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クォン・ヴーの新譜

今日は久々に新譜紹介。
あんまりジャズから離れていると読者の皆さんから見放されそうなんでね(笑)。

P51 クォン・ヴー・4テット『リープス・オブ・フェイス』(2010年rec. ORIGIN RECORDS)です。メンバーは、テッド・プア(ds)、ツトム・タケイシ(el-b)、ルーク・バーグマン(el-b)、クォン・ヴー(tp)です。ヴーのリーダー作としては3作目です。ヴーといえばパット・メセニー・グループのトランペッターですが、最近はあまり話題になりませんよね。向こうではしっかり活動しているんでしょうけど、日本でフォローできないだけだと思います。

プアとタケイシのコンビは1作目から変わらずで、残る一人は1作毎にビル・フリゼール(g)、クリス・スピード(sax)、ときて今回はベースが加わりました。ツイン・ベースということになりますが、マグナス・ブルー(tp)も新作がツイン・ベースだったことから、この2人のトランペッターがともに2ベース1ドラムで録音したというところが興味深いです。

トランペットのコード・レス・ワン・ホーンというのは、アヴィシャイ・コーエン(tp)もそうで、トランペッターのやりたいことができるという点で最近好まれているのかもしれません。ただし、トランペッターの表現力がないとリスナーの耳を惹きつけておくのはなかなか難しいフォーマットではあると思います。

本作で驚いたのは冒頭からのスタンダード3連発です。《ボディ・アンド・ソウル》《オール・ザ・シングス・ユー・アー》《マイ・ファニー・バレンタイン》を演奏しています。ちなみにこの3曲のメロディー、私には親戚のように感じます(笑)。ヴーですから普通に演奏するわけはなく、エフェクターを軽くかけたトランペットで慈しむようにメロディーを紡いでいきます。アドリブのキレを聴かせるのではなく、メロディーの良さを大切にしてそれをいかに聴かせるかに神経を集中しているように感じます。全て8ビート。

その後は4人での即興曲をはさんで、ヴーのオリジナルとジョージ・ハリスン、ジャクソン・ブラウンの曲が交互に出てきます。ヴーのオリジナルは10分以上の曲で、ヴーらしくイマジネイティヴな演奏を繰り広げていますね。その繊細な表現には聴いていて想像力をかきたてられます。バックのサウンド・エフェクト系音響もカッコいい。繊細な表現だけでなく内からメラメラと燃える吹奏も入っているのが◎。《アイ・シャル・ネバー・カム・バック》は尖がっていて特にカッコいいです。

ハリスンとブラウンの曲では前半のスタンダード同様メロディーを丁寧に語り掛けてきます。シンガー・ソング・ライター2人の曲を取り上げているのが面白いですね。どちらの曲もアメリカの風土を強く感じさせる曲。ハリスンとブラウンはきっとヴーが好きなミュージシャンなのだろうと思います。これらの曲から湧き上がるイメージがヴーの演奏には色濃く反映されていることが感じられます。そこにある大らかさが私は好きです。

プアのドラミングは派手なところはないのだけれど、確実に演奏にパワーを供給しているところがいいです。懐が広いドラミングです。タケイシのベースは演奏のコアを成します。ヴーを気持ち良くプレイさせるべく、ガッチリ土台をつくりつつ決して押しつけがましさはありません。さて、もう一人のベースであるバーグマンはというと、ギターのような音色でサウンド・エフェクトを担当する感じです。ちょっと存在感が乏しい(涙)。香辛料かな~?

最初はわからないのですが、7曲目終了後に拍手があるのでこれがライブ録音だというのがわかります。ライブでこのパフォーマンスはなかなか凄いですよね。ボケーッと聴いていると同じような演奏が続くように感じますが、きちんと聴けばそれぞれの曲の聴かせどころが見えてくるようなアルバムになっています。現代ジャズです。大変よろしい!

アルバム名:『LEAPS OF FAITH』
メンバー:
TED POOR(ds)
STOMU TAKEISHI(el-b)
LUKE BERGMAN(el-b)
CUONG VU(tp)

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