今回の「快楽ジャズ通信」はハービー特集
参りました。
パソコンがどんどん異常に・・・。
番組開始までにセーフ・モードすら立ち上がらず。
通常モード&フリーズ時手書きメモ&セーフ・モードにて執念のレポート!
パソコンのリセット3回(涙)。
今回の「高野雲の快楽ジャズ通信」のテーマは「ハービー・ハンコック」。
tommyさんはハービーがお好きなんだそうですよ。
番組詳細は jazz blog 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
こちらには番組中でかけたCDの購入リンクもあります。
レギュラーゲストのtommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'e もご覧下さい。
快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 も是非お聴き下さい。
番組冒頭は飲み屋の話。
最近は飲むという行為(文化)がなくなったらしいのです。
飲み屋さんによると、常連さんがなかなか来てくれないそうなのです。
飲み屋を活性化させたいとの思惑から「遊無」で
雲さんの「JAZZ聴き会」が始まったそう。
このお店では他にも色々なイヴェントを企画中だそうです。
さて、今回の本題。
tommyさんはハービーの研究をしています。
以前ブログにそれをUPしていました。
tommyさん曰く”カメレオン・ハービー”。
今回はそんなハービーのアコースティック・ピアノに的を絞ります。
まずは雲さんの選曲。
ハービーは売り上げとか色々考えがちな自分のリーダー・アルバムより
他人のアルバムに参加した時の方が良いプレーをしているという例。
ペーター・ヨハネソンの『シクスタス』から《ブレイク》。
ハービーがキレまくっていてカッコいいとのこと。
リーダーのヨハネソンは北欧のドラマーだそう。
曲調は洗練されたフュージョン。
バックのシンセの広がるような音が気持いいです。
トロンボーンがいかにも北欧風に静かめに入り後半へと盛り上がります。
ハンコックはバッキングからアグレッシブ。
ピアノ・ソロもいつになくかなり熱いです。確かにキレてます。
ドラムもかなり勢いがあって気持ち良いですね。
私、これは結構気に入ってしまいました。
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)
「ハービーがキレていていい。奔放に何も考えずに弾いている。」と雲さん。
次はtommyさん選曲。
tommyさんはお店のジャズ売り場で、ジャズ研の学生さんが店員さんに
ハービーやチックやキースのお薦めを尋ねている場面に何度か遭遇したそう。
その回答ではハービーのお薦めがなかなかないとのこと。
実はあるんだけれど、有名なものはない。
そこでtommyさんのお薦め。ハービー・トリオとしてハービーのプレイがわかる。
『ハービー・ハンコック・トリオ81』から《ステイブルメイツ》。
品が良く小粋にまとまっている感じ。
ロンとトニーも慣れたものです。
私はこの頃はほぼリアルタイムで聴いています。
もちろんこれも当時話題盤だったので数年後に買いました。
当時の私はV.S.O.P.でのハービーは散々聴きました。
これはハービー節満載の演奏。
いたるところに聴き慣れたフレージングが出てきます。
後半は意外とアグレッシブな局面もありますね。
雲さんは初めて聴いたそうです。
「トニーがいい。スタンダードでも自分の音を組み立ていている。
グレイト・ジャズ・トリオのハービー版みたい。」と雲さん。
「テーマの弾き方がダサい。」とtommyさん。雲さんも同意。
「ハンコックの音色とプレイがわかる。」とtommyさん。
雲さんはハービーのピアノにあまり興味がないそう。
ホーンがいて映える人だそう。
tommyさんは『ヘッド・ハンターズ』が大好きだそうです。
それでハービーのピアノを知りたくなり、70数枚もアルバムを買ったんだとか!
エレクトリック系のものを聴くとコンポーザーやアレンジャーとしてはわかるが、
ハービーのピアノは掴みづらいそう。
で、アコースティック・ピアノを弾いているものも聴いたとか。
雲さんはホーンやギターのバックで弾いているのが良いそうです。
それはtommyさんも同意していました。
「ウィントン・ケリーやビル・エバンスのようには弾けないということで、
そういうものを切っちゃったのがハンコックなのではないか?」とtommyさん。
ハービーのピアノ・トリオはほとんど日本制作。
日本人が好むものを弾いてもらっているそうです。
「バブルの頃に、アメリカでトリオを吹き込む気になれなかはずで、
日本でないとトリオでの録音はしなかったのではないか?」とtommyさん。
当時のハービーはV.S.O.P.の後、アメリカでは例の「ロック・イット・バンド」へと
進んでいたんだと思います。だからトリオなんてやるわけないのです。
雲さんとtommyさんが好きな『インベンションズ・アンド・ディメンションズ』から
《サコタッシュ》。
ミニマルの要素がありますね。
ドラムのブラシとパーカッションが良い味を出しています。
ファンクの腰にくる繰り返しリズムの先駆けという感じ。
独特の浮遊感もあります。
この独特な空気感は嵌ります。
これにも雲さんが好きなトリスターノ的低音”ウネウネ”メロディーが。
実はこれ、私はほとんど初めて聴いたのですが、気に入りました。
雲さんtommyさんが一番好きなアコースティック・ハービーとのこと。
「繰り返しがいい。トリスターノの《ターキッシュ・マンボ》に近いところもある。」
と雲さん。やっぱりそれ、感じていたんですね。
「M-BASE派のリズムに近いかも。その手の複雑なリズムの原型。」と雲さん。
これは私が感じたファンクの先駆けに近いのだろうと思います。
M-BASEは洗練された未来形”ファンク”だと思う私です。
でもそれはすでにハービーがやっていた?
管の間から”コンコン”出てくるハービー。
新し目のところで『ディレクション・イン・ミュージック』から《ザ・ポエット》。
スローの曲で管のハモリが特徴的な曲。
かけた後で知りましたがマイケル・ブレッカーとロイ・ハーグローヴ。
淡い色彩感がいかにもハービーらしいです。
静かに大人に迫るハービー。
結構作りこんでいそうで微妙に物足りないのはライブだから?
メンバーが凄いそうです。
マイケル・ブレッカー(ts)、ロイ・ハーグローヴ(tp)、ジョン・パティトゥッチ(b)、
ブライアン・ブレイド(ds)。
新世代のマイルス・クインテットじゃないですか?
でも方向性が違う人達の集合。で、微妙に印象が薄いんではないかと?
「バックに回ったときの引き出しの多さがいい。」と雲さん。
「マイケルの音色がいい。」とtommyさん。
最後はtommyさんのおすすめ。ハービーのソロ。
これも日本制作アルバム。
「アメリカ企画ならやらなかっただろう。」
「ソニーのスタジオで3,4時間で録ったのではないか?」とtommyさん。
tommyさんは、カメラマンについて一度ハービーが録音しているスタジオに
入ったことがあったそう。ハービーはテキパキやっていたとか。
『ザ・ピアノ』から《いつか王子様が》。
ブルースはないんですよね。この人。
で、結構メカニカルで構築的なフレージングです。
繊細なニュアンスでありつつ、ゴージャスに迫る部分もあります。
いまひとつ惚れこむ要素がないと私は思いました。
あっさり味が良くも悪くもハービーだと思います。
「いいですね。」
「エバンスのようではない。スタンダードを日本人が好むようにくさくやってない。」
と雲さん。
「最後はコンサート風に”ガーン”といくところもありましたね。」とお二人。
「一言で言うと鮮やか。」と雲さん。「鮮明な感じ。」とtommyさん。
雲さんは、映画「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」で
ハービーがイントロを弾く場面があり、カラフルな音色でびっくりしたとか。
「音色は白人ぽい。」とtommyさん。
「ピアノ・トリオでテーマを弾いてほしくない。」と雲さん。
「管のバックで映えるのはモンクに似ているかも?」とも言っていました。
今回は良く知っているハービーと知らないハービーが楽しめました。
久々に『フューチャー・ショック』を取り出しBGMにして書いています。
意外といいですね(笑)。
フーッ、疲れました・・・。もう嫌っ、こんな生活!
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コメント
いっきさん
こんばんは。パソコンの不調にもかかわらずの渾身のレポート、ほんとうにありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます、です。
今回は、ハービー研究家であるtommyさんが主導の内容で、かつtommyさん中心の選曲でした。
ケニー・ドーハムの回とは逆に、今回は私がtommyさんから「教わる」というスタンスの内容ね。
そんなtommyさんは、知られざる(私が知らないだけ?)バブリー日本が制作した、成り金ハンコックの盤を何枚かセレクトされていましたが、おそらく、いっきさんもお感じになったとおり、トリオやソロは、「イイんだけど、なんかツマンない」演奏でした(笑)。
あ、それはtommyさんのセンス云々を言いたいわけではないですよ(笑)。
tommyさん的には「みなさん、こういうハービーのピアノって、あまり聴いたことないでしょ? ピアノの音がよく聴こえる日本制作のハービーから、ハービーの音色を知りましょう」という意図に基づいているんだと思います。
たしかにカラーのあるハンコックの音色を知ろう!という趣旨からすれば、間違いのない選曲だったと思います。
でも、改めて“音楽的に”グッときたのは、やっぱりペーター・ヨハネソンと、サコタッシュの2曲のみでしたね~、改めてプレイバックすると。
ハービーは旨い。
よく考えている。
表現における最大公約数と最小公倍数を熟知している。
だから、如才ない。
そして、たしかに彼にしか出せない独特のカラーはある。
でも、腰に来るものと、来ないものの落差が非常に激しい鍵盤タイピスト(あえてピアニストとは言わない)だということが、今回の特集で明らかになっただけでも、それはそれでハービー・ハンコックのアコースティック・オンリーの特集を組んだ意義はあったのではないかと思っています。
もちろん、腰に来ない演奏も、それなりに聴きどころがあるから、困るんだよな~、ハービーって(笑)。
投稿: 雲 | 2010年6月11日 (金) 02時04分
雲さん。こんばんは。
いえいえどういたしまして、全回レポートをここで止めてしまうわけにはいきませんからね(笑)。
>でも、改めて“音楽的に”グッときたのは、やっぱりペーター・ヨハネソンと、サコタッシュの2曲のみでしたね~、改めてプレイバックすると。
そうなんですよね。
トリオもなかなか良かったです。
聴き慣れた演奏ですから。
>でも、腰に来るものと、来ないものの落差が非常に激しい鍵盤タイピスト(あえてピアニストとは言わない)だということが、今回の特集で明らかになっただけでも、それはそれでハービー・ハンコックのアコースティック・オンリーの特集を組んだ意義はあったのではないかと思っています。
おっしゃるとおりだと思います。
>もちろん、腰に来ない演奏も、それなりに聴きどころがあるから、困るんだよな~、ハービーって(笑)。
確かにそれもありますね(笑)。
投稿: いっき | 2010年6月11日 (金) 20時12分
いっきさん、こんばんは。
アコースティック・ハービーって困るよね。実態が掴み難い。
ホントは、本人やりたくないんだと思う。
だから、バブリーだった日本だけでやっている(笑)。
昔から、管楽器入りでしょう?
その昔、何かあったんだろうね・・・ピアノ・トリオでイヤなことが(笑)。
んで、今ではそれは間違っていなかったと確信があると思う。
悪くはないんだけどねぇ〜、レベルは高いんだけどね〜、
カリッと歯応えが・・・(笑)。
まとめて聴くと余計にそう思う。問題はそれだ!
アコースティックだけでは、キャラが立たないハービー(笑)。
投稿: tommy | 2010年6月11日 (金) 21時40分
tommyさん。こんばんは。
パソコンのリカバリーは上手くいきました。
あとは削除されたアプリの再インストールです。
今回のトラブルには色々勉強させてもらってます。
人間はトラブルで成長する(笑)。
さて、アコースティック・ハービーについて。
もうひとつインパクトがないんですよね。
私が思うことは、ハービーは強力なインプロバイザーではないからということ。
なので、コンセプトやコンポーズやアレンジに頼らざるをえないんだと思います。
まっ、そういうのが好きということもあるんでしょうけど。
マイルスからそっち方面はかなり学んだんでしょうね。
ただマイルスは自身が強力なインプロバイザーでもあるから凄いんです。
>その昔、何かあったんだろうね・・・ピアノ・トリオでイヤなことが(笑)。
については?ですが(笑)、
その他ご指摘の点についてはほぼ同感です。
番組は楽しかったですよ!
投稿: いっき | 2010年6月11日 (金) 22時23分