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中山康樹さんの「ジャズ・ヒップホップ学習会」に参加して(前編)

昨日はジャズ喫茶「いーぐる」で行われた中山康樹さんの「ジャズ・ヒップホップ学習会:第1回」に参加してきました。

サブタイトルは、「ジャズ・ヒップホップ第1号はオーネットだった!?~その歴史と概要そしてマイルスが見た未来・マイルスに見る未来」。

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お客さんが多くてビックリ。満員!「ジャズ・ヒップホップ」の吸引力は絶大?
平均年齢は高め。多くの好奇心溢れるジャズファンの存在を喜ばしく思う私!

中山さんは「いーぐる」で独りでやる講演はかなり久々とのことでした。
これまでは座談会形式のものだったからです。

プログラムが始まったわけですが、ストーリーがわかりやすく、音源も魅力的なものばかりでした。休憩なしで3時間弱。かけた曲は21曲。かなり濃~い内容でした。

さて、今回のレポート。どのように書いたら良いやら。事前に配布されたレジュメに、例によってメモをびっしり書いてしまった私。中山さんがされた解説を中心に書いても良いのですが、私も俄か状態なので誤解があるかもしれないですし・・・。今回はかかった曲を聴いた感想を主体にすることにします。

●第1部 : 誕生

1.マッドリブ編集によるメドレー。ヒップホップが生まれた街、ロサンゼルスをイメージしてもらうための音源とのことでした。エレベ4ビートのエレクトリック・ジャズ/打ち込みヒップホップ(テクノ)/スクラッチ&ラップ/スティーブ・グロスマンのジャズ・ファンク、という流れ。”ヒップ”なサウンドの連続でした。普通にカッコイイでしょ。なるほど、これがロサンゼルス!

2.ワッツ・プロフェッツの《Medley》。1969年。ヒップホップ手法の一つがラップ。その元祖。ロサンゼルス発。ラテンリズム(パーカッション)&ポエトリー・リーディング。これって、キップ・ハンラハン/ビル・ラズウェルがアメリカン・クッラーヴェ・レーベルでやっている音楽にも繋がってくるのではないかと思いました。ビル・ラズウェル、ジャズ側のキーマン。

3.ラスト・ポエッツの《Black Thighs》。1969年。一般的に言われるラップ第1号。ニューヨーク発。マイルスの『オン・ザ・コーナー』の萌芽。ジャズを演奏する場がよりストリートへ接近。アフリカンリズム(パーカッション)&ラップ。上記よりこちらの方によりヒップホップを感じた私。アメリカの西と東で同時期にこうした音楽が出ているところが面白いです。69,70年辺りって節目なんですね。

4.オーネット・コールマン《Friends and Neighbors》。1970年。ラップの発祥をジャスに限定するならこの曲。ニューヨークのロフトでレコーディング。ファンク寄りの8ビート&アフリカンな合唱。これって早い話がオーネットのプライム・タイム・バンドの元でしょ?

ここまでのヒップホップ誕生の3曲。リズムとラップがそれぞれ少し違っているところがまた興味深いです。キップ・ハンラハン、オン・ザ・コーナー、プライム・タイムが好きな私。まさかここに繋がってしまうとは思いませんでした!この時点で今回の特集にドップリ嵌まってしまいました(笑)。

5.マイルス《Black Satin》。1973年。ストリート・ミュージック。ファンクだけれど踊れない→ヒップホップととらえると収まりが良い。私にとってはこのビートでも乗れるし踊れると思うのですが?”ズン・チャッチャ・ウウン・ンツチャッ・ンツチャッ”?

6.イン・・ザ・ワールド・トゥデイ/コ・リアル・アーティスツ《What About You》。1974年。ロサンゼルスに戻って。ヒップホップにおける「ブルーノート」のようなレーベルから出たもの。DJ KENSEIさんによると初のヒップホップ&ラップとのこと。ドラムとパーカッションのリズムのみにラップが乗っています。リズムが好きでないと楽しめないでしょうね。メロディーうんぬんの世界ではありません。

●第2部 : 統合

7.クインシー・ジョーンズ・ウィズ・ワッツ・プロフェッツ《Beautiful Black Girl》。1975年。ヒップホップがメジャーに躍り出た瞬間。声をインストとして消化しきれていないとのこと。アフリカンリズム&ポエトリー・リーディング。ワッツ・プロフェッツ、私にはラップというよりポエトリー・リーディングに聴こえるのですが・・・、ラップとポエトリー・リーディングの違いは微妙なんですけどね。単に私の中にあるイメージです。よりリズミックなのがラップか?さすがはクインシー、洗練されてソフトになっていました。

8.ハービー・ハンコック《Rockit (Mega Mix)》。1983年。ビル・ラズウェルとハービーがプロデュース。いったん沈んでいたのが8年後に急浮上。「最初のアルバム版よりマクドナルドな感じのメガミックスのほうがカッコイイ。」と中山さん。中山さんのおっしゃるとおりだと思います。かなりはじけてイケてました。ここで「いーぐる」のJBL4343Mk2のウーファーから重低音が炸裂。タイトとブーミーの間、そのバランス感覚に後藤さんのグッドなチューニング・センスを感じます。

9.《サン・シティ》。1985年。マイルスが参加したジャズ・プロジェクト。ヒップホップの融合。「マイルスが参加したのはヒップホップだったからだろう。」と中山さん。恥ずかしながら初めて聴いた私。これっ、マイルスの《パーフェクト・ウェイ》に雰囲気が近いんです。「ヒップホップはスタジオで編集して作るものでアルバム芸術と言える。」と中山さん。

「そう言えばマイルスは『TUTU』で《パーフェクト・ウェイ》をやっていて、マーカス・ミラーにサウンドトラックを作らせたのも、ヒップホップ(スタジオ編集アルバム芸術)への伏線かも?」と中山さんに後で質問してみたけれど、マイルスはそういう見かたをしてしまうとらしく見えてしまう人で、それによって見えなくなってしまうものもあると返されてしまいました(汗)。

今日思ったことは、マイルスが《パーフェクト・ウェイ》の元ネタ「スクリッティ・ポリッティ」に注目したということのほうが面白いですよね。この曲収録のアルバム『キューピッド&サイケ85』では当時流行ったテクノ(ヒップホップ)系打ち込みビートを採用していて、ここに着目した時点でマイルスのヒップホップ(この時点ではそのリズム?)への興味度が分かるような気がしました。

10.パブリック・エナミー・ウィズ・ブランフォード・マルサリス《Fight The Power》。1989年。ジャズとヒップホップの融合を更に進めたのがスパイク・リー。リーの映画『ドゥー・ザ・ライト・シング』のテーマ曲がこれです。「パブリック・エナミーにジャズを感じ、ブランフォードにはポップスを感じる。リズムの乗り方の違いだろう。」と中山さん。その感じわかります。リズムの粘りとでもいいましょうか?

ここまでで半分。今日はここまでにしておきます。

明日は、第3部 : 発展を継承、第4部 : 現在と近未来 について書きます。

ラップも聴きどころはそのリズム感にあると思うのです。
ヒップホップはメロディーじゃなくてリズムの快感。
リズムは8/16ビートですし、基本的にアドリブはないですよね。
ジャズファンがどれほどヒップホップを聴きたいと思うのか?興味が湧きます。
私はヒップホップのリズムが好きです。

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コメント

こんばんわ。いっきさん。
僕は札幌に住んでいるので、なかなかいーぐるには行けないんですよ。いつか行きたい場所の一つです。
ですので、後藤さん、雲さん、いっきさんのブログは貴重な情報としていつも注目しています。

もし僕が東京近郊に住んでいたら毎週行ってるでしょうね〜(笑)

ちなみにMADLIBの音源は 「ブルーノート帝国の逆襲から」の出典ですか?

正直MADLIBが出てくるとは思いませんでした。

さすが中山さん!

僕も行きたかった〜!

投稿: 雪丸 | 2011年2月 6日 (日) 20時54分

雪丸さん

こんばんは。

>僕は札幌に住んでいるので、なかなかいーぐるには行けないんですよ。

札幌にお住まいでしたか。それは残念です。
いつか「いーぐる」に是非行ってみて下さい。

>もし僕が東京近郊に住んでいたら毎週行ってるでしょうね〜(笑)

私も東京近郊に住んでいたら毎週行きたいです(笑)。

>ちなみにMADLIBの音源は 「ブルーノート帝国の逆襲から」の出典ですか?

ネットで調べたら『ブルーノート帝国への侵略』というタイトルのようですね。
原題『SHADES OF BLUE』。
その中からは《フットプリンツ》がかかりました。
明日ブログで紹介する中にあります。
冒頭のマッドリブ編集のメドレーは『The Other Side:Los Angeles』(2007年)の最初から4曲目までです。

中山さんは凄いです。

>僕も行きたかった〜!

東京近郊にお住まいなら良かったのに・・・。

投稿: いっき | 2011年2月 6日 (日) 21時42分

雪丸さん

はじめまして。
拙ブログをご覧いただいているようで、ありがとうございます。
ちょっと、最近は仕事が滅茶苦茶忙しくて、ネット出来る時間が15~20分程度しかないので、従来よりも記事のボリュームが少なくなってしまっているのですが、来年あたりからは、少しずつ回復してゆく予定ですので、どうぞ、引き続き宜しくお願いいたします。


いっきさん

お疲れさまです。
続きのレポートも楽しみにしています。
かかる音源、勝手に予想していたのですが、なんと4曲的中してました

投稿: | 2011年2月 7日 (月) 00時02分

いっきさん、こんばんは。

楽しんだようですね。それは良かった!!
ラスト・ポエッツの《Black Thighs》以降は、聴いたことがある音源なので・・・そういう展開?って感じですが・・・。
まぁ、楽しいことはいいことなので、この件はスル〜します(笑)。

いろんな音楽を楽しみましょう!!www。

投稿: tommy | 2011年2月 7日 (月) 00時06分

雲さん

こんばんは。

>お疲れさまです。

いえいえ、軽めに書いてます。

>続きのレポートも楽しみにしています。

はい、ご期待下さい。

>かかる音源、勝手に予想していたのですが、なんと4曲的中してました

それは凄い。
私は特に何も考えずにニュートラルな気持ちで参加しました。
ストーリーうんぬんより、色々聴けたことが楽しかったです。
私が聴きたくなったのは明日(後編)の音源です。

投稿: いっき | 2011年2月 7日 (月) 00時21分

tommyさん

こんばんは。

>楽しんだようですね。それは良かった!!

はい。打ち上げも電車の時間に間に合うラストまでドップリです(笑)。

>聴いたことがある音源なので・・・そういう展開?って感じですが・・・。

この辺りまでは、ジャズ/ヒップホップというより世間的にも話題になった音楽でしょうからね。
今回のストーリーの中で取り上げた音楽です。
途中まででコメントされても・・・(笑)。
私にとっては明日の後編で書くもののほうが面白いものでしたよ。
ストーリーより音源に興味がいきました。

投稿: いっき | 2011年2月 7日 (月) 00時30分

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