ユーロジャズもなかなか良いのです。
何の脈絡もなく適当にアルバムを紹介するのが好きです。
FM東京の山下達郎さんのラジオ番組「サンデーソングブック」で、特にテーマを決めずに放送する時にやっている「棚から一掴み」みたいな感じ。CD棚から適当に掴んで紹介するんです。
アルド・ロマーノの『コーナーズ』(1998年rec. Label Bleu)です。メンバーは、ミッシェル・ベニタ(b)、ティム・ミラー(g)、マウロ・ネグリ(cl)、ロニー・パターソン(p)、アルド・ロマーノ(ds)です。タイトルから想像できるように、様々な国々の街角を想像させる曲を収録したアルバムです。ジャケットの半分が東京の街というのが興味深いですね。”ファミリア”(マツダの自動車名)の文字がみえるところからすると昭和の写真。
このアルバムを買ったのは杉田宏樹さん著「ヨーロッパのJAZZレーベル」を読んだから。ヨーロッパのジャズに全く疎かった7,8年前、私はこの本を読んで色々情報を入手しました。
いきなり街角で語り合う人々の声から始まります。いかにもヨーロッパな哀愁感が漂う曲からスタート。クラリネットとギターの響きがエレガントに響きます。ネグリのクラリネットはさすがヨーロッパと言える音色と鳴らしっぷり、基礎がしっかりしていないとこうは鳴らせないでしょう。クリーンで力強いです。
ミラーのギターは結構ブルージーな感じで、ジョン・スコフィールドから灰汁を取り除いたような感じです。結構聴く人の耳を惹きつけるものがありますよ。パターソンのピアノは端正でしっかりした響きです。ベニタのべースはガッチリ。ロマーノは緩急自在でフレキシブルなドラミング。雰囲気作りが上手です。
かなりの部分が作曲されていると思わせる曲は映画のサウンドトラックのようです。一方アドリブ重視の曲も入れているところがジャズ度を高めています。ジャズ度の高いものからエスニック・サウンドまで、緩急織り交ぜて短めの曲が15曲収められています。続けて聴いても飽きないですよ。まるで世界の街角を旅しているような気分になります。
クラリネットとギターの2フロントは決して柔にならず、しっかり主張をしているところがいいです。演奏を聴かせるということを心得たパワーがあります。ちょっとフリーがかったかなり激しい演奏もあります。そこからは、単なる雰囲気抒情演奏を収めただけの軟弱アルバムではないことがわかっていただけると思います。しっかり作られたコンセプト・アルバムです。
ジャズは全世界へ波及しました。アメリカのジャズだけがジャズではないということを知るには面白いアルバムだと思います。ラベル・ブルーというフランスのレーベル。苦手な人もいるみたいですが、私は結構好きなレーベルです。
アルバム名:『CORNERS』
メンバー:
MICHEL BENITA(b),
TIM MILLER(g),
MAURO NEGRI(cl),
RONNIE PATTERSON(p),
ALDO ROMANO(ds)
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明日はジャズ喫茶「いーぐる」の新譜特集へ出かけます。
暑いんだろうな~明日も(涙)。
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コメント
いっきさん
あいにく私は明日、仕事で行けません(残念)。常連の皆さんには宜しくお伝えください。
投稿: 雲 | 2010年9月 4日 (土) 02時07分
雲さん
残念です。
宜しく伝えておきます。
投稿: いっき | 2010年9月 4日 (土) 10時03分