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中山康樹さんの「ジャズ・ヒップホップ学習会」に参加して(後編)

ジャズ喫茶「いーぐる」で行われた「ジャズ・ヒップホップ学習会:第1回」に参加して、レポートの続きです。

P13

●第3部 : 発展と継承

レベル・アップされて、音楽的にも豊かに。

11.マイルス《Blow》(シャドウゾーン・イクステンディッド・クラブ・ミックス)。1992年。マイルスの死後作られたバージョン。ヒップホップでは色々なところから音源を引っぱってくるのが当たり前だそうです。これ以降ヘビーな低音が入った曲ばかりなので、「いーぐる」オーディオで大音量で聴くだけで快感となってしまいました。これは単純な4つ打ちリズムでイェ~イ(笑)!マイルスはバックがどう変わろうがマイルス。

12.MCソラー・ウィズ・ロン・カーター《Un Ange En Danger》。1994年。MCソラーはフランス人でラップ界のゲンズブールと呼ばれているとのこと。ラップ界ではロン・カーターはスターらしいです。このようにラッパーのジャズ・ミュージシャンへの敬愛は多いらしいです。ヒップホップ&ブミーなアコースティック・ベース。こういうビートの中のブーミーなアコースティック・ベース音、私は好きです。弾き方どうこうの問題ではなくサウンドがヒップならいいんじゃないでしょうか?

13.ドン・チェリー・ウィズ・ワッツ・プロフェッツ《Apprehension》。1994年。これが凄いのはライブ・レコーディングということ。即興的な声とチェリーのどっちが勝つか?これを聴くとマイルスの完成度の高さがわかるとのことでした。『ドゥー・パップ』のパクリのように聴こえました(笑)。チェリーのヘロヘロ感、これはこれでいい味を出していると思いました。マイルスのクールなカッコ良さとは別物ですね。

14.ビートナッツ《2-3 break》。著作権に引っかからない程度の長さの音がたくさん使われていて、《ビッチェズ・ブリュー》も入っているとか。何が使われているかはジャズ・ファンにはわかるが、こういうのをジャズ・ファンは聴かないなんて話も。サンプリングによってジャズの伝統の継承。マイルスの見ていた未来なのではないか?アコースティック・ベースのヒップホップでした。いまいち印象に残っていないな~。

15.ザ・ルーツ・ウィズ・スティーヴ・コールマン《Essaywhuman?!!!??!》。1994年。「黒々としたもの。今のジャズ界にないものがある。」と中山さん。こういう黒いものはやっぱりいいですね。これはカッコ良かったです。スティーヴ・コールマンと言えばMベース。Mベースもカッコ良かったのに尻つぼみになってしまったのが残念。その流れはニューヨーク・ダウンタウンの人達に脈々と受け継がれていますけどね。

16.イエスタデーズ・ニュー・クインテット(別名:マッドリブ)《Footprints》。2003年。マッドリブ1人で編集しているそうです。マッドリブは色々な名義で作品を作っているとのこと。これが入っている『ブルーノート帝国への侵略』というアルバムは、マッドリブがブルーノートから依頼されて作ったアルバムで、日本でも発売されたがコケたそう(笑)。マッドリブはチャックD(パブリック・エナミーのリーダー)と並んでヒップホップ界最大の才能。アフリカン・リズムのこれもカッコ良かったです。

17.ダーティ・ダズン・ブラス・バンド・ウィズ・チャックD《What's Going On》。2006年。パブリック・エナミーのチャックDとニューオリンスのダーティ・ダズン・ブラス・バンドが共演。上手くフュージョンしていました。これもカッコ良かったです。15、16、17はアルバムを買って聴きたくなりました。

●第4部 : 現在と近未来

18.ビル・ラズウェル・パラドックス・ウィズ・ハービー・ハンコック《Panepha》。2007年。ヒップホップも20年経ち形骸化したものもあります。初期にやっていた人達もまだまだ頑張っている例。過激に進化。『ゲット・アップ・ウィズ・イット』の発展系。高速ドラムンベースのビートの上でハービーがキーボードを弾いています。まさかラズウェル・ハービー・コンビがドラムンベースを採用しているとは思いませんでした。ハービーは70年代エレクトリックからほとんど変わっていないことが浮き彫りに(笑)、でも意外とマッチしていました。他の曲も聴いてみたいです。

19.ジェイ・アー・ザ・1960's・ジャズ・レボリューション・アゲイン《The Lee Morgan Story》。2009年。リー・モーガンの生涯をラップでやっています。中山さんは「音楽でトリビュートする例は色々あるが、リー・モーガン・トリビュートとしてこれが最高。」とおっしゃっていました。曲の最初にモーガンのアルバム名が続けて出てきます。私にはこれが最高のトリビュートなのかどうかわかりませんでした。趣向として面白いとは思いました。

20.ジェネレーション・マッチ(別名:マッドリブ)《Electronic Dimensions》。2010年。「ジャズには受け継がれていないものが受け継がれている。」と中山さん。私はパッと聴いた瞬間、マイルスの《カリプソ・フレリモ》/《マイシャ》が浮かんできました。拍子木みたいなのをコツコツやっているのとフレーズの断片やリズムからのイメージです。大して似ているわけではないのですが何か匂いがしたんですよね。で、これはエレクトリック・マイルス的なものが受け継がれているのかも?と思いました。これはCDを買って聴くしかないでしょ。

21.ゴールデン・ゲイト・カルテット《Preacher And The Bear》。1937年。ラップは昔からあったという例。私にはドゥワップに似ているように聴こえたので、後で質問してみたのですが、ドゥワップはもっと後の1950年代半ばに出てきたものでした。こんなのもあったんですね~。

とここまでで講演は終了。
質問コーナーで中山さんに皮肉を言ってしまいました。m(_ _)m
今回も丁寧にご回答下さった中山さんには感謝しています。
後半は面白い音源がたくさんあり、かなり興味が湧いてきました。
ありがとうございました。

新伝承派から四半世紀。「マイルスを聴け!」を経て、今回ジャズ/ヒップホップ。
ここ10年の私的ジャズ聴き史で言えば、
マイナー・ピアノ・トリオ/ユーロ・ジャズ ~ ポスト・モダン/現代NYダウンタウン ~
ジャズ/ヒップホップになるのか?
楽しみであります(笑)。

では早速というわけで、以下の3枚をAmazonに注文。

『JaZZ JAPAN』No.6、中山さんの推薦盤。音源13番。中古CDを買いました。

これは聴かねばなるまい。音源20番。マッドリブ!
ジャケットはまるでブルーノート・レーベル。

ヒップホップとして必聴ですよね。パブリック・エナミーのこれ。
『JaZZ JAPAN』No.6、DJ KENSEIさんの推薦盤。

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コメント

いっきさん、こんばんは。

確かロン・カーターの息子がヒップ・ホップミュージシャンだったよね。'90年代はイベントのゲストとしても時々ロンは出演していたみたいですよ。
MCソラーとロン・カーターは映像で観るといいよ。
http://www.youtube.com/watch?v=1ll0T5eVJVw&feature=player_embedded#

このテーマ面白がりながらも、意外とみんな冷静なのでいいと思いました。思ったより、広がらなさそうですが・・・(笑)。
ブラックミュージックの流動形、断片としては、特に意見もないのでは?
サン・ラが出てこなかったね。

ジャズヒップホップを研究するとシカゴ派に行きそうだよ(笑)。
パブリック・エナミーはオイラも好きだよ!

投稿: tommy | 2011年2月 8日 (火) 00時13分

tommyさん

こんばんは。
おーっ、なかなかカッコイイ映像ですねー。
こういうのを「いーぐる」オーディオの大音量で聴くとまたいいんですよ。

まだ始まったばかりなので、今後の展開はどうなっていくのか私にはよくわかりません。
別に焦る必要はなく、こんな今だからじっくり腰を据えてやっていけばいいのではないかと私は思います。

サン・ラーとか、シカゴ・アンダーグラウンド・トリオとか、・・・色々周辺にはいるでしょう。
ロブ・マズレク、私が既に注目してるじゃないですか(笑)。
まっ、シカゴ音響派とは微妙な位置関係にあるように私には思えますが。

色々意見を取り入れられる余地もあってなかなか楽しいテーマではあると思いますよ。

投稿: いっき | 2011年2月 8日 (火) 01時42分

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