パブリック・エナミーとザ・ビートナッツ
明後日3/5(土)は、ジャズ喫茶「いーぐる」で「ジャズ・ヒップホップ学習会」の2回目が開催されます。今回は大谷能生さんと中山康樹さんによる講演で、「ジャズとヒップホップはなぜ仲良しなのか~その親和性を探る」というサブタイトルが付いています。私も参加する予定です。
さて、私もおススメのヒップホップ・アルバムを聴きつつ思いを巡らして楽しんでいます。既に「JaZZ JAPAN」誌の記事で中山さんが推薦していた『ストールン・モーメンツ:レッド・ホット+クール』、講演で知ったマッドリブの『ハイ・ジャズ』を聴いた感想などはブログにUP済。
今回はパブリック・エナミーとザ・ビートナッツ。どちらも「JaZZ JAPAN」誌で推薦されていたアルバムです。推薦盤を素直に聴くところがエライ(笑)?
まずはパブリック・エナミーの『イット・テイクス・ア・ネイションズ・オブ・ミリオンズ・トゥ・ホールド・アス・バック』(1998年)です。DJ KENSEIさん推薦アルバム。これは『菊地成孔 セレクション ロックとフォークのない20世紀』でもビター・ブラック・ミュージックの項で推薦されています。
サウンドはハービー・ハンコックのロックイット・バンドやマイルスの『ドゥー・バップ』とほとんど同じなので、私としては親しみやすいものでした。でも、刺激的なノイズ系の音使いなんかにはこちらの方によりセンスを感じました。
私は英語が苦手なので歌詞が分かりませんが、ラップには強い社会的メッセージ性を感じます。そういう意味で歌詞が分かればより彼らの音楽に接近できるのだろうと思いました。ラップのリズム感でも楽しめますが、パブリック・エナミーに関しては歌詞も知りたいところです。なかなか尖がっていると思います。
DJ KENSEIさんの推薦文には、「サウンド全体がチャーリー・パーカーのダイナミズムを感じる一枚。」とありました。パーカーとの共通性は?ですが、”モダン”の範疇にあるという意味で、言わんとすることは分かる気がします。
次はザ・ビートナッツの『ストリート・レベル』(1994年)です。須永辰緒さん推薦アルバム。こちらは、パブリック・エナミーとはサウンドの肌触りが違っていたので面白く聴けました。中山さんの講演で聴いた曲にはあまり反応しなかった私なのに、アルバムを通して聴いたらこれが結構面白いのです。
須永さんの推薦文には、《プロップス・オーバー・ヒア》ではポール・チェンバースのベース・ソロほんの一小節くらいサンプリングしているとのことでした。確かに一小節くらいをリピートしてサウンドの中心にしています。私はDJではないので、誰の何をサンプリングしたとかにはあまり興味がなく、出来上がったサウンドが面白ければ良いと思います。
このベースを聴いて、”なるほどな~”と思いました。ヒップホップ界でロン・カーターが尊敬されている理由についてです。レコードの中でしか知らないジャズ・ベース。ロンはチェンバースに連なるジャズ・レジェンドであるわけで、ある意味レコードの中の人です。そんなロンが生で一緒にベースを弾いてくれれば、これはもうヒップホッパーから尊敬されて当たりまえなんじゃないかと思いました。
サウンドはパブリック・エナミーより高度になっていると思いました。マッドリブのサウンドに近いです。編集の方法論が進化しているのでしょう。ラップもメッセージを伝えるのではなく、サウンドの一部として扱われる部分も見られます。この先に、ラップがほとんどないマッドリブが来るのは流れとして納得できました。
パブリック・エナミー~ザ・ビートナッツ~マッドリブ。これら3組&3枚でヒップホップの流れを語るのはあまりにも無茶ですが、でも、この3枚の変遷は面白いです。
ザ・ビートナッツはサウンドの肌触りがかなり醒めてきます。90年代に入り時代が醒めてしまっているんだと思います。声を上げて訴えたって世の中は変わらない。「俺たちはこんな生活、感じ方をしているんだ。」と呟いている(今ならツイート?)ような感じがするのです。中にはかなりダウナーなトラックもあります。私はヒップホップも”ポストモダン”なんだな~と感じました。
さらにここから進化していると思われるマッドリブは、現実と夢が渾然一体となった世界です。薬でトリップしたような感じとでもいいましょうか?かなり虚ろで儚い世界になってしまっているように思います。もはや現実逃避(笑)? ちなみに私は薬でトリップした経験はないので誤解無きよう。あくまで感じです。
さて余談ですが、《Lick The P☆ssy》は歌詞が・・・。曲の頭では女性の声で”ファック・ミー”なんて言ってるし、”プッシー”がかなり連呼されてるし、何ともレイジーでマッタリな感じの曲が”真昼の情事”と言った感じで、かなりイイ(笑)。
上品な皆さま、m(_ _)m
ザ・ビートナッツが気に入ってしまった私。サンプリング・ネタがどうのこうのとか、ジャズとのつながりがどうのこうのとかではなく、このヒップホップが結構気に入りました。
やっぱり聴いてみないと分からないですね。
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コメント
行きて~、
だけど行けそうもない
なので、今回も詳細レポよろしくです!
投稿: 雲 | 2011年3月 4日 (金) 09時26分
雲さん
こんばんは。
お忙しいのは何よりです。
今回は程々にレポートしようと思っていますが・・・
詳細レポしちゃうかも?(笑)
投稿: いっき | 2011年3月 4日 (金) 19時49分