新譜紹介。トリロク・グルトゥ。
Amazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」を見て買ったアルバムです。出てからだいぶ経っているようなので準新譜でしょう。
トリロク・グルトゥ・ウィズ・サイモン・フィリップス+NDRビッグ・バンドの『21スパイシーズ』(2010年rec. MIG)です。メンバーは、トリロク・グルトゥ(per,ds,vo,etc)、サイモン・フィリップス(ds)、ミシェル・アリボ(b)、ローランド・カベーザス(g)、マルシオ・ドクター(per)、vladyslav sendecki(key)、NDRビッグバンド(4tp.4tb,6sax)です。
トリロク・グルトゥはインド人のパーカッショニストで元オレゴンのメンバー。ドン・チェリー、ジョン・マクラフリン、ジョー・ザヴィヌル、パット・メセニー、ラリー・コリエル等との共演歴があります。サイモン・フィリップスは上原ひろみの新譜に参加。TOTOのドラマーも務めたロック系のセッション・ドラマーです。
他のメンバーをネットで調べたところ、ミシェル・アリボ、ローランド・カベーザス、マルシオ・ドクター、vladyslav sendeckiの4人はフュージョン系のミュージシャンのようで、アルバムを出していたりします。この4人について私は全くの未知。グルトゥ、フィリップスとこれらのメンバーが核となり、そこにNDRビッグ・バンドのホーン陣が加わった構成です。NDRビッグバンドといえばザビヌルの『ブラウン・ストリート』で共演していましたよね。
全7曲、1曲を除いてグルトゥが作曲。5曲がフェスティバルでのライブ録音、2曲がスタジオ録音になっています。最近はビッグバンドものも結構聴くようになりましたが、コンテンポラリー・ビッグバンドはなかなか良いです。
1曲目はタブラが先導して静かに始まりますが、曲が進むに連れてウェザー・リポートの《バディアの楼閣》に通じるものが感じられます。途中でソロをとるテナーは何となくウェイン・ショーター風。ウェザー~ザビヌルへの接近が感じられます。フィリップスが後半にあらわれ一挙に登りつめてエンディングへ。
2曲目はグルトゥのスキャット?も入って元気よく始まります。これがもろにザビヌルの曲なのです。ライナーノーツを見たらジョー・ザビヌルに捧ぐと書いてありました。なるほどね。いや~っ、グルトゥがザビヌルのサウンドを受け継いでいたとは知りませんでした。エレベはジャコ~ヴィクター・ベイリー~リンレイ・マルト風。ザビヌルが好きなベース・プレーです。かなりのテクニシャン。躍動的なウキウキする曲で後半4ビートになるところも面白いです。フィリップスのドラムも暴れまくってます。かなり気に入りました。
3曲目はジョン・マクラフリンに捧ぐとなっています。私にはこれがマクラフリン系の曲なのかどうかよくわかりません。複雑なリズムのフュージョン曲。タブラがいいですね。複雑なリズムをしっかりドライブさせるフィリップスのドラムもいいです。ベースも難しいリズムを乗りこなしていきます。後半にあらわれるフェンダー・ローズのソロはチック・コリア風か?要は80年代テクニカル・フュージョン。
忘れていましたがどの曲にもぶ厚いブラス・ハーモニーが加わりサウンドに彩りを与えています。4曲目にはトロンボーンのソロが、5曲目にはバス・クラリネットのソロが、7曲目にはトランペットのソロが、6、7曲目にはギターのソロがフィーチャされています。ホーンのソロはNDRのメンバーですがなかなかのもの。ギターはジョン・スコフィールドから灰汁を抜いた感じかも?トランペットはエフェクターをかけていてまるでランディ・ブレッカー(笑)。
テクニカル・フュージョンにエスニック・フレイバーをほどよくまぶし、躍動的なパーカッション&ドラムが演奏をリードしながら進む展開はどれも陽性。聴き進むうちに気分は明るくなり元気がもらえるところが良いです。私的にはザビヌルの音楽が持っていたポジティブなパワーをここにも感じるので喜ばしく思います。ジョー・ザビヌル好きには是非聴いてほしいアルバム。
アルバム名:『21 SPICES』
メンバー:
Trilok Gurtu(per, ds, etc)
Simon Phillips (ds)
Michel Alibo (b)
Roland Cabezas (g)
Marcio Doctor(per)
Vladyslav Sendecki(key)
NDR Big Band
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コメント
最近、ビッグ・バンドとミュージシャンのアルバムが多く出ていますが、このアルバムは異色でもあり、かなり気に入りました。トリロク・グルトゥのタブラの音色が忘れられません。それにサイモン・フィリップスのドラムスが絡むので、なおエキサイティングなところがありました。
知り合いのベストに入っていたのを買ってみたのですが、聴いて大正解だったアルバムでした。
投稿: 910 | 2012年1月11日 (水) 08時05分
910さん
確かに最近ビッグ・バンドとの共演アルバムがかなりの数ありますね。
グルトゥ、フィリップスが躍動的でエキサイティングですよね。私も結構気に入ってます。これをベスト盤にあげるのもうなづけます。私の中では今年の15枚くらいの中の1枚です。
TBありがとうございました。
投稿: いっき | 2012年1月11日 (水) 19時20分