アンプ改造終了。
しばらく前にR120真空管アンプが故障したので改造すると書きました。R120の1本が異常放電を起こすようになったからです。
R120という真空管はフランス製で、アメリカ製2A3に似た特製の3極管ですが傍熱管です。写真のとおり管形にも特徴があります。膨らんだ部分がかなり上部にあるため、一般的なG管に比べてスマートに見えます。
故浅野勇さんの名著「魅惑の真空管アンプ、下巻」にもこの真空管を使った製作記事があり、”ゆったりとした奥行きのある再生音には、2A3にない優雅さが内包されているように思います。”と書かれていたので、私はその言葉に惹かれてアンプを作ったのです。
それがとうとう故障してしまったのでした。音も気に入っていたので残念。私が今持っている自作真空管アンプの中で最も前に製作したものでした。15年くらい前に作って他のアンプと交代させながら使っていたので、もう十分楽しんだと言って良いでしょう。
壊れた真空管は1本なので、プッシュプルアンプの片チャンネルだけ新しい真空管に交換すれば良いのですが、そうなると交換した真空管と今生きている真空管で音質に差が生じてしまい、あまり気分がよろしくありません。R120自体最近見かけないし値段も高いので、ここは思い切ってアンプを組み換えることを決意したというわけ。
組み換えるにあたり、回路をあまり変えずに出力管だけを変えたかったので、しばらくの期間悩んで6L6GCというありきたりの真空管に変えることにしました。先々週上京した際に秋葉原で現行普及品(EH/スベトラーナ製)6L6GCを購入。コストはかなり抑えられました。
出来上がった外観はご覧のとおり。GT管ばかりなのでデザイン的にアクセントが乏しいですが、それほどバランスが悪いわけではないので良しとしましょう。もともとオーソドックスでさっぱりした部品配置だったので、これはこれでスッキリデザインになっていると思います。
回路の変更は4点。
①出力管のB電圧を上げるためにデカップリング抵抗を小さい値に変更。②出力管のカソード(バイアス)抵抗を6L6GC用に変更。③ウルトラリニア接続用にスクリーングリッドをトランスのUL端子に配線。④NFB抵抗を変更(NFB=-10dB)。簡単な変更なので作業は1時間くらいで終了。
変更作業後に発信機とオシロスコープで特性を確認しつつNFB抵抗を選択。B電圧が低めなので、最大出力は17Wしか得られませんでした。6L6GCなら20W以上は楽に出るかと思っていたのですが、プレート電圧が低いとやっぱりダメみたいですね。ウルトラリニア接続だからということもあるでしょう。まあ、今の私の聴き方では5Wもあれば十分なので問題なし。NFBを-10dBかけると方形波に軽くリンギングが出たので、コンデンサで軽く微分補正をかけておきました。(その後、高域の発信現象があることがわかり、補正コンデンサは取り外しました。)
音については、最近細かいことはあまり気にならないんですよね(笑)。明るめの音で低音もよく出ていると思います。ちょっと硬めで軽めな感じですが、新品の球ですのでエージングすれば落ち着くのではないかと思います。
とりあえず、時々出る”オーディオいじりたい病”はこれで少し治まりました(笑)。エージングのためサブのパワーアンプは当分こいつを使います。
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