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2010年10月

今日の「プロファウンドリー・ブルー」は凄かった。

今日の衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」JAZZチャンネルの
「プロファウンドリー・ブルー」(行方均さんの番組)は
知る人ぞ知るオーディオ・マニア”趣味の極道”三上剛さん邸での実況録音。
「ブルーノートのオリジナル盤を超高級オーディオで聴く(前編)」。

三上さんのホームページ:「趣味の獄道」
”極道”じゃなくて”獄道”に変わっていますね。

三上邸の超高級オーディオでブルーノートのオリジナル盤を聴こうという企画。
ゲストには小川隆夫さんまで加わって、
ブルーノートを語らせたら今日本では最強のメンツでしょう。
中山康樹さんも加われば更に凄いかな(笑)。
今回は前編ということで三上邸の”モノラル部屋”で収録。

残念ながら番組開始後10分頃から聴き始めました。
今日はツイッターのつぶやきをブログにします。

私のツイッターのユーザー名は「jazzikki」です。

以下つぶやき。

衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」の「プロファウンドリー・ブルー」(行方均さんの番組)は三上剛志邸から。小川隆夫さんも交え三上邸のオーディオで聴くというのは、マニアには堪らない放送です。JRモンテローズをオリジナル盤で聴く。いや~、贅沢。

実況録音でも凄くいい音で聴こえます。生で聴いたらさぞかしいい音なんでしょうね~。三上剛さん恐るべし。続いてSP盤。ブルーノート・フォルダー?のアイク・ケベック。針音(ノイズ)はあるけれど、なまめかしい音は素晴らしいですね。SPファンがいるのもうなずけます。

この番組をYAMAHAのHD/CDレコーダーあたりに録音すればお宝番組になりそうです。

バド・パウエルの《ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド》をオリジナルSP盤で聴く。これも贅沢だな~。パウエルの演奏。スロー・テンポで格調高く。パウエルはやっぱりイイ。パウエルをちゃんと聴くべきです。

パウエルの同曲を10インチ盤(5003番)、LP盤(1504番ルディ・ヴァン・ゲルダーが当時リミックス)で聴き比べ。当然全てオリジナル盤です。私にはSP盤の荒っぽくも生々しい音が印象的でした。

ヴァン・ゲルダーの音ということで、ハンク・モブレー(1568番)。ブルーノートのオリジナル盤で一番高いらしいです!ノイズ皆無。ファン垂涎!ブルーノート・サウンドの極致ですな(笑)。

三上邸のウェスタン・エレクトリック・スピーカーでブルーノートのオリジナル盤を聴く。極楽ですな。次は小川さんリクエスト『クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム』から《イージー・リビング》。いい演奏をいい音で、極楽過ぎて死んでしまいそう(笑)。

ラストは行方さんのリクエスト。ヴァン・ゲルダーが録音に苦労したというリー・モーガンのトランペットで《キャンディー》。最初のドラムの音が素晴らしいと言っていましたが、その通りでした。何たるいい音!三上邸で生で聴いたら凄いんでしょうね。

《キャンディー》は途中フェードアウトで寺島靖国さんの「PCMジャズ喫茶」のテーマ曲。あまりの音の違いに(笑)。今日のゲストは「JaZZ JAPAN」編集長の三森隆文さん。話題の人ですね。

今日はこれらをオリジナル盤で聴くことができたので良い気分でした。
来週後編は三上邸の”ステレオ部屋”で収録。楽しみです。

今、我が家のオーディオでレコードを聴きながら書いています。
我が家のは中級で自作からオークション中古も混じるものなれど、
オーディオ気分は三上邸に負けてはいないはず?です(笑)。

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「ジャズ批評」の「ブログ・ウォーキング」コーナーは終了

「ジャズ批評」誌に掲載されていた「ブログ・ウォーキング」のコーナーは
前号で終了となりました。
なので、今号には当コーナーはなし。私の出番もなし?
ノー! 私の投稿が掲載されています(笑)。
「ブログ・ウォーキング」終了の知らせが来る前に投稿したものです。

特集「20世紀CDコレクション」「コレクターのお宝」コーナー。
記事募集では「これは話題にしたいというCDがありましたら。」だったはず。
私があげたCDは“お宝”じゃないので誤解なきよう(笑)。

それにしてもペンネームが「いっき」なので目立ちますね。
他の皆さんは漢字で名前を書いているので私だけ浮いています。
いや~っ、一人だけ浮いてるのって気持ちイイ(笑)。

3枚という指定と字数制限を守って書いたら、紙面スカスカです。
さて、私の3枚が凄い。これが“お宝”だったら困りますよ(笑)。
こういうのを話題にする人はいないだろうというものを敢えてUP。

どうです。クールだな~(笑)。
一応コンテンポラリー・ジャズという括り。
ハービーだけは他の方と被ってしまったー。悔しー!
3枚は私の愛聴盤です。

ハービー、上原ひろみ、マーカス・ミラーをあげた高木信哉さん、
あなたは私に近い発想をお持ちのようです(笑)。

「ブログ・ウォーキング」の話を少々。

ネタには意外と困らなかったです。
そりゃそうでしょ。ほぼ毎日ブログを書いているんだから。
ただし書きたい記事と投稿時期が合わなくて残念なことは多々ありました。
字数は足りなかったです。
書きたいことはたくさんあるので、いかに無駄をそぎ落とすかに工夫を要しました。
内容は単なるアルバム紹介ではなく、私を取り巻くジャジーな諸々を盛り込むこと。
それをアルバム紹介のフォーマットに落とし込むのが面白かったです。
アルバム紹介フォーマットに従わなくても良かったのですが、
敢えてフォーマットには拘りました。
私にとってはコード進行やモードでアドリブをする感じだったのです。

とても良い経験をさせていただきました。
「ジャズ批評」誌の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

次回は投稿の募集がないけど、その次は「年間ベスト盤」に投稿しますよ!

大事なことなのに書き忘れていたことがありました。ごめんなさい!
「ブログ・ウォーキング」に書かせていただけるようになったのは
先に書いていたジャズ友高野雲さんの推薦のおかげでした。
雲さんどうもありがとうございました。

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もう少しECM系NY現代サウンドをやってほしかった。

最近ECMレーベルのアルバムを結構買っています。以前、最近のECMはいまいちと書いたんですが、発言を撤回します(笑)。やっぱりECMはポリシーも一貫しているし、ず~っと一定のクオリティーを確保したジャズを出し続けているし、素晴らしいレーベルだと思います。まっ、そうは言ってもECMレーベルにはあまり拘りはないですけどね。

P122 マイケル・フォーマネク『ザ・ラブ・アンド・スペアー・チェンジ』(2009年rec. ECM)です。メンバーは、マイケル・フォーマネク(b)、ティム・バーン(as)、クレイグ・テイボーン(p)、ジェラルド・クリーバー(ds)です。最初に気になったのはジャケット写真。この色具合に夜景の吊り橋と言えば、ジャズ喫茶「いーぐる」の壁に飾られたアルバムの勘違い事件(笑)。

これらのアルバムの夜景の色調が好きな私です。
味わい深くモダンなサックス・トリオ
ジャケットを勘違いしたアルバム

このアルバムを買った一番の理由はメンバー。ティム・バーンが参加しているし、テイボーンにクリーバーとくれば現代ニューヨークのジャズを追いかけているなら買わずにいられないですよね。それにこのメンバーでECMレーベルというのも珍しい感じです。ついでにミュージックバードの「ブランニューCD」で2曲聴いたらなかなか良い感じでした。フォーマネク12年ぶりのリーダー・アルバムなんだそうです。全7曲フォーマネクのオリジナル。

1曲目《トゥエンティー・スリー・ネオ》が始まった瞬間、ピアノのリフとベースのアルコから不穏な感じと郷愁が漂ってきます。更にエスニックな鳴きのアルトにドラムの不穏なパルス。このメンバーならではの独特な美的サウンドです。どことなく気品を感じさせるのはECMレーベル故か?短いピアノ・ソロを挟んで後半は少しテンポ・アップ。アドリブ・ソロというよりは音を少しずつずらして塗り進めていく感じが面白いです。この曲は私のお気に入り。

2曲目《ザ・ラン・アンド・スペアー・チェンジ》はヨーロッパ・エスニック・サウンド。そして変拍子炸裂。このメンバーにしてヨーロッパ的というのが面白いところです。バーンのアルト・ソロを主体にした曲で、静かに始まり徐々に盛り上がる展開なれど爆発しないで寸止めなのが今時。バックのピアノ、ベース、ドラムは曲イメージとリズムを維持しつつかなり自由。後半のテイボーンのピアノ・ソロはクラシック基調のフリー。リズムとテンポも柔軟に変化。キラキラと転がるピアノがとても美しいです。燃え上がらず内に熱気を秘めつつ慎重に進む感じも今時のもの。始終美しさを感じさせるところがECMレーベルのなせる技か?

次の《インサイド・ザ・ボックス》は無機的でメカニカルなテーマの現代ニューヨーク・サウンド。変拍子で途中から4ビートも交える展開。あれっ、早くもECM効果はなくなってしまったのでしょうか?このメンバーらしい現代フリー/モード・ジャズを展開しています。《ジャックズ・ラスト・コール》はピアノ・トリオによるフリー・ジャズ。テイボーンのピアノが美しくダイナミックでスピリチュアル。それほど無茶苦茶はやっていないので安心して聴けます。個人の集中力や技は良いのですが、ありがちな演奏なのがちょっぴり残念かも?

《トーナル・スイート》は17分の大曲。《トーナル組曲》というだけあって、一定のサウンド・トーンを維持しつつ、いくつかのパートに分かれて(切れ目はなし)演奏が進んでいきます。このメンバーお得意のフリー/モード・ジャズだと思います。テイボーンのピアノはソフトなセシル・テイラーという感じで、そうなるとバーンはセシルの盟友ジミー・ライオンズか?質の高い演奏ですが今更な感じもしなくはありません。ラストの《トゥ・ビッグ・トゥ・フェイル》は変拍子の現代ニューヨーク・モード/フリー・ジャズ。私にとっては面白さ不足かも?バーンがかなり激しく吹いてくれるのが救いです。

結局最初の2曲は新鮮で面白かったのですけれど、3曲目からは普通の現代ニューヨーク・ジャズになっちゃったのが少々残念。ECMレーベル効果は中途半端に終わってしまったみたいです。演奏の質は高いので気になる方は是非聴いてみて下さい。

アルバム名:『THE RUB AND SPARE CHANGE』
メンバー:
Michael Formanek(b)
Tim Berne(as)
Craig Taborn(p)
Gerald Cleaver(ds)

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今月号の「JaZZ JAPAN」も買ってみました。

一応今月号の「JaZZ JAPAN」も買ってみました。

”月刊エレクトーン11月号別冊”!

まだよく読んでいませんが。

ジャズ・レコード・レビューのカラーページ。

ハイ・ファイブ、マルサリス・ファミリー・アンド・フレンズときて、

その後に続く女性ボーカル5連発!

伝統芸能ジャズ&女性ボーカルが日本のジャズ需要ねっ。

わけがわかんな~い(笑)!

エッセイ&コラム。

中山康樹さんは相変わらず

「モーニン」「カインド・オブ・ブルー」「レフト・アローン」について書くことが

ジャズ評論だって言ってるし(笑)。

そんな中山さんに面と向かってからむ山中千尋さん素敵(笑)。

わけわかんない!

寺島さんと岡崎さんへのお題が”イチロー”?

わけがわかりません(涙)!

日本のジャズ界隈ってこんな感じなの???

というわけで手抜き更新一丁上がり。

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ちょっと枯れた感じがグッドです。

さて、今日はいつものペースで今頃新譜?紹介(笑)。

P121 チャールス・ロイド『ミラー』(2009年rec. ECM)です。メンバーは、チャールス・ロイド(ts,as,voice)、ジャエイソン・モラン(p)、リューベン・ロジャース(b)、エリック・ハーランド(ds)です。数年前に出たライブ盤と同じメンバーでのスタジオ録音。今回はミュージックバードのブランニューCDで聴いて気に入ったので購入。私が徘徊するジャズ・ブロガーの皆さんはとうにレビューをUPしています。

私がチャールス・ロイドを知ったのは、ミシェル・ペトルチアーニを連れてモントルー・ジャズフェスティバルに出た際のライブ盤が発売された時です。私がジャズを聴き始めた翌年。でも当時は聴きませんでした。他に聴きたいものが多かったからです。最初に聴いたのは『フォレスト・フラワー』だいぶ後のことでした。聴いた時、「いいアルバムだなー。」と思いました。

それからはロイドの中古レコードを2枚(ペトルチアーニとのライブ盤も含む)買った程度。ジャズ喫茶「ジニアス」で聴いて気に入った『アコースティック・マスターズⅠ』を買ったり、ジャズ喫茶「マイルストーン」で『フォレスト・フラワー』のオリジナル盤を買ったりもしていました。前作のライブ盤『Rabo de Nude』も一応買いましたよ。そして今回のアルバムなのですが、ロイドは好きだけれど、どうもすぐに買いとならないのが、私とロイドの距離感みたいです(笑)。

チャールス・ロイドのアルバムについて書いた過去ブログ。
ジャス喫茶「ジニアス」
ジャス喫茶「マイルストーン」
ロイドとリーブマン
ジャズ喫茶紹介の記事になぜかロイドが登場(笑)。

前ライブ盤をブログで紹介していなかったのは、当時まだ内省的な雰囲気が苦手だったから。でも、今となっては内省的なものはたくさん聴いて慣れてしまったので、なかなか良いです。

さて、やっと本題、今回のアルバムについてです。

まずは落ち着いた雰囲気でちょっと枯れた感じのロイドのテナーが味わい深いですね。そこにジェイソン・モランの独特の美を漂わせるピアノが寄り添って、侘寂(わびさび)を感じさせる美世界を展開しています。何か日本的な美を感じさせます。こういう美世界は日本人好みなんじゃないかと思う私。今回はあまり内省的だとは思わないのですがどうでしょう?

ロイドの塩辛い擦れたテナーの音もいいですね。これでもうちょっと”フガフガ”になるとジョー・ロバーノみたいになって、私は苦手になってしまうのですが、そこまでいかないのが良いところです。このテナーの音からして既に”侘寂”。フレージングは軽くウネウネしつつも歌心を大事にしているのがグッド。丁寧にフレーズを綴っています。1曲目はアルトを吹いているようですね。珍しい!

モランのピアノもいいですね。この人、自分のアルバムでは独特な毒成分が出て、ちょっとアクが強かったりするのですが、ここではもっと素直に弾いていて、それが独特の美に昇華されていると思います。そしてロイドととても相性が良いのです。ロジャースのベースは控えめでいてしっかりサポート。ハーランドのスネアによる細かいパルス的煽りが程良く演奏をプッシュし、時折”バシッ”とアクセントを決めていくのが素晴らしいです。

私はロイド作のアルバム・タイトル曲が特にお気に入り。何とも言えない哀愁と気持ちを和らげてくれるようなメロディーは素敵。《リフト・エブリ・ボイス・アンド・シング》と次の曲はちょっとフリーで激しい部分もありますが、これも悪くないです。ラストはロイドが詩の朗読も交えてシネマチックに幕を閉じます。

秋の夜長にじっくり味わうのには最高のアルバムではないでしょうか?

アルバム名:『Mirror』
メンバー:
CHAELES LLOYD(ts,as,,voice)
JASON MORAN(p)
REUBEN ROGERS(b)
ERIC HARLAND(ds)

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久々に寺島靖国さんの「PCMジャズ喫茶」の話題

衛星デジタルラジオ 「ミュージックバード」 の番組「PCMジャズ喫茶」、一時期細かくレポートしていましたが、最近はあまり興味が湧かなくなってしまいました。番組を何度も聴くうちに寺島さんや岩浪さんの考え方がわかってしまい、毎度同じことを言っているので、ツッコミを入れる気にならないのです。出会った頃は合うのが楽しくても、何度も合っているうちに興味が湧かなくなってしまうことってありますよね(笑)。

前回の番組ゲストは、EMIミュージックジャパンのジャズ・アンド・クラシック制作ディレクター花村路津子さんでした。ジャズに興味はあるけれどまだまだジャズ初心者という感じでした。話題はコンピレーション・アルバムや自分のレーベルのノラ・ジョーンズのことで、女性ジャズ・ファンのステレオ・タイプと感じました。日本のメジャー・ジャズ・レーベルの制作現場は、私なんかのようにジャズ・ファンを長くやってきた人と乖離していることがよくわかった次第。こういうことに色々言っても仕方がないので番組を聴いておしまい。

さて、今回のゲストは、「新宿DUG」オーナー&ジャズ・フォトグラファー中平穂積さんだったので、面白い話が聞けるんだろうと楽しみでした。

1961年ジャズ喫茶「DIG」を始めるにあたり、従来のジャズ喫茶の「コーヒーがまずい」「音量が大きいだけで音が悪い」「リクエストしても目当てのレコードが意外とない。」を改めようと思ったそうです。当時通っていたジャズ喫茶として「木馬」「ポニー」「ヨット」「ママ」などををあげていました。

レコードは新宿のレコード屋「マルミ」で買ったそうですが、店主の鈴木さんが商売上手だったなんて話もありました。コーヒー1杯が¥60、¥70の時代に輸入盤は¥4,000だったとか。今の感覚では数万円です。それでも高価な輸入盤が買えるくらい当時のジャズ喫茶は繁盛していたそうです。当時を知る人の口からはよく「マルミ」の話を聞きます。(以降ピンク字は私のコメントです。)

ある時期、ライブも始めたそうですが、「これからライブをやります。」と言うと、来店したお客さんの中には「じゃあまた今度。」という人が少なからずいたようで、ライブのお客さんとジャズ喫茶でレコードを聴くお客さんは客層が違うという話がありました。これは今でもあまり変わらないことですよね。

寺島さんから中平さんへのリクエスト。「これを聴いてジャズ・ファンになった。」という1枚は『ジェリー・マリガン・カルテット』でした。中平さんは和歌山のど田舎で生まれたそうで、中学生の頃はNHK第2(AMラジオ放送)の「リクエストアアワー」という番組をよく聴いていたそう。高校生になり「グレンミラー物語」を見てジャズを意識し、東京に出てきた時に出会ったのがジェリー・マリガンやチェット・ベイカー。

中平さんは昭和11年生まれなので、高校卒業後に東京へ出てきたとすると昭和30年(1955年)ですね。当時イースト・コーストのブルーノート、プレステッシ、ロリンズ、マイルスなどはまだ日本に入ってきていなくて、ウエスト・コーストの方が先に入ってきたとのことでした。そんな関係でジェリー・マリガンをかけることに、曲は《ララバイ・オブ・ザ・リーブス》。寺島さんもこの選曲には大満足のようでした。寺島さんによるとこのレコードのチェット・ベイカーのソロを聴いて「ジャズのソロは麗しい。」と思ったそうで、またこれを超えるようなものはめったにないことをその後知ったそうです。

私がマイルスの『パンゲア』を聴いてジャズは凄くスリリングな音楽だと思い、またそれを超えるものはめったにないことをその後知ったのと同じですね。対象は全く異なりますが、ジャズを聴き始めた頃の体験は鮮烈な印象を残すんでしょう。

フリー・ジャズの話へ。まずは植草甚一さんとの出会いから。ある時「ポニー」へ行ったら植草さんの隣の席しか空いてなくて(多分皆植草さんと知って隣に座りにくかったのだろうという話でした)、しょうがないので中平さんは植草さんの隣に座ったとのこと。その時リクエストしたのがセシル・テイラーで、植草さんから「これをリクエストしたのは君か?」と聞かれ、そこから交流が始まったんだとか。

植草さんからはジャズ喫茶を始めることをさんざん反対されたそうですが、中平さんはそれを押し切って始めたそうです。ある時期からお店で前衛ジャズをかけるようになり、最初は嫌がる客が2/3いたので、火曜日だけを前衛ジャズ専門にかける日としたそうです。ところが、半年もしたら火曜日が一番混む日になったとか。

その頃「スイングジャーナル」誌上でフリージャズの対談があり、油井さん、岩浪さん、中平さん、野口さんが参加。ジャズ喫茶店主の中平さんと野口さんが参加していたので、寺島さんはジャズ喫茶店主としてそれを羨ましく見ていたとか。フリー・ジャズ擁護の油井さんと中平さん、フリー・ジャズ反対の岩浪さんと野口さんという構図だったそうで、寺島さんは岩浪さんと野口さんを応援したそうです(笑)。

寺島さんから「セシル・テイラーはどこが面白いのか?」という質問があり、まず中平さんはフリー・ジャズはでたらめにやっているわけではないという話をしていました。山下洋輔さんから聞いた話とのことでしたが、セシル・テイラーと山下洋輔がデュオのライブをするというので、セシルの家に行ったら、当時セシルは具合が悪かったにもかかわらず、家にあった2台のピアノで山下さんと一緒に6時間も練習したとのことです。これには山下さんも驚いたらしいです。

ライブの当日も夜7時開演なのに、セシルは12時に会場へ来て、その後5時間くらいリハーサルをしたらしいです。リハーサルを重ねて段取りは確認するということですね。中平さんは「バド・パウエルと同じ。」とも言っていましたが、残念ながらその意味するところは番組できちんと語られないまま雰囲気で進んでしまいました。

かけたのは中平さんの愛聴盤『ザ・ワールド・オブ・セシル・テイラー』から《エアー》。聴き終わった寺島さんは「50年ぶりくらいに聴いたけど、思ったほど過激でないね。」とのことでした。岩浪さんは「キラキラしているけど、カワイイところもある。」なんて言っていました。寺島さんは「今、耳は慣れちゃったが当時は凄かった。嫌悪感はない。」「当時『クール・ストラッティン』とかに聴き飽きてこっちへ行ったという側面もあるよね。」と言っていました。中平さんも確かにそういう面はある。」と言っていました。

たくさんジャズを聴いてからこういうのを聴くと意外と聴き易いものです。名前でジャズを聴くのも良くないけれど、名前でジャズを聴かないのもまた良くないと思う私。

中平さんはセロニアス・モンクも好きだそうです。ヴォーグ盤『ソロ・モンク』から聴き始めたとのこと。寺島さんはいつものモンク批判。ミュージシャンはモンクをやると博が付くと思ってやりがちだが、何々集の中ではモンク集が一番売れないらしといういつもの話を展開していました。

続いて中平さんのお店で録音したレコードの話へ。最初に録音したのは「ジャーマン・オール・スターズ(アルバート・マンゲルスドルフなど)」だったとか。その後バリー・ハリスとかを録音したらしいです。中平さんはバリー・ハリスも好きで、『アット・ザ・ジャズ・ワークショップ』が最高で、ピアノ・トリオ・アルバムの3本指に入ると言っていました。寺島さんは10本指だとか。中平さんはベースのサム・ジョーンズが特に素晴らしいと言っていました。私もバリー・ハリスは好きで、このアルバムも結構よく聴いていた時期があります。サム・ジョーンズのピアノがズンズンと気持ち良いです。

寺島さんから中平さんに捧げるとのことでかけたのは『イン・スペイン』から《スウィート・ピー》。寺島レコード・インポートの第2弾です。日本のものが売れないから輸入盤に寺島さんが解説を書いて売ることになったんだそうです。寺島さん自身から宣伝も兼ねてとの言葉がありました(笑)。これはいいアルバムですよね。私も認めます。

曲が終わると、「若手の速弾きの連中に聴かせたい。」と中平さん、寺島さん、岩浪さんで意気投合していました(笑)。中平さんは「最近の人はライブを観ても格闘技みたい。音楽だからね~。」なんて言っていました。その意見にも一理あります。

そこからニューヨークに良いドラマーがいなくて困るという話へ。秋吉敏子さんがNYでトリオのライブをやろうとしたら、お店からドラムは連れてこなくていいと言われたとか。ドラムにガンガンやられるとお客さんが話もできないということらしいです。中平さんは周りに合わせ静かに叩けるドラマーがいないのは残念と言っていました。

バリー・ハリスはアドリブ・ソロを教える時に歌って教えるという話もありました。歌ったフレーズをピアノで弾けというそうです。つまり歌えるようなソロをとっているバリー・ハリスだからいいという話です。

そしていつもの「最近のジャズ・ファンはピアノ・トリオしか買わないけれどどうしてかわかる?」という質問。「テナー、アルト、トランペットにいい人がいなくて管ものが売れないからですよ。」という耳タコ話(笑)。寺島さん好みの人がいないだけなんですけどね。それを一般ジャズ・ファンの総意と言われても困ります(笑)。

そしてこれまたいつもの「ピアノ・トリオはピアノ、ベース、ドラムの一体感で聴くから、ピアニストの個性はあまり気にならない。」という話。岩浪さんは「寺島さんはサウンドで聴いているんでしょ。オーディオの音も含めて。」と言っていました。そこでまたいつもの「ジャズは良いオーディオで聴いてほしい。せめて100万出してほしい。ミュージシャンはオーディオに拘らないからダメ。」という寺島論。今時オーディオに100万もかける人が一体何人いるとお考えなのでしょう?

岩浪さんおすすめの選曲。片倉真由子『FAITH』から《Mrs.Parker Of K.C.》。ジャッキー・バイアード作曲。片倉はバークリーだけじゃなくて、ジュリアードも卒業した才女です。寺島さんに言わせるとジュリアードを卒業したことがもうダメなんですよ(笑)。理屈ジャズになっちゃうというわけ。以前番組でかけた時はこういうお堅いジャズはだめだと言っていたはずです。

曲後、中平さんは「素晴らしい。無駄な音を弾いていない。バップ・アクセントが素晴らしい。」と誉めていました。寺島さんも「ジャズがちゃんとしたフレーズ。」と意見を合わせていました。その後「もうちょっと肩の力が抜けたら良くなるんだけどね。」と軽く文句も言っていましたが、ここは中平さんをたててあまり反論しなかったようです(笑)。

お次は管ものでトロンボーン。『片岡雄三カルテット(第2作)』から《アイム・ゲッティング・センチメンタル・オーバー・ユー》。寺島さんはいつものトロンボーン論を展開。テクニックで速いフレーズを吹くJ.J.ジョンソンではなく、アービー・グリーンのように音色でゆたり聴かせるのがトロンボーンの良さだと言っておりました。それもまた良し。こんな具合で耳タコ話ばかりので、この番組も飽きてしまいました。

そこから最近のビッグ・バンド話。アレンジに凝ったりしすぎで、大らかなアンサンブルを聴かせていないとご不満でした。これも何度か聞かされています。守屋純子さんがゲストに来た時には特に凄かったです。守屋さんも負けじと応戦していたのが面白かったです。

 片岡雄三/Quartet(2nd) 片岡雄三/Quartet(2nd)
販売元:HMVジャパン
HMVジャパンで詳細を確認する

中平さんから「ジャズ喫茶の良さは皆で聴いて色々言い合えるところ。」という話がありました。それはライブも同じで皆で観に行って色々言い合うのが面白いとのことでした。こういう考え方なので、中平さんのところに色々な方が集まるのでしょうね。

寺島さんは「メグをサロン風ジャズ喫茶にしたけれど、そうなると逆にお客さんは喋らないものだから、もっと喋るようにお客さんに促す。」と言っていました。お客さんは一人できているので喋れないと言ったりするそうですよ。寺島さんは「難しいよね。」と言っていました。

ラストは中平さんが大好きなジャッキー・マクリーン。『ジャッキーズ・バッグ』から《ブルース・イン》。ソニー・クラークのピアノがいいという話もありました。曲が終わったあと寺島さんは「モダンジャズを感じる。」と言っていました。かける前はもう少し後期のフリーがかったものと勘違いしていたらしく、そのような発言になりました。ジャズ喫茶のオヤジはなんで皆マクリーンが好きなんでしょうね?マクリーンが好きだと言えれば、あなたもれっきとしたジャズ・ファン(笑)?

私が面白いと思った部分だけをピックアップして書きました。
中平さんはジャズが好きな飾らない人で、私は好感が持てました。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

PCM放送は来年8月で終了なので、もうひとつのサービス「スペースディーヴァ」
のほうが良いかもしれません。

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女性ボーカルはジャズじゃなくても良いのだ!

ブログを書いていたら変なアクセスがあって消えてしまった!
久々に大失態。書きなおしです(涙)。

今日は女性ボーカル特集。
ジャズではありません。
YouTubeから音源紹介。

ますはバーシア。ポーランド出身です。
この人のアルバムは昔ブログで紹介しました。
この曲でバーシアに目覚めました。
《クルージン・フォー・ブルージング》
アルバム『ロンドン・ワルシャワ・ニューヨーク』から。

いい曲だな~。美人だな~。
これっ、何かのCMに使われていませんでしたか?

同アルバムから《ベスト・フレンド》

高音ボイスがいいですね~。カッコいい。ギターのカッティングも素敵。

そしてこれが大好きです。《ドランク・オン・ラヴ》
アルバム『ザ・スウィーテスト・イリュージョン』から。

曲が素晴らしい。イントロのピアノ&キーボードが素敵!
私の美メロのツボを刺激しまくりです。
甘く切ないメロディーと凛々しいボーカルがいい感じなのです。
低くうごめくベースもなかなか良いです。

バーシアを見ていたらマリーンが浮かんできました(笑)。似てる?
マリーン。フィリピン出身です。
この人のアルバムも以前ブログで紹介しました。
何といってもこの曲。《イッツ・マジック》
これは数年前の演奏。アルト・サックスはT-SQUAREの伊藤たけし。
マリーンは相変わらずパワフルです。

当時の女性ジャズボーカルブームに乗って人気が出ました。
元々は”マリリン”という名でアイドル歌手をしていたんですよ。
パワフルボーカルに尽きますね。

P183
これも貼れるアフィリがない(涙)。

この人達も好きでした。スイング・アウト・シスター
やっぱこれでしょう。《ブレイクアウト》
アルバム『イッツ・ベター・トゥ・トラベル』から。

いいな~、この曲。ポップでいいじゃないですか。
レンタルCDからコピーしたカセットしかなかったので、
今年の初めにCDを買いました。

もう少しさかのぼって、オリビア・ニュートン・ジョン
映画「ザナドゥ」のサウンドトラックから《ザナドゥ》

キュートなボーカルが好きです。
ファルセット・ボイスも素敵です。
バックはELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)です。
オリビアは映画にも主演しています。
当時レコードを買いました。

最近娘と一緒に来日してビックリ!

というわけでやっと書きなおしてUP。疲れたよ~。

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いったい何人が聴いたのだろう?

いったい何人が聴いた(買った)のだろう?シリース(笑)。

P120 スタン・トレイシー&ヒズ・オーケストラ『ジェネシス』(1987年rec. Trio RECORDS)です。メンバーは、スタン・トレイシー(p)、ヘンリー・ローサー(tp)、マルコム・グリフィス(tb)、クリス・パイン(tb)、トニー・コー(ts)、クラーク・トレイシー(ds)他です。メンバーは星野秋男さんの「ヨーロッパ・ジャズ黄金時代」のイギリスのところにある名前を抜き出してみました。結構有名人が参加しているオーケストラみたいです。トレイシーもイギリス人。ドラムのクラーク・トレイシーは確か息子だったと思います。

このアルバム、今はもう入手困難でしょう。なんでこのアルバムを買ったかというと、ディスクユニオンの山本隆さんの推薦文を読んだからです。スイングジャーナル誌の「輸入盤ワールド」にも掲載されていました。私はジャズのビッグ・バンドはあまり聴きませんが、時々聴きたくなったりします。そんな折にこの紹介文を読んで買いたくなったんだと思います。

星野さんの本によると、スタン・トレイシーはエリントン、モンク、トリスターノから影響を受けたそうで、このアルバムにもデューク・エリントン・オーケストラからの影響はかなり感じます。山本隆さんが興奮したというアルバム中唯一のピアノ・トリオ曲《ザ・ファーママント》のピアノなんかはモロにエリントンですよ。

話は横道にそれますが、ジェネシスと聞くと私はスタートレックの「ジェネシス計画」が頭に浮かんでしまいます(笑)。全曲トレイシーが作曲していて、天体に関係したタイトルが並んでいます。惑星の創始にも関係があるようで、アルバム・タイトルやジャケット写真になるんでしょうね。

基本はエリントンのオーケストラですが、エリントンほどの濃厚さではなく、もう少しライト感覚で現代性や洗練を感じさせます。現代性といっても録音が87年なので、既に23年も前の話ですけどね。バブル全盛期。メンバーにはイギリスの有名どころが名を連ねているだけあって、ソロはしっかりしているし、ホーン・アンサンブルもしっかりしていてるので、内容は良いです。

曲もタイトルはどうあれメロディアスでなかなか良い曲揃いなので安心して聴けます。モダンなビッグ・バンドを軽く聴いてみたい方には特にお薦めです。とは言っても最早入手困難(涙)。

このアルバムのジャケットを見かけたら是非拾ってやって下さいネ!

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これは上質なジャズだと思います。

CAM JAZZというレーベルはなかなか質が高いジャズを提供してくれるレーベルです。このレーベルから出たアルバムなら安心して買うことができます。音質もオーディオ的に優れていて、トータルとして現代優秀レーベルだと思います。そんなCAM JAZZレーベルの質の高いジャズを紹介。

P119 アンドレ・チェッカレリ『ゴールデン・ランド』(2006年rec. CAM JAZZ)です。メンバーは、アンドレ・チェッカレリ(ds)、エンリコ・ピエラヌンツィ(p)、ヘイン・ファン・デ・ギン?(b)、デヴィッド・エルマレク(ts)、エリザベス・コントマノー(vo)です。これが発売された時、ジャズ・ブログで結構取り上げられていて、良いアルバムだと書かれていたと思います。

そういう評判を参考にして買ったのですが、評判どおりの良いアルバムでした。まずは何と言ってもピアノのピエラヌンツィの好演が光ります。この人のピアノは何とも言えない色香があると思います。ジャズとクラシックのいいとこ取りをしているように私は思います。クラシックの美しいハーモニー感覚と洗練感、ジャズのリズミックで躍動的な感じが、絶妙のバランスで融合していると思います。難しくならないところも良さです。

このアルバムはそんなピエラヌンツィを中心に、リーダーでドラマーのチェッカレリがサウンドをとても上手く支えているのがポイントです。繊細で美しいシンバル・ワークを中心にしつつ、躍動感もある包み込むような優しいスイング感は特筆すべきものがあると思いますよ。ピエラヌンツィには似た感じのドラミングのジョーイ・バロンが合うと思っていたのですが、チェッカレリとのコンビはそれ以上かもしれません。

ベースは堅実ですが、主役はピエラヌンツィでありチェッカレリ。3人が主張しあうよりはベースが一歩下がったほうがバランス的には良いと感じます。このアルバムではそんなピアノトリオに、曲によっては現代テナーのエルマレクと落ち着いた女性ボーカルのエリザベスが加わって彩りを添えています。

エルマレクが参加したカルテット演奏は結構モーダルでカッコいいものになっていて、落ち着いたトーンのピアノ・トリオでの演奏と好対照をなし、アルバムの良いアクセントになっていると思います。でもこのメンバーでやると、そこらの若手がやるモーダルな演奏とは一味違う深みがあってさすがだと思わせます。私はこういうモーダルな演奏が好きです。

収録されている曲はチェッカレリとピエラヌンツィの曲を主体に収録。なかなかの佳曲揃いです。上質で深みがあるジャズとしてオススメ。

黒いジャズもいいのですが、こういう上質なジャズもまた良し。
なんか節操がない私ですが(笑)、あんまり理屈なんかこねず、
何でも食べて美味しさを味わったほうがお得だと思う私です。

アルバム名:『GOLDEN LAND』
メンバー:
ANDRE CECCARELLI(ds)
ENRICO PIERANUNZI(p)
HEIN VAN DE GEY N(b)
DAVID EL-MALEK (sax)
ELISABETH KONTOMANOU(vo)

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時々黒いジャズが無性に聴きたくなる。

現代ジャズもユーロジャズもいいのですが、時々黒いジャズが聴きたくなります。
いつ頃の黒さが好きかというと70年前後の黒さです。
黒くてパワーがあるジャズ。ちょっとむさくるしいのが好みです(笑)。

P118 ウディ・ショウ『ブラックストーン・レガシー』(1970年rec. CONTEMPORARY)です。メンバーは、ウディ・ショウ(tp)、ゲイリー・バーツ(as,ss)、ベニー・モウピン(ts,b-cl,fl)、ジョージ・ケイブルス(p,el-p)、ロン・カーター(b)、クリント・ヒューストン(el-b)、レニー・ホワイト(ds)です。2枚組レコードです。ジャケットもアフリカンでいいですね。ショウのファースト・アルバム。

どうです、ちょっとジャズを知っている人ならばわかる真っ黒い人脈。マイルス周辺の人達が多くいます。ジャズ・ファンクの人達。そして当然の事ながら全員黒人です。やっぱり根っから黒い音というのは黒人にしか出せないのですよ。

全6曲中4曲がツイン・ベースで演奏されています。左右のチャンルからベースが迫ってくるのがいいです。そして、当時マイルス・グループにいたゲイリー・バーツとその後ヘッド・ハンタースに参加するベニー・モウピン、このツイン・サックスが左右から熱いソロを繰り広げてくれるなんてもう感涙ものですよ。

ショウの曲が4曲にケイブルスの曲が2曲。いづれもモーダルな曲です。ショウのトランペットに派手さはないけれど、しっかり熱く演奏していることは確かです。私には楽理がわからないので、感覚的なことしか言えないのだけれど、とにかく黒いわけです。そしてこの当時の空気感のむさ苦しさが堪らないわけです。ケイブルスはピアノとエレピを弾いていますが、この空気感に合うのはエレピのほう、音がネットリからみつく感じがいいのです。

ウェストコーストのコンテンポラリー・レーベルにイーストコーストの真っ黒い面々が集まって作ったこの1枚。理屈じゃなくて聴いてほしいです。黒いジャズを聴け!

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discland JAROの通販で買いました。

今日は 「discland JARO」 の通販で買ったレコードを紹介します。
年4回、3月、6月、9月、12月に通販リストが送られてくるので、楽しみにしているのですが、今回も面白いレコードがゲットできました。

P117 フィル・ウッズ・シックス『”ライブ”フロム・ザ・ショーボート』(1976年rec. RCA)です。メンバーはフィル・ウッズ(as,ss)、マイク・メリロ(p)、ハリー・リーヘイ(g)、スティーブ・ギルモア(b)、ビル・グッドウィン(ds)、アリリオ・リマ(per)です。タイトルどおりショーボートのラウンジでのライブ録音2枚組。ギターとパーカッションの参加が珍しいのではないかと思います。

なんでこれを買ったかというと、ジャズ喫茶「いーぐる」マスター後藤雅洋さんの本で何度か紹介されていたからです。前から聴いてみたかったのですが、これまで中古レコード店でお目にかかったことはありませんでした。それが今回「JARO」の通販リストにあったので迷わず買ったというわけ。買ったのはRCAのオリジナル盤ですが、年代が新しいので高くありません。電話で在庫確認した時、「JARO」の店主も良いアルバムだと言っていました。CDも出ているようですが、入手は難しいかも?

こちらの本にももちろん掲載されています。「第7章 新・ジャズに浸ろう」の中の1枚です。実は先月4日に「いーぐる」で行われた”「com-post」プレゼンツ、秋の新譜試聴会”の打ち上げでこのレコードのことが話題になったのですが、その後届いた「JARO」の通販カタログにこれがあったんだから、世の中の巡り合わせとは面白いですよね。

基本的には軽やかに飛ばす傾向の演奏が多いですが、じっくり聴かせる曲もあります。上記の後藤さんの本に、「アルトの音は明らかにパワー感と輝きを増した70年代ヴァージョンなのだから強力」と書いてある通り、アルトの音は爽快そのものです。ライブならではの躍動感に満ちていてるので聴いていてとても楽しいですよ。

バップ演奏の中に混じって、ギターとパーカッションを生かした8ビートのフュージョン調の曲が数曲入っていて、ウッズがソプラノ・サックスを軽やかに爽やかに吹いている曲もあり非常に心地良いです。そしてこれらの曲がこのアルバムのアクセントになり面白くしているのだと思います。C面に収録されている《ブラジリアン・アフェア》(4曲で構成される組曲)が陽気でかつ哀愁も漂わせたものなので私のお気に入りです。

いつものことですが、こういうアルバムを聴くとジャズ喫茶マスターならではの選曲の妙を痛感します。毎日聴いてきたからこそ、こういうアルバムを知っているのでしょうね。

楽しいアルバムですので、見つけたらゲットしてみてネ!

「JARO」と「いーぐる」、私のジャズライフを豊かにしてくれるお店です。

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ジャズ・ギター良アルバム

今日はオーソドックスなジャズ・ギタリストのアルバムを紹介します。

P115 ステファン・ウィリアム・オルソン『スマイル!』(1998年rec. Real Records)です。メンバーは、ステファン・ウィリアム・オルソン(g)、Jorn  Oien(p)、テリエ・ゲヴェルト(b)、Borre Dalhaug(ds)、ロイ・ニコライセン(tp,flh)4曲参加、ペッター・ウェトレ(ts)4曲参加、です。ギター・カルテットを基本にして、4曲にトランペットとテナー・サックスが参加しています。

ディスクユニオンでポップ(紹介コメント)を読んで買ったのかな?なかなか良質のバップ・ジャズを展開しています。オルソンはノルウェーで活躍するオーソドックスでテクニシャンのギタリスト。パット・マルティーノ系ですね。よく歌うフレーズと高速で弾いても粒立ちの良い音が魅力的です。

P116 CDのデザインがユニークです。アルバム・タイトルの”スマイル”のとおり”スマイルマーク”になっています。”スマイルマーク”、私が小学生だった70年頃にこのマークのバッジが大流行したのです。私も買って野球帽にに付けたり、服に付けたりして小学校へ通っていました(笑)。40代後半の人達には凄く懐かしいものだと思います。

スタンダードなど3曲にオルソンのオリジナル曲7曲を演奏しています。面白いのがオルソンのオリジナル。《キャン・ユー・スペア・ア・ダイム?》なんて、モロにブルーノートのホレス・シルバーがやっていそうなファンキー曲です。他の曲もジャズマン・オリジナルのような曲ばかりで、オルソンのジャズへの憧れみたいなものが感じられます。最近の歌がないジャズとは正反対なので、保守派のジャズ・ファンには特にお薦めできます。

オープニングは《ラバー・カム・バック・トゥ・ミー》。高速で飛ばします。この速弾きを聴けばこの人のテクニックが凄いことが一目(一聴)了然。淀みなく繰り出されるフレーズが爽快です。続くソロがテナーのウェトレ。この人もノルウェー出身で最近のテクニカル系なのでスラスラ高速でフレーズを吹きます。カッコいいですよ。ウェトレはディスクユニオンでも積極的に輸入していたのですが、最近はあまり耳にしなくなりました。

続く2曲目が先ほど紹介した《キャン・ユー・スペア・ア・ダイム?》。コテコテ度控えめでファンキーに弾きます。適度な黒さはなかなかの好感触です。続くソロがトランペットのニコライセン。リー・モーガンをスマートにした感じで結構華麗です。テナーのソロはマイケル・ブレッカー系だけれどメカニカル度は低めです。

3曲目のバラード《クローズ・ユア・アイズ》もオルソンの曲で、どこかで聴いたことのあるような曲。哀愁感のある優しいテーマを慈しむようにギターで弾きます。先発はピアノ・ソロ。ジャジーで曲のムードを素直にアドリブします。続くギター・ソロは丁寧に良く歌うフレージング。続くベース・ソロが深くて良い音。テーマをあまり崩さずに弾きます。ベースのゲヴェルトはエンリコ・ピエラヌンツィとのアルバムを出しています。

4曲目は《サマー・タイム》。ミディアム・テンポで”ピロピロピロピロ”と転がすようにソロをとります。フレージングはマルティーノ系ですね。5曲目《ジョイント・ヴェンチャー》はオルソンの曲。タイトルは今時なんですが、曲はリー・モーガンがやっていそうなブルーノート60年代後期です。この人はあの頃のブルーノートが好きなんだろうな~と思います。こんな具合で以降も続いて行きます。ラストはアコースティック・ギターの多重録音で《スマイル》。その郷愁サウンドが小学校時代の校庭と夕日を思い出させます。スマイル=小学生な私(笑)。

良質ハード・バップ佳作です。難しいことを考えずに楽しみましょう!

アルバム名:『smile!』
メンバー:
Steffan william-Olsson(g)
Jorn Oien(p)
Terje Gewelt(b)
Borre Dalhaug(ds)
Roy Nikolaiseen(tp,flh)2,5,8&9
Petter Wettre(ts)1,2,5&9

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これも追加!

「JAPAN」のファーストアルバム『果てしなき反抗』のラスト。
LPで言うとB面ラストのこれも入れとかなきゃね。

《テレビジョン》

元祖ビジュアルロックバンドだが、ここまでやっていたんだから凄いよね。

私はこれ、もの凄くカッコいいと思います。

今日は一人で勝手に盛り上がっています。

もう寝なきゃ。お休みなさい。

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JAPAN(ジャパン)!

こんな私でも時々ジャズがめんどくさくなります((笑)。
ジャズネタに飽きてくるとこのネタになってしまいます。

「JAPAN(ジャパン)」です。
前にブログにも書いています。「今日も青春の1枚!」

高野雲さんも「JAPAN」が好きで、
「ミック・カーンのベースを聴いてベースを弾きたいと思った。」
というコメントをいただき嬉しくなってしまったんです。

今日は「JAPAN」の音を紹介します。
こういう時にYouTubeはありがたいですよね。

まずはファーストアルバム『果てしなき反抗』から
私が好きな曲。《The Unconventional (奇しい絆) 》

注目はリーダー:デヴィッド・シルヴィアンのボーカルの色気と力強さでしょう。
その後、もっと退廃的になっていいきます。

ギターのシンプルなリフ。
タイトで重いドラム。
わけのわからないラインのベース。
スペイシーなキーボード。
このサウンドに惚れたのです。カッコイイとしか言いようがありません!

同アルバムからWish You Were Black(黒人ならば)》

ギター、キーボード、ベースのサウンドのからみが素晴らしい。
つんのめりそうなドラムのリズムがまたいい感じなのです。

まだ荒削りな部分はありますが、パワーがあるから好きです。

セカンドアルバム『苦悩の旋律』から。
やっぱりこれでしょう。《Automatic Gun》

ミック・カーンが弾くベースは凄いことになってます。”グニョグニョ”

そしてこれを聴いて完全にノックアウトされてしまった私。
サードアルバム『クワイエット・ライフ』からタイトル曲

これを聴いて、”ク~ッ、タマラン”となったわけです(笑)。
これぞ”JAPANサウンド”なのです。

同アルバムから《In Vogue》
このミステリアスな雰囲気が堪りません。

ミック・カーンのベースがいい感じですね~。
アルト・サックスを吹いているのもカーンです。
リチャード・バルビエリのキーボード・ワークも素晴らしいです。

このアルバムにはいい曲がたくさん入っています。大好き!

次のアルバムは『孤独な影』
前作のクオリティーをさらに高めたアルバムです。
タイトル曲《Gentlemen Take Polaroids(孤独な影)》。

ベーシスト(赤色のスーツ)カーンの動きに注目!
面白すぎます。これを見るだけでも価値がありますよ。
このライブの頃はギターが脱退した後なので、
サポートメンバーとして土屋昌巳がギターを弾いています。

そして同アルバムから《スウィング》
このベースを聴いて雲さんはベースを弾きたいと思ったんだそうです。
超個性的なベースです。キモチエエ~(笑)。

テクノも取り入れています。
このアルバムからギターはサブ扱いになります。
ベースとキーボードがサウンドを形づくります。

同アルバムから《Methods Of Dance》
この曲も好きです。ドラムのリズム・フィギュアが特に好き。

このアルバムには1曲だけ坂本龍一が参加しています。

次が最高傑作との呼び声高い『ブリキの太鼓(Tin Drun)』
でもここでおしまい(笑)!買って聴いて下さい。

ここまでお付き合い下さった方、あなたはもう「JAPAN」のファンです(笑)。

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今日もなかなか芸術的な雲

今日もなかなか芸術的な雲が現れました。

なんともいい感じの雲だと思いませんか?

P114_2 

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今日はジノ・ヴァネリ!

今日はジャズ・ネタではありません。

ジノ・ヴァネリ!

昔、ジャズを聴き始めた頃、従兄からジャズのレコードを借りたんですが、

その中にジノ・ヴァネリがありました。

『ナイトウォーカー』です。その頃はあまり興味は湧かなかったのですが、

その後思い出して買ったのが『ブラザー・トゥ・ブラザー』。

これに嵌りました。

タイトル曲をお聴きください。歌よりインスト部分の方が長いです(笑)。

ハイブローなボーカルが素敵です。曲もいいです。

私はこのパタパタしたドラムが好きです。

マーク・クレイニーです。かなりいい線いってます。

そしてアルバム冒頭曲《アパルーサ》がカッコいいのです。

YouTubeにライブ映像がありました。

アフロパーマに胸毛モサモサ(笑)。

ドラムもマーク・クレイニーみたいです。珍しいサウスポー・ドラマー。

ロックやな~。

このバラードも好きです。《アイ・ジャスト・ワナ・ストップ》。

弟ロス・ヴァネリの曲。泣かせる曲です。

冒頭女の子がステージに上がって大変な騒ぎになってます(笑)。

このアルバム。いい曲がたくさんあります。オススメ!

これを聴きながらドライブすると最高ですよっ。

特に夜の空いた首都高をクルーズしながら聴くと最高だと思います(笑)。

その昔、茨城からよく秋葉原に遊びに行き、

帰りがてら理由もなく首都高をドライブしたりしたのですが、

狭い首都高をハラハラしながらブッ飛ばすのって最高に高揚感あり!

私、ハンドルを握ると危険人物に代わるみたいです(笑)。

皆さんは決してマネしないで下さいませ。m(_ _)m

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トランペット・トリオと言えばこの人

新譜紹介いきまっせ~。
今回も私にしてはかなり早めの紹介です。

P113 アヴィシャイ・コーエン『トリヴェニ』(2009年rec. Anzic Records)です。メンバーは、アヴィシャイ・コーエン(tp)、オマー・アヴィタル(b)、ナシート・ウェイツ(ds)です。アヴィシャイ・コーエンは同姓同名のベーシストがいるのでややこしいのですが、こちらはトランペッターの方です。

コーエンのトランペット・トリオです。この人のトランペット・トリオと言うと、『ザ・トランペット・プレイヤー』(3曲はテナー・サックス参加)という2000年代名盤があります。このアルバムはほとんどの人がいいアルバムだと言っていて、もちろん私も素晴らしいアルバムだと思っています。現代ジャズを聴いているなら、これを聴いていなきゃモグリです(笑)。

そんなコーエンのトランペット・トリオの新譜が出るというので迷わず買いました。今回の録音の方がトランペットの音がまろやかなので、少し優しい感じかな?と一瞬思ったのですが、よく聴けばその集中力。アドリブ一発にかける意気込みは今回も劣っていないことがわかります。この人の演奏は難解さがあまりないところがいいですね。ストレートにジャズをしています。

今回はコーエンのオリジナルだけではなく、ジャズマン・オリジナルやスタンダードもやっているので、より親しみやすいのではないかと思います。そうは言っても取り上げているのはドン・チェリーとコルトレーンですが(笑)。

私はコルトレーンのスピリチュアルな《ワイズ・ワン》なんかはかなりお気に入りです。アヴィタルがベースをグリグリひっ掻き、ウェイツがマレットを操って盛り上げ、コーエンが音を吐き出すと、気分は最高っす(笑)!一方チェリーの《アート・デコ》の軽快でオープンな雰囲気も悪くないです。冒頭フリーですが、その後のオーソドックスな4ビートに乗って舞うコーエンは本当に気持ち良さそう。

コーエンの曲はイスラエル出身ならではの哀愁ユダヤメロディー。結局難解さがあまりないのは曲がわかりやすいからなんでしょうね。1曲目の《ワン・マンス・イディア》は《イッツ・オンリー・ペイパー・ムーン》にちょっと似ています。小気味良くそして熱く演奏していますね。《アメン》は良いメロディー、ミュート・プレイがじわじわきます。こういう曲ではコーエンと同じくイスラエル出身のアヴィタルのベース・ラインがよくマッチしていると思います。

そして今回はベタなスタンダード曲《ユー・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ》が入っているのがちょっと意外。奇を衒わず丁寧にフレーズを積み重ねていくコーエンのアドリブはなかなかの説得力だと思います。アヴィタルのベースもウェイツのブラシもオーソドックスだけれどきちんと聴かせてくれます。この人達、決して現代性だけでなくきちんとジャズのルーツにつながっていることがわかります。

ラストの《オクトーバー25th》はファンク。こういう8ビートも上手いのが現代のジャズマンですね。私はこういう”ロッケンロー”なナンバーが好きなんですよ(笑)。ラストへ向かってドラムが突っ走り、それにコーエンがトランペットで熱く応える展開が最高です。曲が終わると拍手がミックスされているんですが、その気持ちはよ~くわかります。

コーエンのトランペット。やっぱりいいですね。
全8曲。捨て曲なしのガチンコ勝負でした。

アルバム名:『TRIVENI』
メンバー:
Avishai Cohen(tp)
Omer Avital(b)
Nasheet Waits(ds)

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独特の美意識に貫かれたアルバム

今日は現代ニューヨーク・ジャズです。去年発売されましたが買いそびれていたものをいつものディスクユニオン通販限定特価で買いました。私が買おうと思っていたものがたくさん特価で販売されるのってどうなんでしょうね~。売れないアルバムばかり聴いているってことではないと思うのですが・・・(笑)。

P112 ナシート・ウェイツ『イクウォリティ』(2008年rec. fresh sound new talent)です。メンバーは、ローガン・リチャードソン(as)、ジェイソン・モラン(p)、タラス・マティーン(b)、ナシート・ウェイツ(ds)です。リチャードソンはグレッグ・オズビーが注目するアルト奏者ということで、オズビーのレーベル:インナー・サークル・ミュージックからリーダー・アルバムを出しています。ピアノのモランは自身のトリオの他、チャールス・ロイドやポール・モチアンとやったりして活躍の幅を広げています。

かれらをまとめ上げるのがドラマーのウェイツ。この人もNYの色々な人達のグルーヴでドラムを叩いています。今時のドラマーなので変拍子を自在に操りバンドをグルーヴさせます。決してパワーだけで押すのではなく、しなやかかつ繊細に、けれどパワーを失わないドラムが魅力です。

ウェイツの曲を2曲、リチャードソンの曲を1曲、モランの曲を2曲、マティーンの曲を1曲、他にジャズマン・オリジナルを3曲収録。アンドリュー・ヒル、ジャッキー・バイアード、スタンリー・カウエルなんて名前が並んでいます。ひと癖あるピアニストばかりですよね。独特の美意識を持った人達。メンバー・オリジナルとジャズマン・オリジナルが違和感なく並んでいます。

アルバム全体のサウンドは正に独特の美意識に溢れています。スイートではないビターでクールな”美”。そこにダークネスが香辛料としてまぶされています。ダークネスの主はモラン。モラン独特のハーモニー感がダークな感じを醸し出しているのです。でも意外と爽やかな面も感じられます。爽やかさの主はリチャードソン。アルトの音やフレーズが爽やかなのです。

ダークネスと爽やかさは同居できない感じがしますが、同居しているから面白いです。私にはそれほど内省的な響きは感じられないのですが、この手のサウンドに慣れていない方には内省的に聴こえるかもしれません。そして、リチャードソンの曲とウェイツの曲が優しさを持っているのが私には特に魅力的に感じられます。

この手のサウンドで冷たくされると聴き進むうちにだんだん心が離れて行ってしまうものですが、時々優しさを見せられると”おっ”となりますよね。冷たい彼や彼女が時々見せる優しさに惹かれたりするでしょ。それと同じことです(笑)。モランの2曲は一筋縄ではいかないひと癖ふた癖ある”らしい”曲。捻じれています。

バイアードの曲とマティーンの曲は元気が良いほうですが、他は落ち着いたクールビューティー、ダークで爽やかなサウンド。現代新主流派と言っていいかもしれません。この人達ですから決して軽薄にならないところも魅力。

アルバム名:『EQUALITY』
メンバー:
LOGAN RICHARDSON(as)
JASON MORAN(p)
ARUS MATEEN(b)
NASHEET WAITS(ds)

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マイナー・ジャズもなかなかいいもんです。

時々マイナーなジャズを聴きたくなってしまいます(笑)。演奏している当人達はマイナーなどと思っていないでしょうが、日本ではそれほど流通していないのでマイナーだと言えるでしょう。流通量だけじゃなくてテイストにもマイナー感を感じるんですが、それって私の思いこみの産物?一応新譜です。

P111 ロベルト・マグリス『メイティング・コール』(?年、PCAMI)です。ロベルト・マグリス(p,el-p)、ポール・カー(ss,ts)、マイケル・オニール(ts)、エリサ・プルエット(b)、アイドリス・ムハマド(ds)です。自主制作盤。もし気になったらこの機会に入手して下さいね。この手のCDは入手しそこなうとそれこそ2度とお目にかかれなくなる可能性大。ディスクユニオン通販に在庫あり。¥1,700です。

ディスクユニオンの紹介文によると、サックスのポール・カーが注目とのことでした。逞しくてオーソドックスでありながら現代的なアドリブ・センスも聴かせるなかなかいいサックス奏者と聴きました。私がしっているメンバーはドラムのムハマドくらいです。

リーダーでピアニストのマグリスですが、実はこの人のリーダー・アルバムを私は1枚持っています。『チェック・イン』というアルバム。フリー系アルバムが多いソウル・ノート・レーベルから出たからでしょうか?オーソドックスで充実した内容なのにあまり話題にはならなかったみたいなのが残念。参加しているサックスのトニー・ラカトシュが特に良い出来だと思います。

そんなマグリスのアルバムなので興味がありました。ディスクユニオンの新譜紹介で全曲30秒くらいずつ試聴して、良さそうだと思ったのが購入理由。

マグリスのオリジナル3曲に、JJ・ジョンソンやタッド・ダメロンなどジャズマン・オリジナルを加えた全7曲が収録されています。10分を超える曲が3曲あり、1曲をじっくり聴かせるような作りです。ラストだけはピアノ・ソロ演奏。

ミディアム・テンポとスロー・テンポの曲で、あまり大きくないライブ・ハウスの熱気、薄暗さ、タバコの煙、お酒が似合いそうな雰囲気の演奏が展開されています。オーソドックスなジャズにドップリ浸れますよ。現代NYのような神経質さ、イタリア・ジャズのようなファッション感、クラブ・ジャズのキャッチーさのような特色はない、どちらかと言えば地味なジャズですが、逆にそれがたまらない旨さになっています。マイナー・ジャズの旨さです(笑)。

1曲目マグリス作《オプショナル・マン》の哀愁メロディーとワルツのリズムが堪らないです。ジャズはメロディーだけじゃないとか言っている私ですが、こういう寺島靖国さんも好きそうなジャズを否定しているわけではありません(笑)。偏らず色々楽しんだほうが良いと思っているだけです。ベースを強調した録音がまったりさせてくれます。ソプラノ・サックス、テナー・サックスは落ち着いたソロを展開。マグリスのピアノはマッコイのコテコテ度を弱めたような感じです。

私のお気に入りはダメロン作でアルバム・タイトル曲の《メイティング・コール》。スピリチュアルな曲です。大地のパワーが宿ったような演奏。ミディアム・テンポでじっくりじわじわとにじり寄ってきます。ピアノがガッツリとソロをとった後、2人のサックス奏者が短めの落ちついたテナー・ソロをとります。マグリスのピアノをじっくり聴く曲です。ラスト《ロンリー・タウン》のピアノ・ソロもジャズの王道。ジャズの味わいに溢れたものです。

気になる方は即ゲット!
Amazonでは一時的に在庫切れになっています。再入荷するのかな~。

アルバム名:『メイティング・コール』
メンバー:
ROBERTO MAGRIS(p)
PAUL CARR(ss,ts)
MICHAEL O'NEILL(ts)
MICHAEL PRUETT(b)
IDRIS MUHAMMAD(ds)

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とうとうスピーカーを改造してしまいました。

私のサブスピーカー:サーウィン・ヴェガD-1のウーファー・エッジが劣化してしまっていることは以前ブログに書きました。ついでにうっかりミスでエッジに穴を開けてしまいました(笑)。音はあまり変わらないと書いていたのですが、どうやらそうではなく、低音が緩んで”ボンボン”鳴るようになってしまったのです。どうも具合が悪い。で、色々考えていたら、面白そうなユニットがオークションに出ていたので、これで遊んでみようということになりました。ウーファーを別のユニットに乗せ換えてしまおうというわけです。

P101_4

右がエッジがボロボロのウーファー。今回取り外し時に更に穴が増えてしまいました(涙)。左が今回乗せ換えるユニット。JBLのLE8T?いえいえそんな高価なユニットではありません(笑)。フォステクスのFX200(フルレンジ)です。大きさ的にはかなり近い感じです。入手したものはコーン紙が黄ばんでいました(多分タバコのヤニ)。センター・キャップは凹みを修正してあるものですが、細かいことは気にしないことにして落札しました。

P102

マグネットも同じくらいのサイズです。フレームや端子はFX200のほうが高級。取り付け穴も同じくらいかと思ったら、FX200の方がほんの少し大きかったのです。おかげでボックスの取りつけ穴を広げるるのに1時間以上かかってしまいました。カッターとヤスリで少しずつ削って広げました。現状復帰できるように今回の変更は必要最小限にとどめました。

D-1を一旦全部バラしたら色々発見。ビックリしたのはビニタイがユニットのマグネットにくっ付いていたこと。きっと何かをまとめてあったビニタイを組み立て時にそのままボックスの中に入れておいたんでしょうね。両方のスピーカーから出てきたので、こういう作業なのでしょう。アメリカン・プロダクツはいい加減です(笑)。

背面のスピーカー端子はネットワークと一体化していました。スピーカー端子はボックスの穴にただ押し込んであるだけ。おかげで簡単に取り外せましたよ。

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写真のとおりの安っぽいものです。スピーカー・ユニットへの配線も御覧のとおりの細さ。

P104

更に2本のスピーカーのネットワーク基板が異なっていました。部品配列も違います。途中でマイナー・チェンジがあったのでしょうね。左の方は基板にシルク印刷があり、振動対策もされています。電解コンデンサーを使っているところがまた安っぽい。こういうパーツに凝らないところがいかにもアメリカンです(笑)。

というわけでパーツを全て取り外してウーファーの穴を少し広げました。写真は作業終了後のボックスです。

P105

ボックス内部の吸音材はフェルトが軽く入っていました。バスレフダクトは細くて長いのであまり効果はないと思います。背面のスピーカー端子は持っていたものがピタリと嵌りました。こちらはねじ止め式。

P106_2

ボックス内の配線はベルデンのスピーカー・ケーブルでよく知られている一般的なものを使いました。

P107_2

そう言えば、ウーファーにはパッキンが入っていませんでした。今回は付属のパッキンをきちんと入れましたよ。元々のネジ穴の位置が今回取り付けに必要な穴と微妙にずれていたので、同じ位置にすると穴が広がって木ネジが緩々になってしまいそうでした。しょうがないので、45°ずらして取りつけることにしました。見た目はちょっと変ですがやむをえません。元に戻す時、木ネジが効かないと困りますからね。なお、今回のネジ穴は元のウーファーのフレームの下に隠れてしまいますので復帰時には特に問題にはなりません。

P108_2

こんな具合に仕上がりました。ツイーターは配線してありません。単に穴をふさぐために取りつけてあります。なかなか良い感じではないでしょうか?このスピーカー・ボックスの容量は20ℓなので、FX200の推薦容量25ℓには足りないのですが、まあ細かいことには目をつぶりましょう(笑)。

セッティングして試聴したところ、それほど違和感はありませんでした。低音は少し不足気味なので、トーンコントロールの低音を以前より1目盛UP。こんなもんでいいところだと思います。ちょっと中高域が賑やかかな~。もっと大きいボックスでゆったり鳴らしたほうがいいのかもしれませんね。とりあえず当分様子見です。飽きたらFX200は取り外してオークション出品(笑)。

今日はいい天気だというのに外出せずにスピーカー改造。不健康です(笑)。
雲がきれいだったので写真を撮りました。

P109 P110

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「KOFU JAZZ STREET 2010」を楽しむ!

昨日は「KOFU JAZZ STREET 2010」へ行ってきました。
毎年恒例「甲府ジャズストリート」です。

昨年はオープニング・セレモニーも観たのですが、今年はパス。
何しろ大雨だったので、1stセットから観ることにしたんです。
お酒を飲みたいので妹に送ってもらいました。サンキュー!

まずは「桜座」へ、う~ん、大雨で出足が鈍っているみたいでした。例年ならもうたくさんの人でごったがえしているはずの飲食スペースに人はそこそこ。下の写真のような具合です。奥の2つのテーブルで渋谷毅オーケストラの面々が寛いでいたのでビックリ。私はお腹が減ったので、もつ煮丼を食べビールを1杯。鳥もつ煮でなはなく普通の豚もつだけれどこれが結構美味なのでした。

P97腹も膨れたところでライブスペースに入ると、開演20分くらい前とは言え人はまばら。何か心配になってしまいました。いよいよ開演ですが入りは6~7割くらいかな。5管の素敵なハーモニーで幕開けです。なんたって松風 鉱一(Fl As Bs)、津上 研太(Ss As)、林 栄一(As)、峰 厚介(Ts)、松本 治(Tb)、という豪華メンバーですから悪いはずがありません。

最初はギターの石渡さんのコンテンポラリー風味の曲でした。現代的なギター・ソロから始まり、堅実な松本さんのトロンボーン、フリーキーな林さんのアルト、独特のメロディー感の津上さんのアルト、王道の峰さんのテナー、しなやかな松風さんのバリトンとソロを回して自己紹介も兼ねた感じの演奏ででした。渋谷さんはさりげなくサポートしつつ演奏をリード、グルービーなエレベと、自由なドラム(立ったまま叩いていたのは意外)が、渋谷毅オーケストラです。

P98

続いて松風さんの心地よくしなやかな曲。その後、渋谷さんと言えばエリントン、それも有名でない曲ということで2曲。それぞれメンバーの個性的なソロと5管アンサンブルが素敵でした。

ここでボーカルのDEKOさん登場、渋谷毅オーケストラとは時々共演しているとのことでした。曲の解説をしたうえで歌います。まずは《ガール・・トーク》。私はこの曲が好きなので嬉しかったです。続いて有名なエリントン曲《スイングしなけりゃ意味がない》。ラストはワルツの曲でメロディーが口ずさめるのにタイトルが思い出せません(涙)。いい曲なのに。DEKOさんのボーカルはオーソドックスで嫌みなく軽やかでいい味わいでした。

ラストはボーカルが抜け、2ndステージでやるつもりだったという松風さんの曲。このオーケストラ、メンバーのほとんどが自分のグループを持つ一国一城の主なので、どこをどう切っても演奏は良かったです。アレンジほどほどで自由度が高めなのもいいところです。サウンドのキーマンとしては石渡さんでしょうね。ギターでリズムの刻みからスペイシーな効果音、ラテン風味なパーカッション音までこなしていました。渋谷さんは曲によってキーボードでオルガン音を軽く混ぜたりして演奏していました。楽しいステージでした。

ステージのラスト頃、8時くらいになってお客さんも増え、演奏が終わる頃には満席状態になっていました。やっぱり最初の大雨が出足を鈍らせていたようです。

続いて場所を移動し「Alfie」へ。MAYA、松尾明トリオです。バーボンの水割りを注文。最初はピアノ・トリオで演奏が始まりました。ピアノの寺村容子さんは茶髪で派手になっていましたよ(笑)。2年くらい前に「十五夜」というグループを観た時はもっと素朴な感じだったのに。まっ、グループが変わればファッションも変わるということでしょうね。曲は《ホテル・カリフォルニア》から。松尾明トリオの新譜『ミート・ミー・イン・パリ』にも収録されているそうです。続けてもう1曲演奏。オーソドックスなピアノ・トリオです。

ここで松尾さんのMC。おやじギャグも交えつつ和やかに。メンバー紹介の時、ベーシストの嶌田さんがバークリーを出ているということで、「バークリーって知ってますか?大阪~にある音楽大学で・・・」なんてギャグを言ったけれどいまいち受けず、「バークリーはアメリカのボストンにあるんですけどね。」と再説明していました(笑)。バークリーを知らないお客さんが多かったのかどうか?

で、MAYAさんが紹介されました。MAYAさんは寺島靖国さんのラジオ番組「PCMジャズ喫茶」に何度かゲスト出演したのを聴いていたので、何となくイメージはあったのですが、見るのは今回が初めてでした。イメージしていたとおりのキュートな方でしたよ。何から歌ったっけ?曲の終わりや曲の始めに歌詞の意味を説明してから歌っていました。DEKOさんもそうだったけれど、最近はこういうお客さんに親切なステージが多いのかな~。

P99

ブレまくり写真ご容赦。1曲ブルースを歌ったけれど結構いい感じでした。私はラテンがそれほど好きではないので、こういう感じのほうがいいです。《DOS GARDENIAS (くちなしの花を君に)》を歌う前にはMAYAさん自身が日本語に訳した歌詞を朗読してから歌いました。歌詞を感じながら聴いてほしいとのことでした。この辺りで昨日書いたような場の雰囲気だったので、ちょっとこれはどうかなと思った次第。

情感を込めて聴かせてくれました。でもちょっと重い感じになってしまうので、ここをどう受け取るかでしょうね。ラジオ出演時にもMAYAさんが「同世代と比べると自分は”重い”。」と言っていましたから、そういうパーソナリティーがそのまま歌になっている感じでした。私はまじめで一途そうなMAYAさんが結構好きです(笑)。

その後、お客さんの中に誕生日の方がいるとのことで、その人に《バースデー・ソング》をプレゼント、お客さん皆でお祝いする一幕もありました。色々盛り上げようと大変ですな~。この手の演出は私が行くライブでは皆無だったので、ちょっと新鮮でもありましたが、それよりは歌を聴かせてほしい気もしました。

ラストは《ベサメ・ムーチョ》。ベースの嶌田さんが居る時でないと歌えないと言って歌い始めたので、「どうしてかな~。」と思ったら、ベース・ソロから始まりほとんどの部分がベースとMAYAさんのデュオでした。中々良い感じでラストに相応しいと思いました。MAYAさんはもう甲府に何度も来ているそうで、甲府に来るたびにライブやディナーショウに顔を出してくれるファンの方がいるんだとか。まっ色々ありましたが楽しかったです。

また場所を移動し「コットンクラブ」へ。矢野沙織 with Ken's Trioです。演奏までの時間にバーボン水割りとソーセージの盛り合わせを注文。こちらも最初の1曲はピアノ・トリオで演奏。スインギーなピアノ・トリオ演奏でした。矢野さん登場。背が高く体格も良いほうなので存在感があります。黒のシックなレトロ調レザードレスに頭には大きな青い花飾り。矢野さんって何を着ても似合いますよね。3月に渋谷で見て7か月ぶり、結婚を発表してからは初めて見たことになります。まっ、結婚したからといって何も変わっていませんが(笑)。

PAなし、生音のアルトです。体格からくるんでしょうね。結構広い会場なのに豪快にアルトを鳴らしていました。ちょっと擦れた感じのいい音でした。1曲目(曲名失念、だいぶ酔いが回ってます、笑)からアルト・ソロ全開。かなり長くアドリブをとりました。なかなかの迫力と貫録でした。大したものです。まだ24歳になるくらいでしょ。とは言え、14歳からライブ・ハウスで演奏を始めたというので早10年。若い女性アルト奏者として注目され続けてきたわけですから貫録には頷けます。

P100 MCはマッタリ(笑)。何か独特のヌケ具合(失礼)が彼女らしいと思いました。超個性的が昔風味のジャズ・ミュージシャン的。ビリー・ホリデイに感化されてプロの道に入ったとのこと。渋谷で観た時も同じトークをしてましたが、今回は更に自分に問いかけるような浸るような独特のトークでした。面白かったです。《レフト・アローン》。あんまり崩さない感じでストレートに吹いていました。

続いてMCで「チャーリー・パーカーが好きなんですよ。なんでだろう?なんでなんでしょうね~?そいうことってありますよね。皆さんも。ありますよね。うんうん。」という感じの語り口。お客さんに向かって言っているのか?自分に向かって言っているのか?矢野さんのキャラ面白すぎです。で、パーカーのブルース(タイトル失念)。豪快な音でアドリブもスラスラ。アドリブ・ラインがだいたい想像できちゃうところがこの人の良さであり悪さでもあると思います。型が出来上がってしまっています。「次はどうなるんだろう?」「何か変だけれど凄い!」みたいなワクワク感にちょっと乏しいというのが、マニアな私の感想。

あと1曲くらいやったかもしれませんが忘れちゃった。かなり酔ってました。m(_ _)m アンコールはお得意の《コンファメーション》。貫録の演奏なんですけれど、ちょっと新鮮味に欠けるんですよね~。良いパフォーマンスなんですけれど出来上がってしまっていいるんですよね~。難しい~っ(笑)。MCが入り、「今夜はまだ11時だからまだまだこれからお酒を飲みますよね。」と曲名は言わずに《ウイスキーがお好きでしょ》。最後に口笛披露(上手いです)。この展開、渋谷で観た時と同じでした(笑)。

矢野さんのステージは、ステージ進行、吹く時のポーズ、ファッション、MCなど全てが矢野さんの個性を生かすエンターテインメントとして出来上がっていると思いました。プロ活動10年、伊達にやってきたわけではないというのを今回改めて感じました。ピアノ・トリオはもう矢野さんの伴奏に徹していましたよ(笑)。

ブログを書いていたら、酔っ払って適当に観ていた割には、それぞれの個性が浮かび上がってきました。書いているうちに頭の中が整理されてくるから不思議ですね。そういう意味でもブログを書くのは楽しいです。

そして、「今回のKOFU JAZZ STREETはいまいちだったな~。」という気持ちから、「やっぱり面白かった。」という気分になりました。めでたし、めでたし(笑)!

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「KOFU JAZZ STREET 2010」へ行ってきました。

毎年恒例「KOFU JAZZ STREET 2010」へ行ってきました。

今年は客の入りがやっぱりいまいちでした。

大雨、3連休初日、恒常化した不景気、ジャズ人気の陰り、

といたところが要因でしょうか?

客層はおじさんとおばさんばかり(涙)。

若者がほとんどいませんでした。

一昨年は若者がたくさんいたのに、去年は減少傾向、今年は激減。

私は予定どおり、渋谷毅オーケストラ with DEKOMAYA&松尾明トリオ

矢野沙織 with Ken’s Trioを観て来ました。

写真は渋谷毅オーケストラ、予想通り良かったです。

P96

ちょっと残念なことがありました。

「Alfie」での「MAYA&松尾明トリオ」2ndセット。

一部の客が演奏と歌をろくに聴かず、大きな声でおしゃべりしていたのです。

今回は楽しいイベントなので、話をしながら楽しく過ごしたいのもわかります。

でもね~。あれはちょっとひどい。比較的若い方達のようでした。

MAYAさんもやりにくそうでしたよ。

お店の人は注意すべきです。他のお客さんも不快だったにちがいありません。

以前ブログに書きましたが、「ミュージシャンへのリスペクトがありますか?」

と問いたいシーンでした。情けない(涙)。

ジャズB.G.M.化の弊害の最たるものなのかもしれませんね?

最後の曲の時は比較的おとなしかったので、注意はあったのかも?

まっ、他は楽しかったので、詳しいレポートは明日UPします。

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今夜は「KOFU JAZZ STREET 2010」!

今夜は毎年恒例「KOFU JAZZ STREET 2010」です。

あいにくの雨ですが、めげずに観にいきましょう!

毎年楽しい雰囲気に包まれるJAZZイベントです。

色々暗い話題が多い昨今、そんな時こそ盛り上がりましょう!

昨日前売りチケットを受け取りにいったらこんなポスターをくれました。

今更部屋に貼ってもしょうがないので、ブログに張り付けることにしました。

P94_2 

他にも関連ライブがいくつかあります。
是非この機会にJAZZに触れてみませんか?

P95

ヒノテルは既に終了。

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マイケル・ブレッカーの金メッキCD

マイケル・ブレッカーのリーダー・アルバムは色々持っているのですが、これを持っていないことに気づき、Amazonで中古CDを購入したら、金蒸着CDでした!

P92 マイケル・ブレッカー『ナウ・ユー・シー・イット』(1990年、GRP)です。メンバーは、マイケル・ブレッカー(ts,EWI,key)、ヴィクター・ベイリー(b)、ドン・アライアス(per)、ジョン・ヘリントン(g)、ジム・ベアード(key)、アダム・ナスバウム(ds)、ジョーイ・カルデラッツォ(p)、オマー・ハキム(ds,per)、ジェイ・アンダーソン(b)、ミルトン・カルドーナ(per)、スティーヴ・ベリオス(per)です。曲によってメンバーの人数や構成が変わります。

P93_2 Amazonの商品情報には金蒸着CDの表記がなかったし、値段も安かった(¥700+送料)ので、正に開けてビックリでした(笑)。発売翌年に再発された特別仕様のようで、定価が¥3,200。今や金メッキCDの価値はあまりないようですし、このアルバム自体人気がないようなので安かったのでしょう。金蒸着CDは音質的な意味があるのですが、見た目の高級感のほうに意味があるように思います(笑)。

このアルバム、人気がないとは言っても一部の強烈なマイケル・ファンには支持されているみたいです(笑)。マイケル・ブレッカーのリーダー・アルバムはとしては3作目。ここまでプロデュースを担当していたドン・グロルニックとの最後のお仕事というのがいいみたいですね。世間一般としては次作『ソングズ・フロム・ザ・ハドソン』のほうが人気があるし評判もいいです。アコースティック・ジャズ寄りに振られていることやオールスター・メンバーなのが受ける理由でしょうね。

さて、このアルバム。8曲中5曲でテナー・サックスとEWI(AKIのスタイナーホーン)を併用しています。中にはテナーとEWIを多重録音していたりする曲もあります。EWIの使用比率が高まった点は、オーソドックスなジャズ・ファンにとって抵抗があるんでしょうね。私はEWIに抵抗はありませんので、使うことによってサウンドに広がりが出ればいいんじゃないかと思います。また当然エレクトリック度も高いわけで、更に8ビートとくればダメな人にはダメでしょう。まっ、そんな人達にこのアルバムを聴いてもらわなくてもいいです(笑)。

ドン・グロルニックのプロデュースに話を戻しますが、グロルニックはれっきとしたジャズ・ピアニストなのに、マイケルのアルバムでは演奏しておらず、曲を提供するのみというのが興味深いところです。きっと客観的にサウンドをプロデュースしたかったのではないかと思います。その分シンセはジム・ベアードが、ピアノはジョーイ・カルデラッツォが良いプレイをしています。カルデラッツォのピアノが特に美しいです。

グロルニックの2曲、キメと陰影感の《ミンスク》、アフリカンで解放感がある《ドッグス・イン・ザ・ワイン・ショップ》(タイトルとサウンド・イメージがつながらない??)はいい曲だと思います。マイケルのテナーが映えます。さすがはプロデューサー。マイケルの良いところをきっちり引き出していると思います。

マイケルはいつものマイケル。テナーを気持ち良さそうに吹いています。EWIも吹いていますがあくまでサウンドの味付けでありメインはテナー。マイケルのテナーを存分に味わえますよ。フュージョン系の曲での軽やかなテナー、4ビートで疾走し咆哮するテナー、アフリカン・リズム曲でのスケールの大きいテナー、バラードでの哀感溢れるテナー、う~ん、この頃のマイケルはいいですね~。

最後にアルバム・ジャケットの話。上から下に鳥から魚に変化していくだまし絵?のジャケットが訳がわからなくて素敵!この絵は誰の絵かと思ったら、やぱりねっ。だまし絵と言えばこの人、エッシャーでした。

何でこれを今まで買っていなかったのかな~。今回入手できたのがレアな金蒸着CDというのもあり、私の中では高感度がかなりUPしました(笑)。

中古CDを見かけたら買ってやって下さいな。 m(_ _)m
新譜を買っていただければなお良し(笑)。

明日はいよいよ”KOFU JAZZ STREET 2010”です。

P89

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「JaZZ JAPAN」No.2、買いましたか?

皆さん「JaZZ JAPAN」No.2を買いましたか?
私は一応応援すると言っていますので、当然買いました。
”有言実行”ですな(笑)。
会社に入ったばかりの頃、”有言実行”って上司からしょっちゅう言われました。
人から言われてやるだけではなくて、自分で”これこれする”と宣言して
それをやり遂げなければダメだというわけです。
何か最近の政治家にそのまま言いたい言葉ですね(笑)。

表紙の写真については賛否があるのでしょうが、
ジャズジャイアンツの使いまわし写真でなくなったことは良しとしましょう。
これ、インパクト勝負だったらかなりのものでしょ(笑)。
編集後記でも弁解の言葉がありますが、非常識でいいんじゃないですか?

取材記事の少なさはご指摘の通りで如何ともし難いですが、
前身「SJ誌」から提灯記事を除けばこの程度だったんでしょうから、
今後に大きな期待をするしかないですな。

山中千尋さんの新譜インタビュー記事。
「『ホエン・オクトーバー・ゴーズ』の中で本当にやりたかったことを
このアルバムで実現させることが出来ました。」とあります。
『ホエン・オクトーバー・ゴーズ』は私の好きなアルバム。
《やつらの足音のバラード~スリー・ビューズ・オブ・ア・シークレット》が秀逸で、
メロディー・センスに参ったのですが、そこへ回帰というのが気になります。
最近は山中さんのアルバムを買っていないのですが、
久しぶりに買ってみようかな~。

クラブ・ジャズ・バンドのピアニストはちょっぴり気になるのぉ。

今更始まったことではないですが、日本発売のCDはあまり面白くないですね。
まっ、新譜は最近の日本ジャズ界を知るのに使わせていただいてます。
最新ジャズ・チャートと合わせて見ると業界と需要の動向が見えてきます。

コラム&エッセイに中山康樹さん登場!
ネタが”エロ・ジャケ”、冒頭に「久しくジャズの世界から目をそむけていた。」
なんて書いてありましたが、まさに浦島太郎感が漂ってます(笑)。
山中千尋さんは相変わらず面白いですな。
「これはジャズじゃない。」発言への皮肉。ごもっとも!
ジャズを取り巻く人間について語ってます。
須永辰緒さんは「渋谷HMVの閉鎖」。
皆さんジャズ(音楽)じゃなくてその周辺のほうに興味があるご様子。
ジャズ(音楽)よりジャズ周辺のほうが面白いご時世。わかる(笑)!
音楽について語っている長谷川素子さんの記事が好きです。
あっ、長谷川さんはNY在住でした。
日本に住んでいないからまともなのでしょう(笑)。
クラブDJ大河原和夫さん!言い訳がましいぞっ!若者よ頑張れ!

寺島さん。あなたの本から「PCMジャズ喫茶」まで知っている私には耳タコです。
私は大人のジャズ・ファンになんかなりたくありません(笑)!
岡崎正通さん頑張って!
村井康司さんの「JAZZ HISTORY」はなかなか興味深い考察です。

裏表紙の広告が”JBL”ではなくて”Audi”になっちゃった。
いよいよオーディオと決別ですな(笑)。
オーディオも今や”泥船”なのかもしれないので、それでO.K.かも?

応援するなら買って読んでね(笑)!

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カート・ローゼンウィンケルのギターは気持ちいい。

新譜紹介。今回も私にしては比較的早めのUPです。

P91 カート・ローゼンウィンケル&OJM『アワ・シークレット・ワールド』(2009年rec. SONG X JAZZ)メンバーは、カート・ローゼンウィンケル(g)、オルケストラ・デ・ジャズ・デ・マトシニョス:OJMです。ポルトガルのビッグバンドとの共演作。アレンジャーは3人います。

ビッグバンドとギタリストの共演というと、今年の前半にジョン・スコフィールドの『54』がありましたが、本作もだいたい同じような感じです。ただしソロをとるのはカートだけなので、ビッグバンドは完全に伴奏のためのバンドと化しています。現代の個性的なジャズ・ギタリストと斬新なアレンジをこなすビッグバンドとの意欲作に仕上がっていると思います。

聴いて最初に思ったのは何といってもカートの曲がいいこと(笑)。去年あたりから遅ればせながらカートに完全に目覚めてしまったので、カートの曲が聴いていて心地よくて仕方ありません。カートの曲は独特の“美”を持っています。哀愁感や儚さや孤独感などが入り混じった”男の美学”とでもいいましょうか(笑)?そんな曲達をビッグバンドが華麗に彩ってくれるんだから堪りませんがな。

そしてビッグバンドをバックにカートが何とも気持ち良さそうにギターを弾いているのです。もうそれだけあればいいじゃありませんか?カートののびのびと歌うギターと美しい曲を楽しめばいいのです。

アレンジは色々凝っているとは思うけれど、どこかラフさが残っている感じで、緻密過ぎないところが躍動感につながっているように感じます。そして、それがカートのギタープレイにも共通した雰囲気だと思うので、カートとOJWの組み合わせは成功しているように思います。カートの音楽世界を広げるには良いんじゃないでしょうか?

曲のことについてちょっと。《ドリーム・オブ・ザ・オールド》のラストの繰り返しメロディーが、ジャコ・パストリアスの曲《スリー・ビューズ・オブ・ア・シークレット》のラストの繰り返しメロディーに似ていて、すぐに反応してしまった私。改めて私の美メロのツボを認識しました。こういう淡い色彩の曲が好きです(笑)。ラストの《パス・オブ・ザ・ハート》は物語性のある美しい曲で、アレンジがなかなか素敵だと思いました。

去年のギター・トリオ『リフレクションズ』もかなりお気に入りなのですが、本作もなかなか良いと思いました。カートはお気に入りなので、あまり客観的な評価ができないみたいです。ご容赦願います。

アルバム名:『OUR SECRET WORLD』
メンバー:
Kurt Rosenwinkel (g)
Orchestra de Jazz de Matoshinhos

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優しくて強さも秘めた小粋なピアノ・トリオ

「桜座」で菊池成孔×南博『花と水』デュオライブを観た時に買ったCDです。

P90 南博トリオ『ザ・ガール・ネックスト・ドア』(2010年rec. ewe records)です。メンバーは、南博(p)、鈴木正人(b)、芳垣安洋(ds)です。ディスクユニオンの新譜情報で試聴してチェックしていました。ジャズマン・オリジナルやスタンダードを収録。ラスト1曲だけが南さんのオリジナルです。

優しくて強さも秘めたピアノだと思いました。最近は女性ジャズ・ピアニストの方がガンガン弾いて注目を集めるものだから、男性ジャズ・ピアニストにとってはなかなか大変な時代だと思います。そんな中にあって南さんのピアノは逆に優しさがあっていいのではないかと思いました。そして、男の強さも秘めた優しさなので女性には受けるんじゃないかと思いました(笑)。

1曲目、アルバムタイトル曲の優しさと美しいメロディーを聴いていたら、澤野工房から出たピアノ・トリオと言って聴かせても違和感は全くないと思いました。演奏全体からは優しい雰囲気が漂っていますが、ピアノのタッチそのものはしっかりしていて粒立ちの良いものです。小粋なリズム感で繰り出されるコロコロと転がるアドリブ・フレーズがとても心地よく感じます。

モンクの《バイ・ヤ》は8ビートと4ビートの混在するリズム処理がユニーク。南さんのピアノは単に優しいだけではなく、主張すべきところは主張してメリハリがあります。ドラムの抑揚のあるリズム感はなかなか素敵だと思います。ドラムが派手目なのに対してベースはどちらかというと控えめに堅実にサポートしています。

《バット・ノット・フォー・ミー》は南さんのピアノを中心にトリオ一丸で小粋にドライブする演奏が楽しいです。ベース・ソロ、ドラム・ソロともに勢いに乗っていく様が痛快。《アイ・ラブ・ユー・ポギー》は優しさ全開のバラード演奏。メロディーの展開が結構かわいかったりします。ライブで見た南さんは静かな方でしたがちゃめっけがある人だったので、そいうい部分が滲み出ている感じがします。

ショーターの《ネフェルティティ》はドラムとベースが比較的自由に絡む上で、ピアノが美しいフレーズを力強く重ねていく演奏。リズムもメロディーも難解になる手前のところで上手く曲の構造を残していて、この曲の持つ美を力強く聴かせているのがいいです。《ドキシー》は《バット・ノット・フォー・ミー》と同様のドライブ感に溢れる演奏。ここでもコロコロ転がるピアノが気持ち良いです。

《ブレイム・イット・オン・マイ・ユース》は優しくてしっとり美しいバラード。小細工なしにストレートに美しく語るところが粋。ミンガスの《グッド・バイ・ポーク・パイ・ハット》は曲そのものが持つ力強い美しさを際立たせる演奏になっています。私はこの曲が好きなので、いい演奏だと思いました。ラストは南さんオリジナルの《エピローグ》。終わりに相応しい哀愁感をたたえた優しいピアノ・ソロ。素敵です。こんなの聴かされたら女性はウットリでしょうね~(笑)。

このアルバムは特に女性にオススメします。
南さんの美の世界へエスコートしてもらえますよ!

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オーディオに関する戯言を少々

私はオーディオ的な要求からジャズを聴き始めたのですが、いつの間にか音質うんぬんよりはジャズを聴くことに面白さを感じていました。高音質な録音はクラシックやジャズ/フュージョンに多いということでクラシックとジャズの両方にトライした結果、ジャズ/フュージョンを聴くことが面白くてしょうがなくなっちゃったのです。

それでもジャズを聴くとオーディオ的に色々気になったものです。古い録音ものが古臭い音なのはしょうがないとして、一番気になったのが音像定位でした。

まずはピアノの鍵盤配置です。横一面にピアノが定位する録音の場合、向かって右に低音がきていれば、ピアノニストに対面して聴いている感じであり、左に低音がくればピアニストになった気分になります。ドラムの場合(右利きの通常配列)も同じで右にハイハット左にフロアータムがくればドラマーに対面して聴いている感じであり、左にハイハット右にフロアータムがくればドラマーになった感じです。

これがクラシックのオーケストラ定位なら絶対に決まっていて、左から右に向かってバイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスと並んでいるわけです。なので、オーディオの左右確認に使えます。

ところがジャズの場合は上記の配列がそれこそアルバムによって色々あるわけで、聴いていて気になってしかたがなかったのです。私の希望としては、私が楽器をやらず聴くほうに徹しているので、聴衆気分で聴けるピアニストやドラマーと対面している音像定位に統一してほしかったのです(笑)。

もうひとつの問題が古い録音にありがちなピンポン録音。ステレオ(立体音響)効果を強調するために、楽器を左右にバラバラ配置する場合です。右にトランペットがいるような場合に右チャンネルのみに音が入っていて、左チャンネルにはほとんど音が入っていなかったりします。かなりの不自然さです。実態は立体音響ではありませんね。

こういう録音はステレオ初期の録音で、その後は自然に定位するように、右チャンネルには右の楽器を大きい音で、左の楽器に行くにしたがって徐々に音が小さくなるように録音されています。左チャンネルはその逆に録音されています。

ピンポン録音のもう一つの不自然さは左にピアノ、中央にベース、右にドラムと並んでいるような場合に起きます。

問題をあげる前にレコードの基礎知識を少々。レコードの場合は1本溝に断面が頂角90°の三角形になるよう左右の音を刻んであります。溝の片側の壁に右の音が、溝の反対側の壁に左の音が刻まれています。レコードの場合、片側にだけ低音を刻む場合に問題が生じます。レコードの片方の溝だけに大きな低音が録音されると、片側の溝だけが大きい振幅になり、カートリッジの針でトレースするのがとても難しくなるのです。

それを避けるために、ある周波数以下の低音は中央に録音するという方法をとったりします。中央に低音を持ってくると、左右の壁に半分づつ低音が刻まれるために振幅も抑えられるし、カートリッジの構造上からもトレースしやすくなります。元々人間は低音の位置を確認しづらいという耳の特性を持っているため、中央にしちゃえばいいやという発想。

先の問題提起に戻ります。ドラムが例えば右に録音されている場合です。シンバルやスネアやタムは右から聴こえるのですが、バスドラだけが中央から聴こえてきます。これが嫌でした。ドラマーが2人いるみたいに感じられたからです。

ちなみにベースの場合は低音を弾いても倍音として高音が鳴っていて、人間の耳はそちらにひっぱられる感になるので、右にベースがいてもベースの低音は右から聴こえてきます。オーケストラの場合もコントラバスはちゃんと右から聴こえてきます。

細かいと言えば細かいのですが、オーディオに没頭していた頃はこういうことが気になってしかたがありませんでした。今は全く気にならなくなりました(笑)。

ここで問題提起。大袈裟な(笑)。

オーディオを趣味にしている人は、こういう音像定位や録音会場の空気感つまり音場を気にする人達のはずなのですが、どうもジャズ・オーディオと最近言う人達はあまりこういうことを気にしていないようなのです。ジャズの場合はオン・マイクのマルチ・マイク録音なので、音場を感じさせるために人口エコーを付加していて、音場について気にしようがないというのもありますが・・・。本当にこんなことでいいのでしょうか?

ではこういうジャズ・オーディオの人達は何を問題にするかと言えば、音質(音色)のことばかりです。寺島靖国さんなんかその最たるもので、ケーブルを変えては”シンバルの金粉が舞う”とか、”ベースがズーン”とか、音質(音色)のことばかりに言及します。たまにはベースがポッカリ浮かぶとか、サックス奏者が目の前に起立するとか言っているのですが、あまり印象に残りません。一方、私が信頼していたオーディオ評論家の故長岡鉄男さんはオーディオ求道者だと思うのですが、音場のことは凄く意識していました。

オーディオ・ファンだからこうでなくてはいけないというものではないのですが、やっぱり正統というのは存在する気がします。またまた引き合いに出して申し訳ありませんが、寺島さんがジャズにおいて異端であるように、オーディオにおいても異端であるということは感じます。極論だから面白いので、私も寺島さんのオーディオ本はかなり読んでいるのですが、いざ自分のオーディオに戻ると、寺島さんのようにしようとは思いません。

そして、オーディオにおいて低音と高音の音質(”ドンシャリ”バランス)ばかりに言及することと、ジャズにおいて曲(メロディー)のことばかりに言及することは、両者においてたぶんに初心者的発想だと思います。

ジャズとオーディオの両立には色々考えさせられることがあります。なので私は、ジャズを聴くこととオーディオで音楽を再生することには、ある程度線を引いています。では今の私はと言えば、オーディオ的にはあまり突きつめていません。心地よくジャズが聴ければ良い感じです。んっ、それがジャズ・オーディオかな?軽く考えればいいことかも(笑)?

こんな細かいことを言うのはアホなことだと自分でも思います(笑)。

以上オーディオ・マニア兼ジャズ・マニアの戯言でした。

今改めて聴くと、SJ誌のジャズディスク大賞金賞をとったのが頷けます。

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いよいよ来週は甲府ジャズストリート2010です。

いよいよ来週は毎年恒例の「KOFU JAZZ STREET 2010」です。
今回で5年目。私は2年目から見に行ってます。

P89_3  

5か所の会場で行われます。
参加ミュージシャンは下記のとおりです。

「桜座」 : 渋谷 毅オーケストラ with DEKO
松風 鉱一(Fl As Bs)、津上 研太(Ss As)、林 栄一(As)、峰 厚介(Ts)、
松本 治(Tr)、石渡 明廣(G)、上村 勝正(B)、外山 明(Dr)、渋谷 毅(P)、
DEKO(Vo)

「コットンクラブ」 : 矢野 沙織 with Ken's Trio
矢野 沙織(As)、金子 健(B)、遠藤 征志(P)、海野 俊輔(Dr)

「Alfie」 : MAYA 松尾 明トリオ
MAYA(Vo)、松尾 明(Dr)、嶌田 憲二(B)、寺村 容子(P)

「ALONE」 : 布川 俊樹 スタンダードセッション
布川 俊樹(G)、堀 秀彰(P)、大垣 知也(B)、平井 景(Dr)、白根 真理子(Vo)

「THE VAULT」 : 西川 直人 No Problem
西川 直人(Or)、湯本 淳希(Tp)、塩川 俊彦(G)、高橋 真太郎(Tb)、
西川 輝正(B)、近藤 淳也(As)、三浦 邦彦

詳細はコチラ⇒ 「KOFU JAZZ STREET 2010」

今年はどういう順序で回ろうかな~。
3ステージなので、1ステージ1グループ見ると、3グループしか見られません。
渋谷毅さん、矢野沙織さん、MAYAさんを見たいと思っています。
目玉はやっぱり渋谷毅オーケストラですね。

今年はお客さんがどのくらい集まるのかな~。
この不況下なのでちょっと心配です。

甲府にお住まいの方は是非見にいきましょう!

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昨日のサンチェスを聴いてこっちも紹介したくなりました。

昨日、アントニオ・サンチェスの新譜がなかなかいいと書いたのですが、聴いているうちにジャック・ディジョネットの『スペシャル・エディション』が思い浮かびました。私が徘徊するジャズ・ブログにも同じ連想をした方がいました(笑)。私と同じような嗜好をお持ちの方なんです。

P87 『スペシャル・エディション』(1979年rec. ECM)。メンバーは、ジャック・ディジョネット(ds,p,melodica)、デイヴィッド・マレイ(ts,b-cl)、アーサー・ブライス(as)、ピーター・ウォーレン(b)です。ドラマーがリーダーでピアノレス・カルテットということで共通します。

1979年録音ですが発売は1980年で、当時絶賛されたグループです。ライナーノーツは悠雅彦さんが書いていて、冒頭から”凄い”を連発しています(笑)。残念ながら私はこれが出た時はまだ「JAPAN」や「Y.M.O.」を聴いていました。

私が最初に買ったスペシャル・エディション(アルバム名がグループ名になった)のアルバムは3作目『インフレーション・ブルース』。結構気に入って当時よく聴いていました。このアルバムのことは2年くらい前にブログにUP済。『スペシャル・エディション』を買ったのはその後だいぶ経ってからです。

さて、『スペシャル・エディション』と昨日のアントニオ・サンチェスのアルバムの共通点は何かというと、「知性と感情が好バランス、グループ表現と各人のソロが好バランス、熱いフロント2管、テクニシャンで音楽性が高いドラマー」といったところでしょうか。

一方で相違点もあります。「曲(メロディー)の色彩感(ディショネット:多彩、サンチェス:モノトーン)、リスム(ディジョネット:4ビート基調、サンチェス:変拍子、8ビート、4ビート混在)、2管のソロの取り方(ディジョネット:フリー系、サンチェス:トリスターノ系)」といったところでしょうか。

私はどちらが良いか安易に甲乙は付けられないと思います。時代の違いがありますからね~。なかなか難しいです。

『スペシャル・エディション』が出てもう30年も経つんですね!今聴いてもあまり古さは感じさせないし、十分瑞々しさを持った音楽だと思います。余談ですが、ディジョネットは1曲でピアノも少し弾いていて、これがかなり上手です。ディジョネットは凄いドラマーです。是非聴いてほしいアルバム。

さて、このアルバム、最近あまり話題に上らないですね。80年代のアルバムとしてはかなり重要だと思うのですが残念です。

話は少し変わりまして。
このアルバムが紹介されていないようなジャズセレクト本を、私はあまり信用できないな~(笑)。

P57_2 故油井正一さんの「ジャズ ベスト・レコード・コレクション」はもう何度も私のブログに登場していますが、未だにこの本に出ているアルバムを買うと、番号に×印をつけている私(笑)。カバーがもうボロボロでテープを張って補修していますがそれでもかなり傷んでいます。色もかなり黄ばんでしまいました。1985年までならこの本がベスト。24年前の本です。

この本には『スペシャル・エディション』がきちんと掲載されています。私が持っている本は多分初版だと思いますが、このアルバムが掲載されたページを見ると面白いです。1ページに3枚づつ紹介されていて、真中にこのアルバムがあり、右隣がジョー・サンプルの『虹の楽園』で、左隣がリッチー・コールの『ハリウッド・マッドネス』。フュージョンもエンターテインメント性が高いジャズもきちんと紹介するのが油井さん。ジャズ全体を色眼鏡なしで俯瞰できたジャズ評論家でした。

引き合いに出すのもなんですが、MOONKSの「JAZZとびっきり新定番500」には当然掲載されていません。この本がダメなのはこの辺のアルバムをきちんと押さえていないところにあると思います。

P8870~90年代のアルバムをチェックするなら、ジャズ批評No.83「ジャズ1970~90年代」がいいと思います。330枚ですが、非常にバランスよく網羅されていますよ。1994年までのものが掲載されています。まっ入手は難しいでしょうが、中古本を見つけたら是非ゲットして下さい。15年前の本です。

村井康司さんの「「フュージョン現象」とは、何だったのか」。後藤雅洋さんの「ジャズの正統、あるいは正統性の政治学」、織戸優さん(ジャズ喫茶マイルストーンのマスター)の「「バップ・リヴァイヴァル」とは」、寺島靖国さんの「ジャズの感動と力」、横井一江さんの「AACM その発展的軌跡を辿る」、原田和典さんの「ドロドロ・ジャズ図鑑」などなど、面白い読み物満載の1冊です。錚々たるメンバーが書いていますね。

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爽快、痛快、現代バップ!

これは私としては比較的早い新譜紹介です。
これはいいなあ~。かなりオススメ盤!

P85 アントニオ・サンチェス『ライブ・イン・ニュー・ヨーク・アット・ジャズ・スタンダード』(2008年rec. CAM JAZZ)です。メンバーは、アントニオ・サンチェス(ds)、スコット・コリー(b)、ミゲル・セノーン(as)、ダヴィッド・サンチェス(ts)です。精鋭揃いのピアノレス・カルテット。NY「ジャズ・スタンダード」でのライブ録音盤2枚組。

爽快で痛快な現代バップがぎっしり詰め込まれています。フロントの2管がいいですね。セノーン、ダヴィッドともに何枚かリーダー作を出し、色々なグループで活躍する中堅どころの実力者。2人はどちらかと言えばオーソドックスな部類に属するので、誰が聴いてもわかりやすいところがいいです。

これがトニー・マラビー(ts他)やスティーヴ・リーマン(as)辺りになってくると、やっていることがちょっと難しくなってきて、さらに内省的な部分があったりするので、近寄りにくい。

このアルバムはフロントがわかりやすいということで万人にオススメできると思います。その上2人とも”バリバリ”(死後?笑)の熱演だからたまりません。特にセノーンはキレてますね。1枚目の1曲目《グレッディ・サイエンス》でのセノーンのアルト・ソロは圧巻です。ダヴィッドはもう少し落ち着いた感じで、ソロの緩急の妙と展開を聴かせてくれます。

曲は15分前後のもので、1枚目2枚目ともに4曲づつ収録されています。1曲をしっかり聴かせる構成ですね。サンチェスの曲が5曲、セノーンの曲が1曲、ダヴィッドの曲が1曲、なんとパット・メセニーの曲も1曲入っています。サンチェスはメセニー・グループのドラマーなので不思議はないですが。いずれもモーダルな曲です。

曲は基本的にはフロント2管のソロを聴かせるものですが、おざなりのテーマ・アレンジとソロ回しというのではなく、テーマの合奏が凝っていたり、ベースから入ったり、ドラムから入ったり、リスムやテンポのチェンジがあったり、物語性のあるバラード曲があったりと、曲構成そのものがよくできているので飽きません。

ここでちょっと内ジャケの写真を公開。なかなかカッコいいでしょ。

P86

フロントの2管が熱演し好演しているのは前述のとおりですが、この2人を包み込むようにサンチェスがドラミングで演奏をまとめあげていくのが聴きどころです。緩急の妙、ここ一発のキメ、フレキシブルでパーカッション的なドラミングは現代屈指の技です。そしてスコット・コリーは中央に陣取り、ブッとい音で大地のごとく演奏の基盤をなしつつ絡んでいきます。

前述のようになかなか凝った構成の曲なのに、ライブ演奏なのに、非常にスムーズに演奏が展開していくところに、このグループの凄さを感じます。かなりリハーサルしたり、ライブでの演奏を重ねているんでしょうね。生でライブを見てみたいです。

話がちょっと横道にそれますが、1枚目と2枚目のラストの曲で、サンチェスが小型木魚?(笑)を左足で演奏していますが、これ今結構流行っていますね。私が最初に見たのは2年前、神保彰の「ドラムからくり」ツアーでした。YouTubeの映像では「シンクロナイズドDNA(神保彰、則竹裕之のツイン・ドラム・ユニット)」で、則竹も使っていました。皆さん見事に木魚でリズムを刻んでくれます。

録音も素晴らしいです。ライブ録音と思えないほど楽器間の音のかぶりがなくクリアに捉えられています。音像定位は向かって左がセノーン、右がダヴィッド、中央に太く鳴るベース、その背後にドラムが左右目いっぱい広く定位しています。ドラムが背後に広がっているので、前述のようにドラムが演奏を包み込むように感じられるのかもしれませんね。

面白いのは、演奏中は会場の雰囲気は希薄で、演奏が終わった後の拍手で会場の広さが分かる雰囲気になるところです。多分会場の音は曲のラスト辺りからミックスされているのでしょう。

これ、ちゃんとしたオーディオ装置で音量上げ気味で聴くと良いですよ。目の前で生々しく演奏が展開します。こうい時にオーディオの良さを感じますね。自分のためにだけ演奏してくれるわけですから(笑)。

それも、こんなメンバーのライブはNYへ行かなきゃ聴けないわけですし、ライブハウスでは隅の席になるかもしれないし、横の人がノイズを発するかもしれないし、暑かったり寒かったりするかもしれない(笑)。そこへいくと自宅オーディオでは安心して演奏に浸れます。とは言っても、やっぱり生ライブの迫力には絶対勝てませんけどね。

と言うわけで、このアルバム、現代バップ・ファンは必聴です。

アルバム名:『LIVE IN NEW YORK AT JAZZ STANDARD』
メンバー:
Antonio Sanchez(ds)
Scott Colley(b)
Miguel Zenon(as)
David Sanchez(ts)

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