« YouTubeから適当に。 | トップページ | 中村尚子さんの音楽授業は面白かったです。 »

早坂紗知さんの新譜

毎日暑いです。今日の甲府の最高気温は37.5℃。この夏一番の暑さでした。
岐阜県多治見は38.8℃。一体どのくらい暑いのだろう?

明日は甲府桜座で早坂紗知さんのライブです。今日は早坂さんの新譜を紹介。
新譜とは言っても発売されてからだいぶ経ってしまいました。

P46 『イースト・ヴィレッジ・テイルズ』(2009年rec. NBAGI Record)です。メンバーは、早坂紗知(as,ss)、永田利樹(b)、フェロン・アクラフ(ds)、定村史朗(el-vln)です。ニューヨークのライブハウス(ジョン・ゾーン経営)「ザ・ストーン」と「ローカル269」での演奏が6曲、国立の「ノー・トランクス」での演奏が1曲収録されています。

早坂は相変わらず自由で力強い演奏をしています。1曲目《Dakara Trip》はドラムの力強いソロから始まり、早坂のアルトとソプラノの2本同時演奏が入ってきます。バックにはエフェクトをかけた怪しげなエレクトリック・バイオリンがからみ、ベースも力強く、奏者一丸となってグイグイ突進。そこから定村のウネル・バイオリン・ソロへ、早坂のリフを主体としたシンプルで力強いソロを経てテーマへ戻って終了。全体を通してアクラフのドラムが凄いパワーで演奏を鼓舞し続けます。

続く《Bass Snake》も前曲のイメージを引き継ぎ、アクラフの強力なグルーヴと永田の強靭でメロディアスなベースの上で、早坂のソプラノと定村のバイオリンが合奏を中心に自由に歌います。途中ベースのソロのバックに回ったバイオリンがソロに負けじとリフを重ねるのが躍動感を増して面白いです。以上2曲は永田の曲で、シンプルなテーマはアフリカやユダヤの匂いがするエスニック調で土着的でした。

3曲目《Iguazu Waltz》も永田の曲。ゆっくり繰り返されるベースのリフにスペイシーで怪しげなエレクトリック・バイオリンが自由に絡む展開。それが継続するところへ早坂のアルトが力強く歌を重ねていきます。後半はベースとバイオリンのデュオ。2本の弦楽器のからみは有機的。比較的隙間が多い曲なので、3人が自由に音を綴っていくのが分りやすく、そこに交わされるおおらかな会話もよく見えてきます。

4曲目《Byakuya(白夜)》はベース・ソロから。ブルガリアの民謡をアレンジしたもの。バルカン調の哀愁曲。変拍子曲でドラムとベースのリズムは強力です。早坂のソプラノ・ソロが炸裂。この人らしいおおらかで自由な展開と芯の強さは爽快です。続くバイオリン・ソロも力強く、曲をグイグイと推進させる様は快感です。

5曲目《Petal Shower》は早坂の曲で、オーネット・コールマンに捧げたもの。ゆったりしたテーマから自由に展開するアルト・ソロからは、オーネットというよりアルバート・アイラーの匂いを私は感じます。アイラーのようにトラッド的な歌が始終流れていると思います。バックではベースがアルコでゆったりサポートし、そこにバイオリンも絡みます

6曲目《Lycoris》は永田の曲。ベース・ソロで始まるそのテーマは怪獣が歩く様。そこに早坂がアルト・ソプラノ2本同時演奏でテーマを奏でますが中世のファンファーレのように聴こえます。途中から怪獣が暴れる展開へ(笑)。面白い曲です。ドラムだけをバックにソプラノの咆哮。ウネリまくります。ベースとバイオリンも混じってさらにソプラノの咆哮は続きます。マーチのようなドラムとベースのアルコ。その上で捻じれ踊るエフェクターをかましたエレクトリック・バイオリン。いつの間にか主導権をアルコのベースが握っていたりと目が離せない展開で曲が進みます。この人達ならではの自由でユニークで捻った演奏。

ラスト《Children Children》はアンコールとして演奏された曲。曲に入る前にアクラフの早坂へのコメントが入っています。早坂の曲でアップ・テンポの変拍子。ソプラノ・ソロは自由奔放に空を舞うが如きの飛翔感で演奏されます。続くエレクトリック・バイオリンのソロも自由でメロディス。定村のバイオリンはフリーにありがちな神経質なものでなく、フュージョン系のようなメロディアスな心地よさがあり、私は結構気に入りました。バックで大暴れのアクラフ。強靭なドライブ感を生み出していますね。で、ドラム・ソロへ、マシンガンのようなバスドラやタムの連打とシンバルの乱打で大暴れのあと、ちょっとペース・ダウンして早坂の軽い合いの手を交えつつ終了。

早坂はフリー・ジャズの範疇ですが、難解さは微塵もなく自由と活気に溢れています。早坂は日本の女性サックス奏者の草分けですが、アメリカの大リーグに初めていった野茂投手のように、不器用ながらジャズ(野球)スピリットと愛に溢れているように感じます。そしてこの人達がいるから、今の女性サックス奏者の隆盛や、大リーグでの日本選手の活躍があるのだと思います。

最後に、早坂さんの旦那さんである永田さんのサポートとリードがあるからこそ、このグループの演奏が良いものになっていると感じます。

明日のライブが楽しみです。CDにサインしてもらおうっと!

|

« YouTubeから適当に。 | トップページ | 中村尚子さんの音楽授業は面白かったです。 »

ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

早坂沙知さんは知りませんでした。

 クラシック系ですね。

 機会があれば聞きたいものです。

投稿: daikaisui | 2010年8月19日 (木) 11時17分

daikaisuiさん

是非聴いて下さい。

投稿: いっき | 2010年8月20日 (金) 00時11分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 早坂紗知さんの新譜:

« YouTubeから適当に。 | トップページ | 中村尚子さんの音楽授業は面白かったです。 »