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2010年6月

ベース弾きの皆さんが選んだベース特集。

昨日の「高野雲の快楽ジャズ通信」「ザ・低音」
ゲストはキングレコードの低音シリーズのプロデューサー森川進さん。

番組詳細は jazz blog 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
こちらには番組中でかけたCDの購入リンクもあります。
レギュラーゲストのtommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'e もご覧下さい。
快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 も是非お聴き下さい。

森川さんの喋り方はtommyさんに似ています(笑)。
今日はベース弾きの集まり、森川さん、雲さん、tommyさん、
ディレクターの太田さんも含め4人がベースを弾きます!
ベース・フェチ集団(笑)。

まずは森川さんの選曲。
あんまり売れなかったけれど素晴らしいベーシスト。
ベースの音色、ピッチ、コンセプトが素晴らしい。
日本に呼びたいそうなのですが、なかなか実現できないそうです。
ルノー・ガルシア・フォンス『ヴォヤージ』から《南方航路》

なるほど、クラシックの室内楽的な演奏ですね。
イタリアのエジュア・レーベルが好きな人にはうけるでしょう。
ギター、アコーディオンのサウンドとユダヤ~バルカン半島系メロディーからは
地中海が思い浮かびます。
この手のジャズはあんまり日本ではうけないんでしょうね~。
ベースを弾かない私はあまりベースに耳がいきませんでした(涙)。
(以降緑字は曲を聴いての私の感想などです。)

「上手すぎ。」と雲さんとtommyさん。
「上手すぎるからベースを弾いていないように聴こえる。」、
「メロディーは哀愁なんで日本にうけそうなんだけど。」と雲さん。
「上手すぎて感情移入できない。」とtommyさん。
「フォンスは性格が緩くて愛嬌があります。」と森川さん。

次はtommyさんオススメのベース。
チコ・フリーマン『スピリット・センシティヴ』から《ニューヨークの秋》
tommyさんが一番好きなべーシストはセシル・マクビー。
シカゴ派のtommyさんならではです。
でも固いベースを弾くから長く聴くと少し疲れるそう。
「マクビーのベースには合う人と合わない人がいるんじゃないか。」とtommyさん。

これはテナーのチコ・フリーマンとのデュオ。
チコのバラード演奏に味があります。
もちろんマクビーのベースは深く厚く力強いので気持ちいいです。
このアルバムは私も好きです。

tommyさんはマクビーをNYで聴いたことがあるそうです。

森川さんオススメでチャールズ・ミンガス
「ミンガスはあまりかけないよね。」とtommyさん。
「長い演奏が多いのでかけにくいんですよ。」と雲さん。
そんな会話をしていると、
「森川さんがアルバムを紹介していいですか?」と割って入ります(笑)。
ジャズ・アーティスト・ギルドを主催して反骨精神に溢れていたころのミンガス。
エリック・ドルフィー、マックス・ローチ、ロイ・エルドリッジ、
パパ・ジョー・ジョーンズ、トミー・フラナガンなど凄いメンバーが参加。
『ニューポート・レベル』から《ミー・アンド・ユー》

これは渋いです。
ベースはやっぱり力強いですね。当たり前のことですが。
スロー・ブルースでのトランペットが映えます。
続くピアノ・ソロも落ち着いたもの。
ジャズやな~。これはいい。ミンガス最高。

「これはやばいですね~。」と皆さん。
「前にかけたマクビーはスティール弦だけどこのミンガスはガット弦。
ガット弦の良さ。」と森川さん。
ここで、ガット弦の話へ。皆さんが嬉しそうに話します。割愛!
tommyさんからはチャーリー・ヘイデンのナイロン・ガット弦の話。割愛!

で、ヘイデンの曲をかけます。
チャーリー・ヘイデン『ジタン』からタイトル曲
tommyさんいよると日本盤と輸入盤で音が違そう。
一般的に持っているのは輸入盤だと思うのですが、
日本盤のほうがアナログの音に近いそうで、それをかけました。

私が持っているのは輸入盤CD。
ラジオで聴いても違いは何とも言えません。
何しろ直接CDで聴く音とラジオで聴く音が違うからです。
いくらミュージックバードが高音質と言っても、
ラジオの音はベールが1枚かかっています。
ベースはいい音ですよ。一聴の価値あり。

イメージとはエッジが立っている感じが違うそう。
ヘイデンは超聴覚で聴こえ過ぎ、ビデオを見ると耳栓をしているそうです。
ここからtommyさんのヘイデンのベース話が続きます。割愛!

森川さんのオススメ。ベース・ソロです。
藤原清登『ガルガンチュア』から《アメイジング・グレース》
フランスのシノンという町の修道院の納屋で録音しているそうです。
途中いいタイミングでフランスの鳥の声が聴こえるとのこと。
この曲以外では、録音時に鳥の声には悩まされたそうです。

これはクラシカルな演奏。
ベースの音を楽しむマニ向けだと思いました。
そうは言っても演奏は聴きやすいので誰でも聴けます。
程良いエコーがいいですね。
素朴で染みる演奏。
ボリューム大き目で聴いたのですが、鳥の声はよくわかりませんでした(涙)。
実は今近所の田んぼでカエルがかなり鳴いているんで、それがじゃまでした。
ヘッドホンで聴けばわかったんでしょうね。

「フランスの鳥がいいタイミングでさえずりますね。」と雲さん。
「エコーがいい感じ。」とtommyさん。
森川さんによると、回りが石で天井が木で出来た納屋の響きなんだそうです。

続けて森川さんのオススメ。
レジナルド・ヴィール『ブルース&スピリチュアル』から
《IIBS(ハイチ人戦闘の歌)》
ミンガスの曲を演奏。
ヴィールはミンガスが好きだそうです。
息子にミンガスと名付けたそうですよ。
かなりグルーヴして肉厚の演奏。
ミンガスの『クラウン』に収録されている曲です。

ピアノ・トリオ演奏。
これは強靭なベースのイントロですね。
ミンガスが好きだというのがよくわかります。
ピアノが入るとちょっぴり軽目になりますが、柔な演奏ではありません。
軽めに聴こえたのはピアノにエリントンのような凄みがないから。
でもこればっかりはしょうがありません。あんな凄みは出せません。
ドラムはかなり”ドスン、バシン”ときて気持ちいいです。

「カッコいいベースでしたね。」と皆さん。
「黒いですね。」とtommyさん。
「彼、成りきっていますね。」と森川さん。
3人で円陣を組んで1分くらい瞑想してから演奏したんだそうです。

ラストは雲さんの選曲で腹にくるエレクトリック・ベース。
ジャコやスタンリーも好きだけれどそれらはギター感覚。
ベースとして好きとなると、腹に”ズドン”とくるベース。
ミシェル・ンデゲオチェロ『ピース・ビヨンド・パッション』から《ザ・ウェイ》

なるほどヘビー・グルーヴ・ベースです。
女性が弾いているとは思えませんね。
スラッピングしていない時のマーカスという感じがしないでもない。
中盤からスラッピングもしていますね。
ネックを滑らせて弾くところからはマーカスを感じます。

今回は森川さんが新録音をかけて宣伝してもいところなのに、
そうしなかったところがいいなんて話がありました。
森川さん、カッコいいです。
ベース好きの森川さんならではの選曲でした。

実は今回、雲さんはかけるCDを入れた袋と私が貸したCDを入れた袋を
間違えて持ってきてしまったんだそうです(笑)。
そのせいでtommyさんの持ってきたCDをかけることになったそうです。

今日は森川さんとtommyさんの喋り方と声が似ていて聴き分けるのに苦労(笑)。
まっ、喋っている内容で判別はできましたが。
ベースの低音を堪能できました。

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桜座5周年記念イベントへ行ってきました。レポート編

それでは 桜座 5周年記念イベントがどんな感じだったのか?レポートです。

P193_2 昨日も書きましたが、私はジャズ系のアーティストがここに来る時は出来るだけ行くようにしています。結構話題の方がやってくるのです。去年は浅川マキさんが来たのに観に行かなかったのは失敗。今年の初めに浅川さんが亡くなられたのを知り、本当に残念でした。一度はその歌に生で触れておきたかったです。話が横道にそれてしまいました。昨日は記念イベントの2日目。初日は舞踊家:田中泯 さんと俳優の小沢昭一さんの対談でした。

昨日は桜座についたのが開演15分くらい前だったので、中に入ると1階のひな壇席はほぼ満席でした。そうか今回は5周年記念イベントだし土曜なのでお客さんの入りは良かったんですね。私は2階へ行き、真ん中に設置されたビデオの横に座りました。ステージからは少々離れますが見晴らしはいいです。

P196 舞台はこんな感じ。桜座の売りは舞台が土間ということです。冒頭、「龍馬伝」からのスペシャル・ゲストはどうしても都合がつかなかったという謝罪から。

最初に桜座プロジェクトチームリーダーの田中泯さんから挨拶がありました。進行も務めます。厳しい時もあったそうですがそれを乗り越えたので、これからはより繁栄を目指すというような内容の挨拶でした。私もここに4年通っていますが、ライブを観るだけなので状況は必ずしもよくわかりません。たぶんここを中心したコミュニティーがいろいろ展開してきているということなのだと思います

続いて田中さんの舞踊です。私はNHK大河ドラマ「龍馬伝」の吉田東洋役でしか見たことがなく、勝手に田中さんのイメージを頭の中に作っていました。でも今回の舞踊でそのイメージが覆されました。大河ドラマは今回演出過多なので(笑)、そのイメージが固着していたのです。あのなんか異様なオーラ(笑)。舞台に現れた田中さんを見てこれがあの田中さんなのか?と思いました。異様なオーラがないのです。

衣装は黒のYシャツとパンツ(ズボン)、頭には黒の人民帽子?、足には下駄をはいていました。B.G.M.は最初と最後と途中ちょっとが欧州/日本系フリー・ジャズ、中間は北欧ジャズランド・レーベルのニルス・ペッター・モルヴェルのようなビートの効いた今時のエレクトリック・ジャズでした。以降は田中さんの舞踊に初めて接した私の、今回の舞踊に対する素直な感想です。

田中さんの踊りからは作為があまり感じられませんでした。次の展開がわからないのですが、だからと言って突拍子もない展開があるわけではなく、一連の連なりや流れは感じられるようなものでした。私の”踊り”のイメージはミュージカルやジャズダンスのようなビートに合わせてビシビシ踊るものなので、それらと全く対極にあるような今回の踊りに正直戸惑いました。最初は踊りに心が反応しないんです。

動きは流れるような感じで太極拳的とでも言いましょうか?そして不安定です。昔流行った言葉で言うと”ファジー(曖昧)”。踊りから”俺の言いたいことはこれこれだー”と強く訴えかけてこないとてもうつろなものに感じました。でもだんだん見ていくうちに私の中にはあるイメージが浮かんできました。

街にいる酔いどれの浮浪者(失礼)。動きに意図はないのでしょうが、人間としての本能で倒れないように2足歩行しています。そしてうつろですが正に生きています。そこに今の社会情勢/現代の空気を見ました。もうこれは私の勝手な解釈なのでご容赦。でもそれでいいはず。踊り手と観る人の間で何かが交わされればいいんだろうと思います。

楽しい体験でした。一部終了時に田中さんは「5分踊るつもりが15分踊ってしまいました。」と言っていましたが、私は15分で良かったと思いました。たぶん5分だけではわけがわからないまま踊りが終わってしまっていたと思うからです。

次がお目当てだったヴォイス・パフォーマンスの「NEO VOICE」。東京四谷のジャズ喫茶「いーぐる」のマスター後藤雅洋さんが、ジャズサイト com-post のライブレビューに書いているのを読んで是非観たかったのです。後藤さんのライブレビューも読んで下さいね。

P194_2

パフォーマーは吉田アミさん。さがゆきさん。巻上公一さん。蜂谷真紀さん。天鼓さんの5人。実は私、巻上公一さん以外は見たことがありませんでした。だから誰が誰だかわからないままライブに突入、誰が誰かはラストの挨拶で知りました。

最初は吉田アミさん。声帯を締めるようにして出す声はサウンドというかノイズの世界。ガラスを爪で引っかくような音?まっ、声なのでそこまで不快なものではなく、時には鳥のさえずりにも聴こえます(笑)?聴いていると咳払いして喉の詰まりを解消したくなってきます。会場の何人かが咳払いしていたので「わかるな~その気持ち。」と思いました(笑)。年齢もたぶん一番若いので、これが今時のノイズ系の人達の志向するサウンドなのだろうと思いました。音も小さく繊細なものです。

次は蜂谷真紀さん。実は開演直前に2階席にカッコいい女性が上がってきたので、「この人はミュージシャンなんだろうな~。」なんて思っていたら、吉田さんんが終わる頃にその女性が突然歌い出したんでビックリしました。蜂谷さんその人だったんですね。しばらく2階で歌ったあと歌いながらステージへ。蜂谷さんは声楽の勉強をされたんじゃないかな?時にオペラ歌手のような発生で歌います。歌と言っても何語とも言えないものですが。声もよく通ります。軽い踊りも含めてパフォーマンスとしての完成度も高く。現代音楽を聴いているイメージですね。衣装を”ビシッ”ときめているあたりにもパフォーマンスへの姿勢を感じました。

次はさがゆきさん。パフォーマンスとしては蜂谷さんに似ています。さがゆきさんもきちんとボイストレーニングしているんじゃないでしょうか?やっぱり何語なのかわからない発音で歌います。さがゆきさんにはビートを感じました。蜂谷さんよりジャズ的だと思いました。そういう意味でアドリブ・スキャットの発展系と見るのがいいんではないかと私は思います。衣装もラフな感じで、やっぱりジャズ的な匂いが漂っているから面白いですね。それと、何となく精神的に危うい匂いが漂っていました。

次は巻上公一さん。この人のパフォーマンスはユーモア含みです。のっけから会場から笑が多数出ていました。この姿勢は80年代初頭ヒカシューでデビューした頃から始終一貫していると思いました。エンターテインメントとしてのボイス・パフォーマンス。その表現の幅は広いです。声とジェスチャーで飽きさせません。

ラストは天鼓さん。パフォーマンスとしては呻き絶叫系。マイクを持ってのパフォーマンスはなんとなくプロレスのマイク・パフォーマンスも思わせます(笑)。舞台に伏せて呻いたりするのを観ていると、60~70年代のアングラ前衛の匂いが濃厚に漂ってきます。私は当時のアングラ状況は知りませんが、イメージとしあるそれに近いと思いました。年齢的にも一番年上ですよね。

最初の吉田アミさんの現代から天鼓さんの過去へと時間が流れていくようでした。
とても面白かったです。
最後に全員がステージに呼ばれ巻上さんが全員を紹介。

ここで休憩。

P195 2部は映画監督の成島出さんと田中泯さんの対談です。成島さんは映画「孤高のメス」の監督さんです。今上映されています。この映画の主演堤真一さんと田中さんの交友関係の話も最初にありました。

成島さんは甲府のご出身だとか。「桜座」はいいと褒めていました。もし昔甲府に「桜座」があったら甲府を出ていかなかったかもしれないなんて話がありました。故金丸信さんの元、道路ばかりができ文化的なものがなくなっていく甲府が嫌で東京に出たそうです。成島さんは今49歳とのことなので私の二つ上。80年代バブルくらいに甲府を出たみたいですね。

成島さんが映画の道へ進むきっかけとなった新宿アルタでの飛び降り自殺の現場に遭遇した話には驚きました。それを客観的に語る成島さんに映画監督の”視線”のようなものを感じました。田中さんの人には見せない”個”が実はコミュニケーションの基本であり、人には見せない”個”をカッコ良く思う自分がいないとダメという話もとても面白く聴きました。その他にも映画人の話や映画「孤高のメス」の意図するところや劇場スタッフの話など、楽しい話が盛りだくさん。田中さんのともすると成島さんそっちのけ喋ってしまうところ(成島さんに謝っていました)にとても親しみを感じましたよ。1時間の対談がアッという間に過ぎてしまいました。

ここで桜座5周年記念でお神酒がふるまわれました。ごちそうさまです。

ラストはオオタスセリさんの弾き語り&コント。私はてっきりアマチュアの人かと思っていましたが太田プロ所属のお笑いタレントさんだったんですね。オオタさんのブログはコチラ⇒「私の観察日記」。桜座には何度も来ているそうです。

結婚式の友人スピーチ、夫の葬式での妻の挨拶、両コントは最高のブラックジョーク。面白かったです。この時会場にいた男性が少し減っていて後から来た女性客も含め、女性のお客さんには大ウケでした。その後の歌、自虐ネタ「負け犬女」や、ブラックジョーク「ママに歌ってはいけないと言われた歌」、社会風刺「キッチン・ドリンカー」などはとても面白かったです。アンコール(タイトル失念)も盛り上がりました。オオタさんのパワーには圧倒されました。

「NEO VOICE」も女性4人、ラストのオオタスセリさんといい、会場に来ていた子連れの母親、女性のほうが多い観客、最近は絶対女性のほうが元気とパワーがあると思いました。「男はもっとしっかりしなきゃいかんぜよ!」(笑)

今回は期待以上の面白さでした。
ジャズに慣れきった感性がかなりリフレッシュされました。

桜座の益々の発展を祈念して、レポートを終了します。

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桜座5周年記念イベントへ行ってきました。

今日は甲府の「桜座」5周年記念イベントへ行ってきました。

私が甲府に戻ってきたのは4年前です。

その時は桜座ができて1年目だったんですね。

もうかれこれ20回くらいはライブを観に行ったと思います。

日本で話題(とは言ってもマニアの間での話)のジャズマンを呼んでくれるので、

非常に重宝しています(笑)。

いつもお世話になっています。

P193 で、今回は5周年記念イベントですが、

実は5周年記念で行ったわけではありません(笑)。

「NEO-VOICE」というヴォイス・パフォーマンス目当て。

四谷のジャズ喫茶「いーぐる」のマスター後藤雅洋さんが

東京の青山円形劇場で開かれたこのイベントを観て

刺激を受けたようだったので、私も観たくなったのです。

なかなか面白かったです。

「NEO-VOICE」だけでなく、

桜座プロジェクトチームリーダーの舞踊家:田中泯さんの舞踊、

田中泯さんと映画監督:成島出さんとの対談、

ラストのオオタスセリさんの弾き語り?漫談?

それぞれがとても楽しく充実した時間を過ごせました。

すみません。レポートは明日書きます。

桜座が甲府にあるって幸せなことだと思います。

桜座スタッフの方から「ブログを見ました。」と声をかけられてしまいました。

どうして私が書いているってわかったんでしょう?

これまでみたいに気楽に書けないかも?

いやっ、書き方は変えられませんよね~。

変にカッコつけるとボロが出ます。

ということでこれまでどおり適当に書きますので、よしなに。

桜座のライブがYouTubeにUPされていたんですね。

こんな空間です。

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ジョンスコの新譜を久しぶりに買いました。

サッカー日本代表、決勝トーナメント進出おめでとう!
今朝の日本×デンマーク戦、しっかり生中継を見てしまいました。
快勝!気分がいいです。
本田、遠藤のフリーキックが凄かったですね。
これまでは肝心なところで決まらないのが日本だったのに、
いったいどうしてしまったんでしょう?うれしい誤算です(笑)。
最初にゴールを決めた本田、この人やっぱり”運”を持っていると思いました。
後半の本田~岡崎のゴールも気持ち良かったですね~。
川島のファインセーブ連発にも拍手。
そしてなによりチームとしてまとまりがあるのがいいですよね。
メンバーそれぞれが意識を共有しつつやるべきことをやっています。
で、これまで課題だった後半集中力が切れるというのがないのがまたいい。
今、チームの状態はかなりいいと思いました。
次のウルグアイ戦に勝って、まずはベスト8だっ、ガンバレ日本!

さて、いつものアルバム紹介。

P192 メトロポール・オーケストラ、ジョン・スコフィールド、ヴィンス・メンドーサ『54』(2009年rec. Emarcy)。メンバーは、メトロポール・オーケストラ、ジョン・スコフィールド(g)、ヴィンス・メンドーサ(con,arr)です。全曲メンドーサがアレンジしているのではなくて、1曲はフローリアン・ロス、1曲はジム・マクニーリがアレンジしています。

メトロポール・オーケストラはオランダのオーケストラで、これまでにも数々のジャズマンと共演してきています。去年はジム・ベアードとの共演アルバムがちょっぴり話題になりましたよね。

私は最近のマンネリぎみのジョンスコのアルバムは買っていないので、久々のジョンスコ新譜購入となりました。なぜ買ったかというと、衛星放送ラジオ「ミュージックバード」の「ブランニューCD」という番組でこの新譜を聴いたからです。元々ヴィンス・メンドーサのアレンジが好きだったのですが、今回久しぶりに聴いてやっぱりこの人のアレンジはいいな~と思った次第。ついでにHMVのセールで¥1,500。

メンドーサのアレンジは厚くても重くなりすぎないのが良いです。フワ~ッと広がりがあり辺りに漂いつつなんとも言えない品があるサウンドなのです。羽毛布団みたいな感じとでもいいましょうか?聴いていてとにかく気持ち良いです。特にメンドーサ作曲の2曲《ジャング・パレード》《セイ・ウィー・ディド》では素晴らしい響きが奏でられていますよ。

では主役のジョンスコはどうか?って話になると思いますが、この人はいつものジョンスコ。最早変わりようがないのです(笑)。独特の歪ギターサウンドとウネウネ奇怪フレーズ(私は聴き慣れているので奇怪とは思いませんが)。好きな人は好きでしょうし、嫌いな人は嫌いでしょう(笑)。

でも、今回は最近のジャムバンドまっしぐらではなく、正統派フュージョンになっているので、私はこの点を高く評価したいです。昔のアルバムからの再演もあってこれがいいのです。私はこういうフュージョンをやっているジョンスコのほうが好きです。上記のメンドーサ作2曲以外はジョンスコの曲をやっています。

ジョンスコのギターのバックには総勢約50名からなるオーケストラがメンドーサのアレンジで鳴り響く。カッコいいと思います。曲によってはオーケストラのメンバーが1人または2人ソロをとっていて、それらもなかなか良い出来です。

ジョンスコ・ファンだけでなく多くの方に聴いほしいアルバムです。

Google検索で”ジャズブログ”を検索したら凄いことになっていました。
最近は私のブログがトップに出てくる時があるのです。
”私とジャズJAZZ&ブログblog、雑感。オー・ノー!”という奇抜なタイトルの記事。
ブログの師匠(私が勝手に師匠と仰いでいます):高野雲さんに教えていただいた
SEO対策の効果が出てきたようです。
雲さんは凄いんです。さすがは師匠。感謝致します。
妥当!”小川隆夫のJAZZ blog”が合言葉でした(笑)。いやビックリ!

現在はいつもの3ページ目あたりをウロウロしています。2010.7.10

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「PCMジャズ喫茶」のゲストは星野秋男さん(後編)。

やば!サブのCDプレヤーが故障しました。
CDをかけてすぐにトレースできなくなり”error”になってしまいます。
たぶんレーザーが劣化したかレンズが汚れているんでしょう。
修理に出すか?安い中古のCDプレーヤーを買うか?
それが問題です(笑)。

ヨーロッパジャズ研究家の星野秋男さんが「PCMジャズ喫茶」にゲスト出演した回のレポートの続きです。星野さんは「ヨーロッパ・ジャズ黄金時代」の著者です。

前回のレポートはコチラ⇒「PCMジャズ喫茶」のゲストは星野秋男さん(前編)。

さてゲストの人妻Aさんが続けてもう1曲かけることになりました。今度は新しいものでマグナス・ヨルト・トリオ。Aさんはヨルトが来日した時にライブを観に行ったそうで、良かったとか。Aさんによれば、ヨルトは若いけれどラグ・タイムやファッツ・ウォーラーを勉強しているそうです。「星野さんにはこれかな?」ということで《マッドハウス》をかけました。

ちょっとひねりが加わる曲。
軽やかにドライブしつつ、しっとりした部分がアクセントになっています。
ピアノ・ソロはトリスターノ系ウネウネ+トリッキー。

「これは私の好みに全く合わない。今の視点で嫌い。」と寺島さん。4ビートではなく変拍子でやれば良い。この人達が目指しているものは、古いものも取り入れていこうということで、気持ちはわかる。全曲聴かないからわからないが。」と岩浪さんもあまり好きではなさそうでした。ディレクターの太田さんは「のれない。テーマがメカニカルで、リズムがストレートな4ビートでないところがちょっと。」と言っていました。星野さんは「私は大好き。」とのことでした。ここで星野さんとAさんは”きずな”ができたと喜んでいました(笑)。皆さんの好みは私の想像の範疇でした。

星野さんが「『ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス』(チック・コリア)の延長。」と言うと、寺島さんは「知識があるとすぐそこへもっていく。」と反論。「ジャケットが不気味。雰囲気がネオナチみたい。」と続けます。Aさんはヨルトに実際に合ってかわいい人だと思ったそうです。寺島さんは音楽が嫌いだとジャケットまで悪く見えてしまいます(笑)。

星野さんの選曲でアラン・スキドモア。星野さん曰く「全てのヨーロッパ・ジャズでこれ以上はない。」。心に染みるということで《ワンス・アポン・ア・タイム》をかけました。

独特のうれいがイギリスらしいです。
モードで60年代マイルス・クインテットの感じです。
ピアノの響きはハービーに似ていると思います。

「長々とした演奏。」と寺島さん。Aさんは「懐かしい感じがする。新主流派ですよね。違和感がない。」と言います。Aさんはジャズをその辺から聴きは始めたので懐かしいとのことでした。「今聴くと中だるみ、もう少しパンチがほしい。だらける。」とも言っていました。寺島さんは「今のは穏やかなので上手さがわかる。ドラムの上手さが猛烈にわかる。このスピードだから良さがわかる。」と言っていました。寺島さんも聴くべきポイントはちゃんと聴いていますよね。

寺島さんが「ただテーマは一人で出て途中からアンサンブルになるのがダメ。」と言ったことに、星野さんが「ブリティッシュ・ジャズならではでテーマが濃厚。」と返したら、寺島さんは「星野さんの”ブリティッシュ”は重い言葉なんです。」とすぐに反応。以前「メグ」で星野さんが講演した時、”ブリティッシュ”という言葉を何度も聴いているらしいです(笑)。星野さんは「やや暗くて湿っていて陰りがあって哀愁がある。ロックもポップも一種独特の響きがある。ブリティッシュらしさはアンサンブルで出る。」と説明していました。星野さんの”ブリティッシュ”には独特の思い入れがあるようです。

ここで岩浪さんが「イギリスはアメリカから5,6年遅れている。69年でもこんなのをやっているから、ビートルズとかロックが出てジャズが消えていく。」と発言。星野さんも「『ソーサラー』とかからマイルスが『ビッチェズ・ブリュー』へ行っちゃったから、新主流派が総崩れになっちゃった。」と言います。

寺島さんが「そんなことはどうでもいいこと。理屈でジャズを語ってはダメ。」と、たまらずちゃちゃをいれましたが、星野さんは構わず「69年のアメリカの『ビッチェズ・ブリュー』が波及してきてヨーロッパのジャズがダメになったのが72年くらい。だから4,5年遅れている。岩浪さんが言っているのはだいたい合っている。」と言っていました。すると寺島さんが「音楽そのものが聴きたい。」と言い、曲をかけることに。

あくまで初心者を意識してジャズの歴史とかには触れないようにしたい寺島さんと、自然にジャズの歴史とかを語ってしまうマニアの岩浪さんと星野さん。悩ましい話ですが、どちらもアリってことでいくしかないでしょうね。

寺島さんの選曲で、口直しに1曲ボーカル。最近発見した素晴らしいボーカルとのことでした。ヘイリー・ローレン『パーハップス,パーハップス,パーハップス』。ここで星野さんがちょっと席を外して(トイレ?)いたらしく、残りの3人で星野さんのことを「大変だ・・・。」などと言っていました。悪口って書くと、違うって言われるでしょうね(笑)。

キターっ、またまたラテンです(笑)。
最近はラテン曲を選曲する頻度が高いですね~。
歌謡とラテンの寺島さん(笑)。

寺島さんが「ボーカルの大家としてどう?」と星野さんに質問。「割と好きな部類。基準は声の質が私の好みに合っているかだけ。」と星野さん。「何点ですか?」と寺島さん。「68点。」と星野さん。Aさんは「88点。この曲はいやらしい。でも大げさに歌いがちなところを自然に歌うのがいい。」と言っていました。岩浪さんは「80~85点。好き。ちょっとセクシー。MAYAさんにもこの歌を歌ってほしい。」と言っていました。

寺島さんによると、今度のMAYAさんのアルバムはラテン一色になるとのこと。ジャズ・ラテン混合だとどっちつかずで、ジャズ・ファンにもラテン・ファンにも売れないから、どちらかに統一するようにMAYAさんに言ったら、ラテンに統一すると言ったそうです。私はMAYAさんのラテンじゃない方が好きなんですよね~。

ラストは岩浪さんの選曲。アン・ハンプトン《カムズ・ラブ》

例によって「ジャズ批評」5月号の「内外新譜」に書いていますね(笑)。

「白人がこういう歌い方をするのは嫌い。」と星野さん。
「なんでわけるんですか?さすが仕分け人ですね。」と寺島さん。
「星野さんの人格がわかりました。基本的にほめない人だ。」と寺島さん。
「自分が好きなのがかからないだけです。」と星野さん。
「新しいものに拒否反応がある。」と寺島さん。
「新しいものを広げようとオークションに参加して、知らないものばかり落としているんですよ。好みが寺島さんとは違うんです。」と星野さん。
星野さんはジューン・クリスティーが好きだそうです。ジェーン・モンハイトもかなり好きとのことでした。最後に寺島さんは星野さんのことを「気難しい。他の人と相容れない。俺もそういうところはあるけどね。」なんて言っていました(笑)。

気難しいとか言ってますが、放送からはそれほど緊張した空気は感じられませんでした。まっ、ジャズが好きな人にはひと癖ある人が多いということなのでしょう。それは私も含めての話です(笑)。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

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阿川泰子でも聴いて気楽にいきましょ!

ジャズ友tommyさんが凄いことを書いています(笑)。

スイングジャーナルの最終号が出たが 足りないものをブログは埋めているか?

それはちょっと波紋が大きいかもしれませんよ(笑)?

書いていることが当たっているだけに私は胸に”グサッ”ときました。

でも、私はtommyさんが好きだから許せます(笑)。

「PCMジャズ喫茶」で寺島靖国さんがどんなにとんでもないことを言っても

笑って聴けるのと同じです。

無視しようかとも思ったのですが、それではジャズ友として失礼。

ということでリアクションしてみました(笑)。

波風を立てるのは苦手なのでこの程度のリアクションになってしまいました(涙)。

さて、今日もマニアックなことを書こうと思ったのですがやめましょう。

P191 阿川泰子『レディー・セプテンバー』(1985年rec. ビクター)。阿川泰子は80年代の女性ジャズ・ヴォーカル・ブームに乗った人です。たぶん当時一番知名度が高かったと思います。テレビにもたくさん出演していました。

歌い方がカマトトというか(笑)、独特なので好き嫌いは分かれるところだと思います。私もあまり好きとは言えないのですが、これはこれで楽しい(笑)。

A面1曲目《ヴェラ(セプテンバー)》は当時コピー機mitaのコマーシャル・ソングだったはずです?YouTubeを探したんですが他の曲はありますが、この曲を歌っているCMはないんですよね~。う~ん私の記憶違いなのかな~。

ありました。後半のやつです。それにしても奇抜なCMですよね(笑)。

まるで白昼夢を見ているようなフワッとした曲です。で、メロディーは私のツボにピタリと嵌っています(笑)。阿川のアンニュイなボーカルにもマッチしていてかなりの快感。

全曲はコレ。埋め込めないので下記リンクをクリックして飛んで下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=mxP4jsy37hQ&feature=related

他にはサンバやボサ・ノヴァが入っていて、とてもリラックスして聴けるアルバムです。阿川のアンニュイ・ボーカルに身を任せると最高ですよ。ジャケットの絵のとおりで夏に合うと思います。

うん。やっぱりマニアックなネタですか(笑)?

tommyさんから以下のコメントをいただきました。

いっきさん、こんばんは。

はっははは。あれは自分に対する宣言なんだよ。
「よし!新しいことするぞ!」っという逃げ止め(笑)。
あれくらい書いて置いたら、戒めになるでしょう?

やっぱりねぇ、ジャズ聴きってコミュニティーにはならないって
思うんだよね。ジャズでも好きな事が違い過ぎるし、
目的をひとつには絞れないないんだよね。
ジャズ界隈では、大きなプロモーションは難しそうだからね。

こうなったらUstに参入して、キャラを売り込もうって思っていましす。
いわゆるメディアミックスってやつですよ。
はじまったばかりなので、ハードル低いし。元々映像スキルはあるからね。
そこから、「ジャズを聴こう」に持って行ければ良し!ツーことです。

日本全国のライブハウスからUstするぞ!!オーッ。

確かに落ち着いて読むと自分への戒めですね。
最初読んだ時はブロガーを挑発しているのかと思いました(笑)。

狭いコミュニティーでいいんじゃないですか?
無理して広げる必要はないと思います。
ジャズでメジャー感を出すなら今は上原ひろみ(笑)。
日本に居た間ですが、あれだけたくさんTVに出たジャズ・ミュージシャンは
他にいないと思いますよ。

Ustはどんな展開になるのかとても楽しみにしています。

さて、ブログの件ですが、
私は表現の新旧とかより、”楽しさ”を伝えることこそが大切だと思います。
何事でもそうですが、やっている人が楽しそうでないと、
「じゃあ俺も私もやって(聴いて)みよう。」とは思わないと思うのですが?

まっ、私なりの信念でブログは続けてくということで。よしなに(笑)。

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フェロモン女性ヴォーカル!

昨日の「高野雲の快楽ジャズ通信」「フェロモン女性ヴォーカル」
さて何が飛び出したのでしょう(笑)?

番組詳細は jazz blog 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
こちらには番組中でかけたCDの購入リンクもあります。
レギュラーゲストのtommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'e もご覧下さい。
快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 も是非お聴き下さい。

フェロモン、セクシーと付くと間口が狭まるけれど、
ジャズ・ヴォーカルに限らないからいいかということになったそうです。

まずはtommyさんから。マデリン・ペルー
このアルバムが大好きとのこと。
現代のビリー・ホリデイと言われるがそこまでダークではない。
『ハーフ・ザ・パーフェクト・ワールド』から皆さんお好きな《スマイル》

脱力系、けだるいヴォーカルですね。
フェロモンを感じると言えば感じるかも?
癒し系ヴォーカル?疲れたおじさま達向けかな(笑)?
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)

雲さんはフリューゲルホーンがツボとか。それはtommyさんも同じだそう。
「軽いけれどね。」と雲さん。
確かにフリューゲルホーンは気持ち良かったです。

次は雲さん選曲。
こういう方から入ったらジャズに嵌るんじゃないか?
フェロモンというよりコケティッシュなんだけど。
エミコ・ヴォイス×スガダイロー『フェィズ2』から
《ジャズト・ワン・オブ・ドーズ・シングス》

私はこのアルバムが好きです。
エミコ・ヴォイスさんの抜群のリズム感。
そこへ自在に切り込むスガダイローさんが痛快。
スキャットのアドリブもいいですね。
声がカワイイし、言うことなしです(笑)。
セクシーというよりコケティッシュの魅力。
以前ブログにアルバム評を書いています。

「ピアノがエキサイティング。日本人ヴォーカルはダメだけれどこれはいい。
ピアノとヴォーカルのスピード感がいい。」とtommyさん。

次はtommyさん選曲。ちょっとフレンチ。アリエル・ドンバール
『アモール・アモール』から《キエン・セラ》

ラテンですね。
この人の歌い方は情感過多にならないのが美点かな?
私が持っているアルバム『Maya』の冒頭に収録されている曲です。
でも次の《ソー・ファー・アウェイ》やその次の《カーニバル》の方が好きな私。
《カーニバル》は後に出てくるカーディガンズの曲でした!
最近のやつよりこの頃のMayaさんが好きです。
マヤさんの話になってしまいましたね。ご容赦(笑)。

「ラテンが苦手。」と雲さん(笑)。
家にラテン・アルバムがたくさんあり両親が聴いていたので苦手になったとか。
そういうことってありますよね。わかります。
tommyさんはMayaのラテンアルバムを聴いて「赤坂のクラブ」だと思ったとか。
でイメージと違うから、女優のドンバールが歌うこちらがいいそう。
演じているところがいいということで、tommyさんのオススメでした。

続いて雲さん選曲。おフランスで対抗。
ブリジット・フォンテーヌ『ラジオのように』から。
マラカイ・フェイバースのベースがいいということで、
今日はデュオばかりだな~と言いつつ《私は26才》

これはもう独特の世界。唯一無二。
これもコケティッシュ入っていますよ(笑)。
フェイバースのベースがいい感じで鳴っていますよね。

この曲を選んだ理由はtommyさんにベースの音を聴かせたかったから。
tommyさんもこのベースは大好きだそうです。「シカゴ系」とtommyさん。

tommyさんの選曲。ボッサでイリアーヌ
ピアニストですがヴォーカル・アルバムも出しています。
元ランディー・ブレッカーの奥さんで今はマーク・ジョンソンの奥さん。
アマンダ・ブレッカーのお母さんです。
『私のボサ・ノバ~ボサ・ノバ・ストーリーズ』から《想いあふれて》

私はこの人のピアノが好きですが、ヴォーカルもいいですね。
これを聴くと私は小野リサを聴きたくなります。
小野リサのふわりとした丸い声が好きです。

「いいですね。」と雲さん。
F1の取材でブラジルに行ったtommyさんは、エレベーターで合った
ブラジル人女性のウルウルした瞳に見つめられ、僕に気があると思ったそう(笑)。
そんな思い出もこめての選曲。
「一度はブラジルへ行ったほうがいいよ。」とtommyさん(笑)。

雲さん選曲。ボサ・ノバに対抗してサンバ。カヒミ・カリィ
ブレイクした時に現れる声がいいそう。”ジュテム テムテムテム”(笑)。
菊地成孔『デギュスタシオン・ア・ジャズ』から《色彩のサンバ》

これもコケティッシュ系ですよね。
雲さんがコケティッシュ好きだとは知りませんでした(笑)。
”ジュテム テムテムテム”いいでえすね。
菊地成孔のヘタウマ・ヴォーカルはどうなんでしょ?
バックのパーカッションが素敵。気分は夏ですね。
サンバならもっと大人のフェロモン漂う阿川泰子も聴いてほしいと思う私(笑)。
歌い方は好き嫌いがわかれるところでしょうけど、
昔のコピー機MitaのCM曲が収録されている『レディ・セプテンバー』はいかが?

「フレンチでしたね。これも好きですね。いい感じの重さと軽さが同居している。」
とtommyさん。
「雲さんは熱唱していないのが多いね。熱唱系嫌いなの?」とtommyさん。
雲さんはウィスパー系が好みだそうです。
雲さんはカーディガンズのニーナやフレンチ・ポップのMIKADOなんかも
その系統で好きだそうです。

tommyさん選曲。
スウェーデンのノラ・ジョーンズと言われるマリーナ・モーテンソン
フェンシズ』から《コーヒー・エブリデイ》

これはポップで気軽に聴けるボーカルですね。
でもこの手のヴォーカルは皆だいたい同じ感じ。
私はあまり聴かないけれど、いいとは思います。

「最初聴いたときはもろノラ・ジョーンズかと思ったが、聴いて行くうちに
北欧系のちょっと哀愁&ブライトなサウンドが感じられて好き。」と雲さん。
「ちょっとカントリーが入っているのが好き。」とtommyさん。

雲さんの選曲。
北欧系ロックというかポップ。一時期人気があったカーディガンズ
『ファースト・バンド・オン・ザ・ムーン』から
曲はロックバンド「ブラックサバス」の《アイアン・マン》
かろうじてベースが4ビートをやている曲。

なるほど打込み系で確かに北欧系サウンド。
このボーカルも確かにウィスパー系ですね。
こういうサウンドはジャズランド・レーベルなどの北欧ジャズにも流れています。
私はこの手のサウンドが好きです。
カーディガンズは初めてききましたが、かなり気に入りました。

「僕もこういうの好きよ。気持ちにスッと入ってくるところがある。」とtommyさん。

ジャズで〆ておかないとまずいかなということでtommyさん選曲。
メロディー・ガルドー『マイ・オンリー・スリル』から
《ベイビー・アイム・ア・フール》

ストリングス・オーケストラの入りがいいですね。
この人は基本素朴系ヴォーカルだと思うので、
この豪華なバックには賛否がわかれる意見があるのも納得。
なかなか心に響くいい感じの歌です。

「このアルバムは売れた。最近の女性ボーカルの気分はこういう感じ。」
とtommyさん。
「耳に残る。」と雲さん。

時間の関係であと2曲。続けてtommyさん選曲。
サラ・ガザレック『リターン・トゥ・ユー』から
《アイヴ・ガット・ア・グレイト・アイデア》
「僕は声で選ぶ。ボーカルはジャケ買いで声が好きになれば全部買っちゃう。」
とtommyさん。

バックのオルガンの音がいいですね。
なるほどなかなかふわりとしたかわいい声と歌い方ですね。
キュートなヴォーカル。

「声は嫌いじゃないけど可もなく不可もなく。オルガンがいい感じ。」と雲さん。
tommyさんもオルガンがいいそう。
「今回はバックの楽器がいいよね。」とお二人。
tommyさんの選んだ傾向はそういうもの。
雲さんは日頃黒人を多く聴くが、フェロモンということで見ごとに外れたそう(笑)。

ラストは雲さん選曲。椎名林檎
ミニ・アルバム『真夜中は純潔』から《シドと白昼夢》
東京スカパラダイスオーケストラがバック。
村上”ポンタ”秀一さんがドラムを叩いています。

ラストはやっぱり林檎ちゃんですか~(笑)。
私もこの曲は大好きです。
私にとっては胸キュン・ツボ・メロディー(笑)。
サビの部分は盛り上がりつつ哀愁を帯びた感じがいいんです。
ちょっと寂しいけれど前を上を向いていこう的なロマンティック!

「楽しかった最高。こういう曲を録音して聴いていたい感じ。」とtommyさん。

「今日のようにたくさん曲をかけるのはいいですね。」とお二人。

比較的新しくオジサン好みの女性ヴォーカルを選曲したtommyさんと、
あくまで自分の好みで捻りの効いた選曲の雲さんでした。
お二人のキャラクターがはっきり見えて面白かったです。

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「PCMジャズ喫茶」のゲストは星野秋男さん(前編)。

昨日のサッカーワールドカップ、オランダ戦。
最小失点での負けはよく頑張ったいうところでしょう。
後はデンマーク戦で勝つか引分けるかで1次リーグ突破。
スッキリしましたね。勝ちを期待しましょう。
前回ドイツ大会の生殺し的中途半端さとは比べ物にならないスッキリ感!
気分がいいです。
フランス、イギリス、スペインは大丈夫でしょうか?

さて本題。昨日の「PCMジャズ喫茶」のゲストはヨーロッパジャズ研究家の星野秋男さんでした。星野さんと言えば泣く子も黙る?「ヨーロッパ・ジャズ黄金時代」の著者です。星野さんは最初はボーカルの人だったそうです。今でもヨーロッパ・ジャズと同時並行的にボーカルも聴いているとか。

寺島さんがいきなり「あなたのアイデンティティは?」と質問。前回マイク・モラスキーさんがゲスト出演した時に、岩浪さんのアイデンティティは”正当”、対する寺島さんのアイデンティティは”正当なるもの(寺島さんに言わせると)への反発”なんて話があったのでそれにからめての質問です。

星野さんは「アメリカ(のジャズ)とヨーロッパ(のジャズ)、どっちをとるか?と言えばアメリカ。」と答え。それに対して寺島さんは「でも星野さん=ヨーロッパというイメージがあるのはいい。中山=マイルス、藤岡=コルトレーン、杉田=キース・ジャレットのようにね。」と言い。岡島さんは「ヨーロッパの星野と言われるのは嫌。ジャズ・ファンであり、ヨーロッパは私のジャズ聴きの一部。本家(アメリカ)ほど分家(ヨーロッパ)は素晴らしくない。でもちょっと紹介してみようと思った。」と答えていました。なるほど。

ここで岩浪さんが星野さんの本にかみつきました(笑)。「ヨーロッパ・ジャズの黄金時代はいつなんですか?過去なんですかそれとも今ですか?」と。星野さんは「1960年代~1970年代初頭。」と回答。これについては「ヨーロッパ・ジャズ黄金時代」に書かれていますので読んでみて下さい。私はだいぶ前に買いましたがまだ読み終わっていません(笑)。

寺島さんが「『ヨーロッパ・ジャズ黄金時代』はおかしい、『ヨーロッパ・ジャズ の 黄金時代』が正しい。」なんて言ってました。まっ、どうでもいいことだと思います(笑)。岩浪さんはこの本を出版した青土社が嫌いだそう。前衛ジャズばかり持ち上げるからだそうで、青土社が出している「ユリイカ」もけなしていました。青土社の高橋さんに「ジャズを難しくしたのはあなただ。」と言ったことがあるんだとか。アメリカのアーシーな黒人ジャズを愛する岩浪さんらしいご意見だと思いました。

ヨーロッパ・ジャズとは何?という話になります。岩浪さんは「パウエルやパーカーを真似して謙虚な頃は良かったが、最近のヨーロッパは変に自信を持って、スイングしないジャズをやり、そういうオリジナル曲を作って、それが一部に受けているが、それがジャズをダメにした。」と強気の発言。う~ん、今日の岩浪さんもなかなか元気です。寺島さんは「いいですね~。そういうことをどこかで書きましたか?そういうことを書かないとダメですよ。」と返していました。あははっ、いつものセリフですね。

「そういうイメージを覆す選曲をお願いします。」と寺島さん。星野さんは「今日はスイングするのばかり持ってきました。」と返事。星野さんはレジュメを作ってきたそうで、寺島さんによるとこれが二つ目だとか。一つ目は前園さん(現Zonotone、元オルトフォン・ジャパン)で、10枚くらい持ってきたんだとか。星野さんは1枚の半分くらいだからそれくらいならいいという話をしていました(笑)。実は私も「快楽ジャズ通信」にゲスト出演する時、安心のために資料を十数枚作って持っていきます(汗)。

ガトー・バルビエリ『トゥ・ピクチャーズ・イヤーズ 1965~1968』から《Una Bella Grinta》をかけます。当時のイタリアの精鋭を集め、ちょっとコルトレーン・スタイルが入るとのことでした。

確かにちょっとコルトレーンが入っていました。なかなかいい感じでしたよ。

寺島さんは「まともに吹けば良い。」と言っていました。岩浪さんは「今でもイタリアがすばらしい。ニューヨーク以上。アメリカで活躍したジャズマンの大半はイタリア系とユダヤ系。」なんて言っていました。イタリアの保守的なジャズが岩浪さん好みだというのはわかります。私にとってはそこが物足りなさ。

寺島さん選曲で今一番買っているデンマークのヤン・ハルベック。《プティット・フルール(小さな花)》をかけようとしたのですが、岩浪さんのリクエストもありタンゴの《ラロジータ》。「テナーをズ~ンと下げて、グッと歩調を下げて吹きます。」と寺島さん。キターッ、いつものセリフですね(笑)。

イントロからしてムード歌謡?これね~っ、今の私はまだこれを良しとする心境には至っていません(笑)。

「渾身の1曲。さて、どうですか?星野さん。」と寺島さん。「コールマン・ホーキンスの超名演で聴いちゃったので。」と星野さん。「それはフェアな言い方じゃない。(ハルベックは)ホーキンスに感銘を受けてやったんですよ。」と寺島さん。「自分で仕掛けて良く言われないと怒る。山中千尋から名指しで言われたが、どうしようもないやつですよね。」と続けます。星野さんにはやっぱり受けなかったようです。寺島さんは気分を害したみたいですね。でも笑っていましたよ。で、そんなところを山中さんに突かれたことに対しても悔しがっています(笑)。

山中さんの話が出て、「PCMジャズ喫茶」は聴けないはずなのに、どうして番組で悪口を言っているのがわかったのか?誰かが番組を聴いて電話をしているんじゃないか?なんて話もありました。まさか私のブログを見ているんじゃないでしょうね?というのは前にも書きました(笑)。う~ん、気になります。寺島さんは「名前を出して悪口を言うのは相手に敬意を払っている。リスペクトがある。」なんてことも言っていました。寺島さんの「悪口言ったけ?」の問いに、ディレクターの太田さんは「性格的なきつさに触れたことがあるくらい。」と返事をしていました。まあ、何が悪口かというのは人それぞれ差はあるでしょうね。岩浪さんが「スイングジャーナルで(山中千尋さんが)言っているのは寺島さんのことじゃないみたいだよ。」なんて発言もありました。それって、今月号のエッセイで言っている村上春樹さんに対する皮肉のこと?

ジャズ批評誌の「黒人テナー特集」で星野さんがたくさん書いているなんて話もありました。それに対して「岩浪さんのほうがたくさんかいていますよね。」と返されていました。星野さんはレスター・ヤングが大好きだそうです。

ここで寺島さんから「星野さんはジャズ・ジャイアンツ10人(聴けば良い)という一派ですか?ジャズ・ジャイアントの好みも含めその演奏が最高とっなると発展がない。そういう一派はいますか?」と質問があります。星野さんは「(そういう一派は)最近いないよね。無名でも良い演奏する人はいますよ。」と回答していました。岩浪さんからは「モラスキーさんが最近の若い人は皆一列にしてピック・アップして聴くと言っていた。」なんて話も出ました。

星野さんは「いいものはいい。良くないものは良くない。個人の耳に強く入ってくるかどうか。」と言い、寺島さんは「名前が先にあり、この人がやっていればいいというのがある。」と返します。星野さんは「聴くうちに10年、20年、1000枚、2000枚になれば、ジャズの歴史はどうか興味が湧いてくる。耳も肥えて欲が膨らんできて、本も読んでいき、これも素晴らしいもっと聴いてみたいとなり、知識が広がって歴史に行きつくんではないか?ジャズ界の地図にも興味が湧かないってのはないはず。もっともっと聴きたい。もっともっと知りたいとなる。」と言います。

寺島さんは「色々聴いていくとコールマン・ホーキンスに行きつき、それが良い(他は聴かなくて良い)という聴き方になる。」と言います。星野さんは「究極的にはいいものはいい。つまらないものもいくつもある。体系的に聴くのがいいんではないか?パーカーはバップ、ハンコックはモードとかいうように、今日はモード、今日はデキシー、今日はヨーロッパを聴くという感じ。ミュージシャンは自然に分類される。曲名で選択することはめったにない。」と言います。

寺島さんはジャス・ジャイアンツ聴きに対して文句があり、星野さんもしくはその周辺(四谷派あたりを想定?)でそういう聴き方があれば批判しようとしていたようでした。ところが、星野さんは私に言わせると典型的な好奇心旺盛タイプ。その好奇心から聴く物はどんどん広がり、歴史や地図にも自然と興味が湧くというタイプでした。そして聴き方としては体系でセレクトする方法をすすめたということでしょうね。寺島さんの意図とは違う方向へ話は行ってしまったようです(笑)。私も星野さんに近い好奇心聴きなので言っていることはよくわかりました。

星野さんはハービー・マンの『メンフィス・アンダーグラウンド』やジャズ・メッセンジャーズから入ったという話もありました。意外とコテコテだったんですね。

岩浪さん選曲。黒人テナー特集の話が出たということでボン・フリーマン。チコ・フリーマンの父親です。岩浪さんによれば息子はどうしようもないと。寺島さんによればチコ・フリーマンは一時期人気があったけれどだから消えていったと。このCDのライナーノーツは小川隆夫さんが書いていて、岩浪さんはボン・フリーマンの解説が気に入らなかったようですが、寺島さんによれば小川さんの書いていることは合っているとのことでした。《オール・アバウト・ロニー》をかけました。

安心して聴いていられますね。でもこのフガフガの音が微妙に苦手な私(笑)。

「ボン・フリーマンはいい。久しぶりの好選曲。」と寺島さん。「黒人テナーはバラードしか吹いちゃいけない。速く吹くと聴いていて疲れる。」と続けます。岩浪さんが「イリノイ・ジャケーとかいいじゃないですか?」と言うと、寺島さんは「草食系日本人にはダメ。アメリカ人が良いというからといって、日本人に良いということはない。国民性がある。」と主張していました。出ました!いつものきめつけ発言。この手のお騒がせ発言は敢えてやっているので、目くじら立ててどうこう言ってもしょうがありません(笑)。

人妻Aさん登場。ヨーロッパ・ジャズの大家星野さんにお会いできて光栄ですとのことでした。ここでまた「ヨーロッパのイメージを付けたのはいい。」と寺島さん。「アメリカ・ジャズの大家とは言われない、そういう意味でヨーロッパ・ジャズは傍流のイメージがある。」と星野さん。

Aさん選曲。星野さんが「ヨーロッパ・ジャズ黄金時代」で「『ヨギ・ジャズ』が最高。これを超えるものはない。」と書いていたので選曲。寺島さんは「名前もジャケットの顔も全て嫌い。」と言っていました(笑)。「”ヨギ”って何?」という話が出ましたが星野さんにもよくわからないそうです。《キラー・ジョー》をかけました。「長い歴史の中で、奇跡。」と星野さん。

澤野工房から再発盤が出ています。
私はこのアルバムが好きです。この独特のサウンドに惹かれます。

「なかなかのもんですよ。」と寺島さん。「アルバムで一番地味な曲。」と星野さん。「ドイツ風にソフィストケイトされている。こういうのもあっていいい。」と寺島さん。「悪くない。真似してもこのくらいなのがいい。」と岩浪さん。「いみじくも模倣しているのがいい。」と寺島さん。

星野さんから「1970年頃ヨーロッパ・ジャズがたくさん出た時があり、ライナーノーツはほとんど岩浪さんが書いていていて、他は油井さんや悠さんが書いていた。岩浪さんが『1950年代までは真似の頃、1960年代中盤以降は前向きな前進意欲がある。』と書いていて、当時は数少ない理解者だと思った。いソノてルヲさんは的外れのことを書いていた。」というような話がありました。寺島さんが「岩浪さん当時わかってたの?」と質問して、岩浪さんは「わかっていなかった。」と笑って答えていました。

岩浪さんはとにかく色々なライナーノーツを書いてますよね。私は岩浪さんの「当時はわかっていなかった。」発言は謙遜だと思います。今読み返してみると結構的を射た発言もしていますよ。他のジャズ評論家がやらなかったことをやり、当時なりにちゃんと仕事をしたいた岩浪さんには敬意を表したいです。

いソノさんの的外れに対しては、寺島さんが「つまらないもののライナーノーツ依頼が回ってきても、次の依頼を考えると断れない。そんなときは敢えて的外れにせざるを得ない場合もある。」なんて言っていました。それに対して岩浪さんは「寺島さんのライナーノーツは参考にならないがエッセイとして読めば良い。」と言い、それを聞いた寺島さんは「参考にならないってどういうことですか?」と突っこみ。岩浪さんは「曲の解説とかがないから参考にならない。」と弁解し、寺島さんは「この曲は誰々作で何々形式とか書くのは、お金をもらて書くことではない。俺は絶対にそういうことは書かない。」と反論。いつものお二人のライナーノーツ観の違いを論じていました(笑)。

岩浪さんからは「小川隆夫のライナーノーツはいいかげんなものが多い。対人的に嫌い。」なんて爆弾発言も。岩浪さんは小川さんが嫌いだったんですね~。ジャズ評論家間にも色々な人間関係があるのです(笑)。

今日はこのくらいで終わりにしておきます。残りは後日。

星野さんの口調はなんとなく行方さんに似ていました。持っているものは確固としたものがありますが、比較的おっとりした口調ゆえ、あまり”俺が俺が”というものは感じなかったですよ。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

なお、楽しみにされている方もいらっしゃるところ申し訳ありませんが、
「高野雲の快楽ジャズ通信」のレポートは明日UPします。

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スイングジャーナル7月号を買いました。

あともう少しでサッカーワールドカップ日本×オランダ戦!
勝ち点1はなんとか取ってほしいな~。

さて、スイングジャーナルの休刊前ラスト、7月号を買いました。

紙面はいつも通りなんですね。
特にラストを意識することもなく、総括もしていません。
これなら復刊しそうな予感です?
「ADLIB」誌の「これで最後(もう復刊はない)。」という感じとは
だいぶ違います(笑)。

人間の行動はこれで最後と思った時が最後になってしまうものです。
まだ続きがあると思えば続けられるものだと私は思っています。
そういう意味ではスイングジャーナル誌に拍手を贈りたい(笑)!
と思っている私は単なる楽観主義者?

買わずにああだこうだ言わずに買ってからものを言って下さい(笑)。
だって。CDを買わずに(サンプル盤をもらって)CD評するのってどうよ?
とか言っているわけでしょ。それと同じことです。
スイングジャーナルを立読みしてああだこうだ言うのってどうよ(笑)?

と熱くなってしまいました。ご容赦願います。m(_ _)m

ジャズの売り上げ?ランキングが面白いです。

1位 『マイ・ピアノ・ロマンス』/ビージー・アデール
2位 『ジャズミン』/キース・ジャレット&チャーリー・ヘイデン
3位 『ショパン・ジャズ』/ジョン・ディ・マルティーノ・ロマンティック・ジャズ・トリオ
4位 『ロード・トゥ・ショパン』/小曽根真
5位 『シング・シング・シング2010ベニー・グッドマン・トリビュート』/マンハッタン・ジャズ・オーケストラ
6位 『ノルウェーの森』/ヨーロピアン・ジャズ・トリオ
7位 『ハイウエイ・ライダー』/ブラッド・メルドー
8位 『ジャズ・ザ・ベスト・プラチナム・ボックス』
9位 『マイ・ソング』/寺井尚子
10位 『ショパン・イン・ジャズ』/ロッサノ・スポーティエロ

どうだ参ったか?
これを見るとスイングジャーナル誌を買いたくなくなるのは・・・、わかる(笑)!
でも、この事実から目をそむけてはいかん!
日本のジャズ需要の一部を映していることは確かなのです。

まっ、あとは皆さんそれぞれの考え方に沿って行動してくださいな(笑)。

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ピアノ・トリオで寛いでみる。

今日は雨が降っています。
最近雨が降ると気分は憂鬱にならずに落ち着くから不思議です。
なんでだろう?

さて、今夜はピアノ・トリオでも聴いて寛ぎましょうか。
ジェレミー・ペルト⇒J.R.モンテローズ⇒ペーター・ブロッツマンときて、
今日はヨーロッパ・マイナー・ピアノ・トリオ。
う~ん、我ながらこの支離滅裂ぶりには笑ってしまいます。

P190『ザ・クラウス・イグナツェク・トリオ』(1989年rec. yvp music)です。メンバーは、クラウス・イグナツェク(p)、ジャン・ルイ・ラッシンフォッセ(b)、ジョン・エンゲルス(ds)です。

ディスクユニオンの宣伝文句につられて買った1枚。「ヨーロッパ・マイナー・ピアノ・トリオ好内容。ピアノ・トリオ・ファン要チェック。」とか、そんな内容に惹かれて買ってしまいました。

内容は宣伝文句のとおりです。特に異論を挟むことはありません(笑)。ピアノ、ベース、ドラムそれぞれレベルが揃っていてしっかりジャズを演奏しています。アメリカ西海岸的でコンコード・レーベル辺りから出そうなお洒落でジャジーなピアノ・トリオです。

バラードにおける哀愁、ミディアム&アップ・テンポにおけるスイング感、全編を通して溢れ出る美旋律。ジャズ・ピアノ・ファンが好みそうな要素だらけです(笑)。こういうジャズを聴いて喜んでいるうちが幸せなのです。

ペーター・ブロッツマンなんかを聴くようになってしまうと、幸せなのか不幸なのかわかりません。傍から見たら「こんなの聴いて何が面白いの?ジャズってノイズ音楽なの?この人変!」とか思われてしまいます(笑)。

でも、その変人こそがジャズ・ファンの行きつくべき姿だと思っている私ってやっぱり変人ですよね~(笑)。そして、色々あるジャズを右から左へ左から右へ前から後ろへ後ろから前へと大幅に行き来することに快感を感じる私ってどうなんでしょう?

ああ、ジャズ万歳!

アルバム名:『THE KLAUS IGNATZEK TRIO』
メンバー:
Klaus Ignatzek(p)
Jean-Louis Rassinfosse(b)
John Engels(ds)

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色々なジャズがあるのだが・・・

アルゼンチンのメッシ凄すぎ!ファンタスティックでした。

*

さて、スイングジャーナル誌の最終号が出るまであと数日なのですが、ブログのほうでは元気に発信し続けていますね。

「SwingJounalStaffのブログ」

別に”良い”とか”悪い”とか言うつもりは全くないのですが、UPされる記事を見ていて、なるほどね~、”ジャズ”というより”ジャジー”なんだな~と思った次第。

もちろん”ジャジー”だけではなくて”ビル・ラズウェル”なんていうかなりマニアックなジャズもあるにはあるのですが。

シャンティ、ビージー・アデール、エミ・マイヤー、加護亜依・・・と続くとねっ。
”いまどき”の”ジャズ来るべきもの”なんだろうな~と思ったのであります(笑)。

*

で、今日紹介するのは”フリー・ジャズ”
時々こんなのが聴きたくなる私なのです(笑)。

P189 ペーター・ブロッツマン『ノイズ・オブ・ウィングス』(1999年rec. jazzwerkstatt)です。メンバーは、ペーター・ブロッツマン(ts,tarogato,cl)、ペーター・フリース・ニールセン(el-b)、ピーター・ウースキラ(ds)です。1999年作のアルバムが2008年に再発されたものです。

なんでこんなのを買ったかというと、ミュージックバードJAZZチャンネルの”MOONKSTYL”でこれをかけたからです。聴いていてそのサウンドにやられてしまったのです。何のサウンドにやられたかって?エレクトリック・ベースのサウンドですよ!”ギュインギュイン、グルングルン、ギョエ、ビニョ”とその変態サウンドに脳みそや体が反応しまくってしまったのです。カッコイイ!

MOONKSの方も「このベースがたまんないよねっ。」と言っていました。私にとっての”ジャジー”はこんな音なのです。ジャズ・マニアにはわかってもらえますよねっ。私の言いたいこと!

ブロッツマンはいつものとおり”ブリブリ、ギョエギョエ、ピーピー”とうなりをあげています(笑)。でもブロッツマンだけで、私は買わなかったでしょうね。上記のエレベがあってこそのこのジャズなのです。

ドラムも”バシバシ、キンキン”と叩きまくりますが、私の好きなバスドラの音が弱めに録音されているのがちょっぴりマイナス。これはベースの音とかぶるのを避けたためと思われますが、私的にはこれにバスドラの”ドスドス”を混ぜ、それこそ“ドロドロ”にしてほしかったのです。

あんまり考えずにサウンドに浸る、もしくはサウンドを浴びる!
たまにはこんなジャズを聴きたくなってこそのジャズ・ファンなのでは?

今日は「オノマトペ(擬声語)」多めにしてみました(笑)。

アルバム名:『NOISE OF WINGS』
メンバー:
PETER BROTZMANN(ts, tarogato, cl)
PETER FRIIS NIELSEN(el-b)
PEETER UUSKYLA(ds)

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これはトホホ&セツネ~か?

最近買った新譜の紹介が微妙に面倒・・・、ということで今日は適当にレコード棚から取り出した1枚を紹介。

P188 J.R.モンテローズ・カルテット『ラッシュ・ライフ』(1979年rec. PROGRESSIVE)です。これは1988年の再発盤。メンバーは、J.R.モンテローズ(ts)、ホッド・オブライエン(p)、テディ・コテック(b)、ジミー・ウォームワース(ds)です。

今日は内容というより買った経緯を主に紹介。これは秋葉原の石丸電気ソフトワンで買いました。今から10年ちょっと前、真空管アンプ作りに熱中していたのですが、それが少し落ち着いた頃にオリジナル盤レコード熱が高まってきて、私的レコードブームが来たのです。

当然のことながらレコードプレーヤーを新調したくなり、学生時代から使っていたレコードプレーヤーTRIOのKP-880D(出た当時は革新的な技術を導入したプレーヤー、ターンテーブルシートはMICROの純銅製!に変更)に変え、以前ブログで紹介したROKSANのRADIUS3(アームはSME-3009R)を買い、さらに悪乗りしてDENONのDP-80(アームFR-64S付)の中古を買ったのです。

オリジナル盤は高いのでそうそう買えませんでしたが、中古レコードは安いことを知り、ディスクユニオンで80年前後の安いものを次々と漁っていました。そして、秋葉原に真空管アンプのパーツを買いに行ったついでに、石丸電気ソフトワンの2F奥にあるレコード売り場にも行き、輸入重量盤なども買っていたのです。

そこにはスティープル・チェイスの輸入盤もたくさん置いてあり、値段も安めだたので結構な枚数を買いました。買ったのはいいのですが内容がいまいちなものも多くて、その後ディスクユニオンに半分くらいは売ってしまいましたよ(笑)。

そんな中に混じって買ったのが今日のレコードです。J.R.モンテローズなんて渋いでしょ。この人のアルバムで有名なのはブルーノートに1枚だけあるやつと、JAROレーベルから出た幻の名盤『ザ・メッセージ』ですよね。この人の吹き方の特徴はスタッカートが多いところ、ちょっと擦れ気味の音と相まって非常に切迫感があるんです。

その特徴はこのレコードにおいても健在。なんとも言えない哀感が漂っています。そしてどことなくトホホ感が漂っています。それはジャケット写真そのままの雰囲気。一度は売ろうと考えたのですが、結局はこのトホホ感が「セツネ~」につながって手元に残りました(笑)。この「セツネ~」に目覚めてしまうと、今度は妙に愛着が湧いてくるんですよね。

寺島靖国さんに評判がいいホッド・オブライエンがピアノをスインギーに弾いています。でもどこかB級(笑)。この感じがモンテローズにピッタリです。

B級トホホ盤。私は気に入っています(笑)。

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こんなアルバムでゆったりジャズに浸るのもいい。

昨日はワールドカップサッカー、日本×カメルーン戦で盛り上がりましたね。
海外開催のワールドカップで初めて勝ちました!イエ~イッ
おかげで昨晩は気分よく眠りにつけました。
シュートはたった5本だったそうです。でも少ないチャンスをものにしたのはいい。
これまではシュートを打っても打っても得点できなかったんですから今回は異例。
松井~本田の連携。本田の持っている”運”。素晴らしいですね。
ロスタイム4分が長い長い。ひやひやの連続でした。勝った~
こうなると次の日本×オランダ戦が楽しみです。どこまでやれるのか?

ポルトガル×コートジボワール戦。なかなかいい試合です。
やっぱり簡単には得点できませんね。これがワールドカップ。

さて、今日は恒例のディスクユニオン通販限定¥1000均一セールで買ったものです。今回は気づくのが遅れたのであまりいいものはありませんでした。2枚買ったうちの1枚。

P187 ジェレミー・ペルト『クロース・トゥ・マイ・ハート』(2003年rec. MAXJAZZ)です。メンバーは、ジェレミー・ペルト(tp,flh)、マルグリュー・ミラー(p)、ピーター・ワシントン(b)、ルイス・ナッシュ(ds)、ストリングス・カルテット、デヴィッド・オルーク(g,arr)です。基本はペルト以下のワン・ホーン・カルテットの演奏。曲によってはストリングス・カルテットが加わっています。

MAXJAZZレーベルということもあり、安心して聴ける正統派バップ・ジャズになっています。それはメンバーをみればだいたい想像はつきますよね。ペルトというとブログで前に紹介した:『メン・オブ・オナー』 のようなゴリゴリ系バップのイメージがありますが、ここではバラードとミディアム・テンポの曲がほとんど、気楽に聴ける内容です。とはいえ演奏には一本筋が通っていると思います。

ペルトのトランペットとフリューゲルホーンはベルベットの肌触り。柔らかくファットな音がいいですね。この音を聴いているだけでもかなりの気持ち良さです。フレージングも落ち着いていてじっくり積み上げています。ミラーのピアノも品が良く、落ち着いたトーンで美しく響かせています。う~んかなり大人な内容です。

ここには刺激はありませんが安らぎはあります。たまにはこんな演奏を聴いてゆったりジャズに浸るのも悪くはないと思います。¥1000なら文句なし(笑)。

アルバム名:『CLOSE TO MY HEART』
メンバー:
Jeremy Pelt(tp,flh)
Mulgrew Miller(p)
Peter Washington(b)
Lewis Nash(ds)
Meg Okura(vln)
Joyce Hammann(vln)
Ron Lawrence(viola)
Dave Eggar(cello)
David O'Rourke(g)

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西山瞳さん作曲コンペでの受賞おめでとうございます!

今回の「高野雲の快楽ジャズ通信」西山瞳さん おめでとう特集」
「インターナショナル・ソングライティング・コンペティション2009」ジャズ部門
3位に入賞されたそうです!凄いですね。

番組詳細は jazz blog 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
こちらには番組中でかけたCDの購入リンクもあります。
レギュラーゲストのtommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'e もご覧下さい。
快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 も是非お聴き下さい。

冒頭「おめでとうございま~す。」と拍手!楽しそうです。
審査員の中にはジョン・スコフィールドもいたそうですよ。
西山さんは「ジョンスコに聴いてもらえただけでもうれしい。」と言ってました(笑)。
1万5千程の応募があったそうです。
その中の堂々3位!おめでとうございます。

受賞曲《アンフォールディング・ユニバース》
まだCDには入っていないそうです。
奔放初公開!

ピアノ・トリオでの演奏。
最初のメカニカルなメロディーが何となく上原ひろみの曲のようでもありました。
いつも上原ひろみを出してしまうイメージの貧困さ。m(_ _)m
さすがにコンペで賞をとるだけあって、一筋縄ではいかないメロディー。
ベタな美メロではありませんね。
盛り上がった後、クール・ダウンしてから突然終了。
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)

「メカニカルな感じから世界がひろがってそれで終わり。
テーマにもどらないんですか?」と雲さん。
「そこがいいところです。」と西山さん。
コンペティションには音源を送るんだそうです。
ここで音楽用語で雲さんから説明があります。
ベーシスト泣かせの曲とのことです。
「皆である山まで持っていく。6/8と3/4を混ぜている。
演奏する皆が戦闘力を刺激するような曲。」などの説明が西山さんから。
「最初固いのがほぐれて広がっていくところがツボ。」と雲さん。
「何か刺激するような曲を作りたい。」と西山さん。
西山さんはマインド的にはコンポーザーのほうが強くなっちゃうそう。

「何がもらえるんですか?」と雲さん。
1000ドル相当の景品をもらったそうですが、
西山さんとしてはあまり有用ではないものだったみたいです(笑)。
1位だけは25000ドルの”キャッシュ”なんだそうです。
受賞曲は全世界に1年間配信してくれるそうです。

西山さんのホームページ からリンクされている先で聴けるそうです。

アルバム『イン・ストックホルム』の話へ。
「店の雰囲気が良いですね。」と雲さん。私も同感です。
でも西山さんのオススメはボーナス・トラック《ユー・アー・ノット・アロン》
グレン・ミラー・カフェではなくストックホルム・ジャズ・フェスでの演奏。
メンバーが前から録音してきた人達なのでいい雰囲気で演奏できたそうです。

ピアノがとてもきれいな音です。
日本的な情緒に溢れた曲。クラシカルな雰囲気も漂います。
結構ピアニスティックな演奏ですね。
西山さんの包み込む優しさに溢れた感じがいいです。
ベース・ソロにおける優しいバッキングも素敵です。
いい曲ですよね。聴いていてうっとりします。
ドラムのブラシも繊細です。

「屋外ライブ録音だけれどとてもきれいな音。」とtommyさんと雲さん。
ピアノはスタインウェイだそうです。
日本にもこういうジャズ・フェスがあればいいのになんて話も。

作曲コンペの話に戻ります。
1位はドラマーのジェフ・ワッツ。
「もういいやろ。審査員になってもいい人なのに。」と西山さん(笑)。
ジェフ・ワッツ『ワッツ』から《デビルズ・リング・トーン》

これも結構抽象的なテーマです。
これはテレレンス・ブランチャードのトランペットと
ブランフォード・マルサリスのテナーが熱いソロ&掛け合いを繰り広げる曲。
ベースのクリスチャン・マクブライドの強靭なベースもいです。
バックではワッツが自在に演奏を煽りドライブさせていきます。
これは硬派の熱い演奏。この手の演奏として私は好きです。
後半セカンド・ラインになってからテーマに戻って終了。
セカンド・ライン部ではブランフォードのソプラノ・サックスがクラリネット的。

「演奏は素晴らしい。メンツも錚々たるもの。演奏は盛り上がって楽しい。」
「でもこれが作曲賞の1位というのがわからない。」と雲さん(笑)。
「演奏はカッコいいけど、もっと若い人に譲ってほしい。」と西山さん。

音源での審査なので、テーマだけでなく演奏の展開なども評価している
のではないかと私は思いました。
セカンド・ラインを取り入れているところなんかはきっと高評価なのでしょう?

tommyさんが雲さんにこのアルバムを貸したのに、忘れていたらしいです(笑)。
どうやら雲さんには受けが良くなかったみたいです。

また西山さんのアルバムに戻ります。
アルバム『メニー・シーズンズ』から。
いい曲はたくさんあるんですが、西山さんオススメ曲で
《メニー・シーズンズ,メニ―・シーンズ,メニー・ソロウズ》

これも美メロ曲ですね。そして情緒に溢れています。
転調だと思う?がアクセントになっている曲。
ベタに甘くなくビターな成分が含まれているのが大人です。
西山さんのピアノはしっかり落ち着いたトーンで鳴っていますね。
曲調とピアニズムがピッタリ嵌っている世界だと思いました。
ベースとドラムもその世界を壊さず。
俗にいうヨーロッパ美メロ耽美系ピアノ・トリオ。いいです。

アルバム2曲目に収録されていますが、1曲目に持ってきたかったそうです。
評論家3人からそれを言い当てられたらしいです。
「自分の音色。テイストがはっきりわかる。」とtommyさん。雲さんも同意。
「西山ワールドがある。」と雲さん。tommyさんも同意。

次は西山さんオススメのピアニスト。フランスのバティスト・トロティニョン。
去年初来日時に西山さんは個人的に連絡をとっていたそうです。
今年来日するかもしれないそうです。

「東京ジャズサーキット2009」に出ていましたね。
この人を世に広めたのはディスクユニオンと寺島さん?
この人の『FLUIDE』はユーロ・ピアノ・トリオ・ファンには外せません。
「なんで上原ひろみが”東京ジャズ”のメインで、トロティニョンが
”東京ジャズサーキット”なのか?」という怒りの声をブログで読みました(笑)。
上原ひろみが”東京ジャズ2009”のメインでいいんです(笑)!
東京ジャズサーキットについては個人的にちょっとしたことがあったのですが、
ここには書きません。ねっ雲さん。

バティスト・トロティニョンの新譜『スイート...』
日本盤のライナーノーツは西山さんが書いているそうです。
雲さんは”ニョン様”なんて言ってます(笑)。
《スイート....》《パート1》

これは一応要チェック盤なので私も購入済みです。
最初は落ち着いていて「これから物語が始まるぞ」的な感じ。
そこから盛り上がって今時NY的メロディーになり4ビートへ。
ジェレミー・ペルトの熱くストレートなソロ。途中でリズム・チェンジも交えます。
続いてトロティニョンのソロ。結構重厚で左右バラバラ弾きもかまします。
これがかなりラフに聴こえます。ライブでの熱くエキサイティングな演奏。
いい演奏だというのはわかります。でも・・・私的には何かがしっくりこない。
で、アルバム評もあげられずにいます。う~ん、悩ましい!

「ライブで50分間(《スイート...》のトータル演奏時間)以上は凄い。
こういうテンションで続くと聴いているお客さんも大変。」と西山さんと雲さん。
「クオリティーが高いだけに聴いていて疲れる。」と雲さん。

ラストはまた西山さんの曲。
作曲コンペでセミファイナルまでいった曲。
西山さんは個人的にはこっちのほうに力を入れて作曲したそうです。
《ソウル・トラベル》
雲さんによると分数コードが多いそうです。これもベーシスト泣かせな曲。

これも一筋縄ではいかない曲です。
変拍子が炸裂(笑)。今時のジャズです。
これも従来の西山さんのイメージとは違う感じがします。
ベース・ソロから、バックは優しくも”ビシビシ”とバッキング。
ピアノ・ソロも複雑ですね。優しく流れそうで流れないところがイイ。
これは確かに力を入れた曲だというのがわかります。
従来路線にこういうのを織り込んでいくと
西山さんの新たな世界が広がっていくんでしょうね。

「これ、素晴らしい。広がりあるし、エキサイティングでいい。」と雲さん。
「いい曲ですよね。」とtommyさん。
「ベースは大変。」と雲さん。
「難しいことをしているのにお客さんには難しく聴こえないのがちょっと。」
と西山さん。私には複雑な曲に聴こえましたよ。

「受賞記念ライブ」があるそうです。
西山さんのホームページ の”Live”をクリックしてチェック!

今日は西山さんの曲だけでなく人柄のキュートな魅力もたっぷりでした。
受賞本当におめでとうございます!

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昨日は「快楽ジャズ通信」の公開収録を見に行ってきました。

パソコンの再セットアップもなんとか終了。
快調に動いています。

昨日は「快楽ジャズ通信」の公開収録を見てきました。

久々に東京へ出かけたので、ついでにいつものディスクユニオンへ。まずは吉祥寺のジャズ&クラシック館から。最近新譜CDはネット通販で購入しているので、中古レコード&CDを物色。今回はレコードを重点チェック。定番ものはほとんど持っているので、マニアックなものをさがします(笑)。

P181 ジャ~ン!こんなのが見つかりました。トーマス・スタンコ『パープル・サン』。ランク”A”、盤質”A/B”ならば問題なし。ジャズ喫茶「ジニアス」で聴いてから探していました。⇒ジャズ喫茶「ジニアス」にて〆。CDも出ているのですがジャケットがN.G.。ということで、このレコードを探していたのです。見つけたときには心の中でガッツ・ポーズをしていました(笑)。こういう出会いがあるから中古レコード探しはやめられませんよね。で、この後お会いするジャズ友の皆さんに自慢するんですから、しょうがないやつです、私(笑)。値札には店員のおススメ・コメントも書いてありました。

この『パープル・サン』はフリー・ジャズのところに分類されていましたが、エレクトリック・マイルス&ウェザー・リポートに対するスタンコの回答という感じです。1973年の録音。エレクトリックなのはエフェクターをかけたバイオリンだけですが、サウンドは上記のような雰囲気です。アコースティック・ベースなのにマイケル・ヘンダーソンのようなエレベに聴こえてきます。怪しさと洗練が同居した私的には”ツボ”なサウンドなのです。バイオリンも出てきます。こんなのを知っているのはジャズ喫茶のオヤジだけですよね。

他には、ビリー・ハーパーのスピリチュアルな『カプラ・ブラック』と後藤雅洋さん著「ジャズ・レーベル完全入門」でチェックしていたジョン・サーマン『ウィズホールディング・パターン』を購入。CDには収穫なし。というか、例の”アレ”以外は探しませんでした。

気分よくお店をあとにした私は御茶ノ水のユニオンへ。中古レコード売り場を見たのですが残念ながら収穫はなし。そこから歩いて秋葉原へ。秋葉原では私が愛用している「はんだ吸取線」を3個まとめ買い。真空管アンプをちょこっといじる時に重宝しています。

今日は遅めの出発だったので時間はあまりありません、ショッピングはこのくらいにして「快楽ジャズ通信」の収録会場へ。

P182_2 銀座は歩行者天国。かなりの人が出ていましたよ。今iPadで話題騒然の銀座アップルストアーは大変混雑していました。ここの3階にあるアップルシアターが収録会場です。

開演20分ほど前に入ったわたしですが、雲さんとtommyさんは収録の打合せや準備の最中。それでも顔を見れば合間にはジャズ・トーク(笑)。ゲストのジャズ・トランペッター原朋直さんもトランペットの準備に余念はなく、楽しそうにしていました。

番組収録開始です。3人の紹介の後ディスカッションへ。今回はレギュラー・ゲストの tommy さんも参加しています。右に座っているのがゲストの 原朋直 さん。

P183_3
原さんはトランペットについて話し出すと止まりません(笑)。トークもとてもわかりやすくて滑らか。滑らかさは原さんのトランペット・プレイそのものといった感じです。次から次へと出るトークは初めて知ったことも多くて楽しいものばかりでした。

P184_2
ミュートについては実演を交えてとてもわかりやすく解説してくれました。各ミュートの音色の違いを実感するとともに、ハーマン・ミュートの音が出た途端、マイルスが頭に浮かんできたあたりは、ジャズ・ファンにとってのマイルスのアイコンの刷り込みを実感した瞬間でありました。

P185
原さんのトランペットと雲さんのエレベでデュオもありました。原さんは次々ミュートを変えてはそれぞれの特徴を生かして吹いてくれました。忘れずに言っておきたいのは原さんの(オープン)トランペットの音です。とても温かくて柔らかく滑らかです。tommyさんが「原さんはトランペットの音が柔らかいので、フリューゲルホーンはいらないですね。」と言ったら、原さんもフリューゲルホーンはあまり好きじゃないと言っていました。トランペットの音色にかける原さんの拘りをトークの端々から強く感じましたよ。

P186
YAMAHAで発売されているトランペットの”原朋直モデル”についての拘りの話がありました。写真はマウスピースについて熱く語る原さん。マニアックな話なのですが、これがとても面白い話でした。

45分があっという間に過ぎてしまうとても楽しい収録でした。

収録の後は じゃこのめ さんとtommyさんのお嬢さんにしてとてもかわいいユーストリーヌ Ayano* さんも交えて打上げへ。毎度のことながらコアなジャズ論議他が交わされたのは言うまでもありません(笑)。パソコン再セットアップの疲れなのか?いつもよりからみ酒になってしまいました。m(. ̄  ̄.)mス・スイマセーン!

収録した番組は 「快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 にUPされますので、チェックしてくださいね。雲さんのブログ:jazz blog「快楽ジャズ通信」 にもインフォメーションが出ると思いますので要チェック!

原さんの新譜も是非!

雲さんの本も好評発売中!

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「快楽ジャズ通信」の公開収録

まずは、パソコン復活の報告から。

皆様、ご心配おかけしました。m(_ _)m

無事にリカバリー&再インストールが終了しました!

意外と問題なく進みました。ふうっ。

これからはウィルス感染により気をつけねば。

さて、本題です。

本日6/12(土)は「快楽ジャズ通信」公開収録です。

も一度告知。アップルシアターでのイベント

場所は、銀座アップルストアー3Fのアップルシアターです。

午後5時~

ゲストはジャズ・トランペッターの原朋直さんです。

トーク&セッションです。入場は無料

皆さんも是非。

私もこれから行きます。

原さんの新譜はコチラ。

では会場にて。

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今回の「快楽ジャズ通信」はハービー特集

参りました。
パソコンがどんどん異常に・・・。
番組開始までにセーフ・モードすら立ち上がらず。
通常モード&フリーズ時手書きメモ&セーフ・モードにて執念のレポート!
パソコンのリセット3回(涙)。

今回の「高野雲の快楽ジャズ通信」のテーマは「ハービー・ハンコック」
tommyさんはハービーがお好きなんだそうですよ。

番組詳細は jazz blog 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
こちらには番組中でかけたCDの購入リンクもあります。
レギュラーゲストのtommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'e もご覧下さい。
快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 も是非お聴き下さい。

番組冒頭は飲み屋の話。
最近は飲むという行為(文化)がなくなったらしいのです。
飲み屋さんによると、常連さんがなかなか来てくれないそうなのです。
飲み屋を活性化させたいとの思惑から「遊無」で
雲さんの「JAZZ聴き会」が始まったそう。
このお店では他にも色々なイヴェントを企画中だそうです。

さて、今回の本題。
tommyさんはハービーの研究をしています。
以前ブログにそれをUPしていました。
tommyさん曰く”カメレオン・ハービー”。
今回はそんなハービーのアコースティック・ピアノに的を絞ります。

まずは雲さんの選曲。
ハービーは売り上げとか色々考えがちな自分のリーダー・アルバムより
他人のアルバムに参加した時の方が良いプレーをしているという例。
ペーター・ヨハネソン『シクスタス』から《ブレイク》
ハービーがキレまくっていてカッコいいとのこと。
リーダーのヨハネソンは北欧のドラマーだそう。

曲調は洗練されたフュージョン。
バックのシンセの広がるような音が気持いいです。
トロンボーンがいかにも北欧風に静かめに入り後半へと盛り上がります。
ハンコックはバッキングからアグレッシブ。
ピアノ・ソロもいつになくかなり熱いです。確かにキレてます。
ドラムもかなり勢いがあって気持ち良いですね。
私、これは結構気に入ってしまいました。
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)

「ハービーがキレていていい。奔放に何も考えずに弾いている。」と雲さん。

次はtommyさん選曲。
tommyさんはお店のジャズ売り場で、ジャズ研の学生さんが店員さんに
ハービーやチックやキースのお薦めを尋ねている場面に何度か遭遇したそう。
その回答ではハービーのお薦めがなかなかないとのこと。
実はあるんだけれど、有名なものはない。
そこでtommyさんのお薦め。ハービー・トリオとしてハービーのプレイがわかる。
『ハービー・ハンコック・トリオ81』から《ステイブルメイツ》

品が良く小粋にまとまっている感じ。
ロンとトニーも慣れたものです。
私はこの頃はほぼリアルタイムで聴いています。
もちろんこれも当時話題盤だったので数年後に買いました。
当時の私はV.S.O.P.でのハービーは散々聴きました。
これはハービー節満載の演奏。
いたるところに聴き慣れたフレージングが出てきます。
後半は意外とアグレッシブな局面もありますね。

雲さんは初めて聴いたそうです。
「トニーがいい。スタンダードでも自分の音を組み立ていている。
グレイト・ジャズ・トリオのハービー版みたい。」と雲さん。
「テーマの弾き方がダサい。」とtommyさん。雲さんも同意。
「ハンコックの音色とプレイがわかる。」とtommyさん。
雲さんはハービーのピアノにあまり興味がないそう。
ホーンがいて映える人だそう。

tommyさんは『ヘッド・ハンターズ』が大好きだそうです。
それでハービーのピアノを知りたくなり、70数枚もアルバムを買ったんだとか!
エレクトリック系のものを聴くとコンポーザーやアレンジャーとしてはわかるが、
ハービーのピアノは掴みづらいそう。
で、アコースティック・ピアノを弾いているものも聴いたとか。

雲さんはホーンやギターのバックで弾いているのが良いそうです。
それはtommyさんも同意していました。
「ウィントン・ケリーやビル・エバンスのようには弾けないということで、
そういうものを切っちゃったのがハンコックなのではないか?」とtommyさん。

ハービーのピアノ・トリオはほとんど日本制作。
日本人が好むものを弾いてもらっているそうです。
「バブルの頃に、アメリカでトリオを吹き込む気になれなかはずで、
日本でないとトリオでの録音はしなかったのではないか?」とtommyさん。
当時のハービーはV.S.O.P.の後、アメリカでは例の「ロック・イット・バンド」へと
進んでいたんだと思います。だからトリオなんてやるわけないのです。

雲さんとtommyさんが好きな『インベンションズ・アンド・ディメンションズ』から
《サコタッシュ》

ミニマルの要素がありますね。
ドラムのブラシとパーカッションが良い味を出しています。
ファンクの腰にくる繰り返しリズムの先駆けという感じ。
独特の浮遊感もあります。
この独特な空気感は嵌ります。
これにも雲さんが好きなトリスターノ的低音”ウネウネ”メロディーが。
実はこれ、私はほとんど初めて聴いたのですが、気に入りました。

雲さんtommyさんが一番好きなアコースティック・ハービーとのこと。
「繰り返しがいい。トリスターノの《ターキッシュ・マンボ》に近いところもある。」
と雲さん。やっぱりそれ、感じていたんですね。
「M-BASE派のリズムに近いかも。その手の複雑なリズムの原型。」と雲さん。
これは私が感じたファンクの先駆けに近いのだろうと思います。
M-BASEは洗練された未来形”ファンク”だと思う私です。
でもそれはすでにハービーがやっていた?

管の間から”コンコン”出てくるハービー。
新し目のところで『ディレクション・イン・ミュージック』から《ザ・ポエット》

スローの曲で管のハモリが特徴的な曲。
かけた後で知りましたがマイケル・ブレッカーとロイ・ハーグローヴ。
淡い色彩感がいかにもハービーらしいです。
静かに大人に迫るハービー。
結構作りこんでいそうで微妙に物足りないのはライブだから?

メンバーが凄いそうです。
マイケル・ブレッカー(ts)、ロイ・ハーグローヴ(tp)、ジョン・パティトゥッチ(b)、
ブライアン・ブレイド(ds)。
新世代のマイルス・クインテットじゃないですか?
でも方向性が違う人達の集合。で、微妙に印象が薄いんではないかと?

「バックに回ったときの引き出しの多さがいい。」と雲さん。
「マイケルの音色がいい。」とtommyさん。

最後はtommyさんのおすすめ。ハービーのソロ。
これも日本制作アルバム。
「アメリカ企画ならやらなかっただろう。」
「ソニーのスタジオで3,4時間で録ったのではないか?」とtommyさん。
tommyさんは、カメラマンについて一度ハービーが録音しているスタジオに
入ったことがあったそう。ハービーはテキパキやっていたとか。
『ザ・ピアノ』から《いつか王子様が》

ブルースはないんですよね。この人。
で、結構メカニカルで構築的なフレージングです。
繊細なニュアンスでありつつ、ゴージャスに迫る部分もあります。
いまひとつ惚れこむ要素がないと私は思いました。
あっさり味が良くも悪くもハービーだと思います。

「いいですね。」
「エバンスのようではない。スタンダードを日本人が好むようにくさくやってない。」
と雲さん。
「最後はコンサート風に”ガーン”といくところもありましたね。」とお二人。
「一言で言うと鮮やか。」と雲さん。「鮮明な感じ。」とtommyさん。

雲さんは、映画「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」で
ハービーがイントロを弾く場面があり、カラフルな音色でびっくりしたとか。
「音色は白人ぽい。」とtommyさん。
「ピアノ・トリオでテーマを弾いてほしくない。」と雲さん。
「管のバックで映えるのはモンクに似ているかも?」とも言っていました。

今回は良く知っているハービーと知らないハービーが楽しめました。
久々に『フューチャー・ショック』を取り出しBGMにして書いています。
意外といいですね(笑)。

フーッ、疲れました・・・。もう嫌っ、こんな生活!

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スタンリーの新作、上原ひろみ買いです。

パソコンは今日も不調。いろいろやってもダメみたい。
これはもうリカバリーするしかなさそうです(涙)。
ということで今日もセーフ・モードでボチボチ更新。

今日はスタンリー・クラークの新作。
当然ですが、上原ひろみがフィーチャされているので買いました。

P180 『ザ・スタンリー・クラーク・バンド・フィーチャリング・ヒロミ・ウィズ・ルスラン&ロナルド・ブルナーJr.』(2010年rec. HEADS UP/ユニバーサル クラシックス&ジャズ)です。タイトルが長い!バンド名とメンバーの名前を並べただけです(笑)。ちなみに、上原ひろみはアチラでは”Hiromi”でとおしています。

メンバーは、スタンリー・クラーク(el-b,ac-b,g)、ルスラン(syn,p,el-p)、ロナルド・ブルナーJr.(ds)、ヴェリー・スペシャル・ゲスト:上原ひろみ、スペシャル・ゲスト:シェリル・ベンティーン(vo)、チャールズ・アルトラ(el-g)、アルマンド・サバル・レッコ(el-b)、ボブ・シェパード(ts,ss)、他です。

冒頭から4曲がスタンリーのバンドでの演奏。エレクトリック・ベース・ソロを挟んで、上原ひろみが参加した5曲。ラストがアコースティック・ベース・ソロという構成です。日本盤ボーナス・トラックはスタンリーのアコースティック・ベースと上原のピアノでデュオ。私はボーナス・トラックも聴きたかったので当然日本盤を買いました。

久しぶりにスタンリー・クラークのアルバムを聴きました。正統派フュージョンですね。スタンリーのアレンビック・エレベが個性的。ジャケットでスタンリーが持っているベースです。ワン・アンド・オンリーの世界。良い悪いを通り越していると思いました。最近はこの手のフュージョンにあまり興味がない私ですが、これはこれでたまにはいい感じです。まっ、上原ひろみが参加していなかったら買うことはなかったと思いますが(笑)。

1曲目《ソルジャー》からスタンリーのエレベが唸りを上げる展開、やっぱりこれはこれで凄いものがあります。途中に挟まれるロックン・ロールなサビが今時NYだと思いました。これがジム・ブラックのバンド”ALASNOAXIS”に劇似だったりして(笑)。次々展開していく曲構成はなかなかの出来。2曲目《フラニ》はビートを強調した部分とメローな部分が交互に出てくる曲。スタンリーのベース・プレイは尖がって痛快です。

3曲目《ヒアズ・ホワイ・ティアーズ・ドライ》はバラード。スタンリーのベースがメロディックに迫り、アルトラのギターが泣かせます。4曲目《アイ・ワナ・プレイ・フォー・ユー・トゥ》はスタンリーのチョッパー・ベースがきまるファンク・ナンバー。ボコーダーを使っているのが懐かしい。古き佳きファンクを現代風洗練でスムーズに。私、こういうファンクが結構好きです。

5曲目《ベース・フォーク・ソング#10》はエレベの多重録音によるソロ。途中打込みリズムも少し挿入されています。これは前半の自己のバンドと後半の上原入りスペシャル・バンドを分けるために挿入されている感じです。

6曲目《ノー・ミステリー》は懐かしですね。第2期リターン・トゥ・フォーエバー(RTF)の名作。上原のピアノが大活躍。ちなみに上原参加曲では全てピアノを弾いています。上原のピアノ・ソロはいつもの展開。ゆっくり入って後半はスラスラと速弾きへ。ここは上原のエレベ・トリオのサウンドになっています。で、これを受けてスタンリーのベース・ソロへ。後半の短いギターのリフはデビッド・フュージンスキーに聴こえてきますよ(笑)。

7曲目《ハウ・イズ・ザ・ウェザー・アップ・ゼア?》はライナーノーツによるとRTFの『第7銀河の賛歌』にアレンジを加えたものとのこと。いかにもな展開なのですが、途中に短い上原メロディーのワルツ部分が入ったりします。メインはボコーダーを使ったファンクで、そこに変な日本語のポエトリー・リーディングが入っていたりして笑えます。韓国語もあります。ヒップホップ的要素をスタンリーなりに消化したナンバーなのでしょう。上原のピアノは全体的に控えめで、前記の部分は箸休め的に使われています。

8曲目《ラリー・ハズ・トラベルド・11マイルス・アンド・ウェイテッド・ア・ライフタイム・フォー・ザ・リターン・オブ・ヴィシュヌズ・レポート》。60、70年代マイルス・スクール出身者のフュージョン・バンドなどを並べたタイトル。詳細は省きますがわかる人にはわかるでしょ(笑)。実際の曲調の方はというと、私が聴いた限りでは、ウェザー・リポート風前半とマハヴィシュヌ・オーケストラ風後半です。前半部ではボブ・シェパードのソプラノがショーター似。後半部ではチャールズ・アルトゥラのギターがマクラフリンしてます(笑)。間に上原のピアノ・ソロとスタンリーのベース・ソロが挟んであり、この2人はもう誰似ではなく独自の世界。これはもう訳知りの人が聴けば面白さ満載ですね。

9曲目《ラビリンス》は上原の曲。最初のメロディーを聴いた瞬間に上原の世界へ突入します。なのでスタンリーのベースがトニー・グレイになっていますよ(笑)。これってこのアルバムの中で浮いているかも(笑)?キメと複雑なリズムは上原のエレベ・トリオそのもの。ルスランのシンセが薄くかぶさっていますが、どこをどう聴いても上原サウンド!スタンリーを伴奏者にしてしまうところが凄いし、スタンリーが上原に惚れているからこそこういう曲を入れさせちゃうんでしょうね(笑)。

10曲目《ソニー・ロリンズ》は名前のとおりのロリンズ風カリプソ・ナンバー。冒頭にアコースティック・ベースの導入部があります。スタンリーのエレベがボブ・クランショーしてます(笑)。シェリル・ベンティーンのスキャットも効果的に使われていますよ。シェパードはロリンズになりきってますね。なんで今。ロリンズなのか?上原のピアノ・ソロがまたカワイイ・メロディー&遊び心満載で私は大喜び(笑)。続くルスランのエレピ・ソロはありがちフュージョン。しまいにゃあ、スタンリーのアコースティック・ベース・ソロでアルコ(弓弾き)まで飛び出す始末。楽しいですね~。

11曲目《ベース・フォーク・ソング#6》はアコースティック・ベースの多重録音によるソロ。バックには軽くシンセ・オーケストラがかぶさっています。タイトルどおり、フォーキーな匂いと郷愁感がラストを飾るにふさわしいと思います。

日本盤ボーナス・トラック《サム・ウェア》は上原の曲。『プレイス・トゥ・ビー』に収録されている曲です。演奏としてはスタンリーとの前作の延長。冒頭のスタンリーのアルコが極めて美しいです。その後のスタンリーのソロも優しさに溢れ、2人の自然な会話が心に沁みます。

私としては久々の全曲インプレ!
う~ん、このアルバムが気に入ってしまった私です(笑)。

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たまにはサンバ・ジャズなんかいかが?

絶不調です!
昨日からパソコンが頻繁にフリーズします。
ブログを書くのもヒヤヒヤものです。
う~ん、困りました。
今日も悪戦苦闘して書いています(涙)。
セーフ・モードで立ちあげたら何とか書けました!

とはいうものの、根本的な解決には至っていませんので、
今後ブログ更新が滞る可能性があるのでご容赦願います。

さて、今日紹介するのはサンバ・ジャズです。

P179_3 アドリアーノ・サントス・クインテット『イン・セッション』(2008年rec. KINGJAZZADMUSIC)です。メンバーは、アドリアーノ・サントス(ds)、デヴィッド・ビニー(as,ss)、エリオ・アルヴェス(p)、デヴィッド・アンブロシオ(b)、デンデ(per)です。ワン・ホーン・カルテット+パーカッション。

サントスはサンパウロ出身のドラマー。ブラジルとアメリカでセッション・ドラマーとして活動しているそうです。これは初リーダー・アルバム。サンパウロ出身だけあって、曲はサンバやボサノバです。

私がこれを買ったのは、アルト・サックスのデヴィッド・ビニーがいたから、この人のアルトはなかなかパワーがあってよろしいのですが、NY先端系ということもあり、本人リーダー・アルバムでは馴染みにくいような面があります。でもこれはサンバとボサノバということでメロディーがわかりやすく、ビニーのアルトに安心して浸れるというわけ。

1曲目のサンバ曲《サボア・カリオカ》からビニーのアルト全開!気持ちイイです。このアルバム、フィーチャリング・デヴィッド・ビニーと言っても良いですね。ピアノのアルヴェスも淀みなく流麗で熱いフレーズを弾いています。う~ん、バックのドラム&パーカッションもご機嫌なノリ。いいっす!

2曲目ミルトン・ナシメント&フェルナンド作《フロム・ジ・ロンリー・アフタヌーン》はミディアム・テンポでの哀愁と熱気が素敵です。3曲目《ディ・トンプラ・トム》は波の音を思わせるトロピカルな入りから、ブラジルの風を感じさせる爽やかで優しいボサ。ショーターのようなせつなさはないもののビニーのソプラノもいい味を出しています。4曲目アイアート・モレイラ作《ジババ》はパーカッション・ソロから入るエスニックなサンバ。アルヴェの軽やかなピアノ・ソロに続くビニーのアルトはガトー的鳴きと的ウネリの程よい融合。

こんな具合で全8曲。ビニーのアルト、アルヴェのピアノが存分に楽しめます。この手のサンバはベースがエレベの場合もあるのですが、ここではアコースティック・ベースの響きがいい感じです。リーダーのサントスは自分が目立つ場面はほとんどなく、演奏を終始快適にバック・アップしています。そういう意味では職人気質。

たまにはサンバ・ジャズもいいですよ。

結局、パソコン不調でもブログをUPする執念(笑)!

アルバム名:『IN SESSION』
メンバー:
DAVID BINNEY(as, ss)
HELIO AVLES(p)
DAVID AMBROSIO(b)
DENDE(per)
ADRIANO SANTOS(ds)

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パソコン不調!

パソコンが頻繁にフリーズするので、ブログがうまく更新できません。

ブログを当分更新できない可能性がありますのでご容赦願います。

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「PCMジャズ喫茶」のゲストはマイク・モラスキーさん(その2)

まずはお詫びから。
本日の「高野雲の快楽ジャズ通信」のレポートはお休みします。
木曜日の再放送を聴いてレポートしますのでお楽しみに。
レポートばかりだと文字が多くて疲れますよね(笑)。

ということで、昨日の「PCMジャズ喫茶」レポートの続きです。

「ジャズ喫茶論」を書くのに調査も含めると3年くらいかかったそうです。調査というのは全国のジャズ喫茶取材です。その費用は一部は自費で、一部はモラスキーさんが研究員として所属していた国際日本文化研究センターから出たそうです。寺島さんが「税金で書いたんですね。」と言うと、モラスキーさんは「申し訳ない。でも天下りよりましでしょ。」と笑って答えていました。寺島さんの「ジャズ喫茶店主はどんな人達ですか?」という質問には、「変人の集まり。楽しい人。凝り性。儲かるわけないのにお店をやって、利益はレコードにつぎ込んでしまう。」との答えでした。寺島さんが「井の中の蛙。社会に適合しない人。」と言うと、モラスキーさんは「ミュージシャンも同じ。ジャス喫茶の店主は大きく分類できて、井戸から出ない人と、色々な人と話したり、ジャズ喫茶とは別の世界を持つ人もいる。」と言っていました。私も何人かのジャズ喫茶店主を知っていますが、皆さん魅力的な方です。

「ベイシー」の菅原さんとは、取材で初めて合ったのに盛り上がって4時間の大宴会になったそうです。「いーぐる」の後藤さんとは前の本の時に取材協力してもらっていて、”いいケンカ友達”とのことでした。議論しながら知識を分かち合い教えてもらう仲だそうです。後藤さんが書いた「ジャズ喫茶リアルヒストリー」の冒頭部分は「戦後日本のジャズ文化」を叩き台にしていて、競争心がいい刺激になっているとのことでした。一番いやなのは無視されることとも言っていました。

次もモラスキーさんの選曲で、最近聴くようになったというビックス・バイダーベック。ビ・バップ以前はストライド・ピアノくらいしか聴かなかったが、ジャズ社会史を教える中でこれを聴いて良くなったそう。「泣けてきますよ。」と言っていました。それを聞いた寺島さんは「今の言い方はいいね。”ジャズをわかっている”ではない。」と喜んでいました。モラスキーさんによると、ニューオリンズはこれまで一応聴いていたが、今は心を開いて聴くようになったとのことでした。モラスキーさんが「いいものはいい。」と言うと、寺島さんは「知識をひけらかさないと認められる。」とまた喜んでいました。「いいものはいい。自分独りで決めることで、色々なものを聴いた上で自分で決めれば良い。」とモラスキーさんは言っていました。

突然寺島さんが岩浪さんと居酒屋でもめたという話へ。岩浪さんが「君は何もないね。」と寺島さんに言ったらしく、「じゃあ岩浪さんは何があるんですか?」と言う話になったとか。その答えが思い出せずに曲を聴くことに(笑)。《シンギン’・ザ・ブルース》

私はまだこの良さがわかる境地に至っていません(笑)。

岩浪さんによると、ニューオリンズからシカゴへ移る名盤だそうです。岩浪さんも大学の授業で教えているけれど、この良さは学生にはわからないとのことでした。寺島さんは「これがわかるには人生かなり後ろにならないとだめです。」と言っていました。そうですよね。

先ほどの話の続き。寺島さんから「じゃあ岩浪さんには何があるんですか?」と質問されたことへの答えです。岩浪さんは「俺のアイデンティティは”正当性”」と答えたそうです。寺島さんは「私に言わせるとそれは”正当性なるもの”。独りよがりだ。」と反論したとか。で、寺島さんは反論することが自分のアイデンティティだと思ったんだとか。それを聞いていたモラスキーさんは「正当性は時代によって変わるもの。」と言っていました。”正当性”とはまた高尚な(笑)。自分のアイデンティティね~。私は強いてあげるなら”ユーモア”かな(笑)?

ここで、《アローン・トゥギャザー》が日本で好まれるのは、日本人がマイナー曲を好きだからという話へ。「歌謡曲、民謡はマイナー曲で、売れているものはマイナー曲。」と寺島さん。モラスキーさんもマイナー曲が好きとのことでした。「アメリカ人はメジャーが好きと言われる。」と寺島さんが言うと、モラスキーさんと岩浪さんは「そのマイナー・スタンダード曲を作ったのはアメリカ人。ただソングライターは一部を除いてほとんどジュ―イッシュ(ユダヤ系)なので、マイナー曲はユダヤ人の好み。」と言う話になります。モラスキーさんもユダヤ系とのことで、だからマイナー曲が好きなんだろうとのことでした。私もマイナー曲は好きですが、微妙にジュ―イッシュ・メロディーがダメなんですよね~。不思議です。

「マイナーを愛でる感性がある日本人は素晴らしい。ジャズ批評界は甘いメロディー、哀愁、センチメンタリズム、感傷主義を一段低く見るところがあるがおかしい。俺は歌謡曲で育っているからそういうのが好きだ。」と寺島さん。これはいつもの寺島流”ジャズはメロディー(テーマ)だ”論(笑)。こんな寺島さんのことを、スイングジャーナル誌のエッセイで山中千尋さんが、砂糖水メロディーをこよなく愛する”ホタル族”と言っています(笑)。それを聞いたモラスキーさんは「《アローン・トゥギャザー》は甘いと思わない。」と不思議がっていました。どうやらマイナー=甘いメロディーとする寺島さんの感性も怪しそうです(笑)。

ここで出ました!恐怖のブラインド・フォールド・テスト。問題発言アリ!

「対照的なピアノ2曲をかけるので、どう思うか感想を聞かせて下さい。」ということで女性ピアニストだけ明かしてピアノ・トリオ2曲を続けてかけました。かける前に寺島さんはタイプや考え方が全く違うと強調していました。モラスキーさんは「「メグ」に飾ってあるCDを知っているので、きっと1人はオジサン達にうける美人女性ピアニストでしょう。」と言っていました(笑)。女性かどうかは聴けばだいたいわかるとも言っていました。

最初にかけたのがビージー・アデール
『マイ・ピアノ・ロマンス』から《ラブミー・テンダー》

次にかけたのが平林牧子『ハイド・アンド・シーク』からタイトル曲

私の感想は書きませんが、モラスキーさんのご意見にほぼ賛成です。

まずはモラスキーさん。ここではまだ誰かは知らされていません。
「最初のは前に知らされていなくても女性だとわかったと思う。タッチがソフトでコードを砕いて装飾音が多い。甘ったるいオヤジを喜ばせるような人じゃないか(笑)?甘過ぎて芯がない。2曲目は対照的に野心的で難しいやり方。こういうのは最近の主流で例えばジェイソン・モランとかは好き。これはバリバリ複雑なリズムが強烈だけれど、ピアノのタッチは大人しい。ただこのタッチについてはライブで聴かないとわからない。」とのことでした。

余談として、「メグ」でCDを聴いたタッチが強力なピアニストについて荒井さん(「メグ:の番頭さん)に尋ねたら、この人は「メグ」でライブもやるけれど実際はタッチは弱いと言っていたという話がありました。

モラスキーさんはもう一度繰り返して、「一つ目は甘ったるくクラシック的でジャズになっていない。かわいすぎる。コードを崩して装飾音が多く、リズム感がない。二つ目は目指している新しいことをやろうという構想はわかるが、自意識過剰で頭でやろうとしている。まだ自分のものになっていない。」とのことでした。いやっ~かなり辛口の感想でした。でも言われてみればそのとおりだとも思いました。

岩浪さんは「最初のは、曲がジャズにするのは難しい曲で、崩すとメロディーの良さがなくなり、そのまま弾くとジャズにはならない。サロンで弾くピアニスト。二つ目は今時のピアノ/ベース/ドラム。ピアノはもっと”ガーン”とパワーでやらないと様にならない。」とのことでした。ほとんどモラスキーさん寄りの感想。この番組で平林牧子は何度かかけたんですが、岩浪さんは今までそんなこと言ってましたっけ(笑)?

寺島さんは「あれでピアノに”ガンガン”やられたら堪らない。耳をふさぎたくなる。あのくらいの優しさがいい。」と言うと、モラスキーさんは「いや、耳をふさぎたくなるくらいやらないとダメ。フリー(ジャズ)でもそうだが”ガンガン”やらないと様にならない。」と切り返していました(笑)。

ここで種明かし。
最初は73歳のアメリカ人(モラスキーさんは知っているそうで、昔はオヤジに受けた美人かも?と笑っていました)。銀座山野で長蛇の列で売れている。←ほんとですか?ほんとだったんですね。私は知りませんでした。スイングジャーナル誌5月号で3.5星
2曲目は今デンマークに住んでいて、今度日本に来る方。ジャズ批評誌のジャズオーディオ・ディスク大賞金賞。スイングジャーナル誌5月号で5星
と寺島さんから説明がありました。
モラスキーさんは賞を取ったとか私には一切関係ないと言っていましたよ。

寺島さんが「今日本のジャズに一番足りないのは、誰が聴いてもわかるジャズ。アデールのようなジャズが必要。」と言うと、「それならジュニア・マンスやレッド・ガーランドを聴いてほしい。アデールでは日本人のジャズは広げられない。」とモラスキーさん。「アデールを買っている人がいるわけで、こういうジャズがないとダメ。」と寺島さん。「メジャーはアデールのようなものを出せばいい。この辺からジャズに入らないとダメ。平林さんはマイナーから出して100枚売れればいい。アデールがBGMというのはわかっている。最初から平林さんは聴かない。」と寺島さんは畳み掛けていました(笑)。いや~っ、これについてはもう色々言いたくありません。寺島さんの考え方に私は賛成できません(笑)。

モラスキーさんがまた、「それならアーマッド・ジャマルやレッド・ガーランドを聴いてほしい。」と言うと、寺島さんは「古いのはもういい。ジャマルはシカゴ(これについてはピッツバーグ出身と、モラスキーさんから訂正されていました。笑)の人にしかわからない。アデールは全日本人にわかる。」と更に食い下がっていました。岩浪さんは「アデールはジャズになっていない。」と言っていました。全日本人にわかることがどうだというのでしょう?ジャズってマイナーな音楽だと、いつも言ってますよね。なぜそこに全日本人向けアデールを推すのでしょう?まっ、単に寺島さん好みなんだろうと、私は思います。寺島さん推薦テナー・サックスのボディル・ニスカと同じ理屈(笑)?

「それならレッド・ガーランドやジーン・ハリスを聴いて下さいよ。」ということで、モラスキーさんの選曲。とにかくスイングしているから気持ちいいということで、ジーン・ハリス・カルテット《ブルース・フォー・ベイシー》。90年代の演奏です。

オーソドックスなジャズです。安心して聴いていられました。

モラスキーさんが「こういうのがジャズ。ジャズになっている。」と言うと、寺島さんが「アデールはジャズ風のジャズでいいじゃないですか。なんでわかってくれないの。」と言います。岩浪さんは「寺島さんが『これが売れないと日本のジャズがダメになる。』なんて言うから賛同できない。アデールはジャズじゃなくていいんじゃないの。」と言うと、寺島さんは「僕は極論を言っているかもしれない。岩浪さんやモラスキーさんは正しいことを言っているかもしれないが、9割間違いで1割正しい・・・。」と反論。わかるようなわからないような・・・(笑)。

岩浪さんから「何を言いたいのかわからない。」と言われると、寺島さんは「スイングジャーナルでこれ(アデール)を低く評価したことに憤りっている。評文は演奏内容のことを書いているが、なぜ今これが出てきた(日本独自にコンパイルした本邦デビュー作)のかを評価してほしい。(ちなみにSJ誌の評者は杉田宏樹さん)」と返していました。岩浪さんからは「論旨のすり替えだね。(アデールは)ただ面白くない。BGMのピアノ音楽としてなら、、カーメン・キャバレロの方が楽しい。」と突っ込まれていました。今日は最近珍しく岩浪さんの良いツッコミがありました。いいぞっ、岩浪さん(笑)!寺島さんは、「アーマッド・ジャマルやジーン・ハリスはアメリカ人の入門。アデールは日本人の入門。岩浪さんは”風”をわかっていない。どうしてお二人にはわかってもらえないのかな~。もういいです。」と、これにて終了。なんだかな~。聞いていて呆れてしまいましたよ。でも寺島さんらしい論旨なので、すいませんが笑いながら聞かせていただきました。m(_ _)m。

次は岩浪さんの選曲。デナ・デローズ(ザ・ディッセンバー・セカンド・カルテット)『スターズ』から《ホエン・ユー・ウィッシュ・アポン・ア・スター》

私はデナ・デローズの歌が好きです。ピアノも上手かったです。私のブログの栄えある最初の記事が、デナ・デローズのライブ・レポートだということを皆さんはご存じですか?CDを買ってサインしてもらい、2ショット写真を撮ってもらったのに、誰が写真を撮ったかわからないので写真はありません(笑)。

ベニー・グリーンのピアノを伴奏にして歌っています。岩浪さんが「グリーンのピアノがいいよね。」と言うと、モラスキーさんもグリーンのピアンを褒めていました。寺島さんが「この人がデビューした時、日本では人気がなかった。白いピアノを弾く人という評価だった。」と言うと、モラスキーさんが「この人はアート・ブレイキーのメッセンジャーズやベニー・カーターに引き抜かれた人(黒さはある)。なぜ日本人は”白黒”言うのか?目をつぶって聴いてわかるのか?」と反論していました。それを受け寺島さんは「当時この人の顔が幼いので、『ジャズができるか?』という話があった。」と言っていました。そういう顔がどうだからジャズ/ジャズじゃないって、寺島さんの本に散見されますよ。う~ん、議論のレベルが・・・(苦笑)。

最後はもう一度モラスキーさんの新譜から《ナーディス》

寺島さんが「前にピーター・マーチン(ジャズ・ピアニスト)が店に来た時、彼のCDを聴かせたら、『ペインフル(痛い)』と言ったんですが、モラスキーさんはどうですか?」と尋ねると、モラスキーさんは「1枚目よりペインフルじゃない。出したCDや本は世に出した以上は聴き返したり読み返したりしない。聴きたい人が聴けばいいと思っている。」と答えていました。私も書いたブログに対しては同じようなスタンスです。

低音域”グルグル”から入って、しばらくしてテーマが現ます。
なかなか個性的な解釈の演奏でした。

寺島さん、岩浪さん共になかなか個性的な演奏という感想でした。モラスキーさんは、「自分のスタイルを築くのが大切。どんなに上手く出来るより、誰にも似ていないことのほうが大事。」と言っていました。拙ブログに対して言うのもお恥ずかしいのですが、私も個性的でありたいと思っています。

というわけで、やっと終了。
ここまでお読みいただいた皆さん。どうもありがとうございました。

寺島さんが「今日はモラスキーさんの”ジャズ度”を測りたい。」と言っていましたが、私はモラスキーさんは”ジャズがわかった方”だと納得しました。後は早く「ジャズ喫茶論」を読み終えないといけませんね(笑)。

今日はミュージックバードのクラシック・チャンネルをBGMにして
ブログを書いています。
たまにはクラシックもいいもんです。

<訂正とお詫び>
読者の方からご指摘いただきました。
だいぶ以前から「岩浪さん」を「岩波さん」と誤記していました。
たいへん申し訳ありませんでした。
過去にさかのぼって訂正します。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

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「PCMジャズ喫茶」のゲストはマイク・モラスキーさん(その1)

昨日のコートジボワール戦、いいところがなかったな~。
強化試合3連敗。ワールドカップで1勝できるんでしょうか?
不安がよぎります。試合をリードできる人がいないんだよな~。

今回の「PCMジャズ喫茶」のゲストはマイク・モラスキーさんでした。
マイク・モラスキーさんと言えば「戦後日本のジャズ喫茶」「ジャズ喫茶論」
著者としてジャズ・ファンには知られた方です。
ミネソタ大学アジア言語文学学科教授で、ピアノも弾きます。
そう言えば私、未だに「ジャズ喫茶論」を読み切っていません(笑)。
今回はかなり面白くて興味深い話が聞けました。

最初はいきなり日本人のジャズの聴き方について寺島さんが質問。アメリカ人から見た良い/悪いを教えてほしいという話でした。モラスキーさんによれば、私が何か判断を下す立場ではないとことわった上で、世代によりかなり違うとのことでした。寺島さん達のようにレコードを宝物のように大事に聴いた世代がいる一方、レコードなんかに希少性を感じず音楽配信などで聴く若者は何でも聴いちゃうから、そういう自由な聴き方は新鮮だと言っていました。ただあんまり拘りがないので、少しは拘ってほしいと思う部分もあるそう。岩浪さんが「広く浅く聴く。」と言うと、モラスキーさんもそういう傾向はあると言っていました。この回答は、たぶん寺島さんの質問に反して普通の回答でした。で、寺島さんがいつもの如く突っ込んでくるわけです(笑)。

「我々はジャズを勉強した時代。」だと。ジャズの歴史がどうこうとかジャズの勉強から入ったというわけです。でも最近はそういう聴き方が崩れてきて、雰囲気や曲の良さやスイング感やリズムなどで聴くようになり、スタイル聴きではなく音楽そのものを聴くようになtったとのことでした。まっ、いつもの話です(笑)。寺島さんが「アメリカ人の我々世代のジャズ・ファンはどうでしたか?」と質問。アメリカ人のモラスキーさんの親の世代はスイングを聴いていたそうで、当時のアメリカは8割がたスイングを聴いていたとのこと。10代にとってはダンス・ミュージックで、彼らの親は黒人音楽に堕落させられると心配したんだそうです。今のヒップホップみたいなものとのことでした。一方当時のビ・バップはアングラで聴いていたのは5%以下だそう。ただし音楽的には大きな影響があった。モラスキーさんによると今ジャズと分類されている音楽がアメリカで聴かれているのは2%未満とのことでした。岩浪さんは「それが証拠にダウンビート誌の厚さが昔から変わらない。」と言いつつ、「日本のスイングジャーナル誌は増えているけどね。」なんて皆さんで笑っていました。そのスイングジャーナル誌もとうとう廃刊ですが・・・。

更に寺島さんが「我々はビ・バップを神棚に上げて毎日かしわ手打つような狂信的なジャズ聴きだった。」と。またまたいつもの話(笑)。そんなジャズ喫茶のオヤジに対してモラスキーさんは、「ジャズ喫茶にはいいところがあった。アメリカではラジオでも流さない図書館にもないドド・マーマローサの『ドドズ・バック』のようなものを日本のジャズ喫茶で聴くことができたというのは一定の役割があった。」と言っていました。ソニー・クラークの『クール・ストラッティン』もそんな一枚で、アメリカで知っている人は10%未満だそう。これについてはジャケット・カバーの効果があり、音だけでそこまでの人気ではなかっただろうと言っていました。岩浪さんによればダウンビート誌では2星半だったとのこと。「ジャズ喫茶は展示の側面もある。」とモラスキーさん。アメリカでのブルーノート評価。岩浪さんは「黒人にはレコードが高過ぎ、白人は聴かなかった。」と、モラスキーさんは「当時黒人はR&Bを聴いて、白人はエルビスのような初期ロックを聴いていた。ジャズはマイルスでさえ、名前を知っていたのは3割。」と言っていました。ジャズ喫茶の役割についてはモラスキーさんの本を読むと詳しく書かれています。寺島さんの意味ありげな質問に、モラスキーさんは至って真面目に回答していますね(笑)。

寺島さんはモラスキーさんの「日本ジャズ喫茶論」に対し「店主としてありがとう。」と言っていました。その理由は?寺島さんによると「ジャス喫茶は「店」であり一番下に見られている。昔で言えば「士農工商」ヒエラルキーの一番下であり、お客さんは店に対して言葉遣いが違うと、ぞんざいに扱われていると。水商売とか言われると頭にくる。そういう存在のジャズ喫茶を最初に上げてくれたのが村上春樹で、今回のモラスキーさんの「ジャズ喫茶論」は「論」が付いてうれしい。」とのことでした。いや~っ、かなりの熱弁でしたよ。日頃のウップンをはらしていました(笑)。お店の経営も大変です。

「ジャズ喫茶のオヤジが本を書いて何だ。」みたいな言われ方をするが、「ジャズ喫茶のオヤジが書いたからといって(けなされる覚えはない)、大学教授が書くものに対して自負心がある。朝から晩までジャズを聴いていたんだ。」と。これまたかなりの熱弁でした(笑)。モラスキーさんも「大学教授が、アメリカ人が書いているから素晴らしいと言われるのは逆差別だ。スペシャル・ゲストとみなされるのは不愉快。」と言っていました。この話を巡ってはn日本人は外人コンプレックスがあるという話も出て、日本人がアメリカ人のジャズはいいみたいな聴き方しかできないということも言っていました。寺島さんはモラスキーさんの本が書評などでもてはやされていたのが気になっていたそうです。物書きも色々悩ましいですね~。

「今日はモラスキーさんの「ジャズ度」を測りたい。」と寺島さん。「誰が測るんですか?」とモラスキーさん。「番組を聴いている方が測るんですよ。ジャズがわかっているか?みたいな。」と寺島さん。寺島さんの口癖は「~みたいな。」です。相手の反応を伺う控えめを意識した言葉なんでしょうね。「”ジャズがわかっているか?”という言い方は嫌い。”ジャズが好きか?”ならばわかる。博識を披露してもしょうがない。わかっているとは何なのか?」とモラスキーさん。「ジーン・ハリスが好きで、スロー・ブルースが好き。ブラッド・メルドーは上手くても頭で価値判断して肩に力が入っている。一方ジョー・ジョーンズの演奏を見たら、難しいことをやり物凄くスイングしているのに肩に力が入っていない。こういうのがいい。」とのことでした。「”ジャズがわかる”は嫌い。使わない。”わかる”とか言うとヒエラルキー(階層性)ができちゃう。誰が判断するんですか?自分が何が好きで、そのどこがどう好きなのか言えればいい。」とモラスキーさんが熱弁。モラスキーさんの言うことには一理あると思います。

寺島さんは「”ジャズがわかる”は、知識が旺盛で豊富な知識を持っているという意味がある。」と言います。モラスキーさんは「日本はジャズ・レコードの知識に限られる傾向があるが、ライブを観ないとわからないことがある。レコードで聴くピアノのタッチとかはエンジニアが作っている場合があるからで、多面的に捉える必要がある。レコードを聴くのは雑学知識は高まるが。」と指摘。ここで寺島さんが「『クール・ストラッティン』のレコード番号知っていますか?」と発言します。モラスキーさんは「知りません。知ってどうするんですか?」と。寺島さんは「1588番ですよ。昔はそういうのがあったんですよ。『ドドズ・バック』のA面2曲目は何か?何で知らないんだバカヤローというのがあった。昔はジャズ喫茶のオヤジが集まってそういうのがあった。ジャズがわかるというのは知識を持っているということがある。」と返します。モラスキーさんは「でも寺島さんは”転向”したでしょ。」と。この「転向」という言葉に戦時体験者として少し議論がありました。私にはその重みはわかりませんが。寺島さんによれば「ジャズを知っていることは今もいやではない。自分の出自としてそれは持っている。ジャズが好きだというある面の表現。そんな雑学的なことを知ってなんだ?というのはある。」とのことでした。

いや~っ、ジャズ喫茶オヤジ達の争い。凄いですね~。商売敵でもあるわけで、”ジャズがわかる/わからない”で博識を競ったんでしょうね。でも、音楽としてジャズがわかる/わからないとは無関係だと思います。まっ、そのくらい聴けば音楽もわかるだろうという測り方はあるのかもしれませんが。で、確かに好き度をあらわしています。寺島さんの”ジャズがわかる”という言葉の意味は実はこの雑学を知っているという部分が大きいことが、今日私にはわかりました。私が思う”ジャズがわかる”は、言い方はちょっと違いますが、むしろモラスキーさんの”自分が何が好きでどう好きか言えること”言いかえれば”自分がジャズ的な何に惹かれるのか、それを言葉で表現できるか”ということです。私の意見としては”ジャズがわかる”はアリ。言葉の意味をちゃんと理解して使えば良いと思います。だって、ジャズ聴きが集まれば”ジャズがわかる”は嫌でも体感しますよ。「この人わかっているな~。」とか「自分はやっぱりわかっていない。」とか。ヒエラルキーができるのもしょうもないと思います。だからと言ってヒエラルキーを悪用してはいけません。上に立つもの程高いモラルが要求されるのです。

モラスキーさんがどうしてピアノを弾くかなんて話へ。戦後日本もアメリカも中産階級以上の家庭にはピアノがあり、男の場合はその後インテリになり、教授や医者になりやすいので、自分もピアノが弾けるとのことでした。ピアノやヴァイオリンは15歳くらいから始めてもプロにはなれないなんて話もありました。なるほど、育った環境によるところがあると。

ここでやっと曲をかけることに。モラスキーさんの新譜です。佐藤允彦さんのバージ・レコードから出ます。本のインタビューで佐藤さんと親しくなり、モラスキーさん宅にグランドピアノの中古のいいものが入って、聴きに来ませんかと飲み会/パーティーに佐藤さんを招待して、そこでモラスキーさんがピアノを弾いたら独創的で面白いということになり、佐藤さんのレーベルからアルバムを出すことになったそうです。モラスキーさん宅で小さなデジタル・デコーダーで録音して、ソニーのスタジオでマスタリングしたとか。

「なんでピアノ・トリオでなくピアノ・ソロなの?」という話へ。ピアノ・トリオのCDは以前アケタズ・ディスクから出しているそうです。今回はモラスキーさんが左利きということで、それを生かしたピアノ演奏をしたかったとか。ビ・バップになりビル・エバンス以降ベースの邪魔にならないように左手が抑制されたが、モラスキーさんがよく聴くというストライドやオスカー・ピーターソンは左手をよく使う。マッコイ・タイナーも左利きだそうです。88鍵全部弾きたいということでソロ・ピアノにしたんだとか。

曲は寺島さん選曲で、好きな《アローン・トゥギャザー》。ちなみにアルバム・タイトルは『ドクター・ユーターン』。モラスキーさんはかなり方向音痴だそうで、車でしょっちゅうUターンするので、子供からミスター・Uターンと言われたのがその由来だとか。
なかなか味のあるピアノでした。確かに左手が強い弾き方でした。
今日は曲をかけるまで番組開始から30分間トークが続いていました(笑)。

曲が終わると、「素晴らしい。媚びがない。」と寺島さん。「ポップ・チューンが途中からブルース風になるのがいい。」と岩浪さん。「ピアノ・ソロは日本人が苦手。一人だと重みがない。」と寺島さん。私も昔はソロは苦手でしたが、日本人はと断言するのもどうかと?「今の弾き方で聴くからで、昔の人はアート・テイタムとか両手フルに使って弾いていた。バド・パウエルのエピゴーネンが右手ばかりまねたから左手が弱くなった。」と岩浪さん。「ソニー・クラークも左手の指2本で弾いていて、あとはベースにゆだねている。」とモラスキーさん。「ピーターソンはベースに構わず左手も弾く。バド・パウエルはソロでは左手も使うが、トリオではベースにゆだねる。それがトリオやカルテットで定着した。だからピアノ・トリオは嫌い。」と岩浪さん。

この左手の演奏に関して。
上原ひろみ(また登場、失礼!)も結構左手でガンガン弾いていて、《XYZ》なんかは左手でエレベとユニゾンだったりします。そういう弾き方がスタンリー・クラーク・トリオの時も出て、「快楽ジャズ通信」でかけた《ソーラー》のベース・ソロのバッキングではそれが面白いアクセントになっていました。ジャズ喫茶「いーぐる」で『プレイス・トゥ・ビー』から《ケープコッド・チップス》をかけた時も林さんからストライドをよく研究しているなんて話がありました。こう考えると、上原ひろみってバップ以前や、好きなオスカー・ピーターソンの影響をかなり受けているということになりますね。う~ん面白い!

今はピアノ・トリオでないと売れないという話から、モラスキーさんは「今回のCDでも書く本でもそうだが、多くの人に読んでもらいたいが、売れるためにどうこうしない。」と言っていました。一方寺島さんは一冊でも多く一枚でも多く売れるようにするそうで、そのために難しいことは言わないし(「言えないが」と謙遜してもいました)、難しいことをやさしく言う努力をしているとのこと。モラスキーさんは「一応大学で「ジャズ史学」を教えているし、相当軽く書いているが、記録だけではないし、研究者としてまじめなことも書いている。」とのことでした。寺島さんによるとモラスキーさんの「その言葉、異議あり!-笑える日米文化批評集 という本が面白いとのことでした。

まだまだ面白い話満載だったのですが今日はここまで。
文字ばかりで申し訳ありません。
続きはまた明日にでも。

本番組レポートは、音楽専門・衛星デジタルラジオミュージックバード
THE JAZZチャンネルで放送している「寺島靖国のPCMジャズ喫茶」
もとにして書いています。
他にも楽しい番組が盛りだくさん。
放送を聴いてみたい方は ミュージックバード からお申し込みできます。

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「快楽ジャズ通信」の番組レポートへのコメント。

昨日の西藤ヒロノブさんゲストの「高野雲の快楽ジャズ通信」のレポートに対して、
番組パーソナリティーの雲さんと恒久ゲストのtommyさんからコメントがあったので、
こちらに掲載します。

雲さんからのコメント。

こんばんは。今回もレポートありがとうございました。

>西藤ヒロノブさんのギターにカールトンを感じた私。

言われてみれば、たしかにそうですね。

西藤さんは、マルティーノのマイナーコンバージョンを血肉として消化しつつも、新しい表現手法を模索している姿を感じました。

ちなみに、マイナーコンバージョン・メソッドといえば、最近アンソニーのプロフィールを調べていたら、なんとアンソニーもこのメソッドをマスターしているのだそうです。

番組では、2人のストイックで音への眼差しの厳しさが共通していると感じたことから「似ている」と言いましたが、その時は、まさかアンソニーもマルティーノ研究をしていたとは知りませんでした。

さすが、「自分は自分の楽器をベースだと思ったことは一度もない。私の楽器は低音パートを担うギターだ」と公言している“低音ギタリスト”アンソニー・ジャクソンのことはあります。

スティーヴ・スワロウもギタリストの運指を徹底研究しているように、エレクトリックベーシストは、ギターの奏法を研究している人が多いのかもしれません。
私はエレクトリックベースのことを“電気コントラバス”と認識しているので、運指はウッドベースの教本から学習をしているので、発想がギタリスト的にはどうしてもなれません。

だからこそ、逆にアンソニーやスワロウのようなベーシストが気になるのかもしれません。

いえいえ、どういたしまして。
何となくカールトンを感じますよね。
昨日のレポートで私が割愛してしまった西藤さんの講義は、
雲さんがおっしゃる”マイナーコンバージョン”についてでした。
アンソニーと”マイナーコンバージョン”繋がりがあるとは。
世の中ってそういう偶然がありますよね。とても面白いです。
同じベースを弾くのにも発想の違いがあり、
そこにそれぞれの魅力があるというのはわかります。

tommyさんからのコメント。

こんばんは。いつも、ありがとうございます。

西藤ヒロノブさんのナイロンガットは、ウクレレではありません。
"6ストリングス"といって、ヤマハの商標でいうところの"ギタレレ"。
通常のギターの5フレットのチューニングのミニギターです。
オイラは、ヤマハの"ギタレレ"を持っているのですが、音が全然違い
ます。
確かボディ材は「ハワイアンコア」を使用しているとのことで、
響きがナチュラルで、軽やかに通るクリーンな音がします。
ミニギターだとどうしても、痩せた音になるのですが、
素晴らしい響きの"6ストリングス"で、欲しくなりました。

それから、"Mr.335"ラリー・カールトンを感じたのはよく分かります。
西藤さんが、レギュラーで使っている特注の青いギターが、サイズ的にも335に似ているんですよ。ギターシンセも付いていましたが、最近は使わないそうです。
音色も似ているのではないでしょうか?

西藤さんのアルバムは、フュージョンだと思いますが、ジャズギターのテクニックを徹底的に学んだ後で、スッキリさせて自分の表現をしていると感じました。
ステージでは、テクニックを研究しようと、ギター小僧たちが最前列に集まることも多いそうです。
もう少しすると、ラルフ・タウナーの「オレゴン」の時のような、スチール弦での表現も出てくるのでは?と、今後が楽しみです。

サーフィンが好きなようなので、自然回帰し過ぎてウクレレ弾きになってしまうかも?それだけが心配です(笑)。ヒロ・西藤!

いえいえ、どういたしまして。
西藤さんが弾いていたのは、”ギタレレ”(ヤマハの商標)だそうです。
確かにいい音でした。
ギターも弾くtommyさんがほしくなるのはわかります。
カールトンを感じるのは、西藤さんが使っているギターのせいでもあるんですね。
レギュラーで使っている”特注の青いギター”(ギターシンセ付)。
上記2つのギターはtommyさんのブログに写真がありあます。
こちら⇒http://ameblo.jp/tommy-jazz/entry-10547996007.html#cbox
西藤さんが大事そうにかかえています。
西藤さんのギターはジャズギターです。曲調がフュージョンなだけ。
私、ラルフ・タウナーも好きなので、西藤さんのスチール弦も聴いてみたいです。
tommyさんの「ウクレレ弾きになってしまうかも?」という心配。
西藤さんのトークから人柄を想像すると、なんか現実味ありそうですよね(笑)。

西藤さんの動画がありました。
こちらは現代NYギターでした。私としてはこっちが好き。カッコイイ!

ついでにパット・マルティーノの超絶技巧も。
マルティーノとジョンスコが、私の好きな《サニー》をやってます。
これまた最高!

YouTubeってなんでもありますよね。

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西藤ヒロノブさんのギターにカールトンを感じた私。

お待たせ致しました!

今回の「高野雲の快楽ジャズ通信」のテーマは「パット・マルティーノ」
ゲストはジャズ・ギタリストの 西藤ヒロノブ さん。

番組詳細は jazz blog 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
こちらには番組中でかけたCDの購入リンクもあります。
レギュラーゲストのtommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'e もご覧下さい。
快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 も是非お聴き下さい。

西藤さんは番組前からギター/ウクレレをかかえていてそのまま収録。
まずは西藤さんのニューアルバムから。
西藤さんは「フレッシュ・サウンド・ニュー・タレント」から3枚のアルバムを
出しています。2作目が『ザ・シー』。
今回も海のイメージなので、番組収録時は『シー・2』という仮題だったようです。

西藤さんは海が好きなんだそうです。
今回のアルバムは、サーフィンを始めて海に入るようになってわかった気持ちも
込められているそうです。
それでハワイへ行ったりするので、南の島のイメージで
「アイランド・ジャズ」なんだそう。
tommyさんのジャズ・カフェ「スコット・ラファロ」にも似合いそうとのことでした。
『リフレクションズ』から《リフレクション・イン・ザ・ウェイヴ》

フュージョンですね~。
もっと尖がったNYのギターを弾く方なのかと思っていました。
波の音などサウンド・エフェクトも入っています。
確かにトロピカルな感じですね。
私は西藤さんのギターにラリー・カールトンの匂いを感じました。
結構フレージングはブルージーですよ。
後半のラテン・パーカッションが気持ちいいです。
シンセのソロはオルガン風でジョーイ・デフランセスコ(笑)?
(以降緑字は曲を聴いての私の感想などです。)

「気持ち良かった。」とtommyさんと雲さん。
「少しづつ盛り上がっていく高揚感がいい。」と雲さん。

西藤さんが好きなギターリストはパット・マルティーノ。
雲さんもマルティーノは好きだそうです。
二人のおすすめで、『デスぺラード』から《オレオ》
西藤さんのCDはマルティーノのサイン入りだそうです。
「バリバリ男らしく生系の音がいい。」と西藤さん。
昔雲さんは先輩にこれを無理やり聴かされて好きになったとか(笑)。
「ストイックな感じが好き。妥協を許さない職人資質。
好きなベーシストのアンソニー・ジャクソンに通ずる。」と雲さん。

このポクポクした粒立ちの揃った音がいいんですよね~。
凄いドライヴ感を感じます。
フレージングはスケール・オタク?を基調にしつつ多彩。
この人に近いフレージングなのが同じパットでもメセニーだと私は思います。
この優しい音でキレがあるのがいいんです。
「コシがあるのにキレがある。」ってどこかのビールのCM(笑)。

tommyさんはこういうちょっとエフェクトがかかった音が嫌い。
なのでジョンスコが嫌い。でもマルティーノの太い音はいいそうですよ。
「大理石のピックを使っているからかもしれない。」と雲さん。

西藤さんはぼろぼろのマルティーノのギター教則本2冊を持ってきていました。
西藤さんはバークリー当時、ビ・バップ・ギターが好きで
軟派なものはダメだったそうです。で、マルティーノを聴いていたそう。

持ってきた教則本についての難しい音楽話に突入。
西藤さんはギターで実演しつつ、雲さんとtommyさんに講義!
残念ながら私にはチンプンカンプン(笑)。内容は割愛させていただきます。
う~ん、西藤さんはかなりのギター小僧です(笑)。

西藤さんがよく聴いたアルバム。
初期のビ・バップの要素が強くホーン・ライクなアプローチが好きだそう。
『エル・ホンブレ』から《ア・ブルース・フォー・ミッキーO》

オルガン・トリオ+コンガ。
かなりブルージーでコテコテなジャズですね~。
西藤さんが言うとおり、ホーン・ライクなアプローチ。
後半オクターブ奏法が出ます。
後期のテクニカルなマルティーノしか知らない私としてはちょっと驚き!
オルガン・ソロも素敵。いや~っ、これはいいですね。

「リラックスしてオルガンが気持ちいい。オルガンがツボ。」と雲さん。
西藤さんによると、教材としてはとっつきやすいく入門するのに良いとのこと。
体に染みるまでやると地となり肉となるそうですよ。
ギター・ソロの響きと入口の低音”ボーン”が大好きだそうです。
『ストーン・ブルー』から《アップタウン・ダウン》
エリック・アレキサンダー(エリアレ)が参加。ドラムはケンウッド・デナード。

このアルバムは私も持っています。
エリアレが入っているんで買ったんだと思います。
これはマルティーノ節全開ですね。
このメカニカルなフレーズが最高にカッコイイ。
私も結構このアルバムは好きなんですよ。
エリアレも快調です。

「スマートでクールですね。」とtommyさんと雲さん。
西藤さんが好きな部分は雲さんもよくわかったそうです。

次は雲さんの選曲でtommyさんが好きそうな曲。
『フットプリンツ』から《ロードソング》

頭からオクターブ奏法全開。
これはウェス・モンゴメリーかと思いましたよ。
「セツネ~」なメロディーです。
これ、絶対tommyさんは好きだと思います(笑)。
ソロはいつものマルティーノ節ですね。
この曲は私も凄く気に入りました。

ウェス・モンゴメリー好きなtommyさんに感想が聞きたくてかけたそう。
「ソロはいいけど、テーマにブルースがなかった。」とtommyさん(笑)。
「テーマはウエスを意識しすぎたかも。」と雲さん。

最後の曲、西藤さんのニュー・アルバムから。
6ストリングス・ウクレレを弾いているそうです。
「音色がいいですね。」と雲さん。
「ハリのある音なんです。」と西藤さん。
『リフレクションズ』から《たそがれ》

こちらはアコースティックな響きからアール・クルーを思い浮かべてしまった私。
ウクレレの音は透き通ってきれいな高音です。
曲は”たそがれ”を感じさせる微哀愁漂うもの。”和”も感じさせます。
これも曲構成が凝っていて、ソロは満を持して後半に登場。
私はこのソロにもやっぱりラリー・カールトンの匂いを感じました。

西藤さんの新譜『リフレクションズ』6月23日発売

西藤さんのギターとマルティーのギター、楽しかったです。

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オーディオ自己満足話(笑)。

今日はオーディオ自己満足話です。
自慢話とも言えます(笑)。
最近レコードの音が何か良く聴こえるんですよ。
特に80年前後頃のフュージョン(笑)。

P177 別に何かを変えたわけではないので、単なる私の心境の変化なんでしょうね。昨日のアール・クルーが良く聴こえたのも実はオーディオのせいなのかもしれません(笑)。

メインのレコードプレーヤーは英国ロクサンのラディウス3。同じ英国でもリンのLP12は高くて買えないので、これなんです。まあ、ロクサンでも上位機種はすごく高いのですが、これは最下位機種なので買えました(笑)。価格の話ばかりで申し訳ありませんが、最下位と言えどオーディオに興味のない人からすればかなり高価です。

更にお気に入りはトーンアーム。これも英国製でSME3009R。SMEのトーンアームと言えば、昔からオーディオファンにとっては憧れの存在でした。いざ手に入れてみると、なんか凄く精密そうなイメージがあったのですが、意外とずさんなところがあります(笑)。アーム部はナイフエッジに乗っかっているだけなので持ち上がってしまうんですね。最初はビックリしましたよ。まあっ、それも含めてSMEなのです。そんなSMEがますます好きになりました。

話はプレーヤーに戻りますが、このプレーヤーも実はかなりチャチ(笑)。2枚のボードがゴム脚で連結されているだけです。ターンテーブルが載る上部ボードに溝が切ってあり、それが振動を抑制するらしいのですが・・・。水平調整だってできません。なので3本脚の1ヶ所に10円玉2枚を挟んでいます(笑)。メインターンテーブルはアルミの単盤で1kg。精密に切削加工してあるところはグッド。サブターンテーブルなんかプラスチック製なんですよ。SMEアームを取り付けるとダストカバーのヒンジが邪魔になるらしく、ダストカバーは上に載せるだけ。演奏中は外しておくしかありません。

まっ、こんなプレーヤーなのですが、音は結構中低域が充実して鳴りはいいんですよ。抜群の低音の安定感とかは期待できませんが、元気に鳴ってくれるところがジャズには向いていると思います。この辺りが英国流のグッドプロダクツらしいです。

このプレーヤーもアームも今は製造していません。そこがまたいい(笑)。
買いたくても今は買えないところが、所有している優越感につながります。
自慢でしょ。ごめんなさい。

カートリッジがこれまたマニアック。シュアーのM97ED。タイプⅢやⅣやⅤでないところが拘りです。実はタイプⅢのボディとそれに挿すタイプⅣ、タイプⅤ相当の針も持っているんですが、それよりこちらの音がお気に入り。こちらの方がパワーがあると思います。針は現代シュアーのメキシコ製ではなくてアメリカ製です。針先の形状も進化型であるHE:ハイパー・エリプティカル(超楕円)ではなくて、その前のED:エリプティカル・ダイアモンド(楕円)。ジャズ喫茶「ベイシー」の菅原さんがタイプⅢの丸針に拘っているように、私はこいつの楕円針に拘っています(笑)。

結局オーディオマニアってこういうくだらない拘りの塊なんですよ(笑)。

ヘッドシェルはオーディオテクニカの最廉価品。シェルリード線は秋葉原「平方電気」特製。もう高いんだか安いんだか一貫性がないものを組み合わせて私だけのレコードプレーヤーに組み上げてあるわけです。で、これぞ私のセンスの結晶なわけで、ほとんど自己満足でしかありません(笑)。

レコード再生にはもう一つ重要なポイントがありますよね。

P178 フォノイコライザーです。最近は単体で優秀&高価なものが売られていますが、私は敢えて昔のプリアンプに内蔵されていたものを使用。プリアンプはラックスマンの管球式:CL-32です。これはオークションで中古品を落札しました。自分で劣化しやすいコンデンサを交換し、ハンダ付けも全てやりなおしました。快調に動作しています。このプリアンプは何てったってデザインが素晴らしい!

で、管球式だと真空管にも拘らずにはいられません。これは入手した時から、フォノイコライザー部の真空管のいくつかがテレフンケン製のダイヤマーク入りだったのです。この真空管は音が良いことで評判なので、新品は1本1万円以上で売買されています。貴重品ですよ。他は信頼性の高いナショナル(松下)製ですがこちらは定番品。音は中域の厚さとまろみが素晴らしい。

プリアンプの上にはDESのDACが載っていて、その上には重石の鉛板(笑)。その上は左からオーディオテクニカのスタイラスクリーナー、今は使っていないFRの昇圧トランス。これも使っていないオーディオテクニカのディスクスタビライザー。右端はナガオカの静電気除去機。こいつは必携。そしてそして、スタイラスクリーナーの前にある白い物体がタバコのフィルター部。フィルター端を針に抜き差しすると針がきれいになります。これは昔の定番スタイラスクリーナーだったのです?

アナログは面倒なのですが、そこが楽しい!
う~ん、書きながら気分がどんどんハイになっていきます。
自己満足、自己陶酔!これはある意味麻薬です(笑)。

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今聴くと結構これはこれでしっかりしています。

今日は久々にフュージョン・アルバム紹介。
これ、昔は軟弱フュージョンとバカにしていたんだけれど、
今聴くとそれなりにしっかり出来ています。

P176 アール・クルー『フィンガー・ペインティング』(1977年、Blue Note/キング)です。アール・クルーは末期のブルーノート・レーベルのミュージシャンです。メンバーは、アール・クルー(ac-g)、デイヴ・グル―シン(rhodes,syn)、スティーヴ・ガット(ds)、リー・リトナー(g)、アンソニー・ジャクソン(b)、ルイス・ジョンソン(b)、ハーヴィー・メイソン(ds)、ラルフ・マクドナルド(per)、他です。

このアルバムに収録されている数曲は耳タコでした。なぜかって?YBSラジオのB.G.M.にアール・クルーが頻繁に使われていたからです。テスト勉強なんかの時に深夜放送を聞くわけですが、番組の合間にクルーの曲がしょっちゅう流れていたんです。多分深夜はスポンサーが付かず、間がもたないのでアルー・クルーの曲で空いた時間を埋めていたんだと思います。当時は誰の曲かなんて全く知りませんでした。とにかく深夜たくさん流れていましたよ。

その後アール・クルーの名を知るわけですが、その時は完全にB.G.M.曲の人としてバカにしていました(笑)。ちなみに、マイルスやウェザー・リポートは当時から私の中ではジャズです。このアルバムはジャズを聴き始めてだいぶ経ってから、フュージョン・コレクションの一環として買った中古レコード。フュージョンを過去に葬り去ってはいかんのです(笑)。最近はジャズもフュージョンと同じ運命になりつつあって悲しいです(涙)。

で、思ったのがB.G.M.になると音楽が軽んじられるんじゃないか?ということ。B.G.M.となった時点で内容はどうあれ鑑賞音楽圏外へとまっしぐら。今やジャズがどこへ行ってもB.G.M.となって流れていることが、ジャズをダメにした要因なのではないかと急に思えてきました。私が若いころフュージョンをB.G.M.としてしか認識していなかった事態が、今や若者のジャズ認識。

上記の考えに至ったのは、このアルバムを久しぶりに聴いたからです。やっぱりフュージョンなのでメロディーやサウンドは聴きやすいのですが、よく聴くとクルーのギターそのものは結構しっかりしているのです。今のジャズ・ギタリストでここまできっちり弾ける人はそんなにいないんじゃないかと思い始めているくらい。バックのグル―シンやアンソニーやガットだってしかり、当然のことですがプレイの質は高いんです。

なんか最近の自分の耳が疑わしくなってきたぞっ(笑)?A面ラスト《パレッタのテーマ》なんかは、ルイス・ジョンソンのチョッパー・ベースが唸るかなりビートが効いたファンキー曲。ギターがちょっと捻ったリフを繰り返すテーマ部も異色。ソロもかなりファンキーでパワフル。クルーってやっぱり黒人なんだと再認識しますよ。カッコイイ!

人間の感覚なんていいかげんなものです。音楽そのものを聴いているようで、実は意外と聴いていません。聴き流していると音楽そのものの質なんてわからないのです。

で、更に思うことは、最近はジャズにカテゴライズされる”私に言わせればフュージョン”も80年前後のフュージョンと比較するとだいぶ質が落ちているということです。

別に何も知らなければどうってことはないのですが、こういうことに気付いてしまうジャズ・マニアとしては、色々複雑な心境にならざるを得ない今日この頃(笑)。

今日は戯言全開! 皆さんは軽く読み流して下さいな(笑)。


告知です。

今週末、いよいよ高野 雲さんの新企画がスタートするそうです!

いよいよ今週スタート、「高野 雲のジャズ聴き会」

面白そうですよ。

私は行けないのが残念です。

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地味で渋い1枚。こういうのを推薦するのは難しい。

ディスクユニオンの宣伝文によるとアヴィシャイ・コーエンの『ザ・トランペット・プレイヤー』に匹敵する出来栄えということで、買わずにいられなかった1枚。最初の仕入れ数が少なかったんでしょうね。すぐに”在庫なし”になってしまい、買うまでに2ヶ月ほどかかってしまいました。再入荷していたのでゴールデン・ウィークに上京した際、ディスクユニオンで購入。

P175 そのアルバムは、リンダ・オー『エントリー』(2008年rec. lindaohmusic)です。メンバーは、リンダ・オー(b)、アンブローズ・アキンムシーレ(tp)、オベッド・カルヴェール(ds)です。珍しいトランペット・トリオ。裏ジャケの写真を見るとオーは東南アジア系の方。ヴェトナム出身?ジャケットのイラストと名前からわかるとおり女性です。

このアルバム、はっきり言ってかなり”地味渋”です。キャッチーなメロディーはなくモノクローム調で素朴。トランペット・ソロはひたすら誠実に地味目のフレージング。リズムは8ビート/変拍子。ベースはメロディーまたはリフを弾いていて4ビート・ランニングはほとんどなし。ドラムもシンバル・レガートはほぼなし。スネアやタムのロール系主体にフィルの連続みたいなドラミング。曲も単にソロを回すようなものではなく、アレンジと渾然一体。極めて現代的だと思います。

こんな具合なので、昔ながらのジャズに親しんだ人にはかなり違和感があるんじゃないかと思います。現代ニューヨークのバップって、こういうものが結構あるのでなかなか良さを説明しにくいんですよね。

オーのベースは女性とは思えないほど強靭。ベースの弦と胴の鳴りを強く意識させるものなので、音響的な快感を伴います。作曲者の表記がないのですが、ラストのレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(レッチリ)の《ソウル・トゥ・スクイーズ》以外は多分オーの曲です。地味な曲ばかり(涙)。リフの繰り返しや地味メロディーを弾くベースはロック的?

ベース・リーダーのアルバムということで、アキンムシーレはちょっと控えめに録音されているみたいです。地味なフレージングではありますが、時折登りつめるように吹き切り、内に秘める情熱と熱量はかなりのものです。トランペットの音色は鉛色。高野雲さんのブログ にケニー・ドーハムのトランペットが鉛色と最近書いてありましたが、アキンムシーレもそれに近く、ジャズを強く感じさせてくれます。いいトランペッターです。

ドラムはなかなかの瞬発力。ここぞという時に”バシン”とやりつつ、フレキシブルなドラミングで演奏の基盤をなしています。その上で、中央右寄りにベース、中央左よりにトランペットが陣取り、自由に音楽を形作っていく感じです。《ヌメロ・ウノ》では冒頭トランペットの1人多重録音アンサンブルがあって異色ですね。ラストのレッチリの曲も素朴で地味なのですが、これが心に染みますね。

アヴィシャイ・コーエンの『ザ・トランペット・プレイヤー』にあったような華やぎや従来のジャズとの共通性はこのアルバムにはあまりありません。でも、これがなぜか心に引っ掛かります。噛めば噛むほど味が出るスルメ盤的なものも感じますね。

なかなか良いアルバムだと思いますが、自主制作盤のようなので入手は難しいかもしれません。興味がある方は是非入手してみて下さい。

アルバム名:『ENTRY』
メンバー:
Linda Oh(b)
Ambrose Akinmusire(tp)
Obed Calvaire(ds)

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