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今日はピアノ・トリオです。

毎日適当にジャズ・アルバムを紹介。今日はピアノ・トリオ。

P160 マニュエル・ロシュマン『ホワイト・キーズ』(1991年rec. DIW)です。メンバーは、マニュエル・ロシュマン(p)、フランソワ・ムタン(b)、ルイ・ムタン(ds)です。このアルバム最大のポイントは?そうですフランスが誇る兵。フランソワとルイのムタン兄弟がガッチリ脇を固めているところです。洒落たジャケットもいいですよね。

このアルバムを知ったのは、中条省平さんの『ただしいジャズ入門』(ちなみに、同時に出た兄弟本、寺島靖国さんの『たのしいジャズ入門』は買っていません、笑)。なかなか良いと書いてあったので聴いてみたかったのです。でも、廃盤。中古を探して適度な値段にこなれていたのを買いました。この手のピアノ・トリオ廃盤はうっかりすると内容そっちのけで高値盤があるから要注意。高値取引されているから、いかほどのものかと思って再発盤を買い、ガッカリさせられたものがままありました。

主役のマニュエル・ロシュマンはフランスのピアニストです。ミシェル・サルダビーとマーシャル・ソラールからジャズ・ピアノの技法を教わり、20歳の時に「デファンス・ジャズ・コンクール」のジャズ・ピアノ部門で優勝し、ソラールの推薦を受けてプロのジャズマンになったそうです。ヨーロッパのピアニストらしいテクニシャン。しっかりしたタッチでピアノをフル・トーンで鳴らしています。

アルバムには、ロシュマンのオリジナル4曲の他、フランソワ・ムタンの1曲、トゥーツ・シールマンスの1曲に、スタンダード《ラウンド・ミッドナイト》《キャラバン》《あなたと夜と音楽と》の合計9曲が収録されています。ロシュマンの自作曲はどれも佳曲です。スタンダードの3曲は敢えてベタな曲を選んでロシュマンの調理方法を見せる感じの仕上がりになっています。難しいことはやっていませんのでご安心を。

ロシュマンはテクニカルな面と抒情的な面が適度にバランスしたピアノを弾いています。ヨーロッパ・ピアノ・トリオ好きにも安心して聴いてもらえると思います。抒情的に聴かせつつ随所にキラリと光る技が織り交ぜられているのが良いです。甘さに流されるようなところはなく、どちらかと言えばクールな肌触りです。

私的にはムタン兄弟が良く聴こえます。フランソワのベースはソロで高音を多用していて、爪弾くようなフレージングからはエディ・ゴメスの影響を感じました。バッキングにおいてもゴメスの匂いはありますが、ブンブン唸る強靭な音は気持ちが良いです。ルイのドラムはパワーがありますがパワーを押し出すのでなく、シンバルやブラシの刻みなどに繊細な部分を見せ、軽やかにプッシュしています。こんな2人の力強いグルーヴに乗せられ、ロシュマンも抒情的でありながらパワフルな演奏をしています。そして、ただ押すだけでなく時には引く部分も交え、緩急の妙も聴かせてくれます。

もう20年前の録音ですね。フランスの若き3人の意気込みとエスプリが詰まったトリオ。なかなか良いです。中古CDを見かけたらゲットしてやって下さいませ。
m(_ _)m

アルバム名:『WHITE KEYS』。
メンバー:
Manuel Rocheman(p)
Francois Moutin(b)
Louis Moutin(ds)

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