ジャズ喫茶「いーぐる」後藤雅洋さん登場!
今回の「高野 雲の快楽ジャズ通信」は
「ジャズ喫茶いーぐるマスター後藤雅洋氏を迎えて」。
後藤さんの新刊本『一生モノのジャズ名盤500』にまつわるトークです。
番組詳細は jazz blog 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
こちらには番組中でかけたCDの購入リンクもあります。
レギュラーゲストのtommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'e もご覧下さい。
快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 も是非お聴き下さい。
売れ行き好調とのことで、早くも重版になったそうです。
多くの方に読んでほしい本です。
いよいよ「快楽ジャズ通信」も今月9月分の放送4回を残すのみ。
終了してしまうのは残念ですがしょうがありません。
雲さん、tommyさん、お疲れ様でした。
今回の放送、tommyさんがUSTREAMで既にほとんどそのまま流しました。
音楽はかけなかったのですが、今思うにそのまま流して大丈夫だったのかな~?
いや~っ、かけた曲はたったの2曲。
ひたすらトークなので、私の速記では追いつけません(涙)。
エッセンスは何とか入っているだろうと思います。
最初より後半のほうが調子が上がり、取りこぼしは少ないと思います。
冒頭いきなり「怖い先輩が来ちゃったね~。」と雲さんとtommyさん(笑)。
20年以上前、雲さんはジャズ喫茶「いーぐる」でバイトしていました。
tommyさんはご自分のジャズ喫茶「スコット・ラファロ」をオープンする時に
後藤さんからアドバイスをいただいています。
後藤さんの読者が活字から受ける印象は硬派な頑固マスター。
今日は生の声を聴いて本当の姿を知ってほしいそうです。
まずは新刊本の話。
日々営業でお店でかけている曲からセレクト。
聴いた感じをポイントにして分類。
お店に来る普通のお客さんは聴いた感じでカテゴライズしているそう。
ジャズ喫茶の選曲はあるプログラムに基づいていて、
その基準になっているのが”聴いた感じ”。
選曲プログラムについて説明していましたが、聞きとりが追いつかす。
といいうわけで、後藤さんの本「ジャズ選曲指南」を参照願います。
今回、”聴いた感じ”を18に分類。
ジャズ・ファンの悩みは、多いジャズアルバムから何を選んでいいか分らないこと。
で、解決策として18分類を一通り聴いたうえで、自分の好みをみつけていただく。
18分類の代表の1枚は極々代表的なアルバムです。
一方で気に入った分類から聴いて行けば横の並びがみつかる。
ジャズを聴き始めた人は効率的に好きなアルバムをみつけることができます。
お金的にも時間的にも節約できます。
今までありがちな人物分類や年代分類と違うのが今回の工夫です。
ジャズ喫茶の選曲のノウハウをジャズを聴き始めた人のガイドラインに生かす。
最初の章は「これがジャズだ!」そこからかけます。
アート・ブレイキーの『バードランドの夜』から《クイック・シルバー》。
今回は曲を聴いての感想は書きません。
店でよくかかるそうです。
分りやすくて演奏もいい。
普通の人がジャズに抱くイメージ。
tommyさんによると本の帯にあるアルバムが「いーぐる」でかかっていたそう。
「人にかけてもらうのがいいのよ。」とtommyさん(笑)。
後藤さんがジャズを聴き始めた頃の話。
「高校生の時に初めて聴いて今でも聴いている。飽きずに長く聴いているよね。」
と後藤さん。
大学時代にジャズ喫茶を始めたそう。
普通はジャズ喫茶のオヤジは自分の好みばかりかけることになるが、
後藤さんは当時まだジャズを良く知らなかったので、
最初はお店にたむろしていたジャズ・マニアにアドバイスをもらい。
次の段階ではジャズ喫茶のオヤジの集まりで鍛えられたそうです。
ジャズ喫茶のオヤジ同士で飲みに行った時など、
かかっている曲に「これは誰か?」と後藤さんは質問されたそう。
当時のジャズ喫茶のオヤジ達は
「ブラインド(フォールド・テスト)をできないやつはジャズ喫茶をやるな。」
というようなプライドがあったそうです。
そういうのは本を読んで得た知識ではなく聴いて分ること。
後藤さんはかなり聴きこんで勉強したとか。
「知識ではなく感覚の問題。注意深くよく聴きこまないとダメ。」と後藤さん。
そういう聴き方をしたからジャズが好きになったんではないかとのことでした。
オーディオ・ブームの話。
後藤さんはオーディオ・マニアだが、店は自分好みにチューニングしていないそう。
好みのマクリーンが良く鳴るようにするとECM(レーベル)がよく鳴らない。
ブルーノート(レーベル)がよく鳴るようにバイアスをかけたりしないそうで、
ブルーノートもECMも程々に鳴るようにして、
後はお客さんが自分の耳にバイアスをかけて聴いてもらうようにするそうです。
アナログとCDも両方そこそこ鳴るようにしているとのこと。
「「いーぐる」ではCDとアナログの差があまり変わらない。」とtommyさん。
後藤さんはそこに凄く気を使っているそうです。
今はあまりやっていないが、昔はオーディオに凄く気を使ったそう。
スピーカーの裏の空間に置く物の量によって音がかわるので、
置く物の量を調整したりもしたそう。
後藤さんは機材マニアではないそうです。
「オーディオというのは実際は使いこなしで決まる。」と後藤さん。
CDプレーヤーの下のボードを2枚重ねてボンドで貼りつけたりしているそうです。
1枚から2枚にすると全然音が違うんだそうで、
ボンドが固まる過程でも音が変わっていったそう。
「オーディオはそういう繊細なもの。」と後藤さん。
最近「いーぐる」の床を張り替えたら凄く音が変わったそうで、
最初は「何だこりゃ?」という音になったそうですが、今は落ち着いたとか。
その際、スピーカーのアッテネータはかなり調整したそう。
「オーディオは手間暇がかかる。根気が必要。」と後藤さん。
一度に何か所も変えずに、一か所ずつ変えるのが肝心。
スピーカーのアッテネータは3つあるが、1個づつ変えて何日か様子をみて
メモも取って調整したそうです。
チェック用のCDはあるそう。
この本の中にはそういうチェック用CDはないとのこと。
チェック用としてはブルーノートのハードバップ、ECM、エレクトリックもの。
エレクトリックは、ウェザーリポートやマイルスの『ドゥ・バップ』。
『ドゥ・バップ』では低音のダンピングを確認するそうです。
このアルバム夜中に大音量でかけるとガラスが”ビリビリ”鳴るほど凄い低音。
あんまり低い方まで伸ばすとダンピングが悪くなるそうです。。
『ドゥ・バップ』がいいとチャーリー・ヘイデンのベースが上手く鳴らないとか。
バランスが難しいそうです。
ここで曲。名盤中の名盤。
「これが気に入らなかったら他の音楽を聴いたほうがいい。」と後藤さん。
ウェス・モンゴメリーの『フル・ハウス』からタイトル曲。
tommyさんから後藤さんに質問。
tommyさんのお店「スコット・ラファロ」はセッションをできるようにしているそうで、
そうすると楽器をやる人が来るが、アルバムはあまり聴かないんだとか。
「「いーぐる」はライブが出来る広さなのにやらないのはなぜ?」とtommyさん。
「それは役割分担。ライブはライブハウスでやればいい。」と後藤さん。
「ライブに来てくれるお客さんは普段お店にきてくれない。」とtommyさん。
「ライブ・ファンとアルバム・ファンは違うからね。」と後藤さん。
「どちらかに偏るのはよくない。要はバランス良く聴くことです。」と続けます。
「CDを聴いてジャズの聴きどころが分ったうえでライブを観てほしい。」
とtommyさん。
「いーぐる」はライブはやっていないがイヴェントはたくさんやっています。
「「連続講演」はある意味ライブ。」と雲さん。
毎週やっていてもう17,8年続いているそうなので凄い回数をやっているそうです。
最初は自分で始めて、途中からは色々な方に依頼しているそう。
目的は若手評論家を育てることと自分も勉強するためとのこと。
雲さんは2度やって凄く緊張したそうです。
「レベルが高いですよね。」と後藤さん。
講演をやるとジャズレベルがバレてしまうそうですよ。
講演者は最初は緊張するが3回もやればレベルが上がるとのこと。
「やるほうも聞いている方(お客さん)や私も勉強になる。」と後藤さん。
情報発信はジャズ喫茶の役目でもあるそうです。
中にはダメだしする場合もあるそうで、
何を言ってもかまわないが、分る説明をしてほしいとのことでした。
「いーぐる」では昼間は私語禁止。
「ジャズを聴く張りつめた空気がある。」と雲さん。
後藤さんによれば、仕事をさぼって来ているような人も、
時々アルバムを手にとったりして、ただ流し聴きをしているだけじゃないことが
分ったりするそうです。
「そんなジャズ喫茶「いーぐる」へ行きたいけれど行けない地方のファンは
『一生モノのジャズ名盤500』を読んで気分を味わってほしい。」と雲さん。
今日の番組、私にとってはいつもの後藤さんでした。
昨日もお話してきたばかりですからね。
面白い話をたくさん聞くことができました。
ありがとうございました!
今日は怒涛の3回更新。疲れました。明日は更新を休みます。
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コメント
ごていねいな番組紹介、ありがとうございます。おかげさまで一時ランク落ちしていた拙著、再びアマゾン、ジャズ部門ランキングの上位に返り咲くことが出来ました。
また、いーぐる『新譜紹介』の感想も非常に参考になりました。今後も忌憚の無いご意見をお寄せください。
投稿: 後藤雅洋 | 2010年9月 7日 (火) 09時57分
後藤さん
こんばんは。
コメントありがとうございます。
>ごていねいな番組紹介、ありがとうございます。
いえいえ、どういたしまして。
皆さんに面白さが伝わってくれれば良いのですが。
>おかげさまで一時ランク落ちしていた拙著、再びアマゾン、ジャズ部門ランキングの上位に返り咲くことが出来ました。
きっと多くの人が良いジャズガイド本を求めていて、
この本がそのニーズにマッチしているんだろうと思います。
ジャズ部門ランキングの上位というのは私も嬉しいです。
この本を読んでジャズファンが増えてくれればいいと願っています。
>いーぐる『新譜紹介』の感想も非常に参考になりました。今後も忌憚の無いご意見をお寄せください。
あまり考えず思ったままを書いたので少々お恥ずかしいのですが、
参考にしていただけたのなら幸いです。
稚拙ながらボチボチ情報発信をしていければ良いと考えています。
投稿: いっき | 2010年9月 7日 (火) 20時25分