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バンキー・グリーン頑張る!

新譜紹介です。
御大と共演するとこうも演奏に力が漲るのものなんでしょうか?

P151 ルドレシュ・マハンサッパ&バンキー・グリーン『アペックス』(2010年rec. PI RECORDINGS)です。メンバーは、ルドレシュ・マハンサッパ(as)、バンキー・グリーン(as)、ジェイソン・モラン(p)、フランソワ・ムタン(b)、ジャック・ディジョネット(ds)、デミオン・リード(ds)です。75歳になる御大バンキー・グリーンと最近メキメキと頭角をあらわしてきたマハンサッパの共演盤。

勢いに溢れています。やっぱり大先輩との共演は燃えるんでしょうね。マハンサッパがいつになく活き活きとしているのが分かります。グリーンも歳のことなんか忘れて若者に挑んでいってますね(笑)。こういう共演がジャズ魂を受け継いでいくのです。ちょっと大袈裟(笑)?ジャック・ディジョネットが4曲に参加しているのが珍しいところ。こういうメンツとやるとは思っていませんでした。ディジョネットも気合い入りまくりで熱いです。

他のメンバーも精鋭揃い。ピアノのモランは自身のトリオやチャールス・ロイドのカルテットなどで活躍する独特のセンスを持つ注目ピアニスト。ベースのムタンは自身のムタン・リユニオン・カルテットをはじめとして最近やたら色んなところに名前をみかける強靭ベーシスト。とうとうマンハッタン・ジャズ・クインテットにまで加入しちゃいました(笑)。ドラムのリードはロバート・グラスパーのトリオでドラムを叩いていた典型的な現代ビート感覚のドラマー。ディジョネットとの対比が面白いです。といった具合で抜かりなしの布陣。

マハンサッパについては、幾何学的でアブストラクトなソロがちょっと苦手なのですが、今回はグリーンが参加してそれが薄まっている感じなので、私にはちょうど良いです。以前ブログで紹介したスティーヴ・リーマンとの共演アルバム「デュアル・アイデンティティ」を買ったのも似たような理由です(笑)。

グリーンについては数年前に出たアルバム『アナザー・プレイス』が気にいったので、注目するようになりました。60年代から活躍するバッパー。その『アナザ・プレイス』はスティーヴ・コールマン(as)がプロデュースをしていて、レーベルがラベル・ブルーという異色作。ジェイソン・モラン(p)とロニー・プラキシコ(b)とナシート・ウェイツ(ds)のトリオがバックを固めるという強力アルバムでした。

全10曲中5曲がマハンサッパで5曲がグリーンの作。前半はマハンサッパの曲で、後半はグリーンの曲。グリーンがマハンサッパの曲に合わせた感じの曲を挟むので流れとしてはスムーズにつながっています。お互いに1曲づつ自分の得意な曲でワン・ホーン・カルテット演奏も披露。

マハンサッパ・カルテットの《プレイング・ウィズ・ストーンズ》はインド~中近東なメロディで変拍子。幾何学的なフレーズで少々つんのめり気味に前へ前へと推進するマハンサッパの勢い溢れるソロが聴けます。随所に切れ込むモランのピアノも聴きどころ。一方グリーン・カルテットの《リトル・ガール・アイアル・ミス・ユー》は名バラード曲。グリーンの切ない哀愁アルトが聴けます。吹き方自体はかなりアグレッシブなのでズジリと胸にきますよ。

ディジョネットは最初の2曲とラストの2曲で叩いています。シンバルとスネア基調の俊敏な4ビートはさすがの一言。もう68歳なのに衰えない人ですよね。残り6曲を叩くのはリード。バスドラ、スネア、シンバルのからみでパーカッション的な現代感覚のビートです。とにかく手数が多いし、足数(バスドラ)も多いのでかなりのパワーになります。ちょっと叩きすぎかもしませんが、私的にはO.K.このドラムのパワーに全然負けていないマハンサッパとグリーンにも脱帽。

リードはグリーンのバックとマハンサッパのバックではビートを変えて叩いているのが面白いです。グリーンのバックでは比較的オーソドックスな4ビートなのに、マハンサッパのバックではパルス的で比較的フリーなビートに変わります。これはそれぞれのビート感覚に合わせているものと思われます。

マハンサッパ作の《フー》は強力です。自由度が高めの高速4ビートに乗って、マハンサッパとグリーンが壮絶なソロを展開。幾何学的なソロVSファナティックなソロ。お互い負けじと吹きあう姿が浮かんできて微笑ましいです。「おやっさん聴いてくれー。」なマハンサッパと「まだまだ若いもんにゃ負けん。」なグリーン(笑)。グリーン作の《レイナー・アンド・セリシア》はバラード対決。セツネ~美曲でのグリーンは貫録の吹奏。マハンサッパもグリグリとエグく辛口のバラードを展開。ここでも両者譲りません(笑)。

時々フリーにも突入しつつ独特の美意識を感じさせる冴えたピアノを弾くモラン。どんなビートでも常に強靭にして存在感を感じさせるベースを弾くムタン。2人の好演も印象的です。

隠しトラックがあります!10曲目が終わって30秒くらいたつともう1曲始まります。これがまたカッコいいのですよ!ディジョネットのドラムだけをバックにマハンサッパが高速4ビートでパワフルかつキレキレなソロを披露。こういうオマケなら大歓迎です。

今回のアルト対決。グリーンも頑張っていますが、それを上回る勢いで弾けているマハンサッパに軍配が上がると思います。聴きどころ満載の楽しいアルバム。

アルバム名:『APEX』
メンバー:
Rudresh Mahanthappa(as: left channel, all tracks except 7)
Bunky Green(as: right channel, all tracks except 4)
Jason Moran(p), Francois Moutin(b)
Jack DeJohnette(ds on 1, 2, 9 & 10)
Damion Reid(ds on 3, 4, 5, 6, 7 & 8)

バンキー・グリーンのこれもお薦めです。

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