早坂紗知さん/Mingaのライブを観てきました。
昨日は 甲府桜座 で 早坂紗知 さん/Mingaのライブを観てきました。
5年くらい前、『ビート・ビート・ジャズビート』を買って以来、早坂さんのファンになり、吉祥寺「サムタイム」でも一度ライブを観ています。吉祥寺までなかなか観に行けないので、甲府桜座に来てくれないかなと思っていたのが今回やっとかないました。
昨日は午後雨が降ったのに夕方も結構暑かったです。で、いつものように開演前には生ビール(中ジョッキ)を1杯飲んでしまいました(笑)。桜座のNPOの方とちょっと話をしたら、もっと観に来てもらうにはどうすれば良いか考えているとのことでした。私、酔っ払った勢いで言いたい放題しました。m(_ _)m
今回、早坂さんはMinga(ミンガ)というグループで来ました。Mingaとはスペイン語で「共同作業」とのこと。パーカッションアンサンブルを中心にした国境を越えたワールドミュージックをやっています。今回パーカッションはコスマス・カピッツァさん一人。ピアノの吉田桂一さんは新メンバーとのことでした。ベースはご存じ永田利樹さん。早坂さんの旦那さんです。早坂さんはメンバー紹介で”影のバンマス”と言っていました。
ファースト・セット。
最初は《カサ・フォルチ》。曲後のMCで1曲目は爽やかなブラジルの曲を選んだとのことでした。早坂さんのソプラノ・サックスが気持ち良い音を奏でて正に爽やかな曲でした。ピアノの吉田さんは新メンバーだからでしょう。楽譜を見ながら演奏していました。
2曲目は《アンモナイト・セレモニー》。ワルツ曲でサビは変拍子。これもソプラノによる演奏。続けて3曲目はブルース。早坂さんはアルトに持ち替えました。8ビートのブルースですが、カッコいい演奏だったんですよ、これが!曲後のMCでローランド・カークの《レディース・ブルース》と判明。なるほど、このカッコ良さは私がカークに感じていたものと同様のものだったのかと納得。おおらかで黒いブルース!
4曲目はアルゼンチンにある世界三大瀑布のひとつイグアスの滝にインスパイアされた曲で《イグアス・ワルツ》。息子さんが今アルゼンチンにいるとかで、親子でイグアスの滝を見にいきたいなんて言ってました。早坂さんも永田さんもかなり親バカだそうで、微笑ましいエピソードでした。ワルツ曲。ベース・ソロから、なんかジャングルの雰囲気漂う不穏なテーマです。早坂さんはアルトでゆったり怪しく。ラストは爽やかにブラジルということで、マリーザ・モンチが歌った曲。曲名の発音がいまいち分りませんでした(涙)。サンバ(ボサ)調の曲。気持ち良いソプラノが聴けました。
休憩。
今回私が最高に気持ち良かったのは早坂さんのアルト・サックスの音です。ブライトで伸びやかで力強い音。PAを通していましたが(箱がデットで広いのでPA要)、元が良くなきゃこういう音は出ません。ジャズ・ファンなら分ってもらえると思いますが、この音が気持ち良くなると、もうフレーズとか関係なく、とにかく痺れてしまうから困ります(笑)。ついでにアルトが鳴っていると他のメンバーの音も背景になってしまいます。永田さん、吉田さん、カピッツァさんごめんなさい。
一方ソプラノ・サックスの音は、フレージングなんかも含めると意外とフュージョン系の何とも爽やかな心地良さだったりするのです。早坂さんはフリー系というイメージがあるので。もっとゴリゴリな音を想像する方もいるかと思いますが、さに非ず。快適快適でした。しかし単に軽い演奏ではなくきちんと一本筋が通っています。
新メンバー吉田さんのピアノは手数多め、中域を中心にした惹き方で、タッチはクリアーでした。現代系のフレッシュなセンスを感じました。ソロになると結構没頭しているように見え、ベースとドラムを聴いていないような部分があったような?
永田さんはさすがは”影のバンマス”。演奏の中心でしっかり基盤を支えるベースを弾いていました。強靭なベースを弾きます。ソロも質実剛健そのものといった感じでした。
カピッツァさんはパーカションをドラムスのように配置して、座っていた木の箱も楽器として叩いたり(座っていたのは”カホン”という楽器でした)、曲にマッチする多彩なリズムを繰り出していました。
Minga。国境を越えたワールドミュージックというより、もうMingaサウンドとしか言いようがないものだと思います。柔軟で自由な空気とパワー。根っこにあるジャズ。いいグループだと思います。
桜座には前から来たかったそうで、それは早坂さんもやっぱり新宿ピットインの朝の部で怪物さん(桜座プロデューサー)に凄くお世話になったからとのことでした。甲府で旬なミュージシャンの良いライブが観られるのは怪物さんのおかげですね。感謝!
にしても、もっとたくさんのジャズ・ファンの方に観に来てほしいです。
甲府のジャズ・ファンよ~っ、もっとライブを観たほうがいいですよー!
セカンド・セット。
最初はブルガリアの民謡をMinga風にアレンジした曲《白夜》。エスニックなワルツ曲。ソプラノでこれも爽やかなイメージの演奏でした。2曲目は《デザート・ローズ》。ピアノ・ソロはアップ・テンポの4ビートで盛り上がりました。早坂さんはアルトで自由に熱く、途中片足を上げてアルトの開口部を塞ぐようなエフェクトも。確かYouTubeで見たジョン・ゾーンも似たようなことをやっていました。さすがはアバンギャルド!で、これがカッコ良く決まるのが、さすが早坂さんなのでした。私的にはこのソロが一番良かったです。
続けて3曲目《イン・ア・センチメンタル・ムード》。まさかまさかのスタンダード!バラード。これがまた素晴らしかったのですよ。一言”これがジャズだ!イェ~イ”(笑)。感激!4曲目はアルバム『パルピタンテ』で息子さんがバリトン・サックスを吹いて参加している曲。アマゾンに住むカエルの名をとり《ピパの夢》。ユニークな曲です。ピアノ、ベースとソロを回し、やっと出ました!アルトとソプラノの2本同時吹き。一人アンサンブルはローランド・カークから影響を受けているんだと思います。早坂さんがやるとこれがカッコいいのです。
ラストはこれがほぼ完成形とのことで《カナビスの輪》。韓国のリズム”5-5-6-5-5-4-6”の36拍子に曲を付けたもの。複雑な曲なのに何とも心地よいグルーヴを生み出していました。パーカッション・ソロがエキサイティングでした。
アンコールは《テイク・ケア・オブ・オール・マイ・チルドレン~カイ・デントロ(読み方?)》。私は感激しましたね。《カイ・デントロ》は大好きな曲だからです。自由な雰囲気で明るくてちょっと悲しげでもある。私の”セツネー”メロディーのツボを押しまくる曲なのです。アフリカンなリズムも気持ち良し。イェ~イ!でエンディング(笑)。
楽しかったし、充実度はかなりの高さ!いいライブを観させてもらいました。
そして、早坂さんは最高にカッコ良かったのです!
しっかりサインももらいましたよ!アルバムは色が多くサインを書く場所がないものばかりなので、新譜『イースト・ヴィレッジ・テイルズ』のライナーノーツにサインをしてもらいました。左が永田さんで、右が早坂さんのサイン。写真の位置に合わせているところがニクイ。
CDも買いましたよ。持っていなかった『ブラック・アウト』と『MAU』両方とも値段をオマケしてもらいました。早坂さんに感謝!
『MAU』は薦められたけれど、CD-Rなので躊躇したら、オマケしてくれるというので思わず購入(笑)。聴いてみたらこれがカッコいいじゃありませんか!”フリー・ダブ・ジャズ”。アルトにエフェクトをかけた音を聴くと、エレクトリック・マイルスの現代版な感じもします。私、こういうサウンドが好きです。
早坂さん、また甲府桜座に来て下さいね。
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コメント
アニキ、こんにちは。
カピッツァさんの“座っていた木の箱”は「カホン」という楽器だと思いますよ。
フラメンコの伴奏(パーカッション)としてよく使用されています。
投稿: ぴくるす | 2010年8月21日 (土) 13時17分
ぴくるす
こんにちは。
今ネットを調べたら”カホン”でした。
なるほど。
情報ありがとう!
投稿: いっき | 2010年8月21日 (土) 16時08分