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ビール会社が作ったジャズ・アルバム

現代ハードバップが聴きたくて買ったアルバム、新譜紹介です。

P68 『ザ・ブラザー・セロニアス・クインテット』(2009年rec. NCBC MUSIC)です。メンバーは、ヘレン・サング(p)、アラン・ハンプトン(b,vo)、ジェームス・オルサンダーズ(ds)、ウェイン・エスコフェリー(ts)、アンブローズ・アキンムシーレ(tp)、グレッチェン・パーラト(vo、1曲のみ)です。

「ブラザー・セロニアス」はビールの名前とのこと。ジャケットはそのビールのラベルらしいです。このアルバムはそのビール会社が制作したアルバム。セロニアス・モンクへのトリビュート・アルバムですが、メンバーのオリジナルも4曲入っています。

メンバーは全員非営利の教育団体「セロニアス・モンク・インスティテュート・オブ・ジャズ」の卒業生。ヘレン・サング、ウェイン・エスコフェリー、アンブローズ・アキンムシーレはリーダー・アルバムを出していますよね。私もヘレン・サングのアルバムは持っています。私にとって今回のお目当てはトランペッターのアキンムシーレ。原田和典さんや益子博之さんが推薦するトランペッターで、この人が参加しているとついつい買いたくなってしまいます。

モンクの曲が6曲、サング、エスコフェリー、ハンプトン、アキンムシーレがそれそれ1曲ずつ提供して、計10曲が収録されています。モンクの曲は全てサングのアレンジ。メンバー・オリジナルはそれぞれ作曲者がアレンジしています。

サングのモンク曲アレンジは新しさを感じさせるものの、尖ったものはなく小粋なものになっていると思います。ピアノ・トリオとサックス・トリオの演奏も1曲ずつあります。メンバーは腕達者なので演奏のクオリティーは高いです。ただ一方でメンバー一丸となって燃えるような演奏というのはなく、熱いブローもあるのですが全体的には比較的こじんまりまとまているような気がします。

モンクの曲はそれなりにいい出来として、私はメンバーのオリジナルが結構気に入りました。サング作のモーダルでクールで微哀愁漂う曲《ブラザー・セロニアス》。エスコフェリー作の熱いブローが映えるモーダルでスピリチュアルな曲《カーペ・ディム,ヴィタ・ブレヴィス》。ハンプトン作の長閑でフォーキーで優しい曲《ヘイルーム》。アキンムシーレ作で自身のトランペットがクールに歌い上げる郷愁感溢れるワルツ・バラード曲《ヘニャ》。皆いい曲と演奏です。

ラストの《アグリー・ビュティ/スティル・ウィー・ドリーム》が素晴らしい出来だと思います。サングのピアノだけを伴奏にグレチェン・パーラトのニュアンス溢れるボーカルで始まり、途中からアキンムシーレがトランペットで優しく寄り添ってくる展開は聴いていて”ゾクッ”とします。後半のピアノとトランペットのデュオも情感豊かです。このバラード演奏を聴いてアキンムシーレに惚れ直しました。この3人でアルバムを作ってほしい!

結局上記の5曲が私のオススメで、間のモンクの曲はまあいいんじゃないという感じになってしまいました(笑)。メンバーの中ではやっぱりアキンムシーレの出来がいいように私は感じます。ベースのハンプトンの強靭でドライブするベースも良いと思います。

ちょっと散漫な感じがなきにしもあらずですが、なかなか良い出来だと思います。

アルバム名:『THE BROTHER THELONIOUS QUINTET』
メンバー:
Helen Sung(p)
Wayne Escoffery (ts)
Ambrose Akinmusire (tp)
Alan Hampton (b, voice)
James Alsanders (ds)
Gretchen Parlato (vo : truck 10)

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