スマートでハイセンスな1枚
今日はサラッとアルバム紹介します。
ザ・ナットツリー・カルテットの『スタンダーズ』(2007年rec. Kind of Blue)です。メンバーは、ジョン・アバークロンビー(g)、ジェリー・バーガンジ(ts)、アダム・ナスバウム(ds)、ゲイリー・ベルサーチ(org)です。このアルバム発売当時、私が巡回しているブロガーの方の何人かが紹介していたのを思い出して半年くらい前に中古CDを買いました。
編成はオルガン・ギター・カルテットなのですが、コテコテなブルージーさは全くありません。大人のスマートでハイセンスな現代コンテンポラリー・ジャズ・サウンドなのです。私はこのサウンドが気に入ってしまいました。
アバークロンビーもバーガンジもそれほど強烈な個性はありませんが、そのプレイは渋くて落ち着いた良さがあります。現代コンテンポラリー・バップをやらせたらこの2人は相当上手いです。ナスバウムは柔軟な4ビートを叩くのでこういうサウンドにはピッタリ。
で、このサウンドの最大の功労者はオルガンを弾くベルサーチ、非常にフレッシュなサウンドなのです。オルガンというとアーシーなイメージになりがちですが、ベルサーチが弾くとオルガンから都会的な雰囲気と適度な甘さを醸し出します。これはもう日本製チョコレート。繊細な甘さと上品な風味なのです。
アルバムタイトルそおりスタンダードをやっているのですが、選曲が渋くスマート。ショーターの《フット・プリンツ》、チックのリターン・トゥ・フォーエバーの印象が強い《サムタイム・アゴー》、ビル・エバンスの印象が強い《イスラエル》、コルトレーンの《ネイマ》など、私が好きな曲をカッコ良くやってくれています。
凄みや捻じれを含むような強烈なジャズではありませんが、これはこれでジャズという音楽の持つ大人で洗練された部分を体現するものとしてオススメです。
アルバム名:『Standards』
メンバー:
JOHN ABERCROMBIE(g)
JERRY BERGONZI(ts)
ADAM NUSSBAUM(ds)
GARY VERSACE(org)
*
う~ん、このアルバムを買った理由もブログで知ったからであり、今一番参考にしているのはディスクユニオン・ジャズ館サイトの新譜情報です。買うCDはほとんどが輸入盤。
て、結局スイングジャーナル誌を買ってはいたけれど、読んでいたのはいくつかの連載記事と隔世感漂う読者通信だけで、過去のジャズマンの特集は全く読まず、新譜情報や広告を見て日本のジャズ業界の動向に呆れていたというか、そんな感じです(笑)。
そうそう、オーディオ・コーナーは少し見ていました。オーディオ・コーナーはちょっと模様変えしたと思ったらまた元にもどりどんどんじり貧になっていきました。ページが減ったとか言う人がいましたが、それはオーディオ・コーナーの縮小のせいかも?録音評があったの知っていました。誰かあれを読んでいたら教えて下さい(笑)。
「ライブ&ジャズ・スポット最新情報」なんかはこれだけまとめてあるという点で貴重だと思うのですが・・・。
休刊ということで、良い部分もあるのに、全てがなくなってしまうことに。
脈々と受け継がれてきたものを中断させてしまう責任は重大です。
私は、時代のせいにしてことを済ますのは無責任だと思います。
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コメント
いっきさん、こんばんは。
おっ!いっきさんが怒っていますね。
スイングジャーナル誌の休刊、
「出版文化として無責任だ!」ツーことでしょうか。
ダメなりに密かな楽しみを持って買っている読者がいますからね。
「オレの楽しみをどうしてくれる〜」言う権利はあります(笑)。
休刊は時代のせいじゃないと思いますよ。
ホントにジャズが好きな編集者が不在なんですよ。
読者と向き合っていなかったのが、一番の問題でしょう。
投稿: tommy | 2010年5月19日 (水) 02時17分
tommyさん
>ホントにジャズが好きな編集者が不在なんですよ。
そ、そうなんっすか?!
ある意味、爆弾発言。
投稿: 雲 | 2010年5月19日 (水) 16時27分
tommyさん。こんばんは。
どうも納得できないものがあり、ちょっぴり”ムカッ”と(笑)。
>「出版文化として無責任だ!」ツーことでしょうか。
そんな感じです。
>読者と向き合っていなかったのが、一番の問題でしょう。
そういうところがあったのではないかと思います。
投稿: いっき | 2010年5月19日 (水) 19時20分