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2011年5月

「ジャズ・ヒップホップ学習会 第4回」レポート

先週の土曜日、ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた「ジャズ・ヒップホップ学習会 第4回 : ジャズが失ったもの、ヒップホップが発見したもの」へ参加してきました。ゲストは原雅明さん、進行は中山康樹さんです。

原雅明さんは「音楽から解き放たれるために -21世紀のサウンド・リサイクル」という本を書かれていて、ヒップホップなど打ち込み系やジャズに対する興味深い評論をされています。私も今面白く読んでいる最中です。

P122 あいにくの大雨にもかかわらずお客さんはたくさん来ていました。若い女性の方もちらほら。原さん系の音楽ファンの方と見ました。お店に流れていたのはオースティン・ペラルタの『エンドレス・プラネッツ』。原さんが注目した最近のジャズで、私もたまたま最近ブログにこのアルバムについて書いた「なかなか面白いサウンド」 ので、後藤さんも購入したとのことでした。原さんが注目していたのは嬉しかったし、後藤さんがお店でかけていたのも嬉しかったです。

今回の講演は原さんが選曲して曲をかけながら中山さんと意見を交換していくものでした。原さんはレコードをたくさん持ち込んでいました。配布された資料に31曲(全曲かけたわけではないし数枚はCDをかけた)ありましたので、30枚くらいレコードを持って来ていたのだと思います。その重さを考えると強い拘りを感ぜずにはいられませんでした。「いーぐる」のオーディオで聴くレコードのヒップホップ。レコードならではのまろやかで芯のある低音が心地良かったです。

原さんの選曲コンセプトは、ヒップホップの流れとジャズとのつながりを意識しつつ、過去3回の講演ではかかっていないけれど、まだ聴くものはあるというもの。

1.耳慣らし、基準になるもの。

まずはStetsasonicの曲(88年)。他人の音楽を使うことへのヒップホップ批判に対し「これもジャズでいいじゃん」という感じのスタンスをとったそうです。バンド+サンプラー。

次のGang Starrの曲はスクラッチを含めたミックス。どこかで聴いたことのある曲だと思ったらマイルスのドゥー・バップの元ネタでした。リズムの上に乗っている音が尖がりまくりで私は気に入りました。

ラストのNas-One Loveの曲はスタンリー・カウエルのカリンバ演奏のワン・フレーズを繰り返して使うミニマリズムの要素があるとのことでした。ヘビーなビート。私は隙間多めの音配置に良いセンスを感じました。

(注)
私はヒップホップに詳しくないので勘違いしている部分があるかもしれません。あらかじめご了承願います。参考程度に考えていただければ幸いです。
かかった曲の詳細は「いーぐる」ホームページの「diary」にアップされるリストを参照願います。

2.ハビー・ハンコックの《ロック・イット》につながるもの。

まずはAfrika Bambaatas & Soulsonic Forceの曲(83年)。元々ファンクバンドにラップが乗ったものです。アーサー・ベイカーがプロデュース。モロに《ロック・イット》のビートでした。このバンドが出ていたロキシー・クラブ?にビル・ラズウェルや近藤等則などが行っていたそうで、カッコいいサウンドということでジャズに取り入れたのだろうとのことでした。

次のDinosaur L(アーサー・ラッセル)の曲はディスコ。ドラムマシーン4つ打ちビート。ハウスの方で評価されていて、ハウスへとつながるそうです。

ラストはD.St.(グランドミキサーDST)の曲(85年)。D,St.がセルロイド・レーベルから最後に出したアルバムから。《ロック・イット》スタイルのターンテーブル、シンセ、テープ、打ち込みドラムを使ってスタジオ録音するヒップホップの終わりだそう。この後はサンプラーを使って個人で作るスタイルになるとのことでした。私は機材の進化に伴うスタイルの断絶があることを知り興味深いことだと思いました。

ここで中山さんから発言。「ジャズが失った物は、ミュージシャン側の黒さと聴く側の視点。ジャズ側がダメだったところは『ビッチェズ・ブリュー』をジャズ・ロックと捉えたことで、ファンクと捉えるべきだった。そこでファンクと捉えていたら、後の《ロック・イット》もダメとはならなかっただろう。」とのことでした。「フリー・ジャズはファンクであり、アーチー・シェップやオーネット・コールマンもファンクと言える。」ともおっしゃっていました。

私は「なるほど。」と思って聞いていました。そして講演後に私が質問したM-BASE(ブルックリン派)がやっていた変拍子ファンクへの繋がりが気になって来たのです。ヒップホップがジャズに取り入れられた時期の少し後、ジャズサイドで黒人としてファンクを引き継いで次へと進めていたM-BASE。その流れは今もニューヨーク・ダウンタウン(ブルックリン)のジャズに脈々と引き継がれているからです。M-BASEは当時のメインストリーム回帰(ウイントンの登場)~新伝承派(中山さん命名?)の影に隠れ日本ではあまり話題にならなかったけれど、今こうして色々考えると実はかなり重要だったのではないかということです。

3.ネイティブ・タン

まずはA Tribe Called Questの曲。ロン・カーターが参加したアルバム『ザ・ロー・エンド・セオリー』から。

次はPublic Enemyの曲。色々出てきた中で特異とのこと。突然出てきたそうです。尖がっていますね。カッコいいです。原さんはリズムのバタバタ感(8ビートでロックっぽくなる)が好きで、オーネット・コールマンの『フリー・ジャズ』のダブル・ドラムと同質のものだとおっしゃっていました。ヒップホップではこのビートは先に繋がらないそうです。中山さんは『オン・ザ・コーナー』だと思ったそう。ジャズに引き継ぐ人がいない”踊れないファンク”。先ほど出たフリー・ジャズのファンク要素はフリー・インプロビゼーションになって抜けてしまったという話もありました。

次はJungle Brothersの曲(93年)。ビル・ラズウェルがプロデュースしたアルバムから。リズムが複雑な変な曲。

ラストはKMDの曲。当時お蔵入りしてレコードにならなかったものが結構あったとか。これもお蔵入りしたものの一つ。

私はジャズに引き継ぐ人がいないわけではなく、先述したM-BASEの変拍子ファンク以降のリズムの流れとして現在まであると思うわけです。2年ほど前に益子博之さんが講演していた「21世紀のジャズ」シリーズに登場したジム・ブラック(ドラマー)などに繋がるわけです。ただしやっているのは白人(ユダヤ系など)です。クリス・ポッターやデヴィット・ビニーその他諸々、今や変拍子ファンク系はニューヨーク・ダウンタウンの主流リズムと思える部分もあります。

今ブログを書きながら思ったのですが、フリー・インプロビぜーションになってファンク要素(スピリチュアルとも言えるかもしれません。)が抜けてしまうのは、ヨーロッパ勢のフリー・ジャズへの積極参入(日本もそれのうち)との関係で見直したら面白いものが見えてくるかもしれませんね。

話が横道にそれたので戻りまして、90年代前半にはサンプラーが主流化し、ラップ抜きのインストものも出てきた時期だそうです。

ここで中山さんが、「ラップが出てくると古く感じる。」と発言。ラップというのはスタイル/手法だからで、ラップは型がある程度決まっていて、発展させようがない側面があるとのことでした。なのでラップがないインストもののヒップホップの方に新しさを感じるとのことでした。これには後藤さんもほぼ同意していました。私もおっしゃることは分かりました。

この話を受け、原さんがそんな中山さんに聴かせたいということで高速ラップのFreestyle Fellowshipの曲をかけました。私はジャズの高速スキャットに類似性を感じました。中山さんはジョン・ヘンドリックス(ランバート、ヘンドリックス&ロス)に聴こえ、ラップが上手くなるとジャズ・ボーカルになってしまうとのことでした。クインシーが「インストとボーカルの間にあるのがラップ。」と上手いことを言っているなんて話もありました。

日本人をかけようと思ったけれど時間がなさそうなのでとばすことに。

4.2000年頃~?

まずはA Tribe Called Questの曲。Jay Deeのプロダクション。Jay Deeはロバート・グラスパー(ジャズ・ピアニスト)ともやっています。

次はMos Defの曲(99年)。トリッキーなリズムの尖がったもの。私は色々な音の乗せ方にセンスを感じました。原さんによるとこの頃からラッパー人気が落ちてプロデューサーに人気が移るようになるとのことでした。

次はQuasi moto(マッドリブ)の曲。凝った曲作りです。中山さんは「世界観が違う。構築力がある。ラップがラップでないように聴こえ全てがインスト化している。」と絶賛していました。更に「ラップものに足りない色彩感がある。日常にないどこかへ運んでくれる。サンプラーだけ。踊らせるものではない。」ともおっしゃっていました。私はこの人は本当に電脳オタクだと思います。そして仮想世界とトリップ感を感じます。

そこからこのマッドリブが所属するストーンスロー・レーベルが凄いという話へ。作品のアベレージが高く、独特の色彩感と距離感を感じるそうです。「ジャズのブルーノート・レーベル的な存在だと思う。」と中山さん。

ラストはストーンスロー・レーベルからJ Roccの曲。原さんはドラムが凄くて、ある種アート・ブレイキーみたいとおっしゃってかけました。せわしいリズムで、私にはハービー・ハンコックの《ディス・イズ・ダ・ドラム》を速くした感じのリズムに聴こえました。

中山さんは、ストーンスローもブルーノートもレーベル・オーナーが白人というのがポイントなのかもしれないとおっしゃっていました。このレーベルはロサンゼルスにあり、LAの方が緩い雰囲気でそれが良く、ジャズマンとヒップホップの人の繋がりがあるとのことでした。

中山さんから「ヒップホップはドラムありき。マイルスやJBとやったドラマーのスティーヴ・リードがこれからはドラマーの時代と言ったとか。ジャズではどの時代にも対応できたのがドラマー。80年代にヒップホップを擁護した発言をしたのはマックス・ローチ。」というような、ドラマー/ドラムがらみでジャズ~ヒップホップへの継承性に関する話がありました。

ドラマーの話で言えば、ジャスでも現代ニューヨーク・ダウンタウンだけでなく、色々なところに新しいリズム感のドラマーがたくさん現れ、今やドラミングだけが進歩しているような状況すら感じられます。そこにはドラム・マシーンなど機械リズム(テクノ/ヒップホップ)からの影響もあります(人力ドラムンベースとか)。現代ジャズのリズムは複雑なのです。

ここでまだ時間がありますということで、さっきとばした日本人ヒップホップということで、DJ Krushの曲。スタジオで、DJ Satoとほとんど即興で演奏しているもの。ヒップホップも即興演奏をしているんですね。なかなかカッコいい演奏でした。

DJクラッシュと竹村延和は日本のアシッド・ジャズの流れを汲んでいて、インストのクオリティーは高いそう。原さんはそういうものをまとめて聴いてほしいとおっしゃっていました。

ここまででプログラムは終了。
今回はカッコいいヒップホップがたくさん聴けました。
中山さんのジャズ・ヒップホップ考から他への繋がりも見えて面白かったです。

質問コーナーでは、お客さんが原さんに「今のヒップホップはあまり面白くないのであまり聴かない。”ヒップホップが失ったもの”もあるんじゃないか?」という質問をして、原さんの回答が「私も今はヒップホップはあまり面白くない。ヒップホップからずれている人が面白い。」だったので、いつものように中山さんからご指名をうけた私は、原さんに「私はヒップホップは最近少し聴き始めた程度なので、今のヒップホップはどこが面白くないのか具体的に教えてほしい。」と質問しました。

原さんからは「今はヒップホップもお金をかけて作るようになってしまい面白みが薄れた。初期のロー・ファイなものが面白い。」というような回答があったので、私はジャズも似たようなものだと言いました。お金をかけてたくさん売るために作ったものはなぜか面白くないんですよね。”たくさん売る=万人受け狙い=分かりやすい薄味”といった感じなのかもしれません。私みたいにディープなジャズファンには面白くないのです。悩ましい。多分ヒップホップの世界も同じような感じなんだろうと思います。

続いて中山さんに、「M-BASE経由で現代のジャズにも”踊れないファンク”は失われずにあるんじゃないか?ただしやっている人はの多くは白人なので黒さはないが。」と質問をしてみました。中山さんは確かにジャズにも残っているだろうが、黒さという部分も合わせるとジャズからは失われているとのことでした。ジャズとヒップホップの黒さの違いは、ジャスにウイントンが現れて黒さがキング牧師になってしまったのに対して、ヒップホップの黒さはマルコムXだという面白い喩えで回答してくれました。納得。

お客さんから原さんへ「中山さんの論旨に乗れるものと乗れないものがあったら教えてほしい。」という質問もあり、原さんは「ラップについては中山さんと少し違う考え方で捉えている。ラップを切り離して見れば面白いものがある。」というような回答がありました。

以上。

まとまりを欠いただらだらレポートですが、内容はほぼ書いたと思います。
音なしでは言っていることが分からないかもしれませんがしょうがないですよね。
ここまで長文をお読みいただいた皆様、どうもありがとうございました。
m(_ _)m

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「ジャズ・ヒップホップ学習会 第4回」に参加

昨日は ジャズ喫茶「いーぐる」 で開催された「ジャズ・ヒップホップ学習会 第4回」に行ってきました。

かなり雨が降っていたにも関わらず、多くのお客さんが来ていました。ゲスト原雅明さんの選曲でヒップホップを堪能。原さんはレコードをたくさん持ってきていました。「いーぐる」の高音質オーディオ装置でレコードをかけてヒップホップを聴く。たまりませんな~(笑)。CDでは出ないねっとりとした重低音が響き、心地良かったです。

さて、肝心のレポートですがもうしばらくお待ち下さい。m(_ _)m

P38講演では、ロン・カーターが客演しているア・ トライブ・コールド・クエストの『ザ・ロー・エンド・セオリー』から《イクスクルージョンズ》をレコードでかけました。これって、やっぱりヒップホップの重要なアルバムなんですね。聴きこんでいない私にはまだ良さが掴みきれませんが、まあ、急がず折をみて聴いていこうと思います。

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シカゴのジャズに浸る。

ディスクユニオン・ホームページの新譜を見ていて目にとまった1枚です。私のお気に入りエスニック・ヘリテイジ・アンサンブルの 『ママズ・ハウス・ライブ 35thアニバーサリー・プロジェクト』。そのメンバーであるアーネスト・ドーキンスのアルバムです。シカゴジャズと言えばこのレーベル:デルマークも要注目。私にとっては時々ハズレもあるレーベル。

P121アーネスト・ドーキンス・ニュー・ホライズン・アンサンブル『ザ・プレイリー・プロフェット』(2010年rec. dermark)です。メンバーは、アーネスト・ドーキンス(as,ts,per,vo)、マルキス・ヒル(fl(1),tp(2,3,7))、シャウン・ジョンソン(tp(1,2,4))、スティーヴ・ベリー(tb)、ジェフ・パーカー(g)、ジュニアス・ポール(b)、イサイア。スペンサー(ds,per)です。

アーネスト・ドーキンスはシカゴAACMの重要メンバーだったんですね。私は不勉強なので最近気付きました(笑)。そんな彼が若い世代と作ったグループがこのニュー・ホライズン・アンサンブル。ポスト・ロック~シカゴ音響派”トータス”のギタリストであるジェフ・パーカーが参加しているのも聴きどころです。シカゴにはこういうグループがあり、若い世代にジャズを継承してるのが良いと思うのです。

期待してCDプレーヤーの再生ボタンを押すと、”ズンタカター、ズンタッター”といきなりワルツで長閑なメロディーを4管でアンサンブル。ズッコケそうになりました(笑)。尖がったサウンドが出てくるものとばかり思っていたのです。でもねっ、これで良いのですよ。シカゴのジャズは。

力まないフリューゲルホーンのソロが出てくるとすっかり気分は和んでいきます。バックではパーカーがオーソドックスだけれどちょっぴり新しいニュアンスでギターを心地良く弾いています。続いてドーキンスがアルトで登場。いきなり熱く立ち上がります。フリーキー直前まで駆け上がりつつ熱い音を噴き出します。ジャズのエモーションに溢れています。その後はトランペットが丁寧にソロをとりテーマのアンサンブルへ。ゆったり終了。

で、いきなり速いパッセージの不安定なアンサンブル。今度はフリー・ジャズときました。これだからシカゴのジャズは面白い。1曲目ですっかり安心させておいて2曲目にこれですよ(笑)。ソロはドーキンスから、テナーで燃えに燃えます。こうこなくっちゃ。バックではパーカーが音響系の鋭いバッキングをしています。こういう展開も可能なわけですよ。この人達は。

トランペット・ソロ、トロンボーン・ソロと続きます。熱いですね。フリー・アンサンブルをはさんでトランペット・ソロ。きっちり仕事してます。掛け声が入って煽ったりしています。決して無機的にならないソロが良いです。王道フリー・ジャズ。それにしてもバッキングのパーカーが奏でるギターの尖がり音はカッコ良過ぎ。続いてそのパーカーのギター・ソロ。音響派の面目躍如です。更にベース・ソロ。歌いながら弾いています。ベースが軋む軋む。ドーキンスがハーモニカを吹いているの?面白い。オーラスはドラム・ソロ。ベースが軽くアルコで伴奏。いや~っ、カッコいい!

次はバラード。ドーキンスがアルトを切々と歌わせます。バックには自由なホーン・アンサンブル。これは2分半弱の小曲。

続くのはオーソドックスなバップ曲。特に新しさはないのですが、ジャズの基本をしっかり継承しているわけです。バッキングをするパーカーのギターには今時の匂いを感じますね。トランペット、トロンボーンとソロをとらせ、その後にドーキンスがテナー・ソロで貫録を示すのです。パーカーのギター・ソロはきちんとジャズ・ギターを弾いています。フレージングは新しさをほどほどにまぶしたブルージーなもの。べース・ソロ、ドラム・ソロと回してアンサンブルで終了。

5曲目はフリー寄りバップ、6曲目は物悲しい雰囲気のバラード。両曲ともにトランペットは抜けて、トロンボーンにしっかりソロをとらせます。パーカッションが香辛料的に使われています。

ラストの曲はテーマで軽くコーラスが入るアーシーなバップ曲です。黒さの継承ですね。ドーキンスのパーカッションも効いています。トランペット・ソロ、トロンボーン・ソロ、浮ついたところはなく、しっかり地に足のついたソロを展開。ギターは尖がり系ブルージー。黒いです。そして大御所登場。余裕で大らかなテナー・ソロを披露。そしてドーキンスが鼻歌の如きボーカルを聴かせてくれます。ジャジーでいいな~。気負いがないな~。ジャズが体に染みついているのです。何気ない歌すらジャズなのです。

特に何か新しいというわけではありませんが、シカゴのジャズはそれで良いのです。そのサウンドに浸れば心地良し!

ジェフ・パーカー、かなりカッコいいです!
トータスの『TNT』くらいは聴いておかないとダメですよね。
Amazonで中古CD(せこいっ!)を注文しました。

アルバム名:『Prairie Prophet』
メンバー:
Ernest Dawkins (as,ts,per,vo)
Marquis Hill (flh,tp)
Shaun Johnson (tp)
Steve Berry (tb)
Jeff Parker (g)
Junius Paul(b)
Isaiah Spencer (ds,per)

本日5/28(土)は ジャズ喫茶「いーぐる」
「ジャズ・ヒップホップ学習会 第4回 :
ジャズが失ったもの、ヒップホップが発見したもの」
があります。
ゲストは原雅明さん、進行は中山康樹さん。

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明日は「ジャズ・ヒップホップ学習会 第4回」

明日5/28(土)は ジャズ喫茶「いーぐる」、「ジャズ・ヒップホップ学習会 第4回:ジャズが失ったもの、ヒップホップが発見したもの」があります。ゲストは原雅明さん、中山康樹さんとの対談形式で講演します。

私は「ジャズ・ヒップホップ学習会」の過去3回は全て出席、今回も行きます。

原さんは「音楽から解き放たれるために --21世紀のサウンドリサイクル」という本を書かれていて、私も読み始めていますがなかなか興味深いことが書かれています。

今まだ3分の1くらいしか読んでいないうえに、取り上げているミュージシャンも聴いたことがない人が多数なため、今はおぼろげながら内容を把握しつつある状況です。

それでもここに書かれていることが、実は私が興味を抱いていたジャズのポスト・モダン状況と共通性を持っていることに気付き、明日はその辺りがもう少し見えてきたら面白いんではないかと楽しみにしています。

この本が出たのが2009年、ジャズのポスト・モダン問題が議論されたのも2009年、実は同じような事って、同じような時期に顕在化するという面白さに今(2年後)気付いた私。

う~ん、なかなかこれは面白い展開になってきた予感!

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カッコいい大人のフリー・ジャズ?

最近ブログを書くネタがなかなか浮かんでこない。う~む。新譜紹介をしようと思うのだけれどある程度聴きこまないと書けないですし、どう書いたら良いか悩むものもありますので色々悩ましいのであります。悩んだあげく・・・。当時ディスクユニオンが配布していたチラシを見て買った1枚。

P120 ジェリー・ヘミングウェイ・カルテット『ザ・ホインブレル』(2004年rec. clean feed)です。メンバーは、ジェリー・ヘミングウェイ(ds)、ハーブ・ロバートソン(tp)、エラリー・エスケリン(ts)、マーク・アライアス(ac-b,el-b)です。ニューヨーク・ダウンタウンの渋い面々。

ポルトガルのクリーン・フィード・レーベルということでフリー・ジャズに分類されて売られているのですが、果たしてこれがフリー・ジャズなのかというと?リスムは8ビートと変拍子主体で4ビートもあります。曲がしっかりありアンサンブルを生かしつつ各人のソロもしっかりあるという、形態としてはバップといえるのではないかと思います。バップの現代版。

メンバーは一癖あるフリー・ジャズもやる人達。メンバーを見ると「フリー・ジャズをやっているのだろうな~。」と思われてもしょうがないですね。でも内容は上記のとおり。中には自由度が高い演奏もありますので、全くフリー・ジャズではないとは言えませんが、恐れるような怖いフリー演奏はしていません。

全曲ヘミングウェイが作曲していて、キャッチーな曲はないですが、落ち着いていてちょっと暗めで味がある曲が並んでいます。へミングウェイのパーカッション系のフレキシブルなドラミングとゆったりグルーヴするアライアスのベースの上で、ロバートソン、エスケリンが丁寧でいて自由にフレーズを綴ったりアンサンブルをしたりする渋い味わいが特徴のジャズ。

派手さはないけれど味わいは独特のものがあります。サウンドはニューヨークらしい都会的でちょっと危険な感じ、内省的な部分も感じられますがあまり暗いわけではなく、癖があるんだけれどあまり嫌みはなく、緊張感を感じるんだけれど聴いているとなぜか緊張を強いられないゆとりがあるという、何とも説明しにくい面白さがあります。

まっ、分かる人には分かると思いますが、結局それはカッコいいとしか言いようがないわけです(笑)。大人のカッコ良さだと思います。そうだっ!ジャケット写真の雰囲気そのものです。このジャケットが気に入った方は是非聴いてほしい1枚です。

アルバム名:『THE WHIMBLER』
メンバー:
Gerry Hemingway(ds)
Herb Robertson(tp)
Ellery Eskelin(ts)
Mark Helias(ac-b,el-b)

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小山彰太×スガダイローDUOライブは楽しかった。

一昨日は小山彰太さんとスガダイローさんのデュオライブを観てきました。場所はいつもの 甲府「桜座」 です。お目当てはスガダイローさん。 「荻窪ベルベットサン」 に出演しているスガさんのユーストリームを観て、いつかベルベットサンへ観に行こうと思いつつ行けなかったので、甲府に来るなら「行かねばなるまい、」となったわけです。

P117 「桜座」は甲府の中心街にあります。なのに日曜日の夜、この人けのなさです(涙)。ここは「銀座通り」というアーケード街。四半世紀前はそれこそ人でごった返していました。しかし、今は郊外に巨大ショッピングモールができて人はそちらへと流れ、甲府市中央商店街は空洞化現象。シャッター街と化しました。と、いきなりライブと関係のない話が(笑)。

P118 「桜座」入口はいい雰囲気でしょ。今が旬のミュージシャンが大勢やって来るので、私はジャズを中心に観ています。この日は昼から大雨が降っていたので、開場時間には雨がやんだけれど、人の出足は鈍ってしまったようです。日曜夜というのも最近は自宅で過ごす傾向にあるみたいです。と、またまたライブと関係のない話が(笑)。

「桜座」に入ると飲食スペースにスガさんが!話かけようと思ったけれど、シャイな私にはその勇気がなく、生ビールを注文して1杯飲んでしまいました(笑)。

P119 ステージはピアノとドラムのシンプルなもの。デュオなんだから当り前ですよね。いよいよライブの始まりです。お2人が楽器の前に座り、スガさんがピアノで聴いたことのあるフレーズを弾き始めた瞬間。今日のピアノの音は凄く良い音だと思ったのです。心地良く響いてきたのです。そして、ピアノを弾いているスガさんの動きがとてもしなやかなので凄く驚きました。だってそうでしょ。スガさんというとピアノを壊してしまったこともあるというガンガン弾くピアニストです。それがしなやかな動きでピアノを心地良い音で鳴らしているというギャップ!ここで、一挙にスガさんに惹きつけられてしまい、その後ほとんどスガさんばかり見ていました。いやっ、小山さんのドラミングはもちろん良かったんですよ。でも目はついついスガさんへ。

スガさんは細身で長身なので余計しなやかさが目立つのです。椅子は座面をかなり高く上げて座っていました。そして基本的に良い姿勢です。演奏が盛り上がってくれば体を前後にゆすったりはしますがほとんどは良い姿勢。背をほとんど曲げずに弾きます。ジャズピアニストってどちらかというと背を丸くして鍵盤に被さるようにして弾く方が多いので、これまた異色でした。でもこの姿勢がピアノを良い音で鳴らすことになっているのだろうと思いました。今日はピアノってやっぱり音が大事だよなと再認識。そういえば時々演奏中に足で椅子の位置を動かして修正していたのが印象的。足には坂本龍馬が履いていたような拘りの革靴も。

1曲目はセロニアス・モンクの《ミステリオーソ》。尖がったフリー・ジャスというよりスガさんの身のこなし同様にしなやかな音楽が聴こえてきました。小山さんのドラミングもしなやかにスイングしているように聴こえました。お2人の作る雰囲気というのは荒々しいものではなく、優しい雰囲気なのです。私が勝手にイメージしていた荒々しいイメージとのギャップを面白く思っているうちに演奏は終了。拍手。と思ったら曲の途中だったみたい。それはその後の小山さんのMCで分かったことです。

そして2曲目《ディーディー》へ。スガさんの体の動きが小山さんのドラムが生み出すリズムにシンクロしていることに気付きました。特にピアノを弾いていない時にそれが顕著で面白かったです、その体の動きの中でここぞというタイミングで音を鳴らしていていました。私にはそこにスガさんの小山さんへの寄り添いを見ました。スガさんはもっと大雑把な方かと勝手に思っていたのですが、演奏している姿から感じたものはナイーヴさでした。

ここで小山さんの簡潔なMCが入り小山さんの曲《はにやん新居物語》。ライブ後の打ち上げでスガさんに聞いたところ、般若心経を元にした曲とのことでした。タイトルは”般若心経”と”はにやん新居”をかけていたんですね。このユーモアセンスが好きです。ここでのピアノはダラー・ブランドの『アフリカン・ピアノ』に通じるものを感じた私。スガさんのピアノからはアフリカの大地の匂いを感じることがあるのです。

4曲目は山下洋輔さんの《寿限無》。最初ゆっくりスタートして、”寿限無寿限無・・・”を繰り返す度に徐々にテンポアップして、最後には怒涛のフリーへと突入するという展開。小山さんとスガさんのデュオはこの曲のように構成されたフリージャズで、無秩序なフリー・インプロとは違うものでした。第一部はここで終了。小山さんのドラミングはジャズ・ドラミングを極めた人の安定感を感じさせつつダイナミックレンジの大きさも感じさせるものでした。

第2部は《新寿限無》から。私には元曲よりしなやかなサウンドになっていると感じました。続いて《3.14》。円周率の数列をイメージした無機的な曲ですが、スガさんが間にアドリブで入れるスタンダードやジャズマン・オリジナルがいいアクセントになっている曲でした。《ファイアー・ワルツ》などらしい曲もあったのですが、《イパネマの娘》が出てきたのには思わず微笑んでしまいました。遊び心があるんですよね。

P119_2 次のスガさんの曲《葉隠》は、リズミックでメロディアスな曲で演奏はスガさんらしささが出ていました。ユーモアが効いたタイトルの小山さんの曲《月とスポンティーニアスな夢》はバラード。お2人が作る美の世界を感じました。ここで、照明の効果に改めて気付いたのです。いつものことなのですが、「桜座」では曲によって照明を変えて演出します。それがこのバラードで良い感じに嵌まりとても良い雰囲気を醸し出していたのです。写真の上からの青色照明に足元だけ横から黄色の照明を照らすものでした。

ラストはスガさんの曲で《時計遊戯》。これが凄い演奏だったのです。徐々に盛り上がりラストは物凄く白熱した演奏が繰り広げられたのです。ピアノはイメージ通りの”ガンガン””バシバシ”。ピアノが壊れそう。ドラムもシンバルを”ギャンギャン”バスドラ”ドスドス”と、もう大音響の痛快演奏が繰り広げられて大満足でした。スガさんは顔から汗が噴出。凄かった!ライブ後のスガさんと小山さんの話によると小山さんのドラムが一挙に大きくなりすぎたみたいでした(笑)。スガさんの意図は嫌になるくらいのクレッシェンドだそうで、なるほどそれがタイトル《時計遊戯》につながるのだろうと思いました。

アンコールは《ダンス》。これまた迫力演奏が繰り広げられました。お2人の気持ちが上手くシンクロしている良いデュオだと思いました。

今回は直にライブを観ることの意味を痛感。やっぱり観ないと分からないことってありますね。そして今回はライブ終了後の打ち上げに参加させていただき、スガさんのお話しが色々聞けたのですが、日本的な感覚の話やピアノを弾く姿勢の話など、それらはライブ演奏を観て感じたことを裏付けることにもなりました。ここには書けない裏話も多数(笑)。私が撤退した時は0時を回っていました。とても楽しかったです。打ち上げでは酔っていたのでスガさんには失礼なこを言っちゃったかも?m(_ _)m

今度ベルベットサンにライブを観に行くことにしましょう。
そして買いそびれていた『渋さ知らズを弾く』をAmazonに注文。
また甲府にも来てほしいな~。

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小山彰太×スガダイローDUOライブを観てきました。

P116 昨日は甲府「桜座」で、小山彰太さんとスガダイローさんのデュオ・ライブを観てきました。とても良いライブでした。

ライブを観て初めて分かったことがあり、今更ながらライブを観る意味を痛感。ライブ後にはスガさん達とお話しする機会を得、とても楽しかったです。

ライブレポートは後ほどUPします。

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やっぱり凄いな~いいな~と思う。

YouTubeの動画を見ていたら、凄いな~いいな~と思ったのでした。

まずはパット・メセニー。
1995年日本ライブ。
このソロ。圧倒的ですよね。素晴らしい!
《ハブ・ユー・ハード》好きです。

次はマイルス・デイビス。
1985年モントルーライブ。
《サムシングス・オン・ユア・マインド》。
ジョンスコのソロはカッコいいですよね。
違和感ありありのフレージング。
でも今聴けば典型的はジョンスコ節だと分かります。
ボブ・バーグはソロが少ないと不満をもらし、その後辞めてしまうのでした。
マイルスはもういつものマイルス。
お~い、カメラに寄りすぎ。ハウってるし。この後植毛するんでしたっけ(笑)。

そして上原ひろみ。
2005年東京ライブ。
これも圧倒的パフォーマンス。
ファースト・アルバムの1曲目に入っていた《XYZ》。
上原ひろみを象徴する曲です。
スピード感が素晴らしい!かっ飛び演奏。

こちらはヒロミズ・ソニックブルームでの演奏。
2007年、ブルーノート東京とオマケ?
《朝日のようにさわやかに》。
スタンダードが全然変わったものになっちゃってます。
デヴィッド・フュージンスキーとの一騎打ち。
やっぱり上原ひろみが勝ってますよね?

やっぱりこういうスリルがないとジャズは面白くないのです。

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またまた気になるアルバムがあります。

最近気になるアルバムがたくさん出て喜んでいます。
私が気になるのはオーソドックスなジャズではないのでご了解下さい。

まずはトリロク・グルトゥ。
グルトゥはインド人のタブラ/パーカッション奏者です。
ドン・チェリーなどと共演していますよね。
上原ひろみの新譜に参加していたドラムのサイモン・フィリップスも参加。
NDRビッグ・バンドとの共演です。
未知のサウンドに興味が湧きました。

続いてグエン・レ。
ベトナム系フランス人ギタリストです。
最先端コンテンポラリー・ジャズとのこと。
ゲストにはユン・サン・ナ、デビット・ビニー、クリス・スピードなど多数参加。
ボブ・マーリー、クリーム、ジャニス・ジョプリン、ツェッペリンなどの曲を演奏。

4ビートやスタンダードとは無縁。そこがいい!
以上2枚は注文済み。

パット・メセニーのギター・ソロ新譜も気になるところですね。
このアルバムはもう少し様子を見てから買うことにしましょう。

今回はオーケストリオンのライブアルバムではありませんでしたね。
オーケストリオンはそのうちライブDVDが出るのかな~。

そういえば、予約しているアレックス・シピアギンの新譜が入荷遅れだそうです。
どうなっているんでしょう?

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今日は嫌いなのもについて書いちゃいましょう(笑)!

今日はちょっと私のポリシーを曲げて書こうと思います。私の美学に反する行為ですね(笑)。嫌いなものというか苦手なものについてです。これが好きな人にとっては問題発言でしょう。

苦手なもの=”ヴィーナス・レコード”(笑)!

私にはかつて色々なブームがありました。ジャズ喫茶「メグ」マスター寺島靖国さんに傾倒したかと思えば、ジャズ喫茶「いーぐる」マスター後藤雅洋さんに傾倒したり、ピアノ・トリオに傾倒したかと思えば、現代ニューヨーク・ダウンタウンに傾倒したり、オリジナル盤レコードに傾倒したかと思えば、ヨーロッパ輸入盤レコードに傾倒したり、数百円中古CDに傾倒したかと思えば、アウトレットCDに傾倒したり、もう色々なマイブームがあるわけです。

そんなブームの一つにヴィーナスのハイパー・マグナム・サウンド・シリーズ(レコード)がありました。今から10数年前の話です。それまでレコードからほとんど離れていた私なのですが、突然オリジナル盤レコードというものに目覚めてしまい、結果私の中にアナログ(レコード)ブームがやってきたのです。その時にレコードプレーヤーも買い替え、新型プレーヤーとしてロクサンのラディウス3、中古プレーヤーとしてデンオンのDP-80を買い、これら2台は今も活躍中。

そんなアナログブームの中にはハイパー・マグナム・サウンド・シリーズも含まれていたわけです。最初聴いた時に、そのメリハリある音がまるでCDのようで、最新の録音は凄いと思ったわけです。私が買ったのはほとんど中古レコード。今になって冷静に考えれば、当時から中古が結構出回っていたというのは、その音に好き嫌いがはっきり出ていた結果なのでしょう。ピアノ・トリオを中心に5,6枚買いました。

しばらくは楽しかったのですが、アナログを色々聴きこんでいくうちに、このヴィーナス・サウンドが耳につくようになりました。「こんな演出過剰音は醜い。」という思いが出てきたのです。そしていざ音が気に入らなくなって演奏に耳がいくようになると、これまた内容が気に入らないのです。ヴィーナスのプロデュース方針が気に入らないのです。「本当にジャズマンの意向に沿ったものなのか?単に一部の日本人ジャズファンの意向を無理強いしているだけじゃないのか?」ということです。結果そこにあるのは浅く狭いものなのです。

まっ、そんなわけで私の中のヴィーナス・ブームは一挙に冷めました。で、レコードはどうなちゃったかというと?何回かに分けてではありますが、私の不要リストに上がるようになり、その度にディスクユニオンへと処分されていきました。結果今は1枚も持っていません。m(_ _)m 今後ヴィーナスのレコードを買うことはないと断言します(笑)。

CDも4枚持っていたのですが、1枚は売り飛ばしてしまい、今はCD3枚しか持っていません。今日は今手元にある3枚のうちの1枚を紹介します。

P115デニー・ザイトリン・トリオ『アズ・ロング・アズ・ゼアーズ・ミュージック』(1997年rec. Venus)です。メンバーは、デニー・ザイトリン(p)、バスター・ウィリアムス(b)、アル・フォスター(ds)です。

これは私がピアノ・トリオ/寺島ブームの時に買った1枚。寺島さんの著書「JAZZはこの一曲から聴け!」の中にこのCDが紹介されていて、1曲目(タイトル曲)のシンバルが生々しく響き渡ると書かれてたのです。要は寺島さんの弊害:オーディオ聴き(笑)なのですが、私もオーディオファンであるわけで、アル・フォスターのドラミングは好きなので買うことにしました。

ちなみに、オーディオ聴きが悪いわけではないと思いますが、それに特価すると面白くもない演奏ばかり聴くことになりかねないので弊害と書きました。

このアルバム、確かに1曲目《音楽がある限り》はアルのシンバルが”チンチン、キンキン、コンコン”と生々しく鳴ってくれます。これもつまりはヴィーナス的演出過剰音なのですが、まあ気分は悪くないです。音だけなら売ってしまってもおかしくないのですが、このCDは演奏が気に入っています。

気に入っているのはザイトリン独特の美意識。明るくなりきれない漂う暗さがあり、それが深さにつながっているが良いのです。それは2曲目の《誰も奪えぬこの想い》(日本語タイトルにしているのがヴィーナスらしい)でも生かされ、このかわいい曲に影が加わり深みが増していると思うのです。アドリブはかなりアップ・テンポで弾きますが浮つかず重さがあるのがマル。3曲目《神に誓って》はスロー・テンポでしっとりと落ち着きます。

こんな調子で、このCDを聴いていると気持ちが落ち着いてくるところが良いです。暗さが気に入るのは、ニューヨーク・ダウンタウンの暗いのをたくさん聴いた自分がいるからかもしれませんが、まあ、こっちの世界も楽しいですよ(笑)。

ヴィーナスもCDならば許せます(笑)。しばらく前に安くなって再発されたので買ってもいいかな?と思っているものもありますよ。中古CDでもいいです(笑)。

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なかなか面白いサウンド

時々チェックじてるディスクユニオン新宿ジャズ館のホームページ、ニューリリースのところを見ていたら、このアルバムの四浦さんの魅力的な宣伝文が目に飛び込んできました。「これは聴かねばなるまい!」とAmazonへ注文。ユニオンさんm(_ _)m

P114 オースティン・ペラルタ『エンドレス・プラネッツ』(2009年rec. BRAINFEEDER)です。メンバーは、オースティン・ペラルタ(p,fender rhodes7曲目,ss1曲目)、ゼーン・ムーサ(as)、ベン・ウェンデル(ts,ss4曲目)、ハミルトン・プライス(b)、ザック・ハーモン(ds,tabla6曲目)、ストレンジループ(electoronic manipulation)、ハイディ・フォーゲル(vo 7曲目)、ザ・シネマティック・オーケストラ(electoronic manipulation7曲目)です。

ペラルタは2006年に15歳でアルバム・デビューしたそうです。ということは今年20歳。チック・コリア、ハンク・ジョーンス、ロン・カーターとの共演歴があり、エリカ・バドゥとのセッション歴やホレス・タプスコットのオーケストラとの共演歴もあるそうです。今時のジャズだけに収まらない活動をしている人のようです。

なお「BRAINFEEDER」というレーベルは、プロデューサー/ヒップホップ系DJのフライング・ロータスのレーベルとのこと。ロータスはカリフォルニア生まれ、このアルバムに参加しているミュージシャン(私は未知な人ばかり)もウエスト・コーストのコミュニティーの同世代らしいです。私が今興味を持っているヒップホップにつながるのが興味深い。

ここにあるサウンドは正に今時のもの。エレクトロニクスを取り入れ、ザックリしたサウンド・テイストはクラブジャズ系であったりジャムバンド系であったり、そこにスピリチュアルな要素も匂ってきます。曲にはエスニックな響きもあります。各人のソロを聴かせつつグループサウンドを意識したやり方です。漂うアンダーグラウンドな空気も私は好きです。

冒頭の短い曲はペラルタがソプラノ・サックスを吹く宇宙的な神秘性を感じさせるもの。ソプラノとピアノがエコー多めに録音されているからそう感じるのでしょう。エレクトロニクスは極控え目に使用。《イントロダクション:ザ・ロータス・フラワー》というタイトルからは、仏教的なものへの思いも感じさせます。

2曲目以降は基本2サックス・クインテットのジャムバンド系。日本で言えばソイル&ピンプ・セッションズなどに近いのでしょうが、私に言わせればジャズ度が違います。”なんちゃって”と“本場”の違いでしょうか。ベースとドラムがファットで粗く録音されているのが雰囲気を盛り上げていますね。ピアノは尖がりツッコミ系、サックスはスピリチュアルに吹き切り、べースはゴンゴン、そしてドラムが良いです。実に暴れています。ガンガンにフィルをねじ込んできます。

4曲目《オド・トゥ・ラブ》はバラードでなかなかの深さを聴かせてくれています。うねるソプラノ・サックスはどことなくウェイン・ショーター風。バックでピアノがゴツゴツだけれど美しさもある音塊をぶつけてくるあたりが良いです。デイブ・リーブマンとリッチー・バイラークの「クエスト」のファースト・アルバムに収録されていた《ジキル博士とハイド氏(ザ・チーフ)》と似たニュアンスもあります。私が好きなテイスト。

5曲目《インタールード》は短い曲ですが、オーソドックスなバップをやっているのがアルバムの中の演出として良い効果を出しています。

続く《アルジェー》(アルジェリアの首都)は、最初プリペアード風にピアノを弾いていたりして、スピリチュアルなんですけれど、タイトルどおりの中近東~東欧エスニック調なのがいかにも現代なのでした。ベースがひたすらリフを繰り返すあたりにはミニマルな要素も感じます。そのうえでサックスが抽象的なウネウネ・フレーズ。最後のほうは神秘的かつ宇宙的なエレクトロニクスが流れ、そのままラストの曲へメドレーされます。

ラスト《エピローグ:ルネッサンス・バブルズ》は、前曲とつながっていてエレクトロニクスに更に神秘的な女性のヴォイスが重なります。ここでのエレクトロニクスはより機械的に響いています。1分半程度。

全7曲40分と少々。全てペラルタが作曲しています。短いので一挙に聴けます。これぞ今時フュージョン(融合)なジャズです。ディスクユニオンの四浦さんが「今、ジャズ・ピアニストが向かう方向性にはトリオ・フォーマットしかなくなってしまったのだろうか、いや、決してそうではなかった。」と書いているのにうなずいた私です。

オースティン・ペラルタ、コンポーザー系ピアニストとして注目すべき存在かも?なかなかのセンスの持ち主。まだまだ未知の才能はいます。この人の他のアルバムが聴いてみたくなりました。

アルバム名:『ENDLESS PLANETS』
メンバー:
Austin Peralta(p,fender rhodes ss),
Zane Musa (as)
Ben Wendel (ts,ss)
Hamilton Price (b)
Zach Harmon (ds),etc

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やっと時計を修正!

私のブログを見て下さった方は違和感を感じていたでしょう。
何に違和感を感じたかって?時刻です。
今まで6時間くらい遅れていたのです。
ブログ更新時刻は表示していなかったので、
どこに時刻が表示されたかというと、コメントを書いた時刻。
例えばPM9時にコメントしたらPM3時にコメントしたことになっちゃう。
違和感がありますよね。
でもブログの時計修正方法が分からずこれまで放ってきました。

それが昨日(”今日”と書きたい、理由は後ほど)修正方法が判明したのです。
ブログ仲間のすずっく様に教えていただました。
最近すずっく様が私と同じココログに引っ越されたので、
きっと知っているのではないかと思い質問したのです。
教えて下さいました。

時間帯の設定があったのです。
これまで私は時計を直すには直接時間を入力するものだと考えていました。
一度思い込むと柔軟に考えられない私(涙)。
直接時間を入力するんじゃないんですね。
良く考えればあたりまえです。
各ブログごとに時間を管理していたらプロバイダの方が大変です。
要は時間帯の設定だったのです。
で、ちょっと考えれば分かるのですが、時間帯はプロフィールの1項目。
プロフィール設定画面の中に時間帯の設定がありました。

今までの時間帯は「アジア/テヘラン」。
「おまえはイランに住んでいるのか?」ってことになります(笑)。
なんで「アジア/テヘラン」に設定したのだろう?
ブログを最初に設定した時、うっかり間違えたんでしょうね。
すっかり忘れていました。
あれからもう3年半も経ちます。
「アジア/東京」に直して無事完了。
皆様、これまでご迷惑をおかけしました。m(_ _)m
すずっく様、どうもありがとうございました。

さて、ここでひとつ問題が。
私は0時以降(つまり次の日)にブログを更新することがほとんどですが、
時刻が遅れていたおかげで、「今日は」と書けば「今日」だったのです。
でも今度は違います。
既に今回の記事がそうですが、
「今日ブログの時刻を修正しました。」じゃなくて「昨日」なのですね。
「昨日Aさんのライブを見てきました。」という場合も「一昨日」と書かねば。
これからは注意が必要です。

まっ、それは当り前のこと。
時刻が正しく表示されるほうが大事ですよね。
う~む、でもちょっと面倒かも(笑)。

こんな日はジャケットの時計がめちゃくちゃな時刻を指しているこれ。

P88

エリック・ドルフィーの『アウト・トゥ・ランチ』でも聴きましょう。
カッコイイ音楽が入っています。
私が持っているのはキング盤のレコードですが、
CD輸入盤なら只今¥991!

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最近気になる新譜が多いのです。

最近気になる新譜が多いので随時入手しています。
ピアノ・トリオは1枚もないですね(笑)。
もちろん女性ボーカルもなし。

まずはこれ。
ジョシュアの新譜。問題作『コンパス』以来久々のリーダー・アルバム。
強力メンバー。

そして、
これはディスクユニオンジャズ館ホームページの四浦さんの文を読んで買い!
難解ではないけれど曲者ピアニストです。

そして、
シカゴの音が聴こえてきそうだったので。
でも、デルマーク・レーベルは私的にはハズレもあるので注意(笑)。

こちらは予約中の2枚。

クリポタがいるんでついつい予約しちゃいました(笑)。

たまにはジョンスコ。バラード集。メンバーがなかなか。
ドラムのブライアン・ブレイドに期待。

これは予約したのにAmazonから以下の連絡が入り強制キャンセル。
「メーカーより、マスター音源に不良があり、商品回収の連絡がありました。」

ECMレーベルなのにこのていたらく。
ディスクユニオンで売っているけれどどうなってるの?

順次ブログにUPしていく予定です。

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こういう唯一無二の音も聴きたくなる。

ディスクユニオン新宿ジャズ館のフリー・ジャズ・コーナー試聴機で聴いて気に入った1枚。昨年末頃に発売されたみたいです。

P111_2 ルシアン・バン&ジョン・エイベア『エネスコ・リ・イマジンド』(2010年、SUNNYSIDE)です。メンバーは、ラルフ・アレッシ(tp)、トニー・マラビー(ts)、マット・マネリ(viola)、アルブレヒト・マウラー(vl)、ルシアン・バン(p,re-orchestrations)、ジョン・エイベア(b,re-orchestrations)、ジェラルド・クリーバー(ds)、バダル・ロイ(tablas,per)です。ニューヨーク・ダウンタウンの精鋭揃い。パダル・ロイのタブラが異色ですね。

全く予備知識はなかったのですが試聴したら面白いサウンドでした。メンバーを見たら上記のとおりです。これは面白いということで、「買い!」となりました。実はこれを試聴していたら店内のB.G.M.がクリス・ポッターの新譜(ブログで紹介済み)になって、それも気になったという面白いシチュエーションがありました。

買って帰って聴きながらジャケット内の文章を読むと、「有名な作曲家、更に有名なバイオリニスト、指揮者、ピアニストのジョルジュ・エネスコは、20世紀の最もユニークな音楽家。・・・・・」と書かれていました。エネスコ(1881年~1955年)はルーマニア人、ルシアン・バンもルーマニア人ということで、同郷の音楽家へのオマージュ作品ということなのでしょう。エネスコの曲をバン(5曲)とエイベア(2曲)が編曲しています。全7曲。

現代音楽的な内容ですが、メンバーがメンバーですからジャズ的展開が多分にあり、アレッシやマラビーのジャジーな熱いソロ演奏が入っています。タブラが入っていたので、試聴した時にはエスニックなフリー・ジャズに聴こえました。演奏はなかなかの緊張度を保って進行していきます。

P112バンとエイベアがエネスコ作品集を演奏するコンサートを催し、それをライブ録音したのがこのアルバムなのでしょう。ジャケット内側にはそのコンサート風景の写真が使われています。録音はホールの響きを多めに収録したクラシック的なもの。ドラムの音量は控え目になっています。

1曲目《アリア・エト・シャジノ》はマラビーのテナーのむせび泣きから始まります。物語の始まりを感じさせる展開です。続くマウラーのバイオリンが哀愁をたたえ、エイベアのベースが深く沈むと何とも言えない郷愁感が溢れます。サウンドはチャーリー・ヘイデンの『ノクターン』に通じます。染みます。

2曲目《オクテット》は哀愁から一転。タブラの躍動的なビートに乗って、いきなりアレッシのトランペットが熱く高らかにソロをとります。この緊張度が素敵です。曲は東欧エスニック調。クラシック曲のはずなのにタブラと見事に融合。彼らにしかできない唯一無二の世界になっていると思います。中盤合奏でテーマを演奏した後、バンのピアノが躍動的な美を見せ、抽象的なビオラ、バイオリンのソロが続きます。基盤をなす躍動的なビートにより、楽しいジャズになっています。

3曲目《ソナタ》はピアノが先導してヴィオラとバイオリンが絡むフリーな展開から。その後メロディーとリズムが”フワッ”と姿をあらわします。しばらく合奏した後、アレッシのトランペット・ソロはここでもドラマティックで素敵です。続くマラビーのテナー・ソロはスケールが大きいですね。バックではピアノが切れの良いカウンターを当て、ドラムも躍動的に煽っていきます。いろいろな音が混じりあいながらフリーな要素を見せつつ合奏でエンディングへ。

4曲目《ソナタ》もタブラが活躍するミステリアスなエスニック曲。ロイ?の合いの手が面白い雰囲気を醸し出します。バンの間を生かしたピアノ・ソロが美しくも力強いです。ヴィオラの短いソロを挟んでマラビーのテナーが爆発。イエィッ~(笑)。回りではピアノ、バイオリン、ビオラがはやしたてます。ベースは始終太く構えて揺らぎません。エイベアのベースは逞しいです。バイオリンの短いソロからバイオリンとビオラの自由な語らいで終了。

5曲目《オーケストラル組曲》は静かに幕を開ける舞踏曲。タブラも交えた軽やかなビートの上で色々な音が交錯します。ミニマルなフレーズを引き続けるピアノが印象的。途中からのトランペットを主体としたフリーな咆哮などは印象的ですがけたたましさはないです。軽い合いの手も入りながら静かにエンディング。

6曲目《ピアノ組曲》はエネスコのナレーション(1951年パリ)から始まります。哀愁バラード。アレッシが中心となり優しくメロディーを奏でる展開。アレッシのトランペットはとても美しいですね。包まれます。テナー、バイオリン、ビオラもそれに寄り添って気分も高まっていきます。エネスコのナレーションが戻ってきて終了。

ラスト《シンフォニー》は変拍子の落ち着いた感じに始まります。私には現代ニューヨーク系のジャズに聴こえます。マラビーがテナー・ソロを取り始めると4ビートになります。アルバム中唯一の4ビート曲。クリーバーのドラムがここぞとばかりに躍動。その上でマラビーのテナーが迫ってきます。途中フリーなリズムも挟み、全員が自由に咆哮し始めるあたりはなかなか圧巻。怒涛のメンバーやりたい放題の展開となります。テーマを合奏し、最後の最後はクリバーのドラム・ソロ。これがサポートから解き放たれての大爆発!時間は短めです。演奏が終わると会場は拍手喝さい!これですよ。これ。ジャズっていいなぁ~(笑)。

現代音楽的な内容と書きましたが、これはジャズです。この人達がやると深みがあるんですよね。そしてこの人達にしかできないサウンド。クラシック曲を演奏する企画ものですが、企画ものの未消化感はなく、クラシックの堅苦しさもないです。ジャズの生々しさを持ちつつ構成美も聴かせる優れもの演奏。知性と肉体のバランス。アートしてます。フォーマットとしてのジャズに拘らない人には、かなりおススメなアルバム!

ディスクユニオンで買うよりAmazonで買うほうが安いですね。

アルバム名:『Enesco Re -Imagined』
メンバー:
Ralph Alessi(tp)
Tony Malaby(ts)
Mat Maneri(viola)
Albrecht Maurer(vl)
Lucian Ban(p, re-orchestrations)
Jhon Hebert(b, re-orchestrations)
Gerald Cleaver(ds)
Badal Roy(tablas, per)

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特にどうということはないけれど良いです。

東日本大震災から2ヶ月経ちました。
世の中もだいぶ落ち着いてきたように思います。
復興も徐々に進んでいるようです。
福島原発の復旧には問題が多いようですが、それなりに進展しているみたい。
時間は後戻りできないわけですから前に進むしかありませんね。

今日はディスクユニオンのアルトレットで買った1枚。

P110 アート・ファーマー『ソウル・アイズ』(1991年rec. enja)です。メンバーは、アート・ファーマー(flumpet)、ジェフ・キーザ(p)、ケニー・デイヴィス(b)、ルイス・ナッシュ(ds)です。トランペット・ワン・ホーン・カルテット。福岡ブルーノートでライブ録音。ここは名前が変わったりして閉店や開店を繰り返したみたいですが、今やっているのでしょうか?

私、アート・ファーマーが結構好きです。トランペッターの中で2番目に多くアルバムを持っています。一番はもちろんマイルス。マイルスは他と段違いにたくさんアルバムを持っていますよ。

ファーマーは”フランペット”というフリューゲルホーンとトランペットの中間的な楽器を使っています。なかなか優しい音で、私の耳にはフリューゲルホーンの優しさを残しつつ時には鋭い音も出せる楽器のように聴こえます。トランペットをスムーズに鳴らすファーマーの特徴を生かす楽器のようです。

バブル崩壊の初めに福岡ブルーノートでバブルの余韻を引きずりつつ録音されたんでしょうね。この頃のenjaレーベルはアルバムを乱発増産していたように感じる私、アウトレットや格安セールでこの頃の見知らぬenja盤をよく見かけます。特にenjaというわけではなく、当時のアルバム多発状況がその後尻つぼみになっていくのは自明のことだったように今では感じます。

アルバムの中身の話に戻ります。ファーマーらしいアルバムです。ファーマーらしいというのは、トランペットをバリバリ吹かず、丁寧にスムーズに穏やかにアドリブを綴っているからです。ジャズに求める大人の品位みたいなものを具現化しているように思います。

演奏しているのはスタンダード。タイトルの《ソウル・アイズ》をはじめ、《ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン》、《アイム・オールド・ファッションド》、《ストレイト・ノー・チェイサー》などです。ジョー・ヘンダーソンの《リコーダ・ミー》が入っているのは異色かも。私はこの曲が好きです。日本のブルーノートのお客さんを意識しての選曲なのでしょう。ファーマーの奏法も含め、当日のお客さんは「ジャズってカッコいい大人の音楽」と満足したことでしょう(笑)。

ピアノのジェフ・キーザがなかなかいいです。たとえばシダー・ウォルトンやマル・グリューミラーやケニー・バロンあたりがピアニストだたとしたら、もう”鉄板”というか当たり前の世界しかそこにはないのですが、キーザはもう少し尖がっているわけです。それがいい方向に影響しているのです。ソロで激しく弾く場面とかがあって、香辛料として作用しています。バッキングでも瑞々しさが出ています。

ベースのデイヴィスは仕事を全う。ドラムのナッシュは軽やかに気持ち良くスイングするドラマーなので、ファーマーのバックとしてはピッタリ。実に気持ち良く演奏をドライブさせていきます。

特にどうということはない大人のジャズ。ジャズにこういうものを求めている層があることは十分承知しています。演奏レベルは高いです。これはこれで良いではないですか(笑)。

アルバム名:『SOUL EYES』
メンバー:
Art Farmer(flumpet)
Geoff Keezer(p)
KennyDavis(b)
Lewis Nash(ds)

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これは結構笑っちゃう!

今日は何を書こうか迷ったあげくこんなアルバムを紹介することに(笑)。

P108 ランディ&イリアーヌ『アマンダ』(1985年rec. SwEeCa/ポニーキャニオン)です。メンバーは、ランディ・ブレッカー(tp,flh,el-tp,Linn ds)、イリアーヌ・イリアス(key,fl,Leed&Background-vo,Linn ds)、マイケル・ブレッカー(ts,al-fl,Background-vo 2曲)、渡辺貞夫(as 1曲)ウィル・リー(b,Background-vo)、マーク・イーガン(b)、ジェフ・ミロノフ(g)、バリー・フィナティ(g,Background-vo)、クリス・パーカー(ds)、ダニー・ゴットリーブ(ds)、デイヴ・ウェックル(ds)、マノロ・バドレーナ(per)、シロ&ジョージ(per)です。当時のランディ周辺のスタジオ・ミュージシャン勢揃い。ベース、ドラム、ギターは曲によってメンバーを変えています。

ジャケットが恥ずかしいですね(笑)。1983年に結婚して翌年に生まれた娘”アマンダ”に捧げて作られたアルバムとのこと。そのアマンダですが、皆さんご存じのとおり数年前に歌手としてデビューしていますよね。結婚して娘も生まれて幸せ気分最高潮といったところでこのジャケ写となったわけです。まっ、幸せ気分に免じて許してあげましょう(笑)。

P109 裏ジャケ(スリーブ裏)がこの写真。イリアーヌのはじける笑顔。あなたアイドルしてまっせ!何となく元”モー娘。”の石川梨花に見えるような気がします(笑)?バブル全盛期ですね。この恥ずかしさは。ポニーキャニオン日本制作。”スイカ”というレーベル名がふざけてる(笑)。当時の空気感満載です。面白過ぎます。こんなお2人も後に離婚。音楽内容なんかより、このアルバムを巡る諸事情が面白いので今日は取り上げました。m(_ _)m

内容はというと、基本は70年代末~80年代初めのフュージョン路線の延長線上。う~む、ブレッカー・ブラザーズよりは軟弱路線(笑)。そこにイリアーヌのブラジリアン・テイスト路線が加味されています。イリアーヌのボサ・ノヴァ・ボーカルも聴けます。《サンバ・デ・バンバ》というもろにサンバの曲まで入っています。

当時ならではということでは、ヤマハのFM音源シンセサイザー”DX7”が当然活躍しております。リン・ドラム(シンセ・ドラム)ももちろん使用。叩いているのは、ランディとイリアーヌ。シンセ・ドラムというと私の場合、C-C-B(日本のポップス・バンド)の笠浩二のメガネ顔が浮かんできてトホホとなります(笑)。1曲に当時大人気のナベサダまで参加しているんだから、もう笑うしかありません。

プロデュースはランディとイリアーヌだけれど、全体に漂うお気楽安直な雰囲気に、日本制作の匂いを強く感じるのは私の偏見でしょうか?まあ、心地良いフュージョン・アルバムとして聴けば特に問題はありません。

マイケル・ブレッカーとの共演は久々だったようです。そのマイケルが参加した《パンダマンディウム》は懐かしのブレッカー・ブラザーズ・サウンドを彷彿とさせます。マイケルはやっぱりカッコいいです。この曲は当時新進気鋭のデイヴ・ウェックルがドラムを叩いていて、この人のドラミングって最初からキレとパワーがあったというのがわかります。

フュージョン好きにだけおススメします。
どこかで中古CDを見かけたら拾ってやって下さい。

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クリポタの新譜、いいです!

そろそろクリポタことクリス・ポッターの新譜いってみましょう!

P107クリス・ポッター・アンド・ザ・DR・ビッグ・バンド 『トランスアトランティック』(2010年rec. RED DOT MUSIC)です。メンバーは、総勢18名からなるDRビッグバンド(5tp,4tb,5reeds,p,b,ds,g)クリス・ポッター(ts,ss)です。

DRビッグバンドをバックにクリポタのワンマンショーが繰り広げられています。何てったって作曲、編曲、指揮、ソロを独りでやっているんだから凄いです。それぞれのレベルも全て高いときたもんだ(笑)。ビッグバンドのアレンジも全てクリポタなんでしょうかね?凄いな~、この人。プロデューサーはベーシストのクリス・ミン・ドーキー。

ところでDRビッグバンドのピアニストってジャズ批評のジャズオーディオ・ディスク大賞銀賞受賞のマグナス・ヨルトだったんですね。初めて知りました。

1曲目《クイック》からクリポタらしさ全開。まず曲がクリポタ調、長年参加しているグループのボス、デイブ・ホランドとの共通性を感じます。現代風味ギターがいいアクセントになっています。ソロもクリポタ節全開。今回はどの曲もあまりひねりを感じさせないので、これぞ現代ジャズ王道といった感じで色んな人に受けそうなのが良いです。最後のほうでマグナス・ヨルトの短いピアノ・ソロが入ります。重厚なオーケストレーションがなかなか良いです。

2曲目《ザ・ステップス》は、曲前半が中近東~東欧エスニック風味で曲後半が普通のコンテンポラリー調。フィーチャされるロック調ギターがいいです。ギターはDRビッグバンドのメンバー、ソロ活動が十分できるレベルの人ですね。このアルバムは1曲おきにDRビッグバンドのメンバーがフィーチャされています。クリポタも気持ち良さそうにソロをとっていますよ。オーケストレーションも抜かりなし。

3曲目《インタールード》はその名の通り間奏曲で、1分半ほどの優しく長閑な曲。

4曲目《ニュー・イヤーズ・デイ》は、クリポタ調ですが80年代辺りにあったコンテンポラリー/メインストリーム回帰路線。こういう曲でのクリポタのメカニカル・フレージングにはマイケル・ブレッカーの影が見えますね。マイケル経由のネックストがクリポタなのです。この曲ではトランペットがフィーチャされてます。前記のとおりの曲調なのでトランペットはランディ・ブレッカーみたいに聴こえてきます(笑)。私はこの路線が好き。

5曲目《ナロー・ロード》はちょっと不安げなメロディーのセミスイート哀愁バラード。厚みがあり淡い色彩もみせるオーケストレーションが良いです。こういうバラードにおけるスケールの大きい落ち着いたソロもクリポタの魅力ですよね。

6曲目《アビシーニア》はかなりデイブ・ホランドを感じさせる6/8拍子のコンテンポラリー曲。やっぱりこういう曲ってクリポタに合っています。ソロでは本当に活き活きと吹いてます。クリポタ・ファンには堪らないものがあると思いますよ(笑)。これも私のお気に入り演奏。ドラムがフィーチャされてます。やっぱりレベルは高いです。

7曲目《トータリー》はちょっぴりクラシカルな愛らしいメロディーの美曲。こういう曲にはソプラノ・サックスですよね。大空を飛翔する感じのソロは聴いていて爽快な気分になります。品良くバックに鳴り響くビッグバンドもソロを上手く盛り上げています。こういうヨーロッパーを感じさせるサウンドも上手いですね。上質シルクの風合い。さすがクリポタ!

ラストの《ルミネーション》はダークで少しムーディーな曲。アグレッシブで尖がり度高めのテナー・ソロがいいです。後半どんどん燃え上がりますよ。最後まで抜かりなし。このクリポタを受けるのはトロンボーン。なかなか熱いソロを聴かせてくれるのですが、短めなのが残念。

このアルバムは新宿ディスクユニオンのジャズ館で買いました。フリージャズのコーナーでヘッドフォン試聴していたら、店内のB.G.M.にカッコいいのが流れてきて、「誰かな?」と思ったらクリポタのこれでした。Amazonのカタログにこのアルバムがないので、元々ディスクユニオンで買う予定だったのですが、聴いて納得して買いました。

現代屈指のテナーマンの安定したパフォーマンス。いいです。
クリポタ・ファンは必聴。多くのジャズ・ファンにおススメの1枚。

アルバム名:『TRANSATLANTIC』
メンバー:
Chris Potter: sax
DR Big Band

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メンバーの持ち味が出た初アルバム

どんどん新譜紹介しますよ。最近新譜をたくさん買いましたからね。

P106アダム・クルーズ『マイルストーン』(2010年rec. SUNNYSID)です。メンバーは、 アダム・クルーズ(ds)、ミゲル・セノーン(as)4曲、スティーヴ・ウィルソン(ss)4曲、クリス・ポッター(ts)、スティーヴ・カーディナス(g)、エドワード・サイモン(p,fender rhodes)、ベン・ストリート(b)です。凄いメンバーを揃えていますよね。クルーズはチック・コリアのオリジンに参加していたことがあるそうです。これはクルーズのファースト・リーダー・アルバム。

1曲目《シークレット・ライフ》は8ビート系の曲、最初は現代ニューヨーク風なのですが、クリポタがテナー・ソロを吹き始めるとスピリチュアル度が増してきます。クリポタにコルトレーンが乗り移った感じ(笑)。私の頭にはコルトレーンの『至上の愛』が浮かんできました。知性派サイモンのバッキングもスピリチュアルしていて面白いです。

後半カーディナスのギターが入ると現代風味に戻ります。ここではカート・ローゼンウィンケル系フレーズを弾いています。その後のサイモンのピアノ・ソロは現代と60年代スピリチュアルの間くらい。このメンバーでこのサウンドっていうのはちょっとイメージが狂ってしまいました。クリポタのスピリチュアルな演奏って珍しいですよね?

2曲目以降は現代ニューヨーク風味になりますが、フリー寄りの演奏もあるのが面白いところです。曲によって、知的で美しいサイモンのピアノ・ソロあり、爽やかな音で現代的フレーズをキレよく奏でるセノーンのアルト・ソロあり、カーディナスのカート系現代ギター・ソロあり、ウィルソンのキレ味良いソプラノ・ソロあり、クールなサックスの掛け合いありと色々楽しめる構成になっています。

3曲目《クリパスキュラ》は現代的浮遊感のバラードでクリポターがカッコいいです。絡むサイモンがイマジネイティブ。途中からフリー・ジャズになるのも意外な展開で、出てくるサウンドはこのメンバーならではのダークでクールでいて熱さも持っているカッコ良さです。

4曲目《ザ・ガッドフライ》は浮遊感がある変なメロディーの曲で私は結構好きです。ギターのカーディナスが良いソロをとっています。曲想にギターのサウンドがマッチするのです。中盤のドラム・ソロは現代性のあるドラミングをしていますが地味です。後半のクリポタとウィルソンの掛け合いはなかなか盛り上がります。

5曲目《レゾナンス》は、タイトル”共鳴”を生かす隙間多めのバラード。ベース、ギター、ピアノのニュアンス重視のソロが淡々と静かに流れていきクールです。7曲目《マジック・ラダー》はフリー・ジャズ。ウィルソンのソプラノ、サイモンのアブストラクトなソロが美しいですね。ラストはクリポタのテナーが盛り上げます。

肝心のクルーズのドラミングはというと、あまり派手に叩くこともなく、サポートに徹している感じです。この人はあまり主張しないところが良さであり悪さでもあるように思います。全曲クルーズが作曲していて色々な曲はあるけれどこれまた特徴があまりないです。クルーズは平均点高め秀才ドラマーかも?(笑)

これは参加メンバーの持ち味が出た演奏を聴くアルバムでしょう。

アルバム名:『Milestone』
メンバー:
Adam Cruz(ds)
Miguel Zenon(as, M-1,2,5,8)
Steve Wilson(ss, M-3,4,6,7)
Chris Potter(ts)
Steve Cardenas(g)
Edward Simon(p & fender rhodes)
Ben Street(b)

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諏訪湖へ行ってきました。

ゴールデンウイーク、家でジャズを聴いているだけではもったいない。
天気も良いし、諏訪湖へ行ってきました。
30数年ぶりの諏訪湖です。

諏訪湖間近で少々混雑したものの概ねスムースに到着。
湖畔の無料駐車場(一番賑わっているところ)は大混雑。
通路に駐車している不届き者多数。
空きスペースなし、狭い所でUターンしたら。
あ~っ、ここで悲劇が・・・。
助手席側の低い所に障害物がっ!あったみたい。
ズリズリバキバキ、見るも無残にドアの下のところがベッコベコ(涙)。
エアロパーツがほぼ外れて落っこちました。
修理代は10万ではきかないと思います。 (´・ω・`)ショボーン

で、どんどん賑わっているところから離れていってやっと駐車。
まっいいか。こちらは静かなのでゆっくり湖畔散歩。

P89

水辺にカモがいました。

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良い天気です。若干ガスがかかっているような感じです。

P91

湖畔にはまだ桜が咲いているところがありました。

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対岸は遥か彼方。諏訪湖は広いのです。

P104

これもカモ?

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で、もう湖畔をどんどん歩いていきました。
途中のコンビニでコーヒーとパンを買って湖畔で休憩。
で、どんどん歩いていくと間欠泉センターのところまで来ちゃいました。
のんびり1時間半くらい歩いたかも?

P105

近くには足湯と足裏刺激歩道。
多くの人が靴を脱いで歩いては「痛い痛い。」と。
では私もトライ。
痛いけれど耐えられないほどではありませんでした。
私、結構健康なの?(笑)

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写真は人がいないときに撮りました。
小さい石が敷き詰めてあるのが一番痛かったです。

P95

で、その先には遊覧船乗り場。
「すぐに出発します。」との呼び声。
「じゃ、乗りましょう。」大人800円。
スワンの方に乗りました。もう一隻はウミガメ(笑)。

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船からの眺め。船の上に出ると風が吹き付けて寒かったです。

P97

1周40分くらいでした。
本日ラストの間欠泉まで少し時間があるので足湯に浸かりました。

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私の足(笑)。

P99

では間欠泉を見ましょう。
最近は高く上がらないんだとか。
周りには大勢の観光客。

P100

最初は風下にいたので、少ししぶきを浴びてしまいました。
何度かに渡って10分弱吹き上げます。

P101

さて、湖畔を散歩して駐車したところまで帰りましょう。
夕暮れ間近です。

P102

小サギ?もいました。上空にはトンビも舞っていましたよ。

P103

どうやら湖畔の1/3周くらい、5~6km往復したみたい。いい運動になりました。

良い気分転換になりましたが、あの悲劇が・・・、まっ、いいかっ。しょうがない。

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好きなテイストです。

どんどん新譜紹介していきましょう。

P88 ケニー・ワーナー『バルーンズ』(2010年rec. Half Note)です。メンバーは、ケニー・ワーナー(p)、ランディ・ブレッカー(tp)、ダヴィッド・サンチェス(ts)、ジョン・パティトゥッチ(b)、アントニオ・サンチェス(ds)です。新/旧、大御所/中堅オールスターズって感じです(笑)。このメンバーならハズレはないだろうと思って買いました。

ブルーノートNYでのライブ録音。全4曲ワーナーの作曲で、12分前後の3曲と17分弱の1曲という構成。ライブならではの程よい長さの曲ですね。各人のソロがしっかり入っていて、かつソロは飽きるほど長くないというもの。

サウンドとしては80年代メイン・ストリーム回帰の雰囲気。フュージョンをやってきた人達がフュージョンを消化したうえでメイン・ストリーム(バップ)をやる感じです。ミディアム・テンポ~スロー・テンポの落ち着いた曲調のものばかり。ビートはほとんどが8ビートで、6/8拍子の曲が1曲、4ビート基調の曲が1曲です。こういうサウンドは好きです。

テーマをしっかりアンサンブルしています。単なるジャムセッション的なものでなく、しっかり構成された曲ばかりです。ソロ・オーダーも曲により様々。ランディのソロ、ダヴィッドのソロがない曲が1曲づつあります。ベース・ソロとドラム・ソロを入れた曲が1曲ずつあります。タイトル曲のようにピアノ単独演奏から始まる曲もあります。

最近のランディはフュージョンなんてどこ吹く風。きっちり現代バップしていますね。落ち着いたトーンでじっくり聴かせてくれます。変なひけらかしフレーズの類もなく、ちょっと地味で目立たない感じではありますが、好感を持っています。円熟味を増したランディって好きです。最近DRビッグバンドとやったバラード集を出したそうなので、それも気になっています。

ダヴィッドのテナーも落ち着いていてランディと好マッチング。熱く燃え上がる場面もあります。そしてリーダーのワーナー、この人ってもう少し癖がある人だと思っていたのですが、ここでは至ってまともなプレー。ソロもほんの少しの陰りを帯びつつ美しいメロディーを奏でてくれます。ホーンのバッキングにおいても非常に趣味良く控え目なくらいに弾いています。タイトル曲での頭のピアノ・ソロもデリケートな美を聴かせくれますね。良いです。

ベースのパティトゥッチ、いやはや最近は音から風格が漂うようになってきています。この人もフュージョンの”フュ”の字も感じさせませんね。いいベースを弾いているじゃありませんか。そしてアントニオのドラミング。う~む、素晴らしい。安定感抜群。嫌みなく演奏を鼓舞し推進させています。《クラス・ディスミスド》でのドラム・ソロを聴いて下さい。なんとまあ!アーティスティックなドラム・ソロではありませんか。ストーリー性を感じさせるソロです。何度も聴きたくなりますよ。

このメンバーらしい良い内容のライブ演奏でした。特に目をひくようなポイントや派手さはないのですが、ジャズの良さを感じさせるじっくり味わえるアルバムになっていると思います。

アルバム名:『Balloons』
メンバー:
Kenny Werner (p)
David Sanchez (sax)
Randy Brecker (tp)
John patitucci (b)
Antonio Sanchez (ds)

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今日はユルネタです。

今日は東急ハンズで買った置物についてです。
先日上京した時、東急ハンズにプラスチッククリーナーを買いに行きました。
プラスチッククリーナーはCDケースを掃除するのに便利です。

P9_2

ついでに東急ハンズのグッズを売っているフロアーをブラブラ。
う~ん、気になる。目にとまったのはナノブロック。
ナノブロックで作る名所の置物。
色々ありました。
浅草雷門、何とか城、ヨーロッパの古城、サグラダファミリア教会などなど。
私が買いたいと思ったのは東京タワー。
しばし悩んだ末に買ってしまいました(笑)。
作りました。

P85

なかなかのものでしょ。
現物とはちょっと違う感じがしますが雰囲気は出ています。
これを買った翌日には東京スカイツリーを見に行ったのです。
私的には面白い展開だったと悦に入ってます。

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メインスピーカーの上に飾りました。
隣にはウィスキーのミニボトル。
これは数年前、上野の不忍池でやっていたフリーマーケットで買いました。
買う時にお店の人が”飲めませんよ。”と、”はははっ、分かってますよ。”
置物として買ったのです。
緑、黄、赤、信号機みたいでいいでしょ。
カミュー、スーパーニッカ、ハニーワインです。

こんな具合にスピーカーの上にはいくつかの置物がのっかってます。
そして東急ハンズが好きな私(笑)。

そうそう、これも不忍池のフリーマーケットで買いました。
昔のSP盤。壁に飾ってあるだけで聴いたことはありません。

P87

とまあこんな具合でダサいインテリアを楽しんでます(笑)。

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見つけました!

前回上京した時にディスクユニオン新宿ジャズ館でゲットしました。

P84 ビリー・ヒギンズ『ワンス・モア』(1980年rec. Red Records/DIW)です。メンバーは、ビリー・ヒギンズ(ds)、シダー・ウォルトン(p)、ボブ・バーグ(ts)、トニー・デュマス(b)です。80年代の匂い漂うワン・ホーン・カルテット。

このレコードは渋谷の「JBS」や中野新橋のジャズ喫茶「ジニアス」で聴いて入手したくなったもの。目玉はリーダーのヒギンズではなく、ピアノのウォルトンでもなく、テナーのボブ・バーグその人なのです。

ボブ・バーグと言えば復帰後のマイルス・グループに加入して有名になった人です。サックスのビル・エバンスの後釜。そしてマイルス・バンドを自分から辞めた(たいていは親分マイルスからグビにされるのに)人として有名だったはす(笑)。このアルバムではマイルス・バンド参加前のバーグの好演が聴けます。

バーグのテナーの良さは溢れ出る”熱さ”。次から次へと熱が込み上げて白熱してしまうところです。マイケル・ブレッカー世代なのに遅咲きで、それはオーソドックスなプレー・スタイルからだろうと思われます。そのオーソドックスなスタイルでよくマイルス・バンドから声がかかったものだと思います。で、やっぱりマイルスのところではちょっぴり違和感がありました。

マイルス・バンド脱退後はマイク・スターンとの双頭バンドなどで活躍するわけですが、円熟みを増してきていた2002年に突然交通事故で亡くなってしまいました。何とも残念ですがどうしようないことです。

このアルバムは何の変哲もないオーソドックスなバップ・スタイルなので、バーグの良さが発揮されていると思います。オーソドックスとは言っても50、60年代のままではなく、80年代なりのモダンな音になっています。このくらいのモダンさがバーグに合っているのです。男気溢れるバーグが聴けますよ。

ヒギンズ&ウォルトンのコンビは、当時のスティープルチェイスやミューズに何枚も録音が残されていますよね。そこにベースのサム・ジョーンスが加わったりすると、これは”鉄板”トリオなのではないでしょうか?そしてこの組み合わせに似合うのがジャズ喫茶の空気なのです。このアルバムなんかは正にそれで、ジャズ喫茶で聴くと”ジャズってこれだよねっ。いいよねっ。”となるわけです。このレコードを買えばジャズ喫茶の空気も一緒に付いてきます(笑)。

このアルバムはCD化されていないと思います(と思ったらCD化されてました)。ディスクユニオンで見つけてラッキーでした。価格も高くはなかったです。10%OFFで買ったのでお得でした。買ってビックリしたのですが、ジャケットにはビニールが被せてあり、レコードは厚紙のホルダーに入れられていました。以前の所有者が大切にしていたことがうかがわれます。こういうレコードを譲り受けるのって嬉しいですね。

で、私はというと、ジャケットに被せてあったビニールを剥いで、レコードも普通の内袋に入れて収納しています(笑)。それで良いのです。決して粗末に扱っているわけではありませんよ。丁寧にかつ普通に扱っているだけです。

渋谷の「JBS」に最近行ってないな~。お店のマスター:俗称マルカム(tommyさん名付け親、笑)に会いたい!

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