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ブルースと言っても色々あるもんだ!

今回の「高野雲の快楽ジャズ通信」「ブルース特集」

番組詳細は jazz blog 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
こちらには番組中でかけたCDの購入リンクもあります。
レギュラーゲストのtommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'e もご覧下さい。
快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 も是非お聴き下さい。

2人のブルース感は違います。
tommyさんは沖縄で黒人のブルースを知っています。
雲さんはブルースを学習して分るようになりました。
ジャズのブルースは本当のブルースと比べるとあっさりだそう。
今日は二人のかけるブルースで、ブルース感をつかんでもらえたら良いとのこと。

tommyさん先発。
エディ・ハリス『エクスカーションズ』から《ドランク・マン》

ひたすら同じフレーズの繰り返しにユーモア交じりのブルース。
なるほど、こんなブルースもあるんですね~。
私、ブルースはほぼ聴かない人なので、今日は軽めの感想。
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)

「匂ってきますね~。お下劣ブルース。」と雲さん。
「楽しいよね~。黒さが匂ってくるよね。」とtommyさん。

雲さん選曲。匂ってくるやつ。ギターが良いそう。
マディ・ウォーターズ『マディ・ミシシッピ・ウォーターズ』から
《シーズ・ナインティーン・イヤーズ・オールド》

これは私の中にあるブルースのイメージ。
ギターがブルージー。
このくらいのスロー・テンポがいいですね。
こういうブルースは好きです。

「うなってましたね。」とtommyさん。
昔ブルース・セッションに出たことがある雲さん。
だいたいこんなシャッフル・リズムで同じようなパターンが続いたそうです。

tommyさん選曲。ミシシッピつながり。
アラン・トゥーサン『ザ・ブライト・ミシシッピ』から
《セント・ジェームス・インファーマリー》

これは去年ジャズ・ファンの間でも話題になったアルバム。
これは洗練されたブルースという感じがします。
ピアノの響きがそう感じさせるのかも?
ギターはいかにもブルースです。

「聴かせてくれますね。しんみりと。」と雲さん。
「ソウルの要素はない。完全にブルース。」とtommyさん。

雲さん選曲。陽気なやつ。ギターがめちゃくちゃうまい。
ブラインド・ブレイクベスト盤から《トゥー・タイト・ブルース No.2》

こういうのもブルースなんですね。
なんかジプシーギターっぽくもあります。
ジャンゴ・ラインハルトの元みたい。
ジャズに近いブルースなんでしょうかね?
確かにギターが上手いです。

「ギター上手かった。カントリー系の弾き方。
ジャンゴのようなジプシーな感じもある。」とtommyさん。

tommyさん選曲。強力なところでJB(ジェイムス・ブラウン)
JBはジャズのレコードを数枚だしているそう。
ジャズのバンドの形態で歌っているやつです。
『ゲッティン・ダウン・トゥ・イット』から《ザッツ・ライフ》

意外とあっさり系でビックリ。
こんなJBは聴いたことがありませんでした。
私のイメージはもっとコテコテ。
これもなかなかいい感じだと思います。

「これほとんど《ジョージア・オン・マイ・マインド》じゃない。」と雲さん。
「”ハッ”とか”ウッ”とか入っていないとJBじゃない。
これをやるとジャズをやっても何やってもJB。」とお二人。

雲さん選曲。マイルス
後期マイルスはワウワウをかけるが、ギターになりたかったんじゃないか。
『ゲット・アップ・ウィズ・イット』から《レッド・チャイナ・ブルース》
ギターはtommyさんが好きなコーネル・デュプリー。
この時期のマイルスはワウワウで一音の捩れとかインパクトで聴かせます。

ハモニカが入ってブルージー。
”ウッ、ハッ”とJBが歌っているのに近い感じですね(笑)。
フレーズとかではなく、雲さんが言うように一音のインパクト。
マイルスはやぱりカッコイイ!
私はこのアルバムではあまり聴かなかった曲です。

「このマイケル・ヘンダーソンのベースが好き。」と雲さん。
雲さんは上記のブルースのセッションで
もっとシンプルにベースを弾いてくれと言われたそうです。
でもジャズ・ベースをやっているとそれじゃあつまらないとか。
「今のヘンダーソンのベースなら文句は言われない。
色々動いているがルートはしっかり押えている。」と雲さん。

tommyさん選曲。
「白人がやるとブルースじゃないんじゃない。でもどこか残っている。」
とtommyさん。
ELP(エマーソン・レイク&パーマー)『展覧会の絵』から
《ブルース・バリエーション》

オルガンがブルージー。
リズムは白人ロックの”ポキポキ”。
これはこれで結構好きだな~。
なんか70年代の匂いがいいです。
ELPは聴かないんですけれど結構ポップだったんですね。
今度まとめて聴いてみようかな~。
途中になんかジャズの曲のフレーズがでてきました。

「嫌いじゃないです。」と雲さん。
「リズムセクションが急いているのでブルースっぽくないのかも。」と雲さん。
「それもあるし粘りが足りない。」とtommyさん。
「ギターで聴き覚えのあるフレーズが色々ある。」と雲さん。
「オルガンの音色のちょっと歪んだ感じがいい。」と雲さん。

雲さん選曲。tommyさんと同じようなすさまじいのをかけます。
フォーマットはブルース。
ブルースの3コードに2ー5が入るのがジャズ・ブルース。
音楽学校で教えるブルースそのものの打込み(シンセ)ベースにのる森高は
全然ブルースじゃない。
森高千里『Rock Alive』より《ブルー・ブルース》

たしかにベースはブルースそのもの。
これはこれでポップでいいんじゃないでしょうか?
私は好きですよ。
私はブルースに拘りはありませんからね(笑)。
聴いて面白かったり、気持ち良かったりすればいいのです。

エレピも模範の進行だそうです。
雲さんはこの曲が結構好きだそうです。
「この2曲で完全に「快楽ジャズ通信」じゃない。」とtommyさん。
「ブルージーなものをもっていないとブルースではない。」とtommyさん。

tommyさん選曲。快楽ジャズ通信に戻します。黒いです。
セシル・ペイン『ザ・ミュージック・オブ・セシル・ペイン』から
《マーティン・ルーサー・キングJr.》

まっ、これは文句なくブルージーなジャズですね。
ケニー・ドーハムのトランペットが”セツネ~”。
ペインのバリトンもやっぱり”セツネ~”いい感じです。
tommyさんが好きだというのが頷ける曲。
ケニー・ドーハム特集の時にこれをかければ良かったのに(笑)。

「セツネ~ですね。」とお二人。
「ジャズの人のイメージはブルース形式ではなく、ブルージーな感じ。」
とtommyさん。
「ブルージーの違いは分る。そのニュアンスは分る。」と雲さん。

雲さんはメンフィス・スリムが好き。ブギウギ・ピアノです。
ピアノよりぶっ太いウィリー・ディクソンのベースを聴いてほしい。
メンフィス・スリム『ライフ・イズ・ライク・ザット』から《ペースメイカー・ブギ》

なるほど、ベースが太くて強靭ですね。
ブギウギの左手のベース・ラインに負けじとベースをひいています

「これはブルースですね。」とtommyさん。
「野暮ったいベースがいい。」と雲さん。
「ブルースはやることがシンプルなだけにやってきたことがバレちゃう。」と雲さん。
「ブルースが下手なミュージシャンはダメということで(笑)。」とtommyさん。

お二人が選曲すると、ヴァリエーションに富んでいるので面白かったです。

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コメント

いっきさん

本日もレポートありがとうございました。

昔は、カントリーブルース大好きお姉さんとブルースバンドを組み、月1で定期的にライブをやっていたほどの私ですが、頭や身体で(演奏で)ブルースを理解していても、やっぱり自分の内面から自然に出る溜め息のように自然にブルースが滲み出るには、それ相応の時間がかかりましたです。

▼詳しくはここに
http://cafemontmartre.jp/essay/2006/blues.htm
書いたのですが、やっぱりブルースって、異文化の世界。
寝ごとで英語を喋れるようになるには、それ相応にドップリと英語に浸かる必要がありますが(信じられないことに、学生時代の私は寝ごとで英語をまくしたてていたそうです、今はカラッキシですが)、ブルースも自然と「ふっと」出てきたり、「ふわっ」と体内に浸透してくるには、それ相応の年季が必要なのだと思います。
なんか最近の私はクラシック、それもワーグナーばかり聴いているので、ちょっとブルースから遠ざかったフィーリングで落ちついているような気がなきにしもあらずですが、それでも時折、「しょーもなくて涙が出てくるほどササヤカなこと」に滅茶苦茶ブルースを感じてしまう今日この頃です。
日本でいう「侘び寂び」とは、ちょっと、いやかなり違うフィーリングですが。
だから、異文化。一時期、短期間でもいいから、狂ったようにドップリと漬かる必要は必ずあると思います。
ブルースが日常な環境の人は別として。

投稿: | 2010年8月13日 (金) 01時12分

雲さん

こんにちは。

>本日もレポートありがとうございました。

どういたしまして。

雲さんはかなりのブルース好きなんですね。
鼻歌で出るってのは凄いと思います。

私の鼻歌はジャズが多いです(笑)。

何事においても自然にできるようになるには、それ相応の時間と訓練が必要なのでしょう。
自転車(自動車)が自然に乗れるようになるまでには、時間と訓練(意識しなくても毎日乗っていれば)が必要だったのと同じなのではないかと思います。
”ジャズがわかる”のも同じだと思います。

投稿: いっき | 2010年8月13日 (金) 12時05分

いっきさん、こんばんは。

今度、ブルースマニアの友人のDJイベントを
ブルースバーからUst中継の予定です。

彼曰く「ジャズのブルースは、ゼンゼン黒くない!」
ということなので、ブルースマニアのブルースを聴こうと
いう企画です。お楽しみに!!

投稿: tommy | 2010年8月13日 (金) 18時41分

tommyさん

こんばんは。

ブルースマニアのブルース、面白そうですね。
Ust中継は是非見たいと思います。

投稿: いっき | 2010年8月13日 (金) 20時56分

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