今日はトロンボーン!
なぜか時々トロンボーンの音が聴きたくなります。
ということで目にとまった(耳にとまった?)のがこの新譜。
マイケル・デュースの『グレイス』(2009年rec. Jazz Legacy Productions)です。メンバーはマイケル・デュース(tb,valve-tb,ts,ss)、サイラス・チェスナット(p)、ルーファス・リード(b)、ジーン・ジャクソン(ds)が基本。ゲストとしてクラウディオ・ロディティ(flh)、ロイ・ハーグローブ(tp,flh)、シャリル・キャシティ(alto-fl,as)、エリック・アレキサンダー(ts)、マーク・ホイットフィールド(ac-g)、ヨタム(sc-g,el-g)、ロジャー・スキテロ&サークル・リズム(per)、他が参加。
マイケル・デュース、初めて聞く名前です。ディスクユニオンの宣伝文によるとグラミー賞を受賞したことがあるんだとか。なかなかのテクニシャンです。テクニシャンだからと言って飛ばす演奏だけではなく、スローバラードでは甘いトロンボーンも聴かせてくれます。ホンワカ・トロンボーン&テクニカル・トロンボーンの両方が楽しめるのでお得ですよ。
メイン楽器のトロンボーンの他、ヴァルブトロンボーンは軽い味付けとして1曲で使用。テナーサックスとソプラノサックスは各1曲ずつかなりのソロを聴かせてくれます。デュースはなかなかの才人。サイラス・チェスナット以下共演メンバーは豪華ですよね。
1曲目《DISCUSSAO》はジョビンの曲。ゆったりいい雰囲気でボサノバを奏でてくれます。続くホイットフィールドのギター、ロディティのフリューゲルホーンも心地よいソロですね。これは軟弱アルバムなの?と思っていると、2曲目マッコイの《ブルース・オン・ザ・コーナー》で、熱いブルースを展開します。ここでのエリック・アレキサンダーがまた熱いんですよ。かなりコルトレーン化しちゃってます(笑)。この人最近コルトレーン度が増してませんか?チェスナットのブルージな演奏も素敵です。
3曲目はヴィックス・ヴァイダーベックの《イン・ア・ミスト》。ちょっとレトロな曲調を生かし落ち着いた雰囲気で聴かせます。ハーグローブのフリューゲルホーンとのマッチングはトロトロですね。テンポのチェンジを効果的に使います。2曲以外はデュースとジョン・リーのアレンジです。4曲目はランディー・ブレッカーの《アイ・トーク・トゥ・ザ・ツリーズ》。アフリカンなリズムアレンジのコンテンポラリー曲で、ホーン陣が加わった豪華な演奏です。デュースは色々なタイプのジャズをこなします。チェスナットのピアノ・ソロが美しい!トロンボーン・ソロは力強く優雅に空を舞うが如し。かなりカッコいいです。
5曲目はマイルスの《フォー》。しっとりバラード演奏です。これいい曲ですよね。チェスナットのピアノ・ソロはここでもやっぱり美しいです。続くテナー・ソロ。てっきりエリックの堂々バラード・ソロだと思っていたら、何とこれがデュースなのでした!ハーグローブのフリューゲルホーンもしっとりと。ラストにトロンボーンが登場。テナーのことなど素知らぬ顔で甘いソロを展開。う~ん、染みるな~。
6曲目はピーターソンの《ティッピン’》。アップテンポでかっ飛びバップ。ここでのトロンボーン・ソロが凄いのです。素晴らしい速さとスムースネスでトロンボーンを軽やかに疾走させます。このテクニックには脱帽!続くチェスナットも負けじとピーターソンばりにガンガン飛ばします。途中クラスター系の音塊を繰り出してノリノリ。次はハーグローブのフリューゲルホーンのソロですが、デュースのトロンボーンのほうが饒舌に感じるくらいなので参ります。
ここまでで半分。後半戦はイヴァン・リンスの曲でのボサノバ/フュージョンあり、コルトレーンのメカニカルなコード進行曲《26-2》をアップテンポで難なくやっつけたり(まるでスキーの回転競技でもやっているかのようなスピード感)、この曲ではチェスナットのソロも秀逸、軽快でジャジーな自作曲も1曲披露し、ラストのミルトン・ナシメントの《ソルト・ソング》ではソプラノ・サックスも快演。以上全12曲はなかなかの満腹感なのでした。
多彩なゲストを迎えデュースのトロンボーンがたっぷり満喫できるなかなか楽しいアルバムに仕上がっていました。
余談ですが、CDケースが特殊です。DVDケースなんですよ。
今ならディスクユニオン通販限定¥1,500。在庫あります。いかがですか?
アルバム名:『GRACE』
メンバー:
Michael Dease(tb,valve-tb,ts,ss)
Cyrus Chestnut(p)
Rufus Reid(b)
Gene Jackson(ds)
他
| 固定リンク
「ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事
- 今日はこんなの聴きました。(2022.01.01)
- 追悼、チック・コリア。(2021.02.14)
- このアルバムのこの曲が好き!(2021.02.07)
- こんなの聴いています。(2021.01.03)
- 新年明けましておめでとうございます。(2018.01.01)
コメント