菊地成孔さんは面白かったです。
昨日は甲府桜座で菊地成孔×南博デュオを観てきました。
さすがは菊地さん、土曜日だからというのもあるでしょうが、大勢のお客さんが来ていました。お客さんは若い人が多く、私くらいのオジサンやオバサンはまばら。女性も多めでした。菊地さんのファンが多いのではないかと思います。結局知名度だけで客が入るというのが何ともやるせない。
そういえば入り口でチケットを買っていたら、近くで南さんがウロウロしていたので驚き、気取らない方なんだろうと思いました。ライブスペースに入るとひな壇席は既にほぼ満席状態。今回は2階から見ることに。
菊地さん南さん登場。いきなりMCを始めたのでビックリ。なぜなら1曲演奏してからMCというパターンが通常だからです。理由はすぐに判明。演奏を始めたら途中にMCを入れないから最初にまとめてMCをしてしまうとのこと。今回のデュオはアルバム『花と水』のライブ版です。菊地さんによるとこの『花と水』は「最高に美しく、最高に売れなかった。」そうで、「表で売っているから買って下さい。」としきりに宣伝していました(笑)。
ファーストセットは《完全即興1》《フォール》《完全即興2》《ブルー・イン・グリーン》《完全即興3》《恋とは何かあなたは知らない》の6曲。菊地さんは椅子に軽く腰掛けてソプラノ・サックスを吹きました。何かカッコつけてますよね(笑)。そのソプラノの音は素晴らしくきれいで厚く気持ちのいいものでした。演奏中菊地さんは落ち着きがないんです(笑)。足を組み替えたり、メガネを頭にのせたり、メガネを外して横のテーブルにおいたり、ストラップからソプラノを外したり付けたり、リードのところを締めなおしたりと・・・。
驚いたのはテーブルにリードを6枚くらい並べておいて、1曲目が終わったところでリードを交換したことです。その後リードの交換は無かったので、最初のリードの調子がいまいちだったのかもしれませんね。今までたくさんライブを観ましたが、演奏の途中でリードを換えた方は初めてです。拘りと見るのか?演奏を始める前にやっておくべきと見るのか?この辺りが菊地さんらしいと思いました。
菊地さんの美意識だと思いますが演奏は始終スクエアーな感じ。概ね南さんが菊地さんに合わせる感じで演奏は進みます。もちろん場面によっては南さんの反応に菊地さんが合わせる展開もあります。南さんは遊び心があるので、菊地さんのスクエアーなところに一味付け加えていい感じに見えました。私にとっては完全即興はいまひとつ面白みにかけるもの。ラストの《恋とは何かあなたは知らない》も期待していたのですが、菊地さんの美意識なのかライト感覚。もう少し深みというか魂を揺さぶるものがほしいかな?というのが私の正直な感想です。
休憩。CD売り場で南博さんのピアノ・トリオ・アルバム『ザ・ガール・ネクスト・ドア』を買いました。これは以前からチェックしていたものです。今日はここで生ビール中ジョッキを1杯飲み干しました。
セカンドセットもMCから。6曲続けて演奏すると疲れるので、2曲づつ区切って合間にMCを入れるとのこと。これまた菊地さんらしいいい加減さ(笑)。6曲続けて演奏したら場が緩んだからなのか?単に喋りたかっただけなのか?ほんとに6曲続けて演奏したら疲れたのか?いづれにしてもミュージシャンとしてどうなんでしょうね~(笑)。
「ファーストセットでお分りのように、イエ~イみたいな盛り上がりはありませんので、そうは言ってもセカンドセットは盛り上がりがあるだろうと期待しているでしょうけど、盛り上がりはありませんから。」なんて言ってました(笑)。ということでまずは《完全即興》とモンクの《ブルー・モンク》。演奏前に、モンクが双極性障害だったなんて話をして菊地トーク全開でした。
続いて《完全即興》とミンガスの《オレンジ色は彼女の色》。今度はミンガス話。ミンガスは怒りの人ということで、ミンガスの映画での怒りとキレ具合を面白可笑しく解説。菊地さんのトークはやっぱり面白いですね。お客さんに受けたのをいいことに話が長引き、南さんは半分あきれつつ、途中で煙草をふかしていました。もちろん演奏中は煙草は吸いませんよ。私は《オレンジ色は彼女の色》が好きなので、これは楽しめました。
そして《完全即興》とバッハの《チェンバロ協奏曲 第5番 へ短調 第2楽章》(『花と水』に収録。)ここでもバッハ話。バッハ、バップ、ヒップホップの違い、ドミナントモーションの有無みたいな話を軽く。菊地さんの本「東京大学のアルバートアイラー」とかに詳しくでている話です。
アンコール。またまたMC。CDを買って下さいとまた言っていました。「CDが売れない時代になった。いづれCDはなくなる。」なんて話をしていると、南さんが雰囲気にあったピアノのを軽く弾き始めて、それが上手い具合に嵌るものだからお客さんに受けていました。「セカンドセットはトークを入れたけど上手い具合に1時間に収まった。」なんて話も。それって、演奏時間が減ったってことですよね?まっいいか。菊地さんは話が面白いんだから(笑)。軽く即興してアンコールは終了。
さてライブは終了したのに、お客さんはご覧のとおりなかなか帰らず、菊地さんのサイン会が始まりました。私はサインをしてもらうほどの菊地ファンじゃないので、この写真(左南さん、右菊地さん)だけ撮って退散!
今回は何かと噂が多い菊地さんという方を生で見られてとても面白かったです。イメージどおりの方でした。アレッ、今回の目的ってそれですか?いいじゃないですか(笑)。m(_ _)m
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