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アル・フォスターの18番曲。

エリ・デジブリの新譜『イスラエリ・ソング』の紹介をしようと思っているのですが、なかなか手がつけられないんです。で、このアルバムのことを書く前に、デジブリが参加したアル・フォスターのアルバムを聴くことにしました。

P41 アル・フォスター・カルテット『ラブ,ピース・アンド・ジャズ!』(2007年rec. jazz eyes)です。メンバーは、アル・フォスター(ds)、ケヴィン・ヘイズ(p)、ダグ・ワイス(b)、エリ・デジブリ(ss,ts)です。ヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ録音。

このアルバムの1曲目にはアル・フォスターの18番《ザ・チーフ》が入っています。この曲については前にブログに書いています⇒ 『曲名が変わっちゃった!』 。最初は《ジキル博士とハイド氏》だったのに、《ザ・チーフ》になってしまいました。最初「マイルス・デイビスに捧げる」というサブ・タイトルが付いていたことからすると、マイルス=ジキル博士とハイド氏=チーフ?マイルスが2面性を持っているって噂もありますから、”ジキル博士とハイド氏”というのも頷けます。でもそれはちょっと露骨なので”チーフ”にしちゃったとか(笑)?

それはさておき、この《ザ・チーフ》ほとんど同じ構成のまま演奏されているので、奏者や時代の違いが浮き彫りになります。『クエスト』収録時はソプラノ・サックスがデイブ・リーブマン、『ブランディン』ではクリス・ポッター、今回がデジブリ。これはなかなか厳しいです。

リーブマンはやっぱりパワーとスピリットがありますね。80年代、ジャズにはまだまだパワーがありました。次のクリポタは洗練されてきます。そしてセンスが良いんです!13年前の録音ですが、この人は昔からいいものを持っていたと思います。

そしてデジブリとなるわけですが・・・、前2作はスタジオ録音で今回はライブ録音。場の雰囲気は違うんでしょうが、デジブリのフレージングはリーブマン、クリポタに比べると今一歩及びません。バックではアルが”イヤ~ッ”と掛け声まで発して煽り、デジブリも頑張っているのは認めるんですけどね。

ピアノは、リッチー・バイラーク ⇒ デヴィッド・キコスキ ⇒ ケヴィン・ヘイズ。この変遷ははっきり時代の流れを感じさせ、後者ほど新しい響きになっていきます。それぞれいいピアノを弾いていると思いますよ。

2曲目が《ESP》。これまた厳しいです。私にはマイルス・クインテットのウェイン・ショーターのプレイが頭にあるので、それと比較したくはなくても気になってしまうのです(涙)。デジブリも頑張っているとは思います。ここでも”イヤ~ッ”とアルに煽られてファイト一発!でもショーター相手ではどうしようもありません。う~ん、現代ジャズマンの辛いところです。

《ブランディン》もクリポタと比較すると、う~む、やっぱりクリポタに軍配が上がりますよね~。クリポタは躍動感と美を兼ね備えています。デジブリはちょっと固いんです。もっと柔軟性がほしくなります。

ちょっと色々書いてしまいましたが、デジブリ比較をしなければ、このアルバムはアル・フォスターの緩急自在なドラミングを満喫できますし、ヘイズのキレがあり新鮮なハーモニーを奏でるピアノが聴けますし、ワイスが堅実なベース・ワークで演奏をサポートしているのも分りますし、楽しめるものになっていると思います。アル・フォスター・ファンは聴きましょう!

さて、明日はデジブリの『イスラエリ・ソング』評を書けるでしょうか(笑)?

アルバム名:『LOVE,PEACE AND JAZZ!』
メンバー:
Al Foster(ds)
Kevin Hays(p)
Douglas Weiss(b)
Eli Degibri (ss,ts)

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