ちょっと枯れた感じがグッドです。
さて、今日はいつものペースで今頃新譜?紹介(笑)。
チャールス・ロイドの『ミラー』(2009年rec. ECM)です。メンバーは、チャールス・ロイド(ts,as,voice)、ジャエイソン・モラン(p)、リューベン・ロジャース(b)、エリック・ハーランド(ds)です。数年前に出たライブ盤と同じメンバーでのスタジオ録音。今回はミュージックバードのブランニューCDで聴いて気に入ったので購入。私が徘徊するジャズ・ブロガーの皆さんはとうにレビューをUPしています。
私がチャールス・ロイドを知ったのは、ミシェル・ペトルチアーニを連れてモントルー・ジャズフェスティバルに出た際のライブ盤が発売された時です。私がジャズを聴き始めた翌年。でも当時は聴きませんでした。他に聴きたいものが多かったからです。最初に聴いたのは『フォレスト・フラワー』だいぶ後のことでした。聴いた時、「いいアルバムだなー。」と思いました。
それからはロイドの中古レコードを2枚(ペトルチアーニとのライブ盤も含む)買った程度。ジャズ喫茶「ジニアス」で聴いて気に入った『アコースティック・マスターズⅠ』を買ったり、ジャズ喫茶「マイルストーン」で『フォレスト・フラワー』のオリジナル盤を買ったりもしていました。前作のライブ盤『Rabo de Nude』も一応買いましたよ。そして今回のアルバムなのですが、ロイドは好きだけれど、どうもすぐに買いとならないのが、私とロイドの距離感みたいです(笑)。
チャールス・ロイドのアルバムについて書いた過去ブログ。
ジャス喫茶「ジニアス」
ジャス喫茶「マイルストーン」
ロイドとリーブマン
ジャズ喫茶紹介の記事になぜかロイドが登場(笑)。
前ライブ盤をブログで紹介していなかったのは、当時まだ内省的な雰囲気が苦手だったから。でも、今となっては内省的なものはたくさん聴いて慣れてしまったので、なかなか良いです。
さて、やっと本題、今回のアルバムについてです。
まずは落ち着いた雰囲気でちょっと枯れた感じのロイドのテナーが味わい深いですね。そこにジェイソン・モランの独特の美を漂わせるピアノが寄り添って、侘寂(わびさび)を感じさせる美世界を展開しています。何か日本的な美を感じさせます。こういう美世界は日本人好みなんじゃないかと思う私。今回はあまり内省的だとは思わないのですがどうでしょう?
ロイドの塩辛い擦れたテナーの音もいいですね。これでもうちょっと”フガフガ”になるとジョー・ロバーノみたいになって、私は苦手になってしまうのですが、そこまでいかないのが良いところです。このテナーの音からして既に”侘寂”。フレージングは軽くウネウネしつつも歌心を大事にしているのがグッド。丁寧にフレーズを綴っています。1曲目はアルトを吹いているようですね。珍しい!
モランのピアノもいいですね。この人、自分のアルバムでは独特な毒成分が出て、ちょっとアクが強かったりするのですが、ここではもっと素直に弾いていて、それが独特の美に昇華されていると思います。そしてロイドととても相性が良いのです。ロジャースのベースは控えめでいてしっかりサポート。ハーランドのスネアによる細かいパルス的煽りが程良く演奏をプッシュし、時折”バシッ”とアクセントを決めていくのが素晴らしいです。
私はロイド作のアルバム・タイトル曲が特にお気に入り。何とも言えない哀愁と気持ちを和らげてくれるようなメロディーは素敵。《リフト・エブリ・ボイス・アンド・シング》と次の曲はちょっとフリーで激しい部分もありますが、これも悪くないです。ラストはロイドが詩の朗読も交えてシネマチックに幕を閉じます。
秋の夜長にじっくり味わうのには最高のアルバムではないでしょうか?
アルバム名:『Mirror』
メンバー:
CHAELES LLOYD(ts,as,,voice)
JASON MORAN(p)
REUBEN ROGERS(b)
ERIC HARLAND(ds)
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コメント
ECMに移籍してきた(復活した)初期の頃の、ボボ・ステンソンとか北欧メンバーでやっていた頃のアルバムも良かったですが、最近はこのメンバーで確か2作目で、かなりいい雰囲気ですね。
確かに「ちょっと枯れた感じ」で、それを若いメンバーで、いい雰囲気のサウンドでサポートしているのがまた、いいです。今では彼ら、そうそうたる顔ぶれですもんね。このアルバム、気に入ってます。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2010年10月27日 (水) 20時05分
910さん
TBありがとうございます。
後ほど私からもTBさせていただきます。
北欧メンバーとやったのは1枚持っていますがいいですよね。
このメンツ、ほんとに現代精鋭だと思います。
ロイドと他の若手がお互いに影響を及ぼし合っていい感じになっていると思います。
私もこのアルバムはかなり気に入っています。
投稿: いっき | 2010年10月27日 (水) 20時22分
これ良いですよねぇ。
わたしは、この人とトーマススタンコが結構好きなの。
二人とも、あまり情報がないので、、新譜はなるべく日本版買います。
尊敬してるんだもん。
こういう、尊敬の気持ちは、、ギルエヴァンスにもあったりしますです。はい。
少し前に新潟のライブハウスで聴いた高橋さんって、サックスは見事な枯れ方で、、ロイドがかぶりました。
トラバいたしました。
ありがとうございました。
投稿: すずっく | 2010年10月31日 (日) 15時53分
すずっくさま
こんにちは。
トラバありがとうございます。
>これ良いですよねぇ。
はい、いいと思います。染みます。
>わたしは、この人とトーマススタンコが結構好きなの。
スタンコは5年くらい前に話題になった『サスペンディッド・ナイト』がお気に入りです。独特の愁いがあるのが好きなところかな。
>二人とも、あまり情報がないので、、新譜はなるべく日本版買います。
そうですね。確かにあまり情報はないです。
日本版のライナーノーツも情報源としては価値がありますね。
>尊敬してるんだもん。
いいですね。尊敬。リスペクト。大事だと思います。
>少し前に新潟のライブハウスで聴いた高橋さんって、サックスは見事な枯れ方で、、ロイドがかぶりました。
高橋知己さんですね。私はラジオでチラッと聴いたくらいです。高橋さんもロイドもコルトレーンから出発して、年齢を重ねて今に至って良い感じになっているのでしょう。
う~ん、そうなるとマイケル・ブレッカーの枯れたテナーを聴きたかった。今や叶わぬ夢となってしまったのがとても残念です。
投稿: いっき | 2010年10月31日 (日) 16時52分