« ゲイリー・バートンの新譜を紹介する前に。 | トップページ | 「PCMジャズ喫茶」に寺久保エレナさん登場!(前編) »

ということで、ゲイリー・バートンの新譜

前回は予習ということでゲイリー・バートンの『ジェネレーションズ』を聴きました。今日は新譜の紹介をします。

P156 ザ・ニュー・ゲイリー・バートン・カルテット『コモン・グラウンド』(2011年、MACK AVENUE)です。メンバーは、ゲイリー・バートン(g)、ジュリアン・レイジ(g)、スコット・コリー(b)、アントニオ・サンチェス(ds)です。これはなかなか強力メンバーだと思います。ピアノレスなのがいいと思います。ホーンレスでヴァイブ、ギター、ピアノではハーモニー楽器過多な気がします。バートンは複数マレットでハーモニーも叩きますからね。

一聴して感じたのは少し暗めのサウンドということでした。バートンのヴァイブラフォンそのものは明るいのですが、曲調が落ち着いていて沈み気味のトーンのものが多いのです。この憂いを帯びたほの暗さが現代的だと私には思えます。

今回はバートンの曲が1曲あります。他はレイジの曲が2曲、スコット・コリーの曲が1曲、アントニオ・サンチェスの曲が2曲、ワディム・ネセロフスキーの曲が2曲、キース・ジャレットの曲が1曲、それに加えてなぜか《マイ・ファニーバレンタイン》。

ネセロフスキーはバートンのグループ「ネクスト・ジェネレーションズ」に起用されていたピアニストです。いかにもバートンが好みそうな哀愁曲が取り上げられています。レイジの曲は何となく東欧のクラシカルなイメージ。

演奏からも感じられるんですが、レイジはヨーロッパのギタリストみたいな音選びとテクニカルな演奏をするようになっています。唯一のスタンダード《マイ・ファニー・バレンタイン》の出だしなんてモロにクラシック・ギターですよ。いやっ、でもとにかくしっかりした演奏をしていますね。いいです。ジャズ・ファンにとってはこのクラシカルな雰囲気に好き嫌いがあるかも?今は『ジェネレーションズ』の時のようなメセニー臭はありません。そういえばドラムのエリック・ハーランドのアルバムでは現代的な尖がった熱いジャズ・ギターを弾いていました。色々できる器用さも持っているんでしょう。

バートンはここでもやっぱりバートン(笑)。爽やかでメロディアスな演奏とクリーンで粒立ちの良いヴァイブの音が素敵です。バートンとレイジの絡み具合はかなり緻密です。曲はそれぞれ構成がしっかりしているので緻密な2人のからみが味わえます。相変わらずグループをしっかりまとめあげてバートン・サウンドを構築。バートンもまだまだやってくれます。

コリーとサンチェスがいいですね。コリーのしっかりしたトーンのベースと哀愁を感じさせるセンスの良い音選びはなかなかのものです。自身の曲などでは強靭なベースソロを披露。逞しいです。よく聴くと深みがあるベースです。サンチェスとのコンビはコリーがいいように思います。サンチェス自信のグループでコリーを起用しているのも分かります。

そしてサンチェス。やっぱりこの人のドラムはいいですね。こういうコンテンポラリーなグループでドラムを叩かせたら抜群のセンスを発揮します。しなやかで大きなスイングです。細かいことを色々やっているのに小賢しくないのです。自信の曲に4ビートの曲があるのですが4ビートも上手い。自信の曲でのドラム・ソロは相変わらずアートしてます。

ラストはキースの曲でカントリーな雰囲気を漂わせて懐かしい気分でエンド。落ち着いたトーンのせいもあるのでしょうが、しっかり手応えのある内容に仕上がっています。テクニシャン揃いなのにテクニックに頼るような浮ついたところはないです。通して聴くとちょっと重くなってしまうかもしれませんが良いアルバムに仕上がっています。

アルバム名:『Common Ground』
メンバー:
Gary Burton(vib)
Julian Lage(g)
Scott Colley(b)
Antonio Sanchez(ds)

|

« ゲイリー・バートンの新譜を紹介する前に。 | トップページ | 「PCMジャズ喫茶」に寺久保エレナさん登場!(前編) »

ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

ベースとドラムスにこの2人を持ってきて、どうなるか興味があったのですが、入荷して20日以上もCDを寝かせてしまいました。こういうのはもっと早く聴かないと(笑)、という気にさせてくれる1枚でした。

現代ジャズの範疇には入るんでしょうけど、ダークで都会的な、というイメージにはならずに、メンバーには割と自由にやらせておいて、あくまでもゲイリー・バートンの色で染めているようなところは気に入りました。でも、がっぷり4人が組んだような感触もあります。過去のフュージョン寄りの作品群と比べると、シリアスですよね。

TBさせていただきます。

投稿: 910 | 2011年7月 1日 (金) 17時24分

910さん

こんばんは。

>こういうのはもっと早く聴かないと(笑)、という気にさせてくれる1枚でした。

なかなか充実した内容ですよね。

現代ジャズだとは思いますが、内省的で抑制的にならないのがバートンなんでしょう。

>メンバーには割と自由にやらせておいて、あくまでもゲイリー・バートンの色で染めているようなところは気に入りました。

バートン色ってかなり強いですよね。
すぐに分かります。
そこがジャズの巨匠たる所以だと思います。

>でも、がっぷり4人が組んだような感触もあります。過去のフュージョン寄りの作品群と比べると、シリアスですよね。

しっかりバンドとしてまとまっていながら、自由度を感じさせるのがバートンのたすなさばきだと思います。
シリアスなところが気にいっています。

TBありがとうございました。
後ほど私からもコメント&TBします。

投稿: いっき | 2011年7月 1日 (金) 19時40分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ということで、ゲイリー・バートンの新譜:

» Common Ground/The New Gary Burton Quartet [ジャズCDの個人ページBlog]
6月上旬に届いていたのに、なぜか聴くのが遅くなってしまいました。ゲイリー・バート [続きを読む]

受信: 2011年7月 1日 (金) 17時14分

« ゲイリー・バートンの新譜を紹介する前に。 | トップページ | 「PCMジャズ喫茶」に寺久保エレナさん登場!(前編) »