言はさて置きまして、アルバム紹介に参りましょう。
ゲイリー・バートンの『ジェネレーションズ』(2003年rec. Concord)です。メンバーは、ゲイリー・バートン(vib)、ジュリアン・レイジ(g)、小曽根真(p)、ジェームス・ジナス(b)、クラレンス・ペン(ds)です。新進気鋭のジュリアン・レイジを起用して話題になったアルバムです。なんでこのアルバムを買ったんだったっけ?たまにはバートンが聴きたくなったのと、レイジが気になったからだろうと思います。
ジュリアン・レイジは今23歳、最近2作目のリーダー作を出しましたね。ということは、このアルバムを録音した当時は8年前だから15歳!大抜擢ですね。この人、私の中ではあんまり話題にならない人です。でも、名前が聞こえてくると気になる存在ではあるのです。今回久々にゲイリー・バートンの新譜を買ったのですが、それはレイジの名前があったからです。でも、レイジのリーダー作は買う気になりません(ネットでの噂を見る限り)。今回はゲイリー・バートンの新譜評を書く前に、このアルバムで再確認しておこうという趣向です。
バートンのアルバムというのは、まず期待を裏切らないというか、ある範囲からは逸脱しないところが良さであり悪さであると思います。安心感はあるんだけれど驚きはないのです。そんなバートンが適度に好きな私(笑)。バートンの良さは爽やかで適度に哀愁を帯びたメロディアズな演奏に尽きると思います。このアルバムにもそんなバートンが溢れています。
このアルバムでは、レイジの3曲、小曽根の2曲、ミッシェル・フォアマンの1曲、ピーターソンの1曲、メセニーの1曲、カーラ・ブレイの1曲、スワローの1曲の全10曲を演奏しています。メセニーやスワローが良い曲だというのは分かるのですが、ピーターソンがこんな軽やかな美メロ曲を作曲していたとは驚き。サンバ調のリスムで皆さん快適に歌いまくっています。さすがはバートン、自分にあった曲を探してきますね。
バートンってあれだけ良いメロディーの演奏をするのに意外と作曲しません。作曲した曲も名曲として残るような曲は作っていないですよね?面白いです。メセニー、カーラー、スワローの良い曲を、自分の曲の如くメロディーの美点を引き出して演奏するのがバートンの素晴らしさです。
さて肝心のレイジは如何に?う~む、14歳にして既に落ち着きはらって風格すら備わっているように聴こえます。バートンによって見出されたメセニーにやっぱり似ていますね。メセニーの曲ではメセニーが弾いているように聴こえます。個性はあまりないと思います。14歳という若さを差し引くと、私には普通のギタリストに聴こえます。でも14歳で普通のギタリストって凄いことですよ。さて、22歳になったレイジはどんな風に成長したんでしょう?
小曽根はチック・コリアに近いのでバートンとの相性は抜群。チックよりしなやかで押しがあんまり強くないところがこの人。品が良い演奏が良さなのですが、そこが物足らないと言えば言えなくもないです。ジナスとペンはもう完全に脇役ですね(笑)。大丈夫です。好サポートをしております。黒人のベースとドラムですが黒いグルーヴはないです。そしてみんな脇役になってしまうのはしょうがないです。バートンの個性が強いんですから。
バートンの爽やかなヴァイブラフォンに酔って下さい。良い曲揃いです。私が大好きな曲、スワローの《レイディーズ・イン・メルセデス》をやっています!レイジも頑張っています。実はめったに聴かないアルバムだったのですが、今回聴いて良さを認識しました。
アルバム名:『GENERATIONS』
メンバー:
Gary Burton(vib)
Julian Lage(g)
小曽根真(p)
James Genus(b)
Clarence Penn(ds)
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