これも地味渋だな~。でも深い。
今日は新譜紹介です。
とは言っても、いつものようにだいぶ時は過ぎていますが。
チェックはしていて買わなかったのですが、
ジャズ喫茶「いーぐる」の壁に飾られているのを見て買うことにしました。
スコット・コリーの『エンパイヤ』(2009年rec. CAM JAZZ)です。メンバーは、スコット・コリー(b)、ラルフ・アレッシ(tp)、ブライアン・ブレイド(ds)、ビル・フリゼール(g)、クレイグ・テイボーン(p)です。ニューヨークの精鋭で固められています。このメンバーだと音は聴かなくても質はキープされていることは分かります。レーベルも良心的上質ジャズレーベルのカムジャズだし、あとはこういうサウンドをどう聴くかだけですね。
サウンドとしてはフリゼールお得意のカントリー系からコンテンポラリー系現代バップ。冒頭のギター”ジャラ~ン”&少しの沈黙を聴いただけでも地味盤だと分かります(笑)。曲は全てコリーが作曲しています。熱気ムンムン&ノリで勝負なジャズとは正反対の知的でクールな肌触り。ちょっと聴いただけでこういう現代サウンドがつまらないという人もいますが、もうちょっと聴いてみてほしいです。
フリゼールはもう聴けばすぐに分かるワン・アンド・オンリーな世界を展開していますし、ブレイドのさりげなくて凄いアーティスティックなドラミングも相変わらず素晴らしいし、アレッシも負けじと趣味の良いストレートなトランペットを吹いるし、味わいどころはたくさんあるのです。これらにスコット・コリーのアーティスティックなベースが加わって渋い世界を構築しているわけです。ピアノのテイボーンは数曲に参加していつもの美しい演奏を展開しています。
決して難解なことはやっていません。このメンバーならではのクール・ビューティーな世界。ほのかな暖かさや優しさも感じさせます。場面によってはトランペットとドラムが熱く燃え上がる時もあるのですが、通して聴くとクールで落ち着いたイメージが残ります。中にはこの人達にしかできない捻りの聴いた美世界を展開している曲もあります。どの曲のことを言っているのかは聴いて確認してみてね。
現代ニューヨークのベーシストって、皆さんアコースティック・ベースをしっかり鳴らしますね。アコースティック・ベースでエレクトリック・ベースのような曲芸演奏をする人はほとんどみかけなくなりました。このアルバムでも中心にあるのはコリーの地に足の付いた太いベースです。地味と言えば地味ですが、私はこういうベースは悪くないと思います。
ベース・ソロはありますがあくまで楽曲の一部としての扱いで、露骨にベースを聴かせるようなことはしていません。フリゼールのギターとのデュオは落ち着いた深い会話を展開しているし、アレッシのトランペットとのデュオではクールな哀愁を聴かせているし、ラストのドラムレス・カルテットのイマジネイティブな小品まで、アートなジャズです。
良質ジャズだと思います。味わい深いです。
アルバム名:『EMPIRE』
メンバー:
Scott Colley(b)
Ralph Alessi(tp)
Brian Blade(ds)
Bill Frisell(e-g)
Craig Taborn(p)
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コメント
確かに地味なんですけど、個人的に私もビル・フリゼールが好きでして、彼、いい味出しているなあ、と思います。昔ネイキッド・シティで暴れていたのが信じられないくらい。
こういうサウンドで今回あえてまとめたスコット・コリーもなかなかやるなあ、と思います。たしかに「深い」ですよね。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2010年12月 7日 (火) 18時16分
910さん
こんばんは。
本日PC(Windows)が立ち上がらなくなりとりあえず復旧しました。
明日というか今日夜改めてコメント&TBします。
TBありがとうございました。
投稿: いっき | 2010年12月 8日 (水) 01時56分
910さん
昨夜は大変でした。
で、今日も真っ青。
ファイル救済に失敗してしまいました(涙)。
ビル・フリーゼールはもういつものパターンという感じですが、いい味を出していますよね。
>昔ネイキッド・シティで暴れていたのが信じられないくらい。
そうですね。そんな時期もありました。
私もこれはなかなか良いと思っています。
私からもTBさせていただきます。
投稿: いっき | 2010年12月 8日 (水) 19時17分