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2010年11月

廃盤/レア盤の1枚。結構お気に入り。

ディスクユニオンお茶の水ジャズ館移転セールで買った1枚。
「幻のCD廃盤/レア盤掘り起こしコレクション」に掲載されています。
この手の廃盤CDは普段買わないことにしているのですが、
25%OFFならということで買いました。
なぜ上記の本に掲載されている廃盤CDを買わないかと言えば、
ほとんどのものは内容が大して良くないからです。

P158 パトリック・ボーマン・セブン・ピース・マシン『pb7』(1999年rec. arietta DISCS)です。メンバーは、パトリック・ボーマン(b)、マグナス・ブルー(tp)、カール・マーティン・アンクヴィスト(ts,a-fl)、パー・”テキサス”・ヨハンソン(ts,cl,b-cl,contra bass-cl)、グナー・バーグステン(bs,fl)、ペーター・ノーダール(p)、イェスパー・クヴィバーグ(ds)、アルーン・フィリ(speaker)です。

これはディスクユニオンに再入荷?(2005年)した時に宣伝文を読んで買おうと思ったのに、買うタイミングを逸したらすぐに廃盤になってしまいました。レア本に掲載され値段が上がってしまうと、もう買う気にはなりませんでした。今回見たら値段は通常CDくらいで、25%OFFだったので買うことにしました。

メンバーがいいですよね。「アトミック」の硬派トランペッターのマグナス・ブルー、私が紹介した北欧ものにも登場するカール・マーティン・アンクビスト、後藤雅洋さん著「ジャズ選曲指南」(私のおすすめ本)コンプリート蒐集の最後のアルバムのリーダーであるパー・”テキサス”・ヨハンソン。魅力的です。

ジャケットは何か危ない感じなのですが中身は正統派バップ。4管の熱いアンサンブルを生かしつつ、各人のソロもきちんと聴かせてくれます。曲は全てボーマンが作曲しています。フリー系尖がり度はかなり低目。ちょっとレイジーなムード漂う懐かしサウンドを基調にジャズロックもあります。こういうサウンドを北欧の現代ジャズマンがやる面白さ。MOONKSが推薦するだけあってクラブジャズ方面にも受けそうな内容ですね。

バリトン・サックスがサウンド的にはかなり効いていて、”バリバリ”とソロをとる場面もあります。フルートの優しいアンサンブルがあったり、クラリネットやバスクラが良いアクセントになっている曲があったりと、サウンドもバラエティーに富んでいます。ブルーの逞しいトランペット・ソロも聴き応え十分。そして全編に渡ってノーダールのピアノが美しく快適。聴きどころは色々あるんじゃないでしょうか。

面白いのは最初と最後。まず冒頭にレコードの”プチッパチッ(溝でないところに乗せた針が溝に入る音をちゃんと入れてあります)”というスクラッチノイズが入っているので、一瞬「あれ、レコードをかけたっけ?」と錯覚します。最後はライブのように演奏しながらボーマンがメンバーを紹介します。更に演奏が終わるとまたレコードのスクラッチノイズ、ちゃんとレコード再内周の繰り返し”プチッ”音で終わっています。凝った演出がこの人達らしいと思います。

尖がり度控えめなのが誰にでもオススメできるところです。
演奏のクオリティーはしっかりしていて、現代的なセンスも感じられます。
北欧のバップ・ジャズは良いものが多いと思う私。
普通の価格で再発されるといいんですけどね~。

アルバム名:『pb7』
メンバー:
PATRIK BOMAN(b)
MAGNUS BROO(tp)
KARL MARTIN ALMQVIST(ts,as)
PER TEXAS JOHANSSON(ts,cl,bcl,cbcl)
GUNNNAR BERGSTEN(bs,fl)
PETER NORDAHL(p)
JESPER KVIBERG(ds)
AROON PHIRI(speaker)

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キャスパー・トランバーグさんの映像。

風邪をひいたようなので、今日は調子がいまいち。

ブログはそれなりに更新します(笑)。

一昨日CDをプレゼントしてもらったキャスパー・トランバーグさんの映像。

トランペットを吹いている人です。

いいやつでしょ?

コペンハーゲン・ジャズ・フェスティバル2010。

マルク・デュクレ・クインテット。

かなりカッコいいぞ!

こちらにも参加していますね。

詩を朗読をしているオッサン(笑)。

なかなかいい感じじゃないでしょうか。

色々な音楽をやっていますね。

プレゼントしてもらったCDはこれ、『パノラマ』。

クインテットでの演奏。

サックスはヤコブ・ダイネセン、ピアノは南博です。

P157_2

では、早めに寝ます。おやすみなさい。

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「デン・ジャップ・サウンド・アンサンブルvol.1」を観てきました。

昨日甲府「桜座」で観た「デン・ジャップ・サウンド・アンサンブルvol.1」はとても楽しかったです。グループ名の「デン」=デンマーク、「ジャップ」=ジャパニーズ、つまりデンマーク人と日本人のグループなのです。

P152_3

P154_2 メンバーは、キャスパー・トランバーグ(tp)、ハンス・ウルリク(ts,fl)、水谷浩章(el-b)、外山明(ds)、加藤崇之(el-g)です。デンマーク勢をフロントに据え、リズムは日本勢で固めています。私、キャスパー・トランバーグさんと加藤崇之さんは聴いたことがないので、今回が初めての体験ということになります。

ライブが始まるまで、NPOの方としばし歓談。来週12/3、4に「桜座」でやる「昭和ロマンス物語2DAYS、キャバレー再現!」の話を少々。昨年から始まったそうですが、毎年恒例企画にしたいそうです。自民党政権時(昨年)付いた補助金は民主党政権になりカットとのこと。ツライ。12/3(金)には舞鶴(まずる)さんのショーがあり、その舞鶴さんはアルトサックスの林栄一さんの奥さんだということを聞きました。舞鶴さんはキャバレー歌手だったそうです。そう言えば林さんのアルバムに『MAZURU』というアルバムがあり、《MAZURU》というオーネットのプライム・タイム・バンドな曲もありましたね。ナットク。今度のステージでバックを務めるのは林さんじゃなくて早坂紗知さんです!旦那の永田利樹さんも来ますね。観に行こうかな~。歓談の場で長野からはるばるいらした外山さんファンの女性ともお話をさせていただきました。

P155 舞台はこんな感じ、向かって左はギター、机の上にはエフェクターから鳴りものまで、中央左寄りにサックスとトランペット、中央右寄りにはベース、右がドラムス。ドラムスは長いバスドラとシンバル、タムを密集水平配置した独特のセッティング。ギターとドラムスのセッティングを見ただけで、これは何かやってくれそうだという期待が高まります。

静かに5人が登場して1曲目。ちょっと抽象的なテーマが始まったので「らしいな~。」と思いました。外山さんは椅子に座らず中腰でドラムを演奏。これを見て思い出しました。甲府ジャズストリートの「渋谷毅オーケストラ」のドラムが外山さんだったことを。そうか~、いつもこういうスタイルで演奏していたんですね。普通のドラムの叩き方ではなく、パーカッション的でパルス的なリズムは正に現代ドラマー。

演奏後トランバーグさんのMCで、次の曲はアメリカのフェイマス・ミュージシャンに捧げるとのこと。誰かと思ったらビル・ディクソンでした。ディクソンは「ジャズの10月革命」首謀者としてフリージャズ好きには有名な人です。トランバーグさんと同じトランペッター。今年6月に亡くなったので捧げたのでしょう。テナーとドラムの緊張感ありつつ駆け引きが楽しいデュオから始まり、フリー・インプロビゼーションを主体とした曲。トランバーグさんの力強くケレンのないソロが素敵でした。

3曲目に入る前に、今度はウルリクさんのMC。前の曲がサッドネスでダークなんで次はハッピーな曲とのこと。ウルリクさんがフルートでテーマを奏でるホンワカな雰囲気の曲で、ウルリクさんらしいと思いました。で途中からはギターとドラムで丁々発止な展開へ。ロックなギターと自由なドラミングが炸裂しました。4曲目はベースソロから始まるのんびりした感じのいい曲で、水谷さんのフレットレスベースから発せられる大きなグルーヴに酔いしれました。ウルリクさんのおおらかなテナーも良かったです。

5曲目はトランペットとテナーのアンサンブルでテーマをやったあと、ギター、ベース、ドラムのトリオへ。怪しい場末感漂うギターが良かったです。3人の一体感もなかなかのもの。6曲目が始まる前にトランバーグさんのMC。海にいるプランクトンは何を食べますか?という問いがあり、皆さんが色々回答したが正解なし。トランバーグさんの答えは「サン(太陽光)」。なるほど植物プランクトンの話ね、と皆さん納得(笑)。ギターをメインとした曲で、加藤さんがエフェクター他総動員して盛りあげていました。1部はここまで。

テーマーはあるけれどアドリブを主体にした構成で、フリーな部分もありますが決して緊張感ばかり強いるものでありませんでした。それより個々のしなやかな音楽性と、楽しみながらやっている感じがそこかしこに見て取れて、聴いているほうも自然に音楽に馴染める感じが良かったです。強烈なインパクトはないですが、じわじわと音楽に惹きこまれる感じが私は気に入りました。

真摯にトランペットを吹き鳴らし、色々なミュートを使い分けてサウンドに表情を付けるトランバーグさん、激しく吹いてもホンワカ感を保っている癒し系テナー&フルートのウルリクさん、ギター&エフェクトを駆使しておもちゃと戯れる子供のように色々な音でサウンドを演出するギター職人加藤さん、笑みを浮かべて始終全体を見守りながら演奏をリードし、繊細なバッキングから大きなグルーヴまでを行き来する水谷さん、演奏の流れを読み、瞬時に柔軟で強靭なリズムを繰り出す外山さん、5人のしなやかな感性がクリエイティブで心地よいサウンドを生み出していました。

ギターの加藤さんとベースの水谷さんは楽譜を見ながら演奏していました。今回はパートタイムのセッショングループなので楽譜は必要です。楽譜を見ていたからといって演奏がつまらないものになっていてわけではないですよ。ルールには従いつつ加藤さんと水谷さんらしい柔軟な演奏をしていました。

P156_2 休憩時間にはトランバーグさんがCD売り場で自分のCDをお客さんにPRしていました。サインにも丁寧に応えていましたよ。それを眺めていた私はその人柄に感心。真面目に話しているんだけれど、なんとなく不思議チャンなノリのトランバーグさんのMCにも妙に親しみが湧きました。いいやつだな~(笑)。

外山さんのドラムス・セッティング写真も掲載しておきます。

2部はクラシカルなトランペットとテナーの長閑なアンサンブルから始まりました。トランペットとテナーのソロを大きくフィーチャ。2曲目はコスモス/ユニバース(宇宙)をテーマにした曲。神秘的で幽玄な感じの曲で、ミュート・トランペットとフルートの演奏が良かったです。この曲でも水谷さんのベースから大きなグルーヴが炸裂。グルーヴが大きくなるに連れアクションも大きくなるので、こういうグルーヴって体全体から発するものなんだな~と思いました。

3曲目はシャドウ、デジャブ、?という3部からなる加藤さんの曲。和なテイストも感じられ、繊細な音響的な場面もありました。外山さんは床のカーペットを靴でこする音も音楽にしていたのが印象的。面白い音響空間が現出していました。4曲目はノリのよいグルーヴする曲で楽しく終了。拍手の中楽屋へ入らす、途中で戻ってきてアンコール曲へ。トランバーグさんの仕切りです。アンコール拍手をしそびれました(笑)。曲はデンマークのトラディショナル。郷愁感の漂うメロディアスなもので、トランバーグさんのトランペットソロを主体にした短いものでした。とても楽しいライブでした。

終了後、通常価格より値引きしてCDを売っていたので見ていると、トランバーグさんがやっきて、休憩時間同様にCDの説明をしてくれました。私は片言英単語で会話(笑)。

ユセフ・ラティーフが参加しているCDの話をしていたら、いきなりトランバーグさんがビニールの封を切って説明し始めるではありませんか!「おいおい、まだ買うって言ってないよ。」と思いました。まっ、半分以上買う気だったんですけどね。10年ぶりくらいにラティーフが録音したらしく、「レアだ。」とトランバーグさん。ラティーフは90歳なんだとか!「封を切っちゃったので買いますよ。」と。もう1枚ロック・ギター参加の1枚を買うことに。3枚で更に値引きになるのですが2枚でいいと言ったら、トランバーグさんがいきなり1枚のCDをつかみ「プレゼント」だと言いだすではありませんか!「トランバーグ君、君はいい人だ!」遠慮なく頂くことに。サンキュー・ベリー・マッチ!m(_ _)m

楽しいライブでした。最後のハプニングに感激。
どこが気に入られたんだろう??

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今日のライブは良かったです。

今日は甲府「桜座」で、フィーチャリング・キャスパー・トランバーグ&ハンス・ウルリク「デン・ジャッブ・サウンド・アンサンブルvol.1」を観てきました。

P152

個性的な5人によるクリエイティブなジャズでした。

フリー・インプロビゼーションもあるのですが難解さは皆無。

自由でしなやかで心地よいサウンドでした。

11月28日(日)には新宿ピットインでラスト講演。

きっと盛り上がるのではないかと思います。

東京周辺にお住まいの方は是非!

キャスパー君(君呼ばわり失礼)は本当にいいやつでした(笑)。

ライブ終了後キャスパー君のCDを買ったのですが、

その時キャスパー君がセールスマンもやっていて、

片言英単語トークをしました(笑)。

ほんといいやつだと思いました。

ライブ中のMC(英語)もホンワカいい味を出していました。

楽しいライブでした。

レポートは明日UPします。

お楽しみに!

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うっかり落札してしまった!

皆さんはありませんか?うっかり落札してしまうこと。

「面白そうだな~。安いなら落札してみようか。」と思い、

どうせ上回る入札があるだろうと安易に入札しておいたら、

落札してしまいました(笑)。

P153_2

FE167+ヒカリ工芸の箱です。

今日、モノが届きました。

箱はなかなかしっかりしています。

写真では外してありますがサランネットも付いています。

ちょっと音を出してみたら左右の音圧レベルがアンバランス(涙)。

まっ、落札価格は箱代+オマケ程度なので、O.K.

さて、どうしたものか?

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1ヵ月半程前に改造したこちらの調子が出てきたところなのに。

ちなみにこのFX200、なかなか品の良い音がしています。

さすがは日本製の高級スピーカーといった味わいです。

あ~っ、またサブスピーカーの浮気性が発症(笑)。

一体どこに落ち着くことになるのでしょうか?

色々な選択肢があるので、楽しく悩んでいます。

何事においても、あれこれ思いを巡らしている時が一番楽しい!

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甲府「桜座」にマニアックな面々が来ます!

明後日11月26日(金)、甲府 「桜座」 にマニアックな面々がやって来ます。

キャスパー・トランバーグ(tp)、ハンス・ウルリク(sax)、他の皆さま。

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こういう渋い面々がやってくるところが「桜座」の良さです。

どんなジャズを聴かせてくれるのか?ワクワクしてます。

一般的な知名度はないですが、分かる人には分かるだろう人達。

吉祥寺「サムタイム」、モーションブルー横浜、新宿「ピットイン」。

これらの中に甲府「桜座」が含まれているところが誇らしい(笑)!

私、ハンス・ウルリクのCDは2枚持っています。

キャスパー・トランバーグは南博とデュオをしたり、

現代音楽の武満徹へのオマージュ・アルバムを作ったりしてますね。

ベースの水谷浩章とドラムの外山明は、津上研太(as)「BOZO」のメンバー。

ベースの 水谷さんのホームページ には初日「サムタイム」での演奏が

凄かったなんて書いてあります!

ギターの加藤崇之もネットで検索するとなかなかコアな方みたい。

クリエイティブなジャズが聴けそうです。

ハンス・ウルリクは以下2枚を持っています。なかなか良いです。

ホンワカ!サックス・トリオ。『ティン・パン・エイリアンズ』

コンテンポラリー。『ブルー&パープル』

どちらもセンスの良いジャズを聴かせてくれます。

「BOZO」も面白いサウンドです。『デュエンデ』

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バンキー・グリーン頑張る!

新譜紹介です。
御大と共演するとこうも演奏に力が漲るのものなんでしょうか?

P151 ルドレシュ・マハンサッパ&バンキー・グリーン『アペックス』(2010年rec. PI RECORDINGS)です。メンバーは、ルドレシュ・マハンサッパ(as)、バンキー・グリーン(as)、ジェイソン・モラン(p)、フランソワ・ムタン(b)、ジャック・ディジョネット(ds)、デミオン・リード(ds)です。75歳になる御大バンキー・グリーンと最近メキメキと頭角をあらわしてきたマハンサッパの共演盤。

勢いに溢れています。やっぱり大先輩との共演は燃えるんでしょうね。マハンサッパがいつになく活き活きとしているのが分かります。グリーンも歳のことなんか忘れて若者に挑んでいってますね(笑)。こういう共演がジャズ魂を受け継いでいくのです。ちょっと大袈裟(笑)?ジャック・ディジョネットが4曲に参加しているのが珍しいところ。こういうメンツとやるとは思っていませんでした。ディジョネットも気合い入りまくりで熱いです。

他のメンバーも精鋭揃い。ピアノのモランは自身のトリオやチャールス・ロイドのカルテットなどで活躍する独特のセンスを持つ注目ピアニスト。ベースのムタンは自身のムタン・リユニオン・カルテットをはじめとして最近やたら色んなところに名前をみかける強靭ベーシスト。とうとうマンハッタン・ジャズ・クインテットにまで加入しちゃいました(笑)。ドラムのリードはロバート・グラスパーのトリオでドラムを叩いていた典型的な現代ビート感覚のドラマー。ディジョネットとの対比が面白いです。といった具合で抜かりなしの布陣。

マハンサッパについては、幾何学的でアブストラクトなソロがちょっと苦手なのですが、今回はグリーンが参加してそれが薄まっている感じなので、私にはちょうど良いです。以前ブログで紹介したスティーヴ・リーマンとの共演アルバム「デュアル・アイデンティティ」を買ったのも似たような理由です(笑)。

グリーンについては数年前に出たアルバム『アナザー・プレイス』が気にいったので、注目するようになりました。60年代から活躍するバッパー。その『アナザ・プレイス』はスティーヴ・コールマン(as)がプロデュースをしていて、レーベルがラベル・ブルーという異色作。ジェイソン・モラン(p)とロニー・プラキシコ(b)とナシート・ウェイツ(ds)のトリオがバックを固めるという強力アルバムでした。

全10曲中5曲がマハンサッパで5曲がグリーンの作。前半はマハンサッパの曲で、後半はグリーンの曲。グリーンがマハンサッパの曲に合わせた感じの曲を挟むので流れとしてはスムーズにつながっています。お互いに1曲づつ自分の得意な曲でワン・ホーン・カルテット演奏も披露。

マハンサッパ・カルテットの《プレイング・ウィズ・ストーンズ》はインド~中近東なメロディで変拍子。幾何学的なフレーズで少々つんのめり気味に前へ前へと推進するマハンサッパの勢い溢れるソロが聴けます。随所に切れ込むモランのピアノも聴きどころ。一方グリーン・カルテットの《リトル・ガール・アイアル・ミス・ユー》は名バラード曲。グリーンの切ない哀愁アルトが聴けます。吹き方自体はかなりアグレッシブなのでズジリと胸にきますよ。

ディジョネットは最初の2曲とラストの2曲で叩いています。シンバルとスネア基調の俊敏な4ビートはさすがの一言。もう68歳なのに衰えない人ですよね。残り6曲を叩くのはリード。バスドラ、スネア、シンバルのからみでパーカッション的な現代感覚のビートです。とにかく手数が多いし、足数(バスドラ)も多いのでかなりのパワーになります。ちょっと叩きすぎかもしませんが、私的にはO.K.このドラムのパワーに全然負けていないマハンサッパとグリーンにも脱帽。

リードはグリーンのバックとマハンサッパのバックではビートを変えて叩いているのが面白いです。グリーンのバックでは比較的オーソドックスな4ビートなのに、マハンサッパのバックではパルス的で比較的フリーなビートに変わります。これはそれぞれのビート感覚に合わせているものと思われます。

マハンサッパ作の《フー》は強力です。自由度が高めの高速4ビートに乗って、マハンサッパとグリーンが壮絶なソロを展開。幾何学的なソロVSファナティックなソロ。お互い負けじと吹きあう姿が浮かんできて微笑ましいです。「おやっさん聴いてくれー。」なマハンサッパと「まだまだ若いもんにゃ負けん。」なグリーン(笑)。グリーン作の《レイナー・アンド・セリシア》はバラード対決。セツネ~美曲でのグリーンは貫録の吹奏。マハンサッパもグリグリとエグく辛口のバラードを展開。ここでも両者譲りません(笑)。

時々フリーにも突入しつつ独特の美意識を感じさせる冴えたピアノを弾くモラン。どんなビートでも常に強靭にして存在感を感じさせるベースを弾くムタン。2人の好演も印象的です。

隠しトラックがあります!10曲目が終わって30秒くらいたつともう1曲始まります。これがまたカッコいいのですよ!ディジョネットのドラムだけをバックにマハンサッパが高速4ビートでパワフルかつキレキレなソロを披露。こういうオマケなら大歓迎です。

今回のアルト対決。グリーンも頑張っていますが、それを上回る勢いで弾けているマハンサッパに軍配が上がると思います。聴きどころ満載の楽しいアルバム。

アルバム名:『APEX』
メンバー:
Rudresh Mahanthappa(as: left channel, all tracks except 7)
Bunky Green(as: right channel, all tracks except 4)
Jason Moran(p), Francois Moutin(b)
Jack DeJohnette(ds on 1, 2, 9 & 10)
Damion Reid(ds on 3, 4, 5, 6, 7 & 8)

バンキー・グリーンのこれもお薦めです。

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ジャズ雑誌「JAZZ PERSPECTIVE」が届いた。

新刊ジャズ雑誌「JAZZ PERSPECTIVE」が昨日届きました。
11/24発売のはすですが、Amazonで買ったら昨日届いたのです。

ディスクユニオンが発行しています。
http://diskunion.net/jazz/ct/detail/JZ101025-53

一目見た印象は?
表紙がジャズ雑誌とは思えない風合い。
結構薄い(130ページ)。

P149_2

表紙はファッション誌ですね。
なかなか良い感じだと思います。
全ページの紙質は良いです。
130ページで¥1,000というのも紙質のせいだと思います。
広告も少ないですしね。
雑誌自体がディスクユニオンの広告?

紙面の構成もスッキリ品の良い感じです。

P150

文字は小さいです。オジサンには辛い(笑)。

内容はというと、いかにもディスクユニオン。
ディスクユニオンで積極的に紹介しているものが話題の中心です。
編集長はディスクユニオンの山本隆さんですからね。

創刊の辞で”紙の本”への拘りが書いてありますが、
内容もCDやレコードへの拘りが強く感じられます。
ジャズの中古レコードや廃盤を売っているディスクユニオンならではです。
ジャーナリズムというよりは趣味の視点で編集されていると思います。

ちょっときついことを言うとディスクユニオンの販促本かな~。
ディスクユニオン情報でCDを買っている私にとっては良い本です。
私の場合、買うのはAmazonでありHMVですけどね(笑)。
地方在住なのでご勘弁!

ディスクユニオンの宣伝にあった「画期的、スタイリッシュなジャズ漫画」
見ましたが、( ̄◆ ̄;)

早速有効活用!
北欧ジャズマンのカタカナ表記で困っていたのですが、
この本を読んでブログの表記をだいぶ修正できました(笑)。

「DENONで聴くオリジナル!」なんてオーディオ記事も。
田中伊佐資さんが書いています。
裏表紙はDENONの広告でした。

他の広告はjazzyell、JAZZHEAD、澤野工房、ガッツプロダクションなど、
とことんディスクユニオンですね(笑)。

良くも悪くもディスクユニオン界隈のジャズファン向けニッチな雑誌。
これはこれでコンセプトがはっきりしていて良いと思いました。

興味のある方は是非一度目をとおしてみて下さいな。m(_ _)m

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tommyさんのクロッキーは上手だな~。

最近ジャズ友tommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'eを見ていると、

ジャズ聴きについて色々考察されていて、

なるほどな~と思いつつも、よく分からなかったりします(笑)。

まっ、世の中、良く分からない部分があるから面白いわけです。

それはさておくとして、

「クロッキーに挑戦、山手線ひと回り」

を見て感動しました!って大袈裟な(笑)。

tommyさんのクロッキーの上手さにです。

「あ~っ、私にもこんな絵の才能があったら楽しいだろうな~。」

という羨望の思い。

今更ながらtommyさんにリスペクト!

センス、アートね~。

私の場合はセンスとかアートとかじゃなくて、

思い込んだら猪突猛進(笑)??ワッハッハ!

私にも何か才能はあるとかなぐさめないでねっ。

そんなことはどうでも良いのです。

周りには個性豊かなお友達がいるのでそれが楽しいのです。

ジャズ友 じゃこのめ さんの 「2011年じゃこのめ年賀状」 も気になります。

じゃこのめさんはグラフィック・デザイナー。

今年いただいた年賀状はカッコ良かったです。

で、私がじゃこのめさんに送った年賀状は何の変哲もない普通のやつ。

トホホホホッ(涙)。

そう言えば、12月にジャコの単行本が出るってツイートがありましたね。

タイトルが『ジャコ・パストリアス ワード・オブ・マウス 魂の言葉』。

元アドリブ誌編集長:松下佳男さんの本とのこと。

気になる本ですね~。

というわけで今日はジャズ友ブログの記事をネタに遊んでみました。

tommyさん、じゃこのめさん、勝手にネタにしてしまいました。m(_ _)m

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今日はトロンボーン!

なぜか時々トロンボーンの音が聴きたくなります。
ということで目にとまった(耳にとまった?)のがこの新譜。

P148 マイケル・デュース『グレイス』(2009年rec. Jazz Legacy Productions)です。メンバーはマイケル・デュース(tb,valve-tb,ts,ss)、サイラス・チェスナット(p)、ルーファス・リード(b)、ジーン・ジャクソン(ds)が基本。ゲストとしてクラウディオ・ロディティ(flh)、ロイ・ハーグローブ(tp,flh)、シャリル・キャシティ(alto-fl,as)、エリック・アレキサンダー(ts)、マーク・ホイットフィールド(ac-g)、ヨタム(sc-g,el-g)、ロジャー・スキテロ&サークル・リズム(per)、他が参加。

マイケル・デュース、初めて聞く名前です。ディスクユニオンの宣伝文によるとグラミー賞を受賞したことがあるんだとか。なかなかのテクニシャンです。テクニシャンだからと言って飛ばす演奏だけではなく、スローバラードでは甘いトロンボーンも聴かせてくれます。ホンワカ・トロンボーン&テクニカル・トロンボーンの両方が楽しめるのでお得ですよ。

メイン楽器のトロンボーンの他、ヴァルブトロンボーンは軽い味付けとして1曲で使用。テナーサックスとソプラノサックスは各1曲ずつかなりのソロを聴かせてくれます。デュースはなかなかの才人。サイラス・チェスナット以下共演メンバーは豪華ですよね。

1曲目《DISCUSSAO》はジョビンの曲。ゆったりいい雰囲気でボサノバを奏でてくれます。続くホイットフィールドのギター、ロディティのフリューゲルホーンも心地よいソロですね。これは軟弱アルバムなの?と思っていると、2曲目マッコイの《ブルース・オン・ザ・コーナー》で、熱いブルースを展開します。ここでのエリック・アレキサンダーがまた熱いんですよ。かなりコルトレーン化しちゃってます(笑)。この人最近コルトレーン度が増してませんか?チェスナットのブルージな演奏も素敵です。

3曲目はヴィックス・ヴァイダーベックの《イン・ア・ミスト》。ちょっとレトロな曲調を生かし落ち着いた雰囲気で聴かせます。ハーグローブのフリューゲルホーンとのマッチングはトロトロですね。テンポのチェンジを効果的に使います。2曲以外はデュースとジョン・リーのアレンジです。4曲目はランディー・ブレッカーの《アイ・トーク・トゥ・ザ・ツリーズ》。アフリカンなリズムアレンジのコンテンポラリー曲で、ホーン陣が加わった豪華な演奏です。デュースは色々なタイプのジャズをこなします。チェスナットのピアノ・ソロが美しい!トロンボーン・ソロは力強く優雅に空を舞うが如し。かなりカッコいいです。

5曲目はマイルスの《フォー》。しっとりバラード演奏です。これいい曲ですよね。チェスナットのピアノ・ソロはここでもやっぱり美しいです。続くテナー・ソロ。てっきりエリックの堂々バラード・ソロだと思っていたら、何とこれがデュースなのでした!ハーグローブのフリューゲルホーンもしっとりと。ラストにトロンボーンが登場。テナーのことなど素知らぬ顔で甘いソロを展開。う~ん、染みるな~。

6曲目はピーターソンの《ティッピン’》。アップテンポでかっ飛びバップ。ここでのトロンボーン・ソロが凄いのです。素晴らしい速さとスムースネスでトロンボーンを軽やかに疾走させます。このテクニックには脱帽!続くチェスナットも負けじとピーターソンばりにガンガン飛ばします。途中クラスター系の音塊を繰り出してノリノリ。次はハーグローブのフリューゲルホーンのソロですが、デュースのトロンボーンのほうが饒舌に感じるくらいなので参ります。

ここまでで半分。後半戦はイヴァン・リンスの曲でのボサノバ/フュージョンあり、コルトレーンのメカニカルなコード進行曲《26-2》をアップテンポで難なくやっつけたり(まるでスキーの回転競技でもやっているかのようなスピード感)、この曲ではチェスナットのソロも秀逸、軽快でジャジーな自作曲も1曲披露し、ラストのミルトン・ナシメントの《ソルト・ソング》ではソプラノ・サックスも快演。以上全12曲はなかなかの満腹感なのでした。

多彩なゲストを迎えデュースのトロンボーンがたっぷり満喫できるなかなか楽しいアルバムに仕上がっていました。

余談ですが、CDケースが特殊です。DVDケースなんですよ。
今ならディスクユニオン通販限定¥1,500。在庫あります。いかがですか?

アルバム名:『GRACE』
メンバー:
Michael Dease(tb,valve-tb,ts,ss)
Cyrus Chestnut(p)
Rufus Reid(b)
Gene Jackson(ds)

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今日は面白ジャケット!

北欧には面白いグループが色々あるんですよ。
今日も北欧のジャズ、いってみよう!
これもディスクユニオンのチラシを見て買った1枚。

P147 ジャズ・カミカゼ『ミッションⅠ』(2005年rec. STUNT RECORDS)です。メンバーは、MARIUS NESET(ts)、DANIEL HEROY DAVYDSEN(el-g)、MORTEN SCHANTZ(p)、KRISTOR BRODSGAARD(b)、ANTON EGER(ds)です。もうカタカナ読みするがのめんどくさいのでそのまま表記します(笑)。誰~も知りません。未知の集団です。デンマークのスタント・レコードから。デンマークのジャズも熱いですね。

グループ名が「ジャズ・カミカゼ」!完全に日本かぶれの若者達です。ジャケットのいかにもアニメ(マンガ)も日本かぶれの証です(笑)。内ジャケットを見るとメンバーの顔をマンガ化しているようです。日章旗を背にゼロ戦に乗っているメンバー。その筋の人が見たら怒りだしそうなデザイン。クワバラクワバラ。こんな若者たちがやっている音楽はパロディー・ジャズ?いえいえ、そんなことはありません。まっとうなジャズでした。

コンテンポラリー(フュージョン)要素も交えた現代バップです。エレクトリックはギターのみ。ピアノもベースもアコースティックに徹していますのでフュージョンという感じは少ないですが、曲は結構コンテンポラリーです。メンバーのオリジナル曲のみをやっています。

テナーはガッツリ吹いてくれるので私的には好印象。なかなか熱い男のようです。ギターはメセニー系ではなくもっとロック寄り、強いて言えばハイラム・ブロックに近い感じなのではないかと思います。ディストーションを聴かせてグイグイ弾く場面もあります。ピアノはきれいなバッキングからガッツリ系まで柔軟にこなせるタイプ。ベースとドラムも8ビートから4ビートまで躍動感を保ちつつ卒なくこなしています。

ナレーション入りの曲があったり、フリーキー~ロッケンローな曲があったり、人力ドラムンベースも取り入れたりと、一筋縄ではいかないグループです。そうは言ってもクセが強い音楽というわけではないのでご安心を。音楽的に面白いと思わせる小技も随所に散りばめられています。なかなかカッコいいやつらです。

グループ名やジャケット・デザインに現れていると思うのですが、堅苦しくジャズをやるのではなく、とても軽やかにジャズをやっています。聴いていると、ジャズ好きな若者達が接してきた音楽を踏まえて自分達なりのジャズをやっているのが分かって好印象です。

私が特に気に入っているところは、最近ありがちな勢いとノリだけでやっているようなジャズではないところです。ちゃんと音楽性が見えてきます。勢いとノリだけでやっていると感じられるジャズが最近チラホラ目につくようになってきて、私としてはちょっと不満です。まっ、そんな話は皆さまには関係ないことだとは思いますが。

「ジャズ・カミカゼ」この後2枚目が輸入された形跡はありません。
これ、ディスクユニオンでは売れなかったんでしょうね。たぶん。
驚き!アフィリがありました。
MP3ダウンロードもありますよ。
買ってあげてね。m(_ _)m

アルバム名:『MISSIONⅠ』
メンバー:
JAZZ KAMIKAZE:
MARIUS NESET(ts)
DANIEL HEROY DAVYDSEN(el-g)
MORTEN SCHANTZ(p)
KRISTOR BRODSGAARD(b)
ANTON EGER(ds)

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ジャケットがカワイイ北欧ジャズ

数年前にディスクユニオンのチラシを見て買った1枚。

結局ディスクユニオンのバイヤー&店員情報を一番参考にしているんですよね。
ジャズ雑誌(の評論)なんてほとんどあてにしてません(笑)。
輸入盤購入の場合はそうならざるを得ないのです。
雑誌から得られる情報は遅いうえに情報量少なすぎです。

ジャズブロガーの皆さんの情報はあてにしていますよ。
ブログの場合は更新が速いので考え方を共有しやすいのがポイント。
雑誌なんて月に1回しか出ないので評者の考え方はなかなか共有できません。
つまりあてにならないということになってしまうわけ。

戯言はこのくらいにしておきましょう(笑)。

P146 マギー・オリン・バンド『ル・スペシアリト』(2004年rec. PROPHONE)です。メンバーは、マギー・オリン(p)、カール・マーティン・アンクヴィスト(ts,ss)、マグナス・ブルー(tp)、P・A・トルーボン(ds)、マティアス・ウェリン(ds)です。オリンはスウェーデンの実力派ピアニストとのことで女性です。ジャケットの女の子のイラストがカワイイですよね。演奏のほうはこんなにかわいくないです(笑)。

私はトランペットのブルー買い。ブルーはご存じの通りノルウェーの硬派ジャズグループ「アトミック」のトランペッターです。ブルーのガッツあふれるトランペットが聴きたかったのです。サックスのアンクヴィストは西山瞳さんの『ヒトミ・ニシヤマ・イン・ストックホルム』にも参加していました。グループとしてはオーソドックスな現代バップ・クインテット。曲は全てオリンのオリジナルでモーダルなものです。

オリンのピアノはマッコイ・タイナー風の結構ガッチリしたもので、スピリチュアルな響きも感じられます。速弾きを売りにしているわけではなく、逞しい音をガッチリ弾いていきます。ブルーは期待通りのストレートで力強いプレーをしていますね。上記のようなサウンドなので、サックスのアンクヴィストは当然コルトレーン系で盛り上がってくると”ブリブリ”痛快に吹いてくれます。ベースとドラムも必要にして十分。しっかりサポートしています。

速いテンポの曲からゆっくりしたテンポの曲までありますが、ミドルテンポでカッチリとした構成の演奏が多めです。曲は甘さ控えめでちょっと重さと暗さを含んだ調子のものばかり。北欧のグレーの空(見たことはありませんが)という風情。イタリアのあっけらかんとしたバップ・サウンドとは好対照。私は北欧系の落ち着いた雰囲気のほうが好きです。

一聴地味ですが、何度か聴くうちに味わいが出てくるアルバムだと思います。
ジャケ買いしてもいいですよ(笑)。

アルバム名:『LE SPECIALITE』
メンバー:
Maggi Olin(p)
Karl-Martin Almqvist(ts,ss)
Magnus Brou(tp)
P-A Tollbom(ds)
Matias Welin(b)

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マスメディアにはのらないけれど、面白いジャズはあるのです。

ディスクユニオンのお茶の水ジャズ館移転セールで買った1枚。
お店でPOP(宣伝文)を読んで買いました。当りでした!

P145_2 ザヌッシ・ファイブ『Alborado』(2006年rec. Moserobie Music)です。メンバーは、ペル・ザヌッシ(b,saw)、シェティル・メステル(ts,ss,cl,per)、ロルフ・エリック・ニストローム(as,ss)、アイリク・ヘグダル(bs,ss)、ペル・オッドヴァル・ヨハンセン(ds)です。

リーダーのザヌッシはノルウェーのベーシスト。メステルはノルウェーの硬派ジャズグループ「ザ・コア」の激熱サックス奏者。ヘグダルはトロンハイム・ジャズ・オーケストラのコンポーザー兼プレイヤー。というわけでノルウェーのなかなか強力なメンツが集合しているのです。やっているのはポスト・バップ~フリー・ジャズ。

レーベルがモーズロビーというスウェーデンの硬派レーベルなので、この辺りに詳しい方ならサウンドは察しがつくと思います。ディスクユニオンではここらへんの北欧ジャズを積極的に紹介、輸入しているのですが、マスメディアではなかなか紹介されないので、極一般のジャズファンには馴染みがないでしょうね。今月創刊のジャズ雑誌「JAZZ PERSPECTIVE」ではこのレーベルの紹介記事があるので読んでみて下さい。私も読んでみたいと思っています。

1曲目のアルバムタイトル曲から面白いサウンドです。ソプラノサックス、テナーサックス、バリトンサックスのアンサンブルが中近東風エスニックメロディーを静かに奏でる展開は気持ちを空中へと浮遊させる感じです。途中から3サックスが短いフレーズを自由に交わし、後半はドラムが激しく叩きだして3サックスが怒涛の咆哮。気分が解放されますよ。アレンジとアドリブの有機的な渾然一体感はこのグループならではです。

3管アンサンブルと個々のソロを聴かせるアップテンポのダイナミックな曲、1曲目のようなアンサンブル主体でミステリアスな曲。この手の曲ではザヌッシがソー(のこぎり)を弓で演奏している曲もあり、サックスアンサンブルと見事に融和していてミステリアス度を高めていたりするのが痛快です。サックス、ベース、パーカッションが全く自由に音響的な音を交わすフリー曲もあります。

全11曲で48分強、各3~6分程度の短めの曲が次々と展開していくのは、一連のドラマを見ているようです。音響系フリーの1曲だけが全員の曲、他は全てリーダーのザヌッシが作曲。なかなかの才能を持ったベーシストです。他のメンバーの腕も一流です。よく練られたアンサンブルを主体としつつ、各人の強靭なソロも楽しめるのがこのアルバム。知性と感情のバランス具合が私好みです。

こういうユニークな音楽性を持ったグループはアメリカや日本でもあまり思い浮かびません。こういうグループが出てくる環境が北欧ジャズの面白さです。このようなものを紹介できない日本ジャズのマスメディアやジャーナリズムは、私にとってはやっぱり面白くないということになってしまいます。そういう意味では新刊雑誌「JAZZ PERSPECTIVE」には期待しています。

アルバム名:『Alborado』
メンバー:
PER ZANUSSI(b,saw),
KJETIL MOSTER(ts,ss,cl,per)
ROLF-ERIK NYSTROM(as,ss)
EIRIK HEGDAL(bs,ss)
PER ODDVAR JOHANSEN(ds,per)

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これはマニアックだけどなかなか素敵です。

前から探していたアルバム。
ディスクユニオンお茶の水ジャズ館移転セールで買いました。
中古レコード¥400の25%OFFで¥300也(笑)。

P144 デヴィッド・フリーゼン『スター・ダンス』(1976年rec. INNER CITY)です。メンバーは、デヴィッド・フリーゼン(ac-b)、ポール・マッキャンドレス(oboe,english horn)、ジョン・ストーウェル(el-g)、スティーブ・ガッド(ds)です。技巧派ベーシスト、フリーゼンの初リーダーアルバム。

故油井正一さん著「ジャズ・ベスト・レコード・コレクション」に掲載されていたアルバムです。油井さんの評は「ウッド・ベースの技術も出つくしたかと思われていたが、デヴィッド・フリーゼンの出現で新たな可能性が開かれた。このデビュー盤は全曲オリジナル作品から成っており、単なるテクニックだけではない、彼の音楽性の深さを示しているというという点で、傾聴に値するアルバムである。」でした。油井さんならではのちょっと硬い文章ですよね(笑)。

メンバーが面白いです。「オレゴン」のマッキャンドレスに「スタッフ」のガッドとは異色な組み合わせだと思います。ピアノレスのギター入りカルテットで一体どんなサウンドになっているのか気になっていました。

ベースはアコースティック・ベースのみを弾いています。フリーゼンのベース・ソロ演奏は雰囲気的にブライアン・ブロンバーグの低音シリーズ似。でもブロンバーグよりはアーティスティックです。ブロンバーグの25年くらい前にやっていたんだから当時としてはかなり斬新だったと思います。アーティスティックという意味ではミロスラフ・ヴィトウスにも近いです。弓弾き(アルコ)もやっていてヴィトウスを意識させます。ソロで4曲演奏。一部多重録音も使用しています。

マッキャンドレスがオーボエを吹いている8ビートの曲では「オレゴン」の雰囲気が濃厚。ナチュラルで爽やかなサウンドになっています。オレゴンの編成と同じということもありますし、フリーゼンの曲自体が「オレゴン」に似ています。

サンバ調リズムの曲はチック・コリアの『フレンズ』収録《サンバ・ソング》のようにも聴こえます。ガッドお得意のカウベルも飛び出して思わずニンマリ。スパニッシュな曲もチック系。ギターとのデュオはフォーク系で尖がり度控えめなのがグッド。オーボエとのデュオは室内楽風。色々あるので楽しめます。

ガッドのドラムが結構気合が入っていて聴きどころになっています。フリーゼンのベースとガッドのドラムで丁々発止のデュオをしている曲は私のお気に入り。こんな熱いガッドは他ではなかなか聴けません。このアルバムでのガッドはかなりいいいです。全編フリーゼンの息遣いが聴こえる録音はなかなかの鮮度です。フリーゼンの息遣いはかなりのカッコ良さ。息遣いまでもが音楽になっています。

ジャズを色々聴いてきたマニア向けのアルバムなのかもしれません。メンバーについての予備知識があれば楽しく聴けると思うのです。かと言ってジャズをそれほど聴いたことがない人が聴いても全く問題はありません。きっと新鮮なサウンドなのではないかと思います。興味を持った方は是非聴いてほしいアルバムです。

CDもあります。
ゲゲッ、こんなにマニアックなのにMP3ダウンロードもあります!

アルバム名:『Star Dance』
メンバー:
David Frisen(ac-b)
Paul McCandless(oboe,english horn)
Jhon Stowell(el-g)
Steve Gadd(ds)

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ウェザー・リポート!

『ウェザー・リポート』。

ジャズを聴き始めて、リアルタイムで新譜を買ったウェザーがコレ。

デビュー・アルバムじゃなくて結成から11年目に出たやつです。

次の10年に向けて、グループ名のまま出したアルバムです。

これ、微妙なんですよね~。

ザビヌル、ショーター、ジャコ、アースキンのウェザーは、

前作『ナイト・パッセージ』で頂点に達したわけです。

次がなかなか難しい。

一説によると、たくさん曲が出来たので消化するために出したアルバムとか。

レコードB面(CDの《ダラ・ファクター・ワン》以降)を聴くと、

なんとなく頷けるものがあります。

私はもっぱらレコードA面を聴いていました。

《N.Y.C.》という組曲が好きでした。

街の喧騒を模したサウンド後のパート2の4ビートでの

アースキンのブラシとジャコのベースの動き、

それに続くパート3のジャコのウォーキング・ベース、

その上で咆哮するショーターのテナー、ザビヌルのシンセが好きでした。

演奏はさすがのウェザーです。

この後メンバーが変わるのも何となくわかります。

煮詰まり感は漂っているのです。

う~ん、未だにちゃんと評価出来かねるのがこのアルバム。

悩ましい!

まっ、こんなアルバムもあっていいんじゃないでしょうか(笑)?

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いいじゃないか!バド・パウエル。

巨匠バド・パウエルの歴史的名盤ということで、最初は正直ひいていました。
『ジ・アメイジング・バド・パウエルVol.1、2』
パウエルについてはその後拒絶反応は消えたのですが、
盤質「A」のレコードでVol.1、2を同時に買いたいという要望から
買いそびれていました。
でもとうとう買うことができました。
ディスクユニオンお茶の水ジャズ館移転セール。
2枚で¥750也。ジャケ汚れも気にならず、いい買い物でした。
で、聴いたら「いいじゃないか!バド・パウエル。」というお題になったのでした。
私のお気に入りはVol.2

P143 『ジ・アメイジング・バド・パウエルVol.2』(1951,3年rec. BLUENOTE/キング)。メンバーは、バド・パウエル(p)、ジョージ・デュヴィヴィエ(b)、アート・テイラー(ds)、トミー・ポッター(b)、ロイ・ヘインズ(ds)です。49年のセッションからはポッター/ヘインズの組み合わせで2曲、51年のセッションからはピアノソロで2曲、53年のセッションからはデュヴィヴィエ/テイラーの組み合わせで8曲収録されています。

パウエルというと凄いテクニックで鬼気迫るようにピアノを弾く人(前期)というイメージが植え付けられてしまっているので、近寄り難かったりするのですが、このアルバムを聴いてパウエルだって哀愁のピアニストだということを痛感した次第。こちらの思い入れを注入して聴けるピアニストでもあると思いました。

これはちょっと意外でした。『アメイジング・バド・パウエル』というとVol.1の冒頭《ウン・ポコ・ロコ》3連発が凄いというイメージが先行し、Vol.2も当然同じ路線だとばかり思っていたからです。でも違ったんですね。そしてVol.2というとVol.1の残りものみたいなイメージもあったのですがこれも外れ。更に同曲を続けて収録していないところも私には嬉しいところです。

こちらは53年のセッションを中心にしていて、ベースとドラムが地味で職人の2人、ジョージ・デュヴィヴィエとアート・テイラーというのが功を奏していると思いました。裏方に徹した2人がパウエルを上手く引き立てているからです。ジャズ・ピアノ・トリオの基本形がとても親しみやすく提示されています。49年セッションの2曲、ポッター/ヘインズの組み合わせもやっぱり渋くていいですね。

《ニューヨークの秋》《ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス》《ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド》《オーニソロジー》なんて素敵なメロディーの曲が並んでいるのも魅力です。パウエルの美意識をしっかり感じ取ることができます。決して難解なことはやっていません。メロディーの良さを大事に演奏しています。それでもこの有無を言わせぬ説得力。そこがパウエルの凄さです。哀愁だってあります。

哀愁ということで言えば、ソロピアノで演奏している《イット・グッド・ハプン・トゥ・ユー》と《オーヴァー・ザ・レインボー》が最高です。パウエルのロマンティックな面が全開で、聴いていてちょっと恥ずかしくなるくらいかも(笑)?このソロを聴いているとパウエルって意外とロマンチストだったんじゃないかと思えてきます。私はそんなパウエルが愛おしく思えるのです。

初心者にパウエルを薦めるなら、まずは『ジ・アメイジング・バド・パウエルVol.2』だという気がします。まずはこれを聴いてロマンチストなパウエルに親しんじゃいましょう。それからVol.1を聴いてパウエルの凄みを知れば良いのです。哀愁ピアノ・トリオ好きにもこれをお薦めしたいです。強面だと思いこんでいたパウエルがグッと近づいてくるはずです。パウエル食わず嫌いはこれを聴いて克服しましょう!

今頃これを聴いた私、情けない(涙)。
でも良さが分かったからいいやっ。

で、やっぱりVol.1も聴いておきましょう。

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現代の新主流派サウンド?

先週末吉祥寺ディスクユニオンで見つけた新譜の中古CDです。やっぱりこの手のサウンドはダメな人がいるんでしょうね。現代ニューヨークサウンド。新入荷の棚にあったのですが、すぐ近くにはOAMトリオ&マーク・ターナーの『ナウ&ヒア』もありました。多分同じ人が売ったんじゃないかな?

P142 ということで今日紹介するのは、ウィル・ヴィンソン『ストックホルム・シンドローム』(2010年rec. CrissCross)です。メンバーは、ウィル・ビンソン(as,ss)、ラーゲ・ルンド(g)、アーロン・パークス(p)、オラーンド・ルフレミング(b)、ケンドリック・スコット(ds)です。私はリーダーのヴィンソンではなく、ピアニストのアーロン・パークス買いです。

メンバーから想像したとおり現代ニューヨークサウンドでした。この現代ニューヨークサウンドが曲者なのでしょう。浮遊感のあるクールなメロディーはダメな人がいるんでしょうね。浮遊感というのは落とし所がはっきりしないからで、オーネット・コールマンやウェイン・ショーターのメロディーに通じると思います。オーネットやショーターは天然なんですが(笑)、現代ニューヨーカーは多分に意図的。

更に近寄りがたいのがリスム。変拍子ですね。乗りにくいというだけでダメな人がいるんでしょう。浮遊感のあるクールなメロディーと変拍子を特徴とするのが現代ニューヨークサウンド、私は現代の新主流派サウンドと名付けていいのではないかと思っています。私も最初は何か落ち着かなかったのですが、今はこのサウンドにすっかり馴染んでいます。

こういうサウンドを得意とするのが脇を固めるラーゲ・ルンドでありアーロン・パークスです。私はこの人達のサウンドに注目しているわけです。特にパークスは陰影感のあるクールビューティーを感じさせるところが好きです。ギターのルンドも良いプレーをしていますね。ちょっぴり地味で職人的なのがルンド。変拍子から4ビートまでフレキシブルにこなすケンドリック・スコットは正に現代ドラマー。ベースのオラーンド・ルフレミングは初めて聴きましたが可もなし不可もなしかな?

さて、リーダーのヴィンソンですが、私見ではアルトのデヴィッド・ビニーを少しオーソドックスにした感じだと思いました。堅実なプレーですがはっきり言ってちょっと地味。今後この人を追いかけるかどうかは?決して悪くはないです。ただこの人でなければというものはまだ足りない気がします。

ヴィンソンのオリジナル4曲とルンドのオリジナル1曲は今時ニュウーヨークサウンド。曲はそれぞれなかなか落ち着いた感じの良い曲だと私は思います。ヴィンソンのもろにニューヨークな曲が《ディア・オールド・ストックホルム・シンドローム》なんて有名曲をもじったタイトルになっているのがユニーク。

面白いのはスタンダードとジャズマンオリジナルを何曲か取り上げているところ。ポール・デスモンドの《レイト・ラメント》を聴くと、ヴィンソンがデスモンドを好きなんだろうなと感じさせます。バラード曲でしっとり可憐に歌うヴィンソンのアルトからはなかなかの哀感が漂っています。ルンドのソロもジム・ホール的美しさです。ルフレミングのベースソロも素敵ですが、ノスタルジーを感じるこういう曲はチャーリー・ヘイデンがベースを弾いていたらもっと深みを増すだろうと思います。

《ユー・ウォーント・フォーゲット・ミー》はギターとのデュオ。マヌーシュ・スイング調?落ち着いたバラード演奏がじんわり染みます。コール・ポーターの《エブリシング・アイ・ラブ》はなぜここに入っているのか?ですが普通のバップ演奏。パークスのピアノがメカニカルなんだけど無機的にならずいい塩梅の美。ヴィンソンのアルトはストレートにバップしてますね。趣味の良さはやはりデスモンドか?

ビル・エバンスの《ショー・タイプ・チューン》は、ピアノとのデュオでスローに始まり、途中からドラムが入ってミディアム・テンポになる展開。ベースレスです。エバンスの曲が美しいところがまずは◎。ヴィンソンは曲の美しさを大事にしつつ進んでいきます。パークスがピアノで程よく尖がったツッコミも交えるところが私は好き。パークスのソロも聴かせますよ。ポスト・ブラッド・メルドーだと思いますが、ところどころにキース・ジャレットも感じさせます。スコットのブラシは現代版シェリー・マン?ドラムで歌ってます。

現代新主流派とオーソドックスな演奏が混在しているのはクリスクロス・レーベルならではなんでしょうか?今年出たデヴィッド・ビニーのアルバムもそういう構成でしたね。通して聴くと落ち着いたサウンドで統一されているのが良いと思います。そしてメンバーが誰から影響を受けているか何となくわかるところが面白いですね。

アルバム名:『STOCKHOLM SYNDROME』
メンバー:
Will Vinson(as,ss)
Lage Lund(g)
Aaron Parks(p)
Orlando LeFleming(b)
Kendrick Scott(ds)

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脱力ネタ(笑)。

我がリスニングルーム?の一部を紹介。

スピーカーの周りに置いてあるインテリア。

インテリアというほど洒落たものではありませんね(笑)。

P141

犬の置物のことは前にブログにUPしています。

池袋西口のお店の前で売られていたのも連れ帰ってきました(笑)。

真中のアンテナはFMチューナー用。

外にアンテナを立てられないのでTV用簡易アンテナで代用しています。

和なライトは東急ハンズで購入。

東京(府中)に住んでいた頃、

新宿でCD/レコード・ハント後、東急ハンズに立ち寄り、

置物とか衝動買いしていました(笑)。

この脈絡のない組み合わせが気に入っています。

スピーカー台は相変わらずコンクリートブロック。

気品あるタンノイスピーカーの台としてはあまりに無骨。

TGメタルのインゴットも見えますね。

畳みの上に敷いてあるござといい、雑然としている配線といい、

う~ん、”昭和”の匂いがグッドだと思いませんか(笑)?

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本日も地味ですよ~。

レコードプレーヤーを交換したので最近はレコードをかけることが多いです。
今日も地味なのいってみましょう。
これも後藤雅洋さん著「ジャズ・レーベル完全入門」に掲載されていた1枚。

P140 ジョー・ワイルダー『ワイルダーン・ワイルダー』(1956年rec. SAVOY)です。メンバーは、ジョー・ワイルダー(tp)、ハンク・ジョーンズ(p)、ウェンデル・マーシャル(b)、ケニー・クラーク(ds)です。トランペットのワンホーン・カルテット。

ジョー・ワイルダーというトランペッターを知っていますか?私はこのアルバムを買うまでほとんど知りませんでした。演奏スタイルは中間派(スイングとモダンジャズの中間)。ここではバックがモダンジャズの人達なので、私が聴く限りではモダンジャズとして聴けてしまうと思いました。

ワイルダーさん、気を衒うようなところは微塵もなく。ひたすらストレートにメロディーを奏でてくれます。私には日本人にとっての白飯のように感じます。毎日食べても飽きない味。そして美味しいのです。この感じはピアノのハンク・ジョーンズにも言えるわけで、ジャズの良さを素直に感じさせるアルバムになっています。

A面はスローな曲を挟んでミディアム・テンポの曲が2曲。B面3曲はスローで味わい深いものが連続で入っています。ちょっと眠くなりそうなイメージを持たれてしまうかもしれませんが、耳を惹きつけるものは持っていますので飽きずに聴けると思います。私はB面1曲目《シックス・ビット・ブルース》のブルージーさが特に好きです。オープン・トランペットだけでなくワウワウ・ミュートを効果的に使っているところも憎いですね。

新譜を聴くのも楽しいですが、こういうアルバムに浸るのも良いものです。
このアルバムはオリジナル盤をほしいところ。
シングルモルト・ウイスキーのグラスでも傾けながら聴いたら最高でしょう。

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私にとってジャズ喫茶を感じさせる1枚

先週末にジャズ喫茶「いーぐる」へ行って聴いた『フライト・トゥ・ジョーダン』は、ジャズ喫茶という空間を強く感じさせる1枚なわけですが、これも私にとってはジャズ喫茶の音なのです。

P139 ソニー・クラーク『リーピン・アンド・ローピン』(1961年rec. BLUE NOTE)です。メンバーは、トミー・タレンタイン(tp)、チャーリー・ラウズ(ts)、アイク・ケベック(ts)、ソニー・クラーク(p)、ブッチ・ウォーレン(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)です。

なんでこれを買ったかというと後藤雅洋さん著「ジャズ・レーベル完全入門」に掲載されていたからです。実はこの本記載のアルバムもかなり買っている私なのです。だって後藤さん推薦アルバムと私は相性抜群だからです(笑)。

後藤さんから聞いたところによるとこの本は第2版も出ていて一部のアルバムを入れ替えてあるらしいのです。私の持っているのは初版なので第2版でどのアルバムが入れ替わっているのかとても気になっています。今度本屋へ行ったら確かめてみましょう。

話はアルバムに戻りまして、なぜこのアルバムがジャズ喫茶を感じさせるかというと、まずはメンバーでしょうね。ソニー・クラーク本人が日本で人気の通好みで、更にフロントの2管がチャーリー・ラウズとトミー・タレンタインという渋いメンバーだからです。ここでいう”渋い”というのは知名度は落ちるけれどジャジーさでは劣っていない人達。とは言え存在はやっぱりB級なんですよね(笑)。

ベースのブッチ・ウォーレンも美味しいウォーキング・ベースを弾いているし、気が付くと色々なところに顔を出し、小気味良い4ビートを叩いているビリー・ヒギンズもいます。そして、アイク・ケベックなんていうブルーノートならではの人(タレント・スカウト兼アシスタント・ディレクターをやっていたそうです)も1曲に参加しているというんですから堪りません(笑)。

そして次に曲がいいんです。哀愁マイナー調の佳曲が並んでいるところがジャズ喫茶にマッチすると思うのです。クラークの曲がやっぱりいいですね。クラークと言えば《クール・スラッティン》が有名ですが、このアルバムに入っている曲もなかなかだと思います。

レコードA面1曲目《サムシン・スペシャル》はミディアム・テンポで哀愁メロディーとリズムの躍動感が絶妙のバランス。ラウズ、タレンタイン、クラークのソロ、どれをとってもジャズの良さを感じさせるものです。2曲目《ディープ・イン・ア・ドリーム》はバラード曲で唯一ケベックが参加しています。ちょっと甘さ多めの曲で、ケベックの吹奏はもたれかかり気味ですが、クラークの程よい品が加わりいい塩梅となっています。

3曲目《メロディー・フォー・C》はクラーク作で私はこの曲が大好きです。この哀愁感と前向き感のミックスは最高です(笑)。こうなるとソロがどうこういうのではなく、この曲を聴いているだけで気分がウキウキしてしまいます。でもやっぱりクラークのソロは最高。この曲の良さを膨らませて紡ぎだされるメロディーはいいですね~。以上3曲がレコードのA面ですが、この流れが好きです。

レコードB面には、あのジョン・ゾーンが自身のアルバムで取り上げたクラークの曲《ヴードゥー》も入っていて、この陰影感は聴いていて妙に落ち着くものがあります。オタクのゾーンが選ぶだけのことはあるマイナー感(笑)。続くタレンタイン作《ミッドナイト・マンボ》はラテンリズムのテーマが心地よいですね。ソロは4ビート。B面も決して劣っているわけではありません。

ジャズ喫茶好き、ブルーノート好きには堪らないアルバムだと思います。

ところで、私が買ったレコードは販売権がキングに移る前の東芝EMIのレコードなのですが、この頃ってパートのお姉さんがカッティングしていたとかいうやつなんでしょうかね~?

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レコードプレーヤーを交換しました。

先日レコードプレーヤーを交換しました。
これまで本来予備機としていたものを使っていたのですが、
そろそろということで、常用機を復帰させることにしました。

これまで使っていたのは
ターンテーブル:DP-3000
トーンアーム:FR-54
キャビネット:DK-100

P135

30数年前の製品ですが、
ターンテーブルのトランジスタやコンデンサを交換したので動作も問題なく、
必要十分な性能でした。これを予備機に戻しました。

復帰させたのは
ターンテーブル:DP-80
トーンアーム:FR-64fx
キャビネット:DK-300

P138_2

こちらのほうがず~っと高級品です。
DP-80はクオーツロック制御で回転精度が向上。
回転トルクがUPして回転の安定性も向上。
2重構造ターンテーブルで静粛になっています。
電子ブレーキが付いているのでレコード交換もすぐにできます。
これもトランジスタ、IC、コンデンサなどを交換してメンテ済。
トーンアームのFR-64fxはダイナミックバランス型。
日本の工業製品ならではの高精度設計。
今これを作ったら25万円くらいするはずです。
キャビネットのDK-300も高密度インシュライト積層の重量級。
というわけで、オーディオ全盛期の凄いレコードプレーヤーなのです。
見た目も高級感がありますよね。
なんか自慢話ですね。ごめんなさい。

このプレーヤーの上でレコードが回転しているのを見るのは最高。
この感じは携帯用音楽プレーヤーでは絶対に味わえません。
オーディオ趣味の醍醐味ここに極まれり(笑)。
時代遅れと言われようが全然構いません。
モノに囚われ過ぎるのもよくありませんが、
モノを愛でる気持の余裕を持てないのも悲しいことです。

音楽配信ダウンロード、若いね~。
この歳になったら大人の余裕を見せてあげましょう(笑)。

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テナー吹き2人の旧作がなかなか良かった。

先週土曜、ディスクユニオン吉祥寺ジャズ・クラシック館で買った中古CDを紹介します。吉祥寺と言えば寺島靖国さんのお膝元ということで、寺島さんが過去に書いた本で推薦していたものです。

P136 まずはエリック・アレキサンダー『アップ,オーバー&アウト』(1993年rec. DELMARK)です。メンバーは、エリック・アレキサンダー(ts)、ハロルド・メイバーン(p)、ジョン・オレ(b)、ジョー・ファンズワース(ds)です。

なぜこれを買ったかというと、前に寺島さんの本で見たことがあったこと、シカゴのデルマーク・レーベルが私のお気に入りレーベルなこと、ジャケット写真のアングルと大きく写るマイクがカッコいいと思ったこと、エリックの初期の演奏が聴いてみたかったことなどからです。

寺島さんの「JAZZの聴き方」で取り上げていました。読んでみると、寺島さんはデクスター・ゴドンの影響がちらほら出て残念だと言いつつ、エリックのことは推薦していました。初期のリーダーアルバムなのでそういうところが見られるのでしょう。録音されてからもう17年経ちます。私が聴いたところ、確かにゴードンの影響はあるにしても、なかなか男気溢れるストレートな良い演奏をしていると思いました。その後開花するエリック節の片鱗も垣間見ることができてますよ。

80年代メインストリーム回帰ブームが一段落した後に出てきたメインストリーム路線ということで、若手の正当派ジャズ継承を歓迎した当時の寺島さんの気持ちもわかります。この頃のいいところはジャズにどっぷり浸かってきた先輩と共演していることです。ハロルド・メイバーンがその人ですね。その後エリックのアルバムではいつもピアノを弾いて、エリックの後ろ盾となり成長を見守ります。そんなメイバーンがいることで演奏が締まっているんですよ。

もう1枚紹介します。

P137 ハリー・アレン『夢見る頃を過ぎても』(1999年rec. BMGファンハウス)です。メンバーは、ハリー・アレン(ts)、レイ・ブラウン(b)、ジェフ・ハミルトン(ds)、ハーブ・エリス(g、4曲のみ参加)です。

これは寺島さんの「JAZZはこの1曲から聴け!で取り上げられています。ハリーは寺島さんによればテナーらしい音を出す奏者としてよく推薦されています。私もそれは了解しているものの、寺島さんの場合はジョン・コルトレーンやマイケル・ブレッカー批判としてのハリー・アレンなので、私には大いに不服があるわけです(笑)。

でも私にとってハリーも気になる存在ではあるわけで、「寺島テナー論憎し=ハリー・アレン憎し」ではかわいそうだということで、今回はかなり安かったこともあり入手(笑)。これ、ほとんどの演奏がサックス・トリオ(コードレス・トリオ)での演奏でした。エリスのギターは13曲中の4曲しか参加していません。このサックス・トリオがかなりいいです。

ハリーのテナーの音、サブトーンも聴かせつつ確かに気持ち良い音で鳴っています。このアルバムではそんなテナー音を生かしたバラードだけでなく、バリバリと吹いている曲が結構あり、それが良いのです。中にはベースのレイ・ブラウンとのデュオもあり、なかなか聴かせてくれています。ハリーの場合もスタン・ゲッツの影響は感じられますが、それでもこのアルバムがかなり気に入ってしまいました。

このアルバムは日本企画ですね。でもこれなら許せます。ライナーノーツは寺島さんが書いていました。いつもの調子でアルバムの聴きどころを紹介(笑)。ハリーのテナーの音色、レイ・ブラウンの逞しいベース、かなりの弾けっぷりでスイングするジェフ・ハミルトンのドラムと、寺島さんが好きなものがここぞとばかりに結集しています。

オーディオ的にも、テナー、ベース、ドラムがコントラストクッキリで録られていますので、この音も寺島さん好みだとわかります。ベースは強調し過ぎていないので、これなら私にも気持ちよく聴くことができます。寺島さん批判する私ですが(笑)、寺島さんが魅力を感じていることを全否定するものではありません。私にもわかります。ただ度が過ぎている場合はバランスを重んじる私なのでツッコミを入れざるを得ないだけです。

こちらのアルバムにも大御所レイ・ブラウンがいることで、やっぱり締まった演奏になっています。ジャズって先輩から後輩へ共演を通じてこそ伝わるものがあるんと思うんですよね。形だけが継承されたりするとおかしくなってしまう気がします。

そんなことも考えながら楽しく聴いています。ただし今度の新譜『007ソングス』は勘弁してほしい。007の曲をジャズにしてほしくないです(笑)。

それから、別に私はニューヨーク最先端ジャズしか認めないというわけではありませんのでお間違いなきよう(笑)。

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ジャズ喫茶「ジニアス」でジャズに和む。

週末東京ジャズ三昧のラストを飾るのはジャズ喫茶「ジニアス」です。

四谷のジャズ喫茶「いーぐる」を出た私、今度は中野新橋のジャズ喫茶「ジニアス」へと向かったのでありました。ジャズ喫茶のはしごです(笑)。四谷から中央快速で新宿へ、新宿からは地下鉄丸ノ内線に乗ります。中野坂上で方南町方面行きに乗り換えて次の駅が中野新橋。(tommyさんからご指摘が。四谷から地下鉄丸ノ内線に乗ったほうが良いです。)

Photo_5

P132_2 駅の改札を出て目の前の通りを左手に進むとすぐに神田川が流れています。神田川にかかる橋は只今工事中。橋の手前の道を右に曲がって200mくらい進んで十字路を左に曲がれば神田川にかかる橋(桜橋)があり、橋の反対側のたもとが「ジニアス」です。

その橋の上からは左のような看板が見えます。

入り口は建物の反対側です。

P133 赤いドアが素敵でしょ。入り口にママチャリがとめてあったりするところが、近所のオバサマがくる「ジニアズ」らしいです(笑)。近所のオバサマの団欒の場であり、ジャズもしっかりかけているところが、今時の郊外のジャズ喫茶。

6か月ぶりくらいかな~。マスターの鈴木さんに軽く挨拶。マスターはいつも素敵な笑顔で「いらっしゃいませ。」と応えてくれます。かかっていたのはマイク・ロンゴのピアノ・トリオ。オーソドックスな今時マイナー・ピアノ・トリオで、私は結構好きです。

通常はピアノ・トリオがかかっていることが多いです。私が行くと私が喜びそうなものをセレクトしてかけてくれるんです。普段かけていないものをかなり久しぶりにレコード棚から出して聴かせてくれます。マスターも久々に聴くことが多く、「これ久々に聴いたんだけどなかなかいいよね。」なんて軽い会話を交わすのがここでの楽しみ。

私はお腹がすいていたので、いつものエビピラフセットを大盛りで注文(笑)。ここのエビピラフは私のお気に入りです。レタスがたくさん盛られていてコンソメスープと浅漬けがついてくるのがグッド。エビピラフが美味しいのです。

P135 次にかかったのがジャズ・クルセイダース『ライブ・アット・ライトハウス’66』。ジャズクルセイダースはほとんど初めてまともに聴いたんですが、アーシーな感じでなかなか良かったです。ジャケット写真はネットから。ジャケ違いでCDもありますが廃盤のようです。

その次にかかったのは多分常連のお客さんがマスターに渡したCDで『ザ・スーパー・プレミアム・バンド』ケニー・バロン(p)、ロン・カーター(b)、レニー・ホワイト(ds)の企画もの。無難なジャズです。

ネットで調べたらやっぱり日本企画。高音質CDです。80年頃にやり尽した感があるこの手の企画ですが、30年経ってもまだやっています(笑)。「東京JAZZ」に出ていましたね。プロデューサーはもちろん伊藤八十八さん。「PCMジャズ喫茶」で岩浪さんが「東京JAZZ」には伊藤さんの息のかかった人が出ていると言っていましたが、なるほどなのです。

次はマスター選曲に戻ってミルト・ジャクソンコールマン・ホーキンス『ビーン・バッグズ』。アトランティック盤のレコードでした。やっぱり黒いジャズはいいな~。

ジャケットが違っていて追加曲も収録されているけれどこのCDです。

P134 次がディープでした。Keno Duke(キノ・デューク)というドラマーのレコードで『クレスト・オブ・ザ・ウェイブ』。ドラマーは全く未知ですが、ジョージ・コールマン(ts)、フランク・ストロージャー(as)、ハロルド・メイバーン(p)が参加して熱いジャズをやっています。最初の曲はちょっとエスニックな感じもしました。マスターによるとかなり久しぶりに聴いたそうで、この人のピアノ・トリオは時々かけるとのことでした。ジャケット写真はネットから。

ディープな選曲に感謝して、ビールを注文。

次もディープでした。パリ・リユニオン・バンド『ホット・リックス』。メンバーが凄いです。ナット・アダレイ(tp)、ウディ・ショウ(tp)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ネイサン・デイヴィス(ss,as)、カーティス・フラー(tb)、ケニー・ドリュー(p)、ウォルター・ビショップ(p)、ジミー・ウッド(b)、アイドリス・ムハマド(ds)。「メンバーが凄いでしょ。」とマスター。なかなか濃いジャズを展開していました。

こんなDVDがありました。
ところでディープな選曲は私がディープだから(笑)?

そろそろ帰りの電車が気になったところで、意外や意外マイルスがかかりました。それも晩年の『マイルス&クインシー・ライブ・アット・モントルー』のレコード。これ、CDを持っていますが発売当時聴いて以来聴いたことがありません(笑)。

途中でお店を出ることに。帰る時にいつもマスターが「気を付けて帰って下さいね。」と声をかけてくれます。遠くから来ていると知っての一言。嬉しい気遣いです。というわけで、何がかかるかわからないハプニングありの選曲が「ジニアス」なのでした。

以上で東京ジャズ三昧は終了。濃い1日となりました。

ジャズ界の動向も気になりますが、色々言っているより楽しんじゃったほうが勝ちだと思う私。そして最近はネットショッピングばかりだったのですが、リアル店舗でのショッピングはやっぱり楽しいですね。たまにはネットから離れて外に出ましょう!

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ジャズ喫茶「いーぐる」でどっぷりジャズに浸る。

昨日の東京ジャズ三昧の続きです。

ディスクユニオンお茶の水ジャズ館で約2時間、獲物を漁って疲れた私は四谷のジャズ喫茶「いーぐる」へと向かいました。今までは連続講演にしか行かなかったのですが、この日は「いーぐる」の音が無性に聴きたかったのです。中央快速で御茶ノ水の次が四谷。「いーぐる」に着いたのは5時少し前。「いーぐる」ではまだおしゃべり禁止タイムです。

お店に入るとマスターの後藤さんがいました。挨拶すると「さあどうぞどうぞ」と。私はレコード室前の特等席に座りました。かかっていたのはバルネ・ウィラン『ワイルド・ドッグズ・オブ・ザ・ルエンゾリ』。後藤さんにお茶の水ジャズ館のセールに行ってきたことを伝えコーヒーを注文。おしゃべり禁止タイムなので、後藤さんとのおしゃべりはここまで。

このアルバム、廃盤として結構高値で販売されていたります。ウィランのテナーが心地よくちょっとポップな1枚です。後藤さんの本「ジャズ選曲指南」にも紹介されています。次にかかるのは何か?「ジャズ選曲指南」掲載アルバムを全て収集した私なので、どういう選曲で来るのか楽しみでした。

キターッ!デューク・ジョーダン『フライト・トゥ・ジョーダン』。後藤さんによると「これをかけるとジャズ喫茶として様になる。」という1枚。ディジー・リースとスタンリー・タレンタインという渋いフロントが最高のバップ・アルバムなのです。これぞジャズ喫茶なのだ!

これを「いーぐる」で聴けるなんてちょっと感動もの(笑)。後藤さんありがとうございました。紙ジャケCDなのですが、ジャケットの周囲がかなり擦れていました。よくかけている感じで、それがまたいい雰囲気なのですよ。

で次は、4枚聴き起承転結の”転”かなと思ったので、ギターか何かジョー・パスの『サマー・ナイト』あたりかも?と予想したのですが予想は外れ。バリー・ハリス・トリオ『ブレイキン・イット・アップ』でした。これも激渋っす!私、バリー・ハリスも好きなので嬉しかったです。何の変哲もないピアノ・トリオですがこれぞジャズ!

今日はドップリとジャズに浸らせようという選曲?

お次は?ウェイン・ショーター『ナイト・ドリーマー』。これも好きなんですよね。ショーターのテナーがいいんですよ。エルビンの叩きだすリズムがうねって最高。マッコイ・タイナーのペンタトニックも気分よし。リー・モーガンのトランペットも上々です。気分が良いのでコーヒーお代わり(笑)。

ショーターの変なメロディー感覚が堪らないのです。美しいバラードの《ヴァーゴ》も最高でした。このアルバムの終わり間近に6時となり、音量が少し下げられてしまいました。残念!6時になると曲の途中でも音量を下げるんですね~。これも初体験。

次は何かな~。グレッグ・オズビー『シンボルズ・オブ・ライト』でした。これは意外と爽やかで聴き易いと思います。ここまでのドップリなバップから一挙に現代へと気分チェンジ。

このアルバムの途中でトイレに立ったら、後藤さんはもういませんでした。どこまで後藤さんの選曲だったのだろう?入り口のところにエアキャップシートに包まれた(たぶん)CDプレヤーがありました。修理にでも出すのかな~。

次がジョー・パス『サマー・ナイト』でした。先に予測していたのがこんな順番でかかるとは。家に帰って「ジャズ選曲指南」を見たら、ショーターからパスまでの流れってそのまま「ジャズ選曲指南」のパターンじゃないですか(笑)。ということは、ショーターからはアルバイト君の選曲だったのかもしれませんね。

1曲目の途中ではありましたがお店を出ることに。

P128 お店の外に出ると辺りはすっかり暗くなていました。そういえば夜の入り口写真を撮ったことがなかったので撮影しました。入り口隣の販売機が目立ちすぎ?「いーぐる」看板の黄色いランプが良いと思う私です。

「いーぐる」のおしゃべり禁止タイム。ジャズを落ち着いて聴くのにはいいですね。次はもう少し早い時間に来て2時間くらいドップリ浸りたいと思いました。

で、ジャズ喫茶のはしごです(笑)。
中野新橋の「ジニアス」へと向かいました。半年ぶりくらいかも?

今日はここまで、続きはまた明日。

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今日は久しぶりに東京へ行ってきました。

今日は久しぶりに東京でジャズ三昧。

まずは、いらないレコードを処分。
今月はディスクユニオンでLP買い取額10%UPキャンペーン期間だからです。
吉祥寺ジャズ&クラシック館へ持って行きました。
コンディションが気になっていたオリジナル盤を処分したら、
結構良い値で買い取ってもらえたのでラッキーでした。
売りに出るときは1万円越えなんでしょうね。

ついでに中古CDを漁ることに。
Amazonに注文したら全然入荷しなかったウィル・ヴィンソンの新譜がもう中古に!
もちろんゲットしました。
エリック・アレキサンダーとハリー・アレンの旧作が安かったのでゲット。
カサンドラ・ウィルソンの『トラヴェリング・マイルス』も安かったのでゲット。
以上4枚。中々良い買い物ができました。

吉祥寺の駅ビルは今改装中なのですが、
ショッピングモールのほうはだいぶ模様替えしてきれいなっていました。

そしてもう一つの目的であるお茶の水のディスクユニオンへ。

P127 このビルの2階と3階に
お茶の水ジャズ館がありますが、
移転することになり、只今売り尽くしセール。
明日11月7日が最終営業日です。
本日は全品25%OFFでしたよ!
ついついたくさん買ってしまいました(笑)。

まずは中古LP売り場から。
¥500以下数枚+α買いましたが安かった。
¥500なんか25%OFFで¥375(笑)。
『ジ・アメイジング・バド・パウエルVol.1、2』をやっと買いましたよ。
コンディション「A」で2枚同時に出るのをず~っと探していました。
ジャズファンでこれを持っていないとやばいでしょ。
ジャケ汚れ2枚で¥750(笑)。キング盤です。

LP売り場ではLPをごっそり買っているオジサンがいました。
何と会計が約5万円!40枚くらい買っていました。いや~っ、凄い!
持って帰るのは大変だろうな~。

続いて中古CD売り場へ。
大西順子の『WOW』¥500⇒¥375。新品買いなさいって(笑)。
廃番『パトリック・ボーマン・セブン・ピース・マシーン』があったのでゲット。
『アトミック/スクールデイズ』、アトミックとケン・ヴァンダーマークの合体。
北欧&シカゴは強力&硬派です。2枚組なのに安いんですよ。
こういうのは人気ないのかな~。
以上3枚ゲット。

更に新品CD売り場へ。新品も25%OFF!
ディスクユニオンで一押しなのにいまいち売れてないマイケル・デュース。
北欧の硬派グループ、ザヌッシ・ファイブの『アルボラド』。
アウトレットでヨハネス・エンダースのワンホーン・カルテット。
以上3枚ゲット。

調子にのってちょっと買いすぎたかも?
まっ、レコードを処分した金額以下だからいいか(笑)。
ディスクユニオンがある東京に住んでいる人が羨ましい。

お茶の水ジャズ館を出た私。
急に「いーぐる」の音が聴きたくなってしまいました。
で、四谷のジャズ喫茶「いーぐる」へと向かったのであります。
連続講演をやっていない「いーぐる」へ行くのは何とこれが初めてです。
後藤さんはお店にいるのかな?

今日はここまで、続きはまた明日。

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「いきものがかり」が気になる。

今日TVを見ていたら、「いきものがかり」が出ていました。

《じょいふる》という曲に妙に嵌ってしまった私。

「ゲゲゲの女房」の主題歌を歌っていたのもこの人達だったんですね。

CDを買いたくなってしまいました。

《ありがとう》。いい歌ですよね。

そして《じょいふる》。こういうストレートなロックが好きです。

ポッキーのCMソングだったのか~。

ところで、今更なのですが、「モーニング娘。」のこの歌が好きでした。

《真夏の光線》!何で好きかって?セツネ~メロディーと転調です(笑)。

今改めて聴いたら、

ワウワウ・ギターとファンキー・エレベが私の好きな70年代テイストでした!

今日はこれでおしまい。 m(_ _)m

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「PCMジャズ喫茶」のゲストは「JaZZ JAPAN」編集長(その2)

「JaZZ JAPAN」編集長三森隆文さんゲストの「PCMジャズ喫茶」レポートの続きです。

「JaZZ JAPAN」の第2号でブルー・ミッチェルのことを書いているという話へ。この記事には寺島さんが投稿しています。いつものように面白い文章です。(ピンク字は私の意見)「『ブルース・ムーズ』を久々に聴いたらやっぱりいい。」と寺島さん。「《アイル・クローズ・マイ・アイズ》が有名だが、2曲目の《エイヴァース》もいい。ロッキー・ボイドが作曲したんですよ。」と言いつつボイドの演奏とミッチェルの演奏を比較することに。『ブルース・ムーズ』はいいですよね。私も好きなアルバムです。

その前に、岩浪さんが「同業者のオリジナルをやれ。」とミュージシャンに言っているという話をします。「他人の曲をやらないと、自分の曲も他の人にやってもらえない。」と岩浪さん。ジャズマンオリジナルを共有することでジャズ界の横のつながりを強めたりジャズ界を活性化できるという思いからの発言と私は受け取りました。

更にエキサイトして岩浪さんは「ジャズは本来黒人の反発の結束を強める側面があり、だから簡単なコードなどの制約で皆で演奏することに意義がある。」と言うのです。続けて「今のヨーロッパのジャズマンのように我が我がと自分のオリジナルばかりやるのは間違いで、我が我がというのならクラシックがそういう音楽だからクラシックをやればいい。今イタリアの(黒人文化に沿ったバップ)ジャズが良く、アメリカのジャズマンもイタリアに行けと言っている。」と続けます。

黒人音楽や文化を敬愛する岩浪さんらしいご意見だと思いました。私はクラシックについては何とも言えませんが、ロックでもポップスでも個人やグループの楽曲重視は言えるわけで、ジャズも同じなのだろうと思います。そしてジャズが特定のコミュニティーから外へ出て世界的な広がりを持ち、色々な音楽や考え方の影響を受けている以上、岩浪さんが言うようなジャズからはみ出すのは当然のことだとも思うわけです。さらにジャズの起源に由来するような黒人文化を伝えるのが、簡単なコード進行などによるアドリブ回しだとしても、それをやっていればいいのかということへの疑問もあります。まっ、岩浪さんの意見は意見として聞いておきましょう(笑)。

話は山中千尋さんへと変わります(笑)。寺島さんが「山中千尋は人には甘い曲ばかりを聴いてと言っておいて、(新譜で)自分は甘い曲を書いているじゃないか。」と言うのです(笑)。そして「今月の「JaZZ JAPAN」の文章は一度読んだらわかった。以前は3回読まないと何を言いたいかわからなかった。あれでは普通の人にはわからない。」と言っていました。山中さんに噛みつかないと気がすまない寺島さんです(笑)。寺島さんのいうような甘い曲?は後ほどかかります。

とうことでロッキー・ボイドブルー・ミッチェル《エイヴァース》比較。

人妻Aさんは、ブルー・ミッチェルの演奏を聴いて良い曲だと思ったそうです。そんなAさんの意見(演奏者によって曲の良し悪しの感じ方が変わる)を聞いて寺島さんは喜んでいました。それで終わらないのも寺島さん(笑)。「ボイドも良いよね。マイナーの極致で。」と言っていました。

人妻Aさんの選曲。トーマス・エンコ。人妻Aさんは「東京JAZZ」の屋外ステージで見たそうです。人妻Aさんは「またか」という感じでスタンダードを聴き飽きていたけれど、エンコの《イエスタデイズ》を聴いてスタンダードも(演奏次第で)良いと思ったそう。余談ですが、岩浪さんは「東京JAZZ」の担当者と伊藤八十八さんが知り合いなので、伊藤さんの息のかかった人がたくさん出ているんじゃないかと言っていました。《イエスタデイズ》をかけました。

人妻Aさんらしい、テクニカル系のピアノ・トリオでした。寺島さんは「前回の時に中平穂積さんがゲストに来て、”最近の若者は弾きすぎる”と言っていたが、その典型。」とお気に召さないようでした(笑)。人妻Aさんが「若いっていいですよね。」と言うと、寺島さんは「老いの良さをメインに考えることにしている。」と反論。そして「三森さんは51歳だけれど、今雑誌を立ち上げて燃えに燃えている。いいですよね~。」と言っていました。

ここで岩浪さんの若い頃の話へ。岩浪さんは植草甚一さんや久保田高司さんの弟子だったので、油井正一さんや野口久光さんのような正論派に反発があったそうです。なるほどジャズ評論家にもそういう派閥があったんですね。以前この番組で、岩浪さんが雑誌とかに間違ったことを書くと、すぐに油井さんから電話がかかってきて怒られたと言っていましたが、岩浪さんも若い時は色々苦労していたのです。

次は三森さんの選曲。三森さんは1983年にスイングジャーナル社に入ったとのこと。当時伝統的なジャズを見なおす動きがあり、ウィントン・マルサリスが注目されたりしたそうです。、私がジャズを聴き始めた翌年ですね。懐かしい。スイングジャーナル誌は大学図書館の雑誌棚にあったのを毎月読んでいました(笑)。当時のアルバムでビル・ラズウェル、マテリアルのお札のジャケット(『One Down』)から三森さんの愛聴曲《メモリーズ》。ホイットニー・ヒューストンとアーチー・シェップの共演です。

P126 Amazonのレビューによると、ホイットニー・ヒューストンのメジャー・デビュー前初録音らしいです。レコードは当然廃盤。CDも廃盤みたいです。今では忘れられてしまった「マテリアル」。ジャズの新しい動きとして当時はスイングジャーナル誌でもかなり取り上げていました。今私が持っているアルバムは『メモリー・サーブス』だけです。当時が懐かしいです。

「全然別な世界。」と寺島さん。「良質なポップス。」と岩浪さん。

人妻Aさんが「東京JAZZ」で観た山中千尋さんの話へ。テリ・リン・キャリントンのモザイク・プロジェクトにゲスト参加した山中千尋さんが苦痛に顔をゆがめて弾いていたというのです。山中さんのピアノ・ソロが終わった後に拍手が入れられないような雰囲気だったと。「北風と太陽」の話ではないが、風が強く吹くように”ビュービュー”弾くと人の心が閉ざされてしまうと思ったそうです。

私がTVで見たのは、《フォレスト・スター》という山中さん作のスピリチュアル/モーダルなカッコいい曲の演奏。ソプラノ・サックスのティネカ・ポスマさんがデイブ・リーブマンばり(フレージングも似ていました)の熱いソロをとった後、山中さんのソロとなるのですが、私には山中さんとドラムのキャリントンさんの真剣勝負に見えました。山中さんのこんなに気合が入った演奏を見たのは初めてです。背中丸見えの衣装が凄かった(笑)。背筋はアスリートのもの。2人の真中でクールにベースを弾くエスペランサ・スポルディングさんはちょっと引き気味(笑)?山中さんのソロのバックでエフェクト・トランペットでシンセ系効果音を入れるイングリッド・ジェンセンさんがカッコ良かったです(TVにはほとんど写っていませんので音を聴いての感想)。いい演奏でしたよ。他にも何曲かやったのかもしれないので、人妻Aさんがこの演奏のことを言ったのかどうかは不明です。

岩浪さん選曲で山中千尋さんの新譜から《ソー・ロング》。メロディーがわかりやすくシンプルとのこと。

山中さんらしい曲だと思いました。日本の古いフォークのような感じの曲です。澤野工房時代に「学生時代」や「やつらの足音のバラード」を演奏していましたが、山中さんはこういうメロディーが好きなんじゃないかと思いました。寺島さんは「なんか上っ調子。」とお得意フレーズ。人妻Aさんは「楽しそうでいいです。」と言っていました。三森さんは「文章に比べると懐の深さに欠ける。」と言っていました。

ここで、さっきの「東京JAZZ」の話題に戻ります。三森さんが「以前山中さんと群馬交響楽団との演奏を見た時には山中さんが楽団に負けずに演奏していた。」と言います。すると寺島さんは「山中さんは負けず嫌いなんですよ。「東京JAZZ」では女性バンドの中で、山中さんの負けず嫌いが出たんだ。」と得意げです。寺島さんは山中さんの話題になると生き生きとしますね(笑)。

三森さんは「「東京JAZZ」の時はノナ・ヘンドリックスなどがいて、方向性がちょっと違ったので、山中さんの時はピアノ・トリオ編成にしてやれば良かったのかもしれないですね。」と言っていました。私が見た演奏はクインテットだし、山中さんの曲だし、ピアノ・ソロを大きくフィーチャーしていたし、特に問題はないように思えたのですが・・・。三森さんも見ずに発言していたのでしょうか?

ラストも岩浪さんの選曲。ヘイリー・ローレン《パーハップス・パーハップス・パーハップス》以前寺島さんもヘイリー・ローレンをかけましたよね。好きだと言っていました。

「いいねー。岩浪さんもたまにはいい選曲をするねー。」と寺島さん。そう言われて嬉しそうな岩浪さんです。他愛ないジャズオヤジのトーク(笑)。

最後に三森さんから「JaZZ JAPAN」の抱負。「(番組最初に言った)コンセプト通りで、世代を越えてジャズを伝えていきたい。」とのことでした。

残念ながら「JaZZ JAPAN」の裏話はほぼありませんでした。まっ、いくらリスナーが少ないとはいえ公共の電波ですから、業界でやっていくのに支障をきたすような話はできませんよね。それより今回は山中千尋さん話が盛り上がって楽しかったです(笑)。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

PCM放送は来年8月で終了なので、もうひとつのサービス「スペースディーヴァ」
のほうが良いかもしれません。

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「PCMジャズ喫茶」のゲストは「JaZZ JAPAN」編集長(その1)

今回の「PCMジャズ喫茶」のゲストは「JaZZ JAPAN」編集長の三森隆文さん。
さて、どんな裏話が飛び出したのか?

まずは「JaZZ JAPAN」のコンセプトは?から。「定番だけでは読者がついてこない。ジャズを聴く人は増えているはずだが、色々なものがバラバラに動いているので、バラバラになったジャズ・ファンを一つに結び付けたい。ジャズは好き嫌いでいいという原点に立ち戻る。色々な選択肢を提供したい。」というようなことを三森さんは言っておりました。まっ、だいたい想定範囲の回答でした。(ピンク字は私の意見)

今起こっていることから昔のものにリンクしたいそうで、Vol.1を例にすれば、大西順子~ミンガスにリンクするといういうふうにしたとのこと。(この番組収録時はVol.1が発売された後で、Vol.2は発売直前のようでした。)寺島さんは「面白いかもしれませんね。」と言っていました。

岩浪さんはレコード・レビューについて、誉めるだけではなく反対論も入れないとダメと強調していました。寺島さんによると岩浪さんが久々に興奮しているとのことでした。岩浪さんは「対レコード会社との関係性はあるのか?広告とレコード・レビューがつながっていない今がそういうことをするチャンス。」と強弁していましたよ。スイングジャーナルの編集長をやっていた岩浪さんにも色々思うところはあるようですね。

レコード・レビューに点数(星)を付けなくなったのは、点数が形骸化していて読者もあてにしていないからとのことでした。

寺島さんは新しい筆者が面白いと言っていました。中野俊成さんはシニカルだけれどいいとのことでした。大西順子評(『バロック』)がいいと言っていました。中野さんは番組を何本もかかえる人気放送作家です。中野さんについては私のほうが先に目を付けていましたよ~っだ。中野さんのサイトについては以前ブログで紹介しました。
中野さんのジャズサイト:「FOOL STRUTTIN'」

寺島さんは中山康樹さんの文章も読んだらいいと思ったそうで、「チック・コリア評(『フォーエヴァー』)のラストに《アルマンドのルンバ》がいい曲だと書いているのがいい。」と言っていました。「ジャズはメロディー(テーマ)で聴け。」と言っている寺島さんとしては中山さんが「曲がいい」と書いていたところが良かったみたいです(笑)。

今度のコラムに中山さんがエロジャケの話を書いていると三森さんが言ったら、寺島さんは急に怒り出し(笑っていましたが)、「正論を言うのは大嫌い。何言ってんだあのバカは。男ならジャケットに色気を求めるのは当然だ。」など、凄いけんまくでした(笑)。三森さんは中山さんはこういう趣旨のことを言っているとフォローしていましたが、聞く耳を持たない寺島さん。この時点で寺島さんは中山さんのコラムを読んでいなかったので「まだ読んでいないから。」と断ってはいましたが、かなり反発していましたよ(笑)。あまりにベタな展開に私は笑ってしまいました。エロジャケついては言いつくされたネタだと思う私なので、中山さんのコラムには今更感がありました。でも、言いつくされたこと(アルバム)を新しい視点で評論することが大事と考えるる中山さんからすれば自然な成り行きかも?新しい視点があったかどうかは読者の皆様の判断にお任せします(笑)。

ということでやっと曲をかけます。
寺島さんの選曲。ブライアン・ピパー・トリオで前述の《アルマンドのルンバ》
寺島さん好みのラテンタッチのピアノ・トリオでした。

三森さんはフリー・ジャスが好きだったそうです。スイングジャーナル社の入社試験の小論文がアルバート・アイラーだったそうで、そんなことを書いたから落ちるかと思ったら受かったらしいです。そこから好みは変わるという話へ。90年頃にジュリー・ロンドンを聴いた三森さんは、ロンドンの全ての雰囲気に参ってしまったとか。それを聞いた寺島さんは「ロンドンは人工的な色気、大理石っぽくてダメ。」と言っていました。いつも寺島さんは嫌いなものを大理石に喩えますね。硬くて冷たい雰囲気のものがお嫌いのようです。三森さんによると、ジャズ評論家は皆ロンドンをダメと言ったそうです。

ジュリー・ロンドン《クライ・ミー・ア・リバー》をかけます。
三森さんはギターも好きなのでこれを選曲。寺島さんによると定番曲らしいです。

三森さんはフリー・ジャズもたまには聴くそうです。オーディオもそれなりに好きで、最近JBLのスピーカー”4492”を買ったという話からオーディオ話へ。アーチー・シェップでスピーカーをエージングしているんだそうです。三森さんが「4492は管も良く鳴らしつつ弦も良く鳴る。」なんて言うと、寺島さんから「どっちも良く鳴るのはどっちも良く鳴っていないとも言えませんか?どっちかが良く鳴るようでないとダメだと思うんですよ。」といつものジャズ・オーディオ論がありました。寺島さんはバランス感覚を良しとしないので、オーディオも偏ってしまいます。だから私はそんな寺島さんのオーディオは邪道だと思っています。

ここで「JaZZ JAPAN」の売れ行きの話へ。1回の刷り部数は1万5千部だそうで、同種の雑誌ではこんなに多く刷っているのはないとのことです。返品率を下げるように努力しているとのこと。1号の売れ行きは良いそうで、HMVの通販とかは売り切れたなんて話をしていました。寺島さんは「1号は売れて当然だけれど、問題は2号、3号。」と言っていました。1号はご祝儀相場というのがありますから、本当の売れ行きは2号、3号ではっきりすると私も思います。さて、3号も発売された今、その結果はどうなんでしょう?

寺島レコードも3年目に入り順調に売り上げが落ちてきたとか。岩浪さんはその要因の1つはマンネリ化だろうと、寺島さんはあきられる側面があると、言っていました。最近の新機軸は寺島レコードインポートのマーカス・シェルビー『ザ・ソフィスティケイト』とバリー・ハリス『イン・スペイン』なんでしょうね。

他に誰が好きかという話になり、三森さんはアーチー・シェップやアルバート・アイラーは番組に配慮して遠慮したということで、エリック・ドルフィーをかけることに。《ファイアー・ワルツ》です。寺島さんはドルフィーが嫌いなので異例?

寺島さんによると当時ジャズ喫茶でよくかかったそうです。「聴いていて厳しい。これだけいななかれると。ドルフィーのことを馬のいななきとはよく言ったものだ。」とご不満のようでした。寺島さんはオーネット・コールマンのほうが聴けるそうです。「オーネット・コールマンよりエリック・ドルフィーのほうが素晴らしい。」と岩浪さんが言っておりました。その後、岩浪さんのドルフィー論が出ると、寺島さんはわかりましたからもういいという感じで次の話題へ(笑)。まっ、いつものお2人の持論です。

「JaZZ JAPAN」について、ここまでのところあまり裏話はありませんでしたね。
この後は岩浪さんの興味深い意見といつもの山中千尋さん話が(笑)。
久しぶりに山中さん話で盛り上がりました。当然山中さんの新譜もかけますよ!
続きをお楽しみに!

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

PCM放送は来年8月で終了なので、もうひとつのサービス「スペースディーヴァ」
のほうが良いかもしれません。

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いきなりマリオン・ブラウン

レコード棚から適当にレコードを取り出して紹介。棚から一掴み。

P125 マリオン・ブラウン『ホワイ・ノット』(1966年rec. ESP/日本フォノグラム)です。メンバーは、マリオン・ブラウン(as)、スタンリー・カウエル(p)、ノリス・ジョーンズ(b)、ラシッド・アリ(ds)です。泣く子も黙る?ヨーロッパ・フリー・ジャズ・レーベル:ESPの1枚。時々フリー・ジャズも聴きたくなる私。ジャケットの雰囲気とメンバーを見て買ったような気がします。中古レコード。安かったはず(笑)。

全4曲ブラウンが作曲。内容はそれほど怖くありませんよ(笑)。レコードA面はフリー・ジャスというよりはスピリチュアル・ジャズです。収録されている2曲は落ち着いたバラード。鎮魂歌のようにも聴こえます。激しい場面もありつつ切々と慈しむように美しいメロディーを吹くブラウンが素敵です。

注目すべきはその後チャールス・トリバーと「ミュジック・インク」を結成するピアノのスタンリー・カウエル。これが初録音とのこと。カウエルのピアノの響きはとにかく美しいです。モーダルで哀感が漂ようとても新鮮な響きは心にしみ込んできます。

パルシブなビートを繰り出しつつ起伏を生み出すドラムのアリ。強靭でありつつ哀感の溢れたラインを弾くベースのジョーンズ。4人が一体となって美モーダルなサウンドを構築していく様はなかなか圧巻。A面は哀歌をじっくり味わいたいですね。私はこんなA面が好きです。

アルバムB面は普通のフリー・ジャズ2曲です。1曲目のタイトル曲はパルシブな高速4ビート。美しく飛翔するカウエル&ブラウンが聴きどころです。続くベースとドラムのソロはパワーを前面に押し出したもの。力強くも美しいフリー・ジャズ。

2曲目はトラディショナルなテーマのフリー・ジャズ。先発するカウエルは途中に短いストライド奏法をはさみつつパーカッシブで自由度の高いソロを展開。続くブラウンは高らかに歌い上げ、黒人霊歌のようなメロディーが出るくだりはアルバート・アイラー的。でもアイラーのような感情剥き出しではなく理性を内包するのがこの人。

ベースとドラムのソロも単にパワーだけでなく構成をしっかり意識しているのがこの人達のフリー。感情と知性のバランスを感じさせる真摯なフリー・ジャズはなかなかカッコいいと思う私です。

下のCDジャケットはレコードジャケットの裏面のものです。
なんで裏面のジャケットになっちゃったんだろう?
ちょっと抜け顔のブラウン(涙)。

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今日はマイナー・ピアノ・トリオ

これは最近聴いたピアノ・トリオの中では個人的にかなり好印象なのです。

P124 ケイト・ダントン『リアル&イマジンド』(2008年rec. Kait Dunton Music)です。メンバーは、ケイト・ダントン(p)、ダニエル・フォーセ(b)、ロス・ペデルソン(ds)です。自分の名前のレーベルなので自主制作盤なのかもしれません。女性ピアニスト。ベースもドラムも初めて聞く名前です。ディスクユニオンの新譜紹介コメントと試聴で聴いてみたくなりました。

全8曲ダントンが作曲。メカニカルなメロディーもあるのですが、不思議と無機的で冷たい響きにならず暖かいのが魅力的です。またESTやバッド・プラスのようなクラシックを基本にした尖がり系もあり、当然尖がったアプローチをしているのですが、それでも冷たい感じや人を拒むような感じがなくやっぱり暖かいのが魅力。ピアノの音は柔らかいけれど芯があり粒立ち良いもの。

リスム・アプローチは正に現代ピアノ・トリオ。変拍子をものともせずリズムチェンジも軽くこなし、畳みかけるように音を次から次へと繰り出す場面もあるのにそれが難解にならないところが面白いです。かなり知的なアプローチをしていると思えるのですが、あまり嫌みにならないんですよね~。情があるんです。う~ん、何なのだろうこのホンワカした包み込むようなテイストは?懐が広く深さもあるように感じます。

ベースとドラムも現代的なアプローチで積極的にピアノに絡んでサウンドを構築していきます。ベースはガッチリとリズムを支え、そこに小技を効かせたパーカッション的なドラミングが広がりを持たせるという展開。今のピアノ・トリオでは特にドラマーの役割が重要なのですが、見事にこなしてキレのあるヴィヴィットなリスムでトリオを推進させます。ベースもなかなか強靭ですよ。そんな2人を従えて悠々とピアノを奏でるダントン。これは意外と大物かもしれません?

全8曲約47分。収録時間と曲数は本当はこのくらいが良いのです。
ダントンの知的で暖かい世界に浸ってみませんか?
私的にかなりオススメのピアノ・トリオ

アルバム名:『REAL & IMAGINED』
メンバー:
KAIT DUNTON(p)
DANIEL FOOSE(b)
ROSS PEDERSON(ds)

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ド演歌、ガトー・バルビエリ!

ジャズ批評の今月号を読んでいたら、特集「20世紀CDコレクション」にガトー・バルビエリをあげている方がいました。「これ入れちゃうの?」と思ったのですが、私も持っていたので超久しぶりに聴いてみることにしました。はっ、嵌った(笑)!

P123 ガトー・バルビエリ『que pasa(邦題:ガトー・イズ・バック!)』(1997年、ソニー・ミュジック・エンタテインメント)です。メンバーは、ガトー・バルビエリ(sax)、フィリップ・セス(key,programming,drum programming )、プージ・ベル(dr,drum programming )、ヴァネッサ・ファラベラ(background vocal)、ロン・ジェンキンス(b)、マリオ・ロドリゲス(el-b)、シロ・バプティスタ(per)他、です。なんでこれを買ったのか全然記憶がありません。当時は真空管アンプ作りに熱が入っていた頃でジャズは疎かにしていました。

小川隆夫さんのライナーノーツによると、ガトーは最愛の奥さんが亡くなったり、自分が心筋梗塞で倒れたりして、アルバムを作るのは久々だったとのこと。小川さんのインタビューでガトーが色々語っています。心筋梗塞の手術を受け九死に一生を得たそうです。それが邦題の『ガトー・イズ・バック!』になっているのでしょう。ちょっと作為を感じるタイトル(笑)。

私のブログ・タイトルは”ド演歌”ですが、別にガトーが演歌をやっているわけではありません。南国トロピカルなイメージの甘い曲をやっているフュージョン・アルバムです。曲はガトーとフィリップ・セスが作っていて、1曲だけスティーヴィー・ワンダーの曲をやっています。

ではなぜ”ド演歌”なのか?それは基本的にセスが作った打込み主体のサウンドトラックの上で、ガトーがただひたすら例のコブシを効かせた鳴きのテナーを披露しているからです。曲の最初から最後までガトーの鳴きのテナーしかありません(笑)。これはもう都はるみの「あんこぉ~、つばき~ぃは~、あんこぉ~、つばきぃは、あ、あんっ、あ、あんっ、あ、あんあー、す~すりぃ~なぁ~き~」というコブシの効いた歌を聴くのと全く一緒なのです(笑)。

かなりしつこいのですが、ここまでやってくれると返って気持ちいい(笑)。色々なことを乗り越えた後のガトーのふっ切れた歓喜の叫びとでもいうようなものが、こちらの心に伝わってくるんです。亡くなった最愛の妻に捧げた《ザ・ウーマン・アイ・リメンバー》はベタな甘い曲で、もう日本の恋愛ドラマのテーマ曲にしても全く違和感なしです。ここまでストレートに愛を表現されると私なんかはちょっと恥ずかしいです(笑)。

今、これにかなり嵌っている私。聴き始めると全11曲ノンストップで約1時間聴いてしまうんだからかなりのものです。痛快アルバム!これを再認識させてくれたジャズ批評に感謝(笑)!

「20世紀CDコレクション」は今のご時世を反映してか、もう色々なものがごった煮状態で入っているので笑えます。で、それが意外と私の持っているものと被っているので、私のコレクションがいかにいい加減でごった煮状態なのかを再認識した次第。

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