スイング感が爽快です。
最近めっきり涼しくなりましたね。
猛暑が早く終わってほしいと思っていたけれど、
こう涼しくなると何か寂しい気分になるから不思議です。
新譜紹介いってみよう。
アナ・コーエンの『クラリネットワーク ライブ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』(2009年rec. Anzic Records)です。メンバーは、アナ・コーエン(cl)、ベニー・グリーン(p)、ピーター・ワシントン(b)、ルイス・ナッシュ(ds,vo)です。アナ・コーエンはトランペッターのアヴィシャイ・コーエンのお姉さんです。テナー・サックスやアルト・サックスも吹くのですが、本作はクラリネット1本に絞っています。
ディスクユニオンの宣伝文を読んで、HMVのマルチバイ特価で買いました(笑)。たまにはクラリネットもいいですよ。ヴィレッジ・ヴァンガードでのライブを収録しています。クラリネットということもあり、トラディショナル寄りのものもありますが、モダン・クラリネットのハード・バップという括りで良いのではないかと思います。
1曲目《スイート・ジョージア・ブラウン》は中間派の演奏という感じですが、徐々に盛り上がりなかなかのドライブ感でクラリネットが舞い踊ります。ピアノのグリーンがいいんですよ。寺島靖国さんがこの人の顔を見て、ジャズをやる人の顔じゃないとか言っていたので、私は勝手に偏見を持っていたのですが、スインギーでいいピアノを弾きますね。
続く《ララバイ・オブ・ザ・リーブス》も小粋な演奏。《あなたと夜と音楽と》が引用されているように聴こえるのですが、コード進行が似ているのかな~?とてもスインギーな演奏です。グリーンのピアノ・ソロがいい(笑)。楽しく聴かせてくれます。
《セント・ジェームス・インファーマリー》はブルージーなバラードで、コーエンは適度なダーティーさも持ちながらちょっぴりベタな感じのするロングトーンや繰り返しフレーズを交えつつじっくり聴かせてくれます。女性っぽくないですね。ピアノのグリーンが結構コテコテにブルースします。顔に似合わず”どジャズ”(笑)。いいと思います。
《アフター・ユーブ・ゴーン》はコーエンがアップ・テンポで飛ばす飛ばす!軽やかにスインギーに”ヒラヒラ”とフレーズを繰り出してきます。なかなかのテクニシャンですね。続くグリーンのピアノ・ソロがこれまたかなりスインギー。軽くならず充実感満載の演奏です。ナッシュのドラム・ソロもスインギー楽しいものです。
《セント・ルイス・ブルース》はミディアム・テンポの軽快なブルース演奏。例のテーマが出てこないので何の曲かわかりません。しばらくしてテーマが出てくるのですが、テーマが終わるとまた最初の雰囲気に戻ります。グリーンのピアノ・ソロから。いやっ、この人のブルースはいいですね。しっかり地に足がついていてスインギー。コーエンのソロもそつなく進みます。続くベース・ソロはオーソドックスで堅実に。ラストにはナッシュのスキャットまで飛び出します。なかなかの上手さで小粋でいい味出してますよ。
《ボディ・アンド・ソウル》はバラード演奏。グリーン、コーエンともにしっとり聴かせてくれます。特にグリーンの語り口がいいです。やさしく愛を語りかけてくれます。コーエンはユーモアがありつつ結構情熱的。肉食系女子(笑)?
ラスト《ホワット・ア・リトル・ムーンライト》も中間派の演奏。グリーンのピアノ・ソロが先発。クラスター奏法のようなものもチョロッと交えてドライブ感満載。コーエンもその流れを受け継いで快適にスイング。グリーンに煽られながら一気に吹き抜けていきます。ドラムそろはやっぱりスインギー。
ヴィレッジ・ヴァンガードの日曜夜は楽しい雰囲気に包まれていました。
アルバム名:『CLARINET WORK : LIVE AT VILLAGE VANGU』
メンバー:
ANAT COHEN(cl)
BENNY GREEN(p)
PETER WASHINGTON(b)
LEWIS NASH(ds)
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コメント
いっきさん、こんばんは。
アマゾンUSAでは40秒くらい試聴できるので聴いてみました。
「楽しい大人の夜」って感じのアルバムですね。
クラリネットは、音色から"スウィング"を連想しがちですが、〜中間派って感じですね。
中間派って分かりにくいけど、オイラの馴染みで言えば
スコット・ハミルトンのクラリネットバージョンって感じ?
センチメンタルになり過ぎず、ブロウしないアナ・コーエンのクールなクラリネットは好きです。
へぇ〜、いっきさん。こういうアルバムも聴くんですね。
守備範囲外かと思っていましたよ(笑)。
投稿: tommy | 2010年9月28日 (火) 03時45分
tommyさん
アナ・コーエン、軽快でスインギーなところがいい感じです。ちょっと薄味気味ですが、たまにはこんな感じもいいんじゃないかと思いました。
十分守備範囲です。
フリージャズのよほど難解なやつでもない限り、ジャズと名がつけばなんでも聴きます(笑)。
スコット・ハミルトンも持っていますよ。
クラリネットはバディ・デ・フランコや谷口英治とか聴きます。
投稿: いっき | 2010年9月28日 (火) 20時19分