いいじゃないか!バド・パウエル。
巨匠バド・パウエルの歴史的名盤ということで、最初は正直ひいていました。
『ジ・アメイジング・バド・パウエルVol.1、2』
パウエルについてはその後拒絶反応は消えたのですが、
盤質「A」のレコードでVol.1、2を同時に買いたいという要望から
買いそびれていました。
でもとうとう買うことができました。
ディスクユニオンお茶の水ジャズ館移転セール。
2枚で¥750也。ジャケ汚れも気にならず、いい買い物でした。
で、聴いたら「いいじゃないか!バド・パウエル。」というお題になったのでした。
私のお気に入りはVol.2
『ジ・アメイジング・バド・パウエルVol.2』(1951,3年rec. BLUENOTE/キング)。メンバーは、バド・パウエル(p)、ジョージ・デュヴィヴィエ(b)、アート・テイラー(ds)、トミー・ポッター(b)、ロイ・ヘインズ(ds)です。49年のセッションからはポッター/ヘインズの組み合わせで2曲、51年のセッションからはピアノソロで2曲、53年のセッションからはデュヴィヴィエ/テイラーの組み合わせで8曲収録されています。
パウエルというと凄いテクニックで鬼気迫るようにピアノを弾く人(前期)というイメージが植え付けられてしまっているので、近寄り難かったりするのですが、このアルバムを聴いてパウエルだって哀愁のピアニストだということを痛感した次第。こちらの思い入れを注入して聴けるピアニストでもあると思いました。
これはちょっと意外でした。『アメイジング・バド・パウエル』というとVol.1の冒頭《ウン・ポコ・ロコ》3連発が凄いというイメージが先行し、Vol.2も当然同じ路線だとばかり思っていたからです。でも違ったんですね。そしてVol.2というとVol.1の残りものみたいなイメージもあったのですがこれも外れ。更に同曲を続けて収録していないところも私には嬉しいところです。
こちらは53年のセッションを中心にしていて、ベースとドラムが地味で職人の2人、ジョージ・デュヴィヴィエとアート・テイラーというのが功を奏していると思いました。裏方に徹した2人がパウエルを上手く引き立てているからです。ジャズ・ピアノ・トリオの基本形がとても親しみやすく提示されています。49年セッションの2曲、ポッター/ヘインズの組み合わせもやっぱり渋くていいですね。
《ニューヨークの秋》《ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス》《ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド》《オーニソロジー》なんて素敵なメロディーの曲が並んでいるのも魅力です。パウエルの美意識をしっかり感じ取ることができます。決して難解なことはやっていません。メロディーの良さを大事に演奏しています。それでもこの有無を言わせぬ説得力。そこがパウエルの凄さです。哀愁だってあります。
哀愁ということで言えば、ソロピアノで演奏している《イット・グッド・ハプン・トゥ・ユー》と《オーヴァー・ザ・レインボー》が最高です。パウエルのロマンティックな面が全開で、聴いていてちょっと恥ずかしくなるくらいかも(笑)?このソロを聴いているとパウエルって意外とロマンチストだったんじゃないかと思えてきます。私はそんなパウエルが愛おしく思えるのです。
初心者にパウエルを薦めるなら、まずは『ジ・アメイジング・バド・パウエルVol.2』だという気がします。まずはこれを聴いてロマンチストなパウエルに親しんじゃいましょう。それからVol.1を聴いてパウエルの凄みを知れば良いのです。哀愁ピアノ・トリオ好きにもこれをお薦めしたいです。強面だと思いこんでいたパウエルがグッと近づいてくるはずです。パウエル食わず嫌いはこれを聴いて克服しましょう!
今頃これを聴いた私、情けない(涙)。
でも良さが分かったからいいやっ。
*
で、やっぱりVol.1も聴いておきましょう。
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コメント
いっきさん
こんばんは。
vol.2の素晴らしさに目覚められましたか。
おっしゃるとおり、ロマンティストなんです、パウエルは。辛口だけど。
甘さを排したロマンティシズム。あれ?このキャッチどこかで使った記憶が(笑)。
私は、学生時代に青森県の浅虫温泉付近の海を観ながら、繰り返し《ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド》や《虹の彼方へ》をウォークマンで繰り返し聴きながら、パウエルの別な側面に海岸、じゃなくて開眼しました。
ああ懐かしいなぁ。
とにかく、演奏も極上な上に、今でも青春時代の甘酸っぱい記憶がよみがえる音なのであります
投稿: 雲 | 2010年11月16日 (火) 01時13分
雲さん
こんばんは。
vol.2いいですね~。
目覚めちゃいました(笑)。
辛口だけど甘さを排したロマンティシズム。
素晴らしいですよね。
このアルバムに青春時代の甘酸っぱい記憶が重なっているなんて素敵です。
《ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド》
《虹の彼方へ》
両曲とも好きです。
投稿: いっき | 2010年11月16日 (火) 01時31分