ジャズ・ブロガーの間で話題騒然?
今日紹介するのはジャズ・ブロガー間で話題の1枚。
話題のキー・ワードは”ウェザー・リポート”。
ウェザーとマイルスを2大アイドルとする私としては無視できません。
で、かなり遅れて話題に参入(笑)。
ムタン・リユニオン・カルテットの『ソウル・ダンサーズ』(2009年rec. harmonia mundi)です。メンバーは、フランソワ・ムタン(b)、ルイ・ムタン(ds)、ピエール・ド・ベスマン(p,key,vo)、リック・マーギッツア(ts)です。このグループについては以前ブログにUP済:この双子は只者じゃない!
1曲目《ソウルド・アンサーズ》。噂通りの”ウェザー・リポート愛”(笑)!何で何で?シャッフル・ビートと歪んだエレピにこの曲調。ウェザーの《ナイト・パッセージ》にかなり似ています。アコースティック・ベースなのにジャコみたいなハーモニクスも交えています。シンバルもアースキンしてますよね(笑)。テナーはね~っ、ショーターみたいな音の佇まいは不可能。何か嬉しいような恥ずかしような展開(笑)。
2曲目《デプスズ・ライト》。いきなりのスペイシーなシンセ使いはザビヌルです。ベスマン、かなりザビヌルを研究したみたい、さすがです。テナーがテーマを吹き始めると・・・、これはウェザーの《お前のしるし》激似です(笑)。テナーのゆったりした吹き方もショーター似。バックのシンセもいい感じでザビヌルしています。ベースもジャコのようなフレージング。ドラムもアースキン系。ここまでやりますか~っ、参りました!
3曲目《モメンタム》。前半は従来のこのグループのサウンドで変拍子。浮遊系のメロディーですが難解ではなく親しみやすいのがいいところです。と、しばらく安心して聴き進んいったら、んっ?どこかで聴いたことがあるようなメロディー。思い出すまでに何度も聴き直してしまいまいしたよ(笑)。ウェザーの《パラディウム》にどことなく似ているのでした。ベスマンの多重ボーカルもウェザーっぽいです。
なるほど、皆さんが盛り上がる理由がよくわまりました。皆さん当時はウェザー・リポートをチェックしていたんですね~っ。私がチェックしているジャズ・ブロガーの皆さんは結構年代が近いから80年代頃のウェザーの印象は強いんでしょう。
ここで一区切り。4曲目は何と《モンクス・メドレー》。ベースとドラムのムタン兄弟のデュオ。これがカッコいいのです。今時の演奏にも見事に嵌まるモンクの曲の懐の深さにはいつも驚かされます。
後半はこのグループの曲想。前にも書いたようにフランソワのベースが真ん中に”ズンッ”と居座って気持ちいいのです。それをルイのドラムが上手く包み込み、結構複雑なリズムでも気持ち良くグルーヴさせてしまうのが素晴らしい。ベスマンの知的でスマートでありつつ熱も発散するピアノとキーボード。落ち着いたトーンでクールとホットの程よいバランスのマーギッツアのテナー。私にとってのコンテンポラリー・ジャズの理想形がここにあります。
《ブレスド・アンド・カーシド》はジャコに捧げられています。アコースティック・ベースのソロが確かにジャコっぽいフレージングです。曲想もウェザーの匂いが少しありますね。《クリントン・パークビュー》もどこかで聴いたことがあるような曲想です。チック・コリア/マイケル・ブレッカーの『スリー・カルテッツ』に似ていると思うのですがどうでしょう?ベースのソロもエディ・ゴメスっぽく聴こえてきます(笑)。
というわけで、このアルバムは80年代のウェザーやチック/ブレッカー辺りを聴いてきた人にとっては、非常に親近感を感じる内容になっていると思います。
「今なぜウェザー・リポートなのか?」ムタン兄弟に聞いてみたいのですが、
今はこの辺りのネタを伝えてくれるジャーナリズムは残念ながらありません(涙)。
アルバム名:『SOUL DANCERS』
メンバー:
Francois Moutin(b)
Louis Moutin(ds)
Pierre de Bethmann(p, key)
Rick Margitza(ts)
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コメント
いきなり、まんまweather reportでビックリしてしまいました。
>「今なぜウェザー・リポートなのか?」ムタン兄弟に聴いてみたいのですが、
まったく、そうですよね。
とはいえ、毛色は多少違ってもMoutin Reunion Quartetらしい演奏は充分に楽しめました。
TBありがとうございます。逆TBさせていただきました。
と、リンクありがとうございます。こちらも"お気に入りブログ"に入れさせていただきました。
今後もよろしくお願いします。
投稿: oza。 | 2010年5月23日 (日) 07時04分
おはようございます。
トラバ」ありがとうございました。
朝一、あちらのコメントだけ返したんですが、今、トラバしました。
>ここまでやりますか~っ、参りました!
ですよねぇ。
演奏がどうのこうの、、の、、前に、、つい、、笑ってしまいます。
後半の展開を考えると、なんか、どーーしちゃったん??って、思うのですが、、まぁ、いいや。(爆)
これは、今、若いジャズ友に貸してるんだけど、、彼とか、、どうに思うんだろう。
ちょっと、感想聴いてみたいなぁ。
ありがとうございました。
投稿: すずっく | 2010年5月23日 (日) 09時57分
oza。さん。こんにちは。
>いきなり、まんまweather reportでビックリしてしまいました。
普通ここまで露骨にやりませんよね。
”ウェザー・リポート愛”だと思います(笑)。
>毛色は多少違ってもMoutin Reunion Quartetらしい演奏は充分に楽しめました。
そうですよね。
今回はいつものこのグループの音に+αオマケが付いて、楽しく聴けた感じです。
トラバありがとうございます。
お気に入りリストにも入れていただき、ありがとうございます。
こちらこそよろしくお願いします。
投稿: いっき | 2010年5月23日 (日) 13時18分
すずっくさま。こんにちは。
トラバありがとうございます。
>演奏がどうのこうの、、の、、前に、、つい、、笑ってしまいます。
確かに思わずニンマリしました。
最近ウェザー・リポートなんて話題に上らないので、ウェザー・ファンの私は喜びました。
>後半の展開を考えると、なんか、どーーしちゃったん??って、思うのですが、、まぁ、いいや。(爆)
どーしちゃったのか?理由を知りたい私です(笑)。
>ちょっと、感想聴いてみたいなぁ。
私も知りたいです。
この手の音に若い頃に出会った私はジャズにいっきにのめり込んでいくことになりました。
投稿: いっき | 2010年5月23日 (日) 13時30分