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普通の黒いジャズ。これがいい!

私は基本的には黒いジャズでも白いジャズでもユーロジャズでも日本ジャズでも構わないのですが、聴いていて一番落ち着くのはどのジャズかと言われれば、やっぱり黒いジャズということになってしまいます。最初は歴史聴きをしましたし、名盤もたくさん聴きましたし、そういう聴き方をしてくると、コアになる部分は黒いジャズになってしまうわけです。大好きなマイルス・デイヴィスも黒いわけですしね。だからと言って、黒くないジャズは認めないなんていう思想は持ち合わせていませんよ。

それからジャズを聴いていると、演奏するわけではないのに、意外と黒人コンプレックスになります(笑)。黒人に憧れたりもするわけです。で、黒人の感覚は自分にわかるのだろうか?黒人のグルーヴにのれているのだろうか?ジャズがわかっているのだろうか?などなど不安になり、どうせ日本人にはわからないんだろうな~なんて気持ちになります(笑)。

さて、今日紹介するのは、中古で買った別にどうということはないほとんど話題にものぼらないアルバムなんですけれど、黒さという部分で気に入っている1枚です。

P8 チャールズ・サリバンの『KAMAU』(1995年rec. Arabesque Recordings)です。メンバーは、チャールズ・サリバン(tp)、クレイグ・ハンディ(ts,ss)、ケニー・バロン(p)、ロドニー・ウィッテカー(b)、ヴィクター・ルイス(ds)です。

実はこれ、後藤雅洋さん著『ジャズ選曲指南』掲載アルバムのコンプリート蒐集をやっていた頃に、チャールズ・サリバンの『リ・エントリー』が中々見つからず、その代用になるかも?と思って買った1枚です。チャールズ・サリバンなんてそれまで気にして聴いたことがなかったので、どんなトランペッターなのか知りたくて買ったのです。メンバーも良さそうでしたし、ジャケ写のサリバンがいい雰囲気を醸し出していたせいもあります。

全曲オリジナル。作曲者はKamau Adilifu。誰のことかわからなかったので、今日ネット検索をしたら、サリバンのたぶんイスラム教名。ということで、全曲サリバンのオリジナル。モダンでなかなか良い曲揃いです。

サリバンは奇を衒わず丁寧にフレーズを吹いています。『ジャズ選曲指南』の『リ・エントリー』の解説文には「60年代の(マジメな)フレディ・ハバードの感じに近いけれど」なんて一説がありますが、私も同じような感じを受けました。『リ・エントリー』は1976年録音で、このアルバムは1995年録音なので、約20年の隔たりはありますが、本質的にサリバンは変わっていないと思います。さりげない引用メロディーもいいです。

サックスのハンディも落ち着いて安定したプレーをしつつ熱いところは熱くとサリバンと好バランスです。バロンのピアノがまたいい味を出しているんですよ。そつがないバッキングで、アドリブになるとさりげなく曲に沿った好フレーズを挟み込んでくるあたりが憎い。ウィッテカーの手堅いベース、フレキシブルで軽やかなスイングを生むルイスのドラム、やっぱりバップはいいですね。

アルバム全体の雰囲気は、90年代ということもあってか、またメンバーの個性もあってか、洗練されてスマートな感じになっています。でもその中にキラリと黒さが光ります。いかにも黒いという感じではありませんよ。黒い背景放射がいいんです。

色々聴いているのですが、「ジャスっていいな~」というフレーズに一番しっくりくるのは黒いジャズのような気がします。

アルバム名:『KAMAU』
メンバー:
CHARLES SULLIVAN(tp)
CRAIG HANDY(ts,ss)
KENNY BARRON(p)
RODNEY WHITTAKER(b)
VICTOR LEWIS(ds)

ちなみに、『ジャズ選曲指南』掲載の『リ・エントリー』は昨年CD化されました。

熱気という部分ではこちらが上回ります。70年代はまだまだ熱い時代なのです。《リ・エントリー》をバリバリ吹いた後、《ボディ・アンド・ソウル》をバラードでじっくり聴かせるレコードでいうA面2曲が良いです。トランペットのワン・ホーン・カルテットですが、しっかり濃厚に聴かせてくれます。ピアノのケニー・バロンがマッコイ・タイナー張りにガンガン弾いているところに時代を感じます。

B面はアルト&テナーのルネ・マクリーンが加わり、クインテットでストレートな黒いジャズを聴かせます。ルネは親父ジャッキーの遺伝子を受け継ぎ、なかなか熱くうねってくれていますよ。雰囲気はゲイリー・バーツに近いように思います。

B面はサリバンのオリジナル曲が3曲入っているのですが、これがいずれも良い曲。黒さがありながら爽やかであり、ほのかな哀愁が漂って60年代新主流派的冷たさをうまく回避していると思います。《ワルツ・フォー・クリケット》は愛らしいワルツ曲で、私の美メロの琴線をくすぐってくれます。

ジャズ喫茶の親父が推薦するアルバム。「ジャズっていいよね(笑)!」

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コメント

いっきさん、こんにちは。

早いもので、今月も終わりですね。
今月のいっきさんのブログで紹介されたアルバムで、知っていたのは
『トリビュート・トゥ・ジョン・コルトレーン』だけでした(笑)。

これからも、有名ではないけどいいアルバムを紹介してね。
ピンッと来たら、オイラも買うと思います(笑)。

オイラは後10年しかジャズを聴かないので、きっとユーロジャズは、それ程買わないだろうし、黒くないジャズは聴かないと思います。
まぁ、もう好きなジャズしか聴かないツーことです。
そうそう、「世の中にはオイラに関係ある音楽と、関係ない音楽がある」だけだなぁ〜と思うんだよね。

手元に置いて何度も聴くアルバムってそれ程多くないよね。
アルバムも厳選して300枚くらいに整理したい(笑)。

投稿: tommy | 2011年1月30日 (日) 15時53分

tommyさん

こんにちは。

本文に『リ・エントリー』も追加しておきましたので見て下さ~い。

>早いもので、今月も終わりですね。

ほんとですよね。
すぐに1ヶ月が過ぎてしまいます。

>これからも、有名ではないけどいいアルバムを紹介してね。

はい、がんばります。

>まぁ、もう好きなジャズしか聴かないツーことです。

いいんじゃないでしょうか?
人それぞれです。
私は新し物好きで好奇心旺盛なので、とにかく色々聴きたいんです。
そしてどんどん聴いて行くと、好きなものが広がっていってしまうというのが実態です。
もともと浮気性ですから、あれも良ければこれも良いわけでして(笑)。

>そうそう、「世の中にはオイラに関係ある音楽と、関係ない音楽がある」だけだなぁ〜と思うんだよね。

言い方がよく分かりませんが、”私”の主体性をはっきりさせた言葉に置き換えて「私が興味を感じる音楽と、感じない音楽」と解釈するなら、当然私にもあります。
興味の範囲の”広い””狭い”は個人によって様々でしょう。
それでいいと思います。
狭いことにコンプレックスを感じてもしょうがないとも思いますし、広い人に「無理してないか?」と言ってもしょうがないと思います。

>何度も聴くアルバムってそれ程多くないよね。

はい、その通りです。
まっ、私の場合は何度も聴くと飽きるので1年1回しかきかないアルバムがたくさんあったほうが嬉しいですが(笑)。

投稿: いっき | 2011年1月30日 (日) 16時17分

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