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トランペット・トリオと言えばこの人

新譜紹介いきまっせ~。
今回も私にしてはかなり早めの紹介です。

P113 アヴィシャイ・コーエン『トリヴェニ』(2009年rec. Anzic Records)です。メンバーは、アヴィシャイ・コーエン(tp)、オマー・アヴィタル(b)、ナシート・ウェイツ(ds)です。アヴィシャイ・コーエンは同姓同名のベーシストがいるのでややこしいのですが、こちらはトランペッターの方です。

コーエンのトランペット・トリオです。この人のトランペット・トリオと言うと、『ザ・トランペット・プレイヤー』(3曲はテナー・サックス参加)という2000年代名盤があります。このアルバムはほとんどの人がいいアルバムだと言っていて、もちろん私も素晴らしいアルバムだと思っています。現代ジャズを聴いているなら、これを聴いていなきゃモグリです(笑)。

そんなコーエンのトランペット・トリオの新譜が出るというので迷わず買いました。今回の録音の方がトランペットの音がまろやかなので、少し優しい感じかな?と一瞬思ったのですが、よく聴けばその集中力。アドリブ一発にかける意気込みは今回も劣っていないことがわかります。この人の演奏は難解さがあまりないところがいいですね。ストレートにジャズをしています。

今回はコーエンのオリジナルだけではなく、ジャズマン・オリジナルやスタンダードもやっているので、より親しみやすいのではないかと思います。そうは言っても取り上げているのはドン・チェリーとコルトレーンですが(笑)。

私はコルトレーンのスピリチュアルな《ワイズ・ワン》なんかはかなりお気に入りです。アヴィタルがベースをグリグリひっ掻き、ウェイツがマレットを操って盛り上げ、コーエンが音を吐き出すと、気分は最高っす(笑)!一方チェリーの《アート・デコ》の軽快でオープンな雰囲気も悪くないです。冒頭フリーですが、その後のオーソドックスな4ビートに乗って舞うコーエンは本当に気持ち良さそう。

コーエンの曲はイスラエル出身ならではの哀愁ユダヤメロディー。結局難解さがあまりないのは曲がわかりやすいからなんでしょうね。1曲目の《ワン・マンス・イディア》は《イッツ・オンリー・ペイパー・ムーン》にちょっと似ています。小気味良くそして熱く演奏していますね。《アメン》は良いメロディー、ミュート・プレイがじわじわきます。こういう曲ではコーエンと同じくイスラエル出身のアヴィタルのベース・ラインがよくマッチしていると思います。

そして今回はベタなスタンダード曲《ユー・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ》が入っているのがちょっと意外。奇を衒わず丁寧にフレーズを積み重ねていくコーエンのアドリブはなかなかの説得力だと思います。アヴィタルのベースもウェイツのブラシもオーソドックスだけれどきちんと聴かせてくれます。この人達、決して現代性だけでなくきちんとジャズのルーツにつながっていることがわかります。

ラストの《オクトーバー25th》はファンク。こういう8ビートも上手いのが現代のジャズマンですね。私はこういう”ロッケンロー”なナンバーが好きなんですよ(笑)。ラストへ向かってドラムが突っ走り、それにコーエンがトランペットで熱く応える展開が最高です。曲が終わると拍手がミックスされているんですが、その気持ちはよ~くわかります。

コーエンのトランペット。やっぱりいいですね。
全8曲。捨て曲なしのガチンコ勝負でした。

アルバム名:『TRIVENI』
メンバー:
Avishai Cohen(tp)
Omer Avital(b)
Nasheet Waits(ds)

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コメント

他ではなかなか聴くことのできないトランペット・トリオということで、楽しみにしてました。

「The Trumpet Player」とはまた違うサウンド(聴く前の予想に近かったのは8曲目)でしたけど、トリオの寂しさなんて全然感じさせず、トランペットのフレーズがけっこう良くて、満足感の高いアルバムに仕上がってました。他の2人との相性も良かったですね。トリオとしてバッチリでした。

TBさせていただきます。

投稿: 910 | 2010年10月16日 (土) 13時16分

910さん

TBありがとうございます。

>「The Trumpet Player」とはまた違うサウンド

そうですね。
それがかえって良いのかもしれません。

>トリオの寂しさなんて全然感じさせず、トランペットのフレーズがけっこう良くて、満足感の高いアルバムに仕上がってました。

よく出来ていると思いました。
トランペット・トリオでこれだけ聴かせられるところが凄いです。

>他の2人との相性も良かったですね。トリオとしてバッチリでした。

バランスが良くまとまりのあるトリオだと思いました。
3人のサウンド志向が合っているんだろうと思います。

投稿: いっき | 2010年10月16日 (土) 14時51分

こんばんは。
とらばしっぱなしで、すみません。

このアルバムは、聴くほどにコーエンのうまさがたんのうできました。
なかでも、コルトレーン曲は、なんどもきいているのですが、違和感なく彼のものになっていて、感激!

えらいぞ、コーエン。(笑)

投稿: すずっく | 2010年10月23日 (土) 19時58分

こんばんは。

>とらばしっぱなしで、すみません。

どうぞお構いなく。
トラバしていただけて嬉しいです。
ありがとうございます。

>このアルバムは、聴くほどにコーエンのうまさがたんのうできました。

そうですね。
コーエンのトランペットは表情豊かでいいと思います。

>なかでも、コルトレーン曲は、なんどもきいているのですが、違和感なく彼のものになっていて、感激!

コルトレーンは意外でした。
ほんと、彼のものになっていると思います。
これは私も好きな演奏です。

>えらいぞ、コーエン。(笑)

確かにエライ。誉めてあげたい(笑)。

投稿: いっき | 2010年10月23日 (土) 22時23分

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