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大らかな味わいのアットホームなライブ

新譜紹介です。日本語ライナー付きでない輸入盤を買ったら、入手までに時間がかかってしまいました。でも安かった!

P9 オマー・アヴィタル・クインテット『ライブ・アット・スモールズ』(2010年rec. SMALLS LIVE)です。メンバーは、オマー・アヴィタル(b)、アヴィシャイ・コーエン(tp)、ジョエル・フラーム(ts)、ジェイソン・リンドナー(p)、ジョナサン・ブレイク(ds)です。昨年から定期的に出るスモールズでのライブ・アルバム。アヴィタル、リンドナー、コーエンに惹かれて購入。

最初にこれを言っておかねば。音が悪いです。ヌケが悪く伸びやかさがなくくすんだ音です。最初に聴いた時はかなり気分が悪かったのですが、何度か聴いたら慣れてしまいました(笑)。元々スモールズのライブは音が悪いのですが、これはちょっとひどい気がします。私はこういう録音はダメです。

内容はというと、ジャズというよりアメリカン・ミュージックという感じを受けました。全曲アヴィタルの作曲で哀愁ユダヤ調を基本にしていますが、カントリー的であり、ロック的であり、ブルース的であり、色々なアメリカの音楽が溶け合った”アメリカン・ミュージック”という言葉が一番似合いそうなジャズをやっています。

それは、ホーンがソロをとらずテーマを繰り返すのみの曲が2曲あったり、全編4ビートの曲が1曲(途中から4ビートになる曲も1曲)だけで他は8ビートだったりと、バップ的匂いが少ないことにもよります。

全体の雰囲気は大らかで素朴な感じ。丸の内の「コットンクラブ」や青山の「ブルーノート東京」や六本木の「スイートベイジル」などが似合う都会的でお洒落なイメージではなく、荻窪辺りのライブハウスが似会いそうな感じ(笑)。ご容赦。メンバーが声を発して盛り上げたり、お客さんがそれに反応して盛り上がったりと、アットホームな雰囲気が良いですね。

録音の悪さもあり、肝心のアヴィタルのベースがいまいち引っ込み気味だったりするので、演奏をガッチリ支えているのが聴きとりにくかったりします。なので、できるだけ音量を上げて楽しむほうが良いと思います。そうすればライブ感もアップして楽しいです。2曲あるベースソロ曲ではミンガス的ともいわれる強靭さで素朴でガッツのあるベースを聴かせてくれていますよ。

コーエンのトランペット、フラームのテナー、共にソロではストレートで熱い吹奏を展開。今時のキレキレのクールな冴えとはちょっと違うので、聴きようによってはちょっと喰いたりないような感じですが、きちんと聴けばなかなか迫ってくるものがあります。

リンドナーのピアノがこの素朴な雰囲気に合わせつつもセンスの良さや色彩を添えていてなかなか良いと思いました。一方、ブレイクのドラミングは手数が多くガッツリ叩いているのですが、ちょっと荒っぽいのが残念に思えました。

私の好きな曲は、ラテンのリズムも交えて楽しく進む3曲目の《ワン》と、唯一のストレート・アヘッドなバップ演奏の6曲目の《ブルース・フォー・ターディ》です。

荻窪が似合いそうなアメリカン・ミュージック(笑)。いかがですか?

アルバム名:『LIVE AT SMALLS』
メンバー:
Omer Avital(b)
Avishai Cohen (tp)
Joel Frahm (ts)
Jason Lindner (p)
Johnathan Blake (ds)

明日というか今日というか、2/4(金)は甲府「桜座」

村上ポンタ秀一×山下洋輔×坂井紅介のトリオが

やってきます。もちろん私は観に行きます。

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コメント

お気づきですか? いっきさん。例の誤答くんに2ちゃんで叩かれています。彼の粘着に揚げ足取られませんように。

投稿: 通りすがり | 2011年2月 4日 (金) 13時59分

通りすがりさん

そうですか。
ご忠告ありがとうございます。
そのあたりとは係わりたくないですよね。

投稿: いっき | 2011年2月 4日 (金) 22時48分

こんばんわ。いっきさん。
このアルバム、僕は待ち疲れて結局キャンセルしてしまいました。

最近は黒くて丁丁発止な感じのものばかり聴いているので、アットホームな感じならちょっと買うの待とうかなという感じです。

ジェイソン・リンドナーのnow vs nowを先に買おうかなって思ってます。

正直言って僕は録音が新しかろうが、古かろうが熱い作品を聴きたいです。演奏のインパクトや新しさがあるかはその後考えることにしてます。

最近はセシル・テイラーのakisakila ばかり聴いてます。なかなか疲れますが、心地よい疲れですよ。

それではまた。

投稿: 雪丸 | 2011年2月 5日 (土) 22時18分

雪丸さん

こんにちは。
キャンセルされてしまったのですか。
アットホームな感じですが熱さはありますよ。

>ジェイソン・リンドナーのnow vs nowを先に買おうかなって思ってます。

こちらも面白いです。

>正直言って僕は録音が新しかろうが、古かろうが熱い作品を聴きたいです。

私も同じような感じです。
私の場合、古いものはひととおり聴いてしまったので、今は新しいもののほうに主軸をおいて聴いています。
なお、最近は歳のせいかもしれませんが、熱いものばかり聴くと疲れますので、時には緩めのマイナー・ピアノ・トリオとかも聴きます(笑)。

>演奏のインパクトや新しさがあるかはその後考えることにしてます。

こういうことはもちろん後付けです。

>最近はセシル・テイラーのakisakila ばかり聴いてます。

私はセシルはめったに聴かないです。
時々刺激になるように聴く程度です。

私は昨日の「いーぐる」連続講演「ヒップホップ学習会」に参加して、少し「ヒップホップ」を追いかけてみようかと思っています。

雪丸さんも「いーぐる」の連続講演に参加してみてはいかがですか?
ジャズ好きが集まるコアでレアな空間。
良い音で大音量で聴けるうえに解説までしてくれるんですから。
基本は音を聴くことで、解説はあくまで補足ですから、楽しめると思います。
新しい音楽に出会える空間でもあります。

投稿: いっき | 2011年2月 6日 (日) 13時30分

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