「快楽ジャズ通信」のゲストは私「いっき」です。
今回の「高野雲の快楽ジャズ通信」は、なんと!私「いっき」がゲストです。
一応テーマは”上原ひろみ”です。
前回ゲスト出演した時がパット・メセニーで今回が上原ひろみ。
アコースティック、4ビート派からは顰蹙を買うであろうことは間違いなし(笑)。
いいじゃないですか?ジャズ・ファンも色々な人がいるのです。
番組詳細は jazz blog 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。
こちらには番組中でかけたCDの購入リンクもあります。
レギュラーゲストのtommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'e もご覧下さい。
快楽ジャズ通信、ポッドキャスト編」 も是非お聴き下さい。
まずは私のブログについてのトークを少々。
私がこの番組を毎回欠かさず聴いてブログでレポートしてるという話です。
私は番組を聴きながらブログの文章を起こしているので、
結果として私なりの会話のまとめ方だったり割愛が入ってしまいます。
雲さんとtommyさんはそこが面白いと言って下さっています。
自分の放送がリスナーの一人にどんな風に聴かれているかわかって楽しいとか。
私、時々ミスリードをしたりしているのですが、
それも寛大に許して下さり楽しんで下さる雲さんには感謝しています。
さて、本題の上原ひろみの話へ。
一応私は上原ひろみの大ファンということで(笑)。
まずは上原ひろみのどこが好きかということから。
私は、ロックやポップスなど上原が接してきた音楽を消化してジャズとしての
オリジナリティー(上原流)を持っているところが気に入っています。
ジャズをやるからにはオリジナリティーを持っていることが大事だと思う私。
そのオリジナリティーを気に入って認めるかどうかはもう個人の問題なので、
「これがいいから聴け。」と、強要するつもりはありません。
(以降ピンク字は番組では言っていない私の思うところや補足です。)
tommyさんは上原ひろみは聴いてないので、
今日聴いて自由な感想を言わせてほしいとのことでした(笑)。
雲さんは上原ひろみは割と買っているそうですが、
私ほど聴いていないので、私の選曲で発見があればとのことでした。
最初は私一押しの曲。
雲さんとtommyさんはベースも弾くので、二人がお好きなベーシスト
アンソニー・ジャクソンがエレクトリック・ベースを弾いている曲です。
演奏は普通のフュージョンですが、
ピアニスト上原のメロディーに対するセンスが凝集されている曲です。
『ブレイン』から《イフ》。
(今回は曲を聴いての私の感想はなし。だって番組中トークしていますから。)
tommyさんは「微妙。いいところとエッというところがある。」とのこと。
テーマとか最初の方の節回しはいいが途中からわがままになるとのことでした。
それは私も全く同感。ピアノ・ソロに注目。
前半はゆっくりタメも効かせつつ大人の女性風?に演奏。
上原は”速弾き”という印象が強いけれどそれだけではないという例です。
でも、結局は後半堰を切ったように速弾きに突入し、
いつもの多分本音の上原節になってしまうのが面白いのです。
tommyさんは曲を聴いている時に”スケール・オタク”と言っていましたよ。
要所に結構しつこいリフレインがあるところも特徴です。
次は雲さんオススメの曲。
上原のキッチュな面を理解してほしいということで、おもちゃみたいな曲。
同アルバム『ブレイン』から《カンフー・ワールド・チャンピオン》。
キーボードも駆使して痛快に躍動する演奏です。
まさにおもちゃみたいな曲になっています。
途中の超ハイスピードもご機嫌。
tommyさんは懐かしいサウンドとのことでした。
Y.M.O.細野さんのやっていた音楽。
そこの事務所に出入りしていたとのこと。そしてテクノが嫌いになったそう(笑)。
私は上原のこういう子供っぽい部分を協調/拡大した演奏として好きです。
雲さんはこれがアルバム1曲目というのが凄いと。
オーソドックスなジャズ・ファンが聴けばこのアルバムを買わないだろうという
曲をもってきたところに潔さを感じるとのことでした。
雲さんは上原ひろみは奔放な人というイメージだとか。
私からライブでは恍惚の表情で弾いていますしねなんてことも。
tommyさんはピアノもキーボードも上手いのが今時と言っていました。
このアルバム『ブレイン』は上原2枚目のアルバムで、
自身とテラークのマイケル・ビショップによるプロデュース。
(1枚目『アナザー・マインド』がバークリー在学中でプロデューサーは別。)
エレクトリック・ベースのピアノ・トリオに特化して、
その後のコアになる演奏をしているアルバムです。
実はこのアルバムの1曲目が雲さん選曲の《カンフー・ワールド・チャンピオン》で
2曲目が《イフ》なのです。
そういった意味でこの2曲はなかなか象徴的な曲なんですよ。
次の私オススメ。
今度はアコースティックの4ビートジャズを上原がやるとどうなるか?
スタンリー・クラークの『ジャズ・イン・ザ・ガーデン』から《ソーラー》。
ライナーノーツによるとスタンリーがこのアルバムの中で一番ブッ飛んだと
感想を言っている演奏です。
これもソロは上原節全開です。
面白いのはスタンリーのベース・ソロのバッキングをする上原。
最初は普通にコンピングしているのに、途中からベース・ラインを左手で弾き始め、
触発されたスタンリーがスキャット混じりで気持ち良さそうなソロをするところです。
上原らしい煽りとそれを受けるスタンリーの心意気(笑)。
「彼女のピアノには毒な成分がある。」とtommyさん。
彼女独特の不協和音のようなモンクのような音の響きがあると。
私もその響きの感覚は何となくわかるような気がします。
今後tommyさんの研究課題としていただくことに(笑)。
雲さんは《ソーラー》は右から左へ抜けていったと(笑)。
7、8割の力で弾いている感じがして、毒がなくて聴きやすかったそう。
『ビヨンド・スタンダード』の《キャラバン》なんかに比べればという話。
確かにそう言われてみればそれも納得。
玉虫色な私の感想展開中です(笑)。
次はその雲さんが好きなアルバム『ビヨンド・スタンダード』の話へ。
こちらはギタリストのデヴィッド・フュージンスキーを加えた
ヒロミズ・ソニックブルームというカルテットでの演奏。
私も雲さんも好きな《キャラバン》。エキサイティングな演奏です。
癖のあるフュージンスキーのギターをどう聴くかによって評価がわかれますね。
私はこのギターも含めて上原ひろみ流演奏になっているところが好きです。
途中のラテン・リズムでのピアノ・ソロが私は特にお気に入り。
このソロも結局は途中からいつもの速弾き上原節に突入します(笑)。
tommyさんはギターの”ビヨンビヨン”が嫌いだそう。生理的にダメ(笑)。
雲さんと私は好き。気持ちいい。
「ギターのバックでの精緻なピアノも聴きどころです。」と雲さん。
ラストは雲さん選曲。
Manami Moritaの『カラーズ』から《マイ・フェイバリット・シングス》。
”ポスト上原ひろみ”という売り方をされている方です。
雲さん個人的には似ていないと思っているそうで、
「音の奔放さは上原と似ているが、音の美学は違う。」と言っていました。
エレベ・トリオという意味では触感は似ているということで選曲。
私はこの人の方が少し粗っぽいかなっと感じます。
これもベース・ソロが先行してピアノ・ソロへ。最初にかけた《イフ》と同じ展開。
ここでの低音を徘徊する弾き方はむしろ山中千尋や大西順子風かも?
速弾きもあるけれど上原のようなスラスラ感ではないです。
<トミーとクモのB級オーディオ・グルメ>
tommyさんが久しぶりにプレーヤーを復活導入した顛末にまつわる話です。
私が不遜にもtommyさんにアドバイスしてしまったのです。
いや~っ、トークが凄く楽しそう!オヤジのオーディオ・マニア話全開です。
ゴメンナサイ、割愛させていただきます(笑)。
Manami Moritaの曲の話に戻ります。
私が「雲さん選曲はピアノの低音を弾くのが好きですよね。」と言うと、
そう言われればそうだが、上原の《キャラバン》がトリッキーだったので、
こちらもトリッキーなアプローチの曲を選んだとのこと。
改めて今聴いてわかったということで、
「上原ひろみは呼吸が浅くなり、どこで息をしたらいいかわからない。」と雲さん。
「マナミ・モリタはもっとゆっくり呼吸できる。」と続けます。
言われてみれば、確かにそういう感じはあると私も思いました。
上原ひろみは流れるようにスラスラ弾くのでそれを良しとするかどうか。
「これはジャズじゃない。上半身で弾いている、下じゃない。」とtommyさん。
う~ん、なるほど・・・と思っていた私です。
で、雲さんによるとモリタはミシェル・カミロの影響を受けているとか。
前に番組でミシェル・カミロに影響を受けた方に「ジャズじゃない。」と
言っていたので、要はtommyさんはカミロに影響された人はジャズじゃない
ということになるんだろうという結論になりました(笑)。
「カミロは上半身で弾いている。」とtommyさん。
でも上原ひろみはジャズだそうなので私は一安心(笑)。
雲さんが「上原ひろみが『プレイズ・ミシェル・カミロ』というアルバムを出したら
tommyさんは買いますか?」と質問。
tommyさんはそれなら買うとのことでした(笑)。
いや~っ、何かとても楽しそうなトーク番組になっていました(笑)。
まっ、現場がそういう雰囲気だたのでそのまんまですね。
私達ばかりが楽しんでしまい、ちょっと申し訳ないような(笑)。
上原ひろみの良さがわかっていただけたら幸いです。
今回は番組に呼んでいただき大変ありがとうございました。
非常に楽しかったです。
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コメント
いっきさん
レポート、今回もありがとうございます。
>アコースティック、4ビート派からは顰蹙を買うであろうことは間違いなし(笑)。
いやいや、そんなことないですよ。
マニアックな盤から、上原ひろみ、矢野沙織まで、その好奇心のレンジの広さと節操の無さ(?)が、いっきさんの「ジャズ聴き」としての懐の深さなんですよ。
それは、このブログを読んでいる人だったら、誰もが分かるっているはずです。
メセニー、ひろみと、比較的最近のミュージシャンで、軽やかな人が、たまたま出演時のテーマになってしまいましたが、次回はディープなネタでいきましょうね!
ジャズと名のつくものは全部喰う男、恐るべき雑食ジャズマニアいっきさんの本領発揮をしてください。
ということで、次回は今井美樹特集(笑)。
投稿: 雲 | 2010年5月17日 (月) 01時01分
雲さん。こんばんは。
>マニアックな盤から、上原ひろみ、矢野沙織まで、その好奇心のレンジの広さと節操の無さ(?)が、いっきさんの「ジャズ聴き」としての懐の深さなんですよ。
どうもありがとうございます。
>次回はディープなネタでいきましょうね!
次回はそうしましょう。クリポタ?
>ジャズと名のつくものは全部喰う男、恐るべき雑食ジャズマニアいっきさんの本領発揮をしてください。
はいっ、了解です(笑)。
>次回は今井美樹特集(笑)。
《幸せにないたい》を熱~く語る(笑)。
投稿: いっき | 2010年5月17日 (月) 01時13分
いっきさん、こんばんは。
レポートお疲れさま。自作自演の極みです(笑)。
面白かったですね。
ん〜、番組の傾向としていいと思いますよ。
「ちゃんと新しいのも聴いているんだ!」つー感じがします。
ジャズ"モノサシ"はいろいろあっていいけど、
いろいろ聴いてみるがいいと思うんだよね。
オイラたちは、軽〜い選別係なんだよ(笑)。
怪しいアルバムが多いから、議論があった方がいい。
聴くのは自由だからね。
オーケストラ入りが流行りなのかなぁ、
メセニー、ハービー、マーカス、ジョンスコ・・・新譜はオーケストラジャズ・・・CTI?。
偶然ではない気がしているんだけど。
投稿: tommy | 2010年5月17日 (月) 01時19分
tommyさん。
>レポートお疲れさま。
ありがとうございます。
>自作自演の極みです(笑)。
ほんと正に自作自演(笑)。
>面白かったですね。
はいっ、とても面白かったです。
>ジャズ"モノサシ"はいろいろあっていいけど、
>いろいろ聴いてみるがいいと思うんだよね。
はい、そのとおりだと思います。
>オイラたちは、軽〜い選別係なんだよ(笑)。
何事にも選別はつきまとうでしょうし、選別結果を発信することになると、そのセンスが問われますよね。私達もそこで選別されてしまいます(笑)。
>怪しいアルバムが多いから、議論があった方がいい。
議論は必要です。そして、出来れば生産的な議論をしたいですねよね。
>オーケストラ入りが流行りなのかなぁ、
そうなんですか?
ハービー、マーカス、ジョンスコの新譜、どうなんでしょ?
残念ながら今のところあまり興味はないです。m(_ _)m
投稿: いっき | 2010年5月17日 (月) 01時32分