ブログデザイン変更!
私のブログ常連の皆さま、驚かせてしまいごめんなさい。
ちょっと気分を一新してみようということで、
久々にブログデザインを変更してみました。
だいぶソフトになってしまいましたが今はこんな気分なのです。
アイコンの信玄像が厳つくて似合わないのですがよしとしましょう。
デザインは変わりましたが中身は相変わらずですので、
よしなに。
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私のブログ常連の皆さま、驚かせてしまいごめんなさい。
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今日も新譜紹介!ちょっと遅いかも?
カーミット・ドリスコルの『リヴィール』(2009,2010rec. 19/8)です。メンバーは、カーミット・ドリスコル(ac-b,el-b)、ビル・フリゼール(b)、クリス・デイヴィス(p,prepered-p)、ヴィニー:カリウタ(ds,per)です。リーダーのベーシストは多分初めて聴きました(ではなく、持っているフリゼールの『ルックアウト・フォア・ホープ』でこの人がベース弾いてました)。メンバーの組み合わせがなかなか面白いです。
衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」で聴いて気に入りました。サウンドとしてはコンテンポラリー~フリー。リズムは8ビートのロック/ファンク調が基本で、時々フリーへと移行してフリーなビートになる場面もあります。
何と言ってもフリゼールが目玉です。ここではいつものカントリー調よりはブルージーに弾いています。曲によってはジョン・スコフィールドのように聴こえてくる場面があって面白いですよ。この人ならではのコクとウマミは何物にも代えがたいものがありますね。”ギンギン”ロックしている曲もあっていいですよ。”うむっ”ラストの曲はメセニーのように聴こえるかも?(笑)
ピアノのデイヴィスは女性。トニー・マラビーなんかとやるニューヨーク・ダウンタウンの曲者の一人なのです。ただしこの人の場合は曲者といっても尖がった感じや近寄りがたい感じは少なく、ここでは優しく包み込んでくれる方向なので面白い。女性ならではのしなやかさと母性愛を感じるのです。アブストラクト/フリーに弾いても妙に染みるから困っちゃう(笑)。
ドラマーのカリウタはフランク・ザッパやスティングとやったりするロック/フュージョン方面では言わずと知れた人。「曲者メンバーのひと癖ある曲なんだけどカリウタで大丈夫かな?」と思ったのですが、いらぬ心配でした。フリーな場面に突入しても何食わぬ顔でイマジネイティヴに叩いてくれます。私、カリウタを見直したのであります。
リーダーが最後になってしまいました(笑)。2曲以外はドリスコルが作曲しています。分かりやすさと分かりにくさが程よくバランスした曲が並んでいます。一筋縄ではいかない曲ばかりなので、この手のやつが好きな人にはたまらないものがあります。肝心のベースは、意外と普通で堅実サポートタイプ。個性的なメンバーをしっかりまとめていると言えるでしょう。ファンク調の曲でエレベを弾きます。
曲者が揃って癖のある曲をやっているにもかかわらず意外と聴きやすいのが◎。この独特の風味、分かる人には分かるし、嵌まる要因なのです。メンバーにピンッと来たら買いでしょう。
《グレイト・イクスペクテイションズ》は昔よく聴いた(マジックのB.G.M.?)メロディーに似ているんだけれど思い出せないよ~(涙)。誰か教せ~て!これ、ジョー・ザビヌルの曲でした。
アルバム名:『Reveille』
メンバー:
Kermit Driscoll (ac-b,el-b)
Bill Frisell (g)
Kris Davis (p,prepared piano)
Vinnie Colaiuta (ds,per)
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新譜紹介行ってみよう!
アンブローズ・アキンムシーレの『ホエン・ザ・ハート・イマージズ・グリスニング(うちなる閃光)』(2010年rec. BLUENOTE)です。メンバーは、アンブロース・アキンムシーレ(tp,Celeste,voice)、ジェイソン・モラン(Rhodes)、ジャスティン・ブラウン(ds)、ジェラルド・クレイトン(p)、ハリシュ・ラガバン(b)、ウォルター・スミスⅢ(ts)です。プロデュースはアキンムシーレとモラン。モランは同レーベルの先輩。1曲のみに参加してローズを弾いています。
アキンムシーレの名はジャズ喫茶「いーぐる」の新譜特集で耳にしました。現代注目トランペッターとのことだったので、私はこの人が参加するアルバムを何枚か聴いてきました。なかなかしっかりした演奏をする人だと思っていたのですが、とうとうメジャー・レーベル・デビューですね。ちなみにアキンムシーレはセロニアス・モンク国際ジャズ・コンペティションで2007年に優勝しています。
全13曲、2曲以外はアキンムシーレが作曲しています。曲数が多いのは1分前後の短い曲(ベース・ソロ、ピアノとチェレスタのデュオなどあり)が4曲あるからです。最長曲が冒頭の8分36秒の曲なので、短めの曲を密度濃くやっているとも言えます。クインテットでソロを回す曲だけでなく、トランペット・トリオやピアノとのデュオなどがありますから、レーベル・デビューということもあり多彩な面を見せようとする意図が感じられます。
プロデュースし過ぎるのもよくありませんが、ここではプロデュースが上手くいっていると思います。曲者モランが共同プロデュースしているのが功を奏しているのかもしれませんね。《マイ・ネーム・イズ・オスカー》なんて、アキンムシーレのナレーションとドラムのデュオですから面白い。でもこれがストリート性とブラックネスを感じさせて違和感なく溶け込んでいる辺りに巧さを感じます。
アルバムを通しての雰囲気はダークで落ち着いたもの。イタリアンがやるようなノーテンキな軽いものも悪くはないのですが、最近の私はこのアルバムのような雰囲気のほうが好きです。ニューヨーク・ダウンタウンの感じが流れていますが、メジャー・レーベルらしい王道感を持っているところが良いです。
1曲目《コンフェッション》と続く《ヤヤ》はオーソドックスなクインテット演奏。ユダヤのメロディーと哀愁が感じられます。で、イスラエル人ベーシストのオマー・アヴィタルなんかがやりそうな曲です。で、かなりの熱量をはらんでいます。アキンムシーレのトランペットはストレートで重厚。派手さはないけれどじっくり聴かせます。
トランペット・トリオでは白熱の演奏を聴かせ、ピアノとのデュオでは深みを聴かせるなど、色々な表情を見せるあたりに表現力の高さを感じますね。メジャー・デビューには納得。
相棒のテナー、スミスⅢとはこれまで何度も共演しています。スミスⅢのアルバムに何枚も参加しています。スミスⅢはコルトレーン系でスピリチュアル度高めなのがポイント。フレッシュ・サウンド・ニュー・タレントからサム・リバースの『フューシャ・スイング・ソング』似のジャケットのアルバムを出したこともあるので、60年代のスピリチュアル系ジャズが好みなのでしょうね。6曲に参加。
ピアノのクレイトンは、ベーシストのジョン・クレイトンの息子。私はこの人はもっと保守的な演奏をする人だと思い込んでいたのですが違いました。なかなか現代的鋭さを持った人でした。歌伴が上手いという話も聴いたことがありますが、それはアキンムシーレとのデュオ曲(《ホワッツ・ニュー》など)にあらわれていました。トランペットで歌うアキンムシーレをとても巧くサポートしているからです。デュオのバラード演奏はかなり染みます。
ベースのラガバンは堅実で逞しく、ドラムのブラウンは現代的なパルシブ・ビートを叩くなかなか良いドラマーであると思いました。メンバーの技量が揃っていて、かつアキンムシーレの実力を上手く魅せるような作りがなかなか巧みです。
アキンムシーレの魅力が詰まった良いアルバムだと思います。
日本盤も出るみたいですが、輸入盤が安いのでお得です。
アルバム名:『When The Heart Emerges Glistening』
メンバー:
Ambrose Akinmusire(tp,celeste,voice)
Justin Brown(ds)
Gerald Clayton(p)
Harish Raghavan(b)
Walter Smith III(ts)
Jason Moran(rhodes)
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今日は ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた「ジャズ・ヒップホップ学習会 第3回:ビル・ラズウェルの正体を暴く?」のレポートを書きます。
当日は雨、風も結構強かったです。それでもお客さんは結構入っていました。この企画は毎回好評なのです。「ジャズ・ヒップホップ学習会」は今回で3回目。全5回予定なので折り返しですね。今回の講演は中山康樹さんと村井康司さんによるもの。お店に入って後藤さんと中山さんに軽く挨拶して着席。講演開始前にかかったビル・ラズウェルのアブストラクト/ドラムンベース系のアルバムが気にいってしまいました。
講演冒頭はビル・ラスウェルについての軽い説明。「ベーシスト、プロデューサー、オーガナイザーと色々やっているが、新宿と荻窪の間に住んでいそうな感じ。」との説明に、「何なのそれ。」とツッコミをいれたくなりつつ思わず納得してしまいました(笑)。ヒップホップ学習会にラズウェルが登場するのは、「ジャズにヒップホップを持ち込んだ最初の人」という一般的な認識があるからです。
なぜラズウェルがヒップホップを持ち込んだのか、私はその解明があるのかと期待していたのですが、あまりその手の話はなく、どちらかといえばラズウェルがらみの曲(アルバム)を紹介して、そのキャラクターを暴くという内容でした。まっ、タイトル通りなのでそれで良いわけです。で、先に結論を言っちゃえば、ラズウェルがヒップホップを取り入れたのは、単に本人の多様な音楽アプローチの一つだったという風に理解しました。
ラズウェルについては、調べれば調べるほどよく分からない人。芯/ルーツがない人。あまり個性はなく堅実なベースを弾く。オーラがない人。異色なミュージシャンを組み合わせて音楽を作る。なぜラズウェルの元にいろんなミュージシャンが集まってくるのか分からない。カリスマ性を拒否。腰が軽い。マメ。などのコメントがあり、結局、ラズウェルは(音楽的に)よく分からない人だというのが分かったという感じでした(笑)。
ほぼ年代順に曲をかけていきましたが、いろんなことをやっていました。かけた曲については ジャズ喫茶「いーぐる」 の[diary]を参照してください。基本的にはポップでわかりやすいことをやりつつ、一方で「マサカー」や「ラスト・イグジット」のような爆音系にも興味があるというものでした。
ハービーとのヒップホップ系もかかりましたが、私が面白いと思ったのはソロ名義のアルバム『ベースライン』からの《アクティヴェート》。ロフト系のミュージシャンとやったいわゆるジャズ度が高い演奏でした。あとはウェザーの曲をアレンジした《キューカムバー・スラムバー》。これはウェザー好きな私好みというわけです。ワールドミュージックをフュージョンした《Alsema Dub》も面白い感じでした。これは音響的に低音”ブリブリ”が◎。
マイルスの曲をリマスタリングしたアルバム『パンサラッサ』から《レイテッドX/ビリー・プレストン》もかかりましたが、やっぱりマイルスはいいですね。この曲については、村井さんから元曲の”邪悪な感じ”が減っているなんて指摘があり、中山さんから「それは音を整理してしまっているからだろう。」との指摘があり、皆さんそれには納得していました。
村井さんは、ラズウェルに似たタイプの注目すべき4人として、当人ラズウェル、キップ・ハンラハン、ハル・ウィルナー、ジョン・ゾーンをあげていました。1981年頃色々交差していた人達で、すくい上げるべき人とのことでしたが、これらの人の仕事については村井さん著『ジャズの明日へ』を読んでいただければ良いんじゃないかと思います。
中山さんからは、ラズウェルがオーケストラルサウンドを指向していて、40年代のスタン・ケントンに似ているなんて話がありました。「わからなさ加減で2大巨頭。」とおっしゃっていて、これにも皆さんなるほどと納得していました。
色々聴いた私の感想としては、それそれ出来は良いものの、ラズウェルの音楽にもうひとつひねりが足りないというか食い足りないものを感じました。あくまで個人的なちょっと意地悪な聴き方ですが、そう感じたんだからしょうがありませんね。村井さん、せっかく色々聴かせていただいたのに申し訳ありませんでした。m(_ _)m でも色々見えてきたので収穫はありました。
講演後は打ち上げに参加してディープなジャズ談義。
講演、打ち上げ、楽しかったです。
*
ここで私とビル・ラズウェルの出会いについて書いておきます。
私は1982年からジャズを聴き始めたのですが、山梨在住の私の主たる情報源はスイングジャーナル誌(SJ誌)とラジオのFM NHK(FM東京は受信不可)。そして従兄弟のジャズ好き。そんな環境の中でビル・ラズウェルと出会うわけです。
最初はマテリアルの『メモリー・サーブス』で、次が『ザ・ゴールデン・パロミノス』。今じゃ考えられないけれど、当時CBSソニーがセルロイド・レーベルと契約してレコードを発売したのです。当然SJ誌にレビューがのり、それを読んで興味を持ち、音はFMラジオで聴きました。何か新しい風味だというのは分かったけれどそれでおしまい。
で、ハービー・ハンコックの『フューチャー・ショック』が続くわけです。聴いてビックリしました。当時の私は「ヒップホップ?何それ?」。アルバム・ジャケットと相まって”近未来ジャズ”と感じたものでした。私的に一番インパクトがあったのは”スクラッチ”。グランドミキサーDSTの楽器”ターンテーブル”のほう。テクニクスのプレーヤーを手で前後に動かして”キュキュキュキュッ”。「凄いことやるもんだなあ。」と思いました。それからマイルスつながりでピート・コージーのギターには惹かれました。
このヒップホップ・テイストのジャズにはいまいちのめりこめなかった私。打ち込み系電子音としては既にテクノ(YMO)を聴いちゃっていたので、ジャズには別のものを求めていたのかもしれませんね。
当時の私はマイルス、ウェザー・リポート、オーネットのプライム・タイム・バンド、V.S.O.P.クインテット、キースのスタンダーズ、エルビン・ジョーンス、なんてのをよく聴いていました。あっ、それからマンハッタン・ジャズ・クインテットも(笑)。ただし2作目までで飽きました。もちろん並行して過去の名盤系も聴いていましたよ。フュージョンではデヴィット・サンボーン、グローバー・ワシントンJr.、ナベサダも。もう無茶苦茶やんけっ!(笑)
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ジャズ喫茶「いーぐる」の「ジャズ・ヒップホップ学習会」のレポートを書かなきゃいけないのですが、今日はちょと気持ちが乗りません。
ということで、最近こんなアルバムを買ったというのをダラダラ並べてみます。
*Amzonのアフィリエイトが利用できなくなっている今日この頃、なぜ?
1.私好みのジャズをやっていそうだったので。
*
2.アンブローズ・アキンムシーレの新譜。
*
3.ミゲル・セノーンとクリス・ポッターが参加してまっせ。
*
4.ミュージックバードで聴いたら良かったので。
*
5.クリス・ポッター新譜。聴かねばなるまい!
*
6.ディスクユニオンで試聴したら、これがなかなか良い。
*
以上6枚については近日中に順次UPして行く予定です。
・ジョシュア・レッドマンの新譜『ジェームス・ファーム』
・ブラッド・メルドー&リー・コニッツ&ポール・モチアン&チャーリー・ヘイデン!の
『ライブ・アット・バードランド』
の2枚も購入予定です。
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昨日は ジャズ喫茶「いーぐる」 の「ジャズ・ヒップホップ学習会 第3回:ビル・ラズウェルの正体を暴く」に行ってきました。内容については後ほど。
さて、例によって打ち上げに参加させていただいたのですが、優柔不断な私はおいとまするタイミングが遅くなってしまい、電車に乗り遅れてしいました。これで何度目なんでしょう(涙)。しょうがないから新大久保コリアンタウンのビジネスホテル泊。ホテルの人によると最近は人が来ないとか。震災と原発事故の影響なんでしょうね。で、宿泊代を値引きしてくれました。ラッキー!
今朝目覚めると昨日とは打って変わって快晴じゃありませんか。「よっしゃ、1年ぶりに東京スカイツリーを見に行くぞっ。」と。災い転じて福となす?
向かう途中の上野駅からもスカイツリーが見えました。
まずは浅草の吾妻橋から見たスカイツリー。いや~っ高い!
浅草からは歩いてスカイツリーへ。三ッ目通り源森橋から見ると。
続いて業平橋脇から。見上げると首が痛いです。只今634m!
ほぼ真下から見上げると第一展望台から上はあまり見えません。
ここでは真上を見上げないと全貌を見ることができません。
周辺ではビルや商業施設の建設も並行して進んでいます。
近所でこんなグッズも売っていました。
近所にスカイツリーを見ながら休憩して軽食が食べられるお店まであります。
スカイツリーからは東部伊勢崎線で一駅乗って浅草に戻りました。
ちょうどお昼時、結構観光客が来ていました。
外人さんもちらほら、震災後の閑散とした状態は解消したみたいです。
これならゴールデンウィークはかなりの人出になることでしょう。
浅草といえばマルベル堂。アイドルなどのブロマイドのお店です。
先日亡くなった田中好子さんへ”心よりご冥福をお祈りいたします。”と。
キャンディーズのブロマイドは買いませんでした。合掌。
浅草からは地下鉄銀座線で末広町へ、秋葉原ですね。
今日は日曜日なので歩行者天国です。
かなり賑わっていました。ちょっとしたパーツを買って秋葉原を後にしました。
御茶ノ水で昼食後、高円寺の 「THE 55」 でレコードを漁って今日はおしまい。
ロック/ポップのレコードを購入。30%OFFセール中でしたよ。
早めに帰ってきました。
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しぶとくニューヨーク・ダウンタウン系を聴き続けてます(笑)。
『アンデインジャード・ブラッド』(2010年rec. SKIRL RECORDS)です。メンバーは、ジム・ブラック(ds)、トレバー・ダン(b)、オスカー・ノリエガ(as,b-cl)、クリス・スピード(ts)です。SKIRL RECORDSはクリス・スピードのレーベルらしいです。ニューヨークのアンダーグラウンド系。間違っても日本盤は出ませんね。こんなのを輸入するのはディスクユニオンくらいでしょう(笑)。私はこのレーベルのCDを買うのはこれが4枚目。ケースがDVDケースと同じサイズなので収納に困ります。
全10曲、モンクの曲を除く曲はクリス・スピードが作曲。他にも別の人の曲があるのかもしれませんが、表記がないので推測です。1曲目《PLUNGE》からもうこの人達のいつもの世界。変拍子のファンク系にのって、テーマでアンサンブルを重視しつつソロもしっかりとるという展開です。ジム・ブラックのリズムが他の誰とも似ていないのですよ。もう独特のグルーヴを出しています。ソロに結構力が入っているんだけれどサウンドは緩め。何なんでしょうね。このホンワカ感。最初は何だかよく分からないんだけれど、嵌まるとここでしか得られない快感が味わえます。
その何だか分からないホンワカ感は3曲目モンクの《エピストロフィー》にピッタリなのでした。モンクの変なメロディーにこれだけ親和感も持っているというのはなかなかないんじゃないでしょうか。ここではバスクラを吹いているんだけれど、これが緩むんですよ。フロントはホンワカで馴染みやすいです。でもリズムは現代的複雑さ。これがうまい具合に噛み合っているのがこの人達の現代ジャズなのです。
5曲目《K》はほのぼの歌謡調?バラード。これを聴くと普通のジャズファンはジャズじゃないって言うでしょうね。ベースソロが最初にあり、続くテナー・ソロはアドリブはないと思います。メロディーを慈しむように、だけどどこか頼りなく淡々と吹いているのが面白いです。続く6曲目《タコス・アット・オスカーズ》がフリー系なんだから笑ってしまいます。せわしいリズムの上でサックスが咆哮しています。何でこういう2曲が共存しているのか?アハハッ、それが現代性なのです。キッパリ!
7曲目《イリス》はワークソング風。ツルハシ持って鉄道工事しながら歌っていそう(笑)。アルコ(長く持続はさせず)でベース・ラインをとるのが面白いです。で、途中からは演歌の世界にも聴こえます。これってユダヤ系メロディーなのかな~。私にはこういうのが演歌に聴こえてくるのです(笑)。これもジャズっぽくないでしょう。9曲目《VALVA》の前半は怖いフリーになるんだろうけれど、この人達がやるとユーモラス感が漂ってます。脱力感すら伴うのです(笑)。
とにかく独特なサウンドがここにあります。一筋縄ではいかないけれど、それは人を遠ざけるものではなく私には人懐っこく感じられるんですが、皆さんはどう聴こえるのかな~?
*
明日4/23(土)は、ジャズ喫茶「いーぐる」の
『ジャズ・ヒップホップ学習会 第3回:ビル・ラズウェルの正体を暴く』
に参加します。
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今日はお気楽ネタでいきます。
衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」に1枚の写真がありました。
THE CLASSICチャンネルの写真がそれです。
冨田靖子だと思ったので、最近はクラシックやってるのかな?と・・・。
で、THE CLASSICチャンネルをクリックしたら、
どうやらアリス=紗良・オットというピアニストらしいのです。
ネットから入手した2人の写真を並べてみました。
左:アリス=紗良・オット、右:冨田靖子
似てますよね!
ネット検索したら、紗良・オットは日系ドイツ人だとか。
YouTubeの動画を見たら日本語ペラペラでした。
御覧のとおりです。
動画を見ると冨田靖子にはそれほど似てないです。
そしてこれはドイツ・グラモフォンのPVなんでしょうか?
クラシック界もアイドル系が人気のようですね~。
私はマルタ・アルゲリッチが好きです。
とは言っても、私はほとんどクラシックを聴かない人なので、
有名なこの人のCDをたまたま持っていて好きだというだけです(笑)。
2008年のアルゲリッチ。いや~っ、歳をとっちゃいましたね。ビックリ。
たまにはクラシックもいいもんです。
それにしても凄いヘアースタイルですね~。
クラシックもイッちゃってる人が結構いるんですよね(笑)。
天才の世界。
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前回ちょっと取り上げた本『JAZZ MASTERS MAGAZIN VOL.3』についてもう少し紹介したくなりました。ジャズ友のtakaraさんと雲さんの記事が掲載されているからです。前回の記事にコメントしていただいた雲さんによると”マニアックな内容”。私が買って愛読するくらいなので当然マニアックな内容です(笑)。
まずはメインの記事「直感で選ぶ『ジャケ買い』コレクション」について。”ジャケ買い”ということですが、アルバムの内容をおろそかにしていないところが◎。ジャケットに注目するあまり、内容そっちのけでジャケットについて紹介しているようなものも見かけるけれど、私にとってそんなのはナンセンス。注目すべきは入っている音楽です。この記事を書いている山口敦さんの音楽に対する思いに共感します。
表紙の写真(ジャズ喫茶「ジニアス」店内)の正面奥(ロリンズのジャケットの横)に写っている絵は「ジニアス」のマッチの図柄ですね。
続いて紹介するのは「ジャズ風土記Ⅱ 奄美大島」。書いているのは 「奄美のCD屋 サウンズパル」 のtakaraさん。ここに書かれている”音楽(ジャズ)好き”仲間の自然なコミュニケーションにとても共感します。ちょっと話が脱線します。その場で何か生み出す必然性はないし、必ずしも芸術が分からなくたっていいと私は思っています。もちろん生み出すならなお良いですし、芸術が分かればなお良いとは思います。
こんなことが書いてあります。「”音楽が好き”というだけで、音楽と関わって生活するのはとにかく大変だ。 ・・・ でも、やっぱりその中で味わう感動や、嬉しいことは、格別なのだ。」と。 ”takaraさんいいこと言うな~。そうなんですよね。”と言いたい私です。
「仙台JAZZエクスプレス」は高野 雲さんの記事。仙台のジャズスポットを紹介しています。こちらの文章は私にとっては読み慣れた雲さん調です。記事の最初と最後に書いてある部分は、ジャズファンの”ファン心”を上手く表現していると思います。”分かる分かるその気持ち”(笑)。
紹介されているジャズスポットが今回の東日本大震災で大きな被害に遇われていないと良いのですが。
*
「ジャズ風土記Ⅰ 吉祥寺ジャズの遺伝子」も面白いです。こちらは故野口伊織さんにまつわる話。”伊織ism”について書かれています。私は野口さんにお会いしたことがないので、この記事から印象をつかむしかないのですが、カッコいい方だったみたいです。ジャズとの距離感はいわゆるジャズマニアとは異なるものだったようです。そこが野口さんの良さなんでしょうね。
私はというと、もっとダサイ人が好きです(笑)。もっと愚直なジャズ好きに惚れます。ダサイ人は誰かって?m(_ _)m ご想像にお任せします(笑)。ジャズ(音楽)が好きでイッちゃってる人(ただし他人に大きな害を与えない人ね)も悪くないと思いませんか?ここまで来るともうドリアンやくさややブルーチーズ好きの世界かもね?(笑) まっ、”音楽好き”が滲み出ている人が好きってことです。
もしどこかで古本を見つけたら買ってやって下さいね。
*
もう一冊紹介したい本があります。
この本が出ると買わずにはいられない私。
何年も続けて購読しているので、レコード屋さんの栄枯盛衰がわかります。
やっぱり減少傾向なんですよね(涙)。
頑張っているレコード屋さんを応援したいです。
この本を読むとレコードハントに行きたくなります。”ウズウズ”(笑)
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最近パソコンがまたフリーズするようになりました。どうやら3、4ヶ月でメモリーかなにかが飽和しているのではないかと思われます。で、仕方ないのでいつものとおりリカバリーをすることに。とうとう4回目です。4回目ともなれば慣れたものです。昨夜と今朝の作業でアプリのインストールもほぼ終了。それにしてもこのパソコン/OSには泣かされます。
さて、今日紹介するのは早坂紗知Stir UP!の『ミラグロス(奇跡)』(1995年rec. Off Note)です。メンバーは、早坂紗知(as,ss)、黒田京子(p,accordion)、フェビアン・レザ・パネ(p,syn)、金子飛鳥(vo,electric-vln)、永田利樹(b)、八尋知洋(trapdrums,per)、岡部洋一(trapdrums,per)、角田健(ds)です。サブ・タイトルが”世界中の子供達に捧げる”。
『JAZZ MASTERS MAGAZINE VOL.3』という本がありまして、「直感で選ぶ『ジャケ買い』コレクション」というメインの企画の中にこのCDが紹介されていました。ジャケットはメリー・ゴーラウンド。ぼやかした処理が良いではないですか。でも私の心を動かしたのはその評文。早坂さんの産休明け第一作とのことで、メリー・ゴーラウンドの音と赤ん坊の声で始まり終わるというのが気になったのです。
ちなみにこの本の表紙の写真はジャズ喫茶「ジニアス」です。レコードプレーヤーはガラード(手前)とトーレンス(奥)で、トーンアームはどちらもSME。
このアルバムは廃番なので中古をずーっと探していました。それが前回上京してのレコード・ハントの折にやっと見つかったのです。とうとう巡り合えた喜びはひとしおでした。
このアルバム、前半3曲はアフリカン・パーカッションが乱舞して曲想からは雄大なアフリカの大地を感じます。アフリカの大地に響く早坂さんのサックスが何とも爽快なのです。何て自由なんだろう。フリー・ジャズという意味ではありません。楽曲はきちんとしています。その音です。音の佇まいに自由を感じるのです。早坂さんのサックスってどうしてこんなに自由で伸び伸びとしているのだろう?と、いつも思います。本人の気持ちなんでしょうね。そこに惚れてます。
3曲の中ではアルバムタイトル曲《ミラグロス》が一番爽快です。アフリカの大地の上を早坂さんのソプラノ・サックスが優雅に舞います。続くピアノ・ソロ(たぶんレザ・パネさん)がまた優雅で爽快。バックに軽く入るコーラスはアフリカの大地に吹き抜ける涼やかな乾いた風の如し。何となく東洋な雰囲気も感じさせます。アフリカン・パーカッションのソロも元気ですね。とにかく気持ち良いです。
気分がアフリカのごとく雄大になったところで、4曲目《歪んだ三角形》は、金子さん(el-vln)、早坂さん(ss)、永田さん(b)による即興演奏。エレクトリック・バイオリンはギターのように聴こえ、そのロックな雰囲気が私は好きです。神経質にならないところが◎。続く《ベイビー・モンスター》は硬派の4ビート曲。こちらはアブストラクトなカッコいいピアノ・ソロ(たぶん黒田さん)がフィーチャされています。早坂さんのフリーキーなアルト・サックスの咆哮は痛快です。
続く《ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ》はバラード。ピアノ(たぶん黒田さん、男前です。笑)とのデュオ。男前な(笑)早坂さんのアルトが太く胸に迫ってきます。小細工ではなく直球ど真ん中勝負。サックスを鳴らし切ることで聴く人を揺さぶるのです。日本人女性サックス奏者の草分け早坂さん。いや~っ、お見事!
続く《ガニメデ》はタイトルの響きのようなちょっとユーモラスなテーマの8ビート曲。こういう捻った曲もまた良いのです。こういう曲ではエレクトリック・バイオリンが映えますよね。ここではたっぷりソロ・スペースを与えられています。そしてラスト《子供達によろしく》は、日本の童謡~唱歌調。アルト・サックスとピアノのデュオで演奏されます。ベタな懐かしさです。私にはちょっと湿度過多。ビミューに苦手です(笑)。
全8曲、楽しいアルバムでした。中古を見つけたら即ゲットです!
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ヒップホップも何枚か聴いてきたのですが、それぞれ味があって面白いです。
今日は日本人DJ。
DJクラッシュの『Milight-未来-』(1996年、ソニー・ミュージックエンターテインメント)です。メンバーはDJクラッシュ、ゲストMC&DJです。DJクラッシュは日本人。詳細を知りたい方はウィキペディアで調べてくださいな。ゲストの方々についてもほとんど知識がない私です(涙)。なので個々のゲストについては触れません。
このアルバムはジャズ喫茶「いーぐる」の「ジャズ・ヒップホップ学習会」のラストに大谷能生さんがかけた曲が入っているアルバムです。後でマスター後藤さんがこの曲を気に入ったという話をしたら、大谷さんはそうだろうと思って選曲したとのことで、後藤さんも関心していました。
大谷さんがかけた曲は《十五夜》。アブストラクトな感じがジャズファンには親しみやすいかもしれないというようなことを言っていました。なるほどそうかもしれないと思いました。私はタイトル《十五夜》どおりの”和”な感じが気に入ったので後日入手したというわけです。Amazonの中古品がリーズナブルな価格でありました。
”未来”というタイトルにあらわれているように、DJクラッシュとゲストによって“未来”をテーマにしたトラックが並んでいます。ゲストの”未来”へのメッセージもしくはインストゥルメンタルによる短いトラックに続いてDJクラッシュとの本編があるような構成。ここでの”未来”というのは遠い夢のような未来ではなく、目前の明日にむけてのメッセージ性を感じました。
《十五夜》についてちょっと説明します。虫の声を模したような電子音(サンプリング?)から始まり、その感じがいかにも秋の月夜。ビートが刻まれる中、虫の声を模した電子音が流れ続け、それは日本住宅の縁側に座って月見ダンゴを傍らに置いてお月見をするイメージです。秋の夜の澄んだ空気感に溢れています。これはもう日本人でなければわからない世界。かなりイイ感じですね。
他もイマジネイティブなトラックが並びます。同じイマジネイティブでもマッドリブとはかなり異なる肌触りですね。DJクラッシュのトラックには繊細さと微妙なニュアンスが溢れているように思うのですが、それって”日本人”と”繊細/微妙”を安易につなげた私の思い込みなんでしょうか?日本語のラップもありますので語感を楽しめます。
これまで聴いたヒップホップを簡単にまとめてみましょう。
政治色濃厚で反体制、闘争もじさない昭和のパワー : パブリック・エナミー
クールなやんちゃ、平成の醒めた眼差し : ザ・ビートナッツ
都市化の象徴、肉体希薄、電脳化されたオタク : マッドリブ
自然と共に生きる、繊細な感性を持ちつつ逞しい : DJクラッシュ
まっ、これは多分に私の勝手な思い込みで、1枚しか聴いていないので、強引なキャッチ・コピーですが、聴き比べると面白いですよ(笑)。
マッドリブよりはDJクラッシュに親しみを感じるのは日本人同士だからか?
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東関東大地震から1ヶ月。今日は黙祷しました。今日も大きな余震があったりで、なかなか落ち着きませんね。地震の度に福島第一原発のことが不安になります。収束までには時間がかかるというのに、今からこれでは先が思いやられます。色々ありますが、前へ進むしかないでしょう。
さて、今日紹介するアルバムはウェイン・エスコフェリーの『アップタウン』(2008年rec. POSI-TONE)です。メンバーは、ウェイン・エスコフェリー(ts)、アヴィ・ロスバード(g)、ゲイリー・ベルサーチ(org)、ジェイソン・ブラウン(ds)です。オルガン・カルテット。先々週上京した時にアウトレット品を買いました。
ディスクユニオンの新譜情報でチェックしたんですが買いそびれてしまったアルバムです。\1,000だったので迷わず買いでした。難しいことを言わずに聴けるオーソドックスなオルガン・カルテット。オルガンを使っていますがコテコテではありません。黒さはあるけれど洗練された今時のクールネスも漂っています。コテコテのオルガン・ジャズも好きなのですが、この手のオルガン・ジャズも結構好きな私です。
エスコフェリーはテナーを熱く力強く吹奏していますが、あまりこれと言った特徴はないです。フレージングは淀みはなくメロディアス。クセはないけれど薄味かというとそうでもなく適度な黒さが味わいどころです。洗練された雰囲気の主な原因はベルサーチのオルガンでしょうね。ここでのオルガンの良さはコテコテの演出ではなく甘いトーンとメロー感です。
ギターもオーソドックスでスマート。テクニックはしっかりしています。ドラムは軽快にスイング。音楽をドライブさせることに徹しています。全9曲オリジナルだと思うのですが、作曲者名が書いてないので分かりません。収録時間は45分強、サウンドに浸かってホカホカ気分になっているとアッと言う間に終了してしまいます。
何度聴いても適度な満腹感ですが飽きを感じるわけでもありません。
白米的魅力?適度にオススメ(笑)!
アルバム名:『UPTOWN』
メンバー:
WAYNE SCOFERY(sax)
AVI ROTHBARD(g)
GARY VERSACE(org)
JASON BROWN(ds)
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私、上原ひろみのおっかけです(笑)。一応アルバムは全て持っています。でも残念なことに生の上原ひろみを見たことがありません(涙)。今年は生ヒロミを見られるのでしょうか?さて、今日は話題の新譜を紹介。私が徘徊するジャズブロガーの皆さんは既にほとんどこの新譜について書いています。
上原ひろみ(hiromi)の『ヴォイス』(2010年rec. TELARC)です。メンバーは、ヒロミ(p,key)、アンソニー・ジャクソン(contrabass guitar)、サイモン・フィリップス(ds)です。上原ひろみはアメリカでは”hiromi”という名で呼ばれています。アンソニーのエレクトリック・ベースを”コントラバス・ギター”と表記しているところに拘りを感じます。
これ、はっきり言って今年のグラミー賞狙ってるでしょ(笑)。昨年はスタンリー・クラークのバンドの一員として受賞しましたが、今年は自分のアルバムで受賞します?去年のグラミー賞受賞はこのアルバムへの伏線なのです。あちらではおなじみのベテラン2人を起用した時点で、テラーク・レーベルとしてはグラミー賞狙いなのです?(笑)
今回はメンバーを一新してのピアノ・トリオ。ヒロミの原点的フォーマットに戻りました。この人の場合、デビュー・アルバムから演奏のスタンスに変わりがないのが良いです。デビューアルバム『アナザー・マインド』は、エレベ・ハイパー・ピアノ・トリオ、変態ギター入りカルテット、サックス入りフュージョンという3路線がありました。サックス入りフュージョン路線はそのアルバムのみで早々にカット。以降エレベ・ハイパー・ピアノ・トリオ~変態ギター入りハイパー・テクニカル・カルテットと進んできました。
ここ2年はソロ・ピアノやスタンリー・クラークとの共演でしたが、それらを経てヒロミのピアノは益々進化して深化したように思います。そして今回のスペシャル・プロジェクトといえるようなピアノ・トリオに回帰。アンソニー、フィリップスというベテラン2人を従えて堂々のヒロミ・ワールドを展開しているところが凄いところです。そして一聴すれば分かる確固としたサウンドを持っているのところがさすがです。
いつものことなのですが、アルバム1曲目に象徴的な曲が入っています。アルバムタイトル曲《ヴォイス》。重々しい幕開けはラストの《悲愴》に呼応か?そこから一気にヒロミ・ワールドが展開。右手のシーケンシャルな同じフレーズの繰り返しに左手の和音旋律が絡むところはヒロミならではです。変拍子のプログレチックな曲想もならでは。バスドラの多用とベースの重低音のため、かなりマッシブなサウンドになっています。そこに相変わらずのアグレッシブなピアノ・ソロが乗ります。
(注)こういう低音が入っている録音を、タワーレコードとかの低音ブースト試聴機で聴くと、ウダウダな混濁した低音になると思われます。
フィリップスのドラムが今回のポイントなのでしょう。まずはその手数の多さですね。そして拍子の真ん中にキチンと乗る現代的で機械的なヒロミのビート感に対して、溜めを効かせたフィリップスのビート感がちょっとミスマッチでありそこが面白さだと思いました。一方アンソニーはヒロミの影のようにヒタヒタと寄り添っています。かつビート感が違う2人の間でリズムをまとめあげているのです。一聴アンソニーの存在感が薄く聴こえるかもしれませんが、この寄り添いっぷりにアンソニーの凄みを感じます。実はアンソニーこそがサウンドの要なのです。
2曲目《フラッシュバック》はヒロミらしい抒情的メロディーのプログレ曲。リズムが変化していく中で展開されるピアノ・ソロが心地よいです。アルバム中唯一4ビートがある曲。フィリップスの4ビートもロックっぽくて面白いかも。間に入るヘビー級ドラム・ソロがカッコいいですね。
3曲目《ナウ・オア・ネバー》はシンセを軽く使った(今回の使用は控えめ)ファニーな曲です。こういうポップな曲が好きな私。ヒロミはミディアム・テンポでかわいらしいフレーズを連ねていきます。シンセを使うことには異論がある方もいるようですが、シンセのポップでファニーな感じにヒロミの遊び心が象徴されていると思うので、私はもっと使ってほしいと思いました。
4曲目《テンプテーション》はデヴィッド・ベノワ(フュージョン・キーボーディスト)系のメロー・フュージョン曲。ここで弾くためらいがちなピアノも好きです。ハイテク系の演奏がある一方でこういう抒情フュージョン演奏もするところがこの人のハイブリッド感であり、現代性だと思う私です。ためらいがちにソロをスタートするんですが、徐々にヒート・アップして速弾きへと以降するあたりに思わずニンマリする私。
5曲目《ラビリンス》はスタンリー・クラークとの共演アルバムでもやっていましたので、対比してみるのも面白いでしょう。スタンリーの時に比べてかなり重厚で腰の据わった仕上がりになっています。あちらが若々しさならこちらはアダルトな魅力でしょうか?アンソニーのベースはヒロミのピアノを映えさせるメロディアスなもので、上記のとおりピタリと寄り添っています。
6曲目《デザイアー》はシンセを使ったフュージョン曲。シンプルなテーマとリズムで私的にはちょっと魅力が薄いように感じます。シンセを使うのは今回2曲だけでした。7曲目《ヘイズ》はクラシカルな曲想。ピアノだけで演奏しています。繊細なニュアンスをたたえた演奏になっています。ピアノに落ち着いて浸れますね。8曲目《デリュージョン》もヒロミらいいメロディーの曲です。でもいまいち主張に乏しい感じ。ここまで聴いてくるともう満腹感もあるのです(笑)。
ラスト《悲愴》はご存じのとおりベートーベンのピアノソナタです。この演奏を聴いていると、ヒロミってやっぱり日本人的メロディー・センスだよなと思う私。かまやつひろしの《やつらの足音のバラード》が被ってくるのです。日本のフォークだな~と思うのです。余談ですが、《やつらの足音のバラード》はアトリエ澤野時代の山中千尋が演奏していました。山中の場合はこの曲から《スリー・ビューズ・オブ・ア・シークレット》へのメドレー演奏で、そのセンスに参った私。
今回はベースとドラムがあまり現代性を感じさせず、ヒロミのバックとして演奏いるので、前のいかにも現代的なトニー・グレイやマーチン・バリホラとのグループ表現主体のグループに比べて分かりやすくなっているように思います。これってやっぱりグラミー賞狙いかも?(笑)
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今日は70年代プログレな気分濃厚なジャズを紹介します。
エレファント9の『ウォーク・ザ・ナイル』(2009年rec. rune grammofon)です。メンバーは、ストーレ・ストーレッケン(fender rhodes,hammond organ,syn)、ニコライ・ハングシュレ・アイレットセン(el-b)、トーシュタイン・ロフトフース(ds)です。ノルウェーのキーボード・トリオ。
このグループの2作目。昨年初めくらいに出たのですが、値段が高かったので安い輸入盤をHMVのマルチバイで買おうとするうちにタイミングを逸し、結局入手が今に至ってしまいました。
サウンドは70年代のプログレッシブ・ロックのイメージ濃厚。1作目ではジョー・ザビヌルの曲を取り上げていたし、ストーレッケンがウェザー・リポートのトリビュート・バンド的な「キューカムバー(スラムバー)」をやっていたことから、ウェザー・リポートのプログレ版かなと思っていたのですが、今回の2作目を聴いた感じはむしろ「エマーソン・レイク&パーマー」といった感じです。
こんなプログレ・バンドを北欧ノルウェーのミュージシャンがやっているのが何とも面白いです。基本はプログレですが、さすがにそれだけではなく、ミニマル・ミュージックや音響系要素を取り入れたサウンドになっているイマジネイティブな曲もあります。このアルバムはジャズ好きよりプログレ好き、それも若者に受けるだろうと思われます。たまにはこんな音に浸るのも気持ちが良いです。
YouTubeにこのバンドのライブ映像があるのでUPしておきます。
サウンドはE・L&Pですが、ステージは今時のシンプルなものです。
さて、では比較のためにE・L&PのほうもUPしておきましょう。
1972年の日本のライブです。派手なステージングが時代を感じさせます。
ついでにキース・エマーソンのキーボード・ワークもみておきましょう。
そしてウェザー・リポート。
上記のうようなロック要素を上手くジャズに昇華しているのがウェザーですよね。
やっぱり私はウェザーのサウンドが一番好き!
さて、単純に比較はできないことは承知で問います。
キース・エマーソンとジョー・ザビヌル、あなたはどっちが上だと思いますか?
えっ、私はどう思うかですって?ザビヌルに決まっているじゃないですか(笑)。
話は最初に戻って、エレファント9はなかなか楽しいですよ。
アルバム名:『WALK THE NILE』
メンバー:
STALE STORLOKKEN(rhodes, org, synth)
NIKOLAI HAENGLE EILERTSEN(el-b)
TORSTEIN LOFTHUS(ds)
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ネットを徘徊したいたら面白いことが分かりました。
元祖白人ラップ曲はブロンディの《ラプチュアー》だということが分かったのです。この曲は私がジャズを聴き始める前に、当時(1980年)買ったブロンディのアルバム『オートアメリカン』に収録されています。ということは、私が最初に聴いたラップ曲だったということになります。「そうだったのか~。」と、ちょっと驚いています。当時この曲が”ラップ”として紹介されていた記憶はありません。今聴いてみれば確かにラップですね。
この曲は当時聴いた時からかなり好きでした。このミディアム・テンポのファンク感が私のツボだったのです。ハンドクラップがイイ感じですよね。ギターのカッティングも好きな要素です。驚いたのはバックでサックスを吹いているのがトム・スコットだということです。今聴くともろにトム・スコット節だというのがよく分かります。歌っているデボラ・ハリーもカッコいいですね。
当時からジャズ/フュージョンやヒップホップのテイストって私の好みだったということがよく分かりました。いや~っ、ヒップホップとジャズ/フュージョンがブロンディでクロスオーバーしていたとは、今頃自覚した私です(笑)。
この曲については数年前にちょっとした気付きがありました。下北沢のレコード店「フラッシュ・ディスク・ランチ」でレコードを選んでいたらこの曲が流れてきたんです。その時、ブロンディのことなんかすっかり忘れていた私に、ブロンディのこのアルバムを持っていたことを思い出させてくれたました。それと同時にこの曲のカッコ良さを再発見。家に帰った私はレコード棚からこのアルバムを引っ張り出してきて、早速聴いてみたのは言うまでもありません。
この白人ラップレコーディングの第1号曲は全米No.1ヒットでもあるのです。最近では、米TVドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ2」のサントラで、アリシア・キーズがカバーしているんだとか。
ヒップホップ/ラップがメジャーシーンに出たという話ではこのことも書いておきましょう。シュガーヒル・ギャングの《ラッパーズ・ディライト》。ジャズ喫茶「いーぐる」での「ジャズ・ヒップホップ学習会」で大谷能生さんもこの曲をかけました。
ダンス/パーティ・ミュージックとしてのヒップホップです。そして厳密にはこちらのほうがレコーディングは先だというファットバックの《キング・ティムⅢ》。
シュガーヒル・ギャングの《ラッパーズ・ディライト》からヒップホップの成り立ちなどについて説明しているブログがありましたので以下にリンクしておきます。ヒップホップ成り立ちの話については「ジャズ・ヒップホップ学習会」で大谷さんがほぼ同様のことを言っていました。
http://blog.livedoor.jp/hiphoponsen/archives/2839627.html
上記の2曲が1979年です。翌1980年にラップを取り入れた曲を出したブロンディって先見の明があったということですよね。そして、《ラプチュアー》が今でも人気曲だというのが嬉しい限りです。ブロンディは最近も歌い続けています。YouTubeを見ると、すっかりおばさん(おばあさん?)化したデボラー・ハリーがなんともいい味を出しまくってます(笑)。
ブロンディの『オートアメリカン』に話を戻します。
この曲も好きです。《リヴ・イット・アップ》
ディスコチューンですね。こういうテンポのノリの良い曲が好きな私(笑)。ここでも発見がありました。カッティング・ギターはワー・ワー・ワトソンだったのです。ハービー・ハンコック・バンドの”ワウワウ”ギタリストですね。私がジャズを聴くようになってハービーの『シークレッツ』がとても気に入ったのもうなずけました。
『オートアメリカン』は上記2曲以外にも、ブロンディ本来のロックンロール、ジャズ調、サーフミュージック調、カントリー調、レゲエ調、クラシック調と、色んな要素盛りだくさんです。アメリカン・ポピュラー・ミュージックの総括的なアルバムと言っても良いかもしれません。《愛の面影(フェイシス)》では何とレイ・ブラウンがベースを弾いているんですよ。
今回分かった事からは自分が好きな音楽のつながりと広がりが見えてきてとても面白かったです。
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震災から3週間ですね。昨日は東京でレコードハントしてきました。消費活動で日本の経済を回そうということです(笑)。東京の近況も気になったので視察も兼ねています。
今回は初めて高速バスで東京へ(帰りも)。ネットから事前予約できますし、混んでいないなら2列席に1人で座れますし、電車より30分多く時間がかかる(2時間10分)ものの、運賃が安いからメリットはありました。今回は行きも帰りも一番前の席だったので快適。自分で運転していると景色があまり眺められないので、外の景色を眺めているだけでも新鮮な気分になりましたよ。
今回の目的は3つ。
1.吉祥寺のBALLROOM RECORDでレコードハント。
2.いらないレコード20枚ほどをディスクユニオンの買い取りに出す。
3.数か月ぶりにジャズ喫茶「ジニアス」へ行く。
ジャズ喫茶「いーぐる」では「ソニー・クラーク特集」がありましたが欠席。
さて新宿についた私、地下街へ降りると確かに暗い。消えている照明が結構あるんですね。まっ、これくらいでは治安が悪くなるとは思えないので良いのかな~と。ディスクユニオン店内も暗めでしたがそれほど気にならなかったです。人の混雑具合は前とそれほど変わらない感じでした。今は普段の生活に戻ることが肝心だと思います。
まずは重いレコードを新宿ディスクユニオンのジャズ館へ、査定の間に昼食をとりました。今回売ったレコードは半分がフュージョンです。はははっ、やっぱりフュージョンは二束三文でしたね。まっ、聴かないものをレコード棚の肥やしにするよりはましかなと思いました。
セール中でした。中古レコード3枚で10%オフ。さっそく店内を物色。廃番特集をやっていましたが、サラッとチェックしただけ。今回は安いレコードを買うのが目当てです。で、3枚買いました。お店にはお客さんがそれなりに入っていましたよ。
1.エラ・フィッツジェラルドの『ソングス・イン・ア・メロー・ムード』(日本盤)
定番ボーカルもの蒐集の一環。
2.マルコ・ジ・マルコの『トゥギャザー・イン・パリ』(再発盤中古)
再発CDを持っていたのですが、レコードにしたかったのです。
3.アート・ペッパーの『ミーツ・ザ・リズム・セクション』(日本盤)
CDを持っているのですが、50、60年代ものはレコードにしたいのです。
続いて秋葉原散歩へ。東京の桜はまだあまり咲いていないですね。来週あたりが見ごろ?秋葉原ではパーツを少々買っただけ、いつもチェックしている真空管関連のお店を数件ブラブラ。秋葉原は若干人出が少ないようにも感じました。通りには相変わらずメイド喫茶の呼び込み多数(笑)。
続いて御茶ノ水のディスクユニオンJazzTOKYOへ。セールは中古品5枚で10%オフだったっかな?買ったのは1枚だけ。こちらにもお客さんは結構いました。
4.マハビシュヌ・オーケストラの『火の鳥』(日本盤)
定番もの蒐集の一環。
ここから吉祥寺へ。いつもの中央線沿線歩きです。お目当ての「BALLROOM RECORD」へ。吉祥寺駅の東にあります。お店の入口はこんな感じでお洒落です。お店の中も整理されていて明るく小奇麗です。居心地が良いお店。
ホームページで試聴して選んでおいたものをチェック。お目当てのいくつかは店頭になく、結局2枚を買うことにしました。
5.『ジェレミー・スタイグ・ファースト・アルバム』(日本盤)
アグレッシブなフルート吹奏だけでなく尺八的な味わいも聴けます。
ピアノはデニー・ザイトリン。
6.ガトー・バルビエリの『エル・ガトー』(輸入盤)
ガトーの泣きのサックスが気持ち良いです。
井の頭公園の桜をチェック。まだほとんど咲いていませんでした。なのに花見客はいっぱいでしたよ。吉祥寺界隈はいつもとおりのにぎわいで安心しました。お次はレア吉祥寺店。ジャズのレコードは面白いものがなかったのでロックのレコードを買うことにしました。
7.ビリー・ジョエルの『イノセント・マン』(日本盤)
これで『ストレンジャー』から『イノセント・マン』まで、
昔聴いたアルバムが揃いました。この頃がジョエルの絶頂期でしょう。
8.エマーソン・レイク&パーマーの『展覧会の絵』(日本盤)
最近プログレが聴いてみたい気分です。たすきに「ELPの最高作か?」と。
”?”が気に入りました(笑)。2枚あり、ワーナーの8000盤台と10000盤台。
値段は同じ。ここで思い出しました。「Analog」誌の”和久井アナログ塾”で
ワーナーの8000盤台は日本盤といえど侮り難いと。8000盤台のほうをゲット。
ラストはディスクユニオン吉祥寺ジャズ&クラシック館。レコードは面白いものがありませんでした。アウトレットCD(私がブログで推薦した盤も何枚かアウトレットに・・・涙)と中古CDを購入。ず~っと探していたCDを見つけました!そういえば、高値維持していたブルーノート日本盤中古レコードが最近値下がりしています。景気があんまり良くないもんね。
9.ウェイン・エスコフェリーの『アップ・タウン』(アウトレット)
オルガン・カルテットです。オルガンはゲイリー・ヴェルサーチ。
10.早坂紗知の『ミラグロス』(中古)
これを探していたんです。《ミラグロス》は爽やかな良い曲です。
というわけで、10枚も買ってしまいました(笑)。
本日の〆、歩き疲れたのを癒し、夕食を食べるためにジャズ喫茶「ジニアス」へ。常連さんも何人かいましたし、いつもと変わらない様子の「ジニアス」なので一安心。マスター鈴木さんの笑顔には癒されます。
いつものエビピラフ大盛り。これが旨いのです。今回もマスターがディープな選曲を披露してくれました。その中ではピーター・マガディーニ(ds)の『ポリリズム』とチャック・フローレス(ds)の『ドラム・フラワー』が気に入りました。どちらも熱いバップです。それにしても知られざるジャズ好盤というのはいくらでもあるものですね。
お店に置いてあった本の中にこんなものを発見しました。「スイングジャーナル1999年1月号」の記事”ブルーノート特集”の中の写真です。小川隆夫さんと行方均さんが肩を組んで楽しそう。12年前です。
というわけで、東京でレコードハントを満喫した1日でした。運動不足も解消(笑)。
*
中野新橋駅から「ジニアス」までの地図を貼っておきます。
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ジャズ喫茶「いーぐる」のマスターである後藤雅洋さんの本をたくさん読んでいる私。私のブログ読者の皆さんには改めて説明するまでもないことですよね。後藤さんの本にはたくさんの推薦盤が掲載されています。私は後藤さんのセレクトと相性が良いので、本に掲載されている盤を地道に蒐集しています。これには散財を防ぐ効果もあります。で、買って聴いてみると「なるほどっ、これはいい。」となることが多々あるわけです。今回もそんな1枚です。
アート・ファーマー、フィル・ウッズの『ホワット・ハプンズ?...』(1968年rec. CAMPI RECORDS/東宝レコード)です。メンバーは、アート・ファーマー(flh)、フィル・ウッズ(as)、マーシャル・ソラール(p)、アンリ・テキシェ(b)、ダニエル・ユメール(ds)です。
私が買ったのは日本盤。東宝レコードって、あの映画の”東宝”みたいです。今回は渋谷の老舗レコード屋さん「discland JARO」の通販リストにこれを見つけたので買いました。JAROにはディスクユニオンにないような盤が出てくるので重宝しています。私はこの年代のものはレコードを探しているのですが、CDが出ていますので皆さんにはCDの購入をおすすめします。
リズム隊は、フィル・ウッズ『アライヴ・アンド・ウェル・イン・パリ』のヨーロピアン・リズム・マシーンのピアニスト違いです。『アライヴ・アンド・ウェル・イン・パリ』の1ヶ月ほど前に録音されています。この時期の録音ですからウッズは絶好調。リズム隊も瑞々しいです。
このアルバムの良さはその勢いです。普段はすました演奏をすることが多いファーマーも、元気の良いリズム隊に煽られて、ここではかなり気合いが入っています。ウッズは当然水を得た魚の如くピチピチ跳ねまわります。ジャズってこういう勢いに溢れた演奏が一番気持ちが良いんですよね。
リズム隊ではユメールの爆ぜまくるドラミングが爽快の根源、そこにテキシェの強靭かつアーティスティックなベースがからみ推進力をアップします。ソラールのフレッシュなフィーリングのピアノも素敵です。こんなリズム隊とやればファーマ、ウッズがはりきるのも当然のことだと思います。
アルバム構成としては、片面3曲で元気の良い曲に挟まれて真中にバラードを持ってくるというもの。バラードはA面がウッズのワン・ホーン・カルテット、B面がファーマーのワン・ホーン・カルテットです。
後藤さん著『一生モノのジャズ名盤500』では、第2章”新・これがジャズだ!”の区分にあります。コメントには「アナログ時代はどちらの面をかけようか迷ったものだった。”とあるのですが、うなずけます。どちらの面を聴くか?嬉しい悩みですよね。
こんなに素敵なアルバムなのに、他のところでこれを紹介しているのはあまり見たことがない気がします。せめて私が「これは良い!」と声を大にして、ここで断言しておきたいと思います。聴くと元気が出る1枚!
アルバム名:『WHAT HAPPENS?...』
メンバー:
ART FARMER(flh)
PHIL WOODS(as)
MARTIAL SOLAL(p)
HENRY TEXIER(b)
DANIEL HUMAIR(ds)
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