「PCMジャズ喫茶」のゲストは「JaZZ JAPAN」編集長(その1)
今回の「PCMジャズ喫茶」のゲストは「JaZZ JAPAN」編集長の三森隆文さん。
さて、どんな裏話が飛び出したのか?
まずは「JaZZ JAPAN」のコンセプトは?から。「定番だけでは読者がついてこない。ジャズを聴く人は増えているはずだが、色々なものがバラバラに動いているので、バラバラになったジャズ・ファンを一つに結び付けたい。ジャズは好き嫌いでいいという原点に立ち戻る。色々な選択肢を提供したい。」というようなことを三森さんは言っておりました。まっ、だいたい想定範囲の回答でした。(ピンク字は私の意見)
今起こっていることから昔のものにリンクしたいそうで、Vol.1を例にすれば、大西順子~ミンガスにリンクするといういうふうにしたとのこと。(この番組収録時はVol.1が発売された後で、Vol.2は発売直前のようでした。)寺島さんは「面白いかもしれませんね。」と言っていました。
岩浪さんはレコード・レビューについて、誉めるだけではなく反対論も入れないとダメと強調していました。寺島さんによると岩浪さんが久々に興奮しているとのことでした。岩浪さんは「対レコード会社との関係性はあるのか?広告とレコード・レビューがつながっていない今がそういうことをするチャンス。」と強弁していましたよ。スイングジャーナルの編集長をやっていた岩浪さんにも色々思うところはあるようですね。
レコード・レビューに点数(星)を付けなくなったのは、点数が形骸化していて読者もあてにしていないからとのことでした。
寺島さんは新しい筆者が面白いと言っていました。中野俊成さんはシニカルだけれどいいとのことでした。大西順子評(『バロック』)がいいと言っていました。中野さんは番組を何本もかかえる人気放送作家です。中野さんについては私のほうが先に目を付けていましたよ~っだ。中野さんのサイトについては以前ブログで紹介しました。
中野さんのジャズサイト:「FOOL STRUTTIN'」
寺島さんは中山康樹さんの文章も読んだらいいと思ったそうで、「チック・コリア評(『フォーエヴァー』)のラストに《アルマンドのルンバ》がいい曲だと書いているのがいい。」と言っていました。「ジャズはメロディー(テーマ)で聴け。」と言っている寺島さんとしては中山さんが「曲がいい」と書いていたところが良かったみたいです(笑)。
今度のコラムに中山さんがエロジャケの話を書いていると三森さんが言ったら、寺島さんは急に怒り出し(笑っていましたが)、「正論を言うのは大嫌い。何言ってんだあのバカは。男ならジャケットに色気を求めるのは当然だ。」など、凄いけんまくでした(笑)。三森さんは中山さんはこういう趣旨のことを言っているとフォローしていましたが、聞く耳を持たない寺島さん。この時点で寺島さんは中山さんのコラムを読んでいなかったので「まだ読んでいないから。」と断ってはいましたが、かなり反発していましたよ(笑)。あまりにベタな展開に私は笑ってしまいました。エロジャケついては言いつくされたネタだと思う私なので、中山さんのコラムには今更感がありました。でも、言いつくされたこと(アルバム)を新しい視点で評論することが大事と考えるる中山さんからすれば自然な成り行きかも?新しい視点があったかどうかは読者の皆様の判断にお任せします(笑)。
ということでやっと曲をかけます。
寺島さんの選曲。ブライアン・ピパー・トリオで前述の《アルマンドのルンバ》。
寺島さん好みのラテンタッチのピアノ・トリオでした。
三森さんはフリー・ジャスが好きだったそうです。スイングジャーナル社の入社試験の小論文がアルバート・アイラーだったそうで、そんなことを書いたから落ちるかと思ったら受かったらしいです。そこから好みは変わるという話へ。90年頃にジュリー・ロンドンを聴いた三森さんは、ロンドンの全ての雰囲気に参ってしまったとか。それを聞いた寺島さんは「ロンドンは人工的な色気、大理石っぽくてダメ。」と言っていました。いつも寺島さんは嫌いなものを大理石に喩えますね。硬くて冷たい雰囲気のものがお嫌いのようです。三森さんによると、ジャズ評論家は皆ロンドンをダメと言ったそうです。
ジュリー・ロンドンの《クライ・ミー・ア・リバー》をかけます。
三森さんはギターも好きなのでこれを選曲。寺島さんによると定番曲らしいです。
三森さんはフリー・ジャズもたまには聴くそうです。オーディオもそれなりに好きで、最近JBLのスピーカー”4492”を買ったという話からオーディオ話へ。アーチー・シェップでスピーカーをエージングしているんだそうです。三森さんが「4492は管も良く鳴らしつつ弦も良く鳴る。」なんて言うと、寺島さんから「どっちも良く鳴るのはどっちも良く鳴っていないとも言えませんか?どっちかが良く鳴るようでないとダメだと思うんですよ。」といつものジャズ・オーディオ論がありました。寺島さんはバランス感覚を良しとしないので、オーディオも偏ってしまいます。だから私はそんな寺島さんのオーディオは邪道だと思っています。
ここで「JaZZ JAPAN」の売れ行きの話へ。1回の刷り部数は1万5千部だそうで、同種の雑誌ではこんなに多く刷っているのはないとのことです。返品率を下げるように努力しているとのこと。1号の売れ行きは良いそうで、HMVの通販とかは売り切れたなんて話をしていました。寺島さんは「1号は売れて当然だけれど、問題は2号、3号。」と言っていました。1号はご祝儀相場というのがありますから、本当の売れ行きは2号、3号ではっきりすると私も思います。さて、3号も発売された今、その結果はどうなんでしょう?
寺島レコードも3年目に入り順調に売り上げが落ちてきたとか。岩浪さんはその要因の1つはマンネリ化だろうと、寺島さんはあきられる側面があると、言っていました。最近の新機軸は寺島レコードインポートのマーカス・シェルビー『ザ・ソフィスティケイト』とバリー・ハリス『イン・スペイン』なんでしょうね。
他に誰が好きかという話になり、三森さんはアーチー・シェップやアルバート・アイラーは番組に配慮して遠慮したということで、エリック・ドルフィーをかけることに。《ファイアー・ワルツ》です。寺島さんはドルフィーが嫌いなので異例?
寺島さんによると当時ジャズ喫茶でよくかかったそうです。「聴いていて厳しい。これだけいななかれると。ドルフィーのことを馬のいななきとはよく言ったものだ。」とご不満のようでした。寺島さんはオーネット・コールマンのほうが聴けるそうです。「オーネット・コールマンよりエリック・ドルフィーのほうが素晴らしい。」と岩浪さんが言っておりました。その後、岩浪さんのドルフィー論が出ると、寺島さんはわかりましたからもういいという感じで次の話題へ(笑)。まっ、いつものお2人の持論です。
「JaZZ JAPAN」について、ここまでのところあまり裏話はありませんでしたね。
この後は岩浪さんの興味深い意見といつもの山中千尋さん話が(笑)。
久しぶりに山中さん話で盛り上がりました。当然山中さんの新譜もかけますよ!
続きをお楽しみに!
*
本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバードの
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」を
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。
PCM放送は来年8月で終了なので、もうひとつのサービス「スペースディーヴァ」
のほうが良いかもしれません。
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コメント
いっきさん、こんばんは。お久しぶりブリ〜〜。
『JaZZ JAPAN』1号目のの刷り部数15,000部は、広告も入っていないしキビシイ〜数字ですね。
これならジャズ本新書版、初版7,000部の方がいいかも?
続けて行くのが難しいのが、見えてしまいますね。
やっぱり誰に読んで貰いたいのか?ハッキリしないなぁ〜(笑)。
ジャズの雑誌もCDも、ジャズファンの中のまたその一部の人しか買わなくなっているんだよね。
まぁ、ジャズに律義な人たちとでも言いましょうか・・・。
読みたい今のことが入っていないが、問題なんだよね。
投稿: tommy | 2010年11月 3日 (水) 23時37分
tommyさん
こんばんは。ほんとお久しぶりです(笑)。
>『JaZZ JAPAN』1号目のの刷り部数15,000部は、広告も入っていないしキビシイ〜数字ですね。
私もそう思いました。
頑張って続けていってほしいところです。
>やっぱり誰に読んで貰いたいのか?ハッキリしないなぁ〜(笑)。
色々な人に読んでもらいたいというのがそうさせるんでしょうね。
この路線はなかなか大変だと思います。
>ジャズの雑誌もCDも、ジャズファンの中のまたその一部の人しか買わなくなっているんだよね。
多くはにわかジャズファンです(笑)。
>まぁ、ジャズに律義な人たちとでも言いましょうか・・・。
その人達こそがジャズファンです(笑)。
>読みたい今のことが入っていないが、問題なんだよね。
人により読みたいことが多種多様なのが現代です。
それらを網羅するのは難しいでしょうね。
私は今月発刊の「ジャズ・パースペクティブ」に既に浮気ぎみです(笑)。
投稿: いっき | 2010年11月 3日 (水) 23時52分