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小山彰太×スガダイローDUOライブは楽しかった。

一昨日は小山彰太さんとスガダイローさんのデュオライブを観てきました。場所はいつもの 甲府「桜座」 です。お目当てはスガダイローさん。 「荻窪ベルベットサン」 に出演しているスガさんのユーストリームを観て、いつかベルベットサンへ観に行こうと思いつつ行けなかったので、甲府に来るなら「行かねばなるまい、」となったわけです。

P117 「桜座」は甲府の中心街にあります。なのに日曜日の夜、この人けのなさです(涙)。ここは「銀座通り」というアーケード街。四半世紀前はそれこそ人でごった返していました。しかし、今は郊外に巨大ショッピングモールができて人はそちらへと流れ、甲府市中央商店街は空洞化現象。シャッター街と化しました。と、いきなりライブと関係のない話が(笑)。

P118 「桜座」入口はいい雰囲気でしょ。今が旬のミュージシャンが大勢やって来るので、私はジャズを中心に観ています。この日は昼から大雨が降っていたので、開場時間には雨がやんだけれど、人の出足は鈍ってしまったようです。日曜夜というのも最近は自宅で過ごす傾向にあるみたいです。と、またまたライブと関係のない話が(笑)。

「桜座」に入ると飲食スペースにスガさんが!話かけようと思ったけれど、シャイな私にはその勇気がなく、生ビールを注文して1杯飲んでしまいました(笑)。

P119 ステージはピアノとドラムのシンプルなもの。デュオなんだから当り前ですよね。いよいよライブの始まりです。お2人が楽器の前に座り、スガさんがピアノで聴いたことのあるフレーズを弾き始めた瞬間。今日のピアノの音は凄く良い音だと思ったのです。心地良く響いてきたのです。そして、ピアノを弾いているスガさんの動きがとてもしなやかなので凄く驚きました。だってそうでしょ。スガさんというとピアノを壊してしまったこともあるというガンガン弾くピアニストです。それがしなやかな動きでピアノを心地良い音で鳴らしているというギャップ!ここで、一挙にスガさんに惹きつけられてしまい、その後ほとんどスガさんばかり見ていました。いやっ、小山さんのドラミングはもちろん良かったんですよ。でも目はついついスガさんへ。

スガさんは細身で長身なので余計しなやかさが目立つのです。椅子は座面をかなり高く上げて座っていました。そして基本的に良い姿勢です。演奏が盛り上がってくれば体を前後にゆすったりはしますがほとんどは良い姿勢。背をほとんど曲げずに弾きます。ジャズピアニストってどちらかというと背を丸くして鍵盤に被さるようにして弾く方が多いので、これまた異色でした。でもこの姿勢がピアノを良い音で鳴らすことになっているのだろうと思いました。今日はピアノってやっぱり音が大事だよなと再認識。そういえば時々演奏中に足で椅子の位置を動かして修正していたのが印象的。足には坂本龍馬が履いていたような拘りの革靴も。

1曲目はセロニアス・モンクの《ミステリオーソ》。尖がったフリー・ジャスというよりスガさんの身のこなし同様にしなやかな音楽が聴こえてきました。小山さんのドラミングもしなやかにスイングしているように聴こえました。お2人の作る雰囲気というのは荒々しいものではなく、優しい雰囲気なのです。私が勝手にイメージしていた荒々しいイメージとのギャップを面白く思っているうちに演奏は終了。拍手。と思ったら曲の途中だったみたい。それはその後の小山さんのMCで分かったことです。

そして2曲目《ディーディー》へ。スガさんの体の動きが小山さんのドラムが生み出すリズムにシンクロしていることに気付きました。特にピアノを弾いていない時にそれが顕著で面白かったです、その体の動きの中でここぞというタイミングで音を鳴らしていていました。私にはそこにスガさんの小山さんへの寄り添いを見ました。スガさんはもっと大雑把な方かと勝手に思っていたのですが、演奏している姿から感じたものはナイーヴさでした。

ここで小山さんの簡潔なMCが入り小山さんの曲《はにやん新居物語》。ライブ後の打ち上げでスガさんに聞いたところ、般若心経を元にした曲とのことでした。タイトルは”般若心経”と”はにやん新居”をかけていたんですね。このユーモアセンスが好きです。ここでのピアノはダラー・ブランドの『アフリカン・ピアノ』に通じるものを感じた私。スガさんのピアノからはアフリカの大地の匂いを感じることがあるのです。

4曲目は山下洋輔さんの《寿限無》。最初ゆっくりスタートして、”寿限無寿限無・・・”を繰り返す度に徐々にテンポアップして、最後には怒涛のフリーへと突入するという展開。小山さんとスガさんのデュオはこの曲のように構成されたフリージャズで、無秩序なフリー・インプロとは違うものでした。第一部はここで終了。小山さんのドラミングはジャズ・ドラミングを極めた人の安定感を感じさせつつダイナミックレンジの大きさも感じさせるものでした。

第2部は《新寿限無》から。私には元曲よりしなやかなサウンドになっていると感じました。続いて《3.14》。円周率の数列をイメージした無機的な曲ですが、スガさんが間にアドリブで入れるスタンダードやジャズマン・オリジナルがいいアクセントになっている曲でした。《ファイアー・ワルツ》などらしい曲もあったのですが、《イパネマの娘》が出てきたのには思わず微笑んでしまいました。遊び心があるんですよね。

P119_2 次のスガさんの曲《葉隠》は、リズミックでメロディアスな曲で演奏はスガさんらしささが出ていました。ユーモアが効いたタイトルの小山さんの曲《月とスポンティーニアスな夢》はバラード。お2人が作る美の世界を感じました。ここで、照明の効果に改めて気付いたのです。いつものことなのですが、「桜座」では曲によって照明を変えて演出します。それがこのバラードで良い感じに嵌まりとても良い雰囲気を醸し出していたのです。写真の上からの青色照明に足元だけ横から黄色の照明を照らすものでした。

ラストはスガさんの曲で《時計遊戯》。これが凄い演奏だったのです。徐々に盛り上がりラストは物凄く白熱した演奏が繰り広げられたのです。ピアノはイメージ通りの”ガンガン””バシバシ”。ピアノが壊れそう。ドラムもシンバルを”ギャンギャン”バスドラ”ドスドス”と、もう大音響の痛快演奏が繰り広げられて大満足でした。スガさんは顔から汗が噴出。凄かった!ライブ後のスガさんと小山さんの話によると小山さんのドラムが一挙に大きくなりすぎたみたいでした(笑)。スガさんの意図は嫌になるくらいのクレッシェンドだそうで、なるほどそれがタイトル《時計遊戯》につながるのだろうと思いました。

アンコールは《ダンス》。これまた迫力演奏が繰り広げられました。お2人の気持ちが上手くシンクロしている良いデュオだと思いました。

今回は直にライブを観ることの意味を痛感。やっぱり観ないと分からないことってありますね。そして今回はライブ終了後の打ち上げに参加させていただき、スガさんのお話しが色々聞けたのですが、日本的な感覚の話やピアノを弾く姿勢の話など、それらはライブ演奏を観て感じたことを裏付けることにもなりました。ここには書けない裏話も多数(笑)。私が撤退した時は0時を回っていました。とても楽しかったです。打ち上げでは酔っていたのでスガさんには失礼なこを言っちゃったかも?m(_ _)m

今度ベルベットサンにライブを観に行くことにしましょう。
そして買いそびれていた『渋さ知らズを弾く』をAmazonに注文。
また甲府にも来てほしいな~。

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コメント

いっきさん

こんばんは。
読んでいたら、行きたかったーと思ってしまいました。
ダイローファンとしては、そそりまくるレポートでした。

投稿: | 2011年5月24日 (火) 01時01分

雲さん

こんばんは。
良いライブでした。
スガさんに対するイメージが変わりました。
CDの聴こえ方も変わった感じがします。
スガさんと話して人柄も良く分かりました。

投稿: いっき | 2011年5月24日 (火) 20時22分

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