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ダニー・マッキャスリンの新譜

ダニー・マッキャスリンの新譜紹介です。マッキャスリンの前作を買うのがだいぶ遅くなってしまったので、今回は新譜が出たので迷わず買いました。

P21 『パーペチュアル・モーション』(2010年rec. Greenleaf Music)です。メンバーは、ダニー・マッキャスリン(ts)、アダム・ベンジャミン(fender rhodes,p)、ティム・レフィブレ(el-b)、アントニオ・サンチェス(ds)、マーク・ジュリアナ(ds)、ユリ・ケイン(p,fender rhodes)、デヴィッド・ビニー(as,erectronics)です。

前作同様今作もプロデュースはデヴィッド・ビニー。ビニーは1曲だけでアルト・サックスを吹いています。エレクトロニクスも使っているのですが、どの曲なのかは不明。ドラマーは2人いますが、前半の5曲でサンチェスが、後半4曲でジュリアナが叩いています。なぜ全曲サンチェスが叩いていないのか?意外と都合が合わなくて半分しか参加できなかったのかもしれません?ピアノは1曲のみケインに変わり、1曲でベンジャミンと共に演奏。何とラストはケインのピアノ・ソロ曲。何で何で?

これはもう今時NYダウンタウン系ジャズです。リズムは8ビートと変拍子。今回はエレクトリック・ピアノ(フェンダー・ローズ)を大フィーチャ。私が徘徊するブロガーのどなたかが書いていましたが、クリス・ポッターのグループ「アンダーグラウンド」を意識したのかもしれません。もっとも「アンダーグラウンド」がベース・レスなのに対し、こちらはエレクトリック・ベースがいてサウンドにおける貢献度も高いので、単に真似したという感じではありません。

曲は、マッキャスリンの曲が7曲、ビニーとの共作(ビニーが参加)が1曲、ケインの曲(ピアノ・ソロ)が1曲、30秒のグループ即興曲が1曲です。

相変わらずマッキャスリンは快調にテナーを吹いています。前作のレビューでも書きましたが、この人のテナーはマイケル・ブレッカー以上クリス・ポッター未満(演奏方法進化の軸において)だと思います。クリポタやマーク・ターナーやトニー・マラビーのような明確な個性を獲得していないわけですが、この人なりの方法論は獲得しているように感じます。

《クレア》前半におけるテナーとドラムの一騎討ちはかなりの迫力で迫ってきます。お互い相手の技を知り尽くした上での丁々発止が痛快です。これを聴けばマッキャスリンが現代屈指のテナー奏者であることは分かるはずです。幻想的で郷愁感漂う《ファイアーフライ》でのマッキャスリンのバラード演奏も深みと包容力があって良いです。後半のファンク・グルーヴに乗って気持ち良さそうにテナーを吹くマッキャスリンも◎。

大フィーチャされているベンジャミンのフェンダー・ローズは、例えばクレイグ・テイボーンのような一癖はないのですが、十分聴き応えのある演奏をしていますので、ローズ好きにもお薦めのアルバムとなっています。サンチェスに変わるドラマー、ジュリアナはファンク・グルーヴ系ドラミングです。最初のほうでサンチェスの都合が悪くてこの人が叩いたのかも?何て書きましたが、ファンク・グルーヴを出すために起用したのかもしれません?ただしビニーがテーマのみで合奏する《インポッシブル・マシーン》は複雑な変拍子曲。この曲は昔のM-BASEを感じさせます。

ケインの郷愁感溢れる美しいピアノ・ソロで終了。「どうして。どうしてなのっ。おせーて。」小松政夫風に言って下さい(笑)。

良いアルバムだと思いました。やっぱり私は今のところヒップホップよりこういうジャズがお気に入りです。

ちなみに、Amazonの輸入盤は安いです。そして、なぜかディスクユニオンにまだ入荷していません。

アルバム名:『PERPETUAL MOTION』
メンバー:
Donny McCaslin(ts)
Adam Benjamin(rhodes, p)
Tim Lefebvre(el-b)
Antonio Sanchez(ds)
Mark Guiliana(ds)
Uri Caine(p, rhodes)
David Binney(as, electronics)

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コメント

最初は参加メンバーのアントニオ・サンチェスとユリ・ケインの名前で買いましたが、同じ楽器のAdam BenjaminやMark Guilianaも個性的な演奏をしていて気に入りました。主役のドニー・マッカスリンも、もちろんいいですし。まさにニューヨークの現代ジャズサウンドって感じがします。

TBさせていただきます。

投稿: 910 | 2011年2月26日 (土) 23時25分

TBありがとうございます。

なかなか魅力的なメンバーですよね。
メンバー皆が良い演奏をしていると思います。
この手のニューヨークの現代ジャズサウンドってやっぱりいいです。

投稿: いっき | 2011年2月27日 (日) 01時24分

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10曲目はユリ・ケインのソロ・ピアノで牧歌的に明るく終わるのですが、そこに至るま [続きを読む]

受信: 2011年2月26日 (土) 23時20分

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